説明

無線リソース割当装置、基地局、および無線リソース割当方法

【課題】上りリンクにおいて、VoIPパケットの発生を認識する精度を向上させることによって、VoIPパケットに対するセミパーシスタントスケジューリングをより確実に起動することを図る。
【解決手段】端末局においてあるサブフレームにおける送信待ちデータサイズを表すBSR情報を保持するBSR管理部11と、VoIPトラヒックの受信データ量を保持するVoIPパケット受信状況管理部12と、BSR情報とVoIPトラヒックの受信データ量とを用いてセミパーシスタントスケジューリングを行うか否かを判定するスケジューリング判定部13と、スケジューリング判定部13の判定結果とBSR情報とを用いて端末局に対する無線リソース割当を行う無線パケットスケジューリング部14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線リソース割当装置、基地局、および無線リソース割当方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速かつ広帯域の無線伝送を実現する次世代の移動通信方式として、例えば3GPP(Third Generation Partnership Project)の標準規格の一つである「LTE(Long Term Evolution)」が知られている(例えば、非特許文献1、2参照)。LTEでは、下りリンク(基地局から端末局方向のリンク)の多元接続方式として直交周波数分割多元接続(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:OFDMA)方式を、上りリンク(端末局から基地局方向のリンク)の多元接続方式としてシングルキャリア周波数分割多元接続(Single-Carrier Frequency-Division Multiple Access:SC−FDMA)方式を用いる。OFDMA方式は、周波数が互いに直交する複数のサブキャリアから構成される広帯域信号を用いて通信を行うマルチキャリア伝送方式の一つであり、ユーザ(端末局)毎に異なるサブキャリアを使用することで、一基地局と複数の端末局との間の多元接続を実現する。一方、SC−FDMA方式は、各端末局の送信データが、端末局間で互いに直交する周波数軸上に周波数拡散されることで、一基地局と複数の端末局との間の多元接続を実現する。上下リンクいずれの方式であっても、LTEでは1msの時間長をサブフレーム(Subframe)と定義されており、1サブフレーム毎に、基地局は無線リソースを端末局に割り振る。このサブフレーム単位の無線リソースの割当を行うのが基地局内の無線リソース割当装置である。
【0003】
LTEでは、VoIP(Voice over IP)トラヒックを効率よく伝送するための機構が標準仕様上に規定されている。それは、「セミパーシスタント(Semi-persistent)スケジューリング」と呼ばれるものであり、定期的に到着するVoIPトラヒックの特徴を生かし、以下の手順で実現される。
(ア)基地局は、RRC(Radio Resource Control)レイヤのシグナリングで、セミパーシスタントスケジューリングのアクティベイション(activation)をすると共に、セミパーシスタントスケジューリングにおけるパケット送信周期を端末局に通知する。
(イ)基地局は、物理(PHY)層での制御信号により、最初のセミパーシスタントスケジューリングのサブフレームとリソースブロック(Resource block:RB)とMCS(Modulation and Coding Scheme)とを通知する。
(ウ)以降、基地局は、物理層での制御信号を送信することなく、(ア)(イ)で指定したパケット送信周期、サブフレーム、及び当該サブフレーム内のリソースブロックを使用して、端末局との間でVoIPトラヒックのパケット伝送を行う。
【0004】
この手順の利点としては、(ウ)において、基地局は、物理層での制御信号を送信する必要がないため、物理層の制御チャネルを圧迫することなく、多くのVoIPトラヒックを収容できることである。
【0005】
VoIPトラヒックは、一般的に有音区間(talk spurt)と無音区間(silence)の2つの時間帯で特徴づけられることが知られている(例えば、非特許文献3参照)。有音区間の時間帯では、音声が20ms単位(即ち、音声符号化のフレーム長が20ms)で40バイト程度のパケット(以下、VoIPパケットと称する)に符号化される。一方、無音区間の時間帯では、無音状態を表す20バイト程度のSID(Silence Insertion Descriptor)パケットが定期的(例えば、160ms周期)に発生される。VoIPトラヒックは、VoIPパケットとSIDパケットとから構成される。
【0006】
特許文献1、2には、VoIPトラヒックの有音区間のパケット(VoIPパケット)に対して、セミパーシスタントスケジューリングを適用する技術が開示されている。例えば特許文献1では、上位層(VoIPアプリケーション)から発生したパケットのサイズを調べ、このサイズが基準値より小さければSIDパケットとし、一方、基準値より大きければVoIPパケットとしてセミパーシスタントスケジューリングを適用している。
【0007】
LTEの上りリンクでは、端末局の送信バッファ内に存在する送信待ちデータのサイズは、端末局から基地局へ送られるバッファ状態レポート(Buffer status report:BSR)によって知ることができる。従来の無線リソース割当装置は、端末局からのBSRによって知った送信待ちデータサイズが基準値より大きければVoIPパケットであると判断して、セミパーシスタントスケジューリングを行う。なお、LTEの上りリンクでは、各トラヒックは4つのグループ(Logical Channel Group:LCG)の何れかに属しており、端末局は、LCG単位で、送信待ちデータサイズをBSRで基地局に通知する。
【0008】
図3は、従来のセミパーシスタントスケジューリング起動手順を示すシーケンス図である。まず、端末局は、パケットが発生すると、スケジューリング要求を基地局に送信する(S101)。基地局は、スケジューリング要求を受信すると、端末局にBSRを送信させるために、ダイナミック(Dynamic)スケジューリングにより無線リソースを割り当てる(S102)。端末局は、割り当てられた無線リソースを用いてBSRを送信する(S103)。
【0009】
基地局は、受信したBSRの情報(送信待ちデータサイズ)が基準値より大きければ、当該送信待ちデータがVoIPパケットであるとして、セミパーシスタントスケジューリングにより無線リソースを端末局に割り当てる(S104)。
【0010】
端末局は、セミパーシスタントスケジューリングにより割り当てられた無線リソースを用いて、VoIPパケットを送信する(S105)。このセミパーシスタントスケジューリングにより割り当てられた無線リソースは、事前に取り決めた周期(例えば、20ms周期)で、端末局がVoIPパケットの送信に用いて良い無線リソースである。これにより、端末局は、該周期で同一の無線リソースを用いて新たに発生するVoIPパケットを周期的に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特表2010-534997号公報
【特許文献2】特開2011-66639号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】3GPP TS 36.211,“Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA);Physical channels and modulation”
【非特許文献2】3GPP TS 36.213,“Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA);Physical layer procedures”
【非特許文献3】3GPP TS 26.101,“AMR speech codec frame structure”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、端末局からBSRで通知される送信待ちデータサイズを単純にパケットサイズとして用いると、不都合な事象がある。この不都合な事象の例を図4に示す。まず、端末局は、パケットが発生すると、スケジューリング要求を基地局に送信する(S101)。基地局は、スケジューリング要求を受信すると、端末局にBSRを送信させるために、ダイナミックスケジューリングにより無線リソースを割り当てる(S102)。
【0014】
ここで、端末局は、割り当てられた無線リソースを用いてBSRを送信するが、例えば当該無線リソースに余裕がある場合にはBSRと共に送信待ちデータも送信することができる(S103a)。そして、端末局は、BSRと共に送信待ちデータも送信した場合には、当該BSRの情報として、端末局の送信バッファ内に残っている送信待ちデータのサイズを送信する。例えば、VoIPパケットの一部をBSRと共に送信した場合には、BSRの情報は、送信バッファ内に残っているVoIPパケットの残りのデータのサイズとなる。又は、VoIPパケットの全部をBSRと共に送信した場合には、送信バッファが空になるので、BSRの情報は0となる。すると、無線リソース割当装置は、BSRの情報(送信待ちデータサイズ)がVoIPパケットのサイズよりも小さいので、端末局から送信されるパケットがVoIPパケットであることを見落としてセミパーシスタントスケジューリングを起動しない可能性がある。
【0015】
他の不都合な事象の例を図5に示す。図5では、送信バッファ内にまだ送信待ちデータ(VoIPトラヒック以外のパケットである場合も含む)がある状態で、VoIPパケットが発生している。この場合、端末局の設定や、送信待ちデータの状況によっては、VoIPパケットが発生しても、直ぐにはスケジューリング要求や、BSR送信が行われず、当該VoIPパケットが発生する以前のBSRの情報に基づいたスケジューリングが継続されている。その後、BSRの送信条件に合致するとBSRが送信されるが、このBSR送信時点で既にVoIPパケットの一部または全部がダイナミックスケジューリングにより送信されていると、上記図4の場合と同様に、無線リソース割当装置はセミパーシスタントスケジューリングを起動しない可能性がある。
【0016】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、上りリンクにおいて、VoIPパケットの発生を認識する精度を向上させることによって、VoIPパケットに対するセミパーシスタントスケジューリングをより確実に起動することができる無線リソース割当装置、基地局、および無線リソース割当方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するために、本発明に係る無線リソース割当装置は、周期的に固定的なデータ長のパケットを発生するトラヒックを送信する端末局に対して上りリンクの無線リソースを割り当てる無線リソース割当装置において、前記端末局においてあるサブフレームで送信待ちとなっている前記トラヒックのデータの量である送信待ちデータサイズを表す情報を保持する送信待ちデータサイズ管理部と、基地局が前記端末局から受信した前記トラヒックの受信データ量を保持するトラヒック受信状況管理部と、前記送信待ちデータサイズ管理部が保持する送信待ちデータサイズの情報と、前記トラヒック受信状況管理部が保持する受信データ量とを用いて、前記端末局に対してセミパーシスタントスケジューリングを行うか否かを判定するスケジューリング判定部と、前記スケジューリング判定部の判定結果と、前記送信待ちデータサイズ管理部が保持する送信待ちデータサイズの情報とを用いて、前記端末局に対する無線リソース割当を行う無線パケットスケジューリング部と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る無線リソース割当装置において、前記スケジューリング判定部は、前記端末局に係るあるサブフレームの前記送信待ちデータサイズと、前記端末局に係る該サブフレームにおける前記トラヒックの受信データ量とを加算した評価値を算出し、この評価値と基準値を比較し、この比較結果に基づいて前記判定を行う、ことを特徴とする。
【0019】
本発明に係る無線リソース割当装置において、前記スケジューリング判定部は、前記端末局に係るあるサブフレーム間の前記送信待ちデータサイズの差と、前記端末局に係る該サブフレーム間の前記トラヒックの受信データ量との和に基づいた評価値を算出し、この評価値と基準値を比較し、この比較結果に基づいて前記判定を行う、ことを特徴とする。
【0020】
本発明に係る無線リソース割当装置は、周期的に固定的なデータ長のパケットを発生するトラヒックを送信する端末局に対して上りリンクの無線リソースを割り当てる無線リソース割当装置において、前記端末局においてあるサブフレームで送信待ちとなっている前記トラヒックのデータの量である送信待ちデータサイズを表す情報を保持する送信待ちデータサイズ管理部と、基地局が前記端末局から受信した前記トラヒックの受信データ量を保持するトラヒック受信状況管理部と、前記トラヒック受信状況管理部が保持する受信データ量を用いて、前記端末局に係るあるサブフレーム間の前記トラヒックの受信データ量に基づいた評価値を算出し、この評価値と基準値を比較し、この比較結果に基づいて、前記端末局に対してセミパーシスタントスケジューリングを行うか否かを判定するスケジューリング判定部と、前記スケジューリング判定部の判定結果と、前記送信待ちデータサイズ管理部が保持する送信待ちデータサイズの情報とを用いて、前記端末局に対する無線リソース割当を行う無線パケットスケジューリング部と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
本発明に係る基地局は、前述のいずれかの無線リソース割当装置を備え、端末局に対する上りリンクの無線リソース割当を行うことを特徴とする。
【0022】
本発明に係る無線リソース割当方法は、周期的に固定的なデータ長のパケットを発生するトラヒックを送信する端末局に対して上りリンクの無線リソースを割り当てる無線リソース割当方法であって、前記端末局においてあるサブフレームで送信待ちとなっている前記トラヒックのデータの量である送信待ちデータサイズを表す情報を保持する送信待ちデータサイズ管理ステップと、基地局が前記端末局から受信した前記トラヒックの受信データ量を保持するトラヒック受信状況管理ステップと、前記送信待ちデータサイズ管理ステップで保持された送信待ちデータサイズの情報と、前記トラヒック受信状況管理ステップで保持された受信データ量とを用いて、前記端末局に対してセミパーシスタントスケジューリングを行うか否かを判定するスケジューリング判定ステップと、前記スケジューリング判定ステップの判定結果と、前記送信待ちデータサイズ管理ステップで保持された送信待ちデータサイズの情報とを用いて、前記端末局に対する無線リソース割当を行う無線パケットスケジューリングステップと、を含むことを特徴とする。
【0023】
本発明に係る無線リソース割当方法は、周期的に固定的なデータ長のパケットを発生するトラヒックを送信する端末局に対して上りリンクの無線リソースを割り当てる無線リソース割当方法であって、前記端末局においてあるサブフレームで送信待ちとなっている前記トラヒックのデータの量である送信待ちデータサイズを表す情報を保持する送信待ちデータサイズ管理ステップと、基地局が前記端末局から受信した前記トラヒックの受信データ量を保持するトラヒック受信状況管理ステップと、前記トラヒック受信状況管理ステップで保持された受信データ量を用いて、前記端末局に係るあるサブフレーム間の前記トラヒックの受信データ量に基づいた評価値を算出し、この評価値と基準値を比較し、この比較結果に基づいて、前記端末局に対してセミパーシスタントスケジューリングを行うか否かを判定するスケジューリング判定ステップと、前記スケジューリング判定ステップの判定結果と、前記送信待ちデータサイズ管理ステップで保持された送信待ちデータサイズの情報とを用いて、前記端末局に対する無線リソース割当を行う無線パケットスケジューリング部と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、上りリンクにおいて、VoIPパケットの発生を認識する精度を向上させることができる。これにより、VoIPパケットに対するセミパーシスタントスケジューリングをより確実に起動することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの概略構成図である。
【図2】図1に示す無線リソース割当装置10の構成を示すブロック図である。
【図3】従来のセミパーシスタントスケジューリング起動手順を示すシーケンス図である。
【図4】従来のセミパーシスタントスケジューリング起動手順の課題を説明するためのシーケンス図である。
【図5】従来のセミパーシスタントスケジューリング起動手順の課題を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの概略構成図である。図1において、基地局1は、無線リソース割当装置10を備える。端末局2aは、基地局1に無線接続して通信を行う。基地局1と端末局2aとは通信規格としてLTEを用いている。基地局1は、ネットワークと接続しており、ネットワークを介して端末局2bと通信を行うことができる。端末局2aと端末局2bとは、VoIPを用いて音声通信を行う。
【0027】
図2は、図1に示す無線リソース割当装置10の構成を示すブロック図である。図2において、無線リソース割当装置10は、BSR管理部11とVoIPパケット受信状況管理部12とスケジューリング判定部13と無線パケットスケジューリング部14を有する。
【0028】
基地局1の受信パケット復調部20は、端末局2aから受信したパケットを復調する。この復調後のパケットは、受信パケットバッファリング部30を介して上位層へ送られる。
【0029】
BSR管理部11は、受信パケット復調部20が復調したパケットからBSRを取得する。BSRは、端末局2aから送信されるパケットに不定期に乗せられて基地局1に送られる。BSRは、端末局2aで送信待ちとなっているデータ(送信待ちデータ)の量(送信待ちデータサイズ)を表す情報である。BSR管理部11は、BSRと、当該BSRを受信したサブフレームの番号(サブフレームID)を関連付けて記録する。
【0030】
VoIPパケット受信状況管理部12は、受信パケット復調部20が復調したパケットのうち、VoIPトラヒックが属するLCGの受信データ量を測定する。VoIPパケット受信状況管理部12は、測定結果の受信データ量と、当該測定したサブフレームのサブフレームIDを関連付けて記録する。
【0031】
スケジューリング判定部13は、BSR管理部11で記録されているBSRのうち、VoIPトラヒックが属するLCGのBSRと、VoIPパケット受信状況管理部12で記録されている受信データ量とを用いて、セミパーシスタントスケジューリングを行うか否かを判定する。
【0032】
無線パケットスケジューリング部14は、スケジューリング判定部13の判定結果と、BSR管理部11で記録されているBSRとを用いて、端末局2aに対する無線リソースの割当を行う。この無線リソースの割当結果は、スケジューリング結果として出力される。
【0033】
次に、図2に示すスケジューリング判定部13が行うセミパーシスタントスケジューリング判定処理について、実施例を挙げて説明する。以下の実施例では、VoIPトラヒックが属するLCGをl番LCGとする。
【実施例1】
【0034】
スケジューリング判定部13は、端末局2a(u)からi番サブフレームで受信したパケットの中にl番LCGのBSRが含まれていることを検出すると、次式により評価値Dを計算する。
D=Best(u,i,l)+g(u,i,l)
但し、Best(u,i,l)は、l番LCGのBSRが表す、端末局2a(u)のi番サブフレームにおける送信待ちデータサイズである。g(u,i,l)は、端末局2a(u)からのi番サブフレームの受信データのうち、l番LCGの受信データのデータ量である。
【0035】
スケジューリング判定部13は、BSR管理部11から、Best(u,i,l)を取得する。スケジューリング判定部13は、VoIPパケット受信状況管理部12から、g(u,i,l)を取得する。
【0036】
次いで、スケジューリング判定部13は、評価値Dを所定の基準値Pと比較する。この結果、評価値Dが基準値Pよりも大きい場合には、スケジューリング判定部13は、無線パケットスケジューリング部14に対して、端末局2a(u)のセミパーシスタントスケジューリングを指示する。
【0037】
一方、評価値Dが基準値P以下である場合には、スケジューリング判定部13は、無線パケットスケジューリング部14に対して、特に何も指示しない。この場合には、無線パケットスケジューリング部14は、端末局2a(u)にG対してダイナミックスケジューリングを行う。
【0038】
無線パケットスケジューリング部14は、セミパーシスタントスケジューリングによって端末局2a(u)に割り当てるリソースブロックとMCSを、事前に決められたVoIPパケットサイズに十分であるように決定する。
【実施例2】
【0039】
スケジューリング判定部13は、端末局2a(u)からi番サブフレームで受信したパケットの中にl番LCGのBSRが含まれていることを検出すると、次式により評価値Dを計算する。
【0040】
【数1】

【0041】
但し、Best(u,x,l)は、l番LCGのBSRが表す、端末局2a(u)のx番サブフレームにおける送信待ちデータサイズである。i’は、端末局2a(u)のl番LCGの前回のBSR受信のサブフレームIDである。g(u,j,l)は、端末局2a(u)からのj番サブフレームの受信データのうち、l番LCGの受信データのデータ量である。dは、VoIPパケットの音声符号化のフレーム長である。
【0042】
スケジューリング判定部13は、BSR管理部11から、Best(u,i,l)及びBest(u,i’,l)を取得する。スケジューリング判定部13は、VoIPパケット受信状況管理部12から、g(u,j,l)を取得する(但し、jは「i’+1」からiまでである)。
【0043】
次いで、スケジューリング判定部13は、評価値Dを所定の基準値Pと比較する。この結果、評価値Dが基準値Pよりも大きい場合には、スケジューリング判定部13は、無線パケットスケジューリング部14に対して、端末局2a(u)のセミパーシスタントスケジューリングを指示する。
【0044】
一方、評価値Dが基準値P以下である場合には、スケジューリング判定部13は、無線パケットスケジューリング部14に対して、特に何も指示しない。この場合には、無線パケットスケジューリング部14は、端末局2a(u)にG対してダイナミックスケジューリングを行う。
【0045】
無線パケットスケジューリング部14は、セミパーシスタントスケジューリングによって端末局2a(u)に割り当てるリソースブロックとMCSを、事前に決められたVoIPパケットサイズに十分であるように決定する。
【実施例3】
【0046】
スケジューリング判定部13は、端末局2a(u)に関して、毎サブフレームに次式により評価値Dを計算する。
【0047】
【数2】

【0048】
但し、iは、端末局2a(u)の最新の受信のサブフレームIDである。g(u,j,l)は、端末局2a(u)からのj番サブフレームの受信データのうち、l番LCGの受信データのデータ量である。dは、VoIPパケットの音声符号化のフレーム長である。d’は、所定の時間長である。d’は、任意の時間長として事前に決定される。
【0049】
スケジューリング判定部13は、VoIPパケット受信状況管理部12から、g(u,j,l)を取得する(但し、jは「i−d’+1」からiまでである)。
【0050】
次いで、スケジューリング判定部13は、評価値Dを所定の基準値Pと比較する。この結果、評価値Dが基準値Pよりも大きい場合には、スケジューリング判定部13は、無線パケットスケジューリング部14に対して、端末局2a(u)のセミパーシスタントスケジューリングを指示する。
【0051】
一方、評価値Dが基準値P以下である場合には、スケジューリング判定部13は、無線パケットスケジューリング部14に対して、特に何も指示しない。この場合には、無線パケットスケジューリング部14は、端末局2a(u)にG対してダイナミックスケジューリングを行う。
【0052】
無線パケットスケジューリング部14は、セミパーシスタントスケジューリングによって端末局2a(u)に割り当てるリソースブロックとMCSを、事前に決められたVoIPパケットサイズに十分であるように決定する。
【0053】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述した実施形態では、セミパーシスタントスケジューリングを適用するトラヒックとしてVoIPトラヒックのVoIPパケットを対象にしたが、これに限定されない。セミパーシスタントスケジューリングは、周期的に固定的なデータ長のパケットを発生するトラヒックに適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1…基地局、2a…端末局、10…無線リソース割当装置、11…BSR管理部、12…VoIPパケット受信状況管理部、13…スケジューリング判定部、14…無線パケットスケジューリング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的に固定的なデータ長のパケットを発生するトラヒックを送信する端末局に対して上りリンクの無線リソースを割り当てる無線リソース割当装置において、
前記端末局においてあるサブフレームで送信待ちとなっている前記トラヒックのデータの量である送信待ちデータサイズを表す情報を保持する送信待ちデータサイズ管理部と、
基地局が前記端末局から受信した前記トラヒックの受信データ量を保持するトラヒック受信状況管理部と、
前記送信待ちデータサイズ管理部が保持する送信待ちデータサイズの情報と、前記トラヒック受信状況管理部が保持する受信データ量とを用いて、前記端末局に対してセミパーシスタントスケジューリングを行うか否かを判定するスケジューリング判定部と、
前記スケジューリング判定部の判定結果と、前記送信待ちデータサイズ管理部が保持する送信待ちデータサイズの情報とを用いて、前記端末局に対する無線リソース割当を行う無線パケットスケジューリング部と、
を備えたことを特徴とする無線リソース割当装置。
【請求項2】
前記スケジューリング判定部は、前記端末局に係るあるサブフレームの前記送信待ちデータサイズと、前記端末局に係る該サブフレームにおける前記トラヒックの受信データ量とを加算した評価値を算出し、この評価値と基準値を比較し、この比較結果に基づいて前記判定を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線リソース割当装置。
【請求項3】
前記スケジューリング判定部は、
前記端末局に係るあるサブフレーム間の前記送信待ちデータサイズの差と、前記端末局に係る該サブフレーム間の前記トラヒックの受信データ量との和に基づいた評価値を算出し、この評価値と基準値を比較し、この比較結果に基づいて前記判定を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線リソース割当装置。
【請求項4】
周期的に固定的なデータ長のパケットを発生するトラヒックを送信する端末局に対して上りリンクの無線リソースを割り当てる無線リソース割当装置において、
前記端末局においてあるサブフレームで送信待ちとなっている前記トラヒックのデータの量である送信待ちデータサイズを表す情報を保持する送信待ちデータサイズ管理部と、
基地局が前記端末局から受信した前記トラヒックの受信データ量を保持するトラヒック受信状況管理部と、
前記トラヒック受信状況管理部が保持する受信データ量を用いて、前記端末局に係るあるサブフレーム間の前記トラヒックの受信データ量に基づいた評価値を算出し、この評価値と基準値を比較し、この比較結果に基づいて、前記端末局に対してセミパーシスタントスケジューリングを行うか否かを判定するスケジューリング判定部と、
前記スケジューリング判定部の判定結果と、前記送信待ちデータサイズ管理部が保持する送信待ちデータサイズの情報とを用いて、前記端末局に対する無線リソース割当を行う無線パケットスケジューリング部と、
を備えたことを特徴とする無線リソース割当装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の無線リソース割当装置を備え、端末局に対する上りリンクの無線リソース割当を行うことを特徴とする基地局。
【請求項6】
周期的に固定的なデータ長のパケットを発生するトラヒックを送信する端末局に対して上りリンクの無線リソースを割り当てる無線リソース割当方法であって、
前記端末局においてあるサブフレームで送信待ちとなっている前記トラヒックのデータの量である送信待ちデータサイズを表す情報を保持する送信待ちデータサイズ管理ステップと、
基地局が前記端末局から受信した前記トラヒックの受信データ量を保持するトラヒック受信状況管理ステップと、
前記送信待ちデータサイズ管理ステップで保持された送信待ちデータサイズの情報と、前記トラヒック受信状況管理ステップで保持された受信データ量とを用いて、前記端末局に対してセミパーシスタントスケジューリングを行うか否かを判定するスケジューリング判定ステップと、
前記スケジューリング判定ステップの判定結果と、前記送信待ちデータサイズ管理ステップで保持された送信待ちデータサイズの情報とを用いて、前記端末局に対する無線リソース割当を行う無線パケットスケジューリングステップと、
を含むことを特徴とする無線リソース割当方法。
【請求項7】
周期的に固定的なデータ長のパケットを発生するトラヒックを送信する端末局に対して上りリンクの無線リソースを割り当てる無線リソース割当方法であって、
前記端末局においてあるサブフレームで送信待ちとなっている前記トラヒックのデータの量である送信待ちデータサイズを表す情報を保持する送信待ちデータサイズ管理ステップと、
基地局が前記端末局から受信した前記トラヒックの受信データ量を保持するトラヒック受信状況管理ステップと、
前記トラヒック受信状況管理ステップで保持された受信データ量を用いて、前記端末局に係るあるサブフレーム間の前記トラヒックの受信データ量に基づいた評価値を算出し、この評価値と基準値を比較し、この比較結果に基づいて、前記端末局に対してセミパーシスタントスケジューリングを行うか否かを判定するスケジューリング判定ステップと、
前記スケジューリング判定ステップの判定結果と、前記送信待ちデータサイズ管理ステップで保持された送信待ちデータサイズの情報とを用いて、前記端末局に対する無線リソース割当を行う無線パケットスケジューリング部と、
を含むことを特徴とする無線リソース割当方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate