説明

無線通信システム、無線基地局、無線移動局、および無線通信システムにおけるループバック試験方法

【課題】無線移動局において、無線基地局との間の通信に障害を与えることなく、ループバック試験が可能な無線通信システム、無線基地局、無線移動局、および無線通信システムにおけるループバック試験方法を提供する。
【解決手段】無線基地局1が、無線移動局2−1〜2−Mへループバック試験を行なう無線リソースを指定する割当情報を送信する。無線移動局2−1〜2−Mが、無線基地局1から割当情報を受信する。無線移動局2−1〜2−Mが、割当情報で指定された無線リソースにおいて、ループバック試験用の第1のテストデータを送信する。無線移動局2−1〜2−Mが、第1のテストデータが自局内で折り返された第2のテストデータを受信する。無線移動局2−1〜2−Mが、第1のテストデータと第2のテストデータとが一致するか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、無線基地局、無線移動局、および無線通信システムにおけるループバック試験方法に関し、特に時分割多重方式の無線通信システム、無線基地局、無線移動局、および無線通信システムにおけるループバック試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、時分割多重方式の無線通信システムの無線基地局において、ループバック試験が行なわれている。
【0003】
たとえば、特許文献1に記載の無線基地局では、送信部からの出力信号を分岐して受信部に入力させレベル測定や歪調整を行ない、送信部の呼処理試験を行なうときは受信部を移動局に擬似させ、受信部の呼処理試験を行なうときは送信部を移動局に擬似させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−152561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の無線通信システムでは、無線移動局においてのループバック試験が具体的に記載されていない。無線移動局が、自局で勝手なタイミングで、ループパック試験を行なうとすると無線基地局との間の通信に障害を与えてしまう。
【0006】
それゆえに、本発明の目的は、無線移動局において、無線基地局との間の通信に障害を与えることなく、ループバック試験が可能な無線通信システム、無線基地局、無線移動局、および無線通信システムにおけるループバック試験方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、1個以上の無線移動局と無線基地局からなる無線通信システムであって、無線移動局は、第1のアンテナと、第1のアンテナを通じて無線基地局への信号を送信する第1の送信部と、第1のアンテナを通じて無線基地局からの信号を受信する第1の受信部と、第1の送信部から出力された信号を第1のアンテナに出力するとともに、第1の受信部に折返し出力し、第1のアンテナからの信号を第1の受信部に出力する第1のルーティング部とを備え、第1の受信部は、無線基地局からループバック試験を行なう無線リソースを指定する割当情報を受信し、第1の送信部は、割当情報で指定された無線リソースを用いて、ループバック試験用の第1のテストデータを送信し、第1の受信部は、第1のテストデータが第1のルーティング部で折返された第2のテストデータを受信し、無線移動局は、さらに、第1のテストデータと第2のテストデータとが一致するか否かを判定する第1のテスト制御部を備え、無線基地局は、第2のアンテナと、第2のアンテナを通じて無線移動局への信号を送信する第2の送信部と、第2のアンテナを通じて無線移動局からの信号を受信する第2の受信部とを備え、第2の送信部は、無線移動局へ割当情報を送信する。
【0008】
好ましくは、無線基地局は、さらに第2の送信部から出力された信号を第2のアンテナに出力するとともに、第2の受信部に折返し出力し、第2のアンテナからの信号を第2の受信部に出力する第2のルーティング部を備え、第2の送信部は、割当情報で指定された無線リソースを用いて、ループバック試験用の第3のテストデータを送信し、第2の受信部は、第3のテストデータが第2のルーティング部で折返された第4のテストデータを受信し、無線基地局は、さらに、第3のテストデータと第4のテストデータとが一致するか否かを判定する第2のテスト制御部を備える。
【0009】
好ましくは、無線基地局と無線移動局との間は、OFDMA(直交周波数分割多元接続)方式で変調された信号が送受信され、割当情報は、OFDMAのあるアップリンクサブフレーム内のあるデータバースト領域をループバック試験を行う無線リソースとして指定する。
【0010】
好ましくは、第1のルーティング部は、第1の端子、第2の端子、および第3の端子を有し、回転方向が第1の端子、第2の端子、第3の端子の順となるサーキュレータであり、第1の端子と第1の送信部が接続し、第2の端子と第1のアンテナとが接続し、第3の端子と第1の受信部とが接続し、第1の送信部は、アップリンク期間に指定されたループパック試験用のデータバースト領域に第1のテストデータを割当てて送信し、第1の受信部は、アップリンク期間において第1のルーティング部の第1の端子から第3の端子への漏洩信号を受信して指定されたループバック試験用のデータバースト領域において第2のテストデータを取り出し、第2のルーティング部は、第1の端子、第2の端子、および第3の端子を有し、回転方向が第1の端子、第2の端子、第3の端子順となるサーキュレータであり、第1の端子と第2の送信部が接続し、第2の端子と第2のアンテナがと接続し、第3の端子と第2の受信部とが接続し、第2の送信部は、アップリンク期間に指定されたループバック試験用のデータバースト領域に第3のテストデータを割当てて送信し、第2の受信部は、アップリンク期間において第2のルーティング部の第1の端子から第3の端子への漏洩信号を受信して指定されたループバック試験用のデータバースト領域において第4のテストデータを取り出す。
【0011】
好ましくは、第1の送信部は、自局にユーザデータの送信割当てがある場合に、さらにアップリンク期間に割当てられたユーザデータ用のデータバースト領域にユーザデータを割当てて第1のテストデータとユーザデータとを多重化して送信し、第2の受信部は、いずれかの無線移動局にユーザデータの送信割当てがある場合に、さらにアップリンク期間に、第2のルーティング部から漏洩信号と第2のアンテナからの信号とが多重化された信号を受信し、割当てられたユーザデータ用のデータバースト領域においてユーザデータを取り出す。
【0012】
好ましくは、無線基地局と無線移動局との間は、OFDMA(直交周波数分割多元接続)方式で変調された信号が送受信され、割当情報は、OFDMAのあるダウンリンクサブフレーム内のあるデータバースト領域をループバック試験を行う無線リソースとして指定する。
【0013】
好ましくは、第1のルーティング部は、第1の端子、第2の端子、および第3の端子を有し、回転方向が第1の端子、第2の端子、第3の端子順となるサーキュレータであり、第1の端子と第1の送信部が接続し、第2の端子と第1のアンテナとが接続し、第3の端子と第1の受信部とが接続し、第1の送信部は、ダウンリンク期間に指定されたループバック試験用のデータバースト領域に第1のテストデータを割当てて送信し、第1の受信部は、ダウンリンク期間において第1のルーティング部の第1の端子から第3の端子への漏洩信号を受信して指定されたループバック試験用のデータバースト領域において第2のテストデータを取り出し、第2のルーティング部は、第1の端子、第2の端子、および第3の端子を有し、回転方向が第1の端子、第2の端子、第3の端子順となるサーキュレータであり、第1の端子と第2の送信部が接続し、第2の端子と第2のアンテナとが接続し、第3の端子と第2の受信部とが接続し、第2の送信部は、ダウンリンク期間に指定されたループパック試験用のデータバースト領域に第3のテストデータを割当てて送信し、第2の受信部は、ダウンリンク期間において第2のルーティング部の第1の端子から第3の端子への漏洩信号を受信して指定されたループバック試験用のデータバースト領域において第4のテストデータを取り出す。
【0014】
好ましくは、第1の受信部は、自局にユーザデータの受信割当てがある場合に、さらにダウンリンク期間に第1のルーティング部から漏洩信号と第1のアンテナからの信号とが多重化された信号を受信し、割当てられたユーザデータ用のデータバースト領域においてユーザデータを取り出し、第2の送信部は、いずれかの無線移動局にユーザデータの受信割当てがある場合に、さらにダウンリンク期間に割当てられたユーザデータ用のデータバースト領域にユーザデータを割当てて第3のテストデータとユーザデータとを多重化して送信する。
【0015】
また、本発明は、無線基地局と無線接続された無線移動局であって、第1のアンテナと、第1のアンテナを通じて無線基地局への信号を送信する第1の送信部と、第1のアンテナを通じて無線基地局からの信号を受信する第1の受信部と、第1の送信部から出力された信号を第1のアンテナに出力するとともに、第1の受信部に折返し出力し、第1のアンテナからの信号を第1の受信部に出力する第1のルーティング部とを備え、第1の受信部は、無線基地局からループバック試験を行なう無線リソースを指定する割当情報を受信し、第1の送信部は、割当情報で指定された無線リソースを用いて、ループバック試験用の第1のテストデータを送信し、第1の受信部は、第1のテストデータが第1のルーティング部で折返された第2のテストデータを受信し、無線移動局は、さらに、第1のテストデータと第2のテストデータとが一致するか否かを判定する第1のテスト制御部を備える。
【0016】
また、本発明は、無線移動局と無線接続された無線基地局であって、第2のアンテナと、第2のアンテナを通じて無線移動局への信号を送信する第2の送信部と、第2のアンテナを通じて無線移動局からの信号を受信する第2の受信部と、第2の送信部から出力された信号を第2のアンテナに出力するとともに、第2の受信部に折返し出力し、第2のアンテナからの信号を第2の受信部に出力する第2のルーティング部とを備え、第2の送信部は、無線移動局へループバック試験を行なう無線リソースを指定する割当情報を送信し、第2の送信部は、割当情報で指定された無線リソースを用いて、ループバック試験用の第3のテストデータを送信し、第2の受信部は、第3のテストデータが第2のルーティング部で折返された第4のテストデータを受信し、無線基地局は、さらに、第3のテストデータと第4のテストデータとが一致するか否かを判定する第2のテスト制御部を備える。
【0017】
また、本発明は、1個以上の無線移動局と無線基地局からなる無線通信システムにおけるループバック試験方法であって、無線基地局が、無線移動局へループバック試験を行なう無線リソースを指定する割当情報を送信するステップと、無線移動局が、無線基地局から割当情報を受信するステップと、無線移動局が、割当情報で指定された無線リソースを用いて、ループバック試験用の第1のテストデータを送信するステップと、無線移動局が、第1のテストデータが自局内で折返された第2のテストデータを受信するステップと、無線移動局が、第1のテストデータと第2のテストデータとが一致するか否かを判定するステップとを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、無線移動局において、無線基地局との間の通信に障害を与えることなく、ループバック試験が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態の無線通信システムを表わす図である。
【図2】無線移動局の構成を表わす図である。
【図3】無線基地局の構成を表わす図である。
【図4】第1の実施形態の無線通信システムのループバック試験の動作手順の例を説明するための図である。
【図5】第1の実施形態のループバック試験領域の割当情報とループバック試験領域の例を説明するための図である。
【図6】第2の実施形態の無線通信システムのループバック試験の動作手順の例を説明するための図である。
【図7】第2の実施形態のループバック試験領域の割当情報とループバック試験領域の例を説明するための図である。
【図8】第3の実施形態の無線通信システムのループバック試験の動作手順の例を説明するための図である。
【図9】第3の実施形態のループバック試験領域の割当情報とループバック試験領域の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
(構成)
図1は、本発明の実施形態の無線通信システムを表わす図である。
【0021】
図1を参照して、この無線通信システム3は、無線基地局1と、複数の無線移動局2−1〜2−Mとからなる。無線基地局1と無線移動局2−1〜2−Mとの間は、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access:直交周波数分割多元接続)方式で変調された信号が送受信される。
【0022】
図2は、無線移動局2−1の構成を表わす図である。他の無線移動局2−2〜2−Mもこれと同様である。
【0023】
図2を参照して、無線移動局2−1は、第1のアンテナ10と、第1のルーティング部12と、第1の送信部4と、第1の受信部22と、第1のテスト制御部42と、第1のユーザデータ/制御データ制御部40とを備える。
【0024】
第1の送信部4は、第1のアンテナ10を通じて無線基地局1への信号を送信する。
第1の送信部4は、変調マッピング部36と、OFDMA多重化部32と、DAC(Digital Analog Converter)28と、周波数変換器24と、パワーアンプ14とを備える
変調マッピング部36は、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、または16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)などの変調方式を用いて信号点にマッピングする。
【0025】
OFDMA多重化部32は、ユーザに割当てられたユーザデータ、ループパック試験用のテストデータ、マップ情報などをOFDMAのフレーム構造で多重化する。OFDMAのフレームは、OFDMAシンボル(時刻)とサブチャネル(周波数)の2つの軸を有する。
【0026】
DAC28は、デジタル信号をアナログ信号に変換する。
周波数変換器24は、アナログ信号に変換された中間周波数帯の信号を無線周波数帯にアップコンバートする。
【0027】
パワーアンプ14は、無線周波数帯の信号を増幅する。
第1の受信部22は、第1のアンテナ10を通じて無線基地局1からの信号を受信する。
【0028】
第1の受信部22は、パワーアンプ16と、周波数変換器26と、ADC(Analog digital Converter)30と、OFDMA分割部34と、復調デマッピング部38とを備える。
【0029】
パワーアンプ16は、受信した無線周波数帯の信号を増幅する。
周波数変換器26は、無線周波数帯の信号を中間周波数帯にダウンコンバートする。
【0030】
ADC30は、アナログ信号にデジタル信号に変換する。
OFDMA分割部34は、OFDMAフレーム構造で多重化されたデータを分解して、ユーザデータ、テストデータ、マップ情報などを抽出する。
【0031】
復調デマッピング部38は、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、または16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)などの変調方式を用いて信号点にマッピングされたデータをデマッピングする。
【0032】
第1のルーティング部12は、第1の端子S1、第2の端子S2、および第3の端子S3を有し、回転方向が第1の端子S1、第2の端子S2、第3の端子S3の順となるサーキュレータで構成される。第1の端子S1と第1の送信部4が接続し、第2の端子S2と第1のアンテナ10とが接続し、第3の端子S3と第1の受信部22とが接続している。
【0033】
無線基地局2−1が無線基地局1へ信号を送信する時、すなわちアップリンク期間には、第1のルーティング部12(サーキュレータ)のルーティング機能(出力経路制御機能)によって、第1の送信部4から第1の端子S1に入力された信号が、第2の端子S2に出力されて第1のアンテナ10に送られる。
【0034】
無線基地局2−1が無線基地局1からの信号を受信する時、すなわちダウンリンク期間には、第1のルーティング部12(サーキュレータ)のルーティング機能(出力経路制御機能)によって、第1のアンテナ10から第2の端子S2に入力された信号が、第3の端子S3に出力されて第1の受信部22に送られる。
【0035】
アップリンク期間およびダウンリンク期間のいずれにおいても、端子S1と端子S3とは絶縁されている。しかし、これらの端子間は完全に絶縁されているわけではなく、端子S1に入力された信号が端子S3へ漏洩する。第1の送信部4から出力されたループバック試験用の第1のテストデータは、このサーキュレータの漏洩特性を利用して、第1の受信部22へ第2のテストデータとして折返される。
【0036】
第1のテスト制御部42は、第1の送信部4を制御してループバック試験用の第1のテストデータの送信を制御する。また、第1のテスト制御部42は、第1の受信部22を制御して第1のテストデータが第1のルーティング部12で漏洩により折返されたデータである第2のテストデータの受信を制御する。また、第1のテスト制御部42は、第1のテストデータと第2のテストデータが一致するか否かを判定する。
【0037】
第1のユーザデータ/制御データ制御部40は、アップリンク期間に無線基地局2−1にユーザデータの送信割当がある場合には、第1の送信部4を制御してユーザデータの送信を制御する。第1のユーザデータ/制御データ制御部40は、ダウンリンク期間に無線基地局2−1にユーザデータの受信割当がある場合には、第1の受信部22を制御してユーザデータの受信を制御する。また、第1のユーザデータ/制御データ制御部40は、アップリンク期間に、第1の送信部4を制御して制御データの送信を制御する。第1のユーザデータ/制御データ制御部40は、ダウンリンク期間に、第1の受信部22を制御してDL_MAP(下りバーストの割当情報)およびUL_MAP(上りバーストの割当情報)などの制御データの受信を制御する。
【0038】
図3は、無線基地局1の構成を表わす図である。
図3を参照して、無線基地局1は、第2のアンテナ50と、第2のルーティング部52と、第2の送信部44と、第2の受信部62と、第2のテスト制御部82と、第2のユーザデータ/制御データ制御部80とを備える。
【0039】
第2の送信部44は、第2のアンテナ50を通じて無線移動局2−1〜2−Mへの信号を送信する。
【0040】
第2の送信部44は、無線移動局2−1〜2−Mの第1の送信部4と同様に、変調マッピング部36と、OFDMA多重化部32と、DAC(Digital Analog Converter)28と、周波数変換器24と、パワーアンプ14とを備える。これらについては説明を繰り返さない。
【0041】
第2の受信部62は、第2のアンテナ50を通じて無線移動局2−1〜2−Mからの信号を受信する。
【0042】
第2の受信部62は、無線移動局2−1〜2−Mの第1の受信部22と同様に、パワーアンプ16と、周波数変換器26と、ADC(Analog digital Converter)30と、OFDMA分割部34と、復調デマッピング部38とを備える。これらについては、説明を繰り返さない。
【0043】
第2のルーティング部52は、第1の端子S1、第2の端子S2、および第3の端子S3を有し、回転方向が第1の端子S1、第2の端子S2、第3の端子S3の順となるサーキュレータで構成される。第1の端子S1と第2の送信部44とが接続し、第2の端子S2と第2のアンテナ50とが接続し、第3の端子S3と第2の受信部62とが接続している。
【0044】
無線基地局1が無線移動局2−1〜2−Mへ信号を送信する時、すなわちダウンリンク期間には、第2のルーティング部52(サーキュレータ)のルーティング機能(出力経路制御機能)によって、第2の送信部44から第1の端子S1に入力された信号が、第2の端子S2に出力されて第2のアンテナ50に送られる。
【0045】
無線基地局1が無線移動局2−1〜2−Mからの信号を受信する時、すなわちアップリンク期間には、第2のルーティング部52(サーキュレータ)のルーティング機能(出力経路制御機能)によって、第2のアンテナ50から第2の端子S2に入力された信号が、第3の端子S3に出力されて第2の受信部62に送られる。
【0046】
アップリンク期間およびダウンリンク期間のいずれにおいても、端子S1と端子S3とは絶縁されている。しかし、これらの端子間は完全に絶縁されているわけではなく、端子S1に入力された信号が端子S3へ漏洩する。第2の送信部44から出力されたループバック試験用の第3のテストデータは、このサーキュレータの漏洩特性を利用して、第2の受信部62へ第4のデータとして折返される。
【0047】
第2のテスト制御部82は、第2の送信部44を制御してループバック試験用の第3のテストデータの送信を制御する。また、第2のテスト制御部82は、第2の受信部62を制御して第3のテストデータが第2のルーティング部52で漏洩により折返されたデータである第4のテストデータの受信を制御する。また、第2のテスト制御部82は、第3のテストデータと第4のテストデータが一致するか否かを判定する。
【0048】
第2のユーザデータ/制御データ制御部80は、ダウンリンク期間にいずれかの無線移動局2−1〜2−Mにユーザデータの受信割当がある場合には、第2の送信部44を制御してユーザデータの送信を制御する。第2のユーザデータ/制御データ制御部80は、アップリンク期間にいずれかの無線移動局2−1〜2−Mにユーザデータの送信割当がある場合には、第2の受信部62を制御してユーザデータの受信を制御する。また、第2のユーザデータ/制御データ制御部80は、アップリンク期間に、第2の受信部62を制御して制御データの受信を制御する。第2のユーザデータ/制御データ制御部80は、ダウンリンク期間に、第2の送信部44を制御してDL_MAP(下りバーストの割当情報)およびUL_MAP(上りバーストの割当情報)などの制御データの送信を制御する。
【0049】
(動作)
図4は、第1の実施形態の無線通信システムのループバック試験の動作手順の例を説明するための図である。図5は、第1の実施形態のループバック試験領域の割当情報とループバック試験領域の例を説明するための図である。ここでは、無線移動局2−1に上りバースト#2領域を用いたユーザデータの送信割当がある場合について説明する。
【0050】
図4および図5を参照して、まず、無線基地局1の第2の送信部44が、第Nタイムスロットのダウンリンク期間において、UL_MAP内に第Nタイムスロットの上りバースト#1領域をループバック試験領域に指定する割当情報を含むダウンリンクサブフレームを送信する(ステップS101)。
【0051】
次に、無線移動局2−1および無線移動局2−2の第1の受信部22が、第Nタイムスロットのダウンリンク期間において、UL_MAP内に第Nタイムスロットの上りバースト#1領域をループバック試験領域に指定する割当情報を含むダウンリンクサブフレームを受信する(ステップS102、103)
次に、無線基地局1が、第Nタイムスロットのアップリンク期間において、上りバースト#1領域においてループバック試験と上りバースト#2領域においてユーザデータの受信を行なう。すなわち、第2の送信部44が、第Nタイムスロットのアップリンク期間において、上りバースト#1領域に第3のテストデータを割当てて送信する。第2の受信部62は、第Nタイムスロットのアップリンク期間において第2のルーティング部52の第3の端子S3から第2の送信部44からの漏洩信号と第2のアンテナ50からの信号とが多重化された信号を受信して、上りバースト#1領域において第4のテストデータを取り出すとともに、上りバースト#2領域においてユーザデータを取り出す。第2のテスト制御部82は、第3のテストデータと第4のテストデータとが一致するか否かを判定する(ステップS104)。
【0052】
ステップS104と同時に、無線移動局2−1が、第Nタイムスロットのアップリンク期間において、上りバースト#1領域においてループバック試験と上りバースト#2領域においてユーザデータの送信を行なう。すなわち、第1の送信部4が、第Nタイムスロットのアップリンク期間において、上りバースト#1領域に第1のテストデータを割り当て、上りバースト#2領域にユーザデータを割当てて、第1のテストデータとユーザデータを多重化して送信する。第1の受信部22は、第Nタイムスロットのアップリンク期間において第1のルーティング部12の第3の端子S3から第1の送信部4からの漏洩信号を受信して上りバースト#1領域において第2のテストデータを取り出す。第1のテスト制御部42は、第1のテストデータと第2のテストデータとが一致するか否かを判定する(ステップS105)。
【0053】
ステップS104およびS105と同時に、無線移動局2−2が、第Nタイムスロットのアップリンク期間において、上りバースト#1領域においてループバック試験を行なう。すなわち、第1の送信部4が、第Nタイムスロットのアップリンク期間において、上りバースト#1領域に第1のテストデータを割当てて送信する。第1の受信部22は、第Nタイムスロットのアップリンク期間において第1のルーティング部12の第3の端子S3から第1の送信部4からの漏洩信号を受信して上りバースト#1領域において第2のテストデータを取り出す。第1のテスト制御部42は、第1のテストデータと第2のテストデータとが一致するか否かを判定する(ステップS106)。
【0054】
以上のように、第1の実施の形態の無線通信システムによれば、無線基地局1と複数の無線移動局2−1〜2−Mが、同一の上りデータバースト領域を用いて、ループバック試験を行なうので、無線基地局1と無線移動局2−1〜2−Mとの間の通信に障害を与えることがない。また、残りの上りデータバースト領域は、無線移動局2−1〜2−Mのユーザデータの通信に用いることができるので、ループバック試験による通信効率の劣化を最小限に抑えることができる。
【0055】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、ループバック試験領域の割当てが第1の実施形態と相違する。
【0056】
図6は、第2の実施形態の無線通信システムのループバック試験の動作手順の例を説明するための図である。図7は、第2の実施形態のループバック試験領域の割当情報とループバック試験領域の例を説明するための図である。ここでは、無線移動局2−1に下りバースト#2領域を用いたユーザデータの送信割当がある場合について説明する。

図6および図7を参照して、まず、無線基地局1の第2の送信部44が、第Nタイムスロットのダウンリンク期間において、DL_MAP内に第(N+1)タイムスロットの下りバースト#1領域をループバック試験領域に指定する割当情報を含むダウンリンクサブフレームを送信する(ステップS201)。
【0057】
次に、無線移動局2−1および無線移動局2−2の第1の受信部22が、第Nタイムスロットのダウンリンク期間において、DL_MAP内に第(N+1)タイムスロットの下りバースト#1領域をループバック試験領域に指定する割当情報を含むダウンリンクサブフレームを受信する(ステップS202、203)。
【0058】
次に、無線基地局1が、第(N+1)タイムスロットのダウンリンク期間において、下りバースト#1領域においてループバック試験と下りバースト#2領域においてユーザデータの送信を行なう。すなわち、第2の送信部44が、第(N+1)タイムスロットのダウンリンク期間において、下りバースト#1領域に第3のテストデータを割り当て、下りバースト#2領域にユーザデータを割当てて、第3のテストデータとユーザデータを多重化して送信する。第2の受信部62は、第(N+1)タイムスロットのダウンリンク期間において第2のルーティング部52の第3の端子S3から第2の送信部44からの漏洩信号を受信して下りバースト#1領域において第4のテストデータを取り出す。第2のテスト制御部82は、第3のテストデータと第4のテストデータとが一致するか否かを判定する(ステップS204)。
【0059】
ステップS204と同時に、無線移動局2−1が、第(N+1)タイムスロットのアップリンク期間において、下りバースト#1領域においてループバック試験と下りバースト#2領域においてユーザデータの受信を行なう。すなわち、第1の送信部4が、第(N+1)タイムスロットのダウンリンク期間において、下りバースト#1領域に第1のテストデータを割当てて送信する。第1の受信部22は、第(N+1)タイムスロットのダウンリンク期間において第1のルーティング部12の第3の端子S3から第1の送信部4からの漏洩信号と第1のアンテナ10からの信号とが多重化された信号を受信して、下りバースト#1領域において第2のテストデータを取り出すとともに、下りバースト#2領域においてユーザデータを取り出す。第1のテスト制御部42は、第1のテストデータと第2のテストデータとが一致するか否かを判定する(ステップS205)。
【0060】
ステップS204およびS205同時に、無線移動局2−2が、第(N+1)タイムスロットのダウンリンク期間において、下りバースト#1領域においてループバック試験を行なう。すなわち、第1の送信部4が、第(N+1)タイムスロットのダウンリンク期間において、下りバースト#1領域に第1のテストデータを割当てて送信する。第1の受信部22は、第(N+1)タイムスロットのダウンリンク期間において第1のルーティング部12の第3の端子S3からの第1の送信部4からの漏洩信号を受信して下りバースト#1領域において第2のテストデータを取り出す。第1のテスト制御部42は、第1のテストデータと第2のテストデータとが一致するか否かを判定する(ステップS206)。
【0061】
以上のように、第2の実施の形態の無線通信システムによれば、無線基地局1と複数の無線移動局2−1〜2−Mが、同一の下りデータバースト領域を用いて、ループバック試験を行なうので、無線基地局1と無線移動局2−1〜2−Mとの間の通信に障害を与えることがない。また、残りの下りデータバースト領域は、無線移動局2−1〜2−Mのユーザデータの通信に用いることができるので、ループバック試験による通信効率の劣化を最小限に抑えることができる。
【0062】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、ループバック試験領域の割当てが第1および第2の実施形態と相違する。
【0063】
図8は、第3の実施形態の無線通信システムのループバック試験の動作手順の例を説明するための図である。図9は、第3の実施形態のループバック試験領域の割当情報とループバック試験領域の例を説明するための図である。
【0064】
図8および図9を参照して、まず、無線基地局1の第2の送信部44が、第Nタイムスロットのダウンリンク期間において、DL_MAP(またはUL_MAP)内に第(N+1)タイムスロット全体をループバック試験領域に指定する割当情報を含むダウンリンクサブフレームを送信する(ステップS301)。
【0065】
次に、無線移動局2−1および無線移動局2−2の第1の受信部22が、第Nタイムスロットのダウンリンク期間において、DL_MAP内に第Nタイムスロット全体をループバック試験領域に指定する割当情報を含むダウンリンクサブフレームを受信する(ステップS302、303)。
【0066】
次に、無線基地局1が、第(N+1)タイムスロットおいて、ループバック試験を行なう。すなわち、第2の送信部44が、第(N+1)タイムスロットにおいて、第3のテストデータを割当てて送信する。第2の受信部62は、第(N+1)タイムスロットにおいて第2のルーティング部52の第3の端子S3から第2の送信部44からの漏洩信号を受信して第4のテストデータを取り出す。第2のテスト制御部82は、第3のテストデータと第4のテストデータとが一致するか否かを判定する(ステップS304)。
【0067】
ステップS304と同時に、無線移動局2−1が、第(N+1)タイムスロットにおいてループバック試験を行なう。すなわち、第1の送信部4が、第(N+1)タイムスロットにおいて、第1のテストデータを割当てて送信する。第1の受信部22は、第(N+1)タイムスロットにおいて第1のルーティング部12の第3の端子S3から第1の送信部4からの漏洩信号を受信して第2のテストデータを取り出す。第1のテスト制御部42は、第1のテストデータと第2のテストデータとが一致するか否かを判定する(ステップS305)。
【0068】
ステップS304およびS305と同時に、無線移動局2−2が、第(N+1)タイムスロットにおいてループバック試験を行なう。すなわち、第1の送信部4が、第(N+1)タイムスロットにおいて、第1のテストデータを割当てて送信する。第1の受信部22は、第(N+1)タイムスロットにおいて第1のルーティング部12の第3の端子S3から第1の送信部4からの漏洩信号を受信して第2のテストデータを取り出す。第1のテスト制御部42は、第1のテストデータと第2のテストデータとが一致するか否かを判定する(ステップS306)。
【0069】
以上のように、第3の実施の形態の無線通信システムによれば、無線基地局1と複数の無線移動局2−1〜2−Mが、同一のタイムスロットを用いて、ループバック試験を行なうので、無線基地局1と無線移動局2−1〜2−Mとの間の通信に障害を与えることがない。また、ループバック試験による通信効率の劣化を1タイムスロット分に抑えることができる。
【0070】
[変形例]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。たとえば、以下のような変形例も含まれる。
【0071】
(1) 第1のルーティング部12および第2のルーティング部52
本発明の実施形態では、第1のルーティング部12および第2のルーティング部52は、サーキュレータで実現されているものとして説明したが、これに限定するものではない。
【0072】
第1のルーティング部12は、第1の送信部4から出力された信号を第1のアンテナ10に出力するとともに第1の受信部22に折返し出力し、第1のアンテナ10からの信号を第1の受信部22に出力するルーティング機能(出力経路制御機能)を有するものであれば、どのようなものであってもよい。第1のルーティング部12は、たとえば、スイッチまたは分配器、またはこれらを組合せようなものであってもよい。第2のルーティング部52も同様である。
【0073】
(2) 無線基地局1のループバック試験
本発明の実施形態では、無線基地局1も、無線移動局2−1〜2−Mと同一のループバック試験領域(上りバースト領域、下りバースト領域、またはタイムスロット)で、ループバック試験を行なうものとしたが、これに限定するものではない。無線基地局1は、無線移動局2−1〜2−Mに対して、無線移動局2−1〜2−Mのループバック試験領域を指定するだけで、無線移動局2−1〜2−Mと別個のループバック試験領域でループバック試験を行なうこととしてもよい。このような場合でも、無線移動局2−1〜2−Mが無線基地局1の指示に基づかずに自ら勝手にループバック試験を決めてループバック試験を行なうことによる通信弊害を防止することができる点で従来よりも優れている。
【0074】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0075】
1 無線基地局、2−1〜2−M 無線移動局、3 無線通信システム、4 第1の送信部、10 第1のアンテナ、12 第1のルーティング部、14,16 パワーアンプ、22 第1の受信部、24,26 周波数変換器、28 DAC、30 ADC、32 OFDMA多重化部、34 OFDMA分割部、36 変調マッピング部、38 復調デマッピング部、40 第1のユーザデータ/制御データ制御部、42 第1のテスト制御部、44 第2の送信部、62 第2の受信部、50 第2のアンテナ、52 第2のルーティング部、80 第2のユーザデータ/制御データ制御部、82 第2のテスト制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1個以上の無線移動局と無線基地局からなる無線通信システムであって、
前記無線移動局は、
第1のアンテナと、
前記第1のアンテナを通じて前記無線基地局への信号を送信する第1の送信部と、
前記第1のアンテナを通じて前記無線基地局からの信号を受信する第1の受信部と、
前記第1の送信部から出力された信号を前記第1のアンテナに出力するとともに、前記第1の受信部に折返し出力し、前記第1のアンテナからの信号を前記第1の受信部に出力する第1のルーティング部とを備え、
前記第1の受信部は、前記無線基地局からループバック試験を行なう無線リソースを指定する割当情報を受信し、
前記第1の送信部は、前記割当情報で指定された無線リソースを用いて、ループバック試験用の第1のテストデータを送信し、
前記第1の受信部は、前記第1のテストデータが前記第1のルーティング部で折返された第2のテストデータを受信し、
前記無線移動局は、さらに、
前記第1のテストデータと前記第2のテストデータとが一致するか否かを判定する第1のテスト制御部を備え、
前記無線基地局は、
第2のアンテナと、
前記第2のアンテナを通じて前記無線移動局への信号を送信する第2の送信部と、
前記第2のアンテナを通じて前記無線移動局からの信号を受信する第2の受信部とを備え、
前記第2の送信部は、前記無線移動局へ前記割当情報を送信する、無線通信システム。
【請求項2】
前記無線基地局は、さらに
前記第2の送信部から出力された信号を前記第2のアンテナに出力するとともに、前記第2の受信部に折返し出力し、前記第2のアンテナからの信号を前記第2の受信部に出力する第2のルーティング部を備え、
前記第2の送信部は、前記割当情報で指定された無線リソースを用いて、ループバック試験用の第3のテストデータを送信し、
前記第2の受信部は、前記第3のテストデータが前記第2のルーティング部で折返された第4のテストデータを受信し、
前記無線基地局は、さらに、
前記第3のテストデータと前記第4のテストデータとが一致するか否かを判定する第2のテスト制御部を備えた、請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記無線基地局と前記無線移動局との間は、OFDMA(直交周波数分割多元接続)方式で変調された信号が送受信され、
前記割当情報は、OFDMAのあるアップリンクサブフレーム内のあるデータバースト領域を前記ループバック試験を行う無線リソースとして指定する、請求項2記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第1のルーティング部は、第1の端子、第2の端子、および第3の端子を有し、回転方向が前記第1の端子、前記第2の端子、前記第3の端子の順となるサーキュレータであり、前記第1の端子と前記第1の送信部が接続し、前記第2の端子と前記第1のアンテナとが接続し、前記第3の端子と前記第1の受信部とが接続し、
前記第1の送信部は、アップリンク期間に前記指定されたループパック試験用のデータバースト領域に第1のテストデータを割り当てて送信し、
前記第1の受信部は、アップリンク期間において前記第1のルーティング部の前記第1の端子から前記第3の端子への漏洩信号を受信して前記指定されたループバック試験用のデータバースト領域において第2のテストデータを取り出し、
前記第2のルーティング部は、第1の端子、第2の端子、および第3の端子を有し、回転方向が前記第1の端子、前記第2の端子、前記第3の端子順となるサーキュレータであり、前記第1の端子と前記第2の送信部が接続し、前記第2の端子と前記第2のアンテナがと接続し、前記第3の端子と前記第2の受信部とが接続し、
前記第2の送信部は、アップリンク期間に前記指定されたループバック試験用のデータバースト領域に第3のテストデータを割り当てて送信し、
前記第2の受信部は、アップリンク期間において前記第2のルーティング部の前記第1の端子から前記第3の端子への漏洩信号を受信して前記指定されたループバック試験用のデータバースト領域において第4のテストデータを取り出す、請求項3記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第1の送信部は、自局にユーザデータの送信割当てがある場合に、さらにアップリンク期間に割り当てられたユーザデータ用のデータバースト領域にユーザデータを割り当てて前記第1のテストデータと前記ユーザデータとを多重化して送信し、
前記第2の受信部は、いずれかの無線移動局にユーザデータの送信割当てがある場合に、さらにアップリンク期間に、前記第2のルーティング部から前記漏洩信号と前記第2のアンテナからの信号とが多重化された信号を受信し、割当てられたユーザデータ用のデータバースト領域においてユーザデータを取り出す、請求項4記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記無線基地局と前記無線移動局との間は、OFDMA(直交周波数分割多元接続)方式で変調された信号が送受信され、
前記割当情報は、OFDMAのあるダウンリンクサブフレーム内のあるデータバースト領域を前記ループバック試験を行う無線リソースとして指定する、請求項2記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記第1のルーティング部は、第1の端子、第2の端子、および第3の端子を有し、回転方向が前記第1の端子、前記第2の端子、前記第3の端子順となるサーキュレータであり、前記第1の端子と前記第1の送信部が接続し、前記第2の端子と前記第1のアンテナとが接続し、前記第3の端子と前記第1の受信部とが接続し、
前記第1の送信部は、ダウンリンク期間に前記指定されたループバック試験用のデータバースト領域に第1のテストデータを割り当てて送信し、
前記第1の受信部は、ダウンリンク期間において前記第1のルーティング部の前記第1の端子から前記第3の端子への漏洩信号を受信して前記指定されたループバック試験用のデータバースト領域において第2のテストデータを取り出し、
前記第2のルーティング部は、第1の端子、第2の端子、および第3の端子を有し、回転方向が前記第1の端子、前記第2の端子、前記第3の端子順となるサーキュレータであり、前記第1の端子と前記第2の送信部が接続し、前記第2の端子と前記第2のアンテナとが接続し、前記第3の端子と前記第2の受信部とが接続し、
前記第2の送信部は、ダウンリンク期間に前記指定されたループパック試験用のデータバースト領域に第3のテストデータを割り当てて送信し、
前記第2の受信部は、ダウンリンク期間において前記第2のルーティング部の前記第1の端子から前記第3の端子への漏洩信号を受信して前記指定されたループバック試験用のデータバースト領域において第4のテストデータを取り出す、請求項6記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記第1の受信部は、自局にユーザデータの受信割当てがある場合に、さらにダウンリンク期間に前記第1のルーティング部から前記漏洩信号と前記第1のアンテナからの信号とが多重化された信号を受信し、割当てられたユーザデータ用のデータバースト領域においてユーザデータを取り出し、
前記第2の送信部は、いずれかの無線移動局にユーザデータの受信割当てがある場合に、さらにダウンリンク期間に割り当てられたユーザデータ用のデータバースト領域にユーザデータを割り当てて前記第3のテストデータと前記ユーザデータとを多重化して送信する、請求項7記載の無線通信システム。
【請求項9】
無線基地局と無線接続された無線移動局であって、
第1のアンテナと、
前記第1のアンテナを通じて前記無線基地局への信号を送信する第1の送信部と、
前記第1のアンテナを通じて前記無線基地局からの信号を受信する第1の受信部と、
前記第1の送信部から出力された信号を前記第1のアンテナに出力するとともに、前記第1の受信部に折返し出力し、前記第1のアンテナからの信号を前記第1の受信部に出力する第1のルーティング部とを備え、
前記第1の受信部は、前記無線基地局からループバック試験を行なう無線リソースを指定する割当情報を受信し、
前記第1の送信部は、前記割当情報で指定された無線リソースを用いて、ループバック試験用の第1のテストデータを送信し、
前記第1の受信部は、前記第1のテストデータが前記第1のルーティング部で折返された第2のテストデータを受信し、
前記無線移動局は、さらに、
前記第1のテストデータと前記第2のテストデータとが一致するか否かを判定する第1のテスト制御部を備えた、無線移動局。
【請求項10】
無線移動局と無線接続された無線基地局であって、
第2のアンテナと、
前記第2のアンテナを通じて前記無線移動局への信号を送信する第2の送信部と、
前記第2のアンテナを通じて前記無線移動局からの信号を受信する第2の受信部と、
前記第2の送信部から出力された信号を前記第2のアンテナに出力するとともに、前記第2の受信部に折返し出力し、前記第2のアンテナからの信号を前記第2の受信部に出力する第2のルーティング部とを備え、
前記第2の送信部は、前記無線移動局へループバック試験を行なう無線リソースを指定する割当情報を送信し、
前記第2の送信部は、前記割当情報で指定された無線リソースを用いて、ループバック試験用の第3のテストデータを送信し、
前記第2の受信部は、前記第3のテストデータが前記第2のルーティング部で折返された第4のテストデータを受信し、
前記無線基地局は、さらに、
前記第3のテストデータと前記第4のテストデータとが一致するか否かを判定する第2のテスト制御部を備えた、無線基地局。
【請求項11】
1個以上の無線移動局と無線基地局からなる無線通信システムにおけるループバック試験方法であって、
前記無線基地局が、前記無線移動局へループバック試験を行なう無線リソースを指定する割当情報を送信するステップと、
前記無線移動局が、前記無線基地局から前記割当情報を受信するステップと、
前記無線移動局が、前記割当情報で指定された無線リソースを用いて、ループバック試験用の第1のテストデータを送信するステップと、
前記無線移動局が、前記第1のテストデータが自局内で折返された第2のテストデータを受信するステップと、
前記無線移動局が、前記第1のテストデータと前記第2のテストデータとが一致するか否かを判定するステップとを備えた、ループバック試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−177910(P2010−177910A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16994(P2009−16994)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】