説明

無線タグ通信処理システム及び無線タグ通信装置

【課題】通信設定要素について未知数である無線タグ回路素子に対し確実に無線通信による情報読み取りを行う。
【解決手段】無線タグ回路素子Toに対する通信に最適な通信設定要素の設定パターンを決定するための無線タグ通信システムRSであって、無線タグ回路素子Toと無線通信を行うための通信アンテナ101と、少なくとも1つの通信設定要素に係わる設定パターンを順次切り替える制御手順S155,S165と、順次切り替えられる設定パターンを用いて、通信アンテナ101を介し無線タグ回路素子Toより無線通信により情報取得を図る取得処理を行う制御手順S210,S215と、通信設定要素の各設定パターンごとの情報取得のエラー率E最小となるように、無線タグ回路素子Toに対する通信設定要素の最適設定パターンを決定する通信設定要素探索処理S100とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種の通信設定要素をそれぞれ複数の設定パターンに切り替えて通信可能な無線タグ通信処理システム及び無線タグ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報を記憶する無線タグ回路素子に対し非接触で情報の送受信を行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。
【0003】
このRFIDシステムの1つとして、複数の異なる種類の通信瀬定要素を切り替えて各種別の無線タグと通信可能な情報通信システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この情報通信システムは、種別不明の一つの無線タグに対して通信設定要素を切り替えて通信を行えるようにするものである。
【特許文献1】国際公開2002/041158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ある特定の種別の無線タグと通信を行うためには、複数の通信設定要素(規格や伝送速度等)それぞれについて、当該無線タグの仕様などに対応した最適な設定パターン(各種設定値等)の組み合わせを用いて設定する必要がある。上記従来技術の情報通信システムでは、上記のような通信設定要素の設定パターン等は予め当該情報通信システムのメーカー側が用意したものに限定されており、それらに合致しない無線タグに対しては、通信を行うことができなかった。これを解決するために、操作者が自ら新たに各通信設定要素の設定パターンを手作業で入力する手法もあるが、各通信設定要素の内容は技術的に難解なものが多いため、現実には困難であった。この結果、通信設定要素が未知数の無線タグに対し、確実な無線通信を確保することができなかった。
【0005】
本発明の目的は、通信設定要素が未知数である無線タグ回路素子に対し、確実に無線通信による情報読み取りを行うことができる無線タグ通信処理システム、及び無線タグ通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の発明は、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子に対する、通信に最適な通信設定要素の設定パターンを決定するための無線タグ通信処理システムであって、前記無線タグ回路素子と無線通信を行うための通信アンテナと、少なくとも1つの通信設定要素に係わる前記設定パターンを順次切り替える設定切替手段と、前記設定切替手段で順次切り替えられる前記設定パターンを用いて、前記通信アンテナを介し前記無線タグ回路素子より無線通信により情報取得を図る取得処理を行う情報取得手段と、前記通信設定要素の各設定パターンごとの前記情報取得処理の処理失敗率が最小となるように、前記無線タグ回路素子に対する前記通信設定要素の最適設定パターンを決定する最適パターン決定手段とを有することを特徴とする。
【0007】
本願第1発明の無線タグ通信処理システムは、ある無線タグ回路素子に対し装置側から無線通信を行うときの、通信に最適な通信設定要素の設定パターンを決定するためのものである。すなわち、設定切替手段によって、少なくとも1つの通信設定要素の設定パターンが順次切り替えられつつ、各設定パターンごとに通信アンテナからの無線通信が行われ、情報取得手段によって当該無線タグ回路素子からの情報取得処理が図られる。そして、この情報取得処理の処理失敗率が最小となるように、最適パターン決定手段で、当該無線タグ回路素子への通信を行うときの通信設定要素の最適設定パターンが決定される。この結果、処理失敗率が最も低い設定パターンを、当該通信設定要素の最適設定パターンとすることが可能となる。
【0008】
このように、通信設定要素の設定パターンごとのトライアンドエラーを繰り返し自動的に最適設定パターンを決定する。これにより、通信設定要素について未知数の無線タグ回路素子があった場合でも、操作者が通信設定要素の各種設定入力を行うことなく、当該無線タグ回路素子に対し無線通信を行うときの装置側からの最適設定パターンを精度よく確実に求めることができる。この結果、これ以降、当該無線タグ回路素子及びこれと同種類の無線タグ回路素子について、確実に無線通信による情報読み取りを行うことができる。
【0009】
また、既にある程度情報読み取りが可能である無線タグ回路素子について、さらなる通信信頼性の向上を目指して最適設定パターンの再調整を行うことも可能である。
【0010】
第2発明は、上記第1発明において、前記設定切替手段は、複数の前記通信設定要素に係わる前記通信設定要素の前記設定パターンの組合せを順次切り替え、前記情報取得手段は、前記設定切替手段で順次切り替えられる前記設定パターンの組合せを用いて、前記無線タグ回路素子より無線通信により情報取得を図る取得処理を行い、前記最適設定決定手段は、各設定パターンの組合せごとの前記情報取得処理の処理失敗率が最小となるように、前記無線タグ回路素子に対する、前記複数の通信設定要素に係わる最適設定パターンの組合せを決定することを特徴とする。
【0011】
本願第2発明の無線タグ通信処理システムにおいては、設定切替手段によって、複数の通信設定要素に係わる設定パターンの組合せが順次切り替えられつつ、各組合せごとに通信アンテナからの無線通信が行われ、情報取得手段によって当該無線タグ回路素子からの情報取得処理が図られる。そして、この情報取得処理の処理失敗率が最小となるように、最適パターン決定手段で、当該無線タグ回路素子への通信を行うときの複数の通信設定要素に係わる最適設定パターンの組合せが決定される。この結果、処理失敗率が最も低い設定パターンの組合せを、最適設定パターン組合せとすることが可能となる。
【0012】
このように、複数の通信設定要素に係わる設定パターンの組合せについてトライアンドエラーを繰り返して自動的に最適な設定パターンの組合せを決定する。これにより、複数の通信設定要素について未知数の無線タグ回路素子があった場合でも、当該無線タグ回路素子に対し無線通信を行うときの装置側からの複数の通信設定要素に係わる最適設定パターンの組合せを、精度よく確実に求めることができる。
【0013】
第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記通信設定要素は、前記無線タグ回路素子の規格、前記無線通信に用いる通信プロトコル、前記無線通信の伝送速度、誤り検出符号の使用・不使用、及び前記無線通信における搬送波の変調深度のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0014】
これにより、規格、通信プロトコル、最適伝送速度、誤り検出符号の使用、搬送波変調深度について、どのように設定すればよいかが未知数である無線タグ回路素子があった場合でも、装置側からの最適設定パターンを精度よく確実に求めることができる。
【0015】
第4発明は、上記第1乃至第3発明のいずれかにおいて、前記設定切替手段で前記設定パターンを順次切り替え可能な少なくとも1つの前記通信設定要素を、選択可能に表示する第1表示手段を有することを特徴とする。
【0016】
これにより、操作者は、設定切替手段で切り替え最適化を探索可能な通信設定要素が何であるかを、予め視覚的に知ることができる。この結果、最適化を探索したい通信設定要素を認識している場合には、それが含まれているかどうかを確認することができる。
【0017】
第5発明は、上記第4発明において、前記第1表示手段に表示された前記少なくとも1つの前記通信設定要素より、決定対象としたい通信設定要素を操作者が指定入力可能な第1操作手段を有することを特徴とする。
【0018】
これにより、操作者は、設定切替手段で切り替え最適化を探索する通信設定要素をいちいち入力しなくても、表示されている中から選択すれば足りる。この結果、操作者の操作労力負担を低減し、利便性を向上することができる。
【0019】
第6発明は、上記第4発明において、前記第1表示手段に表示された前記少なくとも1つの前記通信設定要素より、決定対象から除外したい通信設定要素を操作者が指定入力可能な第2操作手段を有することを特徴とする。
【0020】
これにより、操作者は、設定切替手段で切り替え最適化を探索する通信設定要素をいちいち入力しなくても、表示されている中から対象外としたいものを選択し、対象としたい者を選択せず残せば足りることとなる。この結果、操作者の操作労力負担を低減し、利便性を向上することができる。
【0021】
第7発明は、上記第1乃至第6発明のいずれかにおいて、前記最適パターン決定手段で決定された前記最適設定パターン、又は、前記最適設定パターンの組合せを表示する、第2表示手段を有することを特徴とする。
【0022】
これにより、通信設定要素の最適設定パターン(又は最適設定パターンの組合せ)を決定するだけでなく、その求められた最適設定パターン(又は最適設定パターンの組合せ)がどのようなものであるかを、操作者に視覚的に報知し、確実に認識させることができる。
【0023】
また、装置側から当該無線タグ回路素子への最適設定パターン又は最適設定パターン組合せがみつからない場合には、当該無線タグ回路素子に対しては非対応である旨を表示することも可能である。
【0024】
第8発明は、上記第7発明において、前記第2表示手段で表示された、前記最適設定パターン、又は、前記最適設定パターンの組合せを読み出し可能に記憶する記憶手段を有することを特徴とする。
【0025】
求められた通信設定要素の最適設定パターン(又は最適設定パターンの組合せ)を記憶手段に記憶しておく。これにより、以降、当該無線タグ回路素子及びこれと同種類の無線タグ回路素子について情報読み取りを行う場合には、記憶手段から当該最適設定パターン(又は最適設定パターンの組合せ)を読み出して使用することで、確実に無線通信による情報読み取りを行うことができる。
【0026】
第9発明は、上記第8発明において、前記第2表示手段で表示された、前記最適設定パターン、又は、前記最適設定パターンの組合せを前記記憶手段に記憶するかしないかを操作者が選択入力可能な第3操作手段を有することを特徴とする。
【0027】
これにより、求められた通信設定要素の最適設定パターン(又は最適設定パターンの組合せ)を、これ以降の活用のために記憶手段に記憶させるか、あるいは今回限りのものとして記憶させないかを操作者が選ぶことができる。したがって、利用における選択の幅が拡がり、利便性が向上する。
【0028】
第10発明は、上記第8又は第9発明において、前記記憶手段は、複数の無線タグ回路素子それぞれに対応した、前記最適設定決定手段による複数の前記最適パターン、又は、複数組の前記最適パターンの組合せを、読み出し可能に順次記憶することを特徴とする。
【0029】
本願第10発明においては、複数種類の無線タグ回路素子を用いて順次求められた、通信設定要素の複数の最適設定パターン(又は最適設定パターンの組合せ)が記憶手段に記憶される。これにより、以降、それら複数の最適設定パターン(又は最適設定パターンの組合せ)を記憶手段から読み出し、情報読み取り時に切り替えて使用することで、複数種類の無線タグ回路素子のいずれに対しても情報読み取りが可能な、いわゆるマルチリードタイプの無線タグ読み取り装置を実現することができる。
【0030】
第11発明は、上記第1乃至第10発明のいずれかにおいて、前記通信アンテナを備えた無線タグ通信装置と、前記無線タグ通信装置を操作可能な操作端末とを有し、少なくとも、前記設定切替手段、前記情報取得手段、及び前記最適パターン決定手段は、前記操作端末に設けられていることを特徴とする。
【0031】
操作端末で無線タグ通信装置を操作し、通信アンテナを介して無線タグ回路素子と無線通信を行い、通信設定要素の最適設定パターン(又は最適設定パターンの組合せ)の探索を行う。具体的には、操作端末の設定切替手段で通信設定要素の設定パターンやその組合せを順次切り替えることで、各設定パターンごとに無線タグ通信装置の通信アンテナからの無線通信が行われ、操作端末の情報取得手段での情報取得処理が図られる。そして、この情報取得処理の処理失敗率に応じ、操作端末の最適パターン決定手段で通信設定要素の最適設定パターン(又は最適設定パターンの組合せ)が決定される。また、このように操作端末と無線タグ通信装置とで機能を分担することにより、例えば操作端末側に各手段の機能を実現するアプリケーションをインストールするだけで、無線タグ通信装置としては汎用の装置を用意すれば足りることとなり、本願第11発明によるシステムの実現が容易となる。
【0032】
上記目的を達成するために、第12発明は、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子に対する、通信に最適な通信設定要素の設定パターンを決定可能な無線タグ通信装置であって、前記無線タグ回路素子と無線通信を行うための通信アンテナと、少なくとも1つの通信設定要素に係わる前記設定パターンを順次切り替える設定切替手段と、前記設定切替手段で順次切り替えられる前記設定パターンを用いて、前記無線タグ回路素子より無線通信により情報取得を図る取得処理を行う情報取得手段と、前記情報取得手段で前記情報取得処理を所定回数繰り返したときにおける処理失敗率が最小となるように、前記無線タグ回路素子に対する前記通信設定要素の最適設定パターンを決定する最適パターン決定手段とを有することを特徴とする。
【0033】
本願第12発明の無線タグ通信装置は、ある無線タグ回路素子に対し装置側から無線通信を行うときの、通信に最適な通信設定要素の設定パターンを決定することができる。すなわち、設定切替手段によって、少なくとも1つの通信設定要素の設定パターンが順次切り替えられつつ、各設定パターンごとに通信アンテナからの無線通信が行われ、情報取得手段によって当該無線タグ回路素子からの情報取得処理が図られる。そして、この情報取得処理の処理失敗率が最小となるよう、最適パターン決定手段で、当該無線タグ回路素子への通信を行うときの通信設定要素の最適設定パターンが決定される。この結果、処理失敗率が最も低い設定パターンを、当該通信設定要素の最適設定パターンとすることが可能となる。
【0034】
これにより、通信設定要素について未知数の無線タグ回路素子があった場合でも、操作者が通信設定要素の各種設定入力を行うことなく、当該無線タグ回路素子に対し無線通信を行うときの装置側からの最適設定パターンを精度よく確実に求めることができる。この結果、これ以降、当該無線タグ回路素子及びこれと同種類の無線タグ回路素子について、確実に無線通信による情報読み取りを行うことができる。また、既にある程度情報読み取りが可能である無線タグ回路素子について、さらなる通信信頼性の向上を目指して最適設定パターンの再調整を行うことも可能である。
【0035】
さらに、1つの無線タグ通信装置が各手段を備えるオールインワンタイプとすることにより、複数の装置を組み合わせてシステムを構築する場合よりも構成を簡素化でき、また手軽にシステムを実現することができ、さらに必要時には全体の移動も容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、通信設定要素について未知数である無線タグ回路素子に対し確実に無線通信による情報読み取りを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0038】
図1に、本実施形態の無線タグ通信装置を備えた無線タグ通信システムを示す。
【0039】
図1に示すこの無線タグ通信システム(無線タグ通信処理システム)RSは、複数の通信設定要素の設定パターン(詳細は後述)の組み合わせを切り替えて用いて通信可能な無線タグ通信装置100と、この無線タグ通信装置100と例えばUSB等のインターフェースを介して接続され、無線タグ通信装置100を操作可能な操作端末200とを有している。操作端末200は、一般に市販されている汎用パーソナルコンピュータであり、液晶ディスプレイ等の表示部201及びキーボードやマウス等の操作部202を有している。なお、ここでは無線タグ通信装置100と操作端末200とを有線接続させた場合を例示したが、無線通信を介して無線接続させてもよい。
【0040】
図2に、上記無線タグ通信システムRSのシステム全体の機能構成を示す。
【0041】
この図2において、操作端末200は、CPU(中央演算装置)203と、例えばRAMやROM等からなるメモリ204と、操作者からの指示や情報が入力される上記操作部202と、各種情報やメッセージを表示する上記表示部201と、ハードディスク装置からなり各種情報を記憶する大容量記憶装置205と、USBなどの規格に準拠するインターフェース接続を介して無線タグ通信装置100との情報信号の授受の制御を行う通信制御部206とを備えている。
【0042】
CPU203は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって無線タグ通信装置100との間で各種の指示信号・情報信号の送受を行うようになっている。
【0043】
一方、無線タグ通信装置100は、前述したように、複数の通信設定要素の設定パターンの組合せを選択的に切り替えて用い、情報を記憶するIC回路部150及び情報の送受信を行うタグアンテナ151を備えた複数の無線タグ回路素子Toに対し、情報の読み取り及び書き込みが可能なリーダ・ライタである。
【0044】
この無線タグ通信装置100は、通信範囲(図示せず)を形成してその中に存在する無線タグ回路素子Toとの間で無線通信を行う通信アンテナ101と、この通信アンテナ101を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150へ無線通信によりアクセスすると共に、その無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理する高周波回路102と、上記操作端末200との間で行われる通信の制御を行う通信制御部104とを有している。上記高周波回路102と操作端末200のCPU203とは、通信制御部104,206を介して情報の送受信が可能となっている。
【0045】
なお、後に詳述するように、本実施形態では、上記無線タグ回路素子Toを備える無線タグTに関し、無線タグ通信装置100が当該無線タグ回路素子Toと無線通信を行うのに最適な通信設定要素の設定パターンの組合せを探索し、見つけ出すための処理を実行する。
【0046】
図3に、操作端末200内における処理制御上の機能的構成の一例を示す。
【0047】
この図3において、操作端末200の上記メモリ(RAM)204上に、複数のアプリケーションプログラム、通信処理プログラム、及び通信ドライバプログラムがそれぞれ展開して起動しており、これらのプログラムの起動により機能的に構成されるアプリケーション処理部AP、通信処理部CP、及び通信ドライバCDは、相互に指示信号と情報信号を送受可能となっている。また、通信ドライバCDは上記通信制御部206,104同士のインターフェース接続を介して無線タグ通信装置100と信号を送受するようになっている。
【0048】
上記アプリケーション処理部APは、上記操作部202による操作者の操作入力に対し、所定のアプリケーションプログラムに沿った処理を行い、対応する処理指示信号(読み取りコマンド、書き込みコマンド等)を生成し、通信処理部CPに出力する。通信処理部CPは、上記アプリケーション処理部APで生成された処理指示信号に基づき対応する制御信号を生成し、通信ドライバCDを介して無線タグ通信装置100に送信することにより、無線タグ通信装置100を制御する。
【0049】
また、通信処理部CPは、上記通信処理プログラムの起動により機能的に構成され、無線タグ通信装置100において無線タグ回路素子Toとの間で十分低いエラー率で無線通信が成功した際に、通信成功時の通信設定要素の設定パターン(又は複数の通信設定要素の設定パターンの組み合わせ)を記憶する記憶部CPM(記憶手段)を有する。すなわち、後に詳述するように、記憶部CPMは、通信成功時における通信設定要素の設定パターン(又は複数の通信設定要素の設定パターンの組み合わせ)を順次記憶する。なお、この記憶部CPMのメモリとしては上記メモリ204の一部(大容量記憶装置205の一部でもよい)が使用される。
【0050】
これにより、通信処理部CPは、一度無線タグ回路素子Toとの間で無線通信が成功した後は、上記アプリケーション処理部APより無線タグ回路素子Toに対する情報読み取りを指示する処理指示信号が入力された場合は、上記記憶部CPMの記憶内容を参照して、いずれかの通信設定要素の設定パターンの組合せを用いて情報読み取りを行うよう、無線タグ通信装置100を制御するようになっている。
【0051】
図4に、上記無線タグ通信装置100の高周波回路102の詳細構成を示す。
【0052】
この図4において、高周波回路102は、上記通信アンテナ101を介し上記無線タグTの無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報へアクセスするものである。この高周波回路102には、操作端末200のCPU203により生成される、無線タグTの無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すと共に無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスして所望の情報を書き込むための各種コマンドが、通信制御部206,104を介して入力される。なお、煩雑防止のため図4では通信制御部206,104の図示を省略している。
【0053】
高周波回路102は、通信アンテナ101を介し無線タグTの無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部142と、通信アンテナ101により受信された無線タグ回路素子Toからの応答波を入力する受信部143と、送受分離器144とから構成される。
【0054】
送信部142は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスするための質問波を生成するブロックである。すなわち、送信部142は、周波数の基準信号を出力する水晶振動子145Aと、CPU203の制御により水晶振動子145Aの出力を分周/遁倍して所定周波数の搬送波を発生させるPLL(Phase Locked Loop)145B、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)145Cと、上記CPU203から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例ではCPU203からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路146(振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路146により変調された変調波を増幅(この例ではCPU203からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)して所望の質問波を生成するゲイン制御送信アンプ147とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、例えばUHF帯(又はマイクロ波帯、あるいは短波帯でもよい)の周波数を用いており、上記ゲイン制御送信アンプ147の出力は、送受分離器144を介し通信アンテナ101に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、質問波は上記のように変調した信号(変調波)に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
【0055】
受信部143は、通信アンテナ101で受信された無線タグ回路素子Toからの応答波と上記搬送波とを乗算して復調するI相受信乗算回路148と、そのI相受信乗算回路148の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すためのI相バンドパスフィルタ149と、このI相バンドパスフィルタ149の出力を増幅するI相受信アンプ162と、このI相受信アンプ162の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換するI相リミッタ163と、上記通信アンテナ101で受信された無線タグ回路素子Toからの応答波と上記搬送波が移相器167により位相を90°遅らせた信号とを乗算するQ相受信乗算回路172と、そのQ相受信乗算回路172の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すためのQ相バンドパスフィルタ173と、このQ相バンドパスフィルタ173の出力を増幅するQ相受信アンプ175と、このQ相受信アンプ175の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換するQ相リミッタ176とを備えている。そして、上記I相リミッタ163から出力される信号「RXS−I」及びQ相リミッタ176から出力される信号「RXS−Q」は、上記CPU203に入力されて処理される。
【0056】
また、I相受信アンプ162及びQ相受信アンプ175の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路178にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」がCPU203に入力される。これにより、無線タグ通信装置100では、無線タグ回路素子Toとの通信時における当該無線タグ回路素子Toからの信号の受信強度を検出することが可能となっている。
【0057】
そして上記の高周波回路102は、上記通信処理部PCの処理に基づくCPU203からの制御信号の制御により、全ての通信設定要素の設定パターンの組み合わせに対応して無線通信を行えるようになっている。
【0058】
図5に、上記無線タグTに備えられる無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を示す。なお、図示するハードウェア的構成は、各通信設定要素の設定パターンに関係なく共通のものである。
【0059】
この図5において、無線タグ回路素子Toは、上述したように無線タグ通信装置100の通信アンテナ101と非接触で信号の送受信を行う上記タグアンテナ151と、このタグアンテナ151に接続された上記IC回路部150とを有している。
【0060】
IC回路部150は、タグアンテナ151により受信された質問波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された質問波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部153と、上記タグアンテナ151により受信された質問波からクロック信号を抽出して制御部157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部155と、上記タグアンテナ151に接続された変復調部156と、上記メモリ部155、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介し上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部157とを備えている。
【0061】
変復調部156は、タグアンテナ151により受信された上記無線タグ通信装置100の通信アンテナ101からの質問波の復調を行い、また、上記制御部157からの返信信号を変調し、タグアンテナ151より応答波(タグIDを含む信号)として送信する。
【0062】
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出し、当該クロック成分の周波数に対応したクロックを制御部157に供給する。
【0063】
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、この返信信号を上記変復調部156により上記タグアンテナ151から返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0064】
図6は、前述したように、ある無線タグTに対する無線タグ通信装置100における最適な通信設定要素の設定パターンの組合せを探索する際に用いられる、通信設定要素テーブルの一例を概念的に表す図である。この通信設定要素テーブルは、操作端末200の大容量記憶装置205に記憶保持されて通信処理部CPが管理する情報である。
【0065】
図6に示すように、通信設定要素テーブルには、この例における第1の通信設定要素としての規格の項目と、第2の通信設定要素としてのビットレートの項目と、第3の通信設定要素としてのCRC受信の項目と、第4の通信設定要素としての変調深度の項目と、第5の通信設定要素としてのバンドパスの項目と、第6の通信設定要素としての受信開始時間の項目と、第7の通信設定要素としてのゲインの項目が設けられている。これらのうち、「規格」「ビットレート」「CRC受信」「変調深度」の各項目は無線タグTの仕様に関係する通信設定要素であり、「バンドパス」「受信開始時間」「ゲイン」の各項目は無線タグ通信装置100の仕様に関係する通信設定要素である。本実施形態では、これら7つの通信設定要素それぞれにおける設定パターン(設定値の設定・選択、有・無の選択、名称の選択などの各種設定の総称。以下同様)の組み合わせにより、ある特定の種別の無線タグと良好な無線通信を行うための通信条件が規定される。
【0066】
「規格」項目は、無線タグTが備える無線タグ回路素子Toの通信プロトコル(送信プロトコル)の標準的仕様として規定された規格が用意されており、図示する例では4種類のうちいずれか選択されたものが設定パターンとして設定される。なお、図示のISO(International Organization for Standardization)/IEC 14443、及び、ISO/IEC 15693以外の通信プロトコルとして、例えばFelica(登録商標)等も挙げられる。
【0067】
「ビットレート」項目は無線通信の伝送速度を表しており、この例では、上記「規格」項目でいずれを設定するかに対応してそれぞれ複数種類が用意されており、選択された伝送速度値が設定パターンとして設定される。
【0068】
「CRC受信」項目は、無線タグTが送信したデータと無線タグ通信システムRSが受信したデータとの違い(通信誤り)を検出するためのCRC符号(誤り検出符号)を当該データと別に送受するか否かを設定するものである。この例では、「あり」か「なし」のいずれかの選択が設定パターンとして設定される。
【0069】
「変調深度」項目は、前述した搬送波と変調波のそれぞれの振幅値の比で表される、いわゆる変調度を示すものであり、図示する例では10通りのうちいずれか選択された値が設定パターンとして設定される。
【0070】
「バンドパス」項目には、前述した受信部143のI相バンドパスフィルタ149(図4参照)により取り出す周波数帯域を示すものであり、図示する例では3通りのうちいずれか選択された帯域が設定パターンとして設定される。
【0071】
「受信開始時間」項目には、前述した送信部142(図4参照)が信号を送信してから受信部143が信号の受信を開始するまでの時間を示すものであり、図示する例では255通りのうちいずれか選択された時間が設定パターンとして設定される。
【0072】
「ゲイン」項目は、前述した送信部142(図4参照)のゲイン制御送信アンプ147による増幅率を示す通信設定要素であり、図示する例では基準増幅率に対する低減比の4通りのうちいずれか選択された値が設定パターンとして設定される。
【0073】
図7は、タグ種別登録テーブルの一例を概念的に表す図である。このタグ種別登録テーブルは、前述したようにして無線タグTに対する無線タグ通信装置100の最適な通信設定要素の設定パターンの組み合わせを決定した後、その内容を登録したものであり、操作端末200の上記通信処理部CP(図3参照)が記憶して管理する情報である。
【0074】
図7に示すように、タグ種別登録テーブルには、通信処理部CPが登録した全てのタグ種別に対して登録順の通し番号で設定されたタグ種別番号の項目(最も左端の「タグ種別」の項目)が設けられており、そして各タグ種別番号に対応して(つまり各タグ種別に対応して)、良好に無線通信を行うための最適な通信設定条件、つまり、この例では規格、ビットレート、CRC符号、変調深度、バンドパス、受信開始時間、ゲインの各通信設定要素の設定パターンの組み合わせが記録されている。そして、これら各通信設定要素の設定パターンの組み合わせによって各タグ種別に対応した無線タグ通信装置100からの通信条件が決定されることになる。
【0075】
本実施形態では、タグ種別が不明である無線タグTに対し通信処理部CPが通信設定要素診断処理(詳細は後述)を行って各通信設定要素の最適な設定パターンを探索して決定し、タグ種別登録テーブルに登録する。これにより、過去に無線通信を行ったことのない種別の無線タグTに対しても良好な無線通信を行うことができ、また登録後に同じ種別の無線タグTと無線通信を行う場合には、タグ種別登録テーブルに登録されている通信条件を再現する(当該無線タグTと関連付けて登録済みの通信設定要素の設定パターンの組み合わせを用いる)ことで良好な無線通信を行えるようになる。
【0076】
図8は、上記通信設定要素診断処理を行う際に操作端末200の表示部201に表示される画面の一表示例を表す図であり、図8(a)は通信設定要素診断の開始前に表示される通信設定要素指定画面、図8(b)は通信設定要素診断の開始前に表示されるタグ確認画面である。
【0077】
通信処理部CPが通信設定要素診断処理を実行する際には、まず、操作端末200の表示部201に、図8(a)の通信設定要素指定画面(第1表示手段)300が表示される。この通信設定要素指定画面300には、全ての通信設定要素の名称が一覧表示されている。そして、各名称の先端位置には診断対象を選択指定するための診断対象チェックボックス301が(図示する例ではいわゆるラジオボックスの態様で)設けられ、また各名称の後端位置には対応する通信設定要素の設定パターンを指定するための指定値入力ボックス302が(図示する例ではいわゆるプルダウンメニューの態様で)設けられている。
【0078】
操作者は、この例の7つの通信設定要素のうち、自動診断させようとするものの診断対象チェックボックス301にレ点を記入することで診断対象として選択指定することができる。これは、操作者が予め診断に係わる無線タグTについて特定の通信設定要素の設定パターンが既知である場合(図示する例では、規格、CRC受信、バンドパス、受信開始時間、及び受信ゲインの各通信設定要素の最適設定パターンが分かっている)に、それら通信設定要素の診断対象チェックボックス301にレ点を記入せずに診断を省略することで処理時間を短縮させることができる。そしてこのように診断を省略した通信設定要素に対しては、それぞれの指定値入力ボックス302に既知である最適設定パターンを指定する。これは、特に図示しないが、プルダウンメニューにより候補値を選択指定してもよいし、又は指定値入力ボックス302に直接記入してもよい。なお、診断対象チェックボックス301にレ点を記入して診断対象として選択された通信設定要素においては指定値入力ボックス302の操作や記入ができないようになっている。なお、レ点が記入された診断対象チェックボックス301が各請求項記載の第1操作手段を構成し、レ点が記入されない診断対象チェックボックス301が第2操作手段を構成する。
【0079】
そして以上のような指定入力が完了した状態で「診断開始」ボタン303(図8(a)中の左下)を操作することにより、次の図8(b)のタグ確認画面400が表示される。このタグ確認画面400では、操作者に対して診断対象の無線タグTを無線タグ通信装置100(図中ではリーダと表記)に設置(固定)するよう促すメッセージを表示し、「OK」ボタン401(図8(b)中の左下)を操作することで最適な通信設定要素の探索が開始される。
【0080】
図9は、操作端末200のCPU203によって実行される通信設定要素診断処理に係わる制御手順を表すフローチャートである。なお、この通信設定要素診断処理は上述の通信処理部CPにおいて実行される処理の一つであり、操作部202の操作などを介して実行開始が指示された際にこのフローが開始される。あるいは、図7の各段に示したような各種別の通信条件を順次切り替えて無線タグTとの無線通信を試行し、通信に失敗した際に自動的にこのフローが開始されるようにしてもよい。
【0081】
図9において、まず、ステップS5では、操作端末200の表示部201に上記通信設定要素指定画面300(図8(a)参照)を表示する。
【0082】
次にステップS10へ移り、上記ステップS5で表示した通信設定要素指定画面300において、操作部202を介した操作者の操作により診断対象とする通信設定要素の選択指定と、非診断対象とした通信設定要素に対し指定された設定パターン(以下、指定パターンという)に基づく設定を行う。そして「診断開始」ボタン303が操作された際に次のステップS15へ移る。
【0083】
ステップS15では、操作端末200の表示部201に上記タグ確認画面400(図8(b)参照)を表示する。「OK」ボタン401が操作された際に次のステップS100へ移る。
【0084】
ステップS100では、上記ステップS10で設定された非診断対象の通信設定要素の指定パターンを利用して、診断対象に選択指定された通信設定要素の最適設定パターンを探索して決定する通信設定要素探索処理(後述の図10参照)を実行する。
【0085】
次にステップS20へ移り、上記ステップS100の通信設定要素探索処理で診断対象の全ての通信設定要素の最適設定パターンの探索が成功したか否かを判定する。通信設定要素探索に成功している場合、判定は満たされ、次のステップS25へ移り、指定又は探索された各通信設定要素の最適設定パターンを一覧表示する結果画面500(後述の図12参照)を操作端末200の表示部201に表示する。そして「デバイスに反映」ボタン501を操作した際に次のステップS30へ移り、それら各通信設定要素の設定パターンの組み合わせ(後述の図11のステップS140で説明する設定パターン)からなる通信条件を新しいタグ種別に対する無線タグ通信装置100側の最適な通信条件として上記タグ種別登録テーブル(図7参照)に登録し、このフローを終了する。
【0086】
また一方、上記ステップS20の判定において最適な通信設定要素の探索に失敗している場合、判定は満たされず、ステップS35で通信設定要素探索に失敗した旨を表示するエラー画面(特に図示せず)を表示部201に表示してこのフローを終了する。
【0087】
図10は、図9中のステップS100において実行される通信設定要素探索処理の詳細手順を表すフローチャートである。なお、図示するフローチャートは上記図8(a)に示した例に沿い、規格、CRC受信、バンドパス、受信開始時間、及び受信ゲインの通信設定要素には指定パターンが入力され、ビットレート及び変調深度のそれぞれの最適設定パターンを探索する場合を例にとって示している。
【0088】
この図10において、まず、ステップS105で、上記図9中のステップS10で通信設定要素指定画面300における操作により非診断対象として指定パターンが入力されている通信設定要素(この例における規格、CRC受信、バンドパス、受信開始時間、及び受信ゲイン)に対し、当該指定パターンを固定的に設定する。
【0089】
次にステップS110へ移り、最小エラー率の変数Eminを100%に初期設定する。
【0090】
次にステップS115へ移り、この例の診断対象の通信設定要素の一つであるビットレートの設定パターンを初期的に設定する。この例では、規格の指定パターン(上記図8(a)に示している例ではISO15693 1−out−of−4)が入力されているため、それに準じて取りうる最低の値の設定パターン(6.62kbps;図6参照)が初期的に設定される。
【0091】
次にステップS120へ移り、この例の診断対象の通信設定要素の一つである変調深度の設定パターンを初期的に設定する。この例では、変調深度が取りうる最低の値の設定パターン(7%;図6参照)が初期的に設定される。
【0092】
次にステップS200へ移り、この時点の各通信設定要素(この例ではビットレート及び変調深度。以下同様)の設定パターンの組み合わせを用いて、通信対象の無線タグTと無線通信を行った場合のエラー率(処理失敗率)Eを計測する、エラー率計測処理(後述の図11参照)を実行する。
【0093】
次にステップS125へ移り、上記ステップS200により計測したエラー率Eが、この時点の最小エラー率Eminより小さいか否かを判定する。エラー率Eが最小エラー率Eminより小さい場合、判定が満たされる。すなわち、それまで各通信設定要素の設定パターンの組み合わせを種々変化させつつエラー率の計測を繰り返してきたうち、この時点での各通信設定要素の設定パターンの組み合わせによる無線通信が最も良好に行われた(エラー率が最も低い)ものとみなされ、ステップS130へ移る。ステップS130では、最小エラー率Eminの値をこの時点のエラー率Eの値で更新する。その後、ステップS135でこの時点での各通信設定要素の設定パターンの組み合わせを、最適な設定パターンの組み合わせとして記憶し、ステップS140へ移る。
【0094】
一方、ステップS125において、エラー率Eが最小エラー率Emin以上である場合は、判定が満たされず、そのままステップS140へ移る。
【0095】
ステップS140では、最小エラー率Eminが0%であるか否かを判定する。最小エラー率Eminが0%である場合、判定が満たされ、ステップS145に移る。ステップS145では、この時点で記憶されている各通信設定要素の設定パターンの組み合わせが、各通信設定要素の最適な設定パターンの組み合わせであるとして決定し、通信設定要素の最適設定パターンの組み合わせ探索に成功したものとみなし(上記図9のステップS20の判定に反映)、このフローを終了する。
【0096】
一方、ステップS140において、最小エラー率Eminが0%でない場合、判定は満たされず、ステップS150へ移る。
【0097】
ステップS150では、この時点の変調深度が最後の設定パターン(例えば変調深度が取りうる最も高い設定値である100%;図6参照)に設定されているか否かを判定する。変調深度が最後の設定パターンに設定されていない場合、判定は満たされず、すなわち変調深度にはまだ切り替えるべき他の設定パターンがあるものとみなされ、ステップS155で変調深度を次の設定パターン(例えば次に高い設定値)に切替設定してからステップS200に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、変調深度が最後の設定パターンに設定されている場合、判定が満たされ、ステップS160へ移る。
【0098】
ステップS160では、この時点のビットレートが最後の設定パターン(例えばこの例のISO15693 1−out−of−4の規格に準じて取りうる最も高い設定値である26.48kbps;図6参照)に設定されているか否かを判定する。ビットレートが最後の設定パターンに設定されていない場合、判定は満たされず、すなわちビットレートにはまだ切り替えるべき他の設定パターンがあるものとみなされ、ステップS170でビットレートを次の設定パターン(例えば次に高い設定値)に切替設定する。その後、ステップS120に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0099】
一方、ステップS160において、ビットレートが最後の設定パターンに設定されている場合、判定が満たされ、ステップS170へ移る。
【0100】
ステップS170では、最小エラー率Eminが十分に低いとみなせる基準値(例えば、予め適宜の値に設定記憶されている)以下にあるか否かを判定する。最小エラー率Eminが基準値以下にある場合、判定が満たされ、ステップS145に移る。ステップS145では、前述したように、この時点で記憶している、通信設定要素の設定パターンの組み合わせを、無線タグTと十分良好な無線通信が行える、各通信設定要素の最適な設定パターンの組み合わせであるとして決定し、このフローを終了する。
【0101】
一方、最小エラー率Eminが基準値より大きい場合、判定は満たされず、すなわち無線タグTと十分良好な無線通信が行える最適設定パターンを探索して決定することができなかったものとみなされ、ステップS175に移り通信設定要素探索が失敗したものとして(上記図9のステップS20の判定に反映)このフローを終了する。
【0102】
上記のフローによる制御手順を行うことにより、上記図8(a)に図示した例において診断対象であるビットレート及び変調深度の通信設定要素それぞれの最適設定パターンの組み合わせを探索することができる。なお、以上ではビットレート及び変調深度の2つの通信設定要素に対してのみ最適設定パターンを探索した場合を例にとって説明したが、他の通信設定要素に対して最適設定パターンを探索する場合も同様の手法で行うことができる。この場合には、例えばビットレートに対応した上記ステップS115、ステップS160、及びステップS165の手順と同等のループ手順を他の探索対象の通信設定要素に適用してループを重ねるように実行すればよい。つまり本実施形態の例では通信設定要素が7つ設けられているため、最高で7重ループを備えたフロー手順により、各通信設定要素それぞれの全ての接待パターン同士の組み合わせについて、通信を試行し、エラー率を測定すれば足りる。また逆に、上記同様の手法により、1つの通信設定要素の最適設定パターンのみを探索する(それ以外は指定パターンを用いる)こともできる。
【0103】
図11は、図10中のステップS200において実行されるエラー率計測処理の詳細手順を表すフローチャートである。この例では、無線通信の試行回数を10回とし、そのうちの失敗した回数の割合をエラー率Eとして計測する。
【0104】
この図11において、まず、ステップS205では、カウンタ変数Cの値を1に、失敗変数Fの値を0にそれぞれ初期設定する。
【0105】
次にステップS210へ移り、高周波回路102の送信部142に制御信号を出力し、この例ではタグID読み取りコマンド信号の送信を行う。すなわち、無線タグ通信装置100が、この時点の各通信設定要素の設定に基づいて無線タグTの無線タグ回路素子Toに記憶されたID情報を取得するための質問波(この例では問合せ信号としての上記タグID読取コマンド信号)を生成する。そして、このタグID読み取りコマンド信号を、通信アンテナ101を介して通信対象の無線タグ回路素子Toに送信する。
【0106】
次にステップS215へ移り、上記タグID読取コマンド信号に対応して通信対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号(タグIDを含む)を、通信アンテナ101を介して受信し、受信部143を介して取り込む。
【0107】
次にステップS220へ移り、上記受信したリプライ信号に基づき、当該無線タグ回路素子ToのタグIDが正常に読み取れたか否かを判定する。タグIDが正常に読み取れなかった場合、判定は満たされず、次のステップS225で失敗変数Fの値を1増加してからステップS230へ移る。また一方、タグIDが正常に読み取れた場合、判定が満たされ、そのままステップS230へ移る。
【0108】
ステップS230では、カウンタ変数Cの値が10であるか否かを判定する。この時点でカウンタ変数Cの値が10でない(10に満たない)場合、判定は満たされず、ステップS235でカウンタ変数Cの値を1増加してステップS210に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、この時点でカウンタ変数Cの値が10である(10に達している)場合、判定が満たされ、すなわち、各通信設定要素の設定パターンに関する1種類の組み合わせを用いて無線タグ回路素子Toとの無線通信が10回試行されたとみなされ、次のステップS240へ移る。
【0109】
次のステップS240では、失敗変数Fの値に10をかけてエラー率Eを求める。つまりこの例では、失敗変数Fの値は無線通信を10回試行したうちの失敗回数であるため、失敗変数Fの値に10をかけた値がそのまま100分率表記のエラー率Eを示す。このようにしてエラー率Eを求めて、このフローを終了する。
【0110】
図12は、上記通信設定要素診断処理を行って通信設定要素探索が成功した際に操作端末200の表示部201に表示される結果画面500の一表示例を表す図である。
【0111】
この結果画面500には、全ての通信設定要素の名称が一覧表示され、それら名称のそれぞれの後端位置には対応する通信設定要素の設定パターンが表示される。なお、この例では、ビットレートと変調深度については、探索結果の設定パターンが表示されているが、前述のように、それ以外の通信設定要素、すなわち、規格、CRC受信、バンドパス、受信開始時間、受信ゲインについては、指定パターンが表示されている。
【0112】
そして操作者は、この結果画面500における「デバイスに反映」ボタン(第3操作手段;図12中の中央下)501を操作することにより、各通信設定要素の最適設定パターンの組み合わせを、新たな一つの通信条件として図7のタグ種別登録テーブルに登録する(図示する例は、図7中の4番目のタグ種別に対応する通信条件を示している)。
【0113】
以上において、上記図10のフローにおけるステップS155及びステップS165が各請求項記載の設定切替手段として機能し、上記図11のフローにおけるステップS215が情報取得手段として機能する。また、上記図10のフローにおけるステップS145が最適パターン決定手段として機能する。
【0114】
以上説明したように、本実施形態においては、少なくとも1つの通信設定要素の設定パターンが順次切り替えられつつ(ステップS155、ステップS165)、各設定パターンごとに、無線タグ情報通信装置100の通信アンテナ101から無線タグ回路素子Toへ無線通信が行われ、当該無線タグ回路素子ToからのタグID読み取り処理が図られる(ステップS215)。そして、このタグID読み取り処理のエラー率Eが最小となるように、各通信設定要素の設定パターン(又はその組み合わせ)が探索され、エラー率Eが最も低い設定パターン(又はその組み合わせ)を、当該各通信設定要素の最適設定パターン(又はその組み合わせ。以下適宜、同様)として決定する(ステップS145)。
【0115】
このように、各通信設定要素の設定パターンごとのトライアンドエラーを繰り返し自動的に最適設定パターンを決定する。これにより、各通信設定要素について未知数の無線タグ回路素子Toがあった場合でも、操作者が通信設定要素の各種設定入力を行うことなく、当該無線タグ回路素子Toに対し無線通信を行うときの装置側での通信設定要素の最適設定パターンを精度よく確実に求めることができる。この結果、これ以降、当該無線タグ回路素子To及びこれと同種類の無線タグ回路素子Toについて、確実に無線通信による情報読み取りを行うことができる。また、操作者が任意に上記の通信設定要素診断処理を実行することにより、既にある程度情報読み取りが可能である無線タグ回路素子Toについて、さらなる通信信頼性の向上を目指し、最適設定パターンの再調整を行うことも可能である。
【0116】
また、この実施形態では特に、通信設定要素指定画面300において、設定パターンを順次切り替え可能な少なくとも1つの通信設定要素を選択可能に表示することにより、操作者は、最適化のための探索を行える通信設定要素が何であるかを、予め視覚的に知ることができる。この結果、最適化を模索したい通信設定要素を認識している場合には、それが含まれているかどうかを確認することができる。
【0117】
また、この実施形態では特に、通信設定要素指定画面300において、対象としたい通信設定要素を操作者が指定入力可能な診断対象チェックボックス301を設けている。これにより、操作者は、最適化を模索したい通信設定要素をいちいち入力しなくても、画面300において表示されている各通信設定要素のうち、所望のものにレ印を記入すれば(あるいは最適化の模索から除外したい通信設定要素にレ印を不記入とすれば)足りるので、操作者の操作労力負担を低減し、利便性を向上することができる。
【0118】
また、この実施形態では特に、結果画面500において、通信設定要素探索処理で決定された最適設定パターンの組合せを表示する。これにより、通信設定要素の最適設定パターンやその組合せを決定するだけでなく、その求められた最適設定パターンがどのようなものであるかを、操作者に視覚的に報知し、確実に認識させることができる。また、装置側から当該無線タグ回路素子Toへの最適設定パターンやその組合せがみつからない場合には、特に図示しないエラー画面を表示することにより当該無線タグ回路素子Toに対しては非対応である旨を表示することも可能である。
【0119】
また、この実施形態では特に、求められた通信設定要素の最適設定パターンの組合せを記憶部CPMのタグ種別登録テーブルに記憶しておくことにより、以降、当該無線タグ回路素子To及びこれと同種類の無線タグ回路素子Toについて情報読み取りを行う場合には、記憶部CPMから当該最適設定パターンの組合せを読み出して使用することで、確実に無線通信による情報読み取りを行うことができる。
【0120】
また、この実施形態では特に、結果画面500の「デバイス反映」ボタン501により、最適設定パターンを記憶部CPMのタグ種別登録テーブルに記憶するかしないかを操作者が選択入力可能である。これにより、求められた通信設定要素の最適設定パターンやその組み合わせを、これ以降の活用のために記憶部CPMのタグ種別登録テーブルに記憶させるか、あるいは今回限りのものとして記憶させないかを操作者が選ぶことができる。したがって、利用における選択の幅が拡がり、利便性が向上する。
【0121】
また、この実施形態では特に、操作端末200と無線タグ通信装置100とで機能を分担することにより、例えば操作端末200側に各制御手順や処理の機能を実現するアプリケーションをインストールするだけで、無線タグ通信装置100としては汎用の装置を用意すれば足りることとなり、本実施形態による無線タグ通信システムRSの実現が容易となる。
【0122】
なお、本発明は、上記実施形態のように操作端末200と無線タグ通信装置100とを別体で構成して情報送受可能に接続した構成以外にも、例えば携帯型のハンディリーダ(特に図示せず)のようにCPU203、メモリ204、表示部201、操作部202、大容量記憶装置205、高周波回路102、通信アンテナ101の全てを一体にまとめた(いわゆるオールインワンタイプの)無線タグ通信装置の構成としてもよい。この場合、CPU203が上記のステップS155,ステップS165,ステップS210,及びステップS215の手順とステップS100の通信設定要素探索処理を実行できるようにする。
【0123】
これにより、前述と同様、通信設定要素について未知数の無線タグ回路素子Toがあった場合でも、操作者が通信設定要素の各種設定入力を行うことなく、当該無線タグ回路素子Toに対し無線通信を行うときの装置側からの最適設定パターンやその組み合わせを精度よく確実に求めることができる。
【0124】
さらに、1つの無線タグ通信装置が各手段を備えるオールインワンタイプとすることにより、複数の装置を組み合わせてシステムを構築する場合よりも構成を簡素化でき、また手軽にシステムを実現することができ、さらに必要時には全体の移動も容易に行うことができる。
【0125】
なお、以上において、図3、図4、図5等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0126】
また、図9、図10、図11等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0127】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0128】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の一実施形態の無線タグ通信装置を備えた無線タグ通信システムを表すシステム構成図である。
【図2】無線タグ通信システムのシステム全体の機能構成を表す機能ブロック図である。
【図3】操作端末内における処理制御上の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図4】無線タグ通信装置の高周波回路の詳細構成を表す機能ブロック図である。
【図5】無線タグに備えられる無線タグ回路素子の機能的構成の一例を表す機能ブロック図である。
【図6】操作端末が管理する通信設定要素テーブルの一例を概念的に表す図である。
【図7】操作端末が管理するタグ種別登録テーブルの一例を概念的に表す図である。
【図8】操作端末の表示部に表示される通信設定要素指定画面とタグ確認画面の一表示例を表す図である。
【図9】操作端末のCPUによって実行される通信設定要素診断処理に係わる制御手順を表すフローチャートである。
【図10】図9中のステップS100の詳細手順を表すフローチャートである。
【図11】図10中のステップS200の詳細手順を表すフローチャートである。
【図12】操作端末の表示部に表示される結果画面の一表示例を表す図である。
【符号の説明】
【0130】
100 無線タグ通信装置
101 通信アンテナ
142 送信部
143 受信部
150 IC回路部
151 タグアンテナ
200 操作端末
201 表示部
202 操作部
205 大容量記憶装置
300 通信設定要素指定画面(第1表示手段)
301 診断対象チェックボックス(第1操作手段、第2操作手段)
302 指定パターン入力ボックス
400 タグ確認画面
500 結果画面(第2表示手段)
501 「デバイスに反映」ボタン(第3操作手段)
AP アプリケーション処理部
CP 通信処理部
CPM 記憶部(記憶手段)
RS 無線タグ通信システム(無線タグ通信処理システム)
T 無線タグ
To 無線タグ回路素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子に対する、通信に最適な通信設定要素の設定パターンを決定するための無線タグ通信処理システムであって、
前記無線タグ回路素子と無線通信を行うための通信アンテナと、
少なくとも1つの通信設定要素に係わる前記設定パターンを順次切り替える設定切替手段と、
前記設定切替手段で順次切り替えられる前記設定パターンを用いて、前記通信アンテナを介し前記無線タグ回路素子より無線通信により情報取得を図る取得処理を行う情報取得手段と、
前記通信設定要素の各設定パターンごとの前記情報取得処理の処理失敗率が最小となるように、前記無線タグ回路素子に対する前記通信設定要素の最適設定パターンを決定する最適パターン決定手段と
を有することを特徴とする無線タグ通信処理システム。
【請求項2】
請求項1記載の無線タグ通信処理システムにおいて、
前記設定切替手段は、
複数の前記通信設定要素に係わる前記通信設定要素の前記設定パターンの組合せを順次切り替え、
前記情報取得手段は、
前記設定切替手段で順次切り替えられる前記設定パターンの組合せを用いて、前記無線タグ回路素子より無線通信により情報取得を図る取得処理を行い、
前記最適設定決定手段は、
各設定パターンの組合せごとの前記情報取得処理の処理失敗率が最小となるように、前記無線タグ回路素子に対する、前記複数の通信設定要素に係わる最適設定パターンの組合せを決定する
ことを特徴とする無線タグ通信処理システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の無線タグ通信処理システムにおいて、
前記通信設定要素は、
前記無線タグ回路素子の規格、前記無線通信に用いる通信プロトコル、前記無線通信の伝送速度、誤り検出符号の使用・不使用、及び前記無線通信における搬送波の変調深度のうち、少なくとも1つを含む
ことを特徴とする無線タグ通信処理システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の無線タグ通信処理システムにおいて、
前記設定切替手段で前記設定パターンを順次切り替え可能な少なくとも1つの前記通信設定要素を、選択可能に表示する第1表示手段を有する
ことを特徴とする無線タグ通信処理システム。
【請求項5】
請求項4記載の無線タグ通信処理システムにおいて、
前記第1表示手段に表示された前記少なくとも1つの前記通信設定要素より、決定対象としたい通信設定要素を操作者が指定入力可能な第1操作手段を有する
ことを特徴とする無線タグ通信処理システム。
【請求項6】
請求項4記載の無線タグ通信処理システムにおいて、
前記第1表示手段に表示された前記少なくとも1つの前記通信設定要素より、決定対象から除外したい通信設定要素を操作者が指定入力可能な第2操作手段を有する
ことを特徴とする無線タグ通信処理システム。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の無線タグ通信処理システムにおいて、
前記最適パターン決定手段で決定された前記最適設定パターン、又は、前記最適設定パターンの組合せを表示する、第2表示手段を有する
ことを特徴とする無線タグ通信処理システム。
【請求項8】
請求項7記載の無線タグ通信処理システムにおいて、
前記第2表示手段で表示された、前記最適設定パターン、又は、前記最適設定パターンの組合せを読み出し可能に記憶する記憶手段を有することを特徴とする無線タグ通信処理システム。
【請求項9】
請求項8記載の無線タグ通信処理システムにおいて、
前記第2表示手段で表示された、前記最適設定パターン、又は、前記最適設定パターンの組合せを前記記憶手段に記憶するかしないかを操作者が選択入力可能な第3操作手段を有する
ことを特徴とする無線タグ通信処理システム。
【請求項10】
請求項8又は請求項9記載の無線タグ通信処理システムにおいて、
前記記憶手段は、
複数の無線タグ回路素子それぞれに対応した、前記最適設定決定手段による複数の前記最適パターン、又は、複数組の前記最適パターンの組合せを、読み出し可能に順次記憶する
ことを特徴とする無線タグ通信処理システム。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の無線タグ通信処理システムにおいて、
前記通信アンテナを備えた無線タグ通信装置と、
前記無線タグ通信装置を操作可能な操作端末と
を有し、
少なくとも、前記設定切替手段、前記情報取得手段、及び前記最適パターン決定手段は、前記操作端末に設けられている
ことを特徴とする無線タグ通信処理システム。
【請求項12】
情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子に対する、通信に最適な通信設定要素の設定パターンを決定可能な無線タグ通信装置であって、
前記無線タグ回路素子と無線通信を行うための通信アンテナと、
少なくとも1つの通信設定要素に係わる前記設定パターンを順次切り替える設定切替手段と、
前記設定切替手段で順次切り替えられる前記設定パターンを用いて、前記無線タグ回路素子より無線通信により情報取得を図る取得処理を行う情報取得手段と、
前記情報取得手段で前記情報取得処理を所定回数繰り返したときにおける処理失敗率が最小となるように、前記無線タグ回路素子に対する前記通信設定要素の最適設定パターンを決定する最適パターン決定手段と
を有することを特徴とする無線タグ通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−128635(P2010−128635A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300444(P2008−300444)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】