説明

無線通信システム

【課題】情報表示器を備えるような無線端末を用いた無線端末システムにおける電力消費を軽減し得る、あるいは電力利用効率の良い無線通信システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の無線通信システムは、アンテナと送受信部を備えてデータ信号を電磁波で送信する第1の送受信機と、アンテナ、送受信部、上記データ信号を記憶するメモリ部、表示メモリ性を有する表示部及び電磁波から各部の動作電圧を得る電源部とを備える第2の送受信機と、含み、上記第1の送受信機は上記データ信号の送信出力を高低に相対的に変化し、上記第2の送受信機は上記データ信号の送信出力の低レベル状態で上記データ信号を受信して上記メモリ部に記憶し、上記データ信号の送信出力の高レベル状態で上記メモリ部から上記データ信号を上記表示部に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RF−ID(無線識別)タグシステムや非接触型ICカードシステムのような、他の無線装置から無線端末装置に電磁波(電波)で動作電力とデータ信号の供給を行う無線通信システムに関し、特に無線端末装置が消費電力の大きい表示器を備える場合の無線端末システムにおける電力消費を軽減するようにした無線通信システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
バーコード等の代用としてRF−ID機器の開発が進められており、電池を内蔵するものと内蔵しないものとがある。電池を内蔵しないタイプのRF−ID機器は、外部から搬送波などの電磁波で電力の供給を受けて起動し、外部の装置とデータの授受を行う。RF−ID機器の典型的な用途は商品管理のためのタグであるが、RF−ID技術を応用した情報表示端末等が種々検討されている。しかし、電池を内蔵しないタイプのRF−ID機器に表示器を取り付けた場合には、表示情報を提供する無線装置(情報ポスト)からの電波が届く範囲内から外れたり、あるいは無線通信が終了すると、RF−ID機器への電力の供給がなくなるので表示を継続することができない。そこで、例えば、特開2005−165814号公報に記載のRF−ID機器では、電源をオフにしても表示状態を維持し得る特性(表示メモリ性)を有するいわゆる電子ペーパー(EPD)を表示器に使用することを提案している。EPDには、例えば10ボルト程度の駆動電圧が必要である。このRF−ID装置では、EPD表示器の駆動電力が他の回路に比べて相当に大きいため、表示器を駆動するための電力受信用アンテナの設置、通信部と表示部との時分割的な駆動、大規模な多段階昇圧回路の設置等によって所要の表示器駆動電力及び機器の駆動電力を得るように工夫している。
【特許文献1】特開2005−165814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したように、RF−ID機器は外部の情報ポストなどから電磁結合(電波)によって電力供給を受けて動作する。従って、情報ポストの放射電力を増大することによってRF−ID機器への動作電力供給を増すことが可能である。
【0004】
しかしながら、ノイズや通信障害などの原因になり得るので電波放出レベルは可及的に抑制すべきであり、電波法による出力規制も存在する。また、RF−ID機器のみならず、RF−ID機器システム全体の電力消費の低減が望ましい。
【0005】
よって、本発明は、情報表示器を備えるような無線端末を用いた無線端末システムにおける電力消費を軽減し得る、あるいは電力利用効率の良い無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の無線通信システムは、アンテナ回路と送受信部を備えてデータ信号を電磁波で送信する第1の送受信機と、アンテナ回路、送受信部、上記データ信号を記憶するメモリ部、表示メモリ性を有する表示部及び電磁波から各部の動作電圧を得る電源部とを備える第2の送受信機と、含み、上記第1の送受信機は上記データ信号の送信出力を高低に相対的に変化し、上記第2の送受信機は上記データ信号の送信出力の低レベル状態で上記データ信号を受信して上記メモリ部に記憶し、上記データ信号の送信出力の高レベル状態で上記メモリ部から上記データ信号を上記表示部に移動する、ことを特徴とする。
【0007】
また、上記第1の送受信機は、上記データ信号の送信出力の低レベル状態において上記アンテナ回路の利得特性を広帯域特性とし、上記データ信号の送信出力の高レベル状態において上記アンテナ回路の利得特性を狭帯域特性とするのが望ましい。
【0008】
また、上記第1の送受信機は、上記データ信号の送信出力の低レベル状態において上記送受信部の送信の利得広帯域特性とし、上記データ信号の送信出力の高レベル状態において上記送受信部の送信の利得特性を狭帯域特性とするのが望ましい。
【0009】
また、上記第2の送受信機は、上記データ信号の送信出力の低レベル状態において上記アンテナ回路の利得特性を広帯域特性とし、上記データ信号の送信出力の高レベル状態において前記アンテナ回路の利得特性を狭帯域特性とするのが望ましい。
【0010】
また、上記第2の送受信機の動作は、上記第1の送受信機のデータ信号によって制御されるのが望ましい。
【0011】
かかる構成によれば、低消費電力で済む送受信機の動作状態における送受信機からの過剰な電力供給を回避して送信電力の利用率を向上することが可能となる。また、上記供給電力の変更に対応して伝送系の帯域特性を広帯域低利得特性と狭帯域高利得特性に変更するので送信電力の利用率を更に向上することが可能となる。また、第2の送受信機の動作を第1の送受信機のデータ信号によって制御可能とすることによって、例えば、情報ポストの制御ソフトウェアによって携帯型表示器の表示を含む動作を制御することができて具合がよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る無線端末システムのうち、表示器を備える無線端末に相当する情報受信機を示している。図2は、無線端末システムのうち、情報を提供する情報ポストに相当する情報送信機を示している。
【0014】
本実施の形態においては、情報送信機から情報受信機への無線送信電力を表示データ送信段階と表示器への表示データの書き込み段階とで変えることによって電力供給の効率化を図っている。更に、表示データ送信段階では高速でデータ通信を行うために情報送信機と情報受信機との間に広帯域特性の高速データ伝送系を構成し、他の通信時には狭帯域特性の高効率の電力伝送を可能とする低速データ伝送系を構成する。また、他の実施例としては、電力供給用の送信アンテナ、受信アンテナをデータ信号伝送用のアンテナの他に別途に備える。
【0015】
図1に示される情報受信機の回路ブロックにおいて、アンテナ部112は情報送信機200からの無線信号を受信する。また、送信部120からの高周波信号を無線信号として情報送信機200に送出する。
【0016】
アンテナ部112は、図4(A)に示すように、キャリア周波数に同調した狭帯域高利得特性(高尖鋭度Q)のアンテナ112aと、変調信号周波数帯域を受信する広帯域特性低利得特性(低尖鋭度Q)のアンテナ112bと、両アンテナの出力を信号処理部118からの制御信号に応じて選択して後段の結合部114に中継する切換器112cによって構成されている。
【0017】
なお、図1中に112aとして示すように、電力受信専用のアンテナ112aを別途設けて電源部142に常時接続する構成とすることができる。
【0018】
また、図4(B)に示す例では、アンテナ部112はアンテナ112dと受信感度特性を変更するQ特性可変回路112eとの組み合わせによって構成されている。Q特性可変回路112eは、例えば、タンク回路(同調回路)の抵抗、インダクタンス、キャパシタンスなどのパラメータを信号処理部118からの制御信号に応じて変更することによってアンテナの受信感度特性を広狭に変化する。
【0019】
結合部114は、アンテナ部にて受信した高周波信号のうちのデータ信号(変調信号)成分を受信部116に送る。また、受信した高周波信号のうちのキャリア信号成分を電源部142に送る。また、後述の送信部120からの変調信号(送信信号)をアンテナ部112に送る。
【0020】
受信部116は変調信号を復調して後述のデータ信号を復元する。このデータ信号は信号処理部118に送られる。電源部142は整流回路と平滑回路によって構成され、キャリア信号を整流して直流の電源電圧を発生する。直流電源電圧は図中の点線枠で示す送受信系及び表示駆動部130等の動作電源となる。また、直流電源電圧は表示用電源部144に供給され、更に昇圧されて、例えば10ボルトのEPDの駆動電圧として表示部132に供給される。
【0021】
信号処理部118は、図3に示すように、制御プログラムに従って各部の制御動作や信号処理を行うCPU118a、復元されたデータ信号を一時記憶するRAM118b、制御プログラムや固定のデータ、コマンド信号などを記憶するROM118c、情報送信機200からの制御パラメータなどを記憶する書き換え可能な不揮発性メモリとしてのFeRAM118c(EEPOM等の他のものであってもよい)等によって構成されている。制御部118a(信号処理部118)は、後述するように、受信したデータ信号から情報送信機200からのコマンド信号を読み取り、これに対応した各部の制御動作を行う。例えば、送信部120を介して情報送信機200へのデータ信号(コマンド)の送信、送信動作・受信動作の切換え、表示用電源部の動作制御等が含まれている。また、制御部118aはRAM118bに格納されたデータ信号(画像信号)を表示駆動部130に供給する。
【0022】
表示駆動部130は、各画素のデータ信号をレベル信号に変換して二次元表示を行うEPDを備えた表示部132に供給する。
【0023】
図5に表示部132を構成するアクティブマトリックスのEPDの単位画素回路例を示す。EPDの構造としては微粒子を封入したマイクロカプセルに対し下部電極と上部ITO透明電極で挟み込んだキャパシタ構造をとっている。EPD画素への書き込みは走査線SCANおよびデータ線DATAにより選択された画素に対して電源電圧まで保持容量CstrおよびEPD画素部を充電する。EPDへのデータ書き込みは、走査線SCAN上でスキャンする毎にキャパシタンスを充電することに他ならないため、EPD駆動時の電力消費量は瞬間的なパルス形状を示す。
【0024】
図6は、情報受信機100が起動してからデータ信号の情報表示を行うまでの消費電力の状態を示している。送受信系(アナログブロック)の電力消費、信号処理部(デジタルブロック)の電力消費は比較的に少ないが、EPDの各走査線の画素にデータ書き込みを行う毎にパルス状に高い電力消費が発生する。
【0025】
したがって、情報送信機200からの電力供給が一定量である場合、システムを安定に動作させるためには情報送信機200からの送信電力が消費電力の最大値を上回るよう設定する必要がある。このためEPD駆動時以外においては送信電力の大半を使用しないので電力使用効率が下がる。また、EPDへの書き込み時に情報受信機100における消費電力が情報送信機200からの供給電力を上回った場合、他の電源系の電源電圧が下がり、他の電源系統により動作しているEPD表示駆動部130、信号処理部118等の機能が停止する。なお、電波法により通信時の出力電界強度が規定されており、情報送信機200からの電力供給も制約される。
【0026】
図2は、情報送信機200の構成例を示している。同図において、アンテナ部212は情報受信機100に無線信号を送信する。また、情報受信機100からの無線信号を受信する。アンテナ部212は、既述した図4に示したものと同様の回路構成とすることができ、帯域特性を広狭に変化させることができる。帯域特性が狭い場合には高利得アンテナとなり、帯域特性が広い場合には相対的に低利得アンテナとなる。ただし、情報送信機200が美術館内の案内ポストなどに使用される場合には、固定局(固定無線局)であるので、情報受信機100の場合とは異なり、アンテナ112a、112b、112dはより大型の高効率のアンテナを使用することができる。
【0027】
結合部214は、アンテナ部212にて受信した高周波信号のうちのデータ信号(変調信号)成分を受信部216に送る。また、送信部220からの変調信号(送信信号)をアンテナ部212に送る。
【0028】
受信部216は変調信号を復調してデータ信号を復元する。このデータ信号は信号処理部218に送られる。電源部142は整流回路と平滑回路によって構成され、図示しない商用電源を整流して直流の電源電圧を発生する。直流電源電圧は図中の点線枠で示す送受信系(アナログ系)及び信号処理系(デジタル系)等の動作電源となる。
【0029】
信号処理部218は、図3を参照して説明した既述信号処理部118と同様の構成であるのでその説明を省略する。信号処理部218は、後述するように、受信したデータ信号から情報受信機100からのコマンド信号を読み取り、これに対応した各部の制御動作を行う。例えば、送信部220を介して情報受信機100へのデータ信号(コマンド)の送信、送信動作・受信動作の切換え、送信電力の切換え等が含まれている。また、信号処理部218は、データベース装置250から転送された案内情報(表示用データ)を内部のRAM118bに格納し、これをデータ信号の形式にして送信部220に供給する。
【0030】
データベース装置250は、例えば、図示しないパーソナルコンピュータシステムによって構成され、ハードティスクに案内情報(表示情報)等を蓄積している。情報受信機の接近に対応して該当するデータを信号処理部218に送出する。なお、パーソナルコンピュータシステムの図示しないディスプレイは情報送信機200の情報ディスプレイとして機能している。
【0031】
送信部220は、例えば、13.56MHzのキャリア信号を信号処理部218から供給されるデータ信号で変調して高周波信号を形成する。変調形式は例えば、RF−IDの規格を適用することができる。送信部200の図示しないパワー増幅器は信号処理部218からの制御信号に応じて増幅器の帯域特性を広狭に変化させることができる。当該増幅器が狭帯域特性のときは高利得特性であり、アンテナ部212に供給される高周波信号の送信電力が増加する。また、広帯域特性のときは低利得特性であり、アンテナ部212に供給される高周波信号の送信電力が減少するが、より高速にデータ信号を送出することが可能となる。前述したように、アンテナ部212の帯域特性も信号処理部218からの制御信号に応じて広狭に変更される。
【0032】
次に、上述した表示器を備える無線端末システムの動作例について説明する。
【0033】
図7は、第1の動作態様の概略を説明するフローチャートである。この例では、情報受信機100側の動作のタイミングにより情報送信機200の送信電力を最適に切り換える。情報受信機100が情報送信機200からデータ信号を受信し(S10)、データを復調する(S12)。復調したデータ信号から表示データを抽出してメモリに格納し終えると(S14)、情報受信機100から情報送信機200に送信出力の増強を指令するコマンドを送信する(S16)。好ましくは、情報受信機100の不要回路部分をスタンバイ状態として消費電力を節約する。情報送信機200の送信出力増大によって電源部142の出力が増大したところで表示用電源部144を活性化して表示部132を駆動する(S18)。EPD表示回路の各画素への書き込みが終了したら(S20)、情報受信機100から情報送信機200に送信出力の減少を指令するコマンドを送信し、情報送信機200の送信電力を低下させる(S22)。
【0034】
なお、情報送信機200に対するコマンドで送信出力を上げた後、制御部によって常に各電源回路部142、144の出力電圧をモニタしておき、電源電圧が減少した際にはEPD表示器への書き込みを中断して、情報送信機200に送信出力を上昇させるコマンドを送信するようにし、電源電圧が回復したらEPD表示器へのデータ書き込みを再開するようにしてもよい。
【0035】
図8は、第2の動作態様の概略を説明するフローチャートである。同図において図7と対応する部分には同一符号を付している。
【0036】
この例では、情報送信機200と情報受信機100のそれぞれにおいてデータ信号通信用のアンテナ112bとキャリアのみを受信する電力授受用アンテナ112aを用意しておき、データ信号受信の際はデータ信号通信用のアンテナ112bを使用し、データ復調終了後は電力授受用のアンテナ112aに切り換えて使用するものである。
【0037】
すなわち、当初、情報送信機200と情報受信機100はデータ信号通信用のアンテナ112bを使用している。情報受信機100はデータ信号通信用アンテナ112bによって情報送信機200からデータ信号を受信し(S10)、データを復調する(S12)。情報受信機100は復調したデータ信号から表示データを抽出してメモリに格納し終えると(S14)、情報受信機100から情報送信機200にアンテナの切換えを指令するコマンドを送信する。情報受信機100はデータ信号通信用のアンテナ112bから電力授受用アンテナ112aに切り換える(S17)。好ましくは、情報受信機100の不要回路部分をスタンバイ状態として消費電力を節約する。情報送信機200からの放射電力の増大及び情報受信機100における受信効率の向上によって電源部の出力が増大したところで表示用電源部144を活性化して表示部132を駆動する(S18)。EPD表示回路の各画素への書き込みが終了したら(S20)、情報受信機100から情報送信機200にアンテナの切換えを指令するコマンドを送信し、情報受信機100もデータ信号受信用のアンテナ112bに切り換える(S22)。
【0038】
図9は、第3の第2の動作態様の概略を説明する交信図である。同図において左側縦軸は情報送信機200の動作を時系列的に示している。同図右側の縦軸は情報受信機の動作を時系列的に示している。両軸間にはデータ信号の例が示されている。
【0039】
この実施例では、EPD駆動を無線駆動するときの効率化を図る手段としてデータ書き込み用の無線駆動出力と表示書き込み用の無線駆動出力を分けている。また、高速データ通信用伝送系と電力送信用伝送系とを使い分けている。
【0040】
まず、情報送信機200は、周期的な呼出信号の送出など、何等かの手段によって情報受信機100が通信範囲内に存在することを検出すると、キャリア信号に重畳して情報受信機100側に受信初期化シーケンスのデータ信号SD1を送信する。このデータ信号は、例えば、同図に示すようにパケットデータであり、フラグシーケンス(開始フラグ)、制御部、情報部、フレームチェックシーケンス、フラグシーケンス(終了フラグ)によって構成されている。フレームチェックシーケンスには、CRC方式あるいはパリティチェックなどのエラーチェックを採用することができる。受信初期化シーケンスのデータ信号SD1は上記情報部に初期化を指令するイニシャライズデータを含んでいる(X1)。
【0041】
情報受信機100は、通常状態においては、情報受信機100はアンテナ部112の特性をアンテナの選択又はアンテナのQ特性の選択によって狭帯域に設定するようになされている。これによってキャパシタ利得信号から効率よく電源電圧を生成することが可能となる。情報受信機100はデータ信号SD1を受信すると、各部を初期化して初期化終了コマンドをパケットの情報部に含むデータ信号RD1を情報送信機200に返信(送信)する。初期化には、受信回路のIDの読み込みが含まれる。情報受信機100は、高速データ伝送に備えて、アンテナ部112の特性をアンテナの選択又はアンテナのQ特性の選択によって広帯域特性に設定する(Y1)。
【0042】
情報送信機200は、初期化終了コマンドを受信すると、アンテナ部212の特性を広帯域特性に設定し、送信部220の帯域特性も広狭帯域利得特性に設定し、EPD表示用の画像データを送信するデータ信号SD2を高速で送信する。データ信号SD2は情報量が多く、高速のデータ伝送が望ましい。データ信号SD2のアドレス部には各行のアドレスが格納され、その情報部に各行の画素データ群が格納されている。このデータ信号SD2によって第1行〜最終行の画素データ群まで1行分毎に逐次送信する(X2)。
【0043】
情報受信機100は、各データ信号SD2を受信すると、メモリ118bに逐次格納する。全てのデータ信号SD2の格納が終了すると、データ格納終了を示すデータ格納終了コマンド、情報受信機200に送信電波の強度上昇を指示する出力上昇コマンドを情報部に含むデータ信号RD2を情報送信機200に返信する。更に、アンテナ部112の特性を狭帯域高利得特性に設定する(Y3)。
【0044】
情報送信部200はデータ信号RD2を受信し、アンテナ部212の特性を狭帯域高利得特性に設定し、送信部220の伝送特性も狭帯域高利得特性に設定して送信出力を増大させる(X3)。
【0045】
次いで、情報送信部200は、表示部活性コマンド及びEPD書込みトリガーコマンドを情報部に含むデータ信号SD3を情報受信部100に送信する(X4)。
【0046】
情報受信機100は、データ信号SD3を受信すると、表示駆動部130、表示用電源部144を活性化させ、表示部132にメモリ118bに格納された画像データの書き込みを行う(Y4)。
【0047】
情報受信機100は、画像データの書き込みが終了すると、書き込みの終了コマンドを情報部に含むデータ信号RD3を情報送信機200に送信する(Y5)。
【0048】
情報送信部200は、データ信号RD3を受信すると、情報受信機100の各部を待機状態とする各部スタンバイコマンドを情報部に含むデータ信号SD4を情報受信機100に送信する(X5)。
【0049】
情報受信機100は、データ信号SD4を受信すると、表示駆動部130,表示用電源144,表示部132を不活性化し、待機状態とする(Y6)。
【0050】
その後、情報送信部200は送信出力を低下させる(X6)。
【0051】
上述したように本発明の実施例では、EPD表示器132を備える情報受信機100を無線駆動するときの送信電力の利用率の向上のために、情報送信機200からのメモリ118bへのデータ書き込み用の無線駆動出力とEPD表示器132へのデータ書き込み用の無線駆動出力とを分けている。それにより、低消費電力で済む情報受信機100の動作状態における情報送信機200からの過剰な電力供給を回避して送信電力の利用率を向上することが可能である。
【0052】
また、上記供給電力の変更に対応して伝送系の帯域特性を広帯域低利得特性と狭帯域高利得特性に変更するので送信電力の利用率を更に向上することが可能である。
【0053】
また、実施例の構成によれば情報受信機100は情報送信機200のコマンドによって制御されるので、情報受信機100の存在場所に対応した各種情報を提供する情報ポスト(情報送信機)のようなシステムに好都合である。
【0054】
なお、実施例では情報受信機100は情報送信機200の送信出力によって動作するものとして説明したが、情報受信機100は充電池などの補助電源を備えていてもよい。
【0055】
また、電力送信専用のアンテナを常時電源部に接続した構成としてもよい。画像データ送信のため通信速度を高くすると、アンテナの周波数特性に広帯域化を要求するため電力送信効率が低下する。加えて電波法によりデータ通信時の送信電力に上限が定められている。そこで、電力送信専用アンテナを設置し、受信機の表示機能の動作に合わせて駆動することで電力送信効率の良いシステムが実現する。
【0056】
また、実施例では相対的に電力を必要とする部分の例としてEPD表示器を挙げたが、情報受信機には表示機能ではない別の相対的に消費電力の高いデバイスが接続されていても同様のシステムが実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】情報受信機の構成を説明するブロック図である。
【図2】情報送信機の構成を説明するブロック図である。
【図3】信号処理部の構成を説明するブロック図である。
【図4】アンテナ部の構成を説明するブロック図である。
【図5】EPDの単位画素を説明する説明図である。
【図6】EPDを使用した情報受信機における消費電力を説明する説明図である。
【図7】システムの第1の動作例を説明するフローチャートである。
【図8】システムの第2の動作例を説明するフローチャートである。
【図9】システムの第3の動作例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
112,212 アンテナ部、116,216 受信部、118,218 信号処理部、120,220 送信部、132 表示部、140表示用電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ回路と送受信部を備えてデータ信号を電磁波で送信する第1の送受信機と、
アンテナ回路、送受信部、前記データ信号を記憶するメモリ部、表示メモリ性を有する表示部及び電磁波から各部の動作電圧を得る電源部とを備える第2の送受信機と、含み、
前記第1の送受信機は前記データ信号の送信出力を高低に相対的に変化し、
前記第2の送受信機は前記データ信号の送信出力の低レベル状態で前記データ信号を受信して前記メモリ部に記憶し、前記データ信号の送信出力の高レベル状態で前記メモリ部から前記データ信号を前記表示部に移動する、ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記第1の送受信機は、前記データ信号の送信出力の低レベル状態において前記アンテナ回路の利得特性を広帯域特性とし、前記データ信号の送信出力の高レベル状態において前記アンテナ回路の利得特性を狭帯域とする、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第1の送受信機は、前記データ信号の送信出力の低レベル状態において前記送受信部の送信の利得特性を広帯域特性とし、前記データ信号の送信出力の高レベル状態において前記送受信部の送信の利得特性を狭帯域特性とする、請求項1又は2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第2の送受信機は、前記データ信号の送信出力の低レベル状態において前記アンテナ回路の利得特性を広帯域特性とし、前記データ信号の送信出力の高レベル状態において前記アンテナ回路の利得特性を狭帯域特性とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第2の送受信機の動作は、前記第1の送受信機のデータ信号によって制御される、請求項1乃至4のいずれかに記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−242697(P2008−242697A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80661(P2007−80661)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】