説明

無線装置およびそれにおいてコンピュータに実行させるためのプログラム

【課題】簡易な方法によって無線通信の状態を判定できる無線装置を提供する。
【解決手段】無線装置10の演算手段51は、周波数チャネルの中心周波数における無線信号の受信強度を記憶装置33から読み出し、周波数チャネルの中心周波数における無線信号に含まれる通信内容を記憶装置42から読み出す。そして、演算手段51は、無線信号に含まれる通信内容に含まれる受信時刻およびフレームサイズに基づいて信号送信の有無を示す矩形関数を演算する。その後、演算手段51は、受信強度と矩形関数との相関関数を演算する。検出手段52は、相関関数の鋭いピークが得られるときの時刻差を相対時刻差として検出する。判定手段53は、相対時刻差だけ受信強度および矩形関数のいずれか一方をシフトして受信強度と矩形関数とを重ね合わせ、その重ね合わせの結果に基づいて無線通信の状態を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信の状態を判定する無線装置およびそれにおいてコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
IEEE802.11規格に基づく無線LAN(Local Area Network)システムは、ノート型PC(Personal Computer)、携帯端末、携帯電話およびデジタルカメラ等の数多くの電子機器に搭載され、家庭、オフィスおよびホットスポット等、広範囲な場面での一般的な用途に広く普及している。
【0003】
しかし、無線LANシステムが様々なアプリケーションに利用されるようになるに従って、無線LANシステムの安定性の確保が、益々、重要になってきている。無線LANシステムの運用の安全性の確保および安全性の維持を行なうためには、無線LANシステムの構築前および運用時の通信環境の調査および通信状態の測定・解析が肝要である。
【0004】
また、既存システムの運用に止まらず、ISM(Industrial Scientific Medical)帯における周波数の利用効率の改善に向けた新たな無線通信システムの開発、設計および当該システムの性能評価条件を確立する上で、実環境における既存の無線通信システムの挙動を把握することは重要である(非特許文献1)。
【0005】
実環境における無線LANの通信状態を調べる方法として、大きく2つの方法がある。1つ目の方法は、市販のPC用無線LANアダプタに搭載されているモニターモードを利用する方法である。有線LANでの通信状態を調べる際には、tcpdump(非特許文献2)およびwireshark(非特許文献3)等のネットワーク調査ツールを用いてネットワークに流れるパケットの情報を取得する手法が用いられており、この手法は、無線LANにも適用可能である。即ち、適切な無線LANアダプタ・デバイスドライバを用意することによって、無線LANインターフェースのモニターモードが利用可能となり、無線LANのMAC(Media Access Control)フレームに含まれる詳細な情報を得ることができる。この方法は、測定系の構成機材が安価に入手可能であり、手間も掛らずに上位層を含めた多くの情報を得ることが可能である。
【0006】
2つ目の方法は、リアルタイムスペアナおよびデータロガーを用い、無線RF信号を充分に高速なサンプリングレートで測定および記録し、解析を行なう方法である。この方法ならば、一旦、サンプリングデータを取得しておけば、当該データに対して適切な後処理を行なうことによって、通信に関する様々な情報を取得可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】太郎丸真、矢野一人、塚本悟司、上羽正純,“ISMバンドにおける高効率周波数共用に向けたダイナミックスペクトラムアクセスシステムのコンセプト提案,”信学技法,SR2008−97,pp.53−57,March 2009.
【非特許文献2】TCPDUMP/LIBPCAP public repository http://www.tcpdump.org/
【非特許文献3】Wireshark http://www.wireshark.org/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した1つ目の方法においては、次の2つの問題がある。1つの問題は、信号送信事実の検出に関する問題である。受信信号強度が充分でない、または干渉の到来等の影響により無線LANアダプタがフレームの受信に失敗した場合には、受信に失敗したという事実を無線LANアダプタから得ることができない。これは、観測機器において正常に受信されたフレーム以外の無線LAN信号の存在を完全に把握することが困難であることを意味する。
【0009】
もう1つの問題は、時間測定精度の問題である。ネットワーク調査ツールにより記録される情報には捕捉した無線LANフレームの受信時刻(タイムスタンプ)が含まれるが、実際には、このタイムスタンプには、各種の処理遅延に起因するオフセットが含まれている。即ち、時間記録の精度が充分でなく、例えば、SIFSのような短時間間隔の事象を観測することが困難である。
【0010】
また、上述した2つ目の方法を用いて広帯域のサンプリングデータに対して簡易な時間周波数解析を行なうだけでも、上述した1つ目の方法における2つの問題の多くが解決される。
【0011】
しかし、上述した2つ目の方法においては、無線LANの各フレームによって伝送される上位層の情報を得るには、広帯域のサンプリングデータから無線LANフレームを、直接、復調するなどの、より複雑な処理が必要になるという問題がある。
【0012】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡易な方法によって無線通信の状態を判定できる無線装置を提供することである。
【0013】
また、この発明の別の目的は、簡易な方法による無線通信の状態の判定をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明によれば、無線装置は、第1および第2の測定部と、演算手段と、判定手段とを備える。第1の測定部は、任意の1つの周波数チャネルの中心周波数を中心とした一定の帯域幅の内側における無線信号の受信強度を測定する。第2の測定部は、1つの周波数チャネルの中心周波数における無線信号の通信内容(モニタリングデータ)を記録する。演算手段は、第2の測定部によって記録されたモニタリングデータに基づいて信号送信の有無を示す信号送信関数を演算し、その演算した信号送信関数と受信強度との相関関数を相関関数演算を開始する信号送信関数の先頭時刻を変えながら演算する。検出手段は、演算手段によって演算された相関関数が極大値を持つときの時刻差を相対時刻差として検出する。判定手段は、受信強度および信号送信関数のいずれか一方を相対時刻差だけシフトして受信強度と信号送信関数とを相互に重ね合わせ、その重ね合わせた結果に基づいて、無線装置周辺の通信状態を判定する。
【0015】
好ましくは、演算手段は、第2の測定部によって記録されたモニタリングデータに基づいて信号送信の時刻と信号の長さとからなる矩形関数を信号送信関数として演算する。
【0016】
好ましくは、演算手段は、第2の測定部によって記録されたモニタリングデータに基づいて信号送信の時刻のみからなるインパルス列を信号送信関数として演算する。
【0017】
好ましくは、演算手段は、第2の測定部によって記録されたモニタリングデータに基づいて信号送信の時刻のみからなるインパルス列を信号送信関数として演算し、その演算したインパルス列からなる信号送信関数を用いて第1の相関関数を演算し、その演算した第1の相関関数に基づいて相対時刻差が検出されないとき、記録されたモニタリングデータに基づいて信号送信の時刻と信号の長さとからなる矩形関数を演算し、その演算した矩形関数からなる信号送信関数を用いて第2の相関関数を演算する。検出手段は、第1の相関関数の極大値が閾値以上であるとき、極大値が得られたときの時刻差を相対時刻差として検出し、第1の相関関数の極大値が閾値よりも小さいとき、第2の相関関数に基づいて相対時刻差を検出する。判定手段は、第1の相関関数の極大値が閾値以上であるとき、受信強度およびインパルス列のいずれか一方を相対時刻差だけシフトして受信強度とインパルス列とを相互に重ね合わせ、その重ね合わせた結果に基づいて、無線装置周辺の通信状態を判定し、第1の相関関数の極大値が閾値よりも小さいとき、受信強度および矩形関数のいずれか一方を相対時刻差だけシフトして受信強度と矩形関数とを相互に重ね合わせ、その重ね合わせた結果に基づいて、無線装置周辺の通信状態を判定する。
【0018】
また、この発明によれば、コンピュータに実行させるためのプログラムは、演算手段が、任意の1つの中心周波数の周波数チャネルの中心周波数において記録された無線信号に含まれる通信内容(モニタリングデータ)に基づいて信号送信の有無を示す信号送信関数を演算する第1のステップと、演算手段が、1つの周波数チャネルの中心周波数において測定された無線信号の受信強度と第1のステップにおいて演算された信号送信関数との相関関数を相関関数演算を開始する信号送信関数の先頭時刻を変えながら演算する第2のステップと、検出手段が、第2のステップにおいて演算された相関関数が極大値を持つときの時刻差を相対時刻差として検出する第3のステップと、判定手段が、受信強度および信号送信関数のいずれか一方を相対時刻差だけシフトして受信強度と信号送信関数とを相互に重ね合わせ、その重ね合わせた結果に基づいて、無線装置周辺の通信状態を判定する第4のステップとをコンピュータに実行させる。
【0019】
好ましくは、演算手段は、第1のステップにおいて、記録されたモニタリングデータに基づいて信号送信の時刻と信号の長さとからなる矩形関数を信号送信関数として演算する。
【0020】
好ましくは、演算手段は、第1のステップにおいて、記録されたモニタリングデータに基づいて信号送信の時刻のみからなるインパルス列を信号送信関数として演算する。
【0021】
好ましくは、演算手段は、第1のステップにおいて、記録されたモニタリングデータに基づいて信号送信の時刻のみからなるインパルス列を信号送信関数として演算し、その演算したインパルス列からなる信号送信関数を用いて第1の相関関数を演算し、その演算した第1の相関関数に基づいて相対時刻差が検出されないとき、記録されたモニタリングデータに基づいて信号送信の時刻と信号の長さとからなる矩形関数を演算し、その演算した矩形関数からなる信号送信関数を用いて第2の相関関数を演算する。検出手段は、第3のステップにおいて、第1の相関関数の極大値が閾値以上であるとき、極大値が得られたときの時刻差を相対時刻差として検出し、第1の相関関数の極大値が閾値よりも小さいとき、第2の相関関数に基づいて相対時刻差を検出する。判定手段は、第4のステップにおいて、第1の相関関数の極大値が閾値以上であるとき、受信強度およびインパルス列のいずれか一方を相対時刻差だけシフトして受信強度とインパルス列とを相互に重ね合わせ、その重ね合わせた結果に基づいて、無線装置周辺の通信状態を判定し、第1の相関関数の極大値が閾値よりも小さいとき、受信強度および矩形関数のいずれか一方を相対時刻差だけシフトして受信強度と矩形関数とを相互に重ね合わせ、その重ね合わせた結果に基づいて、無線装置周辺の通信状態を判定する。
【発明の効果】
【0022】
この発明の実施の形態による無線装置においては、受信強度と信号送信関数との相関関数が演算され、その演算された相関関数が極大になるときの相関関数演算を開始する信号送信関数の時刻変位分が相対時刻差として求められ、その求められた相対時刻差だけ受信強度および信号送信関数のいずれか一方がシフトされて受信強度と信号送信関数とが重ね合わされ、その重ね合わされた結果に基づいて、無線通信の状態が判定される。その結果、受信強度と信号送信関数との合致部分がフレームとして判定され、合致部分以外の部分がフレームの受信に失敗した部分またはフレームが送信されていない部分として判定される。
【0023】
従って、干渉の影響により受信強度が大きくなった場合でも、その強度が大きくなった部分で受信強度と信号送信関数とが合致していなければ、干渉の影響によってフレームの受信に失敗したと判定できる。即ち、フレームの受信に失敗した事実を得ることができる。
【0024】
また、相関関数演算を開始する信号送信関数の時刻変位分が相対時刻差として求められ、その求められた相対時刻差だけ受信強度および信号送信関数のいずれか一方がシフトされて受信強度と信号送信関数とが重ね合わされるので、受信したフレームの受信時刻が各種の処理遅延に起因するオフセットを含んでいても、そのオフセットを回避して無線通信の状態を判定できる。即ち、従来の時間の測定精度に関する問題を解決できる。
【0025】
更に、受信強度と信号送信関数とを重ね合わせた結果に基づいて無線通信の状態が判定されるので、広帯域のサンプリングデータを取得する必要がなく、複雑な処理が不要である。従って、簡易に無線通信の状態を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の実施の形態1による無線装置の構成図である。
【図2】RF信号に対する時間周波数解析の結果を示す図である。
【図3】受信強度の概念図である。
【図4】矩形関数の概念図である。
【図5】実施の形態1における相関関数の概念図である。
【図6】受信強度と矩形関数との重ね合わせの結果を示す図である。
【図7】実施の形態1における無線通信の状態を判定する方法を示すフローチャートである。
【図8】パーソナルコンピュータの概略図である。
【図9】実施の形態2による無線装置の構成図である。
【図10】インパルス列の概念図である。
【図11】実施の形態2における相関関数の概念図である。
【図12】実施の形態2における無線通信の状態を判定する方法を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態3による無線装置の構成図である。
【図14】実施の形態3における無線通信の状態を判定する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0028】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による無線装置の構成図である。図1を参照して、この発明の実施の形態1による無線装置1は、アンテナ1,2と、サンプリングデータ測定部3と、モニタリングデータ測定部4と、処理部5とを備える。
【0029】
サンプリングデータ測定部3は、ダウンコンバータ31と、AD変換器32と、記憶装置33と、受信強度演算手段34とを含む。モニタリングデータ測定部4は、無線LANインターフェース41と、記憶装置42とを含む。処理部5は、演算手段51と、検出手段52と、判定手段53とを含む。
【0030】
サンプリングデータ測定部3は、後述する方法によって決定された周波数チャネルの中心周波数f0を予め設定されている。そして、サンプリングデータ測定部3は、無線信号をアンテナ1を介して無線通信空間から受信し、その受信した無線信号をフーリエ変換する。その後、サンプリングデータ測定部3は、時間−周波数上のデータに変換された無線信号から中心周波数f0を中心とした一定の帯域幅の周波数帯域内における受信強度を測定する。そして、サンプリングデータ測定部3は、その測定した受信強度を記憶するとともに、その記憶した受信強度を演算手段51および判定手段53へ出力する。
【0031】
より具体的には、ダウンコンバータ31は、アンテナ1を介して無線信号をRF信号として受信し、その受信したRF信号をAD変換器32の動作範囲内となるような中間周波数帯域へ周波数変換し、その中間周波数信号をAD変換器32へ出力する。AD変換器32は、ダウンコンバータ31から中間周波数信号を受け、その受けた中間周波数信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、その変換したデジタル信号を受信信号として記憶装置33に記録する。記憶装置33は、AD変換器32からの受信信号を記憶する。記憶装置33は、受信強度演算手段34からの要求に応じて受信信号を受信強度演算手段34へ出力する。受信強度演算手段34は、記憶装置33から受信信号を受け、その受けた受信信号をフーリエ変換する。そして、受信強度演算手段34は、時間−周波数上のデータに変換された受信信号から中心周波数f0を中心とした一定の帯域幅の周波数帯域内での受信強度を測定し、その測定した受信強度を記憶装置33に記録する。記憶装置33は、演算手段51からの要求に応じて受信強度を演算手段51へ出力し、判定手段53からの要求に応じて受信強度を判定手段53へ出力する。
【0032】
モニタリングデータ測定部4も、周波数チャネルの中心周波数f0を予め設定されている。そして、モニタリングデータ測定部4は、アンテナ2を介して中心周波数f0の周波数チャネルにおける無線信号に含まれる通信内容(モニタリングデータ)を受信し、その受信したモニタリングデータを記憶するとともに、その記憶したモニタリングデータを演算手段51および判定手段53へ出力する。
【0033】
より具体的には、無線LANインターフェース41は、アンテナ2を介してモニターモードで中心周波数f0の周波数チャネルにおけるモニタリングデータを受信し、その受信したモニタリングデータを記憶装置42に記録する。この場合、無線LANインターフェース41は、サンプリングデータの記憶装置33への記録時間を含むように、想定される最大時刻ズレ分だけ記録時間を前後に長めに取ってモニタリングデータを記憶装置42に記録する。
【0034】
記憶装置42は、無線LANインターフェース41からのモニタリングデータを記憶する。そして、記憶装置42は、演算手段51からの要求に応じてモニタリングデータを演算手段51へ出力し、判定手段53からの要求に応じてモニタリングデータを判定手段53へ出力する。
【0035】
処理部5は、記憶装置33から受信強度を読み出し、記憶装置42からモニタリングデータを読み出す。そして、処理部5は、その読み出した受信強度およびモニタリングデータに基づいて無線通信の状態を判定する。
【0036】
より具体的には、演算手段51は、記憶装置33から受信強度を読み出し、記憶装置42からモニタリングデータを読み出す。このモニタリングデータは、受信時刻、データレート、フレームサイズおよびプリアンブルの長さを含む。
【0037】
そして、演算手段51は、モニタリングデータに含まれる受信時刻およびフレームサイズに基づいて、信号送信の有無を示す矩形関数を作成する。
【0038】
そうすると、演算手段51は、後述する方法によって、相関関数演算を開始する信号送信関数の先頭時刻を変えながら受信強度と矩形関数との相関関数を演算し、その演算した相関関数を検出手段52へ出力する。
【0039】
検出手段52は、演算手段51から相関関数を受け、その受けた相関関数に基づいて、相関関数が極大値を持つときの時刻差を検出する。そして、検出手段52は、その検出した時刻差をRF信号の受信時刻とモニタリングデータの記録時刻との相対時刻差として判定手段53へ出力する。
【0040】
判定手段53は、記憶装置33から受信強度を受け、記憶装置42からモニタリングデータを受け、検出手段52から相対時刻差を受ける。そして、判定手段53は、モニタリングデータに含まれる受信時刻およびフレームサイズに基づいて、信号送信の有無を示す矩形関数を作成する。
【0041】
そうすると、判定手段53は、受信強度および矩形関数のいずれか一方を相対時刻差だけシフトして受信強度と矩形関数とを重ね合わせる。そして、判定手段53は、その重ね合わせの結果に基づいて無線通信空間における無線通信の状態を判定し、その判定結果を出力する。
【0042】
図2は、RF信号に対する時間周波数解析の結果を示す図である。図2を参照して、無線装置周辺から受信したRF信号をフーリエ変換すると、各周波数における信号成分のタイミングチャートが得られる。図2において、白い部分が信号成分である。
【0043】
信号成分が得られた周波数帯の中心周波数は、サンプリングデータおよびモニタリングデータを記録する周波数チャネルの中心周波数f0として決定される。そして、その決定された中心周波数f0がサンプリングデータ測定部3およびモニタリングデータ測定部4に予め設定される。
【0044】
信号成分が得られた周波数帯が複数の周波数帯からなる場合、その複数の周波数帯の任意の1つの中心周波数が中心周波数f0として決定される。
【0045】
図3は、受信強度の概念図である。また、図4は、矩形関数の概念図である。図3を参照して、受信強度は、中心周波数f0を中心とした一定の帯域幅の周波数帯域内における無線信号の信号強度のタイミングチャートからなる。
【0046】
図4を参照して、演算手段51および判定手段53の各々は、モニタリングデータに含まれる受信時刻およびフレームサイズに基づいて、信号送信の有無を示す矩形関数を作成する。
【0047】
ここで、受信強度(図3参照)をx(t)とし、矩形関数(図4参照)をp(t)とする。
【0048】
矩形関数p(t)は、次式によって表される。
【0049】
【数1】

【0050】
演算手段51は、受信強度x(t)と矩形関数p(t)とを次式に代入して時刻差Δを変えながら相関関数Rcc1(Δ)を演算する。
【0051】
【数2】

【0052】
なお、式(2)において、Tは、計算に寄与する時間長を表す。
【0053】
実際には、観測対象の周波数チャネルにおける中心周波数f0を中心とした一定の帯域幅の周波数帯域内における無線信号の推定受信強度を表す有限長の時系列データxでx(t)を置き換え、時系列データxを用いて次式によって相関関数R1iを演算する。
【0054】
【数3】

【0055】
なお、式(3)において、Nは、時系列データxのうち、計算に寄与させるサンプル数であり、δは、時系列データの時間間隔である。
【0056】
相関関数R1iがi=kで鋭いピークを持つとき、k・δがRF信号の受信時刻とモニタリングデータの記録時刻との相対時刻差となる。
【0057】
図5は、実施の形態1における相関関数R1iの概念図である。時刻差i・δを変えながら相関関数R1iを演算したとき、相関関数R1iは、受信強度x(t)と矩形関数p(t)とが最も合致する点で鋭いピーク(単峰ピーク)を持つ。この鋭いピークが得られる時刻差が受信強度x(t)と矩形関数p(t)との相対時刻差になる。
【0058】
従って、検出手段52は、演算手段51から受けた相関関数R1iに基づいて、鋭いピークを検出し、その検出した鋭いピークが得られるときの時刻差を受信強度x(t)と矩形関数p(t)との相対時刻差として検出する。
【0059】
図6は、受信強度と矩形関数との重ね合わせの結果を示す図である。判定手段53は、検出手段52から受けた相対時刻差だけ受信強度および矩形関数のいずれか一方をシフトして受信強度と矩形関数とを重ね合わせる。その結果、図6に示す重ね合わせの結果が得られる。
【0060】
そして、判定手段53は、受信強度と矩形関数とが合致した合致部分MH1〜MH8をフレームとして判定し、合致部分MH1〜MH8以外の部分をフレームが送信されていない部分、または受信に失敗したフレームとして判定する。
【0061】
従って、フレームが送信されていた場合、その送信されたフレームを判定でき、フレームが送信されていない場合、フレームが送信されなかったと判定でき、干渉の影響によってフレームの受信に失敗した場合、フレームの受信に失敗したと判定できる。
【0062】
また、合致部分MH1〜MH8が、送信されたフレームとして判定された場合、合致部分MH1〜MH8の相互の時間間隔に基づいて、無線通信が混雑しているか否かを判定できる。
【0063】
上述したように、処理部5は、受信強度と矩形関数との相関関数R1iを演算し、その演算した相関関数R1iが極大になるときのRF信号の受信時刻とモニタリングデータの記録時刻との相対時刻差を求め、その求めた相対時刻差だけ受信強度および矩形関数のいずれか一方をシフトして受信強度と矩形関数とを重ね合わせ、その重ね合わせの結果に基づいて、無線通信の状態を判定する。
【0064】
その結果、受信強度と矩形関数との合致部分MH1〜MH8がフレームとして判定され、合致部分MH1〜MH8以外の部分がフレームの受信に失敗した部分またはフレームが送信されていない部分として判定される。
【0065】
従って、干渉の影響により受信強度が大きくなった場合でも、その受信強度が大きくなった部分で受信強度変動と合致する矩形関数が存在しなければ、干渉の影響によってフレームの受信に失敗したと判定できる。即ち、フレームの受信に失敗した事実を得ることができる。
【0066】
また、RF信号の受信時刻とモニタリングデータの記録時刻との相対時刻差を求め、その求めた相対時刻差だけ受信強度および矩形関数のいずれか一方をシフトして受信強度と矩形関数とを重ね合わせるので、受信したフレームの受信時刻が各種の処理遅延に起因するオフセットを含んでいても、そのオフセットを回避して無線通信の状態を判定できる。即ち、従来の時間の測定精度に関する問題を解決できる。
【0067】
更に、受信強度と矩形関数とを重ね合わせた結果に基づいて無線通信の状態を判定するので、広帯域のサンプリングデータを取得する必要がなく、複雑な処理が不要である。従って、簡易に無線通信の状態を判定できる。
【0068】
図7は、実施の形態1における無線通信の状態を判定する方法を示すフローチャートである。図7を参照して、一連の動作が開始されると、処理部5の演算手段51は、無線信号のサンプリングデータを時間周波数解析して得られたデータの中心周波数における受信強度を記憶装置33から読み出す(ステップS1)。
【0069】
そして、演算手段51は、モニタリングデータを記憶装置42から読み出し、その読み出したモニタリングデータに基づいて、信号送信の有無を示す矩形関数を生成する(ステップS2)。
【0070】
そうすると、演算手段51は、相関関数演算を開始する信号送信関数の先頭時刻を変えながら受信強度と矩形関数との相関関数を上述した方法によって演算する(ステップS3)。
【0071】
検出手段52は、演算手段51から相関関数を受け、その受けた相関関数が極大になるときのRF信号の受信時刻とモニタリングデータの記録時刻との時刻差を相対時刻差として検出する(ステップS4)。
【0072】
そして、判定手段53は、受信強度および矩形関数のいずれか一方を相対時刻差だけシフトして受信強度と矩形関数とを重ね合わせ、その重ね合わせの結果に基づいて、無線通信の状態を判定する(ステップS5)。これによって、一連の動作は、終了する。
【0073】
処理部5における処理は、実際には、プログラムによって実行される。
【0074】
図8は、パーソナルコンピュータの概略図である。図8を参照して、パーソナルコンピュータ100は、入出力部110と、ROM(Read Only Memory)120と、RAM(Randum Access Memory)130と、CPU(Central Processing Unit)140と、バスBSとを備える。
【0075】
入出力部110、ROM120、RAM130、およびCPU140は、バスBSを介して相互に接続される。
【0076】
入出力部110は、記憶装置33から受信強度を受け、その受けた受信強度をバスBSを介してRAM130に格納する。また、入出力部110は、記憶装置42からモニタリングデータを受け、その受けたモニタリングデータをバスBSを介してRAM130に格納する。更に、入出力部110は、CPU140が判定した無線通信の状態をバスBSを介して受け、その受けた無線通信の状態を外部へ出力する。
【0077】
ROM120は、図7に示すフローチャートからなるプログラムPROG1を格納する。RAM130は、CPU140のワークメモリである。
【0078】
CPU140は、プログラムPROG1をバスBSを介してROM120から読み出し、その読み出したプログラムPROG1を実行し、上述した方法によって、無線通信の状態を判定する。そして、CPU140は、その無線通信の状態の判定結果をバスBSを介して入出力部110へ出力する。
【0079】
この場合、CPU140は、RAM130からモニタリングデータを読み出し、その読み出したモニタリングデータに基づいて矩形関数を生成し(ステップS2参照)、その生成した矩形関数をRAM130に格納する。
【0080】
そして、CPU140は、RAM130から受信強度を読み出し、その読み出した受信強度と矩形関数との相関関数を演算し(ステップS3参照)、その演算した相関関数をRAM130に格納する。
【0081】
その後、CPU140は、RAM130から相関関数を読み出し、その読み出した相関関数が極大になるときの相対時刻差を検出し(ステップS4参照)、その検出した相対時刻差をRAM130に格納する。
【0082】
引き続いて、CPU140は、受信強度、矩形関数および相対時刻差をRAM130から読み出し、その読み出した受信強度、矩形関数および相対時刻差に基づいて、上述した方法によって、無線通信の状態を判定する(ステップS5参照)。
【0083】
このように、プログラムPROG1は、無線通信の状態の判定をCPU140(コンピュータ)に実行させるためのプログラムである。
【0084】
図7に示すフローチャートを実行して無線通信の状態を判定する場合、受信強度の個数が少なくても、無線通信の状態を安定して判定できる。そして、相関関数の計算には、多くの計算量が必要である。
【0085】
従って、図7に示す無線通信の状態の判定方法は、高速な演算器が搭載されていれば、少ないデータで安定して無線通信の状態を判定できる方法である。この場合、受信強度を保持する記憶領域(RAM130)を少なくできる。
【0086】
[実施の形態2]
図9は、実施の形態2による無線装置の構成図である。図9を参照して、実施の形態2による無線装置10Aは、図1に示す無線装置10の処理部5を処理部5Aに代えたものであり、その他は、無線装置10と同じである。
【0087】
処理部5Aは、図1に示す処理部5の演算手段51を演算手段51Aに代え、判定手段53を判定手段53Aに代えたものであり、その他は、処理部5と同じである。
【0088】
演算手段51Aは、記憶装置42からモニタリングデータを読み出し、その読み出したモニタリングデータに含まれる受信時刻のみからなるインパルス列を信号送信の有無を示すものとして生成する。
【0089】
そして、演算手段51Aは、その生成したインパルス列と受信強度との相関関数を演算し、その演算した相関関数を検出手段52へ出力する。
【0090】
演算手段51Aは、その他、演算手段51と同じ機能を果たす。
【0091】
判定手段53Aは、演算手段51Aと同様に、記憶装置42からモニタリングデータを読み出し、その読み出したモニタリングデータに含まれる受信時刻のみからなるインパルス列を信号送信の有無を示すものとして生成する。そして、判定手段53Aは、受信強度およびインパルス列のいずれか一方を相対時刻差だけシフトして受信強度とインパルス列とを重ね合わせ、その重ね合わせの結果に基づいて、上述した方法によって、無線通信の状態を判定する。
【0092】
判定手段53Aは、その他、判定手段53と同じ機能を果たす。
【0093】
図10は、インパルス列の概念図である。図10を参照して、インパルス列は、各受信時刻をインパルス応答によって表したものである。
【0094】
インパルス列(図10参照)をp(t)とすると、インパルス列p(t)は、次式によって表される。
【0095】
【数4】

【0096】
なお、式(4)において、Nは、インパルス列p(t)を構成するインパルス数(受信フレーム数)であり、δ(t)は、ディラックのデルタ関数である。
【0097】
演算手段51Aは、受信強度x(t)とインパルス列p(t)とを次式に代入して時刻差Δを変えながら相関関数Rcc2(Δ)を演算する。
【0098】
【数5】

【0099】
相関関数Rcc2(Δ)は、モニタリングデータ上における各フレームの受信時刻tpiをΔだけシフトさせ、その時刻tpi−Δにおける受信強度x(tpi−Δ)を足し合わせたものに相当する。
【0100】
従って、時刻補正値Δが適切な値であれば、x(tpi−Δ)の多くは、対応するフレーム到来期間内の1点を示すと期待される。その結果、相関関数Rcc2(Δ)は、適切な時刻補正値Δの付近で極大値になる。
【0101】
図11は、実施の形態2における相関関数Rcc2(Δ)の概念図である。図11の(a)は、サンプリング時間が1秒でその間に含まれる平均インパルス数(平均受信フレーム数)が191個であるときの相関関数Rcc2(Δ)を示し、図11の(b)は、サンプリング時間が10秒でその間に含まれる平均インパルス数が1914個であるときの相関関数Rcc2(Δ)を示す。
【0102】
平均インパルス数が充分に多い場合、相関関数Rcc2(Δ)は、1つのピークを持つ(図11の(a)参照)。しかし、平均インパルス数が少ない場合、相関関数Rcc2(Δ)は、ピークを持たない(図11の(b)参照)。
【0103】
従って、平均インパルス数が充分に多い場合、相関関数Rcc2(Δ)が極大になるときの時刻差を相対時刻差として検出できる。
【0104】
無線装置10Aの検出手段52は、演算手段51Aから受けた相関関数Rcc2(Δ)が極大になるときの時刻差を相対時刻差として検出し、その検出した相対時刻差を判定手段53Aへ出力する。
【0105】
判定手段53Aは、検出手段52から相対時刻差を受け、その受けた相対時刻差だけ受信強度およびインパルス列のいずれか一方をシフトして受信強度およびインパルス列を重ね合わせ、その重ね合わせたの結果に基づいて、判定手段53と同じ方法によって無線通信の状態を判定する。
【0106】
上述したように、処理部5Aは、受信強度とインパルス列との相関関数Rcc2(Δ)を演算し、その演算した相関関数Rcc2(Δ)が極大になるときのRF信号の受信時刻とモニタリングデータの記録時刻との相対時刻差を求め、その求めた相対時刻差だけ受信強度およびインパルス列のいずれか一方をシフトして受信強度とインパルス列とを重ね合わせ、その重ね合わせの結果に基づいて、無線通信の状態を判定する。
【0107】
その結果、受信強度とインパルス列との合致部分がフレームとして判定され、合致部分以外の部分がフレームの受信に失敗した部分またはフレームが送信されていない部分として判定される。
【0108】
従って、干渉の影響により受信強度が大きくなった場合でも、その受信強度が大きくなった付近で受信強度変動と合致するインパルス列が存在しなければ、干渉の影響によってフレームの受信に失敗したと判定できる。即ち、フレームの受信に失敗した事実を得ることができる。
【0109】
また、RF信号の受信時刻とモニタリングデータの記録時刻との相対時刻差を求め、その求めた相対時刻差だけ受信強度およびインパルス列のいずれか一方をシフトして受信強度とインパルス列とを重ね合わせるので、受信したフレームの受信時刻が各種の処理遅延に起因するオフセットを含んでいても、そのオフセットを回避して無線通信の状態を判定できる。即ち、従来の時間の測定精度に関する問題を解決できる。
【0110】
更に、受信強度とインパルス列とを重ね合わせた結果に基づいて無線通信の状態を判定するので、広帯域のサンプリングデータを取得する必要がなく、複雑な処理が不要である。従って、簡易に無線通信の状態を判定できる。
【0111】
図12は、実施の形態2における無線通信の状態を判定する方法を示すフローチャートである。図12に示すフローチャートは、図7に示すフローチャートのステップS2,S3,S5をそれぞれステップS2A,S3A,S5Aに代えたものであり、その他は、図7に示すフローチャートと同じである。
【0112】
図12を参照して、一連の動作が開始されると、上述したステップS1が実行される。そして、演算手段51Aは、モニタリングデータを記憶装置42から読み出し、その読み出したモニタリングデータに基づいて、信号送信の有無を示すインパルス列を生成する(ステップS2A)。
【0113】
その後、演算手段51Aは、相関関数演算を開始する信号送信関数の先頭時刻を変えながら受信強度とインパルス列との相関関数を演算する(ステップS3A)。
【0114】
そして、上述したステップS4が実行される。
【0115】
その後、判定手段53Aは、受信強度を記憶装置33から受け、モニタリングデータを記憶装置42から受け、相対時刻差を検出手段52から受ける。そして、判定手段53Aは、その受けたモニタリングデータに基づいてインパルス列を生成する。その後、判定手段53Aは、受信強度およびインパルス列のいずれか一方を相対時刻差だけシフトして受信強度とインパルス列とを重ね合わせ、その重ね合わせたの結果に基づいて無線通信の状態を判定する(ステップS5A)。これによって、一連の動作が終了する。
【0116】
なお、実施の形態2においても、無線通信の状態の判定は、プログラムによって実行される。即ち、パーソナルコンピュータ100のROM120は、図12に示すフローチャートからなるプログラムPROG2を格納しており、CPU140は、バスBSを介してROM120からプログラムPROG2を読み出して実行し、上述した方法によって無線通信の状態を判定する。そして、CPU140は、その無線通信の状態の判定結果をバスBSを介して入出力部110へ出力する。
【0117】
この場合、CPU140は、RAM130からモニタリングデータを読み出し、その読み出したモニタリングデータに基づいてインパルス列を生成し(ステップS2A参照)、その生成したインパルス列をRAM130に格納する。
【0118】
そして、CPU140は、RAM130から受信強度を読み出し、その読み出した受信強度とインパルス列との相関関数を演算し(ステップS3A参照)、その演算した相関関数をRAM130に格納する。
【0119】
その後、CPU140は、RAM130から相関関数を読み出し、その読み出した相関関数が極大になるときの相対時刻差を検出し(ステップS4参照)、その検出した相対時刻差をRAM130に格納する。
【0120】
引き続いて、CPU140は、受信強度、インパルス列および相対時刻差をRAM130から読み出し、その読み出した受信強度、インパルス列および相対時刻差に基づいて、上述した方法によって、無線通信の状態を判定する(ステップS5A参照)。
【0121】
このように、プログラムPROG2は、無線通信の状態の判定をCPU140(コンピュータ)に実行させるためのプログラムである。
【0122】
図12に示すフローチャートを実行して無線通信の状態を判定する場合、サンプリングデータ量当たりの計算量が少なくなる。即ち、計算量がサンプリングデータ量に対し[フレームレート/サンプリングレート]の比率で減少する。例えば、無線LANの受信信号の受信強度を1μsecの間隔で取得し、無線LANのフレームが平均100μsecの間隔(サンプリングレートの100倍)で到来しているとき、計算量を1/100の程度まで減少できる。そして、計算には、必ずしも高速な演算器を必要としない。
【0123】
一方、相関関数Rcc2(Δ)の計算には、上述したように大量のデータが必要である。
【0124】
従って、大容量のメモリを使用できるなら、演算器は低速でよいので、実施の形態2による無線通信の状態の判定方法が適している。
【0125】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0126】
[実施の形態3]
図13は、実施の形態3による無線装置の構成図である。図13を参照して、実施の形態3による無線装置10Bは、図1に示す無線装置10の処理部5を処理部5Bに代えたものであり、その他は、無線装置10と同じである。
【0127】
処理部5Bは、図1に示す処理部5の演算手段51を演算手段51Bに代え、検出手段52を検出手段52Aに代え、判定手段53を判定手段53Bに代えたものであり、その他は、処理部5と同じである。
【0128】
演算手段51Bは、記憶装置42からモニタリングデータを読み出し、その読み出したモニタリングデータに含まれる受信時刻およびフレームサイズに基づいて信号送信の有無を示す矩形関数を生成する。また、演算手段51Bは、記憶装置42からモニタリングデータを読み出し、その読み出したモニタリングデータに含まれる受信時刻のみからなるインパルス列を信号送信の有無を示すものとして生成する。
【0129】
そして、演算手段51Bは、その生成したインパルス列と受信強度との相関関数Rcc2(Δ)を上述した方法によって演算し、その演算した相関関数Rcc2(Δ)を検出手段52Aへ出力する。
【0130】
その後、演算手段51Bは、相関関数Rcc2(Δ)の極大値が閾値よりも小さいことを示す信号NPKを受けると、受信強度と矩形関数との相関関数R1iを演算し、その演算した相関関数R1iを検出手段52Aへ出力する。
【0131】
その他、演算手段51Bは、演算手段51と同じ機能を果たす。
【0132】
検出手段52Aは、演算手段51Bから相関関数Rcc2(Δ)を受けると、その受けた相関関数Rcc2(Δ)の極大値を検出する。そして、検出手段52Aは、閾値を予め保持しており、その検出した極大値が閾値以上であるか否かを判定する。
【0133】
検出手段52Aは、極大値が閾値以上であるとき、極大値が得られたときの時刻差を相対時刻差として検出し、その検出した相対時刻差を判定手段53Bへ出力する。
【0134】
一方、検出手段52Aは、極大値が閾値よりも小さいとき、信号NPKを生成して演算手段51Bおよび判定手段53Bへ出力する。そして、検出手段52Aは、相関関数R1iを演算手段51Bから受けると、相関関数R1iの鋭いピークが得られるときの時刻差を相対時刻差として検出し、その検出した相対時刻差を判定手段53Bへ出力する。
【0135】
判定手段53Bは、記憶装置42からモニタリングデータを読み出し、その読み出したモニタリングデータに含まれる受信時刻およびフレームサイズに基づいて信号送信の有無を示す矩形関数を生成する。また、判定手段53Bは、記憶装置42からモニタリングデータを読み出し、その読み出したモニタリングデータに含まれる受信時刻のみからなるインパルス列を信号送信の有無を示すものとして生成する。
【0136】
判定手段53Bは、信号NPKを受ける前に相対時刻差を検出手段52Aから受けると、その受けた相対時刻差だけ受信強度およびインパルス列のいずれか一方をシフトして受信強度とインパルス列とを重ね合わせ、その重ね合わせの結果に基づいて、判定手段53と同じ方法によって無線通信の状態を判定する。
【0137】
また、判定手段53Bは、信号NPKを検出手段52Aから受け、その後、相対時刻差を検出手段52Aから受けると、その受けた相対時刻差だけ受信強度および矩形関数のいずれか一方をシフトして受信強度と矩形関数とを重ね合わせ、その重ね合わせの結果に基づいて、判定手段53と同じ方法によって無線通信の状態を判定する。
【0138】
判定手段53Bは、その他、判定手段53と同じ機能を果たす。
【0139】
図14は、実施の形態3における無線通信の状態を判定する方法を示すフローチャートである。
【0140】
図14を参照して、一連の動作が開始されると、処理部5Bの演算手段51Bは、無線信号のサンプリングデータを時間周波数解析して得られたデータの中心周波数における受信強度を記憶装置33から読み出す(ステップS11)。
【0141】
そして、演算手段51Bは、モニタリングデータを記憶装置42から読み出し、その読み出したモニタリングデータに基づいて、信号送信の有無を示すインパルス列を生成する(ステップS12)。
【0142】
そうすると、演算手段51Bは、相関関数演算を開始する信号送信関数の先頭時刻を変えながら受信強度とインパルス列との相関関数を上述した方法によって演算する(ステップS13)。
【0143】
そして、演算手段51Bは、その演算した相関関数を検出手段52Aへ出力する。検出手段52Aは、相関関数の極大値を検出し(ステップS14)、その検出した極大値が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS15)。
【0144】
ステップS15において、極大値が閾値以上であると判定されたとき、検出手段52Aは、相関関数が極大になるときのRF信号の受信時刻とモニタリングデータの記録時刻との時刻差を相対時刻差として検出する(ステップS16)。そして、検出手段52Aは、その検出した相対時刻差を判定手段53Bへ出力する。
【0145】
判定手段53Bは、受信強度を記憶装置33から受け、モニタリングデータを記憶装置42から受け、相対時刻差を検出手段52Aから受ける。そして、判定手段53Bは、その受けたモニタリングデータに基づいてインパルス列を生成する。その後、判定手段53Bは、受信強度およびインパルス列のいずれか一方を相対時刻差だけシフトして受信強度とインパルス列とを重ね合わせ、その重ね合わせたの結果に基づいて無線通信の状態を判定する(ステップS17)。
【0146】
一方、ステップS15において、極大値が閾値よりも小さいと判定されたとき、検出手段52Aは、信号NPKを生成し、その生成した信号NPKを演算手段51Bおよび判定手段53Bへ出力する。
【0147】
演算手段51Bは、検出手段52Aからの信号NPKに応じて、記憶装置42からモニタリングデータを読み出し、その読み出したモニタリングデータに基づいて、信号送信の有無を示す矩形関数を生成する(ステップS18)。
【0148】
そして、演算手段51Bは、相関関数演算を開始する信号送信関数の先頭時刻を変えながら受信強度と矩形関数との相関関数を演算し(ステップS19)、その演算した相関関数を検出手段52Aへ出力する。
【0149】
検出手段52Aは、演算手段51Bから相関関数を受け、その受けた相関関数が極大になるときのRF信号の受信時刻とモニタリングデータの記録時刻との時刻差を相対時刻差として検出し(ステップS20)、その検出した相対時刻差を判定手段53Bへ出力する。
【0150】
その後、判定手段53Bは、受信強度および矩形関数のいずれか一方を相対時刻差だけシフトして受信強度と矩形関数とを重ね合わせ、その重ね合わせの結果に基づいて、無線通信の状態を判定する(ステップS21)。
【0151】
そして、ステップS17またはステップS21の後、一連の動作は終了する。
【0152】
このように、実施の形態3においては、計算量が少ない実施の形態2による方法によって無線通信の状態を判定し(ステップS11〜S14,S15の“YES”,S16,S17参照)、相関関数の極大値が閾値よりも小さい場合、実施の形態1による方法によって無線通信の状態を判定する(ステップS11〜S14,S15の“NO”,S18〜S21参照)。
【0153】
これによって、計算量が少ない実施の形態2による方法によって無線通信の状態を判定できない場合でも、既に取得したデータを用いて無線通信の状態を安定して判定できる。
【0154】
なお、実施の形態3においても、無線通信の状態の判定は、プログラムによって実行される。即ち、パーソナルコンピュータ100のROM120は、図14に示すフローチャートからなるプログラムPROG3を格納しており、CPU140は、バスBSを介してROM120からプログラムPROG3を読み出して実行し、上述した方法によって無線通信の状態を判定する。そして、CPU140は、その無線通信の状態の判定結果をバスBSを介して入出力部110へ出力する。
【0155】
この場合、CPU140は、RAM130からモニタリングデータを読み出し、その読み出したモニタリングデータに基づいてインパルス列を生成し(ステップS12参照)、その生成したインパルス列をRAM130に格納する。
【0156】
そして、CPU140は、RAM130から受信強度を読み出し、その読み出した受信強度とインパルス列との相関関数を演算し(ステップS13参照)、その演算した相関関数をRAM130に格納する。
【0157】
その後、CPU140は、RAM130から相関関数を読み出し、その読み出した相関関数の極大値を検出し(ステップS14参照)、その検出した極大値が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS15参照)。
【0158】
そして、極大値が閾値以上であるとき、CPU140は、RAM130から相関関数を読み出し、その読み出した相関関数が極大になるときの相対時刻差を検出し(ステップS16参照)、その検出した相対時刻差をRAM130に格納する。
【0159】
引き続いて、CPU140は、受信強度、インパルス列および相対時刻差をRAM130から読み出し、その読み出した受信強度、インパルス列および相対時刻差に基づいて、上述した方法によって、無線通信の状態を判定する(ステップS17参照)。
【0160】
一方、極大値が閾値よりも小さいとき、CPU140は、RAM130からモニタリングデータを読み出し、その読み出したモニタリングデータに基づいて矩形関数を生成し(ステップS18参照)、その生成した矩形関数をRAM130に格納する。
【0161】
そして、CPU140は、RAM130から受信強度を読み出し、その読み出した受信強度と矩形関数との相関関数を演算し(ステップS19参照)、その演算した相関関数をRAM130に格納する。
【0162】
その後、CPU140は、RAM130から相関関数を読み出し、その読み出した相関関数が極大になるときの相対時刻差を検出し(ステップS20参照)、その検出した相対時刻差をRAM130に格納する。
【0163】
引き続いて、CPU140は、受信強度、矩形関数および相対時刻差をRAM130から読み出し、その読み出した受信強度、矩形関数および相対時刻差に基づいて、上述した方法によって、無線通信の状態を判定する(ステップS21参照)。
【0164】
このように、プログラムPROG3は、無線通信の状態の判定をCPU140(コンピュータ)に実行させるためのプログラムである。
【0165】
その他は、実施の形態1,2と同じである。
【0166】
上記においては、無線装置10,10A,10Bの各々は、1個のサンプリングデータ測定部3と、1個のモニタリングデータ測定部4とを備えると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、無線装置10,10A,10Bの各々は、無線通信の状態を判定した中心周波数の個数と同じ個数のサンプリングデータ測定部3およびモニタリングデータ測定部4を備えていてもよい。
【0167】
この場合、処理部5,5A,5Bの各々の個数は、1個であってもよく、サンプリングデータ測定部3およびモニタリングデータ測定部4の個数と同じ個数であってもよい。処理部5,5A,5Bの各々の個数が1個である場合、処理部5,5A,5Bの各々は、複数の中心周波数の各々において、上述した方法によって無線通信の状態を判定する。
【0168】
また、上記においては、無線装置10,10A,10Bの各々は、無線通信の状態を判定し、その判定結果を外部へ出力すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限られず、無線装置10,10A,10Bの各々は、上述した方法によって、相対時刻差を検出し、その検出した相対時刻差を外部へ出力するようにしてもよい。この場合、外部へ出力された相対時刻差は、複数の無線装置間でフレームの送受信のタイミングを同期させる等、無線通信の各種の制御に用いられる。
【0169】
なお、この発明の実施の形態においては、矩形関数またはインパルス列は、「信号送信関数」を構成する。
【0170】
また、この発明の実施の形態においては、相関関数Rcc2(Δ)は、「第1の相関関数」を構成し、相関関数R1iは、「第2の相関関数」を構成する。
【0171】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0172】
この発明は、無線通信の状態を判定する無線装置、または無線通信の状態の判定をコンピュータに実行させるためのプログラムに適用される。
【符号の説明】
【0173】
1,2 アンテナ、3 サンプリングデータ測定部、4 モニタリングデータ測定部、5,5A,5B 処理部、10,10A,10B 無線装置、31 ダウンコンバータ、32 AD変換器、33,42 記憶装置、34 受信強度演算手段、41 無線LANインターフェース、51,51A,51B 演算手段、52,52A 検出手段、53,53A,53B 判定手段、100 パーソナルコンピュータ、110 入出力部、120 ROM、130 RAM、140 CPU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の1つの周波数チャネルの中心周波数における無線信号の受信強度を測定する第1の測定部と、
前記1つの周波数チャネルの中心周波数における無線信号に含まれる通信内容を記録する第2の測定部と、
前記記録された無線信号に含まれる通信内容に基づいて信号送信の有無を示す信号送信関数を演算し、その演算した信号送信関数と前記受信強度との相関関数を前記信号送信関数の相関関数演算を開始する先頭時刻を変えながら演算する演算手段と、
前記演算手段によって演算された相関関数が極大値を持つときの前記時刻差を相対時刻差として検出する検出手段と、
前記受信強度および前記信号送信関数のいずれか一方を前記相対時刻差だけシフトして前記受信強度と前記信号送信関数とを相互に重ね合わせ、その重ね合わせた結果に基づいて、無線通信状態を判定する判定手段とを備える無線装置。
【請求項2】
前記演算手段は、前記記録された無線信号に含まれる通信内容に基づいて前記信号送信の時刻と前記信号の長さとからなる矩形関数を前記信号送信関数として演算する、請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
前記演算手段は、前記記録された無線信号に含まれる通信内容に基づいて前記信号送信の時刻のみからなるインパルス列を前記信号送信関数として演算する、請求項1に記載の無線装置。
【請求項4】
前記演算手段は、前記記録された無線信号に含まれる通信内容に基づいて前記信号送信の時刻のみからなるインパルス列を前記信号送信関数として演算し、その演算したインパルス列からなる前記信号送信関数を用いて第1の相関関数を演算し、その演算した第1の相関関数に基づいて前記相対時刻差が検出されないとき、前記記録された無線信号に含まれる通信内容に基づいて前記信号送信の時刻と前記信号の長さとからなる矩形関数を演算し、その演算した矩形関数からなる前記信号送信関数を用いて第2の相関関数を演算し、
前記検出手段は、前記第1の相関関数の極大値が閾値以上であるとき、前記極大値が得られたときの前記時刻差を前記相対時刻差として検出し、前記第1の相関関数の極大値が閾値よりも小さいとき、前記第2の相関関数に基づいて前記相対時刻差を検出し、
前記判定手段は、前記第1の相関関数の極大値が前記閾値以上であるとき、前記受信強度および前記インパルス列のいずれか一方を前記相対時刻差だけシフトして前記受信強度と前記インパルス列とを相互に重ね合わせ、その重ね合わせた結果に基づいて、無線通信状態を判定し、前記第1の相関関数の極大値が前記閾値よりも小さいとき、前記受信強度および前記矩形関数のいずれか一方を前記相対時刻差だけシフトして前記受信強度と前記矩形関数とを相互に重ね合わせ、その重ね合わせた結果に基づいて、無線通信状態を判定する、請求項1に記載の無線装置。
【請求項5】
演算手段が、任意の1つの周波数チャネルの中心周波数において記録された無線信号に含まれる通信内容に基づいて信号送信の有無を示す信号送信関数を演算する第1のステップと、
前記演算手段が、前記1つの周波数チャネルの中心周波数において測定された無線信号の受信強度と前記第1のステップにおいて演算された信号送信関数との相関関数を前記信号送信関数の相関関数演算を開始する基準時刻を変えながら演算する第2のステップと、
検出手段が、前記第2のステップにおいて演算された相関関数が極大値を持つときの前記時刻差を相対時刻差として検出する第3のステップと、
判定手段が、前記受信強度および前記信号送信関数のいずれか一方を前記相対時刻差だけシフトして前記受信強度と前記信号送信関数とを相互に重ね合わせ、その重ね合わせた結果に基づいて、無線通信状態を判定する第4のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
前記演算手段は、前記第1のステップにおいて、前記記録された無線信号に含まれる通信内容に基づいて前記信号送信の時刻と前記信号の長さとからなる矩形関数を前記信号送信関数として演算する、請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記演算手段は、前記第1のステップにおいて、前記記録された無線信号に含まれる通信内容に基づいて前記信号送信の時刻のみからなるインパルス列を前記信号送信関数として演算する、請求項5に記載のプログラム。
【請求項8】
前記演算手段は、前記第1のステップにおいて、前記記録された無線信号に含まれる通信内容に基づいて前記信号送信の時刻のみからなるインパルス列を前記信号送信関数として演算し、その演算したインパルス列からなる前記信号送信関数を用いて第1の相関関数を演算し、その演算した第1の相関関数に基づいて前記相対時刻差が検出されないとき、前記記録された無線信号に含まれる通信内容に基づいて前記信号送信の時刻と前記信号の長さとからなる矩形関数を演算し、その演算した矩形関数からなる前記信号送信関数を用いて第2の相関関数を演算し、
前記検出手段は、前記第3のステップにおいて、前記第1の相関関数の極大値が閾値以上であるとき、前記極大値が得られたときの前記時刻差を前記相対時刻差として検出し、前記第1の相関関数の極大値が前記閾値よりも小さいとき、前記第2の相関関数に基づいて前記相対時刻差を検出し、
前記判定手段は、前記第4のステップにおいて、前記第1の相関関数の極大値が前記閾値以上であるとき、前記受信強度および前記インパルス列のいずれか一方を前記相対時刻差だけシフトして前記受信強度と前記インパルス列とを相互に重ね合わせ、その重ね合わせた結果に基づいて、無線通信状態を判定し、前記第1の相関関数の極大値が前記閾値よりも小さいとき、前記受信強度および前記矩形関数のいずれか一方を前記相対時刻差だけシフトして前記受信強度と前記矩形関数とを相互に重ね合わせ、その重ね合わせた結果に基づいて、無線通信状態を判定する、請求項5に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−176412(P2011−176412A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37100(P2010−37100)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「同一周波数帯における複数無線システム間無線リソース制御技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】