説明

無線測位方法

受信ノードで送信ノードとの距離を求めて位置を測位する方法であって、送信ノードから測位信号を受信して遅延タブを測定し、遅延タブを用いて受信ノードと送信ノードとの間の距離を臨時に決定し、基準距離と比較した後、伝播遅延を用いた距離推定方法および遅延拡散を用いた距離推定方法のいずれか1つを選択して最終距離を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線測位方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線測位(location measurement)は、無線通信を用いて位置、速度またはその他事物の特徴に関する情報を取得する技術であって、衛星を利用するGPS(Global Positioning Systemy)方式や、GPS方式に他の技術を結合したハイブリッド方式により測位精度を向上させることができる。しかし、GPS方式は、精度が高い技術であるにもかかわらず、衛星において直線可視経路(Line Of Sight、LOS)に位置しない領域、特に、室内ではGPS信号を受信できないことがある。地上で信号を再送しても、信号干渉、遠近問題(near−far problem)、同期問題などが発生することがある。しかも、GPS受信機を装着したノードしかその信号を受信することができない。このようなGPS方式の限界を解決するために、多様な無線測位方法が研究されている。
【0003】
無線測位方法には、受信角度を用いるAOA(Angle Of Arrival)方法、受信信号強度を用いるRSSI(Received Signal Strength Indicator)方法、伝播の到達時刻を用いるTOA(Time Of Arrival)方法、伝播の到達時間差を用いるTDOA(Time Difference Of Arrival)方法、伝播の遅延拡散を用いるDSOA(Delay Spread Of Arrival)方法などがある。このうち、TOAおよびTDOA方法は、伝播遅延(propagation delay)を用いた方法で、DSOA方法は、遅延拡散(delay spread)を用いた方法であって、距離を推定するのに多く用いられる。しかし、TOAおよびTDOA方法は、送受信ノードが遠く位置する場合、受信した信号の強度が弱く、チャネルフェージングが加えられ、正確な距離を推定するのに限界があった。DSOA方法は、送受信ノードが近く位置する場合、拡散がわずかで分解能(resolution)の限界がある受信ノードで正確な距離を推定しにくいことがあった。したがって、送受信ノード間の距離が近ければ、伝播遅延を用いたTOAおよびTDOA方法の方が測位精度が高く、送受信ノード間の距離が遠ければ、DSOA方法の方が測位精度が高いことがある。したがって、1つの測位方法のみを用いる場合には、距離に応じて測位精度が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−345273号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、測位精度を向上させることができる無線測位方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態にかかる、受信ノードで前記受信ノードと送信ノードとの間の距離を求め、前記受信ノードおよび前記送信ノードのいずれか1つの位置を測位する方法であって、前記送信ノードから測位信号を受信するステップと、前記測位信号に基づいて遅延タブを測定するステップと、前記遅延タブを用いて前記受信ノードと前記送信ノードとの間の距離を臨時に決定するステップと、臨時に決定した距離と基準距離とを比較するステップと、前記比較結果に応じて、伝播遅延を用いた距離推定方法および遅延拡散を用いた距離推定方法のいずれか1つを選択するステップと、前記選択した推定方法により前記受信ノードと前記送信ノードとの間の最終距離を推定するステップとを含む。
【0007】
前記臨時に決定するステップは、到達時刻方法、到達時刻差方法、到達遅延拡散方法のいずれか1つを用いて前記距離を臨時に決定するステップを含むことができる。
【0008】
前記選択するステップは、前記臨時に決定した距離が前記基準距離以下であれば、前記伝播遅延を用いた距離推定方法を選択するステップと、前記臨時に決定した距離が前記基準距離より長ければ、前記遅延拡散を用いた距離推定方法を選択するステップとを含むことができる。
【0009】
前記最終距離を推定するステップは、前記遅延タブを用いて前記最終距離を推定するステップを含むことができる。
【0010】
前記方法は、前記最終距離を用いて前記受信ノードおよび前記送信ノードのいずれか1つの位置を決定するステップをさらに含むことができる。
【0011】
前記位置を決定するステップは、三角測量に基づく方法を用いて前記位置を決定するステップを含むことができる。
【0012】
本発明の他の実施形態にかかる、受信ノードで前記受信ノードと送信ノードとの間の距離を求め、前記受信ノードおよび前記送信ノードのいずれか1つの位置を測位する方法であって、前記送信ノードから測位信号を受信するステップと、前記測位信号に基づいて遅延タブを測定するステップと、前記遅延タブを用いて前記受信ノードと前記送信ノードとの間の複数の距離を推定するステップと、前記複数の距離の分布に基づいて前記受信ノードと前記送信ノードとの間の最終距離を推定するステップとを含む。
【0013】
前記複数の距離は、伝播遅延を用いて推定した少なくとも1つの距離と、遅延拡散を用いて推定した少なくとも1つの距離とを含むことができる。
【0014】
前記伝播遅延を用いた推定距離は、前記遅延タブのうち、所定タブの遅延時刻を用いて推定した距離を含むことができる。
【0015】
前記最終距離を推定するステップは、前記複数の距離の平均を前記最終距離として推定するステップを含むことができる。
【0016】
前記平均は、前記複数の距離それぞれに設定された加重値を考慮した加重平均であり得る。
【0017】
前記最終距離を推定するステップは、前記複数の距離間の差に基づいて前記最終距離を推定するステップを含むことができる。
【0018】
前記最終距離を推定するステップは、前記複数の距離間の最大距離差と第1基準値とを比較するステップと、前記最大距離差が前記第1基準値以下の場合に、前記複数の距離を用いて前記最終距離を推定するステップと、前記受信ノードの位置を測位する場合に、前記最大距離差が前記第1基準値より大きければ、前記送信ノードを前記測位から除外するステップとを含むことができる。
【0019】
前記最終距離を推定するステップは、前記複数の距離間の最大距離差と第1基準値とを比較するステップと、前記最大距離差が前記第1基準値以下の場合に、前記複数の距離を用いて前記最終距離を推定するステップと、前記最大距離差が前記第1基準値より大きい場合、前記複数の距離のうち、距離の差が前記第1基準値より小さい第2基準値以下に該当する2以上の距離が存在するかを判断するステップと、前記2以上の距離が存在する場合、前記2以上の距離を用いて前記最終距離を推定するステップと、前記受信ノードの位置を測位する場合に、前記2以上の距離が存在しなければ、前記送信ノードを前記測位から除外するステップとを含むことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施形態によれば、送受信ノード間の距離にかかわらず、測位精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態にかかる無線測位方法を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる遅延タブを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる無線測位方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施形態にかかる無線測位方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態にかかる無線測位方法を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態にかかる無線測位方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施形態にかかる無線測位方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付した図面を参考にして、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は、種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたり、類似の部分については類似の図面符号を付した。
【0023】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態にかかる無線測位方法について詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態にかかる無線測位方法を示す図である。
【0026】
図1を参照すれば、測位対象ノード100の位置は、測位対象ノード100と複数の参照ノード(reference node)との間の距離を用いて決定される。複数の参照ノード200〜400をそれぞれ中心とし、参照ノード200〜400と測位対象ノード100との間の距離を半径とする複数の円を描く時、複数の円が重なる位置が測位対象ノード100の位置として決定できる。複数の円が重なる位置は、測位対象ノード100と各参照ノード200〜400との間の距離を知っていれば、三角測量に基づく最小二乗法などのアルゴリズムを用いて求めることができる。この時、測位対象ノード100と各参照ノード200〜400との間の距離は、アップリンク測位またはダウンリンク測位で求めることができる。アップリンク測位は、測位対象ノード100が測位信号を送信する送信ノード、参照ノード200〜400が測位信号を受信する受信ノードの測位方法であり、ダウンリンク測位は、参照ノード200〜400が測位信号を送信する送信ノード、測位対象ノード100が測位信号を受信する受信ノードの測位方法である。以下、本発明では、測位対象ノード100が受信ノードのダウンリンク測位を中心に説明するが、アップリンク測位にも適用可能である。次に、測位対象ノード100と各参照ノード200〜400との間の距離を求める方法について説明する。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態にかかる遅延タブを示す図である。
【0028】
図2を参照すれば、測位対象ノード(図1の100)で測位信号を受信して伝播の遅延タブ(delay tab)を求める。遅延タブの横軸は、伝播の到達時刻で、伝播の遅延時刻を示し、縦軸は、信号の強度を示す。測位対象ノード100は、このような遅延タブの分布により、最初の遅延タブ11と、信号の強度が最大の最大遅延タブ12とを含む遅延タブの遅延時刻を知ることができ、さらに、遅延が拡散した程度である遅延拡散値を求めることができる。遅延タブにより求めた遅延時刻または遅延拡散値は距離に比例するため、これを用いて送受信ノード間の距離を推定することができる。
【0029】
遅延時刻を用いた距離の推定は、伝播遅延特性を利用した方法であって、到達時刻(Time Of Arrival、TOA)方法または到達時刻差(Time Difference of Arrival、TDOA)方法で求めることができる。この時、遅延タブでどのタブの到達時刻を基準として距離を推定するかによって測位精度が変化し得る。仮に、参照ノード(例えば、図1の200)からの最初の遅延タブの信号強度が最大であれば、測位対象ノード100と当該参照ノード200とが直線可視経路に位置する場合であるため、最初の遅延タブの到達時刻を用いて距離を推定すればよい。しかし、伝播の反射または回折などにより、図2のように最初の遅延タブ11の大きさが最大でない遅延タブの分布を示すことができる。この場合、直線可視経路にない測位対象ノード100と参照ノード200との間の距離推定のためにどの遅延タブを選択するかが重要である。この時、遅延タブの最初の遅延タブ11の遅延時刻、信号の強度が最大の最大遅延タブ12の遅延時刻、または閾値(threshold)を超える遅延タブのうち、最も先に到達したタブの遅延時刻などを用いて距離を推定することができる。あるいは、統計的な計算方法、例えば、遅延時刻の平均を用いて距離を求めることができる。
【0030】
遅延拡散を用いた距離の推定は、到達遅延拡散(Delay Spread Of Arival、DSOA)方法で求めることができる。遅延拡散値は、最小遅延時刻と最大遅延時刻との差により求めるか、閾値以上の遅延タブのうち、最小遅延時刻と最大遅延時刻との差により求めることができる。あるいは、統計的な計算方法、例えば、各遅延タブの遅延時刻の二乗平均平方根(Root Mean Square、RMS)または各遅延タブの遅延時刻の標準偏差を反映して遅延拡散値を求めることができる。
【0031】
このように、遅延タブの伝播遅延または遅延拡散情報を用いて距離を求めることができるが、各方法は、距離に応じて精度が変化するため、いずれか1つの方法で距離を推定すると、測位精度が低下することがある。したがって、以下、距離に応じて選択的に伝播遅延および遅延拡散を用いた距離推定方法を使用するか、複合的に2つの方法を使用して誤差を低減する測位方法について説明する。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態にかかる無線測位方法を示すフローチャートである。
【0033】
図3を参照すれば、ダウンリンク測位の場合、測位対象ノード(図1の100)が参照ノード(例えば、図1の200)から測位信号を受信して遅延タブを測定する(S310)。
【0034】
測位対象ノード100は、遅延タブを用いて距離を推定し、推定した距離を臨時推定距離として決定する(S320)。臨時推定距離は、伝播遅延を用いた推定方法および遅延拡散を用いた推定方法を選択するための情報として利用される。この臨時推定距離は、遅延タブを用いた多様な方法で決定可能であり、多様な方法は、TOA、TDOA、DSOA方法のいずれか1つの方法であり得る。
【0035】
測位対象ノード100は、臨時推定距離と基準距離とを比較する(S330)。基準距離は、伝播遅延を用いた推定方法および遅延拡散を用いた推定方法を使用する時、距離に応じて発生する誤差を考慮して決定することができる。
【0036】
臨時推定距離と基準距離とを比較した結果、臨時推定距離が基準距離以下であれば、測位対象ノード100は、伝播遅延を用いた推定方法で最終距離を推定する(S340)。臨時推定距離が基準距離より長ければ、測位対象ノード100は、遅延拡散を用いた推定方法で最終距離を推定する(S350)。測位対象ノード100は、伝播遅延または遅延拡散を用いて最終距離を推定する時、遅延タブを用いることができる。特に、伝播遅延を用いる場合、TOAまたはTDOA方法で求めることができ、遅延拡散を用いる場合、DSOA方法で求めることができる。
【0037】
位置を決定するためには、複数の参照ノードとの距離情報が必要になるため、測位対象ノード100は、1つ以上の他の参照ノード(図1の300、400)との距離を推定し、測位対象ノード100の位置を計算する(S360)。位置を計算する方法は多様であり、例えば、三角測量に基づく方法を用いて求めることができる。
【0038】
図4〜図7は、本発明の他の実施形態にかかる無線測位方法を示すフローチャートおよび図である。
【0039】
図4を参照すれば、測位対象ノード(図1の100)が参照ノード(例えば、図1の200)から測位信号を受信して遅延タブを測定する(S410)。
【0040】
測位対象ノード100は、遅延タブを用いて複数の距離を推定する(S420)。各推定距離は、伝播遅延を用いた推定方法および遅延拡散を用いた推定方法のいずれか1つの方法を用いて求めることができ、複数の推定距離は、それぞれ異なる情報を用いて求める。例えば、複数の推定距離は、最初の遅延タブの遅延時刻で推定した距離、最大信号強度を示す遅延タブの遅延時刻で推定した距離、そして、遅延拡散値を用いて推定した距離であり得る。
【0041】
測位対象ノード100は、複数の推定距離の分布を考慮して最終距離を推定する(S430)。最終距離は、統計的な計算方法、例えば、複数の推定距離の平均または各距離の加重値を考慮した加重平均により決定することができる。この時、複数の推定距離間の差が大きい場合、統計的な計算方法を用いて補正しても誤差が大きくなり得るため、誤差を低減するための方法を以下に説明する。
【0042】
図5を参照すれば、遅延タブを用いて測位対象ノード(図1の100)と参照ノード(例えば、図1の200)との間の複数の推定距離、例えば、3つの推定距離R1〜R3を求める。そして、測位対象ノード100と参照ノード200との間の最終距離を決定する時、複数の推定距離間の距離の差を考慮する。複数の推定距離R1〜R3が類似して分布している場合、複数の推定距離R1〜R3をすべて用いて距離を推定すれば測位精度を向上できるのに対し、複数の推定距離R1〜R3間の差が大きい場合、複数の推定距離R1〜R3を用いれば測位精度が低下し得るからである。
【0043】
測位対象ノード100は、複数の推定距離R1〜R3間の最大距離差が基準値以下であれば、複数の推定距離R1〜R3をすべて考慮して最終距離を推定する。しかし、最大距離差が基準値を超えると、これは、複数の推定距離R1〜R3間の誤差が大きいため、参照ノード200を測位から除外することができる。あるいは、最大距離差が基準値を超えても、複数の推定距離R1〜R3で類似の分布を示す推定距離R2、R3のみを最終距離を求めるのに使用することができる。類似の分布であるかの判断は、前述した基準値とは異なる基準値を設定して行うことができ、推定距離R2、R3間の距離が他の基準値以下の場合に、当該推定距離R2、R3を類似の分布を示す推定距離と判断することができる。
【0044】
図6を参照すれば、測位対象ノード(図1の100)が参照ノード(例えば、図1の200)から測位信号を受信して遅延タブを測定する(S610)。
【0045】
測位対象ノード100は、遅延タブを用いて複数の距離(例えば、図5のR1〜R3)を推定する(S620)。各推定距離は、伝播遅延を用いた推定方法および遅延拡散を用いた推定方法のいずれか1つの方法を使用して求めることができる。
【0046】
測位対象ノード100は、複数の推定距離R1〜R3間の最大距離差と基準値とを比較する(S630)。
【0047】
測位対象ノード100は、最大距離差が基準値以下の場合に、複数の推定距離R1〜R3を用いて最終距離を推定する(S640)。最終距離は、複数の推定距離R1〜R3を用いた統計的な計算方法で求めることができ、例えば、複数の推定距離の平均または各距離に加重値を考慮した加重平均により求めることができる。
【0048】
測位対象ノード100は、最大距離差が基準値より大きい場合に、参照ノード200を測位から除外する(S650)。最大距離差が基準値より大きい参照ノードを測位に用いると、測位に誤差が発生し得るからである。
【0049】
この方法により他の参照ノード(図1の300、400)との距離も推定し、測位対象ノードの位置を計算する(S660)。この時、最大距離差が基準値を超える場合、参照ノード200を無条件に測位から除外すると、測位に必要な参照ノードの個数を確保できないことがある。この場合、複数の推定距離R1〜R3間の最大距離差が基準値を超える参照ノード200を除外する代わりに、複数の推定距離R1〜R3のうち、類似の分布を示す推定距離のみを選択して測位に用いることができる。
【0050】
図7を参照すれば、複数の推定距離の分布を考慮して最終距離を推定する方法として、測位対象ノード(図1の100)は、参照ノード(例えば、図1の200)との複数の推定距離(例えば、図5のR1〜R3)を求め(S710)、複数の推定距離R1〜R3の最大距離差と基準値とを比較する(S720)。
【0051】
測位対象ノード100は、最大距離差が基準値以下の場合に、複数の推定距離R1〜R3を用いて最終距離を推定する(S730)。
【0052】
測位対象ノード100は、最大距離差が基準値より大きい場合、最大距離差と比較した基準値とは異なる基準値を設定し、他の基準値より小さい2以上の推定距離が存在するかを判断する(S740)。
【0053】
測位対象ノード100は、2以上の推定距離が存在する場合、当該推定距離を用いて最終距離を推定する(S750)。
【0054】
測位対象ノード100は、2以上の推定距離が存在しない場合、参照ノード200を測位から除外する(S760)。
【0055】
この方法により複数の参照ノード(図1の300、400)との最終距離を推定し、測位対象ノード100の位置を計算する(S770)。
【0056】
以上、図7では、複数の距離間の差を比較する基準値として2つの値を設定したが、推定した複数の距離の個数を考慮して基準値の個数を増やすことで、距離の差と基準値とを段階的に比較することができる。
【0057】
このように、測位対象ノード100が測位信号を受信して参照ノード200〜400との距離を計算するダウンリンク測位として説明したが、2つのノード間の距離を求める方法は、アップリンク測位にも適用可能である。そして、測位対象ノード100で遅延タブを測定し、これを用いて距離を求める方法を説明したが、測位対象ノード100は、直接自身の位置を計算する代わりに、参照ノード200〜400から測位に必要な情報を収集し、他の装置、例えば、測位サーバ(図示せず)または参照ノード200〜400に伝送し、他の装置で自身の位置を計算するようにしてもよい。
【0058】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、下記の請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信ノードで前記受信ノードと送信ノードとの間の距離を求め、前記受信ノードおよび前記送信ノードのいずれか1つの位置を測位する方法であって、
前記送信ノードから測位信号を受信するステップと、
前記測位信号に基づいて遅延タブを測定するステップと、
前記遅延タブを用いて前記受信ノードと前記送信ノードとの間の距離を臨時に決定するステップと、
前記臨時に決定した距離と基準距離とを比較するステップと、
前記比較結果に応じて、伝播遅延を用いた距離推定方法および遅延拡散を用いた距離推定方法のいずれか1つを選択するステップと、
前記選択した推定方法により前記受信ノードと前記送信ノードとの間の最終距離を推定するステップとを含むことを特徴とする無線測位方法。
【請求項2】
前記臨時に決定するステップは、
到達時刻方法、到達時刻差方法、到達遅延拡散方法のいずれか1つを用いて前記距離を臨時に決定するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の無線測位方法。
【請求項3】
前記選択するステップは、
前記臨時に決定した距離が前記基準距離以下であれば、前記伝播遅延を用いた距離推定方法を選択するステップと、
前記臨時に決定した距離が前記基準距離より長ければ、前記遅延拡散を用いた距離推定方法を選択するステップとを含むことを特徴とする請求項1に記載の無線測位方法。
【請求項4】
前記最終距離を推定するステップは、
前記遅延タブを用いて前記最終距離を推定するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の無線測位方法。
【請求項5】
前記最終距離を用いて前記受信ノードおよび前記送信ノードのいずれか1つの位置を決定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の無線測位方法。
【請求項6】
前記位置を決定するステップは、三角測量に基づく方法を用いて前記位置を決定するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の無線測位方法。
【請求項7】
受信ノードで前記受信ノードと送信ノードとの間の距離を求め、前記受信ノードおよび前記送信ノードのいずれか1つの位置を測位する方法であって、
前記送信ノードから測位信号を受信するステップと、
前記測位信号に基づいて遅延タブを測定するステップと、
前記遅延タブを用いて前記受信ノードと前記送信ノードとの間の複数の距離を推定するステップと、
前記複数の距離の分布に基づいて前記受信ノードと前記送信ノードとの間の最終距離を推定するステップとを含むことを特徴とする無線測位方法。
【請求項8】
前記複数の距離は、
伝播遅延を用いて推定した少なくとも1つの距離と、遅延拡散を用いて推定した少なくとも1つの距離とを含むことを特徴とする請求項7に記載の無線測位方法。
【請求項9】
前記伝播遅延を用いた推定距離は、
前記遅延タブのうち、所定タブの遅延時刻を用いて推定した距離を含むことを特徴とする請求項8に記載の無線測位方法。
【請求項10】
前記最終距離を推定するステップは、
前記複数の距離の平均を前記最終距離として推定するステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の無線測位方法。
【請求項11】
前記平均は、前記複数の距離それぞれに設定された加重値を考慮した加重平均であることを特徴とする請求項10に記載の無線測位方法。
【請求項12】
前記最終距離を推定するステップは、
前記複数の距離間の差に基づいて前記最終距離を推定するステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の無線測位方法。
【請求項13】
前記最終距離を推定するステップは、
前記複数の距離間の最大距離差と第1基準値とを比較するステップと、
前記最大距離差が前記第1基準値以下の場合に、前記複数の距離を用いて前記最終距離を推定するステップと、
前記受信ノードの位置を測位する場合に、前記最大距離差が前記第1基準値より大きければ、前記送信ノードを前記測位から除外するステップとを含むことを特徴とする請求項12に記載の無線測位方法。
【請求項14】
前記最終距離を推定するステップは、
前記複数の距離間の最大距離差と第1基準値とを比較するステップと、
前記最大距離差が前記第1基準値以下の場合に、前記複数の距離を用いて前記最終距離を推定するステップと、
前記最大距離差が前記第1基準値より大きい場合、前記複数の距離のうち、距離の差が第2基準値以下に該当する2以上の距離が存在するかを判断するステップと、
前記2以上の距離が存在する場合、前記2以上の距離を用いて前記最終距離を推定するステップと、
前記受信ノードの位置を測位する場合に、前記2以上の距離が存在しなければ、前記送信ノードを前記測位から除外するステップとを含むことを特徴とする請求項12に記載の無線測位方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−506144(P2013−506144A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532009(P2012−532009)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/KR2010/006636
【国際公開番号】WO2011/040756
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(596099882)エレクトロニクス アンド テレコミュニケーションズ リサーチ インスチチュート (179)
【氏名又は名称原語表記】ELECTRONICS AND TELECOMMUNICATIONS RESEARCH INSTITUTE
【出願人】(509011813)インダストリー−アカデミック コーオペレーション ファンデーション,ヨンナム ユニバーシティー (2)
【Fターム(参考)】