説明

無線タグ通信システム

【課題】複数の無線タグが配置された状態での通信環境に合致させ、迅速な情報取得を図る。
【解決手段】リーダ1は、予め設定されたチャンネルCH1〜CH6を用いて、複数の無線タグTと無線通信を行うリーダアンテナ3A〜3Cを有する。そして、リーダアンテナ3A〜3Cを用いた無線通信により、複数の無線タグTより情報取得を図る。そして、リーダアンテナ3A〜3Cそれぞれのチャンネルを切り替える。そして、リーダアンテナ3A〜3CのチャンネルCH1〜CH6を切り替えつつ無線通信を行った場合の、情報取得結果を集計する。そして、その集計結果に応じて、リーダアンテナ3A〜3Cそれぞれに対し、所定の時間区分ごとにチャンネルを割り当てるための切替パターンを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグと無線通信を行う、無線タグ通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線タグに対し無線通信を行う、Radio Frequency(RF)タグリーダライタが、例えば特許文献1に開示されている。この従来技術のRFタグリーダライタは、制御部と、装置アンテナとしてのアンテナを備えた無線通信部とを有している。制御部は、アンテナの使用周波数を切り替える機能を備えており、切替パターンとしての周波数ホッピングパターンを生成する。そして、その生成した周波数ホッピングパターンに基づいて、無線通信部が、ラベルに埋設された無線タグとしてのRFタグへ向けて、電磁波を放射する。これにより、RFタグリーダライタは、RFタグに対してデータの読み書きを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4223991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、RFタグリーダライタに取り付けられる装置アンテナの各個体ごとに周波数特性のバラツキが生じることに対応し、各RFタグリーダライタのRAMに、取り付けられる装置アンテナの周波数特性が予め記憶されている。そして、制御部は、当該記憶された装置アンテナの周波数特性データに応じて、上記切替パターンを生成する。これにより、装置アンテナの各個体ごとに周波数特性のバラツキが生じた場合でも、当該装置アンテナの周波数特性に合致した周波数ホッピングを行うことができる。
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、周波数ホッピングのための切替パターンを生成する際に装置アンテナの周波数特性を配慮したに過ぎない。すなわち、通信相手である無線タグが実際に周囲に配置された状態での、電波の反射状態、遮蔽状態、マルチパスの有無、等による通信環境への影響までは考慮されていない。通信環境に合致させて上記切替パターンを生成すれば、電波の干渉や遮蔽などによる通信障害を回避し無線タグから迅速な情報取得を図れることが期待できる。しかしながら、上記従来技術では、上記のような切替パターンの生成による情報取得の迅速化については、特に配慮されていなかった。
【0006】
本発明の目的は、複数の無線タグが配置された状態での通信環境に合致させ、迅速な情報取得を図ることができる無線タグ通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、所望の場所に配置された複数の無線タグと情報送受信を行う無線タグ通信システムであって、予め設定された複数の使用周波数を用いて、前記複数の無線タグと無線通信を行う複数の装置アンテナと、前記複数の装置アンテナを用いた無線通信により、前記複数の無線タグより情報取得を図る情報取得手段と、前記複数の装置アンテナそれぞれの前記使用周波数を切り替え可能な周波数切替手段と、前記複数の装置アンテナが、前記周波数切替手段により切り替えられる前記複数の使用周波数を用いて無線通信を行った場合の、前記情報取得手段による情報取得結果を集計する集計手段と、前記集計手段による集計結果に応じて、前記複数の装置アンテナそれぞれに対し、所定の時間区分ごとに前記使用周波数を割り当てるための切替パターンを設定するホッピングパターン設定手段とを有することを特徴とする。
【0008】
本願第1発明は、所望の場所にそれぞれ配置した複数の無線タグに対し、複数の装置アンテナにより複数の周波数を用いて情報送受信を行う。電波の反射状態、遮蔽状態、マルチパスの有無、等の周囲環境により、各装置アンテナが無線タグに対し信頼性の高い通信を行える使用周波数は、互いに異なる。本願第1発明は、このような通信環境を予め検出しておき、その検出以降は、当該通信環境にマッチした最適な態様で無線通信を行うことで、すべての無線タグより迅速な情報取得を図る。
【0009】
すなわち、予め、各装置アンテナごとに、周波数切替手段の制御により使用周波数を順次切り替えつつ、無線タグとの無線通信を実行する。その無線通信時における情報取得手段の情報取得結果が、集計手段により集計される。これにより、各装置アンテナにおける、各使用周波数ごとの無線タグとの通信実績が、集計結果として取得される。この通信実績に応じて、ホッピングパターン設定手段が、使用周波数の切替パターンを設定し、各装置アンテナが所定の時間区分ごとに使用する周波数を割り当てる。これにより、複数の無線タグが配置された状態での通信環境に合致させて、各装置アンテナから最適な周波数により無線タグに対して無線通信を行えるので、すべての無線タグより迅速な情報取得を図ることができる。
【0010】
第2の発明は、上記第1発明において、前記集計手段は、前記情報取得手段が情報取得できた前記無線タグの数を、前記複数の装置アンテナそれぞれについて各使用周波数ごとに集計し、前記ホッピングパターン設定手段は、各装置アンテナごとに、情報取得できた前記無線タグの数が多い前記使用周波数から、情報取得できた前記無線タグの数が少ない前記使用周波数へと向かう順番で、前記切替パターンを設定することを特徴とする。
【0011】
本願第2発明では、各装置アンテナの使用周波数の切替順番が、事前に行った無線通信において情報取得できた無線タグ数が多い周波数ほど先の順番となるように、設定される。これにより、より多くの無線タグから迅速に情報取得を図りつつ、すべての無線タグから情報取得を行うことができる。
【0012】
第3の発明は、上記第1発明において、前記集計手段は、前記情報取得手段が取得できた前記無線タグのタグ識別情報と当該タグ識別情報の数とを、前記複数の装置アンテナそれぞれについて各使用周波数ごとに集計し、前記ホッピングパターン設定手段は、各装置アンテナごとに、前記周波数切替手段が前記使用周波数を切り替えた後の未取得の前記タグ識別情報の数が、前記周波数切替手段が前記使用周波数を切り替える前の未取得の前記タグ識別情報の数よりも少なくなるような順番で、前記切替パターンを設定することを特徴とする。
【0013】
本願第3発明では、各装置アンテナの使用周波数の切替順番が、事前に行った通信実績に応じて、使用周波数の切り替え後に未取得のまま残存するタグ識別情報の数が、使用周波数の切り替え前に未取得のまま残存するタグ識別情報の数よりも少なくなるように、設定される。これにより、未通信状態のまま残る無線タグを迅速に少なくし、なるべく多くの無線タグから情報取得を行うことができる。
【0014】
第4の発明は、上記第2又は第3発明において、前記ホッピングパターン設定手段により設定された前記複数の装置アンテナの前記切替パターンにおいて、同一の前記時間区分に2つ以上の前記装置アンテナが同一の使用周波数を使用する周波数重複が発生しているか否かを判定する第1重複判定手段と、前記第1重複判定手段により前記周波数重複が発生していると判定された場合には、当該時間区分の重複に係わる2つ以上の前記装置アンテナのうち少なくとも1つの装置アンテナの前記使用周波数を、当該装置アンテナの他の時間区分における前記使用周波数と入れ替えて、前記切替パターンを再設定する、周波数入れ替え手段とを有することを特徴とする。
【0015】
これにより、同一時間区分において複数の装置アンテナに同一の使用周波数が重複して割り当てられた場合に、当該重複を解消するように割り当てを修正して排他的な周波数割り当てを実現することができる。
【0016】
第5の発明は、上記第4発明において、前記周波数入れ替え手段により入れ替えて再設定された前記複数の装置アンテナの前記切替パターンにおいて、同一の前記時間区分に2つ以上の前記装置アンテナが同一の使用周波数を使用する周波数重複が発生しているか否かを判定する第2重複判定手段と、前記第2重複判定手段により前記周波数重複が発生していると判定された場合には、当該重複が発生している時間区分に代えて、当該重複に係わる2つ以上の前記装置アンテナの数と同数の複数の時間区分を設定し、当該2つ以上の前記装置アンテナそれぞれの前記使用周波数を、当該複数の時間区分それぞれに割り当てる時間区分生成手段とを有することを特徴とする。
【0017】
これにより、使用周波数の重複割り当ての解消を目的として周波数入れ替えを行った後、別の時間区分において再度使用周波数の重複が生じた場合でも、当該重複を解消するような排他的な周波数割り当てを実現することができる。
【0018】
第6の発明は、上記第4発明において、前記周波数入れ替え手段により入れ替えて再設定された前記複数の装置アンテナの前記切替パターンにおいて、同一の前記時間区分に2つ以上の前記装置アンテナが同一の使用周波数を使用する周波数重複が発生しているか否かを判定する第2重複判定手段と、前記第2重複判定手段により前記周波数重複が発生していると判定された場合には、当該重複が発生している時間区分において、当該重複に係わる2つ以上の前記装置アンテナのうち1つの装置アンテナ以外の他の装置アンテナの前記使用周波数の設定を中止する、周波数不設定手段とを有することを特徴とする
【0019】
これにより、使用周波数の重複割り当ての解消を目的として周波数入れ替えを行った後、別の時間区分において再度使用周波数の重複が生じた場合でも、当該重複を解消することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数の無線タグが配置された状態での通信環境に合致させ、迅速な情報取得を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態の無線タグ通信システムの使用態様の一例を表す説明図である。
【図2】リーダの機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図3】リーダのRF通信制御部の詳細構成を表す機能ブロック図である。
【図4】無線タグとの無線通信による情報取得結果の集計の手法、及び、チャンネルの切替パターンの設定の手法を説明する説明図である。
【図5】設定されたリーダアンテナの切替パターンにおいて、チャンネル重複が発生している場合の一例を説明する説明図である。
【図6】再設定されたリーダアンテナの切替パターンにおいて、チャンネル重複が発生している場合の一例を説明する説明図である。
【図7】リーダのCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図8】ステップS100の詳細手順を表すフローチャートである。
【図9】ステップS200の詳細手順を表すフローチャートである。
【図10】未取得のタグIDが少なくなるような順番で切替パターンを設定する変形例において、無線タグとの無線通信による情報取得結果の集計の手法、及び、チャンネルの切替パターンの設定の手法を説明する説明図である。
【図11】無線タグとの無線通信による情報取得結果の集計の手法、及び、チャンネルの切替パターンの設定の手法を説明する説明図である。
【図12】無線タグとの無線通信による情報取得結果の集計の手法、及び、チャンネルの切替パターンの設定の手法を説明する説明図である。
【図13】無線タグとの無線通信による情報取得結果の集計の手法、及び、チャンネルの切替パターンの設定の手法を説明する説明図である。
【図14】無線タグとの無線通信による情報取得結果の集計の手法、及び、チャンネルの切替パターンの設定の手法を説明する説明図である。
【図15】ステップS100の詳細手順を表すフローチャートである。
【図16】再設定後に重複が発生したら1つのリーダアンテナ以外のチャンネル設定を中止する変形例において、再設定されたリーダアンテナの切替パターンにおいて、チャンネル重複が発生している場合の一例を説明する説明図である。
【図17】ステップS200の詳細手順を表すフローチャートである。
【図18】複数の装置を組み合わせて無線タグ通信システムを構成する変形例において、無線タグ通信システムのシステム全体の機能的構成を表す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1を用いて、本実施形態の無線タグ通信システムであるリーダの使用態様の一例を説明する。
【0024】
図1に示す例では、図書館の書棚Sに複数の書籍Bが収納されている。各書籍Bの背表紙には、無線タグTがそれぞれ貼付されている。なお、各書籍B、言い換えれば、各無線タグTは、書棚Sの所望の場所にそれぞれ配置されている。また、各無線タグTに備えられた無線タグ回路部To(後述の図2参照)には、タグ識別情報としてのタグID、及び、書籍名や著者名等の書籍情報などが記憶されている。
【0025】
本実施形態の無線タグ通信システムとしてのリーダ1は、本体制御部2と、複数(図示の例では3つ)のリーダアンテナ3A,3B,3Cとを有している。なお、リーダアンテナ3A,3B,3Cが、各請求項記載の装置アンテナとして機能する。このリーダ1は、上記リーダアンテナ3A,3B,3Cを用いた無線通信により、上記複数の無線タグTと情報送受信を行う(詳細は後述)。
【0026】
図2を用いて、リーダ1の機能的構成を説明する。
【0027】
図2において、リーダ1は、上述したように、本体制御部2と、3つのリーダアンテナ3A,3B,3Cとを有している。
【0028】
リーダアンテナ3A〜3Cは、無線通信の際に使用可能な周波数として予め設定された複数の使用周波数を用いて、複数の無線タグTと無線通信を行う。なお、以下適宜、リーダアンテナ3A〜3Cを総称して単に「リーダアンテナ3」と称する。
【0029】
無線タグTは、タグアンテナ151及びIC回路部150を備えた無線タグ回路部Toを有している。タグアンテナ151は、情報を送受信する。IC回路部150は、情報を記憶する図示しないメモリ部を備えている。
【0030】
一方、本体制御部2は、不揮発性記憶装置5と、メモリ6と、操作部7と、表示部8と、複数(図示の例では3つ)のRF通信制御部9A,9B,9Cと、CPU4とを備えている。
【0031】
不揮発性記憶装置5は、ハードディスク装置やフラッシュメモリからなり、各種情報や各種プログラムを記憶する。メモリ6は、例えばRAMやROM等から構成される。操作部7は、使用者からの指示や情報が入力される。表示部8は、各種情報やメッセージを表示する。
【0032】
RF通信制御部9A〜9Cは、上記リーダアンテナ3A〜3Cを介し、上記無線タグ回路部ToのIC回路部150に記憶された情報へアクセスする。なお、以下適宜、RF通信制御部9A〜9Cを総称して単に「RF通信制御部9」と称する。
【0033】
CPU4は、上記メモリ6内のRAMの一時記憶機能を利用しつつ、上記不揮発性記憶装置5に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。これによって、CPU4は、リーダ1全体の各種制御を行う。また、CPU4は、リーダアンテナ3A〜3C、及び、上記予め設定された複数の使用周波数を、切り替えつつ複数の無線タグTとの無線通信を実行するように、上記RF通信制御部9A〜9Cを制御する。
【0034】
図3を用いて、上記RF通信制御部9A〜9Cの詳細構成を説明する。
【0035】
図3において、各RF通信制御部9A〜9Cはそれぞれ、送信部212と、受信部213と、送受分離器214とから構成される。
【0036】
送信部212は、リーダアンテナ3A〜3Cを介し無線タグ回路部ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスするための質問波を生成するブロックである。この送信部212は、CPU4の制御により、生成する上記質問波の周波数を切り替える。また、送信部212は、水晶振動子215Aと、Phase Locked Loop(PLL)215Bと、Voltage Controlled Oscillator(VCO)215Cと、送信乗算回路216と、ゲイン制御送信アンプ217とを備えている。
【0037】
水晶振動子215Aは、基準周波数を発生する。PLL215Bは、水晶振動子215Aにより発生された周波数を元に、VCO215Cの出力する搬送波の周波数が所定周波数となるように、CPU4の命令に基づきVCO215Cを制御する。VCO215Cは、PLL215Bによって発生される制御電圧に基づいて決められた周波数の搬送波を出力する。なお、発生される搬送波の周波数としては、例えばUHF帯、マイクロ波帯、あるいは短波帯の周波数が用いられる。
【0038】
送信乗算回路216は、CPU4から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調する。この例では、送信乗算回路216は、CPU4からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調を実行する。なお、このような振幅変調の場合、送信乗算回路216に代え、増幅率可変アンプ等を用いてもよい。
【0039】
ゲイン制御送信アンプ217は、上記送信乗算回路216により変調された変調波を増幅する。この例では、可変送信アンプ217は、CPU4からの「TX_PWR」信号によって決定される増幅率により、増幅を行う。送信アンプ217の出力は、送受分離器214を介し、リーダアンテナ3A〜3Cに伝達される。そして、質問波としてリーダアンテナ3A〜3Cから放射され、無線タグ回路部ToのIC回路部150に供給される。なお、質問波は、上記のように変調した信号、すなわち変調波に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
【0040】
受信部213は、リーダアンテナ3A〜3Cにより受信された無線タグ回路部Toからの応答波を入力する。この受信部213は、I相受信乗算回路218と、I相バンドパスフィルタ219と、I相受信アンプ221と、I相リミッタ220と、移相器227と、Q相受信乗算回路222と、Q相バンドパスフィルタ223と、Q相受信アンプ225と、Q相リミッタ224と、Received Signal Strength Indicator(RSSI)回路226とを備えている。
【0041】
I相受信乗算回路218は、リーダアンテナ3A〜3Cで受信され送受分離器214を介して入力された、無線タグ回路部Toからの応答波と上記発生させられた搬送波とを乗算して復調する。
【0042】
I相バンドパスフィルタ219は、I相受信乗算回路218の出力から必要な帯域の信号のみを取り出す。I相受信アンプ221は、I相バンドパスフィルタ219の出力を増幅する。I相リミッタ220は、I相受信アンプ221の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する。
【0043】
移相器227は、前述のようにして発生した搬送波の位相を90°遅らせる。Q相受信乗算回路222は、リーダアンテナ3A〜3Cで受信された無線タグ回路部Toからの応答波と、上記移相器227により位相を90°遅らせた搬送波とを乗算する。Q相バンドパスフィルタ223は、Q相受信乗算回路222の出力から必要な帯域の信号のみを取り出す。Q相受信アンプ225は、Q相バンドパスフィルタ223の出力を増幅する。Q相リミッタ224は、Q相受信アンプ225の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する。
【0044】
I相リミッタ220から出力される信号「RXS−I」とQ相リミッタ224から出力される信号「RXS−Q」とは、CPU4に入力されて処理される。また、I相受信アンプ221及びQ相受信アンプ225の出力は、RSSI回路226にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」がCPU4に入力される。上記のようにして、リーダ1では、I−Q直交復調によって無線タグ回路部Toからの応答波の復調が行われる。
【0045】
以上のような構成において、本実施形態の最大の特徴は、リーダアンテナ3A〜3Cそれぞれについて、複数のチャンネル(後述)を用いて無線通信を行った場合の、情報取得結果を集計すること、及び、その集計結果に応じて、リーダアンテナ3A〜3Cそれぞれに対し、チャンネルの切替パターンを設定すること、にある。
【0046】
ここで、例えば電波の反射状態、遮蔽状態、マルチパスの有無等、リーダアンテナ3A〜3Cの周囲環境により、各リーダアンテナ3A〜3Bが無線タグTに対し信頼性の高い通信を行える周波数は互いに異なる。本実施形態では、このような通信環境を検出して、リーダアンテナ3A〜3Cそれぞれに対し、当該通信環境にマッチした最適な使用周波数の切替パターンを決定する。以下、その詳細を説明する。
【0047】
また、本実施形態においては、リーダアンテナ3A〜3Cの使用周波数が6つであり、各使用周波数が、互いに異なる6つのチャンネルCH1,CH2,CH3,CH4,CH5,CH6に、それぞれ割り当てられている場合を例にとって説明する。以下適宜、「使用周波数」を「チャンネル」と言い換えて記載する。
【0048】
図4(a)及び図4(b)を用いて、無線タグTとの無線通信による情報取得結果の集計の手法、及び、チャンネルの切替パターンの設定の手法を説明する。
【0049】
図4(a)及び図4(b)において、リーダ1は、まず、各リーダアンテナ3A〜3Cごとに、上記6つのチャンネルCH1〜CH6を順次切り替えつつ、複数の無線タグTに対し、無線通信により情報取得を図る。そして、当該無線通信による情報取得結果を集計する。具体的には、リーダアンテナ3A〜3Cそれぞれについて、上記無線通信により情報取得できた無線タグTの数、この例では特に、取得できた無線タグTのタグIDの数を、各チャンネルCH1〜CH6ごとに集計する。
【0050】
図4(a)には、リーダアンテナ3Aを介した無線タグTとの無線通信による情報取得結果の集計結果の一例を示している。図4(a)に示す例では、リーダアンテナ3Aを介し取得できたタグIDの数の多少関係が、チャンネルCH2>チャンネルCH6>チャンネルCH1>チャンネルCH5>チャンネルCH3>チャンネルCH4のようになった、情報取得結果の集計結果が得られている。
【0051】
そして、リーダ1は、上記集計結果に応じて、各リーダアンテナ3A〜3Cごとに、チャンネルの切替パターンを設定し、各リーダアンテナ3A〜3Cに対し、所定の時間区分ごとに、チャンネルを排他的に割り当てる。具体的には、各リーダアンテナ3A〜3Cごとに、取得できたタグIDの数が多いチャンネルから、取得できたタグIDの数が少ないチャンネルへと向かう順番で、すなわち、取得できたタグIDの数が多いチャンネルほど、切替順番が先の順番となるように、上記切替パターンを設定する。
【0052】
図4(b)には、リーダアンテナ3Aのチャンネルの切替パターンの一例を示している。図4(b)に示す例では、上記図4(a)に示す集計結果に対応し、リーダアンテナ3Aのチャンネルの切替パターンは、チャンネル2→チャンネル6→チャンネル1→チャンネル5→チャンネル3→チャンネル4の順番で設定されている。すなわち、当該切替パターンにおいては、チャンネルCH2が、最初の時間区分TD1に割り当てられている。チャンネルCH6が、上記時間区分TD1の次の時間区分TD2に割り当てられている。チャンネルCH1が、上記時間区分TD2の次の時間区分TD3に割り当てられている。チャンネルCH5が、上記時間区分TD3の次の時間区分TD4に割り当てられている。チャンネルCH3が、上記時間区分TD4の次の時間区分TD5に割り当てられている。チャンネルCH4が、上記時間区分TD5の次の時間区分TD6に割り当てられている。
【0053】
なお、図示はしていないが、リーダアンテナ3A以外のリーダアンテナ3B,3Cについても、上記と同様の手法により切替パターンが設定される。
【0054】
図5を用いて、設定されたリーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンにおいて、チャンネル重複が発生している場合の一例を説明する。この図5には、上述した手法により設定された、リーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンの一例を示している。
【0055】
図5に示すように、上記のようにして設定されたリーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンにおいては、各リーダアンテナ3A〜3Cに対し、時間区分TD1〜TD6ごとに、上記チャンネルCH1〜CH6のいずれかが割り当てられている。
【0056】
ここで、設定されたリーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンにおいて、チャンネル重複が発生している場合がある。チャンネル重複とは、同一の時間区分に、2つ以上のリーダアンテナ3が、同一のチャンネル、すなわち、同一の使用周波数を使用する状態である。なお、チャンネル重複が、各請求項記載の周波数重複に相当する。このチャンネル重複では、同一の時間区分において、2つ以上のリーダアンテナ3に対し同一のチャンネルが重複して割り当てられている。
【0057】
図5に示す例では、時間区分TD1で、リーダアンテナ3A,3Cに対しチャンネルCH2が重複して割り当てられており、チャンネル重複が発生している。また、時間区分TD3でも、リーダアンテナ3B,3Cに対しチャンネルCH3が重複して割り当てられており、チャンネル重複が発生している。さらに、時間区分TD6でも、リーダアンテナ3A,3Cに対しチャンネルCH4が重複して割り当てられており、チャンネル重複が発生している。
【0058】
このように、設定されたリーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンにおいてチャンネル重複が発生している場合には、リーダ1は、当該重複を解消するため、所定の時間区分におけるチャンネルの割り当てを修正する。具体的には、当該重複が発生している時間区分の重複に係わる2つ以上のリーダアンテナ3のうち、少なくとも1つのリーダアンテナ3のチャンネルを、当該リーダアンテナ3の他の時間区分、この例では当該重複が発生している時間区分の次の時間区分、に割り当てられたチャンネルと入れ替える。これにより、リーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンを再設定する。
【0059】
すなわち、図5に示す例では、上記チャンネル重複が発生している時間区分TD1においては、当該重複に係わるリーダアンテナ3A,3Cのうち、リーダアンテナ3Cの時間区分TD1に割り当てられたチャンネルCH2が、当該リーダアンテナ3Cの時間区分TD2に割り当てられたチャンネルCH5と入れ替えられている。これにより、時間区分TD1でのリーダアンテナ3A,3Cにおけるチャンネル重複が解消されている。
【0060】
また、上記チャンネル重複が発生している時間区分TD3においては、当該重複に係わるリーダアンテナ3B,3Cのうち、リーダアンテナ3Cの時間区分TD3に割り当てられたチャンネルCH3が、当該リーダアンテナ3Cの時間区分TD4に割り当てられたチャンネルCH6と入れ替えられている。これにより、時間区分TD3でのリーダアンテナ3B,3Cにおけるチャンネル重複が解消されている。
【0061】
また、上記チャンネル重複が発生している時間区分TD6は、チャンネルが割り当てられた最後の時間区分である。この場合には、上記のようなチャンネルの入れ替えは行われない。なお、この場合には、後述するように、他の方法によりチャンネル重複の解消が行われる(詳細は後述)。
【0062】
なお、チャンネル重複が発生している時間区分とチャンネルを入れ替える他の時間区分は、この例のように当該重複が発生している時間区分の次の時間区分に限られない。すなわち、当該重複が発生している時間区分の前の時間区分や次の次の時間区分等であってもよい。
【0063】
図6(a)及び図6(b)を用いて、再設定されたリーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンにおいて、チャンネル重複が発生している場合の一例を説明する。
【0064】
図6(a)及び図6(b)において、上記のようにして再設定されたリーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンにおいても、チャンネル重複が発生している場合がある。すなわち、設定された切替パターンにおいて、最後の時間区分にチャンネル重複が発生していたため、チャンネルの入れ替えができず、当該重複が解消されていなかった場合や、上記切替パターンの再設定により別の時間区分で新たにチャンネル重複が生じた場合である。
【0065】
図6(a)には、上述した手法により再設定された、リーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンの一例を示している。図6(a)に示す例では、時間区分TD1で、リーダアンテナ3B,3Cに対しチャンネルCH5が重複して割り当てられており、チャンネル重複が発生している。また、時間区分TD6でも、リーダアンテナ3A,3Cに対しチャンネルCH4が重複して割り当てられており、チャンネル重複が発生している。
【0066】
このように、再設定されたリーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンにおいてチャンネル重複が発生している場合には、リーダ1は、当該重複が発生している時間区分に代えて、当該重複に係わる2つ以上のリーダアンテナ3と同数の複数の時間区分を設定する。そして、当該2つ以上のリーダアンテナ3それぞれのチャンネルを、上記設定した複数の時間区分それぞれに割り当てる。これにより、リーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンを決定する。
【0067】
図6(b)には、決定されたリーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンの一例を示している。図6(b)に示す例では、上記図6(a)に示すチャンネル重複が発生している時間区分TD1に代えて、新たに2つの時間区分TD1A,TD1Bが設定されている。そして、時間区分TD1に割り当てられている、リーダアンテナ3AのチャンネルCH2と、上記重複に係わるリーダアンテナ3B,3Cのうち、リーダアンテナ3BのチャンネルCH5とが、新たに設定した時間区分TD1Aに割り当てられている。これと共に、時間区分TD1に割り当てられている、上記重複に係わるリーダアンテナ3B,3Cのうち、リーダアンテナ3CのチャンネルCH5が、新たに設定した時間区分TD1Bに割り当てられている。これにより、時間区分TD1でのリーダアンテナ3B,3Cにおけるチャンネル重複が解消されている。
【0068】
また、上記図6(a)に示すチャンネル重複が発生している時間区分TD6に代えて、新たに2つの時間区分TD6A,TD6Bが設定されている。そして、時間区分TD6に割り当てられている、上記重複に係わるリーダアンテナ3A,3Cのうち、リーダアンテナ3AのチャンネルCH4と、リーダアンテナ3BのチャンネルCH6とが、新たに設定した時間区分TD6Aに割り当てられている。これと共に、時間区分TD6に割り当てられている、上記重複に係わるリーダアンテナ3A,3Cのうち、リーダアンテナ3CのチャンネルCH4が、新たに設定した時間区分TD6Bに割り当てられている。これにより、時間区分TD6でのリーダアンテナ3A,3Cにおけるチャンネル重複が解消されている。
【0069】
以上のようにして、リーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンにおいて、チャンネルが割り当てられたすべての時間区分でチャンネル重複がなくなると、当該切替パターンが決定される。そしてこれ以降は、リーダ1は、当該決定された切替パターンに基づいて、リーダアンテナ3A〜3Bのチャンネルを切り替えつつ、無線タグTとの無線通信を実行する。
【0070】
すなわち、この例では、まず時間区分TD1Aで、リーダアンテナ3A,3Bのチャンネルが、チャンネルCH2,CH5にそれぞれ切り替えられる。そして、これらリーダアンテナ3A,3Bを介し無線通信が行われる。なお、この時間区分TD1Aでは、リーダアンテナ3Cは使用されない。
【0071】
次に、時間区分TD1Bで、リーダアンテナ3Cのチャンネルが、チャンネルCH5に切り替えられる。そして、このリーダアンテナ3Cを介し無線通信が行われる。なお、この時間区分TD1Bでは、リーダアンテナ3A,3Bは使用されない。
【0072】
その後、時間区分TD2で、リーダアンテナ3A,3B,3Cのチャンネルが、チャンネルCH6,CH1,CH2にそれぞれ切り替えられる。そして、これらリーダアンテナ3A〜3Cを介し無線通信が行われる。
【0073】
そして、時間区分TD3で、リーダアンテナ3A,3B,3Cのチャンネルが、チャンネルCH1,CH3,CH6にそれぞれ切り替えられる。そして、これらリーダアンテナ3A〜3Cを介し無線通信が行われる。
【0074】
その後、時間区分TD4で、リーダアンテナ3A,3B,3Cのチャンネルが、チャンネルCH5,CH4,CH3にそれぞれ切り替えられる。そして、これらリーダアンテナ3A〜3Cを介し無線通信が行われる。
【0075】
そして、時間区分TD5で、リーダアンテナ3A,3B,3Cのチャンネルが、チャンネルCH3,CH2,CH1にそれぞれ切り替えられる。そして、これらリーダアンテナ3A〜3Cを介し無線通信が行われる。
【0076】
その後、時間区分TD6Aで、リーダアンテナ3A,3Bのチャンネルが、チャンネルCH4,CH6にそれぞれ切り替えられる。そして、これらリーダアンテナ3A,3Bを介し無線通信が行われる。なお、この時間区分TD1Aでは、リーダアンテナ3Cは使用されない。
【0077】
そして、時間区分TD6Bで、リーダアンテナ3Cのチャンネルが、チャンネルCH4に切り替えられる。そして、このリーダアンテナ3Cを介し無線通信が行われる。なお、この時間区分TD6Bでは、リーダアンテナ3A,3Bは使用されない。
【0078】
図7を用いて、以上のような機能を実現するために、リーダ1のCPU4によって実行される制御手順を説明する。
【0079】
図7において、例えば使用者により、リーダ1の電源がオンにされることによって、図中「START」位置で表されるように、このフローが開始される。
【0080】
まずステップS10で、CPU4は、上記リーダアンテナ3A〜3Cに対応する変数NをN=1に初期化する。以下適宜、変数Nを「アンテナ変数N」と称する。なお、この例では、N=1がリーダアンテナ3A、N=2がリーダアンテナ3B、N=3がリーダアンテナ3Cに対応するように予め設定されている。
【0081】
その後、ステップS20で、CPU4は、上記チャンネルCH1〜CH6に対応する変数MをM=1に初期化する。以下適宜、変数Mを「チャンネル変数M」と称する。なお、この例では、M=1がチャンネルCH1、M=2がチャンネルCH2、M=3がチャンネルCH3、M=4がチャンネルCH4、M=5がチャンネルCH5、M=6がチャンネルCH6に対応するように予め設定されている。
【0082】
そして、ステップS30に移り、CPU4は、上記RF通信制御部9に制御信号を出力し、この時点でのチャンネル変数Mに対応するチャンネルの周波数のタグ読み取り信号を生成させる。タグ読み取り信号とは、無線タグTの無線タグ回路部ToのIC回路部150に記憶された情報を読み取るための信号である。そして、その生成したタグ読み取り信号を、この時点でのアンテナ変数Nに対応するリーダアンテナ3を介して、無線タグ回路部Toに送信し、返信を促す。
【0083】
その後、ステップS40で、CPU4は、上記ステップS30で送信したタグ読み取り信号に対応し無線タグ回路部Toから返信された応答信号を、この時点でのアンテナ変数Nに対応するリーダアンテナ3及びRF通信制御部9を介し受信する。そして、上記受信した応答信号より、無線タグ回路部ToのIC回路部150に記憶されたタグIDを抽出して取得する。
【0084】
そして、ステップS50に移り、CPU4は、上記ステップS40で取得できたタグIDをメモリ6に記録する。
【0085】
その後、ステップS60で、CPU4は、この時点でのチャンネル変数Mが、チャンネルCH6に対応するM=6に達したか否かを判定する。言い換えれば、この判定は、6つのチャンネルCH1〜CH6のすべてを使用したか否かを判定している。チャンネル変数MがM=6に達していない場合、言い換えれば、まだ6つのチャンネルCH1〜CH6のすべてを使用していない場合には、判定が満たされずステップS70に移る。
【0086】
ステップS70では、CPU4は、チャンネル変数Mに1を加え、リーダアンテナ3のチャンネルを切り替える。なお、このステップが、各請求項記載の周波数切替手段として機能する。その後、上記ステップS30に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0087】
一方、上記ステップS60において、チャンネル変数MがM=6となっていた場合、言い換えれば、6つのチャンネルCH1〜CH6のすべてを使用した場合には、ステップS60の判定が満たされて、ステップS80に移る。
【0088】
ステップS80では、CPU4は、この時点でのアンテナ変数Nが、リーダアンテナ3Cに対応するN=3に達したか否かを判定する。言い換えれば、この判定は、3つのリーダアンテナ3A〜3Bのすべてを使用したか否かを判定している。アンテナ変数NがN=3に達していない場合、言い換えれば、また3つのリーダアンテナ3A〜3Bのすべてを使用していない場合には、判定が満たされずステップS90に移る。
【0089】
ステップS90では、CPU4は、アンテナ変数Nに1を加え、無線通信を行うリーダアンテナ3を切り替える。その後、上記ステップS20に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0090】
一方、上記ステップS80において、アンテナ変数NがN=3となっていた場合、言い換えれば、3つのリーダアンテナ3A〜3Bのすべてを使用した場合には、ステップS80の判定が満たされて、ステップS100に移る。
【0091】
ステップS100では、CPU4は、リーダアンテナ3A〜3Cそれぞれに対し、チャンネルの切替パターンを設定する、切替パターン設定処理を実行する。なお、この詳細内容については、後述の図8で説明する。
【0092】
そして、ステップS200に移り、CPU4は、上記ステップS100で設定された切替パターンにおけるチャンネルを入れ替えて、切替パターンを再設定する、切替パターン再設定処理を実行する。なお、この詳細内容については、後述の図9で説明する。その後、このフローを終了する。
【0093】
なお、この図7に示すステップS30及びステップS40が、各請求項記載の情報取得手段として機能する。
【0094】
図8を用いて、上記図7のステップS100の詳細手順を説明する。
【0095】
図8において、まずステップS110で、CPU4は、上記アンテナ変数NをN=1に初期化する。
【0096】
その後、ステップS120で、CPU4は、この時点でのアンテナ変数Nに対応するリーダアンテナ3を介し上記図7のステップS40で取得できたタグIDの数を、各チャンネルCH1〜CH6ごとに集計する。なお、このステップが、各請求項記載の集計手段として機能する。
【0097】
そして、ステップS130に移り、CPU4は、上記ステップS120における集計結果に応じて、この時点でのアンテナ変数Nに対応するリーダアンテナ3を介し取得できたタグIDの数が多いチャンネルほど、切替順番が先の順番となるように、切替パターンを設定する。これにより、この時点でのアンテナ変数Nに対応するリーダアンテナ3に対し、所定の時間区分ごとに、チャンネルを排他的に割り当てる。なお、このステップが、各請求項記載のホッピングパターン設定手段として機能する。
【0098】
その後、ステップS140に移り、CPU4は、この時点でのアンテナ変数Nが、リーダアンテナ3Cに対応するN=3に達したか否かを判定する。言い換えれば、この判定は、3つのリーダアンテナ3A〜3Cのすべてに対し切替パターンを設定したか否かを判定している。アンテナ変数NがN=3に達していない場合、言い換えれば、まだ3つのリーダアンテナ3A〜3Cのすべてに対し切替パターンを設定していない場合には、判定が満たされずステップS150に移る。
【0099】
ステップS150では、CPU4は、アンテナ変数Nに1を加え、切替パターンの設定対象であるリーダアンテナ3を切り替える。その後、上記ステップS120に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0100】
一方、上記ステップS140において、アンテナ変数NがN=3となっていた場合、言い換えれば、3つのリーダアンテナ3A〜3Cのすべてに対し切替パターンを設定した場合には、ステップS140の判定が満たされて、このルーチンを終了する。
【0101】
図9を用いて、上記図7のステップS200の詳細手順を説明する。
【0102】
図9において、まずステップS210で、CPU4は、上記図8のステップS130で設定された、リーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンにおいて、前述したチャンネル重複が発生しているか否かを判定する。なお、このステップが、各請求項記載の第1重複判定手段として機能する。チャンネル重複が発生していない場合には、判定が満たされず、上記ステップS130で設定されたリーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンを決定し、このルーチンを終了する。一方、チャンネル重複が発生している場合には、判定が満たされて、ステップS220に移る。
【0103】
ステップS220では、CPU4は、上記ステップS210でチャンネル重複が発生していると判定された時間区分の重複に係わる複数のリーダアンテナ3のうち、少なくとも1つのリーダアンテナ3のチャンネルを、当該リーダアンテナ3の上記重複が発生している時間区分の次の時間区分に割り当てられたチャンネルと入れ替える。これにより、リーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンを再設定する。なお、このステップが、各請求項記載の周波数入れ替え手段として機能する。
【0104】
その後、ステップS230で、CPU4は、上記ステップS220でチャンネルを入れ替えて再設定された、リーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンにおいて、チャンネル重複が発生しているか否かを判定する。なお、このステップが、各請求項記載の第2重複判定手段として機能する。チャンネル重複が発生していない場合には、判定が満たされず、上記ステップS220で再設定されたリーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンを決定し、このルーチンを終了する。一方、チャンネル重複が発生している場合には、判定が満たされて、ステップS240に移る。
【0105】
ステップS240では、CPU4は、上記ステップS230でチャンネル重複が発生していると判定された時間区分に代えて、当該重複に係わる複数のリーダアンテナ3と同数の時間区分を設定する。そして、当該複数のリーダアンテナ3それぞれのチャンネルを、上記設定した複数の時間区分それぞれに割り当てる。これにより、リーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンを決定し、このルーチンを終了する。なお、このステップが、各請求項記載の時間区分生成手段として機能する。
【0106】
以上説明したように、本実施形態の無線タグ通信装置1は、書棚Sの所定の場所にそれぞれ配置した複数の無線タグTに対し、リーダアンテナ3A〜3Bを介しチャンネルCH1〜CH6に対応する周波数を用いて情報送受信を行う。ここで、電波の反射状態、遮蔽状態、マルチパスの有無、等の周囲環境により、各リーダアンテナ3A〜3Bが無線タグTに対し信頼性の高い通信を行える周波数は、互いに異なる。本実施形態においては、このような通信環境を予め検出しておき、その検出以降は、当該通信環境にマッチした最適な態様で無線通信を行うことで、すべての無線タグTより迅速な情報取得を図る。
【0107】
すなわち、予め、各リーダアンテナ3A〜3Bごとに、チャンネルCH1〜CH6を順次切り替えつつ、無線タグTとの無線通信を実行する。そして、その無線通信時における情報取得結果を集計する(図8のステップS120を参照)。これにより、各リーダアンテナ3A〜3Bにおける、各チャンネルCH1〜CH6ごとの無線タグTとの通信実績が、集計結果として取得される。そして、この通信実績に応じて、チャンネルの切替パターンを設定し、各リーダアンテナ3A〜3Bが所定の時間区分ごとに使用するチャンネル、すなわち、周波数を割り当てる(図8のステップS130を参照)。これにより、複数の無線タグTが配置された状態での通信環境に合致させて、各リーダアンテナ3A〜3Bから最適な周波数により無線タグTに対して無線通信を行える。この結果、すべての無線タグTより迅速な情報取得を図ることができる。
【0108】
また、本実施形態では特に、リーダアンテナ3A〜3Bを介し情報取得できた無線タグTの数、上記の例では特に、取得できた無線タグTのタグIDの数を、リーダアンテナ3A〜3Bそれぞれについて各チャンネルCH1〜CH6ごとに集計する。そして、各リーダアンテナ3A〜3Bのチャンネルの切替順番が、事前に行った無線通信において取得できた無線タグTのタグIDの数が多いチャンネルほど先の順番となるように、設定される。これにより、より多くの無線タグTから迅速に情報取得を図りつつ、すべての無線タグTから情報取得を行うことができる。
【0109】
また、本実施形態では特に、上記図8のステップS130で設定された、リーダアンテナ3A〜3Bの切替パターンにおいて、チャンネル重複が発生しているか否かを判定する。そして、チャンネル重複が発生していると判定された場合には、当該時間区分の重複に係わる複数のリーダアンテナ3のうち、少なくとも1つのリーダアンテナ3のチャンネルを、当該リーダアンテナ3の他の時間区分におけるチャンネルと入れ替えて、上記切替パターンを再設定する。これにより、同一時間区分において複数のリーダアンテナ3に同一のチャンネルが重複して割り当てられた場合に、当該重複を解消するように割り当てを修正して排他的なチャンネル割り当て、すなわち、周波数割り当てを実現することができる。
【0110】
また、本実施形態では特に、上記図9のステップS220で再設定された、リーダアンテナ3A〜3Bの切替パターンにおいて、チャンネル重複が発生しているか否かを判定する。そして、チャンネル重複が発生していると判定された場合には、当該重複が発生している時間区分に代えて、当該重複に係わる複数のリーダアンテナ3の数と同数の時間区分を設定する。そして、当該複数のリーダアンテナ3それぞれのチャンネルを、上記設定した複数の時間区分それぞれに割り当てる。これにより、チャンネルの重複割り当ての解消を目的としてチャンネル入れ替えを行った後、別の時間区分において再度チャンネルの重複が生じた場合でも、当該重複を解消するような排他的なチャンネル割り当て、すなわち、周波数割り当てを実現することができる。
【0111】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0112】
(1)未取得のタグIDが少なくなるような順番で切替パターンを設定する場合
上記実施形態においては、取得できたタグIDの数が多い順番で、リーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンを設定していたが、これに限られない。すなわち、未取得のタグIDが少なくなるような順番で、リーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンを設定してもよい。
【0113】
図10乃至図14を用いて、無線タグTとの無線通信による情報取得結果の集計の手法、及び、チャンネルの切替パターンの設定の手法を説明する。
【0114】
図10乃至図14において、本変形例においては、リーダ1は、上記実施形態と同様に無線通信により情報取得を図った後、リーダアンテナ3A〜3Cそれぞれについて、上記無線通信により取得できた無線タグTのタグID及び当該タグIDの数を、各チャンネルCH1〜CH6ごとに集計する。
【0115】
図10(a)、図11(a)、図12(a)、図13(a)、及び図14(a)には、リーダアンテナ3Aを介した無線タグTとの無線通信による情報取得結果の集計結果の一例を示している。なお、これら図10(a)、図11(a)、図12(a)、図13(a)、及び図14(a)に示す集計結果は、いずれも同等である。
【0116】
図10(a)、図11(a)、図12(a)、図13(a)、及び図14(a)に示す例では、前述した図書館の書棚S(図1を参照)に8個の無線タグTが配置されており、各無線タグTのタグIDがそれぞれ、「ID1」、「ID2」、「ID3」、「ID4」、「ID5」、「ID6」、「ID7」、及び「ID8」である場合を示している。また、図中の表に示す「○」はタグIDが取得できた場合を表し、「×」はタグIDが取得できなかった場合を表している。
【0117】
そして、リーダ1は、上記情報取得結果を集計した後には、各リーダアンテナ3A〜3Cごとに、チャンネルを切り替えた後の未取得のタグIDの数が、チャンネルを切り替える前の未取得のタグIDの数よりも少なくなるような順番で、すなわち、チャンネルを切り替えるごとに未取得のタグIDが少なくなるような順番で、チャンネルの切替パターンを設定する。以下、上記図10(a)、図11(a)、図12(a)、図13(a)、及び図14(a)に示す集計結果が得られた場合における、リーダアンテナ3Aのチャンネルの切替パターンの設定の手法の一例を順を追って説明する。
【0118】
まず、図10(a)及び図10(b)に示すように、上記無線通信により取得できたタグIDの数が最も多いチャンネルCH4が、最初の時間区分TD1に割り当てられる。
【0119】
次に、図11(a)及び図11(b)に示すように、上記時間区分TD1に割り当てられたチャンネルCH4で取得できなかったタグID、すなわち「ID1」「ID3」「ID4」「ID6」の4つタグIDを、最も多く取得できたチャンネルが、次の時間区分TD2に割り当てられる。この例では、チャンネルCH4で取得できなかった上記4つのタグIDのうち、「ID3」「ID4」「ID6」の3つのタグIDを取得できた、チャンネルCH5が、時間区分TD2に割り当てられる。
【0120】
その後、図12(a)及び図12(b)に示すように、上記時間区分TD1,TD2に割り当てられたチャンネルCH4,CH5のいずれでも取得できなかったタグID、すなわち、「ID1」を、最も多く取得できたチャンネルが、次の時間区分TD3に割り当てられる。この例では、「ID1」を取得できたチャンネルは、チャンネルCH1だけであるので、チャンネルCH1が、時間区分TD3に割り当てられる。
【0121】
そして、このように、既に設定された時間区分TD1〜TD3に割り当てられたチャンネルCH4,CH5,CH1で、すべてのタグID「ID1」〜「ID8」が取得できていた場合がある。この場合には、図13(a)及び図13(b)に示すように、当該時間区分TD1〜TD3に割り当てられたチャンネルCH4,CH5,CH1を除いたチャンネル、すなわち、チャンネルCH2,CH3,CH6で取得できたタグIDの数が最も多いチャンネルを、次の時間区分TD4に割り当てる。この例では、チャンネルCH2,CH3,CH6のうち、取得できたタグIDの数が最も多いチャンネルCH2が、時間区分TD4に割り当てられる。
【0122】
次に、図14(a)及び図14(b)に示すように、上記時間区分TD4に割り当てられたチャンネルCH2で取得できなかったタグID、すなわち「ID1」「ID3」「ID5」「ID6」「ID7」の5つタグIDを、最も多く取得できたチャンネルが、次の時間区分TD5に割り当てられる。この例では、チャンネルCH2で取得できなかった上記5つのタグIDのうち、「ID5」「ID6」の2つのタグIDを取得できた、チャンネルCH3が、時間区分TD5に割り当てられる。そして、残ったチャンネルCH6が、次の時間区分TD6に割り当てられる。
【0123】
なお、図示はしていないが、リーダアンテナ3A以外のリーダアンテナ3B,3Cについても、上記と同様の手法により切替パターンが設定される。
【0124】
ここで、本変形例において、リーダ1のCPU4によって実行される制御手順において前述の図7と異なる点は、ステップS100であり、その他の手順は図7の各手順と同様である。以下、図15を用いて、本変形例におけるステップS100の詳細手順を説明する。なお、この図15は、前述の図8に対応する図である。図8と同等の手順には同符号を付し説明を省略する。
【0125】
図15において、前述の図8と異なる点は、ステップS120及びステップS130に代えて、ステップS125及びステップS135を設けた点である。すなわち、ステップS110で、アンテナ変数NをN=1に初期化したら、ステップS120に代えて設けたステップS125に移る。
【0126】
ステップS125では、CPU4は、この時点でのアンテナ変数Nに対応するリーダアンテナ3を介し前述の図7のステップS40で取得できたタグID及びタグIDの数を、各チャンネルCH1〜CH6ごとに集計する。なお、このステップが、各請求項記載の集計手段として機能する。
【0127】
そして、ステップS130に代えて設けたステップS135に移り、CPU4は、上記ステップS125における集計結果に応じて、この時点でのアンテナ変数Nに対応するリーダアンテナ3のチャンネルを切り替えるごとに未取得のタグIDが少なくなるような順番で、チャンネルの切替パターンを設定する。これにより、この時点でのアンテナ変数Nに対応するリーダアンテナ3に対し、所定の時間区分ごとに、チャンネルを排他的に割り当てる。なお、このステップが、各請求項記載のホッピングパターン設定手段として機能する。
【0128】
その後のステップS140及びステップS150は、前述の図8と同様であるので、説明を省略する。
【0129】
本変形例によれば、リーダアンテナ3A〜3Cのチャンネルの切替順番が、事前に行った通信実績に応じて、チャンネルの切り替え後に未取得のまま残存するタグIDの数が、チャンネルの切り替え前に未取得のまま残存するタグIDの数よりも少なくなるように、設定される。これにより、未通信状態のまま残る無線タグTを迅速に少なくし、なるべく多くの無線タグTから情報取得を行うことができる。
【0130】
(2)再設定後に重複が発生したら1つのリーダアンテナ以外のチャンネル設定を中止する場合
上記実施形態においては、再設定された切替パターンにおいて、チャンネル重複が発生している場合には、当該重複が発生している時間区分に代えて複数の時間区分を設定し、それぞれの時間区分に当該重複に係わるリーダアンテナ3それぞれのチャンネルを割り当てていたが、これに限られない。すなわち、当該重複が発生している時間区分において、当該重複に係わるリーダアンテナ3のうち、1つのリーダアンテナ3以外のチャンネル設定を中止するようにしてもよい。
【0131】
図16(a)及び図16(b)を用いて、再設定されたリーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンにおいて、チャンネル重複が発生している場合の一例を説明する。
【0132】
図16(a)及び図16(b)において、前述のようにして再設定されたリーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンにおいても、チャンネル重複が発生している場合がある。図16(a)には、前述した手法により再設定された、リーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンの一例を示している。図16(a)に示す例では、時間区分TD1で、リーダアンテナ3B,3Cに対しチャンネルCH5が重複して割り当てられており、チャンネル重複が発生している。また、時間区分TD6でも、リーダアンテナ3A,3Cに対しチャンネルCH4が重複して割り当てられており、チャンネル重複が発生している。
【0133】
本変形例においては、このように、再設定されたリーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンにおいてチャンネル重複が発生している場合には、リーダ1は、当該重複が発生している時間区分において、当該重複に係わる2つ以上のリーダアンテナ3のうち、1つのリーダアンテナ3以外の他のリーダアンテナ3のチャンネルの設定、すなわち、割り当てを中止する。これにより、リーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンを決定する。
【0134】
図16(b)には、決定されたリーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンの一例を示している。図16(b)に示す例では、上記図16(a)に示すチャンネル重複が発生している時間区分TD1において、当該重複に係わるリーダアンテナ3B,3Cのうち、リーダアンテナ3Cのチャンネルの割り当てが中止されている。なお、リーダアンテナ3Bのチャンネルの割り当てを中止するようにしてもよい。これにより、時間区分TD1でのリーダアンテナ3B,3Cにおけるチャンネル重複が解消されている。
【0135】
また、上記図16(a)に示すチャンネル重複が発生している時間区分TD6において、当該重複に係わるリーダアンテナ3A,3Cのうち、リーダアンテナ3Cのチャンネルの割り当てが中止されている。なお、リーダアンテナ3Aのチャンネルの割り当てを中止するようにしてもよい。これにより、時間区分TD6でのリーダアンテナ3A,3Cにおけるチャンネル重複が解消されている。
【0136】
ここで、本変形例において、リーダ1のCPU4によって実行される制御手順において前述の図7と異なる点は、ステップS200であり、その他の手順は図7の各手順と同様である。以下、図17を用いて、本変形例におけるステップS200の詳細手順を説明する。なお、この図17は、前述の図9に対応する図である。図9と同等の手順には同符号を付し説明を省略する。
【0137】
図17において、前述の図9と異なる点は、ステップS240に代えてステップS245を設けた点である。すなわち、ステップS230で、チャンネル重複が発生しているか否かを判定し、チャンネル重複が発生している場合には、ステップS240に代えて設けたステップS245に移る。
【0138】
ステップS245では、CPU4は、上記ステップS230でチャンネル重複が発生していると判定された時間区分において、当該重複に係わる複数のリーダアンテナ3のうち、1つのリーダアンテナ3以外の他のリーダアンテナ3のチャンネルの割り当てを中止する。これにより、リーダアンテナ3A〜3Cの切替パターンを決定し、このルーチンを終了する。なお、このステップが、各請求項記載の周波数不設定手段として機能する。
【0139】
本変形例によれば、チャンネルの重複割り当ての解消を目的としてチャンネル入れ替えを行った後、別の時間区分において再度チャンネルの重複が生じた場合でも、当該重複を解消することができる。
【0140】
(3)複数の装置を組み合わせて無線タグ通信システムを構成する場合
以上においては、リーダ1の一装置で無線タグ通信システムを構成していたが、これに限られない。すなわち、複数の装置を組み合わせて無線タグ通信システムを構成するようにしてもよい。
【0141】
図18を用いて、本変形例の無線タグ通信システムの機能的構成を説明する。なお、この図18は、前述の図2に対応する図である。図2と同等の部分には同符号を付し説明を適宜省略する。
【0142】
図18において、本変形例の無線タグ通信システム300は、中央制御装置100と、複数(図示の例では3つ)のリーダ200A,200B,200Cとを有している。
【0143】
中央制御装置100は、不揮発性記憶装置105と、メモリ106と、操作部107と、表示部108と、CPU104と、ネットワーク通信制御部109とを備えている。
【0144】
不揮発性記憶装置105、メモリ106、操作部107、及び表示部108の機能は、前述の図2に示す不揮発性記憶装置5、メモリ6、操作部7、及び表示部8とほぼ同様である。
【0145】
CPU104は、上記メモリ106内のRAMの一時記憶機能を利用しつつ、上記不揮発性記憶装置105に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。これによって、CPU104は、中央制御装置100全体の各種制御を行う。また、CPU104は、後述するリーダアンテナ30A,30B,30C、及び、前述したチャンネルCH1〜CH6を、切り替えつつ複数の無線タグTとの無線通信を実行するように、リーダ200A,200B,200Cを制御する。
【0146】
ネットワーク通信制御部109は、リーダ200A,200B,200Cとの間でネットワークNWを介し行われるネットワーク通信の制御を行う。
【0147】
一方、リーダ200Aは、ネットワーク通信制御部35Aと、メモリ36Aと、CPU34Aと、リーダアンテナ30Aと、RF通信制御部39Aとを備えている。
【0148】
ネットワーク通信制御部35Aは、中央制御装置100との間でネットワークNWを介し行われるネットワーク通信の制御を行う。メモリ36Aは、例えばRAMやROM等から構成される。CPU34Aは、メモリ36A内のRAMの一時記憶機能を利用しつつ、メモリ36A内のROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。リーダアンテナ30Aは、前述したチャンネルCH1〜CH6を用いて、複数の無線タグTと無線通信を行う。RF通信制御部39Aは、リーダアンテナ30Aを介し、無線タグTの無線タグ回路部ToのIC回路部150に記憶された情報へアクセスする。なお、このRF通信制御部39Aの詳細機能は、前述の図2に示すRF通信制御部9とほぼ同様である(詳細機能は図3を参照)。
【0149】
また、リーダ200Bは、ネットワーク通信制御部35Bと、メモリ36Bと、CPU34Bと、リーダアンテナ30Bと、RF通信制御部39Bとを備えている。これらネットワーク通信制御部35B、メモリ36B、CPU34B、リーダアンテナ30B、及びRF通信制御部39Bの機能は、上記リーダ200Aのネットワーク通信制御部35A、メモリ36A、CPU34A、リーダアンテナ30A、及びRF通信制御部39Aとほぼ同様である。
【0150】
また、リーダ200Cは、ネットワーク通信制御部35Cと、メモリ36Cと、CPU34Cと、リーダアンテナ30Cと、RF通信制御部39Cとを備えている。これらネットワーク通信制御部35C、メモリ36C、CPU34C、リーダアンテナ30C、及びRF通信制御部39Cの機能は、上記リーダ200Aのネットワーク通信制御部35A、メモリ36A、CPU34A、リーダアンテナ30A、及びRF通信制御部39Aとほぼ同様である。
【0151】
なお、リーダ200Aが備えるリーダアンテナ30A、リーダ200Bが備えるリーダアンテナ30B、及びリーダ200Cが備えるリーダアンテナ30Cが、各請求項記載の装置アンテナとして機能する。
【0152】
以上のような構成の無線タグ通信システム300において、中央制御装置100のCPU104によって実行される制御手順は、前述の図7に示す制御手順をほぼ同様である。本変形例によっても、前述した実施形態と同様の効果を得る。
【0153】
なお、以上において、図3等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0154】
また、図7、図8、図9等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0155】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0156】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0157】
1 リーダ(無線タグ通信システム)
3A〜C リーダアンテナ(装置アンテナ)
30A〜C リーダアンテナ(装置アンテナ)
300 無線タグ通信システム
T 無線タグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の場所に配置された複数の無線タグと情報送受信を行う無線タグ通信システムであって、
予め設定された複数の使用周波数を用いて、前記複数の無線タグと無線通信を行う複数の装置アンテナと、
前記複数の装置アンテナを用いた無線通信により、前記複数の無線タグより情報取得を図る情報取得手段と、
前記複数の装置アンテナそれぞれの前記使用周波数を切り替え可能な周波数切替手段と、
前記複数の装置アンテナが、前記周波数切替手段により切り替えられる前記複数の使用周波数を用いて無線通信を行った場合の、前記情報取得手段による情報取得結果を集計する集計手段と、
前記集計手段による集計結果に応じて、前記複数の装置アンテナそれぞれに対し、所定の時間区分ごとに前記使用周波数を割り当てるための切替パターンを設定するホッピングパターン設定手段と
を有することを特徴とする無線タグ通信システム。
【請求項2】
前記集計手段は、
前記情報取得手段が情報取得できた前記無線タグの数を、前記複数の装置アンテナそれぞれについて各使用周波数ごとに集計し、
前記ホッピングパターン設定手段は、
各装置アンテナごとに、情報取得できた前記無線タグの数が多い前記使用周波数から、情報取得できた前記無線タグの数が少ない前記使用周波数へと向かう順番で、前記切替パターンを設定する
ことを特徴とする請求項1記載の無線タグ通信システム。
【請求項3】
前記集計手段は、
前記情報取得手段が取得できた前記無線タグのタグ識別情報と当該タグ識別情報の数とを、前記複数の装置アンテナそれぞれについて各使用周波数ごとに集計し、
前記ホッピングパターン設定手段は、
各装置アンテナごとに、前記周波数切替手段が前記使用周波数を切り替えた後の未取得の前記タグ識別情報の数が、前記周波数切替手段が前記使用周波数を切り替える前の未取得の前記タグ識別情報の数よりも少なくなるような順番で、前記切替パターンを設定する
ことを特徴とする請求項1記載の無線タグ通信システム。
【請求項4】
前記ホッピングパターン設定手段により設定された前記複数の装置アンテナの前記切替パターンにおいて、同一の前記時間区分に2つ以上の前記装置アンテナが同一の使用周波数を使用する周波数重複が発生しているか否かを判定する第1重複判定手段と、
前記第1重複判定手段により前記周波数重複が発生していると判定された場合には、当該時間区分の重複に係わる2つ以上の前記装置アンテナのうち少なくとも1つの装置アンテナの前記使用周波数を、当該装置アンテナの他の時間区分における前記使用周波数と入れ替えて、前記切替パターンを再設定する、周波数入れ替え手段と
を有することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の無線タグ通信システム。
【請求項5】
前記周波数入れ替え手段により入れ替えて再設定された前記複数の装置アンテナの前記切替パターンにおいて、同一の前記時間区分に2つ以上の前記装置アンテナが同一の使用周波数を使用する周波数重複が発生しているか否かを判定する第2重複判定手段と、
前記第2重複判定手段により前記周波数重複が発生していると判定された場合には、当該重複が発生している時間区分に代えて、当該重複に係わる2つ以上の前記装置アンテナの数と同数の複数の時間区分を設定し、当該2つ以上の前記装置アンテナそれぞれの前記使用周波数を、当該複数の時間区分それぞれに割り当てる時間区分生成手段と
を有することを特徴とする請求項4記載の無線タグ通信システム。
【請求項6】
前記周波数入れ替え手段により入れ替えて再設定された前記複数の装置アンテナの前記切替パターンにおいて、同一の前記時間区分に2つ以上の前記装置アンテナが同一の使用周波数を使用する周波数重複が発生しているか否かを判定する第2重複判定手段と、
前記第2重複判定手段により前記周波数重複が発生していると判定された場合には、当該重複が発生している時間区分において、当該重複に係わる2つ以上の前記装置アンテナのうち1つの装置アンテナ以外の他の装置アンテナの前記使用周波数の設定を中止する、周波数不設定手段と
を有することを特徴とする請求項4記載の無線タグ通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−114528(P2011−114528A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268457(P2009−268457)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】