説明

無線基地局および移動局

【課題】家屋や建物の内部等においてもテレビ放送を良好な受信品質で受信できるようにすると共に、通信用リソースの有効利用を図ることができる無線基地局および移動局を提供する。
【解決手段】TVチューナー12〜12は、放送局からTVコンテンツを無線受信すると共に、デジタルテレビ放送のチャンネルを順次選局し、電子番組表の情報を受信して電子番組表を作成する。セルラー帯送信RF部18は、TVチューナー12〜12で受信したTVコンテンツと共に電子番組表の情報をブロードキャスト/マルチキャストで送信する。また、セルラー帯送信RF部18は、複数のTVコンテンツをブロードキャスト/マルチキャストで送信するときは、コンテンツの数に応じてコンテンツへのリソースの割り当てを変更して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロードバンド回線を介して移動体通信システムに接続される超小型の無線基地局と、その無線基地局に収容される移動局に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動体通信用の機器、特に携帯電話端末は急速に普及し、人が住んでるエリアのほとんどで通信が可能となっている。しかしながら、家屋や建物の内部の空間や立地状況が悪い場所では、通常の既存無線基地局(即ち、広域無線基地局)からの電波が届かず圏外となったり、電波が弱く通信が安定しないエリアが存在したりしている。このような圏外となるエリアに対応するものとして、出力電力が小さく、半径数メートル〜数10メートル程度のセル(サービスエリア)を提供する超小型の無線基地局が開発されている。このような超小規模のセル自体、或いは、当該セルを提供する超小型の無線基地局をフェムトセル(Home eNode B)と称する。
【0003】
一方、一般家庭においても、光回線、ADSLなどのブロードバンド回線の常時接続が普及しているため、フェムトセルと移動体通信システムを接続する環境(バックボーン)は整いつつある。さらに、通信事業者としては、フェムトセルおよびブロードバンド回線の利用によって、本来消費されるはずであった通常の既存無線基地局の帯域を使わずに済むというメリットもある。従って、近い将来、フェムトセルの本格的な開発および使用が期待されている。
【0004】
また、従来技術として、基地局制御局にてテレビ放送情報を受信し、受信したテレビ放送情報を、テレビ放送の配信に用いられる伝送フォーマットから移動体通信に用いられる伝送フォーマットに変換して、基地局を経由して携帯電話端末にテレビ放送を送信するシステムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−40531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、現在の携帯電話端末は、テレビ放送を受信するために、テレビ受像装置を内蔵しているものが多いが、家屋や建物の内部等では、テレビ放送局からのテレビ放送の電波も弱く、テレビ放送を良好な受信品質で受信できないことが多い。
また、上述した特許文献1に記載のシステムでは、通信チャネルは、1対1の回線交換もしくはパケット交換の通信をさすものと解釈できる。複数の人が同時に同じ放送コンテンツを受信するときに、ユニキャストで受信する場合には、下りの通信用リソースを重複して消費してしまい、限られた帯域しかない移動体通信のための帯域を圧迫して、他の携帯電話端末に影響を及ぼす可能性がある。
また、多くの人は、視聴するコンテンツを決定する前にザッピングと呼ばれる動作を行う。これは、次々に番組を切り替えて所望の受信番組を選択する行為である。基地局に内蔵されたチューナーを使ってザッピングを行う場合には、上り通信チャネルを使って携帯電話端末から基地局のチューナーに指示を送る必要がある。これは本来、通信に使用する基地局の通信用リソースを、通信に関係のないコンテンツ視聴のために消費してしまう点で問題である。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、家屋や建物の内部等においてもテレビ放送を良好な受信品質で受信できるようにすると共に、通信用リソースの有効利用を図ることができる無線基地局および移動局を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の無線基地局は、放送局からデジタル放送のコンテンツを無線受信する受信部と、前記受信部で受信したデジタル放送のコンテンツをブロードキャストまたはマルチキャストで送信する送信部とを備える移動局用の無線基地局であって、前記受信部が、電子番組表の情報を受信し、前記送信部は、前記デジタル放送のコンテンツと共に前記電子番組表の情報をブロードキャストまたはマルチキャストで送信することを特徴とする。
【0009】
前記受信部は、前記デジタル放送のチャンネルを順次選局して前記電子番組表を作成することが好ましく、前記送信部は、複数のコンテンツをブロードキャストまたはマルチキャストで送信するときは、前記コンテンツの数に応じて前記コンテンツへのリソースの割り当てを変更して送信することが好ましい。
【0010】
また、本発明の移動局は、位置登録した無線基地局からデジタル放送のコンテンツをブロードキャストまたはマルチキャストで受信する第1の受信部と、放送局からデジタル放送のコンテンツを受信する第2の受信部とを備え、前記第2の受信部で受信するデジタル放送のチャンネルの受信品質が悪いときは、受信品質が悪かったチャンネルのコンテンツを前記第1の受信部で受信することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の移動局は、位置登録した無線基地局からデジタル放送のコンテンツをブロードキャストまたはマルチキャストで受信する第1の受信部と、放送局からデジタル放送のコンテンツを受信する第2の受信部とを備え、前記第2の受信部でデジタル放送のコンテンツを受信しているときにチャンネルの選局が行われて、選局されたチャンネルの受信品質が悪いときは、受信品質が悪かったチャンネルのコンテンツを前記第1の受信部で受信することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の移動局は、位置登録した無線基地局からデジタル放送のコンテンツをブロードキャストまたはマルチキャストで受信すると共に電子番組表の情報を受信する受信部と、情報を表示する表示部とを備え、前記受信部で前記デジタル放送のコンテンツを受信しているときにチャンネルの選局する際に、前記受信部を介して受信した前記電子番組表の情報を前記表示部に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、テレビ放送のコンテンツを送信するようにしているので、家屋や建物の内部等においてもテレビ放送を良好な受信品質で受信できるようにすることができるとともに、テレビ放送のコンテンツをマルチキャストチャネルを用いて送信するので、複数のユーザが同時に同じチャンネルを受信する場合において下り周波数リソースを共用することができ、また、電子番組情報を送信するので、ユーザは現在送信されているテレビ放送のコンテンツを知ることができ、ユーザの選択するコンテンツが既にマルチキャストチャネルで送信されている場合には、上り通信チャネルを使って携帯電話端末から基地局チューナーに指示を送る必要がなくなるので、通信用リソースの有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のフェムトセル基地局の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明のフェムトセル基地局から送信される下り信号のスロット割り当て例を示す図である。
【図3】本発明のフェムトセル基地局と携帯電話端末の基本の動作を説明するフローチャートである。
【図4】ユーザがTVチャンネルをザッピングするときのフェムトセル基地局と携帯電話端末の動作を説明するフローチャートである。
【図5】携帯電話端末がフェムトセル基地局のTVチューナーを使用してTVコンテンツを受信中にユーザがザッピングを行うときのフェムトセル基地局と携帯電話端末の動作を説明するフローチャートである。
【図6】本発明のフェムトセル基地局のTVチューナーの動作を説明するフローチャートである。
【図7】携帯電話端末が1台の場合のリソースの分割とTV画像のデータレートの調節を説明するフローチャートである。
【図8】携帯電話端末が2台の場合のリソースの分割とTV画像のデータレートの調節を説明するフローチャートである。
【図9】携帯電話端末が4台以上の場合のリソースの分割とTV画像のデータレートの調節を説明するフローチャートである。
【図10】フェムトセル基地局から送信される電子番組情報に基づいて携帯電話端末で作成される電子番組表の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明のフェムトセル基地局の内部構成の一例を示すブロック図である。なお、本発明をCDMA2000 1xEVDOのBCMCS(Broadcast/Multicast Services)を例に説明するが、本発明は、その他の移動体通信ネットワークのブロードキャスト/マルチキャストの配信サービスを用いることができる。
【0016】
フェムトセル基地局10(無線基地局)は、TVアンテナ11と、デジタルテレビ放送を受信選局するTVチューナー12〜12(受信部)と、TVチューナー12〜12を制御するチューナー制御部13〜13と、マルチキャストチャネルにデジタルテレビ放送コンテンツ(以下、TVコンテンツという)を挿入するマルチプレクサ14と、マルチキャストチャネルの信号の変調を行うマルチキャストチャネルベースバンド部15と、ユニキャストチャネルの信号の変調を行うユニキャストチャネルベースバンド部16と、ユニキャストチャネルの信号の復調を行うユニキャストチャネルベースバンド部17と、携帯電話端末(移動局)と通信するためのセルラー信号を送信するセルラー帯送信RF部18(送信部)と、携帯電話端末と通信するためのセルラー信号を受信するセルラー帯受信RF部19と、セルラー信号の送受信を可能にするデュプレックス(DUP)20と、セルラー帯アンテナ21と、装置全体の制御を行う制御部22と、インターネットなどのブローバンド回線と接続するためのネットワークインターフェース部23とを備えている。
【0017】
TVチューナー12〜12(受信部)は、放送局からTVコンテンツを無線受信すると共に、デジタルテレビ放送のチャンネルを順次選局し、電子番組表の情報を受信して電子番組表を作成する。なお、デジタルテレビ放送は、ワンセグテレビ放送、地上デジタルテレビ放送、BSデジタルテレビ放送等を含むものとする。
セルラー帯送信RF部18(送信部)は、TVチューナー12〜12で受信したTVコンテンツと共に電子番組表の情報をブロードキャスト/マルチキャストで送信する。また、セルラー帯送信RF部18は、複数のTVコンテンツをブロードキャスト/マルチキャストで送信するときは、コンテンツの数に応じてコンテンツへのリソースの割り当てを変更して送信する。
【0018】
図2は、本発明のフェムトセル基地局から送信される下り信号のスロット割り当て例を示す図である。時分割された下りスロットのうち、周期的にあるスロットをマルチキャストチャネルとする。このチャネルに、TVコンテンツを挿入する。フェムトセル基地局10が1つのTVコンテンツを受信している場合には、マルチキャストチャネルを占有して1つのTVコンテンツ(例えば、チューナー1のコンテンツ)を送出する。フェムトセル基地局10が2つのTVコンテンツを受信している場合には、2つのTVコンテンツをマルチプレクスした後にマルチキャストチャネルを使用して2つのTVコンテンツ(例えば、チューナー1、2のコンテンツ)を送出する。フェムトセル基地局10が2以上のTVコンテンツを受信している場合には、TVコンテンツの数に応じてマルチプレクスした後にマルチキャストチャネルを使用してTVコンテンツ(例えば、チューナー1、3、4のコンテンツ)を送出する。
マルチキャストチャネルのリソースの分配については、等分、視聴数の多いチャンネル優先、予め多くの視聴が予測されるコンテンツ優先などいくつかのポリシーを選択することができる。
このようにフェムトセル基地局10は、複数のTVコンテンツを送信する場合には、マルチキャストチャネルのリソースを分配するので不必要にユニキャストチャネルのリソースを消費することがない。
【0019】
図3は、本発明のフェムトセル基地局と携帯電話端末の基本の動作を説明するフローチャートである。携帯電話端末30は、フェムトセル基地局10と無線通信可能な圏内に入ると、フェムトセル基地局10から報知情報メッセージおよび電子番組表の情報を受信し(S101)、フェムトセル基地局10に位置登録メッセージを送信し(S102)、フェムトセル基地局10から位置登録確認メッセージを受信する(S103)。
【0020】
携帯電話端末30は、テレビ放送を受信するためのTVアプリケーションプログラムを起動して、自端末のチューナー(第2の受信部)で、放送局から送信されたワンセグ放送のテレビ視聴を開始し(S104)、自端末のチューナーで受信するTVコンテンツの受信品質が十分な場合(S105でYESの場合)は、そのまま自端末のチューナーでTVコンテンツの受信を開始する(S115)。自端末のチューナーで受信するTVコンテンツの受信品質が不十分な場合(S105でNOの場合)は、携帯電話端末30は、受信品質が不十分なコンテンツを、自端末のセルラー受信部(第1の受信部)から受信することを決定する。即ち、フェムトセル基地局10のTVアプリケーションプログラムを使用してフェムトセル基地局10からTVコンテンツを受信することを決定する(S106)。携帯電話端末30は、フェムトセル基地局10にトラフィックチャネルを要求し、トラフィックチャネルを確立する(S107)。その後、携帯電話端末30は、フェムトセル基地局10のチューナー制御部13に対してTVコンテンツ要求メッセージを送出する(S108)。
【0021】
フェムトセル基地局10のチューナー制御部13は、携帯電話端末30からのTVコンテンツの送出要求に従ってTVチューナー12を所望のチャンネルに設定し(S109)、マルチキャストチャネルを使用してコンテンツの送出を開始する(S110)。携帯電話端末30は、フェムトセル基地局10からTVコンテンツ要求確認メッセージを受信し(S111)、マルチキャストチャネル移行指示メッセージを受信すると(S112)、トラフィックチャネルを開放し(S113)、マルチキャストチャネルに移行し(S114)、TVコンテンツの受信を開始する(S115)。
【0022】
フェムトセル基地局10は、ブロードキャストチャネルやマルチキャストチャネル上でフェムトセル基地局10のTVチューナー12のステータス情報や電子番組情報を流しても良い。電子番組情報は、チャンネル毎に一定時間間隔で送出され、30秒ほど視聴すると最大10番組先の電子番組情報を取得できる。これをフェムトセル基地局10のTVチューナー12で予め取得し、ブロードキャストチャネルやマルチキャストチャネル上で送出しても良い。フェムトセル基地局10のTVチューナー12のステータスと、携帯電話端末30の要求するTVコンテンツ(チャンネル)が一致している場合は、携帯電話端末30は、フェムトセル基地局10にTVコンテンツの送出要求をせず、ただちにマルチキャストチャネルの受信に移行しても良い。
【0023】
図4は、ユーザがTVチャンネルをザッピングするときのフェムトセル基地局と携帯電話端末の動作を説明するフローチャートである。携帯電話端末30は、フェムトセル基地局10と無線通信可能な圏内に入ると、フェムトセル基地局10から報知情報メッセージおよび電子番組表の情報を受信し(S201)、フェムトセル基地局10に位置登録メッセージを送信し(S202)、フェムトセル基地局10から位置登録確認メッセージを受信する(S203)。
【0024】
携帯電話端末30は、テレビ放送を受信するためのTVアプリケーションプログラムを起動して、自端末のチューナー(第2の受信部)で、放送局から送信されたワンセグ放送のテレビ視聴を開始する(S204)。ここで、ユーザによりTVチャンネルのザッピングが行われ、視聴するチャンネルの選択が行われると(S205)、押しボタンやタイマーを監視して、視聴するチャンネルの選択が完了したか否かを判定する(S206)。例えば、ある一定時間、特定のTVチャンネルを視聴しているときなどの場合は、視聴するチャンネルの選択が完了したものと判定する。
【0025】
チャンネルが選択され、選択されたチャンネルのコンテンツの受信品質が十分な場合(S207でYESの場合)は、そのまま自端末のチューナーでTVコンテンツの受信を開始する(S217)。自端末のチューナーで受信するTVコンテンツの受信品質が不十分な場合(S207でNOの場合)は、携帯電話端末30は、選択されたチャンネルのコンテンツを、自端末のセルラー受信部(第1の受信部)から受信することを決定する。即ち、フェムトセル基地局のTVアプリケーションプログラムを使用してフェムトセル基地局からTVコンテンツを受信することを決定する(S208)。携帯電話端末30は、フェムトセル基地局10にトラフィックチャネルを要求し、トラフィックチャネルを確立する(S209)。その後、携帯電話端末30は、フェムトセル基地局10のチューナー制御部13に対してTVコンテンツ要求メッセージを送出する(S210)。
【0026】
フェムトセル基地局10のチューナー制御部13は、携帯電話端末30からのTVコンテンツの送出要求に従ってTVチューナー12を所望のチャンネルに設定し(S211)、マルチキャストチャネルを使用してコンテンツの送出を開始する(S212)。携帯電話端末30は、フェムトセル基地局10からTVコンテンツ要求確認メッセージを受信し(S213)、マルチキャストチャネル移行指示メッセージを受信すると(S214)、トラフィックチャネルを開放し(S215)、マルチキャストチャネルに移行し(S216)、TVコンテンツの受信を開始する(S217)。
【0027】
フェムトセル基地局10は、ブロードキャストチャネルやマルチキャストチャネル上でフェムトセル基地局10のTVチューナー12のステータスや電子番組情報を送信しても良い。電子番組情報は、チャンネル毎に一定時間間隔で送出され、30秒ほど視聴すると最大10番組先の電子番組情報を取得できる。これをフェムトセル基地局10のTVチューナー12で予め取得し、ブロードキャストチャネルやマルチキャストチャネル上で送出しても良い。フェムトセル基地局10のTVチューナー12のステータスと、携帯電話端末30の要求するTVコンテンツ(チャンネル)が一致している場合は、携帯電話端末30は、フェムトセル基地局10にTVコンテンツの送出要求をせず、ただちにマルチキャストチャネルの受信に移行しても良い。
【0028】
図5は、携帯電話端末がフェムトセル基地局のTVチューナーを使用してTVコンテンツを受信中に、ユーザがザッピングを行うとき(CM中などに他のチャンネルのザッピングを行うとき)のフェムトセル基地局と携帯電話端末の動作を説明するフローチャートである。携帯電話端末30のセルラー受信部は、フェムトセル基地局10のTVチューナー12を使用してマルチキャストチャネル経由でTVコンテンツを受信中に(S301)、フェムトセル基地局10から、マルチキャストチャネル経由で自チャンネルおよび他チャンネルの電子番組情報を予め受信しておく(S302)。
【0029】
携帯電話端末30は、マルチキャストチャネル経由でTVコンテンツを受信しているときに、ユーザからチャンネル変更を指示されると(S303)、最初の数秒間は、自端末の、情報を表示する表示部に、電子番組情報に基づいてコンテンツタイトルの表示を行い(S304)、押しボタンやタイマーを監視して、視聴するチャンネル(コンテンツ)の選択が完了したか否かを判定する(S305)。例えば、選択ボタン押し、チャンネルボタンの2度押し、ダブルクリック、一定時間の経過(タイマーのタイムアウト)などの確定の動作が行われた場合、視聴するチャンネルの選択が完了したものと判定する。
【0030】
チャンネル(コンテンツ)の変更でない場合(S306でNOの場合)は、そのまま携帯電話端末30がフェムトセル基地局10のTVチューナー12を使用して、マルチキャストチャネル経由でTVコンテンツを受信する(S315)。チャンネル(コンテンツ)の変更の場合(S306でYESの場合)は、携帯電話端末30は、フェムトセル基地局10にトラフィックチャネルを要求し、トラフィックチャネルを確立する(S307)。その後、携帯電話端末30は、フェムトセル基地局10のチューナー制御部13に対してTVコンテンツ要求メッセージを送出する(S308)。
【0031】
フェムトセル基地局10のチューナー制御部13は、携帯電話端末30からのTVコンテンツの送出要求に従ってTVチューナー12を所望のチャンネルに設定し(S309)、マルチキャストチャネルを使用してコンテンツの送出を開始する(S310)。携帯電話端末30は、フェムトセル基地局10からTVコンテンツ要求確認メッセージを受信し(S311)、マルチキャストチャネル移行指示メッセージを受信すると(S312)、トラフィックチャネルを開放し(S313)、マルチキャストチャネルに移行し(S314)、TVコンテンツの受信を開始する(S315)。
【0032】
図6は、本発明のフェムトセル基地局のTVチューナーの動作を説明するフローチャートである。フェムトセル基地局10のTVチューナー12(以下、チューナー1という)は、テレビ放送波を順次チャンネルを変更しながら受信して電子番組情報を取得し(S401)、電子番組情報を更新する(S402)。更新された電子番組情報は、マルチキャストチャネルにより一定周期で携帯電話端末30に送信される。
【0033】
チューナー1は、携帯電話端末30から放送コンテンツの送出要求があると(S403でYesの場合)、当該コンテンツのチャンネルに変更して(S404)、マルチキャストチャネルで送出するコンテンツの受信を開始する(S405)。コンテンツの受信を開始すると、チューナー1は他のチャンネルの電子番組情報の取得ができなくなるので待機中のチューナー12(以下、チューナー2という)を使用して電子番組情報の取得を開始する(S406)。以後、チューナー2は、チューナー1と同様の処理を行う。
【0034】
図7〜図9は、フェムトセル基地局から送出されるコンテンツが追加される毎にマルチキャストチャネルのリソースを分割し、それに合わせてTV画像のデータレートを調節する処理を説明する図である。
【0035】
図7は、携帯電話端末が1台の場合の処理を説明するフローチャートである。携帯電話端末30は、フェムトセル基地局10と無線通信可能な圏内に入ると、フェムトセル基地局10に位置登録を行い(S501)、TVアプリケーションプログラムを起動(ON)する(S502)。携帯電話端末30が、フェムトセル基地局10にTVチューナーコントロールメッセージを送ると、フェムトセル基地局10はチューナーをONにする(S503)。フェムトセル基地局10は、携帯電話端末30にTVチューナーコントロールメッセージACKを送り(S504)、マルチキャストチャネルにTVパケットを挿入する(S505)。
【0036】
携帯電話端末30が、TVアプリケーションプログラムを終了(OFF)し(S506)、フェムトセル基地局10にTVチューナーコントロールメッセージを送ると、フェムトセル基地局10はチューナーをOFFにする(S507)。フェムトセル基地局10は、携帯電話端末30にTVチューナーコントロールメッセージACKを送り(S508)、マルチキャストチャネルにTVパケットを挿入することを中止する(S509)。
【0037】
図8は、携帯電話端末が2台の場合の処理を説明するフローチャートである。図8では、2台の携帯電話端末30を携帯電話端末A、Bと記す。携帯電話端末A、Bは、フェムトセル基地局10との無線通信が可能な圏内に入ると、フェムトセル基地局10に位置登録を行う(S601)。携帯電話端末Aが、TVアプリケーションプログラムを起動(ON)し(S602)、フェムトセル基地局10にTVチューナーコントロールメッセージを送ると、フェムトセル基地局10はチューナーをONにする(S603)。フェムトセル基地局10は、携帯電話端末AにTVチューナーコントロールメッセージACKを送り(S604)、マルチキャストチャネルにTVパケットを挿入する(S605)。
【0038】
携帯電話端末Bが、TVアプリケーションプログラムを起動(ON)し(S606)、フェムトセル基地局10にTVチューナーコントロールメッセージを送ると、フェムトセル基地局10はチューナーをONにする(S607)。フェムトセル基地局10は、携帯電話端末BにTVチューナーコントロールメッセージACKを送り(S608)、マルチキャストチャネルにヘッダーの異なる2つのTVパケットを挿入し、TV画像のデータレートを各々1/2に下げる(S609)。
【0039】
携帯電話端末Aが、TVアプリケーションプログラムを終了(OFF)し(S610)、携帯電話端末Aからフェムトセル基地局10にTVチューナーコントロールメッセージを送ると、フェムトセル基地局10はチューナーをOFFにする(S611)。フェムトセル基地局10は、携帯電話端末AにTVチューナーコントロールメッセージACKを送り(S612)、マルチキャストチャネルに挿入していた2つのTVパケットのうち携帯電話端末Aから指示のあったTVパケットの挿入を中止し、TV画像のデータレートを2倍に上げる(S613)。
【0040】
携帯電話端末Bが、TVアプリケーションプログラムを終了(OFF)し(S614)、フェムトセル基地局10にTVチューナーコントロールメッセージを送ると、フェムトセル基地局10はチューナーをOFFにする(S615)。フェムトセル基地局10は、携帯電話端末BにTVチューナーコントロールメッセージACKを送り(S616)、マルチキャストチャネルにTVパケットを挿入することを中止する(S617)。
【0041】
図9は、フェムトセル基地局がTVチューナーを4台備え、携帯電話端末が4台以上の場合の処理を説明するフローチャートである。図9では、4台以上の携帯電話端末30を携帯電話端末A、B、C、D・・・と記す。携帯電話端末A、B、C、Dは、フェムトセル基地局10との無線通信が可能な圏内に入ると、フェムトセル基地局10に位置登録を行う(S701)。携帯電話端末Aが、TVアプリケーションプログラムを起動(ON)し(S702)、携帯電話端末Aからフェムトセル基地局10にTVチューナーコントロールメッセージを送ると、フェムトセル基地局10はチューナーをONにする(S703)。フェムトセル基地局10は、携帯電話端末AにTVチューナーコントロールメッセージACKを送り(S704)、マルチキャストチャネルにTVパケットを挿入する(S705)。
【0042】
携帯電話端末Bが、TVアプリケーションプログラムを起動(ON)し(S706)、携帯電話端末Bからフェムトセル基地局10にTVチューナーコントロールメッセージを送ると、フェムトセル基地局10はチューナーをONにする(S707)。フェムトセル基地局10は、携帯電話端末BにTVチューナーコントロールメッセージACKを送り(S708)、マルチキャストチャネルにヘッダーの異なる2つのTVパケットを挿入し、TV画像のデータレートを各々1/2に下げる(S709)。
【0043】
以下、携帯電話端末C、携帯電話端末Dと、TVアプリケーションプログラムを起動(ON)する毎に、フェムトセル基地局10にTVチューナーコントロールメッセージを送ってフェムトセル基地局10のチューナーをONにし、ONにしたチューナーの台数に応じてTV画像のデータレートを1/3、1/4に下げる(S710)。
【0044】
さらに、携帯電話端末Eが、フェムトセル基地局10に内蔵しているチューナーの数以上にTVアプリケーションプログラムを起動(ON)し(S711)、フェムトセル基地局10にTVチューナーコントロールメッセージを送ると(S712)、フェムトセル基地局10は、携帯電話端末EにTVチューナーコントロール拒否メッセージを送る(S713)。
【0045】
携帯電話端末Eは、TVチューナーコントロール拒否メッセージを受けると、TVアプリケーションプログラムを中止し、もしくは自端末に内蔵されたチューナーにて画像の再生を開始する(S714)。
【0046】
携帯電話端末A〜Dのうちの1つの携帯電話端末xが、TVアプリケーションプログラムを終了(OFF)し(S715)、その携帯電話端末xからフェムトセル基地局10にTVチューナーコントロールメッセージを送ると、フェムトセル基地局10は対応するチューナーをOFFにする(S716)。フェムトセル基地局10は、携帯電話端末xにTVチューナーコントロールメッセージACKを送り(S717)、マルチキャストチャネルに挿入していたTVパケットのうち指示のあった携帯電話端末x向けのTVパケットの挿入を中止し、TV画像のデータレートを、同時に送信しているコンテンツ(TVチャンネル)の数に応じて決定する(S718)。
【0047】
図10は、フェムトセル基地局から送信される電子番組情報に基づいて携帯電話端末で作成される電子番組表の一例を示す図である。電子番組表には、携帯電話端末30で受信できるテレビ放送のコンテンツ、および現時点でフェムトセル基地局10のチューナー12で受信し、マルチキャストチャネルで送信しているコンテンツを表示する。図10に示す例では、携帯電話端末30が、フェムトセル基地局10から、4つの放送局A、B、C、Dのテレビ放送を受信でき、そのうち、フェムトセル基地局10から、現時点で、放送局Bのスポーツ中継「Aチーム対Bチーム」のコンテンツと、放送局Dのアニメ「XXX」のコンテンツが送信されていることを示している。現時点で送信しているコンテンツは、コンテンツ名を色違いまたは濃淡の違いで表示するのが好ましい。また、コンテンツ名の色違いまたは濃淡の違いで、フェムトセル基地局10からで送信しているコンテンツのTV画像のデータレートを表すようにしても良い。
【0048】
上述のように本発明のフェムトセル基地局は、デジタルテレビ放送のコンテンツを無線受信する受信部と、受信部で受信したデジタルテレビ放送のコンテンツを送信する送信部を備えて、テレビ放送のコンテンツを送信するようにしているので、家屋や建物の内部等においてもテレビ放送を良好な受信品質で受信できるようにすることができる。
【0049】
また、本発明のフェムトセル基地局は、テレビ放送のコンテンツをブロードキャストまたはマルチキャストチャネルを用いて送信するので、複数のユーザが同時に同じチャンネルを受信する場合において下り周波数リソースを共用することができ、また、テレビ放送のコンテンツと共に電子番組情報を送信するので、ユーザは現在送信されているテレビ放送のコンテンツを知ることができ、ユーザの選択するコンテンツが既にブロードキャストまたはマルチキャストチャネルで送信されている場合には、上り通信チャネルを使って携帯電話端末から基地局チューナーに指示を送る必要がなくなるので、通信用リソースの有効利用を図ることができる。
【0050】
また、本発明のフェムトセル基地局は、複数のTVコンテンツをブロードキャストまたはマルチキャストチャネルで送信する場合には、TVコンテンツの数に応じてTVコンテンツへのリソースの割り当てを変更して送信するので不必要にユニキャストチャネルのリソースを消費することがない。
【0051】
また、フェムトセル基地局が、地上デジタルテレビ放送のチューナーだけでなく、衛星放送(BSデジタルテレビ放送、CSデジタルテレビ放送)のチューナーや、インターネット放送局のコンテンツ再生装置をも組み込むことで、携帯電話端末は、携帯電話端末のチューナーを使うよりも多くのコンテンツを受信可能となる。
【0052】
また、本発明の携帯電話端末は、位置登録したフェムトセル基地局からデジタル放送のコンテンツをブロードキャストまたはマルチキャストで受信するセルラー受信部(第1の受信部)と、放送局からデジタル放送のコンテンツを受信するチューナー(第2の受信部)とを備え、チューナーで受信するデジタル放送のチャンネルの受信品質が悪いときは、受信品質が悪かったチャンネルのコンテンツをセルラー受信部で受信し、または、チューナーでデジタル放送のコンテンツを受信しているときにチャンネルの選局が行われて、選局されたチャンネルの受信品質が悪いときは、受信品質が悪かったチャンネルのコンテンツをセルラー受信部で受信するので、テレビ放送を良好な受信品質で受信することが可能となる。
【0053】
また、本発明の携帯電話端末は、位置登録したフェムトセル基地局からデジタル放送のコンテンツをブロードキャストまたはマルチキャストで受信すると共に電子番組表の情報を受信するセルラー受信部と、情報を表示する表示部とを備え、セルラー受信部でデジタル放送のコンテンツを受信しているときにチャンネルの選局する際に、セルラー受信部を介して受信した電子番組表の情報を表示部に表示するので、ユーザは現在送信されているテレビ放送のコンテンツを知ることができ、ユーザが選局しようとするコンテンツが既にブロードキャストまたはマルチキャストチャネルで送信されている場合には、フェムトセル基地局にTVコンテンツの送出要求をせず、ただちにコンテンツの受信に移行することができる。
【符号の説明】
【0054】
10 フェムトセル基地局
11 TVアンテナ
12,12〜12 TVチューナー
13〜13 チューナー制御部
14 マルチプレクサ
15 マルチキャストチャネルベースバンド部
16,17 ユニキャストチャネルベースバンド部
18 セルラー帯送信RF部
19 セルラー帯受信RF部
20 デュプレックス
21 セルラー帯アンテナ
22 制御部
23 ネットワークインターフェース部
30 携帯電話端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送局からデジタル放送のコンテンツを無線受信する受信部と、前記受信部で受信したデジタル放送のコンテンツをブロードキャストまたはマルチキャストで送信する送信部とを備える移動局用の無線基地局であって、
前記受信部は、電子番組表の情報を受信し、前記送信部は、前記デジタル放送のコンテンツと共に前記電子番組表の情報をブロードキャストまたはマルチキャストで送信することを特徴とする無線基地局。
【請求項2】
前記受信部は、前記デジタル放送のチャンネルを順次選局して前記電子番組表を作成することを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【請求項3】
前記送信部は、複数のコンテンツをブロードキャストまたはマルチキャストで送信するときは、前記コンテンツの数に応じて前記コンテンツへのリソースの割り当てを変更して送信することを特徴とする請求項1または2に記載の無線基地局。
【請求項4】
位置登録した無線基地局からデジタル放送のコンテンツをブロードキャストまたはマルチキャストで受信する第1の受信部と、
放送局からデジタル放送のコンテンツを受信する第2の受信部とを備え、
前記第2の受信部で受信するデジタル放送のチャンネルの受信品質が悪いときは、受信品質が悪かったチャンネルのコンテンツを前記第1の受信部で受信することを特徴とする移動局。
【請求項5】
位置登録した無線基地局からデジタル放送のコンテンツをブロードキャストまたはマルチキャストで受信する第1の受信部と、
放送局からデジタル放送のコンテンツを受信する第2の受信部とを備え、
前記第2の受信部でデジタル放送のコンテンツを受信しているときにチャンネルの選局が行われて、選局されたチャンネルの受信品質が悪いときは、受信品質が悪かったチャンネルのコンテンツを前記第1の受信部で受信することを特徴とする移動局。
【請求項6】
位置登録した無線基地局からデジタル放送のコンテンツをブロードキャストまたはマルチキャストで受信すると共に電子番組表の情報を受信する受信部と、
情報を表示する表示部とを備え、
前記受信部で前記デジタル放送のコンテンツを受信しているときにチャンネルの選局する際に、前記受信部を介して受信した前記電子番組表の情報を前記表示部に表示することを特徴とする移動局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−38513(P2013−38513A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171283(P2011−171283)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】