説明

無線通信システム

送信出力制御ループを使用して基地局(100)から移動局(200)へのダウンリンク(160)送信出力を調整するとともに、アップリンク(260)により移動局(200)によって送信されたダウンリンクチャンネル品質(CQI)の定期的な報告を使用して、ダウンリンク送信パラメータを選択し、送信出力制御ループまたはCQI報告における妨害に応じて更なるCQI報告を一時的に送信する無線通信システム(50)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、そのようなシステムで使用するための移動局および基地局、そのようなシステムを動作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
位置が固定された基地局と移動局とを備える無線通信システムにおいて、基地局から移動局への送信はダウンリンクチャンネルで行なわれ、移動局から基地局への送信はアップリンクチャンネルで行なわれる。そのようなシステムが送信形式制御を使用することは知られている。この送信形式制御において、移動局は、受信したダウンリンク信号の質を測定するとともに、その質の報告(一般に、チャンネル品質情報(CQI)報告と称される)を基地局に対して送信し、その後、基地局は、特定の移動局へのパケット送信を計画するとともに、現在のチャンネル状態下で通信を最適化するのに適した送信形式、例えば変調・コーディング方式を選択する。そのようなCQI報告は、例えば搬送波対干渉比、信号対雑音比、遅延拡大、または、現在のチャンネル状態に適した推奨送信形式の表示を与えても良い。
【0003】
また、クローズドループ送信出力制御を使用することも知られている。クローズドループ送信出力制御において、移動局は、受信したダウンリンク信号の質を測定するとともに、送信出力制御(TPC)コマンドを基地局に対して送信し、それにより、ダウンリンクチャンネル状態の変動にもかかわらず、適切であるが過度ではない受信信号レベルが移動局において維持される。
【0004】
一般に、CQI報告を生成するために使用される品質測定は、その送信出力がクローズドループ出力制御プロセスによって変えられないダウンリンク信号に関して行なわれるが、TPCを生成するために使用される品質測定は、クローズドループ動作を行なうために、その送信出力がTPCコマンドの結果として変えられるダウンリンク信号に関して行なわれなければならない。
【0005】
また、オープンループ送信出力制御を使用することが知られている。このオープンループ送信出力制御において、基地局は、受信されたアップリンク信号の質を測定し、アップリンクで生じる減衰を評価するとともに、ダウンリンクでの減衰がアップリンクに類似しているという前提の下でダウンリンク送信出力を調整する。
【0006】
出力制御プロセスにおける妨害を許容し、例えば、移動局が他のシステムに対するハンドオーバに備えて他のチャンネルで測定を行なうことができるようにするための要求がある。そのような妨害中においては、オープンまたはクローズド送信出力制御ループが中断される場合がある。送信出力制御ループは、妨害後にアップリンク送信(クローズドループ出力制御の場合には、ダウンリンク送信)が再開するときに回復される。
【0007】
CQI報告は、一般に、TPCコマンドよりも低い速度で送信される。そのため、TPCコマンドは、送信の計画(スケジューリング)および送信形式の選択を助けるために基地局により付加的に使用することができる。しかしながら、出力制御プロセスにおける妨害の結果、送信出力が一時的に最適でなくなる場合があり、その結果、パケットが低いチャンネル品質をもって移動局に対してスケジューリングされ、あるいは、不適切な送信形式が一時的に使用されてしまう。不適切な送信形式を使用したデータの送信は、送信形式があまりしっかりとしていない場合には信頼できない虞があり、あるいは、送信形式が不必要に頑強である場合にはリソースを無駄にしてしまう。また、出力制御プロセスが再開して再び収束するまでデータの送信が延ばされる可能性がある。いずれにせよ、システム容量が浪費されて効率が悪くなる虞がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、効率の向上に寄与することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様においては、基地局を有する通信システムで使用するための移動局であって、出力制御ループプロセスにしたがって前記基地局がその送信出力レベルを調整できる出力制御信号を生成するための出力制御信号生成手段と、前記基地局から受信された信号の特性の測定により報告を生成するための報告生成手段と、前記報告および前記出力制御信号を前記基地局に対して送信するための送信手段と、第1の報告が一連の所定時間に送信されるとともに、前記出力制御ループまたは前記報告における妨害に応じて、また、妨害前、妨害中、妨害後のうちの少なくとも1つに存在する期間の間、前記所定時間と一致しない時間に1または複数の第2の報告が送信されるように、前記報告の送信時間を制御するようになっている送信制御手段とを備えている移動局が提供される。
【0010】
報告における妨害は、報告生成における妨害であっても良く、あるいは、報告の送信の妨害であっても良く、または、移動局によって検出されても良い基地局による報告の受信における妨害であっても構わない。
【0011】
妨害が生じる期間にわたって規定外の時間にCQI報告を送信することにより、基地局に対するダウンリンク品質の報告が向上する。報告は、所定時間よりも妨害に近い時間に送信することができ、また、更なる報告を送信することができる。その結果、基地局は、ダウンリンクパラメータに関するその選択を向上させることができ、これにより、パケットスケジューリングが向上し、出力制御プロセスが回復されるまで適切な送信形式の選択が向上する。その後の低速への逆戻りが過度の信号送信を回避し、それにより、電力消費量および干渉が最小限に抑えられる。
【0012】
本発明の第2の態様においては、基地局と、本発明の第1の態様に係る少なくとも1つの移動局とを備える無線通信システムが提供される。
【0013】
本発明の第3の態様においては、基地局と移動局とを有する無線通信システムを動作する方法であって、前記移動局において、出力制御ループプロセスにしたがって前記基地局がその送信出力レベルを調整できる出力制御信号を生成し、前記出力制御信号を前記基地局に対して送信し、前記基地局から受信された信号の特性の測定により報告を生成し、前記報告を前記基地局に対して送信し、前記出力制御ループまたは前記報告を妨害し、前記移動局において、第1の報告が一連の所定時間に送信されるとともに、前記妨害に応じて、また、妨害前、妨害中、妨害後のうちの少なくとも1つに存在する期間の間、前記所定時間と一致しない時間に第2の報告が送信されるように、前記報告の送信時間を制御する方法が提供される。
【0014】
本発明の第4の態様においては、無線通信システムで使用するための基地局であって、移動局から受信される第1の信号に応じて、第1の送信信号の送信出力レベルを出力制御ループプロセスにしたがって設定するための送信出力制御手段と、一連の所定時間に前記移動局から受信された報告に応じて、第2の送信信号のパラメータを選択するための制御手段と、前記出力制御ループプロセスまたは前記報告において妨害を計画するためのスケジューリング手段と、前記妨害に応じて前記移動局に対して送信するため、前記所定時間と一致しない時間に所定の期間にわたって1または複数の更なる報告が送信される旨の表示を生成するための表示手段とを備えている基地局が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
ここで、添付図面を参照しながら、単なる一例として本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1を参照すると、基地局100と移動局200とを備える無線通信システム50が示されている。基地局100から移動局200への送信はダウンリンクチャンネル160で行なわれ、移動局200から基地局100への送信はアップリンクチャンネル260で行なわれる。
【0017】
基地局100は送信手段110を備えており、この送信手段110は、例えばサーキュレータまたは切換スイッチであっても良い結合手段130を介してアンテナ手段120に結合された出力部を有している。また、結合手段130は、アンテナ手段120によって受けられた信号を受信手段140の入力部に結合する。送信手段110および受信手段140には制御手段(μC)150が結合されている。この制御手段150は、
ダウンリンクで送信するための制御信号であって、その送信出力が出力制御ループによって制御されない制御信号を生成し;
移動局200からアップリンクにより受けられるTPCコマンドに応じて、ダウンリンク信号、例えばデータ信号の送信出力レベルを設定し;
移動局200から受けられるCQI報告に応じて、ダウンリンク信号、例えばデータ信号のための送信形式を選択し;
TPCプロセスにおける妨害を計画して、移動局200への送信における妨害発生の表示を生成する:
ためのものである。
【0018】
各移動局200は送信手段210を備えており、この送信手段210は、例えばサーキュレータまたは切換スイッチであっても良い結合手段230を介してアンテナ手段220に結合された出力部を有している。また、結合手段230は、アンテナ手段220によって受けられた信号を受信手段240の入力部に結合する。送信手段210および受信手段240には制御手段(μC)250が結合されている。この制御手段250は、
基地局から受けられたダウンリンク信号、例えばデータ信号を測定するとともに、クローズドループ出力制御プロセスにしたがってTPCコマンドを生成し;
受信された制御信号の特性を測定するとともに、この測定から、基地局100への送信のためのCQI報告を生成し;
CQI報告が送信される時間を制御して、当該報告が一連の所定(規定)の時間で送信されるようにするとともに、前記妨害発生の表示に応じて、1または複数の報告が前記所定の時間と一致しない時間に送信されるようにする(本明細書では、このような報告を、便宜上、規定外報告と称する);
ためのものである。
【0019】
規定外報告の送信期間が開始しても良い時間に関しては、幾つかの選択肢がある。また、規定外報告の送信期間が修了しても良い時間に関しても、幾つかの選択肢がある。以下、これらの選択肢について、図2を参照しながら説明する。図2Aは、出力制御プロセスにおいて妨害が生じない一定の間隔TでのTPCコマンドの送信を示している。図2Bは、妨害が生じない間隔Tがあけられた一連の所定の時間での規則的なCQI報告の送信を示している。図2Cは、出力制御プロセスにおいて妨害を伴い、その結果として、TPCコマンドの送信が断ち切られている、TPCコマンドの送信を示している。
【0020】
規定外報告の送信期間を開始するための選択肢は以下の通りである。
【0021】
a)図2Dに示されるように、妨害が終了した後に送信期間が開始しても良い。この場合、短くなった間隔がTであり、妨害の送信からの遅延T後に送信期間が始まる。
【0022】
b)図2Eに示されるように、妨害が開始される前に、あるいは、妨害が始まると同時に、送信期間が開始しても良い。
【0023】
c)図2Fに示されるように、妨害中に送信期間が開始しても良い。
【0024】
妨害中、CQI報告の送信は、図2Fに示されるように継続しても良く、あるいは、図2Dおよび図2Eに示されるように例えば移動局200の能力および妨害の目的に応じて一時的に中断されても良い。
【0025】
規定外報告の送信期間を終了するための選択肢は以下の通りである。
【0026】
a)妨害が始まる前に送信期間が開始する場合、送信期間は、妨害が始まる前に或いは妨害が始まると同時に終了しても良く、または、妨害中に或いは妨害が終了した後または妨害が終了すると同時に終了しても良い。図2Eは、妨害前に送信期間が始まり且つ妨害開始と同時に送信期間が終了する状態を示している。この例においては、送信期間の持続時間がTP2であり、2つの更なるCQI報告が妨害前の規定外時間に送信されるとともに、CQI報告の送信が妨害中に一時中断されるが、これらの更なるCQI報告は、基地局を支援するための更なる情報を提供する。
【0027】
b)妨害中に送信期間が開始する場合、送信期間は、妨害中または妨害と同時に終了しても良く(この選択肢は図2に示されていない)、あるいは、図2Fに示されるように妨害後に終了しても良い。図2Fは、送信期間の持続時間がTP3であり且つ4つの更なるCQI報告が規定外時間に送信されている状態を示している。
【0028】
c)図2Dに示されるように、妨害が終了した後に送信期間が始まる場合には、無論、妨害が終了した後に送信期間が終了しなければならない。図2Dにおいて、送信期間の持続時間はTP1である。
【0029】
規定外報告の送信期間の持続時間を決定するための選択肢の幾つかの例は以下の通りである。
【0030】
a)持続時間が所定の値を有していても良い。
【0031】
b)妨害および出力制御ループが所定の基準にしたがって収束した後に出力制御プロセスが再開するまで送信期間が続いても良い。前記収束は、基地局100の制御手段150によって検出されても良く、また、移動局に対して信号で送られても良い。あるいは、前記収束は、移動局200の制御手段250によって検出されても良い。前記収束は、例えば1または複数のTPCコマンドの符号の反転によって検出されても良い。
【0032】
規定外報告の送信期間の開始時間、終了時間、持続時間のいずれかが、出力制御ループに対する妨害の長さによって決まっても良い。例えば妨害が短い場合には、妨害前に、間隔が減少された短い送信期間が使用されても良く、また、妨害が長い場合には、妨害後に、長い送信期間が使用されても良い。
【0033】
規定外報告の結果として短い間隔Tにより他のCQI報告から分けられる任意のCQI報告は、他の報告を生成するために使用される持続時間よりも短い持続時間の測定から生成されても良い。例えば、最大測定持続時間は、間隔が短い値Tを有するTであっても良い。一方、通常の長い間隔TがあけられたCQI報告は、更に長い測定から得られても良い。測定は、移動局200の能力および妨害の目的に応じて、妨害が終了するまで開始されないようにしても良い。そのため、例えば、図2Dにおいて、妨害の終了後に送信される最初のCQI報告を生成するために使用される測定の最大持続時間は、Tであっても良く、あるいは、測定の完了と対応する報告の送信開始との間に幾らかの処理時間が必要とされる場合にはTよりも短くても良い。
【0034】
妨害中に測定が開始される場合には、1つのCQI報告が生成される1つの測定を行なうための時間を見込んで、妨害中の任意の他の測定、例えばハンドオーバに備えた他のシステムのチャンネルの検査が削減されても良い。利用可能な時間の最適な分配を行なうために、これらの2つのタイプの測定の精度間にトレードオフがあっても良い。
【0035】
随意的に、規定外時間に送信され或いは異なる間隔で送信されるCQI報告は、他の報告と異なってコード化されても良い。
【0036】
図2Dおよび図2Eでは、規定外報告の送信の期間が終了し、通常の長い間隔Tが再開して、所定の時間のみでCQI報告が送信される場合、まるで妨害が生じなかったかのように図2の場合と同じようにCQI報告のタイミングが示されている。しかしながら、この同じタイミングは、必ずしもそうである必要はなく、図示された最後の2つの報告の発生時間が図2Bに示される最初の一連の所定時間と比べて進められている図2Fに示されるように、CQI報告は、次の報告の送信のための一連の所定の時間に適用される時間シフトだけ、ずらされても良い。
【0037】
図3は、本発明にしたがって構成された通信システムを動作させる方法を示すフローチャートである。この方法はステップ505から始まる。ステップ510において、移動局200は、現在のCQI報告間隔をTに設定する(基地局100からの指示に応答しても良い)とともに、間隔Tでの定期的なTPCコマンドの送信を開始(既に進行中の場合には、継続)しても良い。
【0038】
ステップ515において、移動局200は、受信した制御信号の特性を測定するとともに、その測定からCQI報告を生成する。
【0039】
ステップ520において、移動局200は、現在の報告間隔Tによって決定された時間でCQI報告を送信する。なお、現在の報告間隔Tは、一連の所定時間によって決定される。
【0040】
ステップ525において、移動局200は、出力制御ループが妨害されているかどうか或いは妨害が差し迫っているかどうかを検査する。出力制御ループが妨害されず且つ妨害が差し迫っていない場合には、フローがステップ515に戻る。出力制御ループが妨害され或いは次のCQI報告が送信されるようになる前に妨害が成されることに成っている場合、フローは、図2Dに示されるように妨害の持続時間の間だけTPCコマンドおよびCQI報告の送信が一時的に中断されるステップ530へと移行する。妨害が終了すると、フローはステップ550へと移行する。
【0041】
ステップ550において、移動局は、TPCコマンドの送信を再開するとともに、現在のCQI報告間隔を減少された値T(T<T)に設定することにより、所定の時間と一致しない時間に報告を導入する。
【0042】
ステップ555において、移動局は、受信した制御信号の特性を測定するとともに、その測定からCQI報告を生成する。
【0043】
ステップ560において、移動局200は、現在の報告間隔、ここではTによって決定された時間でCQI報告を送信する。
【0044】
ステップ565において、移動局200は、CQI報告間隔が短くなる図2Dにおける期間TP1が満了したかどうかを検査する。この期間が満了していなかった場合には、フローがステップ555に戻る。この期間が満了した場合、フローは、現在のCQI報告間隔が長い値Tにリセットされるステップ510に戻る。これにより、所定の時間での報告の送信が回復される。
【0045】
図3を参照して前述したプロセスの全体にわたって、基地局100は、CQI報告の受信に応じて、現在の一般的な状態に適するようにダウンリンク送信のパラメータを適合させても良い。
【0046】
随意的に、基地局100は、CQI報告同士の間の間隔を監視することにより、所定時間と一致しない時間に規定外報告の送信を検出しても良い。
【0047】
随意的に、移動局200は、CQI報告を受ける基地局100を支援するため、CQI報告間の間隔の変化またはCQI報告の送信時間の変化を基地局100に対して信号で送っても良い。
【0048】
随意的に、基地局100は、出力制御ループに対する妨害に応じて、CQI報告間の間隔の変化の表示または規定外報告が移動局200によって送信される旨の表示を移動局200に対して信号で送っても良い。
【0049】
随意的に、一連の所定時間での報告の送信が回復される前に、1つの規定外CQI報告だけが送信されても良い。
【0050】
前述した実施形態は、クローズドループ出力制御プロセスを使用する。しかしながら、代わりに、オープンループ出力制御プロセスを使用することができる。この場合、移動局は、TPCコマンドを送信しないが、その代わり、基地局が測定を行なうことができ且つ適切なダウンリンク送信出力を推定することができる信号を送信する。
【0051】
出力制御ループに対する妨害は、様々な理由によるものであっても良い。例えば、クローズドループ出力制御プロセスの場合、移動局200は、図2Cに示されるようにTPCコマンドを一時的に送信できない場合があり、あるいは、TPCコマンドをそこから生成できるダウンリンク信号を一時的に受信できず、そのため、有効なTPCコマンドを送信できない場合がある。オープンループ出力制御プロセスの場合には、移動局200がアップリンク信号を一時的に送信できない場合があり、そのため、基地局100が適切なダウンリンク送信出力レベルを選択できない場合がある。
【0052】
出力制御ループが妨害される代わりに、CQI報告プロセスに対して妨害が成されても良い。例えば、移動局が他の信号を送信している間にCQI報告の送信を妨害する要求があっても良い。そのような要求の動機は、例えば、他の信号がうまく送信される十分な送信出力を利用できるようにすることであっても良く、あるいは、移動局から送信された信号における大きなピーク対平均出力比を回避することであっても良く、あるいは、他の送信との干渉を減少させることであっても構わない。他の例として、CQI報告の送信が妨害され、移動局が対応する測定を行なうことができなくても良く、あるいは、CQI報告の受信が妨害され、基地局がこれらの報告を受けることができなくても良い。更なる例として、1または複数のアップリンクまたはダウンリンク送信パラメータが再構成されると、報告に対する妨害が発生しても良い。CQI報告に対する妨害が生じると、本発明にしたがって、妨害後に、1または複数のCQI報告が規定外の時間(所定時間以外の時間)に送信される。その結果、基地局は、ダウンリクパラメータに関するその選択を向上させることができる。本発明に関して説明した選択肢は、出力制御プロセスに対して妨害が生じようが、CQI報告に対して妨害が生じようとも、利用することができる。
【0053】
図2を参照して説明した実施形態において、減少された間隔Tの持続時間は、減少された間隔をもって送信される各CQI報告において同じである。しかしながら、減少された間隔のそれぞれが同一の持続時間を有している必要はない。
【0054】
基地局100の機能は、通信ネットワークの様々な所定の部分にわたって分配されても良い。したがって、この明細書においては、本発明の実施形態に関与する通信ネットワークのこれらの部分を含むように用語「基地局」が使用されていることは言うまでもない。
【0055】
本明細書および請求の範囲において、要素に先行する用語「1つの」(「a」または「an」)は、そのような要素の複数の存在を排除するものではない。また、用語「備える(含む)」は、記載された要素またはステップ以外の要素またはステップの存在を排除するものではない。
【0056】
本開示内容を読むことにより、当業者であれば他の変形も明らかである。そのような変形は、通信システムおよびその構成要素の設計、製造、使用において既に知られ且つここで既に説明した特徴に代えて或いは当該特徴に加えて使用されても良い他の特徴を含んでいても良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】無線通信システムの概略ブロック図である。
【図2】本発明に係る動作のための選択肢を概略的に示している。
【図3】本発明に係る通信システムを動作する方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
100 基地局
110 送信手段
120 アンテナ手段
130 結合手段
140 受信手段
150、250 制御手段
200 移動局
210 送信手段
220 アンテナ手段
230 結合手段
240 受信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局を有する通信システムで使用するための移動局であって、
出力制御ループプロセスにしたがって前記基地局がその送信出力レベルを調整できる出力制御信号を生成するための出力制御信号生成手段と、
前記基地局から受信された信号の特性の測定により報告を生成するための報告生成手段と、
前記報告および前記出力制御信号を前記基地局に対して送信するための送信手段と、
第1の報告が一連の所定時間に送信されるとともに、前記出力制御ループまたは前記報告における妨害に応じて、また、妨害前、妨害中、妨害後のうちの少なくとも1つに存在する期間の間、前記所定時間と一致しない時間に1または複数の第2の報告が送信されるように、前記報告の送信時間を制御するようになっている送信制御手段と、
を備えている、移動局。
【請求項2】
前記出力制御信号が出力制御コマンドを含んでいる、請求項1に記載の移動局。
【請求項3】
前記報告生成手段は、前記第1の報告を生成するために使用される測定持続時間よりも短い持続時間の測定から、前記第2の報告のうちの少なくとも1つを生成するようになっている、請求項1または2に記載の移動局。
【請求項4】
前記報告生成手段は、妨害の終了前に開始される測定から、妨害の終了後に送信される最先の報告を生成するようになっている、請求項1、2または3に記載の移動局。
【請求項5】
前記送信制御手段は、妨害の長さの表示に応じて、前記第2の報告が送信される期間の開始時間を選択するようになっている、請求項1から4のいずれか一項に記載の移動局。
【請求項6】
前記送信制御手段は、妨害の長さの表示に応じて、前記第2の報告が送信される期間の持続時間を選択するようになっている、請求項1から5のいずれか一項に記載の移動局。
【請求項7】
前記送信制御手段は、妨害の長さの表示に応じて、前記期間内に送信される前記第2の報告の数を選択するようになっている、請求項1から5のいずれか一項に記載の移動局。
【請求項8】
前記第2の報告が送信される期間の持続時間が予め決められている、請求項1から5のいずれか一項に記載の移動局。
【請求項9】
前記期間内に送信される前記第2の報告の数が予め決められている、請求項1から5のいずれか一項に記載の移動局。
【請求項10】
次の所定時間が生じると前記期間が終了する、請求項1から5のいずれか一項に記載の移動局。
【請求項11】
前記送信制御手段は、前記出力制御ループの収束の表示に応じて前記期間を終了するようになっている、請求項1から5のいずれか一項に記載の移動局。
【請求項12】
収束の前記表示は、前記基地局から受信される信号である、請求項11に記載の移動局。
【請求項13】
前記送信制御手段は、所定の基準にしたがって収束の前記表示を生成するようになっている、請求項11に記載の移動局。
【請求項14】
前記所定の基準は、少なくとも1つの出力制御コマンドの符号の反転である、請求項13に記載の移動局。
【請求項15】
前記報告生成手段は、妨害中に前記第1の報告の生成を一時中断するようになっている、請求項1から14のいずれか一項に記載の移動局。
【請求項16】
前記送信制御手段は、1または複数の前記第2の報告が送信された後、次の前記第1の報告の送信における一連の所定時間に対して時間シフトを加えるようになっている、請求項1から15のいずれか一項に記載の移動局。
【請求項17】
基地局と、請求項1から16のいずれか一項に記載の少なくとも1つの移動局とを備える、無線通信システム。
【請求項18】
基地局と移動局とを有する無線通信システムを動作する方法であって、
前記移動局において、
出力制御ループプロセスにしたがって前記基地局がその送信出力レベルを調整できる出力制御信号を生成し、
前記出力制御信号を前記基地局に対して送信し、
前記基地局から受信された信号の特性の測定により報告を生成し、
前記報告を前記基地局に対して送信し、
前記出力制御ループまたは前記報告を妨害し、
前記移動局において、
第1の報告が一連の所定時間に送信されるとともに、前記妨害に応じて、また、妨害前、妨害中、妨害後のうちの少なくとも1つに存在する期間の間、前記所定時間と一致しない時間に第2の報告が送信されるように、前記報告の送信時間を制御する、
方法。
【請求項19】
前記出力制御信号が出力制御コマンドを含んでいる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の報告を生成するために使用される測定持続時間よりも短い持続時間の測定から、前記第2の報告のうちの少なくとも1つが生成される、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
妨害期間の終了前に開始される測定から、妨害の終了後に送信される最先の報告が生成される、請求項18、19または20に記載の方法。
【請求項22】
妨害の長さの表示に応じて、前記第2の報告が送信される期間の開始時間を選択することを含む、請求項18から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
妨害の長さの表示に応じて、前記第2の報告が送信される期間の持続時間を選択することを含む、請求項18から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
妨害の長さの表示に応じて、前記期間内に送信される前記第2の報告の数を選択することを含む、請求項18から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の報告が送信される期間の持続時間が予め決められている、請求項18から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記期間内に送信される前記第2の報告の数が予め決められている、請求項18から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
次の所定時間が生じると前記期間が終了する、請求項18から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
クローズドループ出力制御プロセスの収束の表示に応じて、前記第2の報告が送信される期間を終了することを含む、請求項18から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
所定の基準にしたがって前記基地局で収束の前記表示を生成するとともに、前記基地局から前記移動局に対して収束の前記表示を送信することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
所定の基準にしたがって前記移動局で収束の前記表示を生成することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記所定の基準は、少なくとも1つの出力制御コマンドの符号の反転である、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
妨害中に前記第1の報告の生成を一時中断することを含む、請求項18から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
1または複数の前記第2の報告が送信された後、次の前記第1の報告の送信における一連の所定時間に対して時間シフトを加えることを含む、請求項18から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
無線通信システムで使用するための基地局であって、
移動局から受信される第1の信号に応じて、第1の送信信号の送信出力レベルを出力制御ループプロセスにしたがって設定するための送信出力制御手段と、
一連の所定時間に前記移動局から受信された報告に応じて、第2の送信信号のパラメータを選択するための制御手段と、
前記出力制御ループプロセスまたは前記報告において妨害を計画するためのスケジューリング手段と、
前記妨害に応じて前記移動局に対して送信するため、前記所定時間と一致しない時間に所定の期間にわたって1または複数の更なる報告が送信される旨の表示を生成するための表示手段と、
を備えている、基地局。
【請求項35】
前記第1の受信信号が送信出力制御コマンドである、請求項34に記載の基地局。
【請求項36】
前記表示は、前記期間の開始時間、終了時間、持続時間のうちの少なくとも1つを含んでいる、請求項34または35に記載の基地局。
【請求項37】
前記スケジューリング手段は、前記出力制御ループプロセスの収束の表示に応じて、前記期間の終了時間を決定するようになっている、請求項34、35または36に記載の基地局。
【請求項38】
前記スケジューリング手段は、計画された妨害の長さに依存するように前記期間の開始時間、終了時間、持続時間のうちの少なくとも1つを決定するようになっている、請求項34、35または36に記載の基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−500983(P2007−500983A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530646(P2006−530646)
【出願日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001544
【国際公開番号】WO2004/102828
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】