説明

無線通信システム及び無線通信方法

【課題】この発明は、無線ネットワークに常時参加せず、無線ネットワークを構築する各無線機の識別情報を持たない無線機を用いて、簡易な手法により、無線ネットワーク内の複数の無線機と任意選択的に通信を行なうことを可能とした無線通信システム及び無線通信方法を提供することを目的としている。
【解決手段】無線ネットワーク(16)を構成する複数の第1の無線機(11〜15)が出力する識別情報「A」〜「E」の中から、所定の識別情報「E」を有する第1の無線機(15)に対して、第2の無線機(23)から自己の識別情報「H」を含む通信要求を発生させ、所定の第1の無線機(15)が、当該通信要求に含まれる識別情報を第2の無線機(23)のものと判別したとき、当該第1の無線機(15)に第2の無線機(23)との通信を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の無線機で構築される無線ネットワークを対象とした無線通信システム及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、近年では、複数の無線機を、その任意の相互間で直接的に、または、その任意の相互間で1つ以上の無線機を中継して間接的に通信を可能とすることにより、全ての無線機相互間での通信を可能とするようにした無線ネットワークを構築する技術が開発されている。
【0003】
このような無線ネットワークにあっては、そのネットワークの外部から、ネットワークを構築する1つの無線機と通信することができれば、当該ネットワーク内のいずれの無線機とも任意選択的に通信を行なうことができることから、種々の分野での有効利用が考えられている。
【0004】
一例としては、それぞれが情報取得機能を有する複数の端末に、無線機を通信可能に接続し、各無線機を用いて無線ネットワークを構築すれば、そのネットワークの外部から、当該ネットワークを構築する任意の無線機と通信して、各端末で取得した情報を収集することが可能となる。
【0005】
具体的に言えば、ガスの供給事業者が、各世帯に設置されたメータ(端末)に、無線機を通信可能に接続し、各無線機を用いて無線ネットワークを構築すれば、メータの検針者は、自己の持つハンディターミナルに接続されたハンディ無線機を用いて、ネットワーク内の任意の無線機と通信することにより、各メータの検針結果を取得することができることになる。
【0006】
しかしながら、メータの検針者が持つハンディ無線機は、1つの無線ネットワークだけに限らず、複数の無線ネットワークに対して共用するために、通常、特定の無線ネットワークに参加していない状態、つまり、特定の無線ネットワーク内の各無線機と定常的に通信を行なっていない状態におかれる。
【0007】
また、このハンディ無線機は、各メータの識別情報を保持することはできるが、各メータに接続された無線機の識別情報までは保持することが困難な状況にある。すなわち、ガスの供給事業者では、各メータの識別情報は料金収集のために顧客情報と関連付けて管理しているが、無線機の識別情報は料金収集に無関係なため管理していないからである。
【0008】
さらに、各メータやそれに接続された無線機が、故障等によって交換されることを考慮すると、機器の設置工事を行なう担当者と、検針等を行なう担当者とが異なるため、ハンディ無線機側で、各メータの識別情報と無線機の識別情報とを常に最新の状態に管理しておくことが実際上困難なためでもある。
【0009】
このように、無線ネットワークに常時参加しておらず、無線ネットワークを構築する各無線機の識別情報を持たないハンディ無線機では、無線ネットワーク内の各無線機を指定することができないため、無線ネットワーク内の任意の無線機と通信を行なって各メータの検針情報を取得することができない状態になっている。
【0010】
特許文献1には、複数の無線端末のいずれもが、直接または他の1以上の無線端末を介して他の全ての無線端末と通信可能である無線通信ネットワークシステムにおいて、無線端末が他の無線端末に自らの存在を通知することにより、各無線端末間での直接通信の可能性を互いに認識するようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−013376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、この発明は上記事情を考慮してなされたもので、無線ネットワークに常時参加せず、無線ネットワークを構築する各無線機の識別情報を持たない無線機を用いて、簡易な手法により、無線ネットワーク内の複数の無線機と任意選択的に通信を行なうことを可能とした無線通信システム及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、この発明に係る無線通信システムは、それぞれが所定の周期で自己の識別情報を出力する複数の第1の無線機を、相互間で直接的に、または、相互間に1つ以上の第1の無線機を介して間接的に無線通信可能に構築してなる無線ネットワークと、無線ネットワーク内のいずれの第1の無線機とも定常的に通信を行なっておらず、無線ネットワークを構成する複数の第1の無線機が判別可能な識別情報を有する第2の無線機と、無線ネットワークを構成する複数の第1の無線機が出力する識別情報を受信し、所定の識別情報を有する第1の無線機に対して、第2の無線機から自己の識別情報を含む通信要求を発生させる発生手段と、発生手段で発生された通信要求を受信した第1の無線機が、当該通信要求に含まれる識別情報を第2の無線機のものと判別したとき、当該第1の無線機に第2の無線機との通信を実行させる制御手段とを備えるようにしたものである。
【0014】
また、この発明に係る無線通信方法は、それぞれが所定の周期で自己の識別情報を出力する複数の第1の無線機を、相互間で直接的に、または、相互間に1つ以上の第1の無線機を介して間接的に無線通信可能に構築してなる無線ネットワークと、無線ネットワーク内のいずれの第1の無線機とも定常的に通信を行なっておらず、無線ネットワークを構成する複数の第1の無線機が判別可能な識別情報を有する第2の無線機とを備えた無線通信システムを制御する方法を対象としている。そして、無線ネットワークを構成する複数の第1の無線機が出力する識別情報を受信し、所定の識別情報を有する第1の無線機に対して、第2の無線機から自己の識別情報を含む通信要求を発生させる工程と、発生された通信要求を受信した第1の無線機が、当該通信要求に含まれる識別情報を第2の無線機のものと判別したとき、当該第1の無線機に第2の無線機との通信を実行させる工程とを有するようにしたものである。
【発明の効果】
【0015】
上記した発明によれば、無線ネットワークに常時参加せず、無線ネットワークを構築する各無線機の識別情報を持たない無線機を用いて、簡易な手法により、無線ネットワーク内の複数の無線機と任意選択的に通信を行なうことを可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムを説明するために示す図。
【図2】同第1の実施の形態における無線通信システムを構成する無線機の一例を説明するために示すブロック構成図。
【図3】同第1の実施の形態における無線通信システムを構成するハンディ無線機の一例を説明するために示すブロック構成図。
【図4】同第1の実施の形態における無線通信システムの主要な処理動作の一部を説明するために示すフローチャート。
【図5】同第1の実施の形態における無線通信システムの主要な処理動作の残部を説明するために示すフローチャート。
【図6】同第1の実施の形態における無線通信システムで伝送される各部のデータを説明するために示す部。
【図7】この発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムを説明するために示す図。
【図8】同第2の実施の形態における無線通信システムの主要な処理動作の一部を説明するために示すフローチャート。
【図9】同第2の実施の形態における無線通信システムの主要な処理動作の残部を説明するために示すフローチャート。
【図10】同第2の実施の形態における無線通信システムで伝送される各部のデータを説明するために示す図。
【図11】この発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムを説明するために示す図。
【図12】同第3の実施の形態における無線通信システムの主要な処理動作の一部を説明するために示すフローチャート。
【図13】同第3の実施の形態における無線通信システムの主要な処理動作の残部を説明するために示すフローチャート。
【図14】同第3の実施の形態における無線通信システムで伝送される各部のデータを説明するために示す部。
【図15】この発明の第4の実施の形態に係る無線通信システムを説明するために示す図。
【図16】同第4の実施の形態における無線通信システムの主要な処理動作の一部を説明するために示すフローチャート。
【図17】同第4の実施の形態における無線通信システムの主要な処理動作の残部を説明するために示すフローチャート。
【図18】この発明の第5の実施の形態に係る無線通信システムを説明するために示す図。
【図19】同第5の実施の形態における無線通信システムの主要な処理動作を説明するために示すフローチャート。
【図20】この発明の第6の実施の形態に係る無線通信システムを説明するために示す図。
【図21】同第6の実施の形態における無線通信システムの主要な処理動作の一部を説明するために示すフローチャート。
【図22】同第6の実施の形態における無線通信システムの主要な処理動作の残部を説明するために示すフローチャート。
【図23】同第6の実施の形態における無線通信システムで伝送される各部のデータを説明するために示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムを示している。この第1の実施の形態に係る無線通信システムは、複数(図示の場合は5つ)の無線機11乃至15によって構築される無線ネットワーク16を備えている。
【0018】
この無線ネットワーク16を構築する各無線機11乃至15は、図1に点線で示すように、その任意の相互間で直接的に、または、その任意の相互間で他の無線機を中継して間接的に無線通信が可能となっており、無線ネットワーク16内の全ての無線機11乃至15相互間での無線通信が可能となっている。
【0019】
また、これらの無線機11乃至15は、それぞれ、例えばガスメータ等の検針機能を有する端末17乃至21と通信可能に接続されている。そして、各無線機11乃至15は、それぞれ、外部から検針情報の要求を受信すると、自己に接続されている端末17乃至21から検針情報を取得して、外部に送信することができる。
【0020】
また、検針者は、ハンディターミナルと称される携帯端末22と、それに通信可能に接続されたハンディ無線機23とを携帯している。このハンディ無線機23は、携帯端末22の操作に基づいて、無線ネットワーク16内の各無線機11乃至15と任意選択的に通信することが可能となっている。
【0021】
なお、このハンディ無線機23は、無線ネットワーク16に常時参加しているものではなく、つまり、無線ネットワーク16を構築する各無線機11乃至15と定常的に通信を行なっておらず、各無線機11乃至15の識別情報(無線機ID)を持っていないものとする。
【0022】
図2は、上記無線機11の信号処理系を示している。他の無線機12乃至15については、無線機11と同様な構成及び動作であるため、その説明を省略する。すなわち、この無線機11は、他の無線機12乃至15またはハンディ無線機23と無線通信するためのアンテナ11aを備えている。
【0023】
そして、アンテナ11aに受信された信号は、入出力端子11b及び無線送受信部11cを介して制御部11dに供給され解析される。この制御部11dは、図示しないCPU(central processing unit)等を内蔵しており、アンテナ11aで受信した信号の解析結果が反映されるように、無線機11の全ての処理動作を統括的に制御している。
【0024】
例えば、アンテナ11aで受信した信号が、端末17の検針情報を要求するものである場合、制御部11dは、インターフェース部11e及び入出力端子11fを介して端末17から検針情報を取得し、取得した検針情報を、無線送受信部11c、入出力端子11b及びアンテナ11aを介して送信する。
【0025】
なお、この制御部11dには、記憶部11g、操作部11h及び表示部11iが接続されている。このうち、記憶部11gには、制御部11dが処理動作を行なうために必要な各種の情報やワークエリア等が確保されている。また、操作部11hは、無線機11を起動させるための信号を制御部11dに供給する操作を行なうものである。さらに、表示部11iは、無線機11の状態を表示するために使用される。
【0026】
図3は、上記ハンディ無線機23の信号処理系を示している。このハンディ無線機23では、携帯端末22から出力される操作情報が、入出力端子23a及びインターフェース部23bを介して制御部23cに供給される。この制御部23cは、図示しないCPU等を内蔵しており、携帯端末22から供給された操作情報が反映されるように、ハンディ無線機23の全ての処理動作を統括的に制御している。
【0027】
すなわち、制御部23cは、携帯端末22から情報を送信する操作情報が供給されたとき、その操作情報に対応した送信信号を生成する。そして、制御部23cは、生成した送信信号を、無線送受信部23d、入出力端子23e及びアンテナ23fを介して外部に送信する。
【0028】
また、アンテナ23fに受信された信号は、入出力端子23e及び無線送受信部23dを介して制御部23cに供給され解析される。そして、制御部23cは、信号の解析結果を、インターフェース部23b及び入出力端子23aを介して、上記携帯端末22に出力している。
【0029】
なお、この制御部23cには、記憶部23g及び表示部23hが接続されている。このうち、記憶部23gには、制御部23cが処理動作を行なうために必要な各種の情報やワークエリア等が確保されている。また、表示部23hは、ハンディ無線機23の状態を表示するために使用される。
【0030】
ここで、再び図1に戻って説明すると、上記した無線ネットワーク16を構築する各無線機11乃至15は、それぞれ電池の電力で駆動されるもので、起動されると、自己の識別情報である無線機ID「A」乃至「E」と、自己に接続されている端末17乃至21の識別情報である端末ID「a」乃至「e」とを、一定の周期で送信している。
【0031】
そして、各無線機11乃至15は、それぞれ、他の無線機が送信した無線機ID及び端末IDを受信することにより、他の無線機の存在を検知し、無線ネットワーク16を構築している全ての無線機11乃至15の無線機ID「A」乃至「E」と、その無線機11乃至15に接続されている端末17乃至21の端末ID「a」乃至「e」と、各無線機11乃至15相互間の通信距離(ホップ数)とを示すテーブルT11乃至T15を作成する。このテーブルT11乃至T15は、各無線機11乃至15の記憶部(無線機11では11g)に保持される。
【0032】
なお、無線ネットワーク16内で、無線機11乃至15や端末17乃至21の追加、変更及び削除等が生じた場合でも、無線ネットワーク16内の全ての無線機は、それぞれ、他の無線機が送信した無線機ID及び端末IDを受信して、自己が保持しているテーブルの内容を自動的に更新する。
【0033】
また、上記したハンディ無線機23も電池の電力で駆動され、起動されると、自己の識別情報である無線機ID「H」を一定の周期で送信している。さらに、上記した携帯端末22も、自己の識別情報である端末ID「h」を有している。これらの無線機ID「H」及び端末ID「h」は、全ての検針者が所持するハンディ無線機及び携帯端末に共通な識別情報であって、どの無線ネットワークを構築している無線機でも、ハンディ無線機及び携帯端末であることが判別可能な情報となっている。
【0034】
上記した第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、以下、図4及び図5に示すフローチャートを参照して、その動作を説明する。まず、図4は、携帯端末22から端末18にデータの送信を行なう場合の動作例を示している。この動作は、検針者が携帯端末22を操作して、端末ID「b」を有する端末18に送信すべきデータを、ハンディ無線機23に送信することにより開始される。このデータは、図6(a)に示すように、送信元となる携帯端末22の端末ID「h」と、宛先となる端末18の端末ID「b」と、データ本体とを含んでいる。
【0035】
携帯端末22からのデータを受けたハンディ無線機23は、受信待ち状態となり、無線ネットワーク16内の各無線機11乃至15が一定周期で送信する無線機ID「A」乃至「E」のいずれかが受信されるまで待機する。図4では、無線機15が一定周期で送信する無線機ID「E」が、ハンディ無線機23に受信される例を示している。無線機ID「E」を受信すると、ハンディ無線機23は、無線機15に対して、自己の無線機ID「H」と、宛先となる無線機15の無線機ID「E」とを含む送信要求を送信する。
【0036】
送信要求を受信した無線機15は、自己宛の通信なので、ハンディ無線機23に対して送信を許可する。これにより、ハンディ無線機23は、図6(b)に示すように、図6(a)に示したデータに、さらに、送信元となるハンディ無線機23の無線機ID「H」と、宛先となる無線機15の無線機ID「E」とを付加したデータを、無線機15に送信する。
【0037】
ハンディ無線機23からの図6(b)に示すデータを受信した無線機15は、携帯端末22から端末18への通信データであることを確認して記憶する。また、この無線機15は、図6(c)に示すように、図6(b)に示したデータの無線区間の送信元の無線機IDを自己の「E」に書き替え、無線区間の宛先の無線機IDを無線機12の「B」に書き替えるとともに、送信元であるハンディ無線機23の無線機ID「H」を記憶する。これにより、以後、無線機15は、端末18から携帯端末22への通信データを受信した場合に、そのデータをハンディ無線機23に送信することができる。
【0038】
その後、無線機15は、ハンディ無線機23から受信したデータを端末18に送るために、テーブルT15を参照して無線機14との通信を行なうべく受信待ち状態となり、無線機14が一定周期で送信する無線機ID「D」が受信されるまで待機する。無線機14の無線機ID「D」が受信されると、無線機15は、無線機14に対して、自己の無線機ID「E」と、宛先となる無線機12の無線機ID「B」とを含む送信要求を送信する。
【0039】
送信要求を受信した無線機14は、自己宛の通信ではないが、宛先が無線機12であることを判別し、無線機15に対して送信を許可する。このため、無線機15は、図6(c)に示したデータを無線機14に送信する。
【0040】
以下、同様にして、図6(c)に示したデータが、無線機14から無線機11に送信され、無線機11から宛先となる無線機12に送信される。無線機11からの図6(c)に示すデータを受信した無線機12は、携帯端末22から自己に接続されている端末18への通信データであることを確認する。また、この無線機12は、送信元の端末ID「h」が携帯端末22専用の識別情報であることから、無線区間の送信元の無線機ID「E」を記憶する。これにより、以後、無線機12は、端末18から携帯端末22への通信データを受信した場合に、そのデータを無線機15に送信することができる。
【0041】
そして、無線機12は、受信した図6(c)に示すデータから、図6(d)に示すように、無線区間の送信元及び宛先を示す無線機ID「E」及び「B」を削除し、データ本体を宛先となる端末18に送信し、ここに、携帯端末22から端末18へのデータの送信が完了される。
【0042】
次に、図5は、端末18から携帯端末22にデータの送信を行なう場合の動作例を示している。この動作は、携帯端末22からのデータを受信した端末18が、それに返信するデータを、無線機12に送信することにより開始される。このデータは、図6(e)に示すように、送信元となる端末18の端末ID「b」と、宛先となる携帯端末22の端末ID「h」と、データ本体とを含んでいる。
【0043】
端末18からの図6(e)に示すデータを受信した無線機12は、端末18から携帯端末22への通信データであることを確認し、そのデータを携帯端末22に送るために、テーブルT12を参照して無線機11との通信を行なうべく受信待ち状態となり、無線機11が一定周期で送信する無線機ID「A」が受信されるまで待機する。無線機11の無線機ID「A」が受信されると、無線機12は、無線機11に対して、宛先となる無線機15の無線機ID「E」を含む送信要求を送信する。
【0044】
送信要求を受信した無線機11は、自己宛の通信ではないが、宛先が無線機15であることを判別し、無線機12に対して送信を許可する。このため、無線機12は、図6(f)に示すように、図6(e)に示したデータに、さらに、送信元となる無線機12の無線機ID「B」と、宛先となる無線機15の無線機ID「E」とを付加したデータを、無線機11に送信する。
【0045】
以下、同様にして、図6(f)に示したデータが、無線機11から無線機14に送信され、無線機14から宛先となる無線機15に送信される。無線機14からの図6(f)に示すデータを受信した無線機15は、端末18から携帯端末22への通信データであることを確認し、受信したデータをハンディ無線機23に送るために受信待ち状態となり、ハンディ無線機23が一定周期で送信する無線機ID「H」が受信されるまで待機する。ハンディ無線機23の無線機ID「H」が受信されると、無線機15は、ハンディ無線機23に対して、宛先となるハンディ無線機23の無線機ID「H」を含む送信要求を送信する。
【0046】
送信要求を受信したハンディ無線機23は、自己宛の通信なので、無線機15に対して送信を許可する。すると、無線機15は、図6(g)に示すように、図6(f)に示したデータの無線区間の送信元の無線機IDを自己の「E」に書き替えるとともに、無線区間の宛先の無線機IDをハンディ無線機23の「H」に書き替え、そのデータをハンディ無線機23に送信する。
【0047】
そして、ハンディ無線機23は、受信した図6(g)に示すデータから、図6(h)に示すように、無線区間の送信元及び宛先を示す無線機ID「E」及び「H」を削除し、データ本体を宛先となる携帯端末22に送信し、ここに、端末18から携帯端末22へのデータの送信が完了される。
【0048】
上記した第1の実施の形態によれば、携帯端末22の識別情報である端末ID「h」及びハンディ無線機23の識別情報である無線機ID「H」を共通化し、どの無線ネットワークを構築している無線機でも、ハンディ無線機及び携帯端末であることを判別することができるようにしている。
【0049】
これにより、無線ネットワーク16に常時参加せず、無線ネットワーク16を構築する各無線機11乃至15の無線機ID「A」乃至「E」を持たないハンディ無線機23を用いて、無線ネットワーク16内の複数の無線機11乃至15と任意選択的に通信を行なうことが可能となる。
【0050】
次に、図7は、この発明の第2の実施の形態を示している。図7において、図1と同一部分には同一符号を付して説明すると、無線ネットワーク16を構築する複数の無線機11乃至15は、図7に点線で示すように、その任意の相互間で直接的に、または、その任意の相互間で他の無線機を中継して間接的に無線通信が可能となっており、無線ネットワーク16内の全ての無線機11乃至15相互間での無線通信が可能となっている。
【0051】
そして、この第2の実施の形態では、無線ネットワーク16を構築する複数の無線機11乃至15のうち、いずれか1つ(図7では無線機11)をゲートウェイ無線機としている。このゲートウェイ無線機11は、無線ネットワーク16を構築している全ての無線機11乃至15の無線機ID「A」乃至「E」と、その無線機11乃至15に接続されている端末17乃至21の端末ID「a」乃至「e」と、自己から他の無線機12乃至15までのホップ数とを示すテーブルT21を保持している。
【0052】
また、無線ネットワーク16を構築する複数の無線機11乃至15のうち、ゲートウェイ無線機11以外の無線機12乃至15は、それぞれ、無線機ID「A」の無線機がゲートウェイ無線機11であることを認識しており、無線ネットワーク16を構築している全ての無線機11乃至15の無線機ID「A」乃至「E」と、自己に接続されている端末18乃至21の端末ID「b」乃至「e」と、自己から他の無線機までのホップ数とを示すテーブルT22乃至T25を保持している。
【0053】
上記した第2の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、以下、図8及び図9に示すフローチャートを参照して、その動作を説明する。まず、図8は、携帯端末22から端末18にデータの送信を行なう場合の動作例を示している。この動作は、検針者が携帯端末22を操作して、端末ID「b」を有する端末18に送信すべきデータを、ハンディ無線機23に送信することにより開始される。このデータは、図10(a)に示すように、送信元となる携帯端末22の端末ID「h」と、宛先となる端末18の端末ID「b」と、データ本体とを含んでいる。
【0054】
携帯端末22からのデータを受けたハンディ無線機23は、受信待ち状態となり、無線ネットワーク16内の各無線機11乃至15が一定周期で送信する無線機ID「A」乃至「E」のいずれかが受信されるまで待機する。図8では、無線機15が一定周期で送信する無線機ID「E」が、ハンディ無線機23に受信される例を示している。無線機ID「E」を受信すると、ハンディ無線機23は、無線機15に対して、自己の無線機ID「H」と、宛先となる無線機15の無線機ID「E」とを含む送信要求を送信する。
【0055】
送信要求を受信した無線機15は、自己宛の通信なので、ハンディ無線機23に対して送信を許可する。これにより、ハンディ無線機23は、図10(b)に示すように、図10(a)に示したデータに、さらに、送信元となるハンディ無線機23の無線機ID「H」と、宛先となる無線機15の無線機ID「E」とを付加したデータを、無線機15に送信する。
【0056】
ハンディ無線機23からの図10(b)に示すデータを受信した無線機15は、携帯端末22から端末18への通信データであることを確認して記憶する。また、この無線機15は、図10(c)に示すように、図10(b)に示したデータの無線区間の送信元の無線機IDを自己の「E」に書き替え、無線区間の宛先の無線機IDをゲートウェイ無線機11の「A」に書き替えるとともに、送信元であるハンディ無線機23の無線機ID「H」を記憶する。これにより、以後、無線機15は、端末18から携帯端末22への通信データを受信した場合に、そのデータをハンディ無線機23に送信することができる。
【0057】
その後、無線機15がハンディ無線機23から受信したデータは、ゲートウェイ無線機11に送られる。この無線機15からゲートウェイ無線機11へのデータの送信動作は、まず、無線機15が自己のテーブルT25を参照して、ハンディ無線機23から受信したデータを無線機14に送信する。その後、この無線機14が自己のテーブルT24を参照して、無線機15から受信した図10(c)に示すデータをゲートウェイ無線機11に送信することによって行なわれる。
【0058】
無線機14から図10(c)に示すデータを受信したゲートウェイ無線機11は、携帯端末22から端末18への通信データであることを確認し、無線ネットワーク16内でデータの送信元となった無線機15の無線機ID「E」を記憶する。これにより、以後、ゲートウェイ無線機11は、端末18から携帯端末22への通信データを受信した場合に、そのデータを無線機15に送信することができる。また、ゲートウェイ無線機11は、図10(d)に示すように、図10(c)に示したデータの無線区間の送信元の無線機IDを自己の「A」に書き替え、無線区間の宛先の無線機IDを無線機12の「B」に書き替える。
【0059】
その後、ゲートウェイ無線機11は、受信待ち状態となり、送信対象となる無線機12が一定周期で送信する無線機ID「B」が受信されるまで待機する。無線機ID「B」を受信すると、ゲートウェイ無線機11は、無線機12に対して、自己の無線機ID「A」と、宛先となる無線機12の無線機ID「B」とを含む送信要求を送信する。
【0060】
送信要求を受信した無線機12は、自己宛の通信であることを判別し、ゲートウェイ無線機11に対して送信を許可する。このため、ゲートウェイ無線機11は、図10(d)に示したデータを無線機12に送信する。すると、無線機12は、携帯端末22から自己に接続されている端末18への通信データであることを確認する。また、この無線機12は、送信元の端末ID「h」が携帯端末22専用の識別情報であることから、ゲートウェイ無線機11の無線機ID「A」を記憶する。これにより、以後、無線機12は、端末18から携帯端末22への通信データを受信した場合に、そのデータをゲートウェイ無線機11に送信することができる。
【0061】
そして、無線機12は、受信した図10(d)に示すデータから、図10(e)に示すように、無線区間の送信元及び宛先を示す無線機ID「A」及び「B」を削除し、データ本体を宛先となる端末18に送信し、ここに、携帯端末22から端末18へのデータの送信が完了される。
【0062】
次に、図9は、端末18から携帯端末22にデータの送信を行なう場合の動作例を示している。この動作は、携帯端末22からのデータを受信した端末18が、それに返信するデータを、無線機12に送信することにより開始される。このデータは、図10(f)に示すように、送信元となる端末18の端末ID「b」と、宛先となる携帯端末22の端末ID「h」と、データ本体とを含んでいる。
【0063】
端末18からの図10(f)に示すデータを受信した無線機12は、端末18から携帯端末22への通信データであることを確認し、そのデータをゲートウェイ無線機11に送るために受信待ち状態となり、ゲートウェイ無線機11が一定周期で送信する無線機ID「A」が受信されるまで待機する。ゲートウェイ無線機11の無線機ID「A」が受信されると、無線機12は、ゲートウェイ無線機11に対して送信要求を送信する。
【0064】
送信要求を受信したゲートウェイ無線機11は、自己宛の通信であることを判別し、無線機12に対して送信を許可する。このため、無線機12は、図6(g)に示すように、図6(f)に示したデータに、さらに、送信元となる無線機12の無線機ID「B」と、宛先となるゲートウェイ無線機11の無線機ID「A」とを付加したデータを、ゲートウェイ無線機11に送信する。
【0065】
無線機12からの図10(g)に示すデータを受信したゲートウェイ無線機11は、端末18から携帯端末22への通信データであることを確認する。また、このゲートウェイ無線機11は、図10(h)に示すように、図10(g)に示したデータの無線区間の送信元の無線機IDを自己の「A」に書き替え、無線区間の宛先の無線機IDを無線機15の「E」に書き替える。
【0066】
そして、ゲートウェイ無線機11が無線機12から受信したデータは、無線機15に送られる。このゲートウェイ無線機11から無線機15へのデータの送信動作は、まず、ゲートウェイ無線機11が自己のテーブルT21を参照して、無線機12から受信したデータを無線機14に送信する。その後、無線機14が自己のテーブルT24を参照して、ゲートウェイ無線機15から受信した図10(h)に示すデータを無線機15に送信することによって行なわれる。
【0067】
その後、無線機14から図10(h)に示すデータを受信した無線機15は、端末18から携帯端末22への通信データであることを確認し、受信したデータをハンディ無線機23に送るために受信待ち状態となり、ハンディ無線機23が一定周期で送信する無線機ID「H」が受信されるまで待機する。ハンディ無線機23の無線機ID「H」が受信されると、無線機15は、ハンディ無線機23に対して、宛先となるハンディ無線機23の無線機ID「H」を含む送信要求を送信する。
【0068】
送信要求を受信したハンディ無線機23は、自己宛の通信なので、無線機15に対して送信を許可する。すると、無線機15は、図6(i)に示すように、図6(h)に示したデータの無線区間の送信元の無線機IDを自己の「E」に書き替えるとともに、無線区間の宛先の無線機IDをハンディ無線機23の「H」に書き替え、そのデータをハンディ無線機23に送信する。
【0069】
そして、ハンディ無線機23は、受信した図10(i)に示すデータから、図10(j)に示すように、無線区間の送信元及び宛先を示す無線機ID「E」及び「H」を削除し、データ本体を宛先となる携帯端末22に送信し、ここに、端末18から携帯端末22へのデータの送信が完了される。
【0070】
上記した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、無線ネットワーク16に常時参加せず、無線ネットワーク16を構築する各無線機11乃至15の無線機ID「A」乃至「E」を持たないハンディ無線機23を用いて、無線ネットワーク16内の複数の無線機11乃至15と任意選択的に通信を行なうことが可能となる。また、各無線機11乃至15が保持するテーブルT21乃至T25も、第1の実施の形態で示したテーブルT11乃至T15に比べて簡易化することが可能となる。
【0071】
次に、図11は、この発明の第3の実施の形態を示している。図11において、図7と同一部分には同一符号を付している。この第3の実施の形態では、携帯端末22が端末19とのデータ通信を行なう場合の動作例について説明している。この動作は、検針者が携帯端末22を操作して、端末ID「c」を有する端末19に送信すべきデータを、ハンディ無線機23に送信することにより開始される。
【0072】
携帯端末22からのデータを受けたハンディ無線機23は、受信待ち状態となり、無線ネットワーク16内の各無線機11乃至15が一定周期で送信する無線機ID「A」乃至「E」のいずれかが受信されるまで待機する。そして、例えば無線機15が一定周期で送信する無線機ID「E」が、ハンディ無線機23に受信されると、ハンディ無線機23は、無線機15に対して、ゲートウェイ無線機11からそのテーブルT21の情報を取得する要求を送信する。
【0073】
すると、無線機15は、自己のテーブルT25を参照してハンディ無線機23からの要求を無線機14に送信する。その後、無線機14が自己のテーブルT24を参照して、無線機15から受信した要求をゲートウェイ無線機11に送信する。ゲートウェイ無線機11は、ハンディ無線機23からのテーブルT21の取得要求を受信すると、そのテーブルT21の情報を、無線機14に送信する。そして、無線機14に送信されたテーブルT21の情報は、無線機15を介してハンディ無線機23に送信され取得される。
【0074】
このようにして、ハンディ無線機23は、ゲートウェイ無線機11からテーブルT21を取得(ダウンロード)すると、そのテーブルT21を参照して、検針者が携帯端末22を操作してデータ通信を要求した端末ID「c」を有する端末19に接続されている無線機13の無線機IDが「C」であることを判別する。
【0075】
すると、ハンディ無線機23は、受信待ち状態となり、無線ネットワーク16内の各無線機11乃至15が一定周期で送信する無線機ID「A」乃至「E」のいずれかが受信されるまで待機する。そして、例えば無線機15が一定周期で送信する無線機ID「E」が、ハンディ無線機23に受信されると、ハンディ無線機23は、無線機15に対して、無線機ID「C」を有する無線機13とのデータ通信を要求する。
【0076】
これにより、無線機15は、自己のテーブルT25を参照してハンディ無線機23からの要求を無線機14に送信し、その後、無線機14が自己のテーブルT24を参照して、無線機15から受信した要求を無線機13に送信する。無線機13は、無線機14から送信されたデータを、自己に接続されている端末19に送信し、ここに、携帯端末22から端末18へのデータの送信が行なわれることになる。
【0077】
一方、端末19が携帯端末22に対して返信するデータは、無線機13に送信される。無線機13は、無線ネットワーク16を構築している無線機11乃至15のうち、端末19に対するデータの送信元となった無線機15の無線機ID「E」を記憶している。このため、端末19からの返信データは、無線機13及び14を介して無線機15に伝送される。
【0078】
無線機15は、無線ネットワーク16の外から、端末19に対するデータの送信元となった無線機23の無線機IDが「H」である、つまり、ハンディ無線機23であることを記憶している。このため、無線機15に伝送された端末19からの返信データは、ハンディ無線機23に送信される。すると、ハンディ無線機23は、無線機15から送信されたデータを、自己に接続されている携帯端末22に送信し、ここに、端末19から携帯端末22へのデータの送信が行なわれることになる。
【0079】
図12及び図13は、上記した第3の実施の形態で説明した携帯端末22が端末19とのデータ通信を行なう場合の動作例をまとめたフローチャートを示している。まず、図12は、携帯端末22が端末19へのデータ通信を要求してから、ハンディ無線機23がゲートウェイ無線機11の保持するテーブルT21の情報を取得するまでの動作を示している。そして、図12における(a)〜(e)の時点で伝送されるデータは、図14(a)〜(e)に示している。
【0080】
また、図13は、ゲートウェイ無線機11の保持するテーブルT21を取得したハンディ無線機23が、携帯端末22から出力されたデータを、無線機15,14,13を介して端末19に送信するとともに、端末19からの返信データを携帯端末22に伝送する動作を示している。そして、図13における(f)〜(l)の時点で伝送されるデータは、図14(f)〜(l)に示している。
【0081】
上記した第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、無線ネットワーク16に常時参加せず、無線ネットワーク16を構築する各無線機11乃至15の無線機ID「A」乃至「E」を持たないハンディ無線機23を用いて、無線ネットワーク16内の複数の無線機11乃至15と任意選択的に通信を行なうことが可能となる。また、ハンディ無線機23は、ゲートウェイ無線機11が保持するテーブルT21を取得しているので、以後、この無線ネットワーク16を構成する各無線機11乃至15とのデータ通信を容易に行なうことが可能となる。
【0082】
次に、図15は、この発明の第4の実施の形態を示している。図15において、図7と同一部分には同一符号を付している。この第4の実施の形態では、携帯端末22が端末19とのデータ通信を行なう場合の動作例について説明している。上記した第3の実施の形態と異なる点は、ハンディ無線機23がゲートウェイ無線機11からテーブルT21の情報を取得する際、無線ネットワーク16内でハンディ無線機23にテーブルT21の情報を送信する無線機15が、テーブルT21の情報を取得する点にある。
【0083】
具体的に言えば、無線機15は、ハンディ無線機23にゲートウェイ無線機11のテーブルT21の情報を送信する際、そのテーブルT21から、無線ネットワーク16を構築する自己を除いた全ての無線機11乃至14に接続されている端末17乃至20の端末ID「a」乃至「d」を取得し、自己のテーブルT25の各無線機ID「A」乃至「D」に対応させて記述することにより、新テーブルT25aを作成する。これにより、以後、無線機15は、ゲートウェイ無線機として機能可能となる。
【0084】
また、ハンディ無線機23は、ゲートウェイ無線機11から取得(ダウンロード)したテーブルT21を参照し、検針者が携帯端末22を操作してデータ通信を要求した端末ID「c」を有する端末19に接続されている無線機13の無線機IDが「C」であることを判別する。
【0085】
これにより、以後、ハンディ無線機23は、第3の実施の形態と同様にして、携帯端末22からのデータを無線機15及び13を介して端末19に送信するとともに、端末19からの返信データを無線機13及び15を介して受信し携帯端末22に送信し、ここに、携帯端末22と端末19との間でのデータ通信が行なわれることになる。
【0086】
図16及び図17は、上記した第4の実施の形態で説明した携帯端末22が端末19とのデータ通信を行なう場合の動作例をまとめたフローチャートを示している。まず、図16は、携帯端末22が端末19へのデータ通信を要求してから、無線機15及びハンディ無線機23がゲートウェイ無線機11の保持するテーブルT21の情報を取得するまでの動作を示している。
【0087】
また、図17は、ゲートウェイ無線機11の保持するテーブルT21を取得したハンディ無線機23が、携帯端末22から出力されたデータを無線機15,14,13を介して端末19に送信するとともに、端末19からの返信データを携帯端末22に伝送する動作を示している。
【0088】
上記した第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、無線ネットワーク16に常時参加せず、無線ネットワーク16を構築する各無線機11乃至15の無線機ID「A」乃至「E」を持たないハンディ無線機23を用いて、無線ネットワーク16内の複数の無線機11乃至15と任意選択的に通信を行なうことが可能となる。また、効率的にゲートウェイ無線機を増加させることができる。
【0089】
次に、図18は、この発明の第5の実施の形態を示している。図18において、図7と同一部分には同一符号を付している。この第5の実施の形態では、無線ネットワーク16を構築する複数の無線機11乃至15の中からゲートウェイ無線機を設定するための動作例を示している。この動作は、図19に示すフローチャートを参照して説明すると、施工時に、作業者の操作により携帯端末22からゲートウェイ無線機設定命令がハンディ無線機23に送信されることにより開始される。
【0090】
すると、ハンディ無線機23は、受信待ち状態となり、無線ネットワーク16内の各無線機11乃至15が一定周期で送信する無線機ID「A」乃至「E」が受信されるまで待機する。そして、ハンディ無線機23は、一定時間内に受信された無線機IDの中で、最大のRSSI(received signal strength indicator)の無線機(例えば無線機15)を、ゲートウェイ無線機として設定する。
【0091】
ゲートウェイ無線機として設定された無線機15には、以後、無線ネットワーク16を構築している全ての無線機11乃至15の無線機ID「A」乃至「E」と、その無線機11乃至15に接続されている端末17乃至21の端末ID「a」乃至「e」と、自己から他の無線機12乃至15までのホップ数とを示すテーブルT25が保持される。
【0092】
また、無線ネットワーク16を構築する複数の無線機11乃至15のうち、ゲートウェイ無線機15以外の無線機11乃至14は、それぞれ、無線機ID「E」の無線機15がゲートウェイ無線機であることを認識する。そして、これらの無線機11乃至14には、無線ネットワーク16を構築している全ての無線機11乃至15の無線機ID「A」乃至「E」と、自己に接続されている端末17乃至20の端末ID「a」乃至「d」と、自己から他の無線機までのホップ数とを示すテーブルT21乃至T24が保持される。
【0093】
ハンディ無線機23は、無線ネットワーク16内で無線機15をゲートウェイ無線機として設定したことを記憶し、無線ネットワーク16内の無線機11乃至15とデータ通信を行なうときには、ゲートウェイ無線機15を介してアクセスすることになる。通常、検針者が携帯端末22を操作する場所、つまり、ハンディ無線機23が無線ネットワーク16に対してデータ通信を行なう場所は、ある程度特定されている。
【0094】
このため、その特定された場所で、最大のRSSIの無線機15は、次回の通信時にも通信可能となる確率が高い無線機であるといえる。そこで、この無線機15をゲートウェイ無線機とすれば、次回からゲートウェイ無線機15と品質の高い通信を行なうことができ、効率の良いデータ通信を行なうことができるようになる。
【0095】
次に、図20は、この発明の第6の実施の形態を示している。図20において、図1と同一部分には同一符号を付している。この第6の実施の形態では、検針者が、携帯端末24と、それに通信可能に接続されたハンディ無線機25とを携帯している。このハンディ無線機25も、無線ネットワーク16に常時参加しておらず、各無線機11乃至15の識別情報(無線機ID)を持っていないものとする。
【0096】
また、ハンディ無線機25は、自己の識別情報である無線機ID「I」を一定の周期で送信している。さらに、携帯端末24も、自己の識別情報である端末ID「i」を有している。これらの無線機ID「I」及び端末ID「i」は、無線ネットワーク16を構築している全ての無線機11乃至15が保持するテーブルT11乃至T15に記述されていない情報となっている。
【0097】
そして、無線ネットワーク16を構築している全ての無線機11乃至15は、自己が保持するテーブルT11乃至T15に存在しない端末IDを有する端末からの送信要求を受けた場合に、その端末を携帯端末24であると判断するようになっている。
【0098】
上記した第6の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、以下、図21及び図22に示すフローチャートを参照して、その動作を説明する。まず、図21は、携帯端末24から端末18にデータの送信を行なう場合の動作例を示している。この動作は、検針者が携帯端末24を操作して、端末ID「b」を有する端末18に送信すべきデータを、ハンディ無線機25に送信することにより開始される。このデータは、図23(a)に示すように、送信元となる携帯端末24の端末ID「i」と、宛先となる端末18の端末ID「b」と、データ本体とを含んでいる。
【0099】
携帯端末24からのデータを受けたハンディ無線機25は、受信待ち状態となり、無線ネットワーク16内の各無線機11乃至15が一定周期で送信する無線機ID「A」乃至「E」のいずれかが受信されるまで待機する。図21では、無線機15が一定周期で送信する無線機ID「E」が、ハンディ無線機25に受信される例を示している。無線機ID「E」を受信すると、ハンディ無線機25は、無線機15に対して、自己の無線機ID「I」と、宛先となる無欄器15の無線機ID「E」とを含む送信要求を送信する。
【0100】
送信要求を受信した無線機15は、自己宛の通信なので、ハンディ無線機25に対して送信を許可する。これにより、ハンディ無線機25は、図23(b)に示すように、図23(a)に示したデータに、さらに、送信元となるハンディ無線機25の無線機ID「I」と、宛先となる無線機15の無線機ID「E」とを付加したデータを、無線機15に送信する。
【0101】
そして、ハンディ無線機25からの図23(b)に示すデータを受信した無線機15は、自己のテーブルT15に存在しない端末ID「i」を有する端末からデータを受信したことにより、そのデータの送信元の端末が携帯端末24であると認識し、以下、図4で説明した動作と同様にして端末18にデータが転送され、ここに、携帯端末24から端末18へのデータの送信が完了される。なお、図21の符号(c),(d)で示すデータは、図23(c),(d)に詳細を示す通りである。
【0102】
また、端末18に接続されている無線機12では、自己のテーブルT12に存在しない端末ID「i」を有する端末からデータを受信したことにより、そのデータの送信元の端末が携帯端末24であると認識し、無線ネットワーク16内の送信元である無線機15の無線機ID「E」を記憶する。これにより、以後、無線機12は、端末18から携帯端末24への通信データを受信した場合、そのデータを無線機15に送信することができる。
【0103】
次に、図22は、端末18から携帯端末24にデータの送信を行なう場合の動作例を示している。この動作は、先に図5で説明した動作と同様に説明することができるので、詳細な説明は省略する。なお、図22の符号(e)乃至(h)で示すデータは、図23(e)乃至(h)に詳細を示す通りである。
【0104】
上記した第6の実施の形態によれば、無線ネットワーク16を構築している全ての無線機11乃至15に対して、自己が保持するテーブルT11乃至T15に存在しない端末IDを有する端末からの送信要求を受けた場合に、その端末を携帯端末24であると判断させ通信を行なわせるようにしている。
【0105】
これにより、無線ネットワーク16に常時参加せず、無線ネットワーク16を構築する各無線機11乃至15の無線機ID「A」乃至「E」を持たないハンディ無線機25を用いて、無線ネットワーク16内の複数の無線機11乃至15と任意選択的に通信を行なうことが可能となる。
【0106】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【符号の説明】
【0107】
11乃至15…無線機、16…無線ネットワーク、17乃至21…端末、22…携帯端末、23…ハンディ無線機、24…携帯端末、25…ハンディ無線機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが所定の周期で自己の識別情報を出力する複数の第1の無線機を、相互間で直接的に、または、相互間に1つ以上の第1の無線機を介して間接的に無線通信可能に構築してなる無線ネットワークと、
前記無線ネットワーク内のいずれの第1の無線機とも定常的に通信を行なっておらず、前記無線ネットワークを構成する複数の第1の無線機が判別可能な識別情報を有する第2の無線機と、
前記無線ネットワークを構成する複数の第1の無線機が出力する識別情報を受信し、所定の識別情報を有する第1の無線機に対して、前記第2の無線機から自己の識別情報を含む通信要求を発生させる発生手段と、
前記発生手段で発生された通信要求を受信した前記第1の無線機が、当該通信要求に含まれる識別情報を前記第2の無線機のものと判別したとき、当該第1の無線機に前記第2の無線機との通信を実行させる制御手段とを具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
それぞれが所定の周期で自己の識別情報を出力する複数の第1の無線機を、相互間で直接的に、または、相互間に1つ以上の第1の無線機を介して間接的に無線通信可能に構築してなる無線ネットワークと、
前記無線ネットワークを構成する複数の第1の無線機にそれぞれ接続され、前記第1の無線機を介してデータ通信可能な第1の端末と、
前記無線ネットワーク内のいずれの第1の無線機とも定常的に通信を行なっておらず、前記無線ネットワークを構成する複数の第1の無線機が判別可能な識別情報を有する第2の無線機と、
前記第2の無線機に接続され、前記第2の無線機を介してデータ通信可能な第2の端末と、
前記無線ネットワーク内のいずれかの第1の無線機に設けられ、前記無線ネットワークを構成する複数の第1の無線機の識別情報と、前記複数の第1の無線機にそれぞれ接続された第1の端末の識別情報とを対応させたテーブルと、
前記無線ネットワークを構成する複数の第1の無線機が出力する識別情報を受信し、所定の識別情報を有する第1の無線機に対して、前記第2の無線機から自己の識別情報と、通信対象となる前記第1の端末の識別情報とを含む通信要求を発生させる発生手段と、
前記発生手段で発生された通信要求を受信した前記第1の無線機が、当該通信要求に含まれる識別情報を前記第2の無線機のものと判別したとき、当該第1の無線機に前記第2の無線機との通信を実行させるとともに、前記テーブルを参照して通信対象となる第1の端末に接続された第1の無線機の識別情報を取得する制御手段とを具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第2の無線機との通信を実行させた前記第1の無線機に、前記第2の無線機の識別情報を記憶させるとともに、前記第2の無線機との通信を実行させた前記第1の無線機が前記第2の無線機から受信したデータを前記無線ネットワーク内の他の第1の無線機に伝送した場合、当該他の第1の無線機に前記第2の無線機からのデータを受信した第1の無線機の識別情報を記憶させることを特徴とする請求項1または2記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第2の無線機は、前記制御手段により前記発生手段で発生された通信要求を受信した前記第1の無線機との通信が実行されたとき、前記テーブルを保持する第1の無線機からテーブルの情報を取得することを特徴とする請求項2記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第2の無線機が前記テーブルを保持する第1の無線機からテーブルの情報を取得する際、前記制御手段により前記第2の無線機との通信が実行された前記第1の無線機に、前記テーブルの情報を記憶させることを特徴とする請求項4記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記テーブルは、前記無線ネットワークを構成する複数の第1の無線機が出力する識別情報の受信レベルが最大である第1の無線機に設けられることを特徴とする請求項2記載の無線通信システム。
【請求項7】
それぞれが所定の周期で自己の識別情報を出力する複数の第1の無線機を、相互間で直接的に、または、相互間に1つ以上の第1の無線機を介して間接的に無線通信可能に構築してなる無線ネットワークと、
前記無線ネットワークを構成する複数の第1の無線機にそれぞれ接続され、前記第1の無線機を介してデータ通信可能な第1の端末と、
前記無線ネットワークを構成する複数の第1の無線機それぞれに設けられるもので、前記無線ネットワークを構成する複数の第1の無線機の識別情報と、前記複数の第1の無線機にそれぞれ接続された第1の端末の識別情報とを対応させたテーブルと、
前記無線ネットワーク内のいずれの第1の無線機とも定常的に通信を行なっていない第2の無線機と、
前記第2の無線機に接続され当該第2の無線機を介してデータ通信可能であり、前記無線ネットワークを構成する複数の第1の無線機が備えるテーブルに存在しない識別情報 を有する第2の端末と、
前記無線ネットワークを構成する複数の第1の無線機が出力する識別情報を受信し、所定の識別情報を有する第1の無線機に対して、前記第2の無線機から通信対象となる前記第1の端末の識別情報と前記第2の端末の識別情報とを含む通信要求を発生させる発生手段と、
前記発生手段で発生された通信要求を受信した前記第1の無線機が、当該通信要求に含まれる前記第2の端末の識別情報を自己の備えるテーブルに存在しないと判別したとき、当該第1の無線機に前記第2の無線機との通信を実行させるとともに、前記テーブルを参照して通信対象となる第1の端末に接続された第1の無線機の識別情報を取得する制御手段とを具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
それぞれが所定の周期で自己の識別情報を出力する複数の第1の無線機を、相互間で直接的に、または、相互間に1つ以上の第1の無線機を介して間接的に無線通信可能に構築してなる無線ネットワークと、
前記無線ネットワーク内のいずれの第1の無線機とも定常的に通信を行なっておらず、前記無線ネットワークを構成する複数の第1の無線機が判別可能な識別情報を有する第2の無線機とを備えた無線通信システムを制御する方法であって、
前記無線ネットワークを構成する複数の第1の無線機が出力する識別情報を受信し、所定の識別情報を有する第1の無線機に対して、前記第2の無線機から自己の識別情報を含む通信要求を発生させる工程と、
発生された通信要求を受信した前記第1の無線機が、当該通信要求に含まれる識別情報を前記第2の無線機のものと判別したとき、当該第1の無線機に前記第2の無線機との通信を実行させる工程とを有することを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−65051(P2012−65051A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206067(P2010−206067)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(309042071)東光東芝メーターシステムズ株式会社 (41)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】