説明

無線装置におけるマルチ電源及び/又はクロック供給装置及び方法

【課題】 屋内無線装置が屋外無線装置へ供給する電源電圧及びクロックについて、両装置の組み合わせが汎用的になるような屋内無線装置を提供する。
【解決手段】 屋内内無線装置2は、屋外無線装置1の送信系部10及び受信系部11それぞれについて、電源電圧及び/又はクロックを指定する入力部222と、指定された電源電圧及び/又はクロックを発生させる電源電圧発生部204(214)及び/又はクロック周波数発生部207(217)と、発生された電源電圧及び/又はクロックを、屋外無線装置1の送信系部10及び受信系部11それぞれに供給する電源電圧供給部205(215)及び/又はクロック供給部208(218)とを有する。また、指定された電源電圧が正しく発生していない場合、供給異常を表示部223に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線装置におけるマルチ電源及び/又はクロック供給装置及び方法に関する。特に、屋外無線装置へ電源電圧及び/又はクロックを供給する屋内無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば衛星通信地球局のような無線装置システムは、アンテナの近傍に配置された屋外無線装置と、その屋外無線装置にケーブルを介して接続された屋内無線装置とから構成される。この場合、高精度の無線周波数を必要とするため、高安定度の局部発信器を屋外無線装置及び屋内無線装置それぞれに備えることが多かった。しかしながら、近年は、屋内無線装置が備える高安定度の局部発信器を基準クロックとして、屋外無線装置を動作させるものが多くなっている(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
図1は、従来の無線装置システムの機能構成図である。
【0004】
図1のシステムは、屋外無線装置1と、屋内無線装置2と、通信衛星3とを有する。通常、屋外無線装置1は屋内無線装置2と組み合わせて、屋内/屋外を挟んでほぼ同じ場所に設置される。屋外無線装置1は、送信系部10として例えば高出力増幅変換装置のような送信系増幅変換部100と、受信系部11として例えば低雑音増幅変換装置のような受信系増幅変換部110とを有する。また、送信系部及び受信系部それぞれに対して、電源受電部101及び111と、クロック受信部102及び112とを有する。電源受電部及びクロック受信部は、屋内無線装置2からケーブルを介して電力及びクロックの供給を受ける。一方、屋内無線装置2も同様に、送信系周波数変換部200及び受信系周波数変換部210を有する。また、送信系部及び受信系部それぞれに対して、電源供給部201及び211と、クロック供給部202及び212とを有する。電源供給部及びクロック供給部は、屋外無線装置1へケーブルを介して電力及びクロックを供給する。尚、屋内無線装置1と屋外無線装置2との間のケーブルを少なくするために、図1のように、通信線に電力及びクロックを重畳させるものも多い。
【0005】
【非特許文献1】信学技報SAT94−73、MW94−96(1994−12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図1のような従来の無線装置システムによれば、屋内無線装置2が供給する電源電圧及びクロックと、屋外無線装置1が動作する電源電圧及びクロックとを一致させる必要がある。従って、屋外無線装置1と屋内無線装置2とは常に組となるものとして設置されている。この電源電圧及びクロックは、無線装置システム毎に、独自に設定され、異なるものとなっている。そのために、システム更改の際に、屋内無線装置を他の無線装置に変更した場合、継続利用が可能な屋外無線装置も変更しなけばならなかった。
【0007】
従って、本発明は、屋外無線装置へ電源電圧及び/又はクロックを供給する屋内無線装置について、両装置の組み合わせが汎用的になるような屋内無線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の屋内無線装置は、屋外無線装置の送信系手段及び/又は受信系手段に対して、
電源電圧を指定する入力手段と、
指定された電源電圧を発生させる電源電圧発生手段と、
発生された電源電圧を、屋外無線装置に供給する電源電圧供給手段と
を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の屋内無線装置における他の実施形態によれば、
電源電圧発生手段が指定された電源電圧を正しく発生しているか否かを判定する電源電圧制御手段と、
指定された電源電圧が正しく発生していない場合、供給異常を表示する表示手段と
を更に有することも好ましい。
【0010】
また、本発明の屋内無線装置は、屋外無線装置の送信系手段及び/又は受信系手段に対して、
クロックを指定する入力手段と、
指定されたクロックを発生させるクロック周波数発生手段と、
発生されたクロックを、屋外無線装置に供給するクロック供給手段と
を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の屋内無線装置における他の実施形態によれば、
クロック周波数発生手段が指定されたクロックを正しく発生しているか否かを判定するクロック周波数制御手段と、
指定されたクロックが正しく発生していない場合、供給異常を表示する表示手段と
を更に有することも好ましい。
【0012】
本発明の屋内無線装置の電源電圧供給方法は、屋外無線装置の送信系部及び/又は受信系部に対して、
電源電圧を指定する入力ステップと、
指定された電源電圧を発生させる電源電圧発生ステップと、
発生された電源電圧を、屋外無線装置に供給する電源電圧供給ステップと
を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の屋内無線装置の電源電圧供給方法における他の実施形態によれば、電源電圧発生ステップに続いて、
指定された電源電圧を正しく発生しているか否かを判定するステップと、
指定された電源電圧が正しく発生していない場合、供給異常を表示する表示ステップと
を更に有することも好ましい。
【0014】
また、本発明の屋内無線装置のクロック供給方法は、屋外無線装置の送信系部及び/又は受信系部に対して、
クロックを指定する入力ステップと、
指定されたクロックを発生させるクロック発生ステップと、
発生されたクロックを、屋外無線装置に供給するクロック供給ステップと
を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の屋内無線装置のクロック供給方法における他の実施形態によれば、クロック発生ステップに続いて、
指定されたクロックを正しく発生しているか否かを判定するステップと、
指定されたクロックが正しく発生していない場合、供給異常を表示する表示ステップと
を更に有することも好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、屋内無線装置が屋外無線装置へ供給する電源電圧及びクロックについて、両装置の組み合わせが汎用的になるような屋外無線装置を提供することができる。即ち、屋内無線装置を別の屋内無線装置に置き換えた場合、継続利用する屋外無線装置に合致した基準となる電源電圧及びクロックを提供することが可能となり、無線装置同士の経済性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下では、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0018】
図2は、本発明の無線装置システムの機能構成図である。
【0019】
図2によれば、図1と比較して、屋内無線装置2に種々の機能が付加されている。図2の屋内無線装置2は、図1と同様に、送信系周波数変換部200と受信系周波数変換部210とを有する。更に、屋内無線装置2は、送信系部及び受信系部それぞれについて、電源電圧制御部203及び213と、電源電圧発生部204及び214と、電源電圧供給部205及び215と、クロック周波数制御部206及び216と、クロック周波数発生部207及び217と、クロック供給部208及び218とを有する。また、屋内無線装置2は、中央処理制御部220と、操作処理部221と、入力キー部222と、表示部223とを有する。
【0020】
利用者は、入力キー部222から電源電圧を指定して、その情報を入力することができる。操作制御部221は、常時、入力キー部222に入力されるキーを監視しており、入力キー部222に電源電圧情報についてのキーが入力されると、事前に設定されている設定可能範囲と比較する。入力された電源電圧が設定可能範囲内にある場合、操作制御部221は、その電源電圧の情報を中央処理制御部220へ通知する。一方、入力された電源電圧が設定可能範囲内にない場合、操作制御部221は、例えば「NG」を表示するように表示部223を制御し、入力キー部222への再入力を促す。
【0021】
操作制御部221から、電源電圧情報を受信した中央処理制御部220は、その電源電圧情報を電源電圧制御部203へ送信する。電源電圧情報を受信した電源電圧制御部203は、電源電圧発生部204に対してその電源電圧を発生するよう指示する。電源電圧発生部204は、その電源電圧を発生させ、電源電圧供給部205へその電力を供給する。
【0022】
電源電圧発生部204は、電源電圧供給部205に対して正しく電力が供給された場合、電源電圧制御部203へ供給開始情報を送信する。供給開始情報を受信した電源電圧制御部203は、中央処理制御部220へ供給開始情報を送信する。中央処理制御部220は、供給開始情報を操作制御部221に通知し、操作制御部221は、供給開始を示す「ACT」を表示するよう表示部223を制御する。一方、電源電圧発生部204が、電源電圧供給部205に対して正しく電力を供給できない場合、電源電圧制御部203へ供給異常情報を送信する。供給異常情報を受信した電源電圧制御部203は、中央処理制御部220へ供給異常情報を送信する。中央処理制御部220は、供給異常情報を操作制御部221に通知し、操作制御部221は、供給異常を示す「FLT」を表示するよう表示部223を制御する。
【0023】
利用者は、入力キー部222からクロックを指定して、その情報を入力することができる。操作制御部221は、常時、入力キー部222に入力されるキーを監視しており、入力キー部222にクロック情報についてのキーが入力されると、事前に設定されている設定可能範囲と比較する。入力されたクロックが設定可能範囲内にある場合、操作制御部221は、そのクロック情報を中央処理制御部220へ通知する。一方、入力されたクロックが設定可能範囲内にない場合、操作制御部221は、例えば「NG」を表示するように表示部223を制御し、入力キー部222への再入力を促す。
【0024】
操作制御部221から、クロック情報を受信した中央処理制御部220は、そのクロック情報をクロック周波数制御部206へ送信する。クロック情報を受信したクロック周波数制御部206は、クロック周波数発生部207に対してそのクロックを発生するよう指示する。クロック周波数発生部207は、そのクロックを発生させ、クロック供給部208へそのクロックを供給する。
【0025】
クロック周波数発生部207は、クロック供給部208に対して正しくクロックが供給された場合、クロック周波数制御部206へ供給開始情報を送信する。供給開始情報を受信したクロック周波数制御部206は、中央処理制御部220へ供給開始情報を送信する。中央処理制御部220は、供給開始情報を操作制御部221に通知し、操作制御部221は、供給開始を示す「ACT」を表示するよう表示部223を制御する。一方、クロック周波数発生部204が、クロック供給部205に対して正しくクロックを供給できない場合、クロック周波数制御部206へ供給異常情報を送信する。供給異常情報を受信したクロック周波数制御部206は、中央処理制御部220へ供給異常情報を送信する。中央処理制御部220は、供給異常情報を操作制御部221に通知し、操作制御部221は、供給異常を示す「FLT」を表示するよう表示部223を制御する。
【0026】
図3は、本発明の屋内無線装置における電源電圧設定のためのフローチャートである。
【0027】
(S301)利用者が屋外無線装置に供給する電源電圧情報を指定できるように、その旨を屋内無線装置の表示部に表示する。そして、利用者は、屋内無線装置の入力キー部から、電源電圧情報を入力することができる。
(S302)指定された電源電圧情報と、事前に設定されている設定可能範囲とを比較する。
(S303)指定された電源電圧情報が設定可能範囲内にない場合、例えば設定不可を示す「NG」を表示部に表示し、利用者に対して電源電圧情報の再入力を促す。
(S304)指定された電源電圧情報が設定可能範囲内にある場合、指定された電源電圧を電源電圧発生部から発生させる。
(S305)指定された電源電圧が正しく発生されたか否かを判定する。例えば、電源電圧発生部が出力する電力の電圧を測定することができる。
(S306)指定された電源電圧が正しく発生しない場合、例えば供給異常を示す「FLT」を表示部に表示して、処理を終了する。
(S307)指定された電源電圧が正しく発生しない場合、例えば供給正常を示す「ACT」を表示部に表示する。
(S308)指定された電源電圧を、電源電圧供給部から屋外無線装置へ供給する。
【0028】
図4は、本発明の屋内無線装置におけるクロック設定のためのフローチャートである。
【0029】
(S401)利用者が屋外無線装置に供給するクロック情報を指定できるように、その旨を屋内無線装置の表示部に表示する。そして、利用者は、屋内無線装置の入力キー部から、クロック情報を入力することができる。
(S402)指定されたクロック情報と、事前に設定されている設定可能範囲とを比較する。
(S403)指定されたクロック情報が設定可能範囲内にない場合、例えば設定不可を示す「NG」を表示部に表示し、利用者に対してクロック情報の再入力を促す。
(S404)指定されたクロック情報が設定可能範囲内にある場合、指定されたクロックをクロック周波数発生部から発生させる。
(S405)指定されたクロックが正しく発生されたか否かを判定する。例えば、クロック周波数発生部が出力するクロックを測定することができる。
(S406)指定されたクロックが正しく発生しない場合、例えば供給異常を示す「FLT」を表示部に表示して、処理を終了する。
(S407)指定されたクロックが正しく発生された場合、例えば供給正常を示す「ACT」を表示部に表示する。
(S408)指定されたクロックを、クロック供給部から屋外無線装置へ供給する。
【0030】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、屋内無線装置が、屋外無線装置へ供給する電源電圧及びクロックを任意に指定することができる。従って、屋内無線装置を別の屋内無線装置に置き換えた場合でも、屋外無線装置を継続利用することでき、無線装置同士の経済性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来の無線装置システムの機能構成図である。
【図2】本発明の無線装置システムの機能構成図である。
【図3】本発明の屋内無線装置における電源電圧設定のためのフローチャートである。
【図4】本発明の屋内無線装置におけるクロック設定のためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
1 屋外無線装置
10 送信系部
11 受信系部
12 アンテナ
100 送信系増幅変換部
110 受信系増幅変換部
101、111 電源受電部
102、112 クロック受信部
2 屋内無線装置
200 送信系周波数変換部
210 受信系周波数変換部
201、211 電源供給部
202、212 クロック供給部
203、213 電源電圧制御部
204、214 電源電圧発生部
205、215 電源電圧供給部
206、216 クロック周波数制御部
207、217 クロック周波数発生部
208、218 クロック供給部
220 中央処理制御部
221 操作制御部
222 入力キー部
223 表示部
3 通信衛星

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外無線装置の送信系手段及び/又は受信系手段に対して、電源電圧を供給する屋内無線装置において、
前記屋外無線装置の前記送信系手段及び/又は前記受信系手段に対して、
前記電源電圧を指定する入力手段と、
指定された前記電源電圧を発生させる電源電圧発生手段と、
発生された前記電源電圧を、前記屋外無線装置に供給する電源電圧供給手段と
を有することを特徴とする屋内無線装置。
【請求項2】
前記電源電圧発生手段が前記指定された電源電圧を正しく発生しているか否かを判定する電源電圧制御手段と、
前記指定された電源電圧が正しく発生していない場合、供給異常を表示する表示手段と
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の屋内無線装置。
【請求項3】
屋外無線装置の送信系手段及び/又は受信系手段に対して、クロックを供給する屋内無線装置において、
前記屋外無線装置の前記送信系手段及び/又は前記受信系手段に対して、
前記クロックを指定する入力手段と、
指定された前記クロックを発生させるクロック周波数発生手段と、
発生された前記クロックを、前記屋外無線装置に供給するクロック供給手段と
を有することを特徴とする屋内無線装置。
【請求項4】
前記クロック周波数発生手段が前記指定されたクロックを正しく発生しているか否かを判定するクロック周波数制御手段と、
前記指定されたクロックが正しく発生していない場合、供給異常を表示する表示手段と
を更に有することを特徴とする請求項3に記載の屋内無線装置。
【請求項5】
屋外無線装置の送信系部及び受信系部に対して、電源電圧を供給する屋内無線装置の電源電圧供給方法において、
前記屋外無線装置の前記送信系部及び/又は前記受信系部に対して、
前記電源電圧を指定する入力ステップと、
指定された前記電源電圧を発生させる電源電圧発生ステップと、
発生された前記電源電圧を、前記屋外無線装置に供給する電源電圧供給ステップと
を有することを特徴とする屋内無線装置の電源電圧供給方法。
【請求項6】
前記電源電圧発生ステップに続いて、
前記指定された電源電圧を正しく発生しているか否かを判定するステップと、
前記指定された電源電圧が正しく発生していない場合、供給異常を表示する表示ステップと
を更に有することを特徴とする請求項5に記載の屋内無線装置の電源電圧供給方法。
【請求項7】
屋外無線装置の送信系部及び受信系部に対して、クロックを供給する屋内無線装置のクロック供給方法において、
前記屋外無線装置の送信系部及び/又は受信系部に対して、
前記クロックを指定する入力ステップと、
指定された前記クロックを発生させるクロック発生ステップと、
発生された前記クロックを、前記屋外無線装置に供給するクロック供給ステップと
を有することを特徴とする屋内無線装置のクロック供給方法。
【請求項8】
前記クロック発生ステップに続いて、
前記指定されたクロックを正しく発生しているか否かを判定するステップと、
前記指定されたクロックが正しく発生していない場合、供給異常を表示する表示ステップと
を更に有することを特徴とする請求項7に記載の屋内無線装置のクロック供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−157532(P2006−157532A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345707(P2004−345707)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】