無線通信システム
【課題】稼働率に基づいて無線部およびベースバンド処理部の電源を制御可能な無線通信システムを提供することを目的とする。
【解決手段】無線通信システムは、複数の無線端末と、該複数の無線端末のうち、自身の特定範囲に存在する無線端末と無線通信する複数の無線部と、該複数の無線部のいずれかへ送信するデータを変調すると共に該複数の無線部のいずれかから受信するデータを復調する複数のベースバンド処理部と、該複数の無線部と該複数のベースバンド処理部との接続関係を切り替えるスイッチ部と、該無線部および該ベースバンド処理部のそれぞれの稼働率を算出し、該稼働率の算出結果に基づいて該無線部および該ベースバンド処理部のそれぞれの電源供給を継続または停止すると共に、電源供給停止するベースバンド処理部に接続されている無線部を電源供給継続するベースバンド処理部へ再接続するように該スイッチ部を制御する制御部とを有する。
【解決手段】無線通信システムは、複数の無線端末と、該複数の無線端末のうち、自身の特定範囲に存在する無線端末と無線通信する複数の無線部と、該複数の無線部のいずれかへ送信するデータを変調すると共に該複数の無線部のいずれかから受信するデータを復調する複数のベースバンド処理部と、該複数の無線部と該複数のベースバンド処理部との接続関係を切り替えるスイッチ部と、該無線部および該ベースバンド処理部のそれぞれの稼働率を算出し、該稼働率の算出結果に基づいて該無線部および該ベースバンド処理部のそれぞれの電源供給を継続または停止すると共に、電源供給停止するベースバンド処理部に接続されている無線部を電源供給継続するベースバンド処理部へ再接続するように該スイッチ部を制御する制御部とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、稼働率に基づいて基地局の電源を制御する無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線制御システムは無線端末との間で無線通信を行う基地局を有する。基地局は無線端末との無線通信を行う無線部と、信号の変復調などのベースバンド処理を行うベースバンド信号処理部を有する。無線端末はUE(User Equipment)と呼ばれる。
【0003】
基地局の保守管理を容易にして保守管理費用を削減するため、基地局の無線部とベースバンド信号処理部は分離して設置される場合がある。基地局から分離した無線部は、RRH(Remote Radio Head)と呼ばれる。また基地局から分離したベースバンド信号処理部は、BBU(Base Band Unit)と呼ばれる。
【0004】
異なるベンダーによって提供されたRRHおよびBBUの相互接続を可能にするため、RRHとBBUとの通信におけるプロトコル・インターフェースの標準化が行われている。標準化されたインターフェースとして、例えばCPRI(Common Public Radio Interface)がある。
【0005】
複数のUEは一つのRRHと無線通信を行う。複数のRRHは一つのBBUとパケット通信を行う。複数のBBUは無線制御システム全体のネットワークを管理する一つの管理サーバに接続される。管理サーバは全体の稼働率を監視するEMS(Element Management System)として機能すると共に、基地局の設置・運用を自動化するSON(Self Organaizing Network)として機能する。ここで稼働率とは、各装置の処理可能なトラフィック量に対し、実際のトラフィック量から算出される値である。EMSによって取得された稼働率の情報に基づいて、SONはBBUおよびRRHの動作を最適化する。以下の文献には無線通信システムに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−274048号公報
【特許文献2】特表2010−509816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
無線通信システムにおいて、各UEの使用状況はUEごとにそれぞれ異なる。また各UEの使用状況は時間的に変化する。よって複数のUEと無線通信をおこなうRRHの稼働率および複数のRRHとパケット通信を行うBBUの稼働率も時間的に変化する。しかしながら1つのRRHとパケット通信を行うBBUは固定されているため、BBUの稼働率がどれだけ低くても、そのBBUに接続されたRRHのパケット処理を他のBBUに振り分けることが出来ない。
【0008】
本発明の一実施例では、稼働率に基づいて無線部およびベースバンド処理部の電源を制御可能な無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、無線通信システムは、複数の無線端末と、該複数の無線端末のうち、自身の特定範囲に存在する無線端末と無線通信する複数の無線部と、該複数の無線部のいずれかへ送信するデータを変調すると共に該複数の無線部のいずれかから受信するデータを復調する複数のベースバンド処理部と、該複数の無線部と該複数のベースバンド処理部との接続関係を切り替えるスイッチ部と、該無線部および該ベースバンド処理部のそれぞれの稼働率を算出し、該稼働率の算出結果に基づいて該無線部および該ベースバンド処理部のそれぞれの電源供給を継続または停止すると共に、電源供給停止するベースバンド処理部に接続されている無線部を電源供給継続するベースバンド処理部へ再接続するように該スイッチ部を制御する制御部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
実施形態によれば、稼働率に基づいて無線部およびベースバンド処理部の電源を制御可能な無線通信システムを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施例にかかる無線通信システムのブロック図である。
【図2】無線通信システムの稼働状況を確認するための処理フロー図である。
【図3】無線通信システムの稼働状況を変更するための処理フロー図である。
【図4】管理サーバの詳細ブロック図である。
【図5】BBUの詳細ブロック図である。
【図6】CPRISWの詳細ブロック図である。
【図7】RRHの詳細ブロック図である。
【図8】無線通信を行っているUEの数と、各RRHおよび各BBUに割り当てるセル番号との対応表である。
【図9】UE数に応じた、各BBUと各RRHとの接続関係を示すテーブルである。
【図10】1つのBBUと複数のRRHとを接続する場合のCPRISWの動作の概略図である。
【図11】各RRHと通信するUE数が小さいときの無線通信システムの動作を説明するブロック図である。
【図12】稼動制御停止状態から稼動制御実行状態へ移行する処理フロー図である。
【図13】各RRHがカバーするセル範囲と、各セルに割り当てられたセル番号の概略図である。
【図14】RRHがカバーするセル範囲にUEが存在しないときの無線通信システムの動作を説明するブロック図である。
【図15】稼動制御停止状態から稼動制御実行状態へ移行する処理フロー図である。
【図16】各RRHがカバーするセル範囲と、各セルに割り当てられたセル番号の概略図である。
【図17】無線通信システムにおいて、GPS(Global Positioning System)を利用する場合の装置の詳細ブロック図である。
【図18】GPSによる同期処理を考慮した稼動制御の処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態について説明する。なお、各実施形態における構成の組み合わせも本発明の実施形態に含まれる。
【0013】
図1は本実施例にかかる無線通信システム1のブロック図である。無線通信システム1は管理サーバ2、BBU3、4、5、CPRISW(CPRI Switch)6、RRH7〜15、UE16〜25を有する。本実施例において無線通信システム1は、3基のBBU、9基のRRH、10基のUEを有するものとしているが、本実施例は無線通信システム1を構成するBBU、RRH、UEの数をこれに限定するものではない。
【0014】
管理サーバ2は無線通信システム1の各装置の稼働率や装置間の接続関係を監視する。また管理サーバ2は、各装置の稼働率および接続関係の監視結果に基づいて、各装置の電源管理および装置間の接続関係の切替制御を行う制御部の一例である。
【0015】
BBU3、4、5は基地局のベースバンド信号処理を実行するベースバンド処理部の一例である。本実施例において1つのBBUは最大3つのRRHからのベースバンド信号処理を行うことが出来る。各BBUの電源は管理サーバ2からの制御信号によりオンまたはオフにすることが出来る。なお本実施例ではBBUの数は3つであるが、BBUの数をこれに限定するものではない。また本実施例において、1つのBBUは3つのRRHからのベースバンド信号をそれぞれ別個に処理可能なベースバンド信号処理部を有するものとする。
【0016】
CPRISW6は各BBUと各RRHとの接続を切り換えるスイッチ部の一例である。CPRISW6の切り換え動作は管理サーバ2により制御される。CPRISW6は接続状況に応じて1つのBBUから受信したパケット信号をコピーして複数のRRHに送信すると共に、複数のRRHから受信したパケット信号を加算して1つのBBUに送信する。
【0017】
RRH7からRRH15は、いずれかのBBUから受信したパケット信号を無線信号に変換する。各RRHは変換した無線信号を各UEへ送信する無線部の一例である。また各RRHは各UEから無線信号を受信する。各RRHはそれぞれ、各UEと通信可能な特定範囲を有する。それぞれのRRHが各UEと通信可能な特定範囲は、RRHの信号増幅能力やアンテナの指向性によって決まる。各RRHが各UEと通信可能な特定範囲をセルという。また、セルに与えられる識別番号をセル番号という。
【0018】
UE16からUE25は、無線信号を送受信する無線端末の一例である。各UEはそれぞれいずれかのRRHと無線通信可能な移動体端末である。各UEが属するセルは各RRHとの位置関係により決定する。各UEの稼働状況およびRRHとの通信データ量はUEによりそれぞれ異なる。
【0019】
図2は無線通信システム1の稼働状況を把握するための処理フロー図である。各UEには、そのUEを識別する識別番号が割り振られている。管理サーバ2はその各UEに割り当てられたセル番号と共に、各UEの識別番号を管理する。各UEは自身の識別番号と共に、自身のトラフィック量を示すトラフィック量情報を定期的にRRHに送信する(S1)。
【0020】
各UEのトラフィック量情報および識別番号を受信した各RRHは、受信した情報をCPRISW6へ送信する(S2)。CPRISW6は管理サーバ2により接続先として設定されたBBUに対し、各RRHから受信したトラフィック量情報および識別番号を送信する(S3)。
【0021】
各BBUは各RRHから受信した各UEのトラフィック量情報および識別番号を管理サーバ2に通知する(S4)。管理サーバ2は受信した情報に基づいて、各RRHおよび各BBUが処理するトラフィック量を集計する(S5)。また管理サーバ2は各UEの識別番号に基づいて、各RRHが通信しているUEの数を集計する(S6)。管理サーバ2は集計したトラフィック量およびUE数に基づいて、各RRHおよび各BBUの稼働率を計算する。管理サーバ2は各RRHおよび各BBUが処理可能なトラフィック量およびUE数と、現在のトラフィック量およびUE数との比率に基づいて稼働率を算出する(S7)。管理サーバ2は算出した稼働率に基づいて、各RRHおよび各BBUの稼動または停止を判断する(S8)。管理サーバ2において、トラフィック量の監視はEMSが行う。稼働率に基づく稼動または停止の判定は、後述する稼動判定テーブルによる稼動または停止の判定を含む。
【0022】
以上の通り管理サーバ2は、各UEのトラフィック量情報および識別番号に基づいて、無線通信システム1を構成する各RRHおよび各BBUの稼働または停止を判断することが出来る。
【0023】
図3は無線通信システム1の稼働状況を変更するための処理フロー図である。管理サーバ2は図2の処理によって把握した無線通信システム1の稼働状況に応じて、無線通信システム1を構成する各RRHおよび各BBUの稼働または停止を切り替える。稼働または停止の切り替えは、管理サーバ2のSONにより実行される。SONはEMSが監視した稼働状況に応じて、各RRHおよび各BBUの稼働または停止を切り替える。
【0024】
管理サーバ2はEMSの監視結果に基づいて、BBUおよびRRHの稼動または停止を決定する(S10)。各BBUおよび各RRHの稼動または停止の決定は、EMSの監視結果および後述する稼動判定テーブルに基づいて行う。稼動判定テーブルの詳細は後述する。また管理サーバ2はEMSの監視結果および稼動判定テーブルに基づいて、稼動するRRHがカバーするセルに割り当てるセル番号を決定する。セルは1つのRRHが電波をUEに送信できる範囲である。管理サーバ2は1つのセル番号に1つの周波数を割り当てる。セル番号ごとに異なる周波数を割り当てることにより、UEが異なるセル番号を有する複数のセルにカバーされるエリアにいる場合であっても、自分の属するセル番号を割り当てられたRRHと無線通信を行うことが出来る。
【0025】
管理サーバ2は決定したセル番号を各BBUに通知する(S11)。各BBUは各UEに対し、受信したセル番号を各RRH経由で通知する(S12)。各UEは一定時間経過後に、強制的なハンドオーバ処理の実行によりセル番号を自律的に変更する。事前に通知することにより、各UEは各BBUおよび各RRHの稼動状態の切り替え処理前に、新しいセル番号へのハンドオーバ処理を開始することが出来る。
【0026】
管理サーバ2はステップS11における決定に基づいて、CPRISW6に対し各BBUの接続先である各RRHを切り替える切替信号を送信する(S13)。CPRISW6は管理サーバ2から受信した切替信号に応じ、接続切替処理を後述するセル番号変更通知と同時に実行する。
【0027】
管理サーバ2はステップS11における決定に基づいて、各BBUおよびRRHの稼動または停止を指示する制御信号を出力する(S14)。制御信号を受信した各BBUは、制御信号に応じて稼動または停止の設定をする(S15)。また制御信号を受信した各RRHは、制御信号に応じて稼動または停止の設定をする(S16)。
【0028】
各BBUおよび各UEに変更後のセル番号を通知後、管理サーバ2はセル番号変更通知信号を各BBUおよび各RRHに出力する(S17)。ステップS12のセル番号通知から一定時間が経過し、各UEが新セル番号へ変更されると同時に、セル番号変更通知信号を受信した各BBUおよび各RRHは新セル番号に設定されると共にCPRISW6は接続を切り替える(S18)。また各BBUおよび各RRHは制御信号に応じて稼動または停止する。
【0029】
ステップS17のセル番号変更通知は、例えばステップS11のセル番号通知時に各BBU、CPRISW6、および各RRHに通知したフレーム番号を有するパケット信号であってもよい。新セル番号への切り替え処理を行うタイミングでのフレーム番号を管理サーバ2から通知させることにより、各BBUおよび各RRHは、そのフレーム番号を有するパケット信号を受信すると同時に新セル番号への切り替え処理を実行することが出来る。またCPRISW6はそのフレーム番号を有するパケット信号を受信すると同時に接続の切り替え処理を実行することが出来る。この場合、各BBU、CPRISW6、および各RRHは通知されたフレーム番号を記憶する記憶部をそれぞれ有する。以下の実施例においても同様である。
【0030】
各BBU、CPRISW6、および各RRHにカウンタを実装し、現在のフレーム番号と新セル番号へ切り替えるタイミングでのフレーム番号との差分値をカウンタでカウントさせても良い。同一周期で各BBUおよび各RRHのカウンタをカウントアップすることにより、同一タイミングで新セル番号への切り替え処理を実行することが出来る。また同一周期でCPRISW6のカウンタをカウントアップすることにより、同一タイミングで接続の切り替え処理を実行することが出来る。この場合、各BBU、CPRISW6、および各RRHは、切り替えタイミングまでの時間をカウントするカウンタをそれぞれ有する。以下の実施例においても同様である。
【0031】
以上の通り管理サーバ2はEMSの監視結果に基づいて、無線通信システム1の稼働状況を変更することが出来る。
【0032】
図4は管理サーバ2の詳細ブロック図である。管理サーバ2はEMS40、SON41を有する。前述の通りEMS40は無線通信システム1のトラフィック量の監視を行う。SON41はEMS40の監視結果に基づいて、無線通信システム1を構成する各RRHおよび各BBUの稼働状況を変更する制御信号を出力する。
【0033】
EMS40はHWY−INF42、監視制御部43、SON−INF44を有する。HWY−INF42は各BBUと通信するためのインターフェースである。監視制御部43はHWY−INF42から受信したトラフィック情報を監視する。監視制御部43はトラフィック情報の監視結果をSON−INF44に送信する。SON−INF44はSON41と通信するためのインターフェースである。SON−INF44は監視制御部43から受信した監視結果をSON41に送信する。
【0034】
SON41はSON−INF45、データベース46、基地局制御部47を有する。SON−INF45はEMS40と通信するためのインターフェースである。SON−INF45はトラフィック情報の監視結果をEMS40から受信する。SON−INF45は受信した監視結果をデータベース46に送信する。
【0035】
データベース46は後述する稼動判定テーブルを記憶する。データベース46はSON−INF45から受信した監視結果および稼動判定テーブルに基づいて、各BBUおよびRRHの稼動継続または停止を判定する。同様にデータベース46は、監視結果および稼動判定テーブルに基づいて各BBUのセル番号を決定する。データベース46は決定したBBUおよびRRHの稼働状況およびセル番号を基地局制御部47に出力する。
【0036】
基地局制御部47はデータベース46から受信したBBUおよびRRHの稼働状況およびセル番号に応じて、各BBU、CRPRISW6、各RRH、および各UEの制御信号をSON−INF45に出力する。制御信号を出力するタイミングは前述の処理フロー図で説明した通りである。SON−INF45は受信した制御信号をEMS40に出力する。EMS40は受信した制御信号を各BBUに出力する。
【0037】
以上の通り管理サーバ2は、無線通信システム1の稼働状況に応じて、各BBU、各RRH、および各UEの稼働状況および割り当てるセル番号を制御することが出来る。
【0038】
図5はBBU3の詳細ブロック図である。他のBBU4、5も同一機能および同一構成を有する。よってBBU3について詳細に説明し、BBU4、5についてはその説明を省略する。
【0039】
BBU3は管理サーバ2から受信する制御信号に応じて稼動状況およびセル番号の変更を行う。BBU3はBBU−INF50、電源制御部51、信号処理部52、HWY−INF53を有する。
【0040】
BBU−INF50はCPRI規格に基づいて各RRHと通信するためのインターフェースである。本実施例においてBBU3は、BBU−INF50を介してCPRISW6に接続される。BBU−INF50はCPRISW6から受信した信号を電源制御部51または信号処理部52に送信する。
【0041】
電源制御部51は管理サーバ2から受信する制御信号に応じて信号処理部52の電源供給を制御する。電源制御部51はBBU3の稼動を停止する制御信号を受信した場合、信号処理部52への電源供給を停止する。信号処理部52への電源供給を停止している状態でも、電源制御部51は稼動を継続する。BBU3の停止状態において、管理サーバ2からBBU3の稼動を開始する制御信号を受信した場合、電源制御部51は信号処理部52の電源供給を開始する。
【0042】
以上の通りBBU3は稼動停止状態であっても、管理サーバ2からの稼動制御が可能な電源制御部51のみを動作させることにより、管理サーバ2からのBBU3の稼動要求に応答することが出来る。
【0043】
電源制御部51は、管理サーバ2から受信した制御信号がBBU3に対するものでない場合、BBU−INF50に転送する。BBU−INF50に転送された制御信号は、各RRHに送信される。電源制御部51を経由して制御信号をRRHに送信することにより、信号処理部52の稼動を停止している場合であっても、管理サーバ2は各RRHに制御信号を送信することが出来る。
【0044】
信号処理部52は各RRHまたは管理サーバ2から受信した信号の変復調などのベースバンド処理を実行する。信号処理部52は、各UEへの無線信号送信において、送信信号に対し、情報ソース以外の信号の付加を行う。情報ソース以外の信号として誤り制御符合、通信相手を特定する信号などがある。また信号処理部52は、各UEからの無線信号受信において、受信信号に対し、情報ソース以外の信号の分離を行う。
【0045】
HWY−INF53は管理サーバ2と通信するためのインターフェースである。HWY−INF53は管理サーバ2から受信した制御信号を電源制御部51に送信する。HWY−INF53は管理サーバ2から受信した信号を信号処理部52に送信する。HWY−INF53は電源制御部51から受信した制御結果を管理サーバ2に送信する。HWY−INF53は信号処理部52から受信した信号を管理サーバ2に送信する。
【0046】
本実施例において、1つのBBUは3つのRRHとのデータ通信処理を実行可能としている。1つのBBUは図5の構成を同一装置内に3つ実装していてもよいし、信号処理部52を3つ有するように構成しても良い。
【0047】
以上の構成により、BBU3は管理サーバ2から受信する制御信号に応じて、信号処理部52の電源供給を継続または停止することが出来る。
【0048】
図6はCPRISW6の詳細ブロック図である。CPRISW6は管理サーバ2から受信する制御信号に応じて、各BBUと各RRHとの接続関係を切り換える。CPRISW6はBBU−INF61、切替制御部62、切替処理部63、RRH−INF64を有する。
【0049】
BBU−INF61は各BBUと通信するためのインターフェースである。BBU−INF61は各BBUから受信した制御信号を切替制御部62に送信する。BBU−INF61は各BBUから受信した信号を切替処理部63に送信する。BBU−INF61は切替処理部63から受信した信号を各BBUに送信する。
【0050】
切替制御部62は受信した制御信号に応じて切替処理部63の接続関係を切り替える。切替処理部63は切替制御部62から受信した切替信号に応じて、BBU−INF61とRRH−INF64との接続関係を切り替える。切替処理部63の切替動作の詳細は後述する。
【0051】
RRH−INFは各RRHと通信するためのインターフェースである。RRH−INF64は切替処理部63から受信した信号を各RRHに送信する。RRH−INF64は各RRHから受信した信号を切替処理部63に送信する。BBU−INF61は切替処理部63から受信した信号を各BBUに送信する。図6のCPRISW6の詳細な切替動作については後述する。
【0052】
図7はRRH7の詳細ブロック図である。他のRRH8からRRH15も同一機能および同一構成を有する。よって、RRH7について詳細に説明し、他のRRH8からRRH15についてはその説明を省略する。
【0053】
RRH7は管理サーバ2から受信する制御信号に応じて稼動状況およびセル番号の変更を行う。RRH7はRRH−INF70、電源制御部71、RF(Radio Frequency)処理部72、ANT−INF73を有する。
【0054】
RRH−INF70はCPRI規格に基づいて各BBUと通信するためのインターフェースである。本実施例においてRRH7は、RRH−INF70を介してCPRISW6に接続される。RRH−INF70はCPRISW6から受信した信号を電源制御部71またはRF処理部72に送信する。
【0055】
電源制御部71は管理サーバ2から受信する制御信号に応じてRF処理部72の電源を制御する。電源制御部71はRRH7の稼動を停止する制御信号を受信した場合、RF処理部72への電源供給を停止する。RF処理部72への電源供給を停止している状態でも、電源制御部71は稼動を継続する。RRH7の稼動停止状態において、管理サーバ2からRRH7の稼動を開始する制御信号を受信した場合、電源制御部71はRF処理部72の電源供給を開始する。以上の通りRRH7は稼動停止状態であっても、管理サーバ2からの制御対象である電源制御部71のみを動作させることにより、管理サーバ2による制御可能な状態でRRH7の稼動停止時の電力消費を削減することが出来る。
【0056】
RF処理部72は各UEまたはいずれかのBBUから受信した信号のRF処理を実行する。RF処理部72は、各UEへの無線信号送信において、BBUから受信した情報ソースの搬送波周波数をベースバンド領域からRF領域に変換する。RF領域の周波数帯は、RRH7に割り当てられたセル番号により決定する。RF処理部72はRF領域に変換した情報ソースを電波として各UEに送信する。またRF処理部72は、各UEからの無線信号受信において、各UEから受信した情報ソースの搬送波周波数をRF領域からベースバンド領域に変換する。RF処理部72はベースバンド領域に変換した情報ソースを有線でいずれかのBBUに送信する。
【0057】
ANT−INF73は各UEと無線通信するためのインターフェースである。ANT−INF73はRF処理部72から受信した情報ソースをアンテナに送信する。ANT−INF73はアンテナから受信した情報ソースをRF処理部72に送信する。
【0058】
図8は無線通信を行っているUEの数と、各RRHおよび各BBUに割り当てるセル番号との対応表である。図8は一例であり、これに限定するものではない。管理サーバ2のデータベース46は、図8の対応表を稼動判定テーブルの一部として記憶する。図8のAは無線通信を行っているUE数に応じて、各RRHに割り当てるセル番号を参照するためのテーブル80である。図8のBは無線通信を行っているUE数に応じて、各BBUに割り当てるセル番号を参照するためのテーブル81である。
【0059】
本実施例において、管理サーバ2は、無線通信を行っているUEの数およびトラフィック量に応じて、各RRHに割り当てるセル番号を変化させる。複数のRRHに同一セル番号を割り当てることにより、1つのBBUに複数のRRHを割り当てることが出来る。この結果管理サーバ2は、稼動するBBUの数を減らすことが出来る。BBUの稼動数を減らすことにより、管理サーバ2は無線通信システム1の電力消費を小さくすることが出来る。また、複数のRRHに同一のセル番号を割り当てることにより、1つのセルがカバーするセル面積を大きくすることが出来る。セル面積を大きくすることにより、UEの移動に伴うハンドオーバ処理の回数を減らすことが出来る。ハンドオーバ処理の回数を減らすことにより、無線通信システム1にかかる処理負荷を小さくすることが出来る。
【0060】
図8のAにおいて、テーブル80は管理サーバ2のデータベース46に記憶されている。テーブル80の各列は、通信中のUE数に応じて、各RRHに割り当てるセル番号を示す。列82は、UE数の大中小を判別する閾値を示す。UE数の大中小を決定する閾値は、各RRHの処理能力、セルの大きさなどに応じてあらかじめ設定する。列83は、通信中のUE数に応じて、RRH7に割り当てるセル番号を示す。本実施例におけるRRH7の場合、セル番号はUE数の数によらず常にセル番号‘1’となる。また列91は、通信中のUE数に応じて、RRH15に割り当てるセル番号を示す。RRH15の場合、セル番号はUE数が大のときは‘9’、UE数が中のときは‘3’、UE数が小のときは‘1’となる。
【0061】
テーブル80の各行は、通信中のUE数における、各RRHに割り当てるセル番号を示す。行92は、UE数が大のときに各RRHに割り当てられているセル番号を表す。各RRHには‘1’から‘9’までの異なるセル番号が割り当てられる。
【0062】
テーブル80の行93は、UE数が中のときに各RRHに割り当てられているセル番号を表す。RRH7、8、9にはセル番号‘1’が、RRH10、11、12にはセル番号‘2’が、RRH13、14、15にはセル番号‘3’が割り当てられる。1つのセル番号が付与されたエリアに存在するUE数が、1つのBBUが処理可能なUE数を超えないようにセル番号を割り当てることにより、複数のRRHに同一のセル番号を割り当てることが出来る。
【0063】
テーブル80の行94は、UE数が小のときに各RRHに割り当てられているセル番号を表す。すべてのRRHには、セル番号‘1’が割り当てられる。行93の場合と同様に、1つのセル番号が付与されたエリアに存在するUE数が、1つのBBUが処理可能なUE数を超えないようにセル番号を割り当てることにより、さらに多くのRRHに同一のセル番号を割り当てることが出来る。
【0064】
以上の通り、UE数に応じて複数のRRHに同一のセル番号を割り当てることにより、1つのセルがカバーするセル面積を大きくすることが出来る。セル面積を大きくすることにより、UEの移動に伴うハンドオーバ処理の回数を減らすことが出来る。ハンドオーバ処理の回数を減らすことにより、無線通信システム1にかかる処理負荷を小さくすることが出来る。
【0065】
図8のBにおいてテーブル81は、管理サーバ2のデータベース46に記憶されている。テーブル81の各列は、通信中のUE数に応じて、各BBUに割り当てるセル番号および稼動状態を示す。本実施例において、1つのBBUにはRRHとのデータ通信処理を行うユニットが3つ実装されている。1つのBBUは最大3つのRRHとのデータ通信を行うことが出来る。例えばBBU3に実装されているユニットをそれぞれ、BBU3−1、BBU3−2、BBU3−3とする。
【0066】
テーブル81における列95は、UE数の大中小を判別する閾値を示す。UE数の大中小の閾値は、各RRHの処理能力、セルの大きさなどに応じてあらかじめ設定する。列95における大中小の閾値は、列82における閾値と同一である。列96は、通信中のUE数に応じて、BBU3−1に割り当てるセル番号を示す。BBU3−1の場合、セル番号はUE数の数によらず常にセル番号‘1’であり、常に稼動する。列104は、通信中のUE数に応じて、BBU5−3に割り当てるセル番号を示す。BBU5−3の場合、UE数が大のときセル番号は‘9’であり、UE数が中以下になると稼動を停止する。
【0067】
テーブル81の各行は、通信中のUE数における、各BBUに割り当てるセル番号および稼動状態を示す。行105は、UE数が大のときに各BBUに割り当てられているセル番号および稼動状態を表す。各BBUには‘1’から‘9’までの異なるセル番号が割り当てられる。
【0068】
テーブル81の行106は、UE数が中のときに各BBUに割り当てられているセル番号を表す。BBU3−1にはセル番号‘1’が、BBU3−2にはセル番号‘2’が、BBU3−3にはセル番号‘3’が割り当てられる。BBU4、5は停止状態となる。前述の通り、テーブル81においてUE数が中のときは、3つのRRHに同一のセル番号が割り当てられる。同一セル番号が割り当てられた3つのRRHから出力されるデータのベースバンド処理は1つのBBUで処理可能である。複数のRRHに同一セル番号を割り当てるほど、全体のセル番号の数は小さくなる。よって稼動させるべきBBUの数も小さくすることが出来る。
【0069】
テーブル81の行107は、UE数が小のときに各BBUに割り当てられているセル番号を表す。BBU3−1には、セル番号‘1’が割り当てられる。テーブル80より、UE数が小のとき、すべてのRRHにセル番号‘1’が割り当てられている。よってUE数が小のときBBU3−1のみ稼動させ、残りのすべてのBBUを停止させることが出来る。
【0070】
以上の通り、データ通信するUE数の変化に伴って同一セル番号を割り当てるRRHの数を変えることにより、稼動するBBUの数を変えることが出来る。稼動するBBUの数を変えることにより、データのトラフィック量に応じて無線通信システム1全体の消費電力を最適化することが出来る。
【0071】
図9はUE数に応じた、各BBUと各RRHとの接続関係を示すテーブルである。図9のAはUE数が大の場合のBBUとRRHとの接続関係を示すテーブル110である。図9のBはUE数が中の場合のBBUとRRHとの接続関係を示すテーブル111である。図9のCはUE数が小の場合のBBUとRRHとの接続関係を示すテーブル112である。テーブル110、111、112は管理サーバ2のデータベース46に記憶されている。前述のCPRISW6の切替制御部62は、UE数に応じてテーブル110、111、112のいずれかを呼び出す。切替制御部62は呼び出したテーブルに応じて切替処理部63の接続関係を切り換える。
【0072】
図9のAについて、テーブル110の‘○’は、各RRHと各BBUとの接続関係を表す。‘○’の意味はテーブル111、112についても同様である。例えばRRH7の行を見ると、BBU3−1の列に‘○’がついている。よって切替制御部62は、テーブル110を参照することにより、UE数が大のときにはRRH7とBBU3−1とを接続するように切替処理部63を制御する。他のBBUとRRHとの接続についても同様である。
【0073】
図9のBについて、テーブル111のBBU3−1の列は、RRH7、8、9の行に‘○’を有する。よって切替制御部62は、テーブル111を参照することにより、UE数が中のときにはRRH7、8、9とBBU3−1とを接続するように切替処理部63を制御する。BBU3−2、BBU3−3の列についても同様である。
【0074】
テーブル111の‘加算’の行は、RRHからBBUにデータ送信する場合に、各BBUに加算送信するRRHの集合を示す。例えば‘加算’の行のBBU3−1の列を見ると、‘RRH7、8、9’とある。よってRRHからBBU3−1にデータ送信する場合には、切替制御部62は、RRH7、8、9それぞれから出力されたデータを加算するように切替処理部63を制御する。切替処理部63は加算結果をBBU3−1に送信する。BBU3−2、BBU3−3の列についても同様である。どのRRHとも接続されないBBUは電源停止状態にすることが出来る。
【0075】
図9のCについて、テーブル112のBBU3−1の列は、すべてのRRHの行に‘○’を有する。よって切替制御部62は、テーブル112を参照することにより、UE数が小のときにはRRH7、8、9とBBU3−1とを接続するように切替処理部63を制御する。どのRRHとも接続されないBBUは電源停止状態にすることが出来る。
【0076】
テーブル112の‘加算’の行は、RRHからBBUにデータ送信する場合に、各BBUに加算送信するRRHの集合を示す。‘加算’の行のBBU3−1の列を見ると、‘全加算’とある。よってRRHからBBU3−1にデータ送信する場合には、切替制御部62は、全てのRRHそれぞれから出力されたデータを加算するように切替処理部63を制御する。切替処理部63は加算結果をBBU3−1に送信する。
【0077】
以上の通りCPRISW6は、UE数に応じてテーブル110、111、112を参照することにより、BBUとRRHの稼動状態に応じて適切に接続を切り換えることが出来る。
【0078】
図10は1つのBBUと複数のRRHとを接続する場合のCPRISW6の動作の概略図である。図10のAはBBUからRRHへデータ送信するときのCPRISW6の動作の概略図である。図10のBはRRHからBBUへデータ送信するときのCPRISW6の動作の概略図である。
【0079】
図10のAにおいて切替制御部62は、信号120のポートと信号121のポート、および信号120のポートと信号122のポートを接続するように切替処理部63を制御する。この結果切替処理部63は、受信した信号120を複製し、信号121、122として出力する。出力された信号121、122はそれぞれ別個のRRHに入力される。信号121、122を受信するRRHは同一のセル番号を有する。それぞれのRRHは同一の信号をBBUから受信している。UEがいずれかのRRHがカバーするエリアにいれば、UEはBBUから送信された信号を受信することが出来る。
【0080】
図10のBにおいて切替制御部62は信号121と信号122とを加算して信号120を出力するように切替処理部63を制御する。信号121と信号122は隣接するセルをカバーするRRHから出力される信号である。信号121、122を出力するRRHに割り当てられるセル番号は同一である。よってUEがいずれのRRHがカバーするエリアに存在する場合であっても、BBUはUEから送信された信号を受信することが出来る。また、それぞれのRRHに割り当てられたセル番号が同一なので、UEが異なるRRHがカバーするエリアに移動する場合であっても、ハンドオーバ処理をすることなく通信を継続することが出来る。さらに、同一のセル番号を割り当てられたRRHのカバーエリア同士の境界付近にUEがいる場合、信号121と信号122はほぼ同一位相の信号になるため、切替処理部63は、信号121、122を加算増幅して信号120を出力することが出来る。加算増幅により信号の振幅が大きくなるため、BBUは、受信する信号のエラー発生率を減少させることが出来る。
【0081】
図11は各RRHと通信するUE数が小さいときの無線通信システムの動作を説明するブロック図である。図11において、RRH7はUE16のみと通信している。RRH8はUE20のみと通信している。RRH15はUE25のみと通信している。各RRHがそれぞれ通信するUE数が少なくなり、UE数が中以下になると、BBU4、5は電源停止状態となる。図11において、BBU4、5の斜線は、電源停止状態を示している。
【0082】
図12は稼動制御停止状態から稼動制御実行状態へ移行する処理フロー図である。稼動制御停止状態とは稼動制御を行わずに無線通信システム1のすべての装置が稼動している状態である。稼動制御実行状態とは、無線通信システム1の稼動状況に基づいて個々の装置の稼動継続または停止を制御している状態である。
【0083】
本実施例ではいくつかのBBUを停止状態にする処理を説明する。ステップS20はすべてのRRHおよびBBUが稼働中であることを示す。無線通信システム1において通信中のUE数が減少すると、その情報が管理サーバ2に通知される(S21)。管理サーバ2はUE数に応じて稼動制御処理を開始する(S22)。
【0084】
管理サーバ2は接続変更後のセル番号を各BBUに通知する(S23)。また管理サーバ2はBBU経由で各UEにも接続変更後のセル番号を通知する(S24)。各UEは一定時間経過後に、強制的なハンドオーバ処理の実行によりセル番号を自律的に変更する。事前に通知することにより、各UEは各BBUおよび各RRHの稼動状態の切り替え処理前に、新しいセル番号へのハンドオーバ処理を開始することが出来る。
【0085】
管理サーバ2はCPRISW6に切替信号を送信して接続切替の指示を実行する(S25)。CPRISW6は管理サーバ2から受信した切替信号に応じ、接続切替処理を後述するセル番号変更通知と同時に実行する。
【0086】
管理サーバ2はステップS22における決定に基づいて、各BBUの稼動または停止を指示する制御信号を出力する(S26)。制御信号を受信した各BBUは、制御信号に応じて稼動または停止の設定をする。
【0087】
各BBUおよび各UEに変更後のセル番号を通知し一定時間経過後、管理サーバ2はセル番号変更通知信号を各BBUおよび各RRHに出力する(S27)。ステップS23のセル番号通知から一定時間が経過し、各UEが新セル番号へ変更されると同時に、セル番号変更通知信号を受信した各BBUおよび各RRHは新セル番号に設定される(S28)。またCPRISW6は接続を切り替える。さらに各BBUおよび各RRHは制御信号に応じて稼動または停止する。
【0088】
以上の通り、管理サーバ2はUE数の減少に応じて、BBUとRRHとの接続関係を切り換える。接続関係の切替により不要となったBBUの電源供給を停止することにより、管理サーバ2は無線通信システム1全体の消費電力を抑えることができる。
【0089】
図13は各RRHがカバーするセル範囲と、各セルに割り当てられたセル番号の概略図である。図13のAはUE数が中の場合のセル番号の概略図である。図13のBはUE数が小の場合のセル番号の概略図である。
【0090】
図13のAにおいて、RRH7、8、9のカバーするセル範囲は隣接している。RRH7、8、9に割り当てられたセル番号は1である。よって無線通信システム1は、それぞれのRRHに別個のセル番号が割り当てられた状態と比べ、3つのRRHに同一のセル番号を割り当てることで1つのセル番号がカバーするセル範囲を大きくすることが出来る。1つのセル番号がカバーするセル範囲を大きくすることにより、UEの移動に伴いセル番号が変化することによるハンドオーバ処理の回数を減らすことが出来る。セル番号‘2’が割り当てられたRRH10、11、セル番号‘3’が割り当てられたRRH13、14についても同様である。
【0091】
図13のBにおいて、UE数が小のとき、すべてのRRHがカバーするセル範囲には同一のセル番号‘1’が割り当てられる。よって同一セル番号がカバーするセル範囲はUE数が中のときよりもより大きくなる。同一セル番号がカバーするセル範囲が大きいほど、UEの移動に伴うセル番号の変化率も小さくなる。セル番号の変化率が小さくなれば、無線通信システム1のハンドオーバ処理に伴う負荷もより小さくなる。
【0092】
また、同一セル番号が割り当てられたUEとの無線通信におけるベースバンド処理は1つのBBUで処理することが出来る。よってUE数が小の場合、無線通信システム1がカバーするすべてのUEとの無線通信におけるベースバンド処理を1つのBBUで実行することが出来る。処理に必要なBBUの数を減らして不要なBBUの電源を停止させることにより、無線通信システム1は消費電力を抑制することが出来る。
【0093】
図14はRRHがカバーするセル範囲にUEが存在しないときの無線通信システムの動作を説明するブロック図である。図14において、RRH7はUE16のみと通信している。RRH8はどのUEとも通信していない。RRH15はUE25のみと通信している。RRH8がカバーするセル範囲にUE数が存在しない場合、消費電力削減のため、RRH8は停止状態になる。また本実施例において、各RRHがそれぞれ通信するUE数が少なく、かつ、UE数が中以下になると、BBU4、5は停止状態となる。図14において、BBU4、5およびRRH8の斜線は、停止状態を示している。
【0094】
図15は稼動制御停止状態から稼動制御実行状態へ移行する処理フロー図である。本実施例ではBBUおよびRRHを停止状態にする処理を説明する。ステップS30はすべてのRRHおよびBBUが稼働中であることを示す。無線通信システム1において通信中のUE数が減少すると、その情報が管理サーバ2に通知される(S31)。管理サーバ2はUE数に応じて稼動制御処理を開始する。管理サーバ2は各BBUおよび各RRHの稼動継続または停止を決定する(S32)。また管理サーバ2は稼動制御後の各BBU、各RRHおよび各UEに割り当てるセル番号を決定する。
【0095】
管理サーバ2は決定したセル番号を各BBUに通知する(S33)。また管理サーバ2はBBU経由で各UEにも決定したセル番号を通知する(S34)。各UEは一定時間経過後に、強制的なハンドオーバ処理の実行によりセル番号を自律的に変更する。事前に通知することにより、各UEは各BBUおよび各RRHの稼動状態の切り替え処理前に、新しいセル番号へのハンドオーバ処理を開始することが出来る。
【0096】
管理サーバ2はステップS32における決定に基づいて、CPRISW6に対し各BBUの接続先である各RRHを切り替える切替信号を送信する(S35)。CPRISW6は管理サーバ2から受信した切替信号に応じ、接続切替処理を後述するセル番号変更通知と同時に実行する。
【0097】
管理サーバ2はステップS32における決定に基づいて、各BBUの稼動または停止を指示する制御信号を出力する(S36)。制御信号を受信した各BBUは、制御信号に応じて稼動または停止の設定をする。管理サーバ2はステップS32における決定に基づいて、各RRHの稼動または停止を指示する制御信号を出力する(S37)。また制御信号を受信した各RRHは、制御信号に応じて稼動または停止の設定をする。
【0098】
各BBUおよび各UEに変更後のセル番号を通知し一定時間後、管理サーバ2はセル番号変更通知信号を各BBUおよび各RRHに出力する(S38)。ステップS33のセル番号通知から一定時間が経過し各UEが新セル番号へ変更されると同時に、セル番号変更通知信号を受信した各BBUおよび各RRHは新セル番号に設定される(S39)。また同時にCPRISW6は接続を切り替える。さらに各BBUおよび各RRHは制御信号に応じて稼動を継続または停止する。
【0099】
以上の通り、管理サーバ2はUE数の減少に応じて、BBUとRRHとの接続関係を切り換える。接続関係の切替により不要となったBBUおよびRRHの電源供給を停止することにより、管理サーバ2は無線通信システム1全体の消費電力を抑えることができる。
【0100】
図16は各RRHがカバーするセル範囲と、各セルに割り当てられたセル番号の概略図である。図16のAはUE数が中の場合のセル番号の概略図である。図16のBはUE数が小の場合のセル番号の概略図である。
【0101】
図16のAは、図13のAにおいて、RRH8の電源供給を停止した場合のセル範囲を示している。図16のBは、図13のBにおいて、RRH8の電源供給を停止した場合のセル範囲を示している。RRH8以外のRRHはすべて稼動している。RRH8以外の他のRRHの動作条件は図13のAと同一であるため、その説明を省略する。
【0102】
以上の通り、1つのセル範囲をカバーするRRHの電源供給を停止しても、他のRRHがカバーするセル範囲に影響を与えることなく、通信中のUE数に応じてセル番号を変更することが出来る。処理に必要なBBUの数を減らして不要なBBUの電源を停止させると共に、UEと通信していないRRHの電源を停止させることにより、無線通信システム1は消費電力をさらに抑制することが出来る。
【0103】
図17は、無線通信システム1において、GPS(Global Positioning System)を利用する場合の装置の詳細ブロック図である。図17のAはGPSを利用する場合のBBU3の詳細ブロック図である。図17のBはGPSを利用する場合のCPRISW6の詳細ブロック図である。
【0104】
図17のAは、図5のBBU3にGPS受信部54を追加実装したものである。GPS受信部54は受信したGPS信号に基づいて基準クロックを生成する。信号処理部52はGPS受信部54により生成された基準クロックに基づいて動作する。
【0105】
無線通信システム1は複数のBBUを有する。各BBUは非同期に動作する。1つのUEが、あるBBUが管理するセル範囲から、他のBBUが管理するセル範囲に移動した場合、セル番号の変化に伴うハンドオーバ処理が発生する。各BBUが非同期に動作している場合、ハンドオーバ処理においてBBU間のタイミングのずれによりデータ通信が途切れることがある。本実施例において各BBUにGPS受信部54を実装することにより、各BBUの動作タイミングを同期させることが出来る。各BBUの動作タイミングを同期させることにより、ハンドオーバ処理におけるデータ通信の途切れを防ぐことが出来る。
【0106】
図17のBは、図6のCPRISW6にカウンタ65を追加実装したものである。切替制御部62が受信する切替制御信号は切替タイミングにおけるフレーム番号の情報を有する。切替制御部62は切替制御信号受信時のフレーム番号と切替タイミングにおけるフレーム番号との差分に基づき、カウント値を算出する。切替制御部62は算出したカウント値をカウンタ65に送信する。
【0107】
カウンタ65はカウント値を受信するとカウントアップを開始する。カウンタ65はカウントアップした値が受信したカウント値以上になると通知信号を切替制御部62に送信する。通知信号を受信した切替制御部62は、切替処理部63に対する切替処理を開始する。
【0108】
以上の通りCPRISW6は、カウンタ65を用いることにより、管理サーバ2に指定された切替タイミングで正確に切替動作を行うことが出来る。また切替元のBBUと切替先のBBUはGPS受信部54により同期がとれているので、切替動作に伴うデータ通信の瞬断を防ぐことが出来る。
【0109】
なお、本実施例ではCPRISW6の切替タイミングの調整にカウンタを用いているが、切替制御部62に切替タイミングにおけるフレーム番号の情報を記憶させておき、切替制御部62が受信したフレーム番号が記憶したフレーム番号以上になったときに切替処理を開始するようにしてもよい。
【0110】
図18はGPSによる同期処理を考慮した稼動制御の処理フロー図である。各BBUのGPS受信部54はGPS信号を受信する(S40)。GPS受信部54は受信したGPS信号に基づいて基準クロックを生成する。各BBUが同一のGPS信号を受信することにより、BBUの同期を取ることが出来る。
【0111】
同期が取れた各BBUは、CPRISW6、各RRHおよび各UEに対し同期信号を出力する(S41)。同期が取れた各BBUから同期信号を出力することにより、無線通信システム1を構成する装置全体の同期を取ることが出来る。
【0112】
同期が取れた各UEは、管理サーバ2に対して識別情報およびトラフィック量情報を送信する(S42)。管理サーバ2は受信した識別情報およびトラフィック量情報に基づいて各BBUおよび各RRHの稼動または停止を決定する(S43)。また管理サーバ2はEMSの監視結果および稼動判定テーブルに基づいて、各BBU、各RRHおよび各UEに割り当てるセル番号を決定する。
【0113】
管理サーバ2は決定したセル番号を各BBUに通知する(S44)。また管理サーバ2はBBU経由で各UEに決定したセル番号を切り替えタイミングにおけるフレーム番号と併せて通知する(S45)。各UEは通知されたフレーム番号の受信タイミングおいて、強制的なハンドオーバ処理の実行によりセル番号を自律的に変更する。事前に通知することにより、各UEは各BBUおよび各RRHの稼動状態の切り替え処理前に、新しいセル番号へのハンドオーバ処理を開始することが出来る。また、BBUからの同期信号により同期を取っていることにより、各BBUの切り替え処理と同一タイミングで各UEのハンドオーバ処理を実行することが出来る。
【0114】
管理サーバ2はCPRISW6に対し、切り替え処理を実行するフレーム番号と併せて切替信号を送信して接続切替の指示を実行する(S46)。切替信号を受信したCPRISW6の切替制御部62は、受信したフレーム番号の受信タイミングにおいて、指示内容に従って切替処理部63の接続を切り換える。
【0115】
管理サーバ2は各BBUに対し、CPRISW6の切り替え処理を実行するフレーム番号の送信タイミングで、稼動または停止を指示する制御信号を送信する(S47)。制御信号を受信した各BBUの電源制御部51は、制御信号に従って信号処理部52を稼動または停止させる。また管理サーバ2は、カバーするセル範囲内に通信中のUEが存在しないRRHに対し、CPRISW6の切り替え処理を実行するフレーム番号の送信タイミングで、稼動または停止を指示する制御信号を送信する(S47)。制御信号を受信したRRHの電源制御部71は、制御信号に従ってRF処理部72を稼動または停止させる。
【0116】
CPRISW6の切り替え処理を実行するフレーム番号の送信タイミングで、管理サーバ2はセル番号変更通知信号を各BBUおよび各RRHに出力する(S48)。CPRISW6の切り替え処理を実行するフレーム番号の送信タイミングにおいて、各UEが新セル番号へ変更されると同時に、セル番号変更通知信号を受信した各BBUおよび各RRHは新セル番号に設定される(S49)。
【0117】
以上の通り、管理サーバ2はCPRISW6の切り替え処理を実行するフレーム番号の送信タイミングで、同期処理した各BBU、各RRHの接続関係およびセル番号を切り換える。GPS信号を用いて各装置間の同期を取ることにより、管理サーバ2は通信を瞬断させることなく無線通信システム1の接続関係を切り替えることができる。
【符号の説明】
【0118】
1 無線通信システム
2 管理サーバ
3、4、5 BBU
6 CPRISW
7 〜 15 RRH
16 〜 25 UE
40 EMS
41 SON
42 HWY−INF
43 監視制御部
44、45 SON−INF
46 データベース
47 基地局制御部
50 BBU−INF
51 電源制御部
52 信号処理部
53 HWY−INF
61 BBU−INF
62 切替制御部
63 切替処理部
64 RRH−INF
80、81 テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、稼働率に基づいて基地局の電源を制御する無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線制御システムは無線端末との間で無線通信を行う基地局を有する。基地局は無線端末との無線通信を行う無線部と、信号の変復調などのベースバンド処理を行うベースバンド信号処理部を有する。無線端末はUE(User Equipment)と呼ばれる。
【0003】
基地局の保守管理を容易にして保守管理費用を削減するため、基地局の無線部とベースバンド信号処理部は分離して設置される場合がある。基地局から分離した無線部は、RRH(Remote Radio Head)と呼ばれる。また基地局から分離したベースバンド信号処理部は、BBU(Base Band Unit)と呼ばれる。
【0004】
異なるベンダーによって提供されたRRHおよびBBUの相互接続を可能にするため、RRHとBBUとの通信におけるプロトコル・インターフェースの標準化が行われている。標準化されたインターフェースとして、例えばCPRI(Common Public Radio Interface)がある。
【0005】
複数のUEは一つのRRHと無線通信を行う。複数のRRHは一つのBBUとパケット通信を行う。複数のBBUは無線制御システム全体のネットワークを管理する一つの管理サーバに接続される。管理サーバは全体の稼働率を監視するEMS(Element Management System)として機能すると共に、基地局の設置・運用を自動化するSON(Self Organaizing Network)として機能する。ここで稼働率とは、各装置の処理可能なトラフィック量に対し、実際のトラフィック量から算出される値である。EMSによって取得された稼働率の情報に基づいて、SONはBBUおよびRRHの動作を最適化する。以下の文献には無線通信システムに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−274048号公報
【特許文献2】特表2010−509816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
無線通信システムにおいて、各UEの使用状況はUEごとにそれぞれ異なる。また各UEの使用状況は時間的に変化する。よって複数のUEと無線通信をおこなうRRHの稼働率および複数のRRHとパケット通信を行うBBUの稼働率も時間的に変化する。しかしながら1つのRRHとパケット通信を行うBBUは固定されているため、BBUの稼働率がどれだけ低くても、そのBBUに接続されたRRHのパケット処理を他のBBUに振り分けることが出来ない。
【0008】
本発明の一実施例では、稼働率に基づいて無線部およびベースバンド処理部の電源を制御可能な無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、無線通信システムは、複数の無線端末と、該複数の無線端末のうち、自身の特定範囲に存在する無線端末と無線通信する複数の無線部と、該複数の無線部のいずれかへ送信するデータを変調すると共に該複数の無線部のいずれかから受信するデータを復調する複数のベースバンド処理部と、該複数の無線部と該複数のベースバンド処理部との接続関係を切り替えるスイッチ部と、該無線部および該ベースバンド処理部のそれぞれの稼働率を算出し、該稼働率の算出結果に基づいて該無線部および該ベースバンド処理部のそれぞれの電源供給を継続または停止すると共に、電源供給停止するベースバンド処理部に接続されている無線部を電源供給継続するベースバンド処理部へ再接続するように該スイッチ部を制御する制御部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
実施形態によれば、稼働率に基づいて無線部およびベースバンド処理部の電源を制御可能な無線通信システムを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施例にかかる無線通信システムのブロック図である。
【図2】無線通信システムの稼働状況を確認するための処理フロー図である。
【図3】無線通信システムの稼働状況を変更するための処理フロー図である。
【図4】管理サーバの詳細ブロック図である。
【図5】BBUの詳細ブロック図である。
【図6】CPRISWの詳細ブロック図である。
【図7】RRHの詳細ブロック図である。
【図8】無線通信を行っているUEの数と、各RRHおよび各BBUに割り当てるセル番号との対応表である。
【図9】UE数に応じた、各BBUと各RRHとの接続関係を示すテーブルである。
【図10】1つのBBUと複数のRRHとを接続する場合のCPRISWの動作の概略図である。
【図11】各RRHと通信するUE数が小さいときの無線通信システムの動作を説明するブロック図である。
【図12】稼動制御停止状態から稼動制御実行状態へ移行する処理フロー図である。
【図13】各RRHがカバーするセル範囲と、各セルに割り当てられたセル番号の概略図である。
【図14】RRHがカバーするセル範囲にUEが存在しないときの無線通信システムの動作を説明するブロック図である。
【図15】稼動制御停止状態から稼動制御実行状態へ移行する処理フロー図である。
【図16】各RRHがカバーするセル範囲と、各セルに割り当てられたセル番号の概略図である。
【図17】無線通信システムにおいて、GPS(Global Positioning System)を利用する場合の装置の詳細ブロック図である。
【図18】GPSによる同期処理を考慮した稼動制御の処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態について説明する。なお、各実施形態における構成の組み合わせも本発明の実施形態に含まれる。
【0013】
図1は本実施例にかかる無線通信システム1のブロック図である。無線通信システム1は管理サーバ2、BBU3、4、5、CPRISW(CPRI Switch)6、RRH7〜15、UE16〜25を有する。本実施例において無線通信システム1は、3基のBBU、9基のRRH、10基のUEを有するものとしているが、本実施例は無線通信システム1を構成するBBU、RRH、UEの数をこれに限定するものではない。
【0014】
管理サーバ2は無線通信システム1の各装置の稼働率や装置間の接続関係を監視する。また管理サーバ2は、各装置の稼働率および接続関係の監視結果に基づいて、各装置の電源管理および装置間の接続関係の切替制御を行う制御部の一例である。
【0015】
BBU3、4、5は基地局のベースバンド信号処理を実行するベースバンド処理部の一例である。本実施例において1つのBBUは最大3つのRRHからのベースバンド信号処理を行うことが出来る。各BBUの電源は管理サーバ2からの制御信号によりオンまたはオフにすることが出来る。なお本実施例ではBBUの数は3つであるが、BBUの数をこれに限定するものではない。また本実施例において、1つのBBUは3つのRRHからのベースバンド信号をそれぞれ別個に処理可能なベースバンド信号処理部を有するものとする。
【0016】
CPRISW6は各BBUと各RRHとの接続を切り換えるスイッチ部の一例である。CPRISW6の切り換え動作は管理サーバ2により制御される。CPRISW6は接続状況に応じて1つのBBUから受信したパケット信号をコピーして複数のRRHに送信すると共に、複数のRRHから受信したパケット信号を加算して1つのBBUに送信する。
【0017】
RRH7からRRH15は、いずれかのBBUから受信したパケット信号を無線信号に変換する。各RRHは変換した無線信号を各UEへ送信する無線部の一例である。また各RRHは各UEから無線信号を受信する。各RRHはそれぞれ、各UEと通信可能な特定範囲を有する。それぞれのRRHが各UEと通信可能な特定範囲は、RRHの信号増幅能力やアンテナの指向性によって決まる。各RRHが各UEと通信可能な特定範囲をセルという。また、セルに与えられる識別番号をセル番号という。
【0018】
UE16からUE25は、無線信号を送受信する無線端末の一例である。各UEはそれぞれいずれかのRRHと無線通信可能な移動体端末である。各UEが属するセルは各RRHとの位置関係により決定する。各UEの稼働状況およびRRHとの通信データ量はUEによりそれぞれ異なる。
【0019】
図2は無線通信システム1の稼働状況を把握するための処理フロー図である。各UEには、そのUEを識別する識別番号が割り振られている。管理サーバ2はその各UEに割り当てられたセル番号と共に、各UEの識別番号を管理する。各UEは自身の識別番号と共に、自身のトラフィック量を示すトラフィック量情報を定期的にRRHに送信する(S1)。
【0020】
各UEのトラフィック量情報および識別番号を受信した各RRHは、受信した情報をCPRISW6へ送信する(S2)。CPRISW6は管理サーバ2により接続先として設定されたBBUに対し、各RRHから受信したトラフィック量情報および識別番号を送信する(S3)。
【0021】
各BBUは各RRHから受信した各UEのトラフィック量情報および識別番号を管理サーバ2に通知する(S4)。管理サーバ2は受信した情報に基づいて、各RRHおよび各BBUが処理するトラフィック量を集計する(S5)。また管理サーバ2は各UEの識別番号に基づいて、各RRHが通信しているUEの数を集計する(S6)。管理サーバ2は集計したトラフィック量およびUE数に基づいて、各RRHおよび各BBUの稼働率を計算する。管理サーバ2は各RRHおよび各BBUが処理可能なトラフィック量およびUE数と、現在のトラフィック量およびUE数との比率に基づいて稼働率を算出する(S7)。管理サーバ2は算出した稼働率に基づいて、各RRHおよび各BBUの稼動または停止を判断する(S8)。管理サーバ2において、トラフィック量の監視はEMSが行う。稼働率に基づく稼動または停止の判定は、後述する稼動判定テーブルによる稼動または停止の判定を含む。
【0022】
以上の通り管理サーバ2は、各UEのトラフィック量情報および識別番号に基づいて、無線通信システム1を構成する各RRHおよび各BBUの稼働または停止を判断することが出来る。
【0023】
図3は無線通信システム1の稼働状況を変更するための処理フロー図である。管理サーバ2は図2の処理によって把握した無線通信システム1の稼働状況に応じて、無線通信システム1を構成する各RRHおよび各BBUの稼働または停止を切り替える。稼働または停止の切り替えは、管理サーバ2のSONにより実行される。SONはEMSが監視した稼働状況に応じて、各RRHおよび各BBUの稼働または停止を切り替える。
【0024】
管理サーバ2はEMSの監視結果に基づいて、BBUおよびRRHの稼動または停止を決定する(S10)。各BBUおよび各RRHの稼動または停止の決定は、EMSの監視結果および後述する稼動判定テーブルに基づいて行う。稼動判定テーブルの詳細は後述する。また管理サーバ2はEMSの監視結果および稼動判定テーブルに基づいて、稼動するRRHがカバーするセルに割り当てるセル番号を決定する。セルは1つのRRHが電波をUEに送信できる範囲である。管理サーバ2は1つのセル番号に1つの周波数を割り当てる。セル番号ごとに異なる周波数を割り当てることにより、UEが異なるセル番号を有する複数のセルにカバーされるエリアにいる場合であっても、自分の属するセル番号を割り当てられたRRHと無線通信を行うことが出来る。
【0025】
管理サーバ2は決定したセル番号を各BBUに通知する(S11)。各BBUは各UEに対し、受信したセル番号を各RRH経由で通知する(S12)。各UEは一定時間経過後に、強制的なハンドオーバ処理の実行によりセル番号を自律的に変更する。事前に通知することにより、各UEは各BBUおよび各RRHの稼動状態の切り替え処理前に、新しいセル番号へのハンドオーバ処理を開始することが出来る。
【0026】
管理サーバ2はステップS11における決定に基づいて、CPRISW6に対し各BBUの接続先である各RRHを切り替える切替信号を送信する(S13)。CPRISW6は管理サーバ2から受信した切替信号に応じ、接続切替処理を後述するセル番号変更通知と同時に実行する。
【0027】
管理サーバ2はステップS11における決定に基づいて、各BBUおよびRRHの稼動または停止を指示する制御信号を出力する(S14)。制御信号を受信した各BBUは、制御信号に応じて稼動または停止の設定をする(S15)。また制御信号を受信した各RRHは、制御信号に応じて稼動または停止の設定をする(S16)。
【0028】
各BBUおよび各UEに変更後のセル番号を通知後、管理サーバ2はセル番号変更通知信号を各BBUおよび各RRHに出力する(S17)。ステップS12のセル番号通知から一定時間が経過し、各UEが新セル番号へ変更されると同時に、セル番号変更通知信号を受信した各BBUおよび各RRHは新セル番号に設定されると共にCPRISW6は接続を切り替える(S18)。また各BBUおよび各RRHは制御信号に応じて稼動または停止する。
【0029】
ステップS17のセル番号変更通知は、例えばステップS11のセル番号通知時に各BBU、CPRISW6、および各RRHに通知したフレーム番号を有するパケット信号であってもよい。新セル番号への切り替え処理を行うタイミングでのフレーム番号を管理サーバ2から通知させることにより、各BBUおよび各RRHは、そのフレーム番号を有するパケット信号を受信すると同時に新セル番号への切り替え処理を実行することが出来る。またCPRISW6はそのフレーム番号を有するパケット信号を受信すると同時に接続の切り替え処理を実行することが出来る。この場合、各BBU、CPRISW6、および各RRHは通知されたフレーム番号を記憶する記憶部をそれぞれ有する。以下の実施例においても同様である。
【0030】
各BBU、CPRISW6、および各RRHにカウンタを実装し、現在のフレーム番号と新セル番号へ切り替えるタイミングでのフレーム番号との差分値をカウンタでカウントさせても良い。同一周期で各BBUおよび各RRHのカウンタをカウントアップすることにより、同一タイミングで新セル番号への切り替え処理を実行することが出来る。また同一周期でCPRISW6のカウンタをカウントアップすることにより、同一タイミングで接続の切り替え処理を実行することが出来る。この場合、各BBU、CPRISW6、および各RRHは、切り替えタイミングまでの時間をカウントするカウンタをそれぞれ有する。以下の実施例においても同様である。
【0031】
以上の通り管理サーバ2はEMSの監視結果に基づいて、無線通信システム1の稼働状況を変更することが出来る。
【0032】
図4は管理サーバ2の詳細ブロック図である。管理サーバ2はEMS40、SON41を有する。前述の通りEMS40は無線通信システム1のトラフィック量の監視を行う。SON41はEMS40の監視結果に基づいて、無線通信システム1を構成する各RRHおよび各BBUの稼働状況を変更する制御信号を出力する。
【0033】
EMS40はHWY−INF42、監視制御部43、SON−INF44を有する。HWY−INF42は各BBUと通信するためのインターフェースである。監視制御部43はHWY−INF42から受信したトラフィック情報を監視する。監視制御部43はトラフィック情報の監視結果をSON−INF44に送信する。SON−INF44はSON41と通信するためのインターフェースである。SON−INF44は監視制御部43から受信した監視結果をSON41に送信する。
【0034】
SON41はSON−INF45、データベース46、基地局制御部47を有する。SON−INF45はEMS40と通信するためのインターフェースである。SON−INF45はトラフィック情報の監視結果をEMS40から受信する。SON−INF45は受信した監視結果をデータベース46に送信する。
【0035】
データベース46は後述する稼動判定テーブルを記憶する。データベース46はSON−INF45から受信した監視結果および稼動判定テーブルに基づいて、各BBUおよびRRHの稼動継続または停止を判定する。同様にデータベース46は、監視結果および稼動判定テーブルに基づいて各BBUのセル番号を決定する。データベース46は決定したBBUおよびRRHの稼働状況およびセル番号を基地局制御部47に出力する。
【0036】
基地局制御部47はデータベース46から受信したBBUおよびRRHの稼働状況およびセル番号に応じて、各BBU、CRPRISW6、各RRH、および各UEの制御信号をSON−INF45に出力する。制御信号を出力するタイミングは前述の処理フロー図で説明した通りである。SON−INF45は受信した制御信号をEMS40に出力する。EMS40は受信した制御信号を各BBUに出力する。
【0037】
以上の通り管理サーバ2は、無線通信システム1の稼働状況に応じて、各BBU、各RRH、および各UEの稼働状況および割り当てるセル番号を制御することが出来る。
【0038】
図5はBBU3の詳細ブロック図である。他のBBU4、5も同一機能および同一構成を有する。よってBBU3について詳細に説明し、BBU4、5についてはその説明を省略する。
【0039】
BBU3は管理サーバ2から受信する制御信号に応じて稼動状況およびセル番号の変更を行う。BBU3はBBU−INF50、電源制御部51、信号処理部52、HWY−INF53を有する。
【0040】
BBU−INF50はCPRI規格に基づいて各RRHと通信するためのインターフェースである。本実施例においてBBU3は、BBU−INF50を介してCPRISW6に接続される。BBU−INF50はCPRISW6から受信した信号を電源制御部51または信号処理部52に送信する。
【0041】
電源制御部51は管理サーバ2から受信する制御信号に応じて信号処理部52の電源供給を制御する。電源制御部51はBBU3の稼動を停止する制御信号を受信した場合、信号処理部52への電源供給を停止する。信号処理部52への電源供給を停止している状態でも、電源制御部51は稼動を継続する。BBU3の停止状態において、管理サーバ2からBBU3の稼動を開始する制御信号を受信した場合、電源制御部51は信号処理部52の電源供給を開始する。
【0042】
以上の通りBBU3は稼動停止状態であっても、管理サーバ2からの稼動制御が可能な電源制御部51のみを動作させることにより、管理サーバ2からのBBU3の稼動要求に応答することが出来る。
【0043】
電源制御部51は、管理サーバ2から受信した制御信号がBBU3に対するものでない場合、BBU−INF50に転送する。BBU−INF50に転送された制御信号は、各RRHに送信される。電源制御部51を経由して制御信号をRRHに送信することにより、信号処理部52の稼動を停止している場合であっても、管理サーバ2は各RRHに制御信号を送信することが出来る。
【0044】
信号処理部52は各RRHまたは管理サーバ2から受信した信号の変復調などのベースバンド処理を実行する。信号処理部52は、各UEへの無線信号送信において、送信信号に対し、情報ソース以外の信号の付加を行う。情報ソース以外の信号として誤り制御符合、通信相手を特定する信号などがある。また信号処理部52は、各UEからの無線信号受信において、受信信号に対し、情報ソース以外の信号の分離を行う。
【0045】
HWY−INF53は管理サーバ2と通信するためのインターフェースである。HWY−INF53は管理サーバ2から受信した制御信号を電源制御部51に送信する。HWY−INF53は管理サーバ2から受信した信号を信号処理部52に送信する。HWY−INF53は電源制御部51から受信した制御結果を管理サーバ2に送信する。HWY−INF53は信号処理部52から受信した信号を管理サーバ2に送信する。
【0046】
本実施例において、1つのBBUは3つのRRHとのデータ通信処理を実行可能としている。1つのBBUは図5の構成を同一装置内に3つ実装していてもよいし、信号処理部52を3つ有するように構成しても良い。
【0047】
以上の構成により、BBU3は管理サーバ2から受信する制御信号に応じて、信号処理部52の電源供給を継続または停止することが出来る。
【0048】
図6はCPRISW6の詳細ブロック図である。CPRISW6は管理サーバ2から受信する制御信号に応じて、各BBUと各RRHとの接続関係を切り換える。CPRISW6はBBU−INF61、切替制御部62、切替処理部63、RRH−INF64を有する。
【0049】
BBU−INF61は各BBUと通信するためのインターフェースである。BBU−INF61は各BBUから受信した制御信号を切替制御部62に送信する。BBU−INF61は各BBUから受信した信号を切替処理部63に送信する。BBU−INF61は切替処理部63から受信した信号を各BBUに送信する。
【0050】
切替制御部62は受信した制御信号に応じて切替処理部63の接続関係を切り替える。切替処理部63は切替制御部62から受信した切替信号に応じて、BBU−INF61とRRH−INF64との接続関係を切り替える。切替処理部63の切替動作の詳細は後述する。
【0051】
RRH−INFは各RRHと通信するためのインターフェースである。RRH−INF64は切替処理部63から受信した信号を各RRHに送信する。RRH−INF64は各RRHから受信した信号を切替処理部63に送信する。BBU−INF61は切替処理部63から受信した信号を各BBUに送信する。図6のCPRISW6の詳細な切替動作については後述する。
【0052】
図7はRRH7の詳細ブロック図である。他のRRH8からRRH15も同一機能および同一構成を有する。よって、RRH7について詳細に説明し、他のRRH8からRRH15についてはその説明を省略する。
【0053】
RRH7は管理サーバ2から受信する制御信号に応じて稼動状況およびセル番号の変更を行う。RRH7はRRH−INF70、電源制御部71、RF(Radio Frequency)処理部72、ANT−INF73を有する。
【0054】
RRH−INF70はCPRI規格に基づいて各BBUと通信するためのインターフェースである。本実施例においてRRH7は、RRH−INF70を介してCPRISW6に接続される。RRH−INF70はCPRISW6から受信した信号を電源制御部71またはRF処理部72に送信する。
【0055】
電源制御部71は管理サーバ2から受信する制御信号に応じてRF処理部72の電源を制御する。電源制御部71はRRH7の稼動を停止する制御信号を受信した場合、RF処理部72への電源供給を停止する。RF処理部72への電源供給を停止している状態でも、電源制御部71は稼動を継続する。RRH7の稼動停止状態において、管理サーバ2からRRH7の稼動を開始する制御信号を受信した場合、電源制御部71はRF処理部72の電源供給を開始する。以上の通りRRH7は稼動停止状態であっても、管理サーバ2からの制御対象である電源制御部71のみを動作させることにより、管理サーバ2による制御可能な状態でRRH7の稼動停止時の電力消費を削減することが出来る。
【0056】
RF処理部72は各UEまたはいずれかのBBUから受信した信号のRF処理を実行する。RF処理部72は、各UEへの無線信号送信において、BBUから受信した情報ソースの搬送波周波数をベースバンド領域からRF領域に変換する。RF領域の周波数帯は、RRH7に割り当てられたセル番号により決定する。RF処理部72はRF領域に変換した情報ソースを電波として各UEに送信する。またRF処理部72は、各UEからの無線信号受信において、各UEから受信した情報ソースの搬送波周波数をRF領域からベースバンド領域に変換する。RF処理部72はベースバンド領域に変換した情報ソースを有線でいずれかのBBUに送信する。
【0057】
ANT−INF73は各UEと無線通信するためのインターフェースである。ANT−INF73はRF処理部72から受信した情報ソースをアンテナに送信する。ANT−INF73はアンテナから受信した情報ソースをRF処理部72に送信する。
【0058】
図8は無線通信を行っているUEの数と、各RRHおよび各BBUに割り当てるセル番号との対応表である。図8は一例であり、これに限定するものではない。管理サーバ2のデータベース46は、図8の対応表を稼動判定テーブルの一部として記憶する。図8のAは無線通信を行っているUE数に応じて、各RRHに割り当てるセル番号を参照するためのテーブル80である。図8のBは無線通信を行っているUE数に応じて、各BBUに割り当てるセル番号を参照するためのテーブル81である。
【0059】
本実施例において、管理サーバ2は、無線通信を行っているUEの数およびトラフィック量に応じて、各RRHに割り当てるセル番号を変化させる。複数のRRHに同一セル番号を割り当てることにより、1つのBBUに複数のRRHを割り当てることが出来る。この結果管理サーバ2は、稼動するBBUの数を減らすことが出来る。BBUの稼動数を減らすことにより、管理サーバ2は無線通信システム1の電力消費を小さくすることが出来る。また、複数のRRHに同一のセル番号を割り当てることにより、1つのセルがカバーするセル面積を大きくすることが出来る。セル面積を大きくすることにより、UEの移動に伴うハンドオーバ処理の回数を減らすことが出来る。ハンドオーバ処理の回数を減らすことにより、無線通信システム1にかかる処理負荷を小さくすることが出来る。
【0060】
図8のAにおいて、テーブル80は管理サーバ2のデータベース46に記憶されている。テーブル80の各列は、通信中のUE数に応じて、各RRHに割り当てるセル番号を示す。列82は、UE数の大中小を判別する閾値を示す。UE数の大中小を決定する閾値は、各RRHの処理能力、セルの大きさなどに応じてあらかじめ設定する。列83は、通信中のUE数に応じて、RRH7に割り当てるセル番号を示す。本実施例におけるRRH7の場合、セル番号はUE数の数によらず常にセル番号‘1’となる。また列91は、通信中のUE数に応じて、RRH15に割り当てるセル番号を示す。RRH15の場合、セル番号はUE数が大のときは‘9’、UE数が中のときは‘3’、UE数が小のときは‘1’となる。
【0061】
テーブル80の各行は、通信中のUE数における、各RRHに割り当てるセル番号を示す。行92は、UE数が大のときに各RRHに割り当てられているセル番号を表す。各RRHには‘1’から‘9’までの異なるセル番号が割り当てられる。
【0062】
テーブル80の行93は、UE数が中のときに各RRHに割り当てられているセル番号を表す。RRH7、8、9にはセル番号‘1’が、RRH10、11、12にはセル番号‘2’が、RRH13、14、15にはセル番号‘3’が割り当てられる。1つのセル番号が付与されたエリアに存在するUE数が、1つのBBUが処理可能なUE数を超えないようにセル番号を割り当てることにより、複数のRRHに同一のセル番号を割り当てることが出来る。
【0063】
テーブル80の行94は、UE数が小のときに各RRHに割り当てられているセル番号を表す。すべてのRRHには、セル番号‘1’が割り当てられる。行93の場合と同様に、1つのセル番号が付与されたエリアに存在するUE数が、1つのBBUが処理可能なUE数を超えないようにセル番号を割り当てることにより、さらに多くのRRHに同一のセル番号を割り当てることが出来る。
【0064】
以上の通り、UE数に応じて複数のRRHに同一のセル番号を割り当てることにより、1つのセルがカバーするセル面積を大きくすることが出来る。セル面積を大きくすることにより、UEの移動に伴うハンドオーバ処理の回数を減らすことが出来る。ハンドオーバ処理の回数を減らすことにより、無線通信システム1にかかる処理負荷を小さくすることが出来る。
【0065】
図8のBにおいてテーブル81は、管理サーバ2のデータベース46に記憶されている。テーブル81の各列は、通信中のUE数に応じて、各BBUに割り当てるセル番号および稼動状態を示す。本実施例において、1つのBBUにはRRHとのデータ通信処理を行うユニットが3つ実装されている。1つのBBUは最大3つのRRHとのデータ通信を行うことが出来る。例えばBBU3に実装されているユニットをそれぞれ、BBU3−1、BBU3−2、BBU3−3とする。
【0066】
テーブル81における列95は、UE数の大中小を判別する閾値を示す。UE数の大中小の閾値は、各RRHの処理能力、セルの大きさなどに応じてあらかじめ設定する。列95における大中小の閾値は、列82における閾値と同一である。列96は、通信中のUE数に応じて、BBU3−1に割り当てるセル番号を示す。BBU3−1の場合、セル番号はUE数の数によらず常にセル番号‘1’であり、常に稼動する。列104は、通信中のUE数に応じて、BBU5−3に割り当てるセル番号を示す。BBU5−3の場合、UE数が大のときセル番号は‘9’であり、UE数が中以下になると稼動を停止する。
【0067】
テーブル81の各行は、通信中のUE数における、各BBUに割り当てるセル番号および稼動状態を示す。行105は、UE数が大のときに各BBUに割り当てられているセル番号および稼動状態を表す。各BBUには‘1’から‘9’までの異なるセル番号が割り当てられる。
【0068】
テーブル81の行106は、UE数が中のときに各BBUに割り当てられているセル番号を表す。BBU3−1にはセル番号‘1’が、BBU3−2にはセル番号‘2’が、BBU3−3にはセル番号‘3’が割り当てられる。BBU4、5は停止状態となる。前述の通り、テーブル81においてUE数が中のときは、3つのRRHに同一のセル番号が割り当てられる。同一セル番号が割り当てられた3つのRRHから出力されるデータのベースバンド処理は1つのBBUで処理可能である。複数のRRHに同一セル番号を割り当てるほど、全体のセル番号の数は小さくなる。よって稼動させるべきBBUの数も小さくすることが出来る。
【0069】
テーブル81の行107は、UE数が小のときに各BBUに割り当てられているセル番号を表す。BBU3−1には、セル番号‘1’が割り当てられる。テーブル80より、UE数が小のとき、すべてのRRHにセル番号‘1’が割り当てられている。よってUE数が小のときBBU3−1のみ稼動させ、残りのすべてのBBUを停止させることが出来る。
【0070】
以上の通り、データ通信するUE数の変化に伴って同一セル番号を割り当てるRRHの数を変えることにより、稼動するBBUの数を変えることが出来る。稼動するBBUの数を変えることにより、データのトラフィック量に応じて無線通信システム1全体の消費電力を最適化することが出来る。
【0071】
図9はUE数に応じた、各BBUと各RRHとの接続関係を示すテーブルである。図9のAはUE数が大の場合のBBUとRRHとの接続関係を示すテーブル110である。図9のBはUE数が中の場合のBBUとRRHとの接続関係を示すテーブル111である。図9のCはUE数が小の場合のBBUとRRHとの接続関係を示すテーブル112である。テーブル110、111、112は管理サーバ2のデータベース46に記憶されている。前述のCPRISW6の切替制御部62は、UE数に応じてテーブル110、111、112のいずれかを呼び出す。切替制御部62は呼び出したテーブルに応じて切替処理部63の接続関係を切り換える。
【0072】
図9のAについて、テーブル110の‘○’は、各RRHと各BBUとの接続関係を表す。‘○’の意味はテーブル111、112についても同様である。例えばRRH7の行を見ると、BBU3−1の列に‘○’がついている。よって切替制御部62は、テーブル110を参照することにより、UE数が大のときにはRRH7とBBU3−1とを接続するように切替処理部63を制御する。他のBBUとRRHとの接続についても同様である。
【0073】
図9のBについて、テーブル111のBBU3−1の列は、RRH7、8、9の行に‘○’を有する。よって切替制御部62は、テーブル111を参照することにより、UE数が中のときにはRRH7、8、9とBBU3−1とを接続するように切替処理部63を制御する。BBU3−2、BBU3−3の列についても同様である。
【0074】
テーブル111の‘加算’の行は、RRHからBBUにデータ送信する場合に、各BBUに加算送信するRRHの集合を示す。例えば‘加算’の行のBBU3−1の列を見ると、‘RRH7、8、9’とある。よってRRHからBBU3−1にデータ送信する場合には、切替制御部62は、RRH7、8、9それぞれから出力されたデータを加算するように切替処理部63を制御する。切替処理部63は加算結果をBBU3−1に送信する。BBU3−2、BBU3−3の列についても同様である。どのRRHとも接続されないBBUは電源停止状態にすることが出来る。
【0075】
図9のCについて、テーブル112のBBU3−1の列は、すべてのRRHの行に‘○’を有する。よって切替制御部62は、テーブル112を参照することにより、UE数が小のときにはRRH7、8、9とBBU3−1とを接続するように切替処理部63を制御する。どのRRHとも接続されないBBUは電源停止状態にすることが出来る。
【0076】
テーブル112の‘加算’の行は、RRHからBBUにデータ送信する場合に、各BBUに加算送信するRRHの集合を示す。‘加算’の行のBBU3−1の列を見ると、‘全加算’とある。よってRRHからBBU3−1にデータ送信する場合には、切替制御部62は、全てのRRHそれぞれから出力されたデータを加算するように切替処理部63を制御する。切替処理部63は加算結果をBBU3−1に送信する。
【0077】
以上の通りCPRISW6は、UE数に応じてテーブル110、111、112を参照することにより、BBUとRRHの稼動状態に応じて適切に接続を切り換えることが出来る。
【0078】
図10は1つのBBUと複数のRRHとを接続する場合のCPRISW6の動作の概略図である。図10のAはBBUからRRHへデータ送信するときのCPRISW6の動作の概略図である。図10のBはRRHからBBUへデータ送信するときのCPRISW6の動作の概略図である。
【0079】
図10のAにおいて切替制御部62は、信号120のポートと信号121のポート、および信号120のポートと信号122のポートを接続するように切替処理部63を制御する。この結果切替処理部63は、受信した信号120を複製し、信号121、122として出力する。出力された信号121、122はそれぞれ別個のRRHに入力される。信号121、122を受信するRRHは同一のセル番号を有する。それぞれのRRHは同一の信号をBBUから受信している。UEがいずれかのRRHがカバーするエリアにいれば、UEはBBUから送信された信号を受信することが出来る。
【0080】
図10のBにおいて切替制御部62は信号121と信号122とを加算して信号120を出力するように切替処理部63を制御する。信号121と信号122は隣接するセルをカバーするRRHから出力される信号である。信号121、122を出力するRRHに割り当てられるセル番号は同一である。よってUEがいずれのRRHがカバーするエリアに存在する場合であっても、BBUはUEから送信された信号を受信することが出来る。また、それぞれのRRHに割り当てられたセル番号が同一なので、UEが異なるRRHがカバーするエリアに移動する場合であっても、ハンドオーバ処理をすることなく通信を継続することが出来る。さらに、同一のセル番号を割り当てられたRRHのカバーエリア同士の境界付近にUEがいる場合、信号121と信号122はほぼ同一位相の信号になるため、切替処理部63は、信号121、122を加算増幅して信号120を出力することが出来る。加算増幅により信号の振幅が大きくなるため、BBUは、受信する信号のエラー発生率を減少させることが出来る。
【0081】
図11は各RRHと通信するUE数が小さいときの無線通信システムの動作を説明するブロック図である。図11において、RRH7はUE16のみと通信している。RRH8はUE20のみと通信している。RRH15はUE25のみと通信している。各RRHがそれぞれ通信するUE数が少なくなり、UE数が中以下になると、BBU4、5は電源停止状態となる。図11において、BBU4、5の斜線は、電源停止状態を示している。
【0082】
図12は稼動制御停止状態から稼動制御実行状態へ移行する処理フロー図である。稼動制御停止状態とは稼動制御を行わずに無線通信システム1のすべての装置が稼動している状態である。稼動制御実行状態とは、無線通信システム1の稼動状況に基づいて個々の装置の稼動継続または停止を制御している状態である。
【0083】
本実施例ではいくつかのBBUを停止状態にする処理を説明する。ステップS20はすべてのRRHおよびBBUが稼働中であることを示す。無線通信システム1において通信中のUE数が減少すると、その情報が管理サーバ2に通知される(S21)。管理サーバ2はUE数に応じて稼動制御処理を開始する(S22)。
【0084】
管理サーバ2は接続変更後のセル番号を各BBUに通知する(S23)。また管理サーバ2はBBU経由で各UEにも接続変更後のセル番号を通知する(S24)。各UEは一定時間経過後に、強制的なハンドオーバ処理の実行によりセル番号を自律的に変更する。事前に通知することにより、各UEは各BBUおよび各RRHの稼動状態の切り替え処理前に、新しいセル番号へのハンドオーバ処理を開始することが出来る。
【0085】
管理サーバ2はCPRISW6に切替信号を送信して接続切替の指示を実行する(S25)。CPRISW6は管理サーバ2から受信した切替信号に応じ、接続切替処理を後述するセル番号変更通知と同時に実行する。
【0086】
管理サーバ2はステップS22における決定に基づいて、各BBUの稼動または停止を指示する制御信号を出力する(S26)。制御信号を受信した各BBUは、制御信号に応じて稼動または停止の設定をする。
【0087】
各BBUおよび各UEに変更後のセル番号を通知し一定時間経過後、管理サーバ2はセル番号変更通知信号を各BBUおよび各RRHに出力する(S27)。ステップS23のセル番号通知から一定時間が経過し、各UEが新セル番号へ変更されると同時に、セル番号変更通知信号を受信した各BBUおよび各RRHは新セル番号に設定される(S28)。またCPRISW6は接続を切り替える。さらに各BBUおよび各RRHは制御信号に応じて稼動または停止する。
【0088】
以上の通り、管理サーバ2はUE数の減少に応じて、BBUとRRHとの接続関係を切り換える。接続関係の切替により不要となったBBUの電源供給を停止することにより、管理サーバ2は無線通信システム1全体の消費電力を抑えることができる。
【0089】
図13は各RRHがカバーするセル範囲と、各セルに割り当てられたセル番号の概略図である。図13のAはUE数が中の場合のセル番号の概略図である。図13のBはUE数が小の場合のセル番号の概略図である。
【0090】
図13のAにおいて、RRH7、8、9のカバーするセル範囲は隣接している。RRH7、8、9に割り当てられたセル番号は1である。よって無線通信システム1は、それぞれのRRHに別個のセル番号が割り当てられた状態と比べ、3つのRRHに同一のセル番号を割り当てることで1つのセル番号がカバーするセル範囲を大きくすることが出来る。1つのセル番号がカバーするセル範囲を大きくすることにより、UEの移動に伴いセル番号が変化することによるハンドオーバ処理の回数を減らすことが出来る。セル番号‘2’が割り当てられたRRH10、11、セル番号‘3’が割り当てられたRRH13、14についても同様である。
【0091】
図13のBにおいて、UE数が小のとき、すべてのRRHがカバーするセル範囲には同一のセル番号‘1’が割り当てられる。よって同一セル番号がカバーするセル範囲はUE数が中のときよりもより大きくなる。同一セル番号がカバーするセル範囲が大きいほど、UEの移動に伴うセル番号の変化率も小さくなる。セル番号の変化率が小さくなれば、無線通信システム1のハンドオーバ処理に伴う負荷もより小さくなる。
【0092】
また、同一セル番号が割り当てられたUEとの無線通信におけるベースバンド処理は1つのBBUで処理することが出来る。よってUE数が小の場合、無線通信システム1がカバーするすべてのUEとの無線通信におけるベースバンド処理を1つのBBUで実行することが出来る。処理に必要なBBUの数を減らして不要なBBUの電源を停止させることにより、無線通信システム1は消費電力を抑制することが出来る。
【0093】
図14はRRHがカバーするセル範囲にUEが存在しないときの無線通信システムの動作を説明するブロック図である。図14において、RRH7はUE16のみと通信している。RRH8はどのUEとも通信していない。RRH15はUE25のみと通信している。RRH8がカバーするセル範囲にUE数が存在しない場合、消費電力削減のため、RRH8は停止状態になる。また本実施例において、各RRHがそれぞれ通信するUE数が少なく、かつ、UE数が中以下になると、BBU4、5は停止状態となる。図14において、BBU4、5およびRRH8の斜線は、停止状態を示している。
【0094】
図15は稼動制御停止状態から稼動制御実行状態へ移行する処理フロー図である。本実施例ではBBUおよびRRHを停止状態にする処理を説明する。ステップS30はすべてのRRHおよびBBUが稼働中であることを示す。無線通信システム1において通信中のUE数が減少すると、その情報が管理サーバ2に通知される(S31)。管理サーバ2はUE数に応じて稼動制御処理を開始する。管理サーバ2は各BBUおよび各RRHの稼動継続または停止を決定する(S32)。また管理サーバ2は稼動制御後の各BBU、各RRHおよび各UEに割り当てるセル番号を決定する。
【0095】
管理サーバ2は決定したセル番号を各BBUに通知する(S33)。また管理サーバ2はBBU経由で各UEにも決定したセル番号を通知する(S34)。各UEは一定時間経過後に、強制的なハンドオーバ処理の実行によりセル番号を自律的に変更する。事前に通知することにより、各UEは各BBUおよび各RRHの稼動状態の切り替え処理前に、新しいセル番号へのハンドオーバ処理を開始することが出来る。
【0096】
管理サーバ2はステップS32における決定に基づいて、CPRISW6に対し各BBUの接続先である各RRHを切り替える切替信号を送信する(S35)。CPRISW6は管理サーバ2から受信した切替信号に応じ、接続切替処理を後述するセル番号変更通知と同時に実行する。
【0097】
管理サーバ2はステップS32における決定に基づいて、各BBUの稼動または停止を指示する制御信号を出力する(S36)。制御信号を受信した各BBUは、制御信号に応じて稼動または停止の設定をする。管理サーバ2はステップS32における決定に基づいて、各RRHの稼動または停止を指示する制御信号を出力する(S37)。また制御信号を受信した各RRHは、制御信号に応じて稼動または停止の設定をする。
【0098】
各BBUおよび各UEに変更後のセル番号を通知し一定時間後、管理サーバ2はセル番号変更通知信号を各BBUおよび各RRHに出力する(S38)。ステップS33のセル番号通知から一定時間が経過し各UEが新セル番号へ変更されると同時に、セル番号変更通知信号を受信した各BBUおよび各RRHは新セル番号に設定される(S39)。また同時にCPRISW6は接続を切り替える。さらに各BBUおよび各RRHは制御信号に応じて稼動を継続または停止する。
【0099】
以上の通り、管理サーバ2はUE数の減少に応じて、BBUとRRHとの接続関係を切り換える。接続関係の切替により不要となったBBUおよびRRHの電源供給を停止することにより、管理サーバ2は無線通信システム1全体の消費電力を抑えることができる。
【0100】
図16は各RRHがカバーするセル範囲と、各セルに割り当てられたセル番号の概略図である。図16のAはUE数が中の場合のセル番号の概略図である。図16のBはUE数が小の場合のセル番号の概略図である。
【0101】
図16のAは、図13のAにおいて、RRH8の電源供給を停止した場合のセル範囲を示している。図16のBは、図13のBにおいて、RRH8の電源供給を停止した場合のセル範囲を示している。RRH8以外のRRHはすべて稼動している。RRH8以外の他のRRHの動作条件は図13のAと同一であるため、その説明を省略する。
【0102】
以上の通り、1つのセル範囲をカバーするRRHの電源供給を停止しても、他のRRHがカバーするセル範囲に影響を与えることなく、通信中のUE数に応じてセル番号を変更することが出来る。処理に必要なBBUの数を減らして不要なBBUの電源を停止させると共に、UEと通信していないRRHの電源を停止させることにより、無線通信システム1は消費電力をさらに抑制することが出来る。
【0103】
図17は、無線通信システム1において、GPS(Global Positioning System)を利用する場合の装置の詳細ブロック図である。図17のAはGPSを利用する場合のBBU3の詳細ブロック図である。図17のBはGPSを利用する場合のCPRISW6の詳細ブロック図である。
【0104】
図17のAは、図5のBBU3にGPS受信部54を追加実装したものである。GPS受信部54は受信したGPS信号に基づいて基準クロックを生成する。信号処理部52はGPS受信部54により生成された基準クロックに基づいて動作する。
【0105】
無線通信システム1は複数のBBUを有する。各BBUは非同期に動作する。1つのUEが、あるBBUが管理するセル範囲から、他のBBUが管理するセル範囲に移動した場合、セル番号の変化に伴うハンドオーバ処理が発生する。各BBUが非同期に動作している場合、ハンドオーバ処理においてBBU間のタイミングのずれによりデータ通信が途切れることがある。本実施例において各BBUにGPS受信部54を実装することにより、各BBUの動作タイミングを同期させることが出来る。各BBUの動作タイミングを同期させることにより、ハンドオーバ処理におけるデータ通信の途切れを防ぐことが出来る。
【0106】
図17のBは、図6のCPRISW6にカウンタ65を追加実装したものである。切替制御部62が受信する切替制御信号は切替タイミングにおけるフレーム番号の情報を有する。切替制御部62は切替制御信号受信時のフレーム番号と切替タイミングにおけるフレーム番号との差分に基づき、カウント値を算出する。切替制御部62は算出したカウント値をカウンタ65に送信する。
【0107】
カウンタ65はカウント値を受信するとカウントアップを開始する。カウンタ65はカウントアップした値が受信したカウント値以上になると通知信号を切替制御部62に送信する。通知信号を受信した切替制御部62は、切替処理部63に対する切替処理を開始する。
【0108】
以上の通りCPRISW6は、カウンタ65を用いることにより、管理サーバ2に指定された切替タイミングで正確に切替動作を行うことが出来る。また切替元のBBUと切替先のBBUはGPS受信部54により同期がとれているので、切替動作に伴うデータ通信の瞬断を防ぐことが出来る。
【0109】
なお、本実施例ではCPRISW6の切替タイミングの調整にカウンタを用いているが、切替制御部62に切替タイミングにおけるフレーム番号の情報を記憶させておき、切替制御部62が受信したフレーム番号が記憶したフレーム番号以上になったときに切替処理を開始するようにしてもよい。
【0110】
図18はGPSによる同期処理を考慮した稼動制御の処理フロー図である。各BBUのGPS受信部54はGPS信号を受信する(S40)。GPS受信部54は受信したGPS信号に基づいて基準クロックを生成する。各BBUが同一のGPS信号を受信することにより、BBUの同期を取ることが出来る。
【0111】
同期が取れた各BBUは、CPRISW6、各RRHおよび各UEに対し同期信号を出力する(S41)。同期が取れた各BBUから同期信号を出力することにより、無線通信システム1を構成する装置全体の同期を取ることが出来る。
【0112】
同期が取れた各UEは、管理サーバ2に対して識別情報およびトラフィック量情報を送信する(S42)。管理サーバ2は受信した識別情報およびトラフィック量情報に基づいて各BBUおよび各RRHの稼動または停止を決定する(S43)。また管理サーバ2はEMSの監視結果および稼動判定テーブルに基づいて、各BBU、各RRHおよび各UEに割り当てるセル番号を決定する。
【0113】
管理サーバ2は決定したセル番号を各BBUに通知する(S44)。また管理サーバ2はBBU経由で各UEに決定したセル番号を切り替えタイミングにおけるフレーム番号と併せて通知する(S45)。各UEは通知されたフレーム番号の受信タイミングおいて、強制的なハンドオーバ処理の実行によりセル番号を自律的に変更する。事前に通知することにより、各UEは各BBUおよび各RRHの稼動状態の切り替え処理前に、新しいセル番号へのハンドオーバ処理を開始することが出来る。また、BBUからの同期信号により同期を取っていることにより、各BBUの切り替え処理と同一タイミングで各UEのハンドオーバ処理を実行することが出来る。
【0114】
管理サーバ2はCPRISW6に対し、切り替え処理を実行するフレーム番号と併せて切替信号を送信して接続切替の指示を実行する(S46)。切替信号を受信したCPRISW6の切替制御部62は、受信したフレーム番号の受信タイミングにおいて、指示内容に従って切替処理部63の接続を切り換える。
【0115】
管理サーバ2は各BBUに対し、CPRISW6の切り替え処理を実行するフレーム番号の送信タイミングで、稼動または停止を指示する制御信号を送信する(S47)。制御信号を受信した各BBUの電源制御部51は、制御信号に従って信号処理部52を稼動または停止させる。また管理サーバ2は、カバーするセル範囲内に通信中のUEが存在しないRRHに対し、CPRISW6の切り替え処理を実行するフレーム番号の送信タイミングで、稼動または停止を指示する制御信号を送信する(S47)。制御信号を受信したRRHの電源制御部71は、制御信号に従ってRF処理部72を稼動または停止させる。
【0116】
CPRISW6の切り替え処理を実行するフレーム番号の送信タイミングで、管理サーバ2はセル番号変更通知信号を各BBUおよび各RRHに出力する(S48)。CPRISW6の切り替え処理を実行するフレーム番号の送信タイミングにおいて、各UEが新セル番号へ変更されると同時に、セル番号変更通知信号を受信した各BBUおよび各RRHは新セル番号に設定される(S49)。
【0117】
以上の通り、管理サーバ2はCPRISW6の切り替え処理を実行するフレーム番号の送信タイミングで、同期処理した各BBU、各RRHの接続関係およびセル番号を切り換える。GPS信号を用いて各装置間の同期を取ることにより、管理サーバ2は通信を瞬断させることなく無線通信システム1の接続関係を切り替えることができる。
【符号の説明】
【0118】
1 無線通信システム
2 管理サーバ
3、4、5 BBU
6 CPRISW
7 〜 15 RRH
16 〜 25 UE
40 EMS
41 SON
42 HWY−INF
43 監視制御部
44、45 SON−INF
46 データベース
47 基地局制御部
50 BBU−INF
51 電源制御部
52 信号処理部
53 HWY−INF
61 BBU−INF
62 切替制御部
63 切替処理部
64 RRH−INF
80、81 テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線端末と、
該複数の無線端末のうち、自身の特定範囲に存在する無線端末と無線通信する複数の無線部と、
該複数の無線部のいずれかへ送信するデータを変調すると共に該複数の無線部のいずれかから受信するデータを復調する複数のベースバンド処理部と、
該複数の無線部と該複数のベースバンド処理部との接続関係を切り替えるスイッチ部と、
該無線部および該ベースバンド処理部のそれぞれの稼働率を算出し、該稼働率の算出結果に基づいて該無線部および該ベースバンド処理部のそれぞれの電源供給を継続または停止すると共に、電源供給停止するベースバンド処理部に接続されている無線部を電源供給継続するベースバンド処理部へ再接続するように該スイッチ部を制御する制御部と
を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
該制御部は、該電源供給継続中のベースバンド処理部から受信したパケットデータを複製し該電源供給継続中のベースバンド処理部に接続される複数の該無線部に同一パケットデータを送信すると共に、複数の該無線部からそれぞれ受信したパケットデータを加算し該電源供給継続中のベースバンド処理部に出力するように該スイッチ部を制御することを特徴とする、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
該制御部は、該ベースバンド処理部の稼働率に応じて該ベースバンド処理部の電源供給を継続または停止すると共に、該無線部および該ベースバンド処理部に割り当てられたセルを特定するセル番号を切り替えることを特徴とする、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
該無線部および該ベースバンド処理部は電源供給の継続または停止を示す稼動制御信号の情報および切り替え後のセル番号を示すセル番号通知信号の情報を記憶し、
該スイッチ部は切り替え後の接続関係を示す接続制御信号の情報を記憶し、
該無線部および該ベースバンド処理部は、該制御部から送信されたセル番号の変更を示すセル番号変更通知信号に応じて、記憶した該稼動制御信号の情報に応じて電源供給の継続または停止を行うと共に、記憶した該セル番号通知信号の情報に基づいてセル番号を切り替え、
該スイッチ部は、該セル番号変更通知信号に応じて、記憶した該接続制御信号の情報に基づいて接続関係を切り替える
ことを特徴とする、請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
該制御部は、該無線部の特定範囲に該無線端末が存在しない場合に、該無線部の電源を停止させることを特徴とする、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項6】
該スイッチ部は接続関係を切り替えるまでの時間をカウントするカウンタを更に有し、受信したデータのフレーム番号と、該制御部から送信された接続関係切り替えタイミングを示すフレーム番号との差分値に基づいて、該カウンタのカウント値を設定することを特徴とする、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項7】
該複数のベースバンド処理部は、受信したGPSの電波に基づいて互いの同期をとるGPS受信部をそれぞれ有し、該無線部および該無線端末を該ベースバンド処理部と同期させる同期信号を出力することを特徴とする、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項1】
複数の無線端末と、
該複数の無線端末のうち、自身の特定範囲に存在する無線端末と無線通信する複数の無線部と、
該複数の無線部のいずれかへ送信するデータを変調すると共に該複数の無線部のいずれかから受信するデータを復調する複数のベースバンド処理部と、
該複数の無線部と該複数のベースバンド処理部との接続関係を切り替えるスイッチ部と、
該無線部および該ベースバンド処理部のそれぞれの稼働率を算出し、該稼働率の算出結果に基づいて該無線部および該ベースバンド処理部のそれぞれの電源供給を継続または停止すると共に、電源供給停止するベースバンド処理部に接続されている無線部を電源供給継続するベースバンド処理部へ再接続するように該スイッチ部を制御する制御部と
を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
該制御部は、該電源供給継続中のベースバンド処理部から受信したパケットデータを複製し該電源供給継続中のベースバンド処理部に接続される複数の該無線部に同一パケットデータを送信すると共に、複数の該無線部からそれぞれ受信したパケットデータを加算し該電源供給継続中のベースバンド処理部に出力するように該スイッチ部を制御することを特徴とする、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
該制御部は、該ベースバンド処理部の稼働率に応じて該ベースバンド処理部の電源供給を継続または停止すると共に、該無線部および該ベースバンド処理部に割り当てられたセルを特定するセル番号を切り替えることを特徴とする、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
該無線部および該ベースバンド処理部は電源供給の継続または停止を示す稼動制御信号の情報および切り替え後のセル番号を示すセル番号通知信号の情報を記憶し、
該スイッチ部は切り替え後の接続関係を示す接続制御信号の情報を記憶し、
該無線部および該ベースバンド処理部は、該制御部から送信されたセル番号の変更を示すセル番号変更通知信号に応じて、記憶した該稼動制御信号の情報に応じて電源供給の継続または停止を行うと共に、記憶した該セル番号通知信号の情報に基づいてセル番号を切り替え、
該スイッチ部は、該セル番号変更通知信号に応じて、記憶した該接続制御信号の情報に基づいて接続関係を切り替える
ことを特徴とする、請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
該制御部は、該無線部の特定範囲に該無線端末が存在しない場合に、該無線部の電源を停止させることを特徴とする、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項6】
該スイッチ部は接続関係を切り替えるまでの時間をカウントするカウンタを更に有し、受信したデータのフレーム番号と、該制御部から送信された接続関係切り替えタイミングを示すフレーム番号との差分値に基づいて、該カウンタのカウント値を設定することを特徴とする、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項7】
該複数のベースバンド処理部は、受信したGPSの電波に基づいて互いの同期をとるGPS受信部をそれぞれ有し、該無線部および該無線端末を該ベースバンド処理部と同期させる同期信号を出力することを特徴とする、請求項1に記載の無線通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−134708(P2012−134708A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284279(P2010−284279)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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