説明

無線起動システムとその方法

物標を無線で起動するためのシステムとその方法。通信装置は、物標と関連付けられたIDをネットワークオペレーションセンターに送信する。ネットワークオペレーションセンターは起動信号を通信装置に与える。通信装置は音響起動信号を近くにある起動装置に無線で送信する。起動装置は物標に近接して配置され、物標の少なくとも1つの物理的特性を変化させる。物標は、電気信号の印加によって変化する光学的特性を有する、エレクトロクロミック材料を含む光学媒体であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの接続拠点(POP)において品目を無線起動するためのシステムとその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者の周辺の接続拠点(POP)における物品または媒体の起動、あるいはそれに対するアクセスの規制が、新たな媒体配信モデルとなっている。例としては、家庭または外出先でのペーパビュー方式の映画視聴、運転免許証、クレジットカード、チケット、ソフトウェア、電子ゲーム、および製品の遠隔起動を可能にすることが挙げられる。ペイフォープレイ、反復再生、およびオンデマンド再生を提供する能力などの柔軟性のある配信モデルが非常に望ましい。これらのようなアプリケーションには、物品または媒体を制御された方式で消費者のPOPにおいて起動する、異なる事業目的を容易にする方法が求められる。反復可能(すなわち、マルチユーズ)で動的なCDおよびDVDなどの光学媒体に対するアクセスの起動および規制を、配送コストおよび環境に対する影響を低減する方式で提供する能力が特に重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、品目または物標を無線起動するための新規なシステムとその方法を提供する。本発明はまた、そのシステムと併せて使用するための光学媒体であって、該光学媒体に取り付けられたまたは該光学媒体に埋め込まれた材料を用いることにより起動を容易にし、電気信号を与えることにより変化させることができる光学的特性を有する新規な形態の光学媒体も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明の一実施形態は、物標を無線起動する方法である。サードパーティが、ユーザが物標を起動する権限を付与されているかを判断し、ユーザの通信装置に起動信号を与える。通信装置は物標に近接した起動装置に起動信号を無線で送信する。起動装置は、物標の少なくとも1つの物理的特性を変化させる信号を物標に与えることにより物標を起動する。
【0005】
本発明の他の実施形態は、電気信号を与えて光学媒体を変更して認知可能性に影響を与える光学媒体である。
【0006】
本発明の他の実施形態は、光学媒体に近接した通信装置から音響信号を発信して光学媒体の少なくとも1つの光学的特性を変更することを含む、光学媒体内のコンテンツへのアクセスを規制する方法である。
【0007】
本発明の他の実施形態は無線起動システムである。このシステムは、起動すべき物標および物標に電気信号を印加して物標の少なくとも1つの物理的特性を変化させ、それにより物標を起動する起動装置を含んでいる。このシステムはまた、物標の起動を許可するために起動信号を起動装置に供給する通信装置、および通信装置から供給される情報に応答して物標の起動に関与するサードパーティも含んでいる。
【0008】
本発明の他の実施形態は電気信号の印加に応答して変化し、光学媒体のアクセス可能性に影響を与える少なくとも1つの光学的特性を有する材料を含む光学媒体である。光学的特性の変化は可逆的で繰返し可能である。
【0009】
本発明の他の実施形態は光学媒体を起動する方法である。IDがユーザから取得され、ユーザが光学媒体を起動する権限を得ているかを判断する。光学媒体を起動する権限を付与するために光学媒体に近接する起動装置に起動信号が無線で送信され、電気信号が起動装置から光学媒体に送られて光学媒体の少なくとも1つの光学的特性を変更し、光学媒体を起動する。
【0010】
本発明の他の実施形態は、電池として構成された薄膜またはゲルを組み込んだ光学媒体であり、この電池は薄膜またはゲルに外部から電気信号を与えることにより動作可能または動作不能にされる。
【0011】
本発明の他の実施形態は起動用に構成された物品である。この物品は光学媒体および光学媒体と接触している材料を含んでいる。この材料は電気信号を与えることにより変更され、光学媒体の読取り可能性または書込み可能性に影響を与える少なくとも1つの光学的特性を有する。材料に電気信号を与えるために取外し可能な起動装置が材料に近接して配置される。
【0012】
本発明の他のシステム、方法、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な説明を考察することにより、当業者には明白でありあるいは明白になるであろう。すべてのそのような付加のシステム、方法、特徴および利点は本明細書に包含され、本発明の範囲内にあり添付の請求の範囲によって保護されるものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明による無線起動システム10を示している。システム10は、通信装置12、ユーザの接続拠点(POP)18にある物標(起動すべき品目)14および起動装置16、およびネットワークオペレーションセンター(NOC)20を含んでいる。通信装置12は、遠隔にあるNOC20の支援を受けてまたはこの関与により、ユーザのPOP18で物標14を無線で起動するのに使用される。
【0014】
通信装置12は広義に解釈されるべきであり、局所的な音響出力(典型的にはスピーカを介する)が可能なあらゆる通信装置、および通常の従来型電話(POT)、携帯電話、高度自動機能電話(J2ME、BREWおよび/またはWAP対応電話など)、携帯情報端末(PDA)、携帯用コンピュータなどが挙げられるが、これらに限定されない広域通信を含んでいる。典型的には、ユーザは、音声コマンドを介してあるいはキーパッド/キーボードまたはタッチスクリーンなどのユーザインタフェースを介して、通信装置12とのインタフェースをとる。
【0015】
物標14は、ユーザの接続拠点にある起動すべき何らかの物品、品目、または媒体である。一般に起動が求められる品目または物標の1つの種類は、例えば、音声、映像、画像、符号、物標のレイアウトまたは内部構成、および他の種類のデータおよび情報などのコンテンツを記憶する、コンパクトディスク(CD)、ビデオディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、レーザーディスクまたはホログラムなどの光学媒体である。図2は本発明による光学媒体30を全体的に示しており、コンテンツ32、電気光学材料34、および入力インタフェース36を含んでいる。図2は単に参照を簡単にする目的で示しており、光学媒体装置30の構成要素の相対法、構成、または向きを限定するものではないことを理解すべきである。
【0016】
光学媒体30の光学的特性は、光学媒体30に電気信号を与えることにより規制される。具体的には、光学媒体30は、その特性を電気信号に応答して変化させることのできる電気光学材料34を含んでおり、光の伝導性に影響を与え、または光学媒体30またはその中に記憶されたコンテンツ32の視覚認知を変化させる(すなわち、その色を変化させる、情報を見せるまたは隠すなど)。材料34における変化は、次に、ユーザまたは機械が、光学媒体30およびいずれかのコンテンツ32、その中に記憶されたデータまたは他の情報を読出す、書込む、アドレス指定する、認識するあるいは他の方法で光アクセスを得る能力に影響を与える。これにより、例えばCDまたはDVDの読出しまたは書込み、あるいはクレジットカードまたは運転免許証上のホログラムまたは他の印を隠すまたは目に見えるようにすることが可能になる。こうして、識別、認証、セキュリティまたは他の目的のために、身分証明書、セキュリティパス、チケット、クーポン、製品などの他の種類の品目に使用されるあらゆる視覚的物品または要素を、隠したり、目に見えるようにしたり、あるいは他の方法でその外観を変更したりすることができる。しかしながら、本発明の多くの応用例のいくつかは、その最も基本的な形態において、電気信号を与えることにより変更される光学媒体を含み、その光学媒体および/またはそこに記憶されたまたは内蔵されたコンテンツの認知可能性に影響を与える。
【0017】
材料34は、光学媒体30の内部またはその上に散在するかまたは層状にされている。材料34は、光学媒体30上で層状にするか、光学媒体30全体に分散させるか、または、放射状領域、トラック、環、パターン、層および/または円筒形などの特定の場所に限定されてもよい。光学媒体30の表面、媒体の反射層の上部、または光学媒体30の表面の下層(例えば、保護用の被膜または塗膜の下)に配置されてもよい。電気光学材料の1つ以上の種類および/または含有物が提供されてもよい。
【0018】
材料34は、電気信号の印加に応答して変化し、それにより、何らかの形で光学媒体30およびその中に記憶されたコンテンツ32への光アクセスに影響を与える1つ以上の光学的特性(透明度、反射率、色、パターンなど)を有する。そのような光学的特性の例としては、これらに限定されるものではないが、光を遮断する、光を通過させる、または屈折させる材料の能力、光の進路または反射、あるいは膜の色および/または色相が挙げられる。本発明に使用するのに適した電気光学材料の例としては、これらに限定されるものではないが、エレクトロクロミック膜およびゲル、および液晶材が挙げられる。特定の材料を選択する際、所望の崩壊率があればそれを考慮に入れるべきである。電気光学材料の中には、電力が印加または除去されたときに非常に急速に状態が変化するものがある一方、よりゆっくりかつ非対称的に状態が変化するものもある。材料は、例えば電力が印加されたときには速やかに開く(透明になる)が、よりゆっくりと崩壊して閉じた状態(不透明)になる場合がある。材料の中には、電力が印加されると状態が変化し、電力が除去されたときにその状態を維持するものもある。
【0019】
入力インタフェース36は、外部電源(典型的には、起動装置)からの電気信号38を受取り、それを材料34に伝える。入力インタフェース36は、図のように、材料34とコンテンツ32の両方に接続されていてもよく、また、例えば光学媒体30の状態またはコンテンツに関する情報を含んでいてもよい出力信号39を生成することができる。電気信号38は電力および/またはデータ(情報)成分を含んでいてもよく、インタフェース36はこれらの成分を受取るための別個の接続を有していてもよい。材料34は、典型的には、電力の印加によって「起動」される(材料34の何らかの光学的特性が変更されることを意味する)。しかしながら、安全性および制御性を提供するために、材料34への電力の供給を規制するための付加のデータまたは情報が必要となる場合がある。したがって、電気信号38は、電力およびデータ/情報の両方を含んでいてもよい(または、電力およびデータ信号は別個に受取られてもよい)。
【0020】
材料34を起動するのに使用される電力は、光学媒体30内部の電源(例えば、薄膜または層状材料の電池)、外部電源(例えば、起動装置)、またはこの2つの組み合わせによって供給することができる。電力が内部電源によって供給される場合、光学媒体30内部のロジックが信号38に含まれるデータに応答して起動され、材料34への電力の供給を規制するのに使用されてもよい。ロジックはゲートまたはフィルタのような単純なものであってもよい。起動装置は例えば光学媒体30に適切な符号を送ってもよく、光学媒体30内のロジックはその符号を用いて内部電池のオン・オフを切り換えてもよい。電力が外部電源(起動装置)によって供給される場合、信号38はデータ(例えば、符号)および電力の両方を含んでもよい。光学媒体30内のロジックは、電気信号符号に従って材料34への電気信号電力の供給を規制する。
【0021】
入力インタフェース36と材料34は、併せて「光学シャッター」として考えられてもよく、その特性はそこに加えられる電力とデータ信号によって規制される。シャッターが開いている時間とウィンドウが開閉する速度は、電気光学材料の崩壊率を規制することにより規制できる。シャッターは、開いていた後にある期間自動的に閉じても(またはその逆)よい。別個に扱うことができる電気光学材料の含有物が使用される場合、他の特性をシャッターと連動して変化させてもよい(即ち、シャッターが開き、材料の別個の含有物の色が変化してもよい)。
【0022】
光学媒体30は、材料34および/またはコンテンツ32へのアクセスを規制または制御するための、ロジック、ゲートおよび/またはフィルタ(図示せず)を含んでいてもよい。これらの付加の要素は入力インタフェース36の一部であってもよく、または別個の構成要素の中に含まれてもよい。一実施例において、上述のごとく、ロジックは材料34への電力の印加を規制するために使用されてもよい。他の実施例では、帯域フィルタを組み入れて、材料34が特定の帯域内の信号(光)のみをコンテンツ32まで通過させるように、または材料34への電力を規制するようにしてもよい。ゲートおよび/またはフィルタを使用して、光学媒体30および材料34を、意図しない信号または損傷を与える信号から保護(例えば、光学媒体32を権限なしに起動しようする動作が繰返された後に、機能/ゲーティングを停止させる)してもよい。光学媒体30はまた、それ自体を外部電源に対して識別させるための、およびコンテンツ32へのアクセスおよびその使用を監視、規制および制御するためのロジックを含んでいてもよい。その使用は例えば特定の回数または期間に限定され、または特定の種類のアクセス装置のみにアクセスが許可される。どのアクセス装置が使用されたか、いつアクセスが生じたか、アクセスの頻度、およびアクセスが権限ありまたは権限なしのどちらだったかを含めて、アクセスを詳細に監視することができる。
【0023】
本明細書にさらに詳細に記載されるように、光学媒体30はまた、適切な開始信号を受取ったときに起動装置に与えられる埋め込みIDまたは識別シーケンスを含んでいてもよい。IDは、符号化されて材料34または光学媒体30の他の部分の上に印刷されるか、その中に記憶されるか、または埋め込まれてもよい。
【0024】
材料34はまた、光学媒体30内に電池をつくるのに使用されてもよい。光学媒体30の光学的特性に影響を与えるために分散されることに加えて、例えば光学媒体30内のエレクトロクロミック材料は、電気を生成するようにして構成されてもよい。電池は、材料34の起動、材料34内の状態の変化、または取付けられた起動装置の除去/追加など、何らかの特定の事象が生じた際に、光学媒体30への電力の供給を行うまたは停止するように光学媒体30内に組み込まれてもよい。
【0025】
材料34の光学的特性の変化は、可逆的で繰返し可能であってもよい。したがって、例えば光学媒体がCDの場合、膜の光学的特性が繰返し変えられて、CDを読取り可能または読取り不能にするようにしてもよい。このことは、単一回使用の不可逆的化学プロセスを用いて媒体を起動または動作停止させるプロセスに比べ重要な特質である。
【0026】
光学媒体30の1つ以上の光学的特性(または物標14全体の特性)を変化させることに加えて、起動装置16によって印加される電気信号は、光学媒体30に記憶されたデータまたは情報を変更してもよい。起動装置16は、使用のたびに、安全性を高めるために光学媒体30に関連付けられた、例えば一意の符号またはIDを変更してもよい。
【0027】
再び図1を参照して、起動装置16は物標14に電気信号を与えるように構成され、また通信装置12とも通信する。上述のごとく、電気信号は電力および/または情報成分を含んでいてもよい。情報成分は、起動装置と物標との間で選択的な形態をとってもよく、および/または、RF、可視光、赤外光および反射光など、選択的な通信モードを使用してもよい。起動装置16は、物標14に埋め込まれた再利用可能なものであっても、または物標14とは別個のおよび/またはそれから取外し可能なものであってもよい。物標14とは別個のまたは取外し可能なものの場合、起動装置16は使い捨てであってもよい。物標14が例えばDVDまたはクレジットカードの場合、起動装置16は取外し可能なステッカーまたはタグの形態をとってもよい。起動装置16は使い捨て要素(ステッカー)の両方の組み合わせを伴ってもよい。
【0028】
図3a〜cは、本発明による起動装置40の代表的な実施例を示している。図3aに図示されるその最も基本的な構成では、起動装置40は、トランスデューサ42、増幅器44、ロジック46、物標への出力部48および電池または電源50を含んでいる。
【0029】
トランスデューサ42には、音響受信機、薄膜、圧電マイク、圧電バイモルフアクチュエータ、エレクトレットマイク、シリコンマイクロマシンによるマイクまたは歪みゲージを含むことができるが、これらに限定されるものではない。トランスデューサ42は、音響起動信号またはシーケンス52を通信装置54から受取り、電気信号を増幅器44に出力する。したがって、通信装置54が電話の場合、ユーザは、電話54を起動装置40に十分近づけるのみで、トランスデューサ42内のマイクが装置54内のスピーカーから発信される起動信号を受取れるようにすることができる。
【0030】
増幅器44はトランスデューサ42からの出力を増幅し、増幅した信号をロジック46に提供する。ロジック46は、物標に送られることになる電気信号をトランスデューサ42から受取った起動信号またはシーケンスに基づいて定義するかまたは特徴付ける。出力48は物標への電気的インタフェースであり、例えば、表面接点、ブリッジまたはマイクロワイヤを含んでもよい。これが、ロジック63で定義された電気信号56を物標に出力する。あるいは、出力信号は光(LED)、RFまたは他の適切な近接通信技術の形態をとってもよい。
【0031】
図3aに図示したように、電源50は、起動装置40内に含まれる電池であってもよい。あるいは、図3bに図示したように、電源50は起動装置40の外部にあってもよい。電源50は、例えば、物標内に含まれるか、さらには通信装置54から受取られる音響信号52の一部であってもよい。起動装置40は、信号60を通信装置54に送信するための送信機58を含んでいてもよい(図3c)。信号60は、例えば、電話54またはNOC20からの開始シーケンスに応答して電話54に送信されるIDを含む、またはそれからなる音響信号であってもよい(以下の説明を参照のこと)。図3cにも図示したように、起動装置40は物標からの入力62を受取ってもよい。入力は、IDを含む信号(IDが物標に記憶されている場合)、物標の状態についての情報、および/またはあらゆる他の種類の物標に関する有用な情報であってもよい。
【0032】
起動装置が粘着ステッカーなどの使い捨て品目として構成されている一実施例において、電気信号は起動装置内の電池を介して物標に継続して供給される。起動装置が物標から取り外されると、電気信号が中断されて材料を起動するまたはその動作を停止させる物標内の機構が始動される。例えば、光学媒体は、光学シャッターは「開いて」いるがステッカーがあるために読取り不能な状態で配送することができる。電源が入っている限り、開いた状態が維持される。ステッカーが取り外されると、電源がなくなってシャッターは閉じ始め所定の期間コンテンツがアクセス可能になる。
【0033】
他の実施例では、起動装置は適切な信号または符号を物標に(即ち、図3cの信号56を介して)送る。物標内のロジックは、それに応答して起動装置に送信される信号(信号62)を生成する。起動装置内のロジックは、物標からの信号を用いて物標への電力の供給を規制する。起動装置に送受信される符号/信号は、典型的には、決定規準、アルゴリズム、またはNOC20で生成されるあるいはそこに記憶されている他の情報に依存するか、もしくはそれに関連する。
【0034】
起動装置40は、メモリおよびクロック(図示せず)を含んでもよい。メモリは、起動装置のID、および物標から(信号62の一部として)受取られるあらゆるID、許可されたおよび試行された起動の回数、NOCおよびユーザから受取った起動の試行および論理変数などの、起動に関連する他の変数または情報などの情報を記憶してもよい。クロックは、使用をある期間に制限するためまたは起動する機会をある期間に制限するために使用されてもよい。
【0035】
図4は、本発明による物標70および起動装置75の一実施例を示している。物標70は、DVDの形態の光学媒体である。DVD70は、DVD70の保護層のすぐ下層でかつ反射層の上に層をなすエレクトロクロミック膜72を含んでいる。DVD70は、その中心付近に、DVD70の保護仕上げ膜または塗膜のすぐ下にあって膜72に接続された、環状のマイクロワイヤの形態の入力インタフェース74も含んでいる。取外し可能なステッカーまたはタグの形態の起動装置75は、リング74のすぐ上で導電性接着剤を用いてDVD70に接続される。したがって、起動装置75の出力部は入力インタフェース74のすぐ上にある。
【0036】
起動装置75は、エレクトロクロミック膜72の何らかの特性を変える電気信号を発生する。一実施例において、膜72が不透明から透明に変わることで、DVDプレーヤーからのレーザー光が下にある反射層を通過できるようになり、それにより、DVD70がプレーヤーで操作可能および読取り可能になる。あるいは(またはそれに加えて)、膜72の色を変化させて、DVD70の状態(例えば、読取り可能または読取り不能)を視覚的に表示するか、付加の情報が目に見えるようにしてもよい。起動装置75が取外し可能なステッカーまたはタグの形態をとる場合、ステッカー75は、一旦DVD70が起動されるとDVD70から剥がされて破棄されてもよい。
【0037】
図5は、本発明による物標80および起動装置88の他の具体的な実施例を示している。物標80は、高分子媒体に埋め込まれたホログラム82の形態、クレジットカード84の形態の光学媒体を含んでいる。エレクトロクロミック膜86は、ホログラム82の上で層状にされる。あるいは、ホログラム82は膜86の最下層に組み込まれてもよい。指示書き付きのステッカーの形態の取外し可能な起動装置88は、カード上で膜86に近接してまたはこれと接して配置される。起動装置88からの電気信号によって膜86が不透明から透明に変化し、その結果、その下にあるホログラムが(または起動符号によってはホログラムの異なる部分が)目に見えるようになり、クレジットカード84が使用できるようになる。
【0038】
ホログラム82の代替形態として、セキュリティ、識別、認証などに使用されるあらゆる視覚的物品または要素を使用することができる。さらに、応用例はクレジットカードに限定されず、高分子媒体にも限定されるものではない。他の応用例としては、運転免許証、身分証明書、セキュリティパス、チケット、クーポン、製品などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
図6は、本発明による物標を無線で起動させるための方法100を示している。方法100を図1のシステム10と併せて説明する。ステップ102では、物標14を起動させようとするユーザは、通信装置12を用いてネットワークオペレーションセンター(NOC)20に電話をかける。例えば起動装置16がステッカーの場合、NOC20の電話番号がステッカー上に印刷されていてもよい(例えば、図4および5を参照のこと)。また物標14の上に直接印刷することもできる。NOC20は、典型的には、起動プロセスに関与するおよび/またはそれを規制するサードパーティである。NOC20による関与の程度と種類は様々であってもよい。一実施例において、NOC20は、装置または物標14を起動しようとするユーザがその装置を起動する権限を得ていることを確認する。NOC20はまた、支払金の徴収および会計などの他の機能を実行してもよい。遠隔にいる当事者が起動を規制できる能力は、多くの実用的モデルにおいて重要であり、遠隔での規制なしに単に空気または光に当てることにより起動させるシステムとは区別されるべきである。典型的には、NOC20はユーザのPOP18とは離れている。しかしながら、いくつかの実施形態では、NOCまたはサードパーティの権限付与者は、通信装置のプロキシを介して、または通信装置と併せて、POP18をその代理とするか、あるいはプリペイドカード、デジタルウォレットなどのプリペイド方式のシステムに代えてもよい。
【0040】
任意のステップ104において、ユーザはPINを入力して自身が権限を付与されたユーザであることを証明する。次に、通信装置12は、識別シーケンスまたはIDを取得してそれをNOC20に送信する。物標14および起動装置16はそれぞれ一意のIDを有してもよく、NOC20は、所望のセキュリティレベルに応じてそのうちの1つまたは両方を要求するか、あるいはどちらも要求しない。IDは、英数字、2進値または特性信号(例えば、帯域フィルタまたはデジタル信号プロセッサによって処理するように設計されたもの)などの、あらゆる適切な様式にフォーマットされてもよい。これは、ユーザの手動入力によって(フロー経路「A」)、または起動装置からの送信によって(フロー経路「B」)実行されてもよい。フロー経路「A」では、IDはステップ106においてユーザによって手動で入力される。物標のIDは、例えば、物標の上に印刷されていてもよく、起動IDは起動装置16上に印刷されていてもよい。
【0041】
フロー経路「B」では、IDはユーザによって手動で入力されるのではなく、起動装置、物標またはユーザの接続拠点にある別個のソースに記憶されている。IDは、起動装置16のメモリに記憶されても、物標14の上に印刷されても、物標14から取得されてもよく、あるいはユーザの接続拠点18にある別個のソースからアクセスされてもよい。IDがユーザによって入力されるのではなく別のソースから取得されるフロー経路「B」では、プロセス100は、ユーザからの電話を受けることなくNOC20によって直接開始することができる。
【0042】
一部の実施例では、IDの取得がまったく必要とされなくてもよい。例えばある宣伝的応用例では、消費者が電話をかける特定の電話番号がデフォルト設定により物標のIDを決定する。NOC20が電話を開始する場合には、すでに物標のIDを知っていてもよい。
【0043】
ユーザまたはNOCによる開始後、NOC20は開始信号を通信装置12に送信し(ステップ108)、通信装置12は次に、開始信号を起動装置16に送信する(ステップ110)。開始信号は、英数字、2進値、特性信号、またはいずれか他の適切なフォーマットであってもよい。このステップは、例えば、NOC20によって生成される音響信号を介して、またはNOC20からの指示を受取り次第起動装置16に音響開始信号を送信する通信装置12に常駐のJ2MEアプリケーションによって実行されてもよい。起動装置16は、開始信号を受取ると通信装置12を「起こし」、これにIDを送信する(ステップ112)。起動装置16から通信装置12へのIDの送信は音響によるのが好ましい。あるいはこれに加えて、起動装置16は、開始信号を受取ると物標自体からIDを取得することを要求してもよい。これは、起動装置16から物標14に電力または電気信号を供給することにより達成されてもよい。物標14内のロジックは、起動装置16を「起こして」これに対してIDを出力し、起動装置16はIDを通信装置12に再送信する。
【0044】
手動または自動のいずれかで物標14および/または起動装置16からIDを取得した後、通信装置12はIDをNOC20に送信する。IDは音響音声または音声信号としてNOC20に中継されるのが好ましい。この送信は、自動で、またはユーザが介入(すなわち、ユーザが電話のキーパッドにある「認証」キー/ボタンなどを押す)してのいずれで発生させてもよい。NOC20は、IDを受取るとユーザに関する情報および記録にアクセスして、そのユーザが物標14を起動する権限を得ているかを判定する。NOC20がアクセスする情報および記録は、(a)ユーザが電話をかけるのに使う通信装置12に関連付けられたユーザのIDおよび電話番号、および/またはユーザのアカウントに関連付けられた電話番号に基づくユーザに関する情報、(b)ユーザが電話をかける電話番号、(c)起動装置16、(d)物標14、および(e)接続拠点18、のいくつかまたはすべてを含んでいてもよい。NOC20は決定規準にアクセスしてもよい。NOC20は、アクセスした情報/記録および決定規準に基づいて起動信号を生成し、これを通信装置12に送信する(ステップ116)。起動信号は、英数字、2進値、特性信号、またはいずれか他の適切な信号フォーマットであってもよい。
【0045】
通信装置12は、起動信号を受取った後起動信号を起動装置16に再送信する(ステップ118)。上述のごとく、起動装置16は、電気信号または他の信号を物標14に提供するように配置される。起動信号は、自動で、または何らかの形でユーザが介入することにより送信されてもよい。ユーザは、例えば、使用料に対する自身の最終的な承諾または確認/認証を示してもよい。起動装置16は、起動信号を受取った後電気信号を物標14に対して出力する(ステップ120)。起動装置16から送信される電気信号によって光学媒体の何らかの特性が変更される。これにより、例えば、光学媒体に含まれる材料の状態を変化させて(例えば、透明から不透明に)、光学媒体の書込み可能性または読取り可能性を変えてもよい。
【0046】
最後に、方法100において交換される様々な信号は符号化/暗号化されてもよく、符号化/暗号化、復号化/暗号解読プロセスの様々なステップが、NOC20、起動装置16および物標14において(別々にまたは組み合わせて)発生してもよい。例えば、権限付与シーケンスは、起動装置16および物標14に配置された符号および/またはIDの組み合わせに依存してもよい。
【0047】
本発明の様々な実施形態を説明してきたが、本発明の範囲内にあるさらに多くの実施形態および実施例が可能であることが当業者には明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図面中の構成要素は必ずしも縮尺どおりではなく、その代わりに本発明の主旨を説明することに重点が置かれている。図面中、同様の参照番号は異なる図面全体を通して対応する部分を示している。
【図1】本発明による無線起動システムのブロック図である。
【図2】本発明による光学媒体装置のブロック図である。
【図3a】本発明による起動装置のブロック図である。
【図3b】本発明による起動装置のブロック図である。
【図3c】本発明による起動装置のブロック図である。
【図4】本発明による物標および起動装置の一実施例の図である。
【図5】本発明による物標および起動装置の他の実施例の図である。
【図6】本発明による無線起動方法のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物標を無線で起動する方法であって、
ユーザが前記物標を起動する権限を得ているかを判定すること、
この判定に基づいて起動信号を生成して前記起動信号をサードパーティからユーザの通信装置に送信すること、
前記起動信号を前記ユーザの通信装置から前記物標に近接した起動装置に無線で送信すること、
前記物標の少なくとも1つの物理的特性を変化させる信号を前記起動装置から前記物標に与えることにより前記物標を起動すること、
を有する方法。
【請求項2】
前記判定は前記ユーザにより前記通信装置に手動で入力されるIDを参照して行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記判定は前記起動装置、前記物標、または前記ユーザの接続拠点にある別のソースからサードパーティにより自動で取得されるIDを参照して行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記通信装置により前記起動装置に送信される前記起動信号は音響信号であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記通信装置は電話であり、前記起動信号が前記電話のスピーカーから前記起動装置のマイクに送信されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
電気信号を与えることにより変更されて認知可能性に影響を与える光学媒体。
【請求項7】
前記光学媒体は電気信号の印加に応答して変化する光学的特性を有する電気光学材料を含むことを特徴とする、請求項6に記載の光学媒体。
【請求項8】
前記光学媒体は権限付与者に提供する、前記電気信号の印加に応答して変更されるIDをさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の光学媒体。
【請求項9】
前記光学媒体に近接した通信装置から音響信号を発信して、前記光学媒体の少なくとも1つの光学的特性を変化させることを有する、
光学媒体内のコンテンツへのアクセスを規制する方法。
【請求項10】
起動装置が前記通信装置から前記音響信号を受取って光学ディスクに含まれる電気光学材料に電気信号を与えることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
無線起動システムであって、
起動すべき物標と、
前記物標に電気信号を与えて物標の少なくとも1つの物理的特性を変化させることにより前記物標を起動する起動装置と、
前記起動装置に起動信号を与えて前記物標の起動を許可する通信装置と、
前記通信装置により提供された情報に応答して前記物標の起動に関与するサードパーティと、
を含むシステム。
【請求項12】
前記物標は電気信号が与えられると変化する少なくとも1つの光学的特性を有する光学媒体を含むことを特徴とする、請求項11に記載の無線起動システム。
【請求項13】
前記光学媒体はエレクトロクロマティック材または液晶材を含むことを特徴とする、請求項12に記載の無線起動システム。
【請求項14】
前記起動装置は前記光学媒体に近接して配置され前記通信装置と通信するステッカーであることを特徴とする、請求項12に記載の無線起動システム。
【請求項15】
電気信号の印加に応答して変化し、その変化が前記光学媒体のアクセス可能性に影響を与え可逆的で繰返し可能な少なくとも1つの光学的特性を有する材料を含む光学媒体を有する、
物品。
【請求項16】
前記材料と接触して電気信号を膜に与える入力インタフェース要素をさらに有する、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記入力インタフェース要素は前記信号の電力成分を前記材料に与え前記信号のデータ成分を用いて付与する電力を規制することを特徴とする、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
前記光学媒体は光学ディスクまたはクレジットカードに埋め込まれたホログラムであることを特徴とする、請求項16に記載の物品。
【請求項19】
光学媒体を無線で起動する方法であって、
ユーザからIDを取得して前記ユーザが前記光学媒体を起動させる権限を得ているかを判定すること、
前記光学媒体に近接した起動装置に起動信号を無線で送信して前記光学媒体を起動する権限を付与すること、
前記起動装置から前記光学媒体に電気信号を送信して前記光学媒体の少なくとも1つの特性を変化させて前記光学媒体を起動すること、
を含む方法。
【請求項20】
電池として構成された薄膜またはゲルを組み込んだ光学媒体であって、外部からの電気信号を前記薄膜またはゲルに与えることにより前記電池を動作可能または不能にする光学媒体。
【請求項21】
起動可能に構成された物品であって、
光学媒体と、
前記光学媒体と接触し電気信号の印加により変化して光学媒体の読取り可能性または書込み可能性に影響を与える少なくとも1つの光学的特性を有する材料と、
前記材料に近接して前記材料に電気信号を与える取外し可能な起動装置と、
を含む物品。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−502486(P2007−502486A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522043(P2006−522043)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/024419
【国際公開番号】WO2005/013078
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レーザーディスク
【出願人】(505472805)ケストレル ワイヤレス,インク. (1)
【Fターム(参考)】