説明

無線通信システムにおける旧システム情報に基づくランダムアクセスの防止

【課題】 制限期間に起因せずに旧システム情報を用いる問題に対処する移動極を提供すること
【解決手段】移動局(UE)による無効のシステム情報(SI)を伴うランダムアクセスを防止する方法は、システム情報(SI)が有効となる時刻より前にシステム情報(SI)を受信すること、システム情報(SI)が有効となる時刻前に、その時の時刻が新たなアクセスをブロックするオフセット以内であることを判定すること、及び少なくともシステム情報(SI)が有効となる時刻までランダムアクセスを遅延することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般的に無線通信に関し、特に、更新されたシステム情報メッセージを、ネットワーク構成要素、及びユーザ端末に提供する無線通信システムにおけるランダムアクセスの防止および対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(Third Generation Partnership Project:3GPP)のユニバーサル・モバイル・テレストリアル・システム(Universal Mobile Terrestrial System:UMTS)のロングターム・エボリューション(Lon Term evolution :LTE)システムのシステム情報は、以下に正しい動作のためのユーザ装置(UE)と呼称される無線通信移動局(wireless communication mobile station : MS)が必要とするパラメータを含む。この情報は、マスター情報ブロック(Master Information Block:MIB)及び幾つかのシステム情報ブロック(System Information Block:SIB)を含む異なる情報ブロックに分類される。UEは、常にその時に有効なシステム情報の組を用いることが求められる。システム情報(system information:SI)の変更を管理するために、変更期間の概念が用いられる。ネットワークがSIパラメータを変更することを必要とする場合、変更標示は、始めに変更期間として知られる期間に送信される。実際に変更されるSIは、次の変更期間に送信される。このフレームワークにより、アイドルモード又は接続モードにおいてユーザ装置がシステム情報変更標示を受け取り、次に変更されたSIを読み込むことが保証される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ユーザ装置が接続を確立することを試みる場合にSI変更が生じるとき、ユーザ装置は、旧SIを用いる可能性がある。
SI変更期間と無線資源制御(radio resource control:RRC)接続確立とが重なる場合の潜在的な問題の状態が以下に説明される。第1の状態は、3GPP技術文書R2−082942の説明に由来する。
【0004】
図1に例示された事例では、UEは、SI変更標示及びページを同時に受信する。代替的には、同様な問題は、UEがSI変更標示を受信した直後に送信することを決定する場合に生じる。次のランダム・アクセス・チャネル(random access channel:RACH)の試みは、変更期間の境界を越え、またUEがSIを読み込むのに時間を要するため、変更期間の境界の後に行われるUEのRACHの試みは、旧SIを用いる。このことは、UEが接続モードに移行した後に、PHICH期間又はPHICHリソースが失敗に導くように変更されるような問題となる。同一の問題は、少ない頻度だが、他のMIBパラメータの変更、セル制限状態の変更、時分割複信(time division duplex:TDD),UL又はDL分割における変更、RACHの試みの失敗及び他のUEへの干渉に導くRACHパラメータ(例えば、ルート順序、PRACH資源、プリアンブル分割、ランダムアクセス(random access:RA)応答ウインドウ、プリアンブル_トランス_マックス(preamble_trans_max))の何れかの変更、及びUEの違反によるアクセスクラス制限の切り替え等に起因する。
【0005】
図2に例示された事例では、UEは、SIが変更される変更期間に送信するが、UEのページング機会の前に送信を開始するため、UEは、時にSIの変更を認識しない。この状態では、UEによりSI変更標示に対するページングの監視を継続することが要求され、このことは、3GPPの技術文書R2−082942の提案1に反している。UEがSI変更標示を受信する場合、UEは、変更されたSIを受信することができずに、上記の全ての問題が起こり得る。
【0006】
図3に例示された他の事例では、変更期間の境界に達する場合、UEは、RACHの試みを中断し、UEは、新たなSIを読み出し、RACHの試みを再度開始する。具体的には、変更期間の境界において、UEは、T300を中断し、MIB,SIB1,SIB2の読み込みを開始する。変更期間の境界後、UEは、MIB,SIB1,SIB2を読み込むまでRACHを行わない。修正期間の境界後、且つMIB,SIB1,SIB2を読み出した後に、UEは、RACHが送信されるまで、RACH応答を受信せず、又はRACH応答に応じて動作しない(これにより、UEが変更期間の境界前にRACHを送信して、変更期間の境界後にULの許可を示すRACH応答を受信することが回避される。UEは、SIを読み出す前に「mesg3」を送信すべきではないが、ULの許可はそれほど長く有効ではない。UEは、RACH応答を単に無視しなければならない。MIB,SIB1,SIB2を読み出した後に、UEは、RACHを再度送信する。)。図3では、UEは、MIB,SIB1,SIB2を読み込んだ後に、T300を再度開始し、RACHの手順を継続する。
【0007】
この解決手段に伴う問題は、SI変更が存在する度に、SIを読み込むまでUEが如何なるUL送信を実行することができないことである。SIの読み込みには、最も重要な情報に対して、1秒以上と300ミリ秒未満かかる可能性がある。この継続期間は、システムが容量を浪費する結果となり、且つUEの様々のアプリケーションを遅延するため、制限期間(blackout period)となる。この問題は、ピーク時間において管理目標を読み込むためにSIが比較的頻繁に変更される場合に特に重大となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1従来技術システムのアクセス処理の時系列を示す。
【図2】第2従来技術システムのアクセス処理の時系列を示す。
【図3】第3従来技術システムのアクセス処理の時系列を示す。
【図4】代替的なシステムのアクセス処理の時系列を示す。
【図5】他の代替的なアクセス処理の時系列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
開示された種々の形態、特徴及び利点は、以下に記載された添付図面とともに詳細な説明を十分に考慮することで当業者に対して十分に明確となるだろう。図面は、明確にするために簡潔化され、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。
【0010】
制限期間に起因せずに旧システム情報を用いる問題に対処する2つの実施形態が提供される。
図4は、有効期間のオフセット手法を示す。第1実施形態では、SIが有効である変更期間の前に、新たなMIB,SIB1,SIB2が「有効期間のオフセット」において送信される。新たなSIの有効期間の前、且つ「新たなアクセスをブロックするオフセット」時間後に、UEのRRCには、アクセス手順の開始が許可されない。予め開始されたアクセスには継続することが許可される。UEの無線資源制御(radio resource control:RRC)が「新たなアクセスをブロックするオフセット」時刻後に新たなアクセスを開始し、且つSI変更標示を検出する場合、UEは、そのアクセスの試みを中断する。SIが有効となる前にSIが送信された場合、その期間にセルに入るUEは、アクセス前の有効時期となるまで待機する。このようなUEは、SI(少なくともMIB,SIB1,SIB2)を読み込み、変更期間の境界及び「有効期間のオフセット」情報を得る。UEは、続いてSI変更標示を検出する。SI変更が標示された場合、UEは、少なくとも新たなSIを用いる前のSIの有効期間まで待機する。
【0011】
図5は、変更期間とSI有効期間との間のオフセット手法を示す。この実施形態では、変更期間とSI有効期間との間にオフセットが提供される(SI有効期間は、変更期間より有効期間のオフセットだけ遅い)。新たなSI有効期間前の「新たなアクセスをブロックするオフセット」時間後に、UEのRRCは、アクセス処理の開始を許可しない。予め開始されたアクセスには継続することが許可される。1ビットの「SI変更」標示は、MIBに含まれる。このことは、新たなSIが送信される第1変更期間において実行される。新たなSIが有効となる前に送信された場合、その期間に入るUEは、アクセス前の有効時期となるまで待機する。このようなUEは、MIBを読み込み、MIB内の「SI変更」標示を検出する。UEは、SIB1(及びSIB2)を読み込み、変更期間及び「有効期間のオフセット」を得て、次のSI有効期間前にUEが「有効期間のオフセット」以内であるかどうかを判定する。UEが「有効期間のオフセット」以内である場合、UEは、新たなSIを用いる前にSI有効期間まで待機する。
【0012】
本発明の開示及び本発明の開示の最良の形態は、当業者が本発明を実現し利用できるように説明してきたが、本明細書中に開示した例示の実施形態には等価なものが存在すること、また、修正や変更が、例示の実施形態ではなく追記の請求項によって限定される本発明の範囲及び技術思想から逸脱することなくなし得ることを理解し認識されたい。
【符号の説明】
【0013】
UE:移動局、SI:システム情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旧システム情報を用いたランダムアクセスを防止する無線通信移動局であって、
プロセッサに接続された送受信器を備え、
前記プロセッサは、システム情報を、前記システム情報が有効となる時刻より早く前記送受信器に受信させるように構成され、
前記プロセッサは、前記システム情報が有効となる時刻前に、その時の時刻が新たなアクセスをブロックするオフセット以内であることを判定するように構成され、
前記プロセッサは、少なくとも前記システム情報が有効となる時刻までランダムアクセスを遅延するように構成される、移動局。
【請求項2】
前記システム情報が有効となる時刻は、変更期間の開始時刻と一致する、請求項1に記載の移動局。
【請求項3】
前記システム情報が有効となる時刻は、変更期間の開始時刻より遅い、請求項1に記載の移動局。
【請求項4】
前記プロセッサは、変更されたシステム情報を前記送受信器に受信させるように構成され、
前記変更されたシステム情報の受信が、前記システム情報が有効となる時刻よりも先行する期間が前記基地局から受信される、請求項1に記載の移動局。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記システム情報が有効となる時刻前に、その時の時刻が前記新たなアクセスをブロックするオフセット前であることを判定することにより、前記システム情報が有効となる時刻前に、その時の時刻が新たなアクセスをブロックするオフセット以内であることを判定するように構成され、
前記プロセッサは、その時に有効なシステム情報を用いたランダムアクセスを継続するように構成される、請求項1に記載の移動局。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記受信されたシステム情報が、変更されたシステム情報であることを判定するように構成される、請求項1に記載の移動局。
【請求項7】
前記プロセッサは、システム情報変更標示を前記送受信器に受信させるように構成される、請求項1に記載の移動局。
【請求項8】
無線通信の基地局であって、
プロセッサに接続された送受信器を備え、
前記プロセッサは、変更されたシステム情報を、前記変更されたシステム情報が有効となる時刻よりも早く前記送受信器に送信させるように構成され、
前記プロセッサは、前記変更されたシステム情報が有効となる時刻より前に、新たなアクセスをブロックするオフセットまでアクセス開始の試みを許可しないことを移動局に指示するように構成される、基地局。
【請求項9】
前記変更されたシステム情報が有効となる時刻は、変更期間の開始時刻と一致する、請求項8に記載の基地局。
【請求項10】
前記システム情報が有効となる時刻は、変更期間の開始時刻より遅い、請求項8に記載の基地局。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記変更されたシステム情報の送信と同時に、システム情報変更標示を前記送受信器に送信させるように構成される、請求項8に記載の基地局。
【請求項12】
前記変更されたシステム情報は、有限の継続期間のためのシステム情報変更標示である、請求項8に記載の基地局。
【請求項13】
前記変更されたシステム情報の送信が、前記変更されたシステム情報が有効となる時刻よりも先行する期間が前記基地局から送信される、請求項8に記載の基地局。
【請求項14】
無線通信装置であって、
送受信器と、
前記送受信器に接続されたコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記送受信器により受信されたシステム情報を復号化し、且つ変更されたシステム情報が有効となる時刻より前に変更されたシステム情報を取得するように構成され、
前記コントローラは、接続確立の試みが無効のシステム情報を用いたアクセスの試みに起因する場合に接続確立を遅延させるように構成される、無線通信装置。
【請求項15】
前記コントローラは、システム情報が有効となる時刻より前に、その時の時刻が新たなアクセスをブロックするオフセットより早いと判定することにより、接続確立の試みが無効のシステム情報を用いたアクセスの試みに起因することを判定するように構成される、請求項14に記載の無線通信装置。
【請求項16】
前記コントローラは、前記再選択の実施を指示するように構成される、請求項14に記載の無線通信装置。
【請求項17】
前記コントローラは、基地局により送信された前記システム情報が後で有効であることを判定し、且つ前記システム情報が有効となるまで接続確立の試みを遅延するように構成される、請求項14に記載の無線通信装置。
【請求項18】
前記コントローラは、
前記システム情報が有効となる時刻より前に、その時の時刻が有効期間のオフセット以内であることを判定し、且つページングチャネルにおいてシステム情報変更標示を受信することにより、前記システム情報がその後有効であるかどうかを判定するように構成される、請求項16に記載の無線通信装置。
【請求項19】
前記コントローラは、前記システム情報が有効となる時刻より前に、その時の時刻が有効期間のオフセット以内であることを判定することにより、前記システム情報がその後有効であるかどうかを判定するように構成され、
前記コントローラは、前記システム情報からシステム情報変更標示を復号化するように構成される、請求項16に記載の無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−17206(P2013−17206A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−184068(P2012−184068)
【出願日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【分割の表示】特願2011−511908(P2011−511908)の分割
【原出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(510284071)モトローラ モビリティ エルエルシー (50)
【氏名又は名称原語表記】MOTOROLA MOBILITY LLC
【Fターム(参考)】