説明

無線通信パスの選択方法及選択装置

【課題】 伝送遅延が少なく、信頼性の高い無線データ伝送を実現する。
【解決手段】 ソースノードから宛先ノードへ至る無線通信パスの占有通信帯域を判定し、無線通信パスの組み合わせに対する通信帯域が閾値より小さな無線通信パスの組み合わせのうち、空間的に互いに離れた無線通信パスの組み合わせを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データのソースノードから宛先ノードへ至る複数の無線通信パスを選択する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信状態が変化しやすい無線通信パスを介して接続された複数のノード間で安定したデータ伝送を行う手段として、互いに異なる複数の通信パスを使用して同じデータを伝送する方法が取られている。
【0003】
特許文献1では、指向性の向きが異なる複数のアンテナを備えた送信ノードが、所定のアンテナを選択して受信ノードと第1の通信パスでデータ伝送を行い、受信エラー発生時に別のアンテナを選択し、第2の通信パスに切り替えてデータ伝送を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−321799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、選択される複数の通信パスは互いに指向性の向きが異なるだけで、通信パス同士が空間的にどの程度近似しているかについての考慮がなされていなかった。そのため、使用される複数の通信パスが空間的に互いに近似している場合には、通信パスの途中に遮蔽物が出現すると、複数の通信パスが同時に途切れてしまう可能性があった。結果として、複数の通信パスを使用しているのにも関わらず、データ伝送の信頼性を向上させることができない可能性があった。
【0006】
また、従来の技術では、エラー発生時に通信パスを切り替えてデータを再送しているので、データの伝送遅延が保証されていない。そのため、再送処理により有効期間内にデータを受信できない場合、リアルタイム性の要求されるアプリケーションに影響を与える。例えば、ビデオや音声などの時間的に連続したストリームデータを通信して受信側で連続的に再生している際に、データのアンダーランが発生し、再生ビデオの乱れや再生音声の途切れが発生する、という問題があった。
【0007】
本発明は、互いに指向性の向きが異なる複数の無線通信パスを用いてデータ伝送を行う際に、伝送遅延が少なく、同時に途切れにくい無線通信パスの組み合わせを選択する装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ソースノードから宛先ノードへ至る無線通信パスを選択するノードにおける無線通信パスの選択方法であって、
判定手段が、前記ソースノードから宛先ノードへ至る無線通信パスが占有する通信帯域数を判定する判定工程と、
選択手段が、無線通信パスの組み合わせに対する通信帯域が閾値より小さな無線通信パスの組み合わせのうち、空間的に互いに離れた無線通信パスの組み合わせを選択する選択工程と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、データの伝送遅延を保証した上で、同時に途切れにくい無線通信パスを使用することにより、データ伝送の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】無線通信システムにおけるネットワーク構成の一例を示す図。
【図2】ソースノードの内部構成例を示すブロック図。
【図3】宛先ノードの内部構成例を示すブロック図。
【図4】ノードのアンテナ制御を説明するための図。
【図5】通信フレームの構成例を示す図。
【図6(a)】、
【図6(b)】通信パスを決定する処理を示す図。
【図7(a)】、
【図7(b)】、
【図7(c)】通信パス選択処理を示すフローチャート。
【図8】通信品質テーブルの一例を示す図。
【図9】通信品質と変調方式及び占有スロット数との関係を示す図。
【図10】変調方式と占有タイムスロット数を決定した結果を示す図。
【図11】通信パスと通信リンクとの対応を示す図。
【図12】除外する通信パスの組み合わせと角度差とを示す図。
【図13】最終的に選択された通信パスとタイムスロットの割り当てとを示す図。
【図14】第2の実施形態におけるネットワーク構成の一例を示す図。
【図15】通信品質テーブルの一例を示す図。
【図16】通信リンクの候補を示す図。
【図17】通信パスの占有スロット数を示す図。
【図18】通信パスの組み合わせを示す図。
【図19】最終的に選択された通信パスとタイムスロットの割り当てとを示す図。
【図20】第3の実施形態におけるネットワーク構成の一例を示す図。
【図21】中継ノードの内部構成例を示すブロック図。
【図22】通信品質テーブルの一例を示す図。
【図23】通信リンクの候補を示す図。
【図24】通信パスの占有スロット数を示す図。
【図25】除外する通信パスの組み合わせと角度差とを示す図。
【図26】最終的に選択された通信パスとタイムスロットの割り当てとを示す図。
【図27】第4の実施形態におけるネットワーク構成の一例を示す図。
【図28】通信品質テーブルの一例を示す図。
【図29】通信リンクの候補を示す図。
【図30】通信パスの占有スロット数を示す図。
【図31】除外する通信パスの組み合わせと角度差とを示す図。
【図32】最終的に選択された通信パスとタイムスロットの割り当てとを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0012】
[第1の実施形態]
まず、ネットワーク及び複数の無線ノードの構成、通信フレームの構成、制御動作を、図1〜図13を参照して説明する。図1は、無線通信システムにおけるネットワーク構成の一例を示す図である。このシステムは、ビデオデータの無線伝送を行うもので、ソースノード100がデータソース105から取得したビデオデータを宛先ノード110へ無線伝送し、宛先ノード110が受信したビデオデータをディスプレイ115に出力する。
【0013】
ソースノード及び宛先ノードはそれぞれ指向性アンテナを備え、送受信の指向角を切り替えながらデータを無線伝送することが可能である。図1には、ビデオデータを伝送するために使用可能な通信リンク140〜143の候補が示されている。ここで、通信リンク140〜143には直達の通信リンク141の他に壁などの反射物120〜121を利用した反射の通信リンク140、142、143も含まれる。通信リンク140〜143は、ソースノード100の送信指向角と宛先ノード110の受信指向角とが互いに異なっている。また、無線通信システムでは、データを効率的に伝送するために通信リンクの通信品質に応じて各ノードが最適な変調方式を適用する適応変調方式を採用している。例えば、直達の通信リンク141は伝送距離が短いためデータレートの高い変調方式を、反射の通信リンク140、142、143は伝送距離が長いためデータレートの低い変調方式を用いることができる。
【0014】
第1の実施形態では、データ伝送の信頼性を向上させるために複数の通信リンク140〜143の候補から構成される2つ以上の無線通信パス(以下、単に通信パス)をソースノード100が選択し、同じデータを2つ以上の通信パスを用いて伝送する。これにより、遮蔽物130が通信パスの途中に出現した際にも、どれか1つの通信パスでデータ伝送が可能であれば、ビデオ再生を途切れさせることなく通信を継続することができる。
【0015】
次に、ソースノード100と宛先ノード110の構成を、図2、図3を用いて説明する。図2は、ソースノード100の内部構成例を示すブロック図である。図2に示す制御部200はソースノード100内の全体の動作を制御する。タイマー部205は送受信処理のタイミングを生成する。この送受信処理のタイミングはタイムスロット割当情報218によって決定される。ROM210はソースノード100のプログラムや不揮発性のパラメータを格納する。RAM215は揮発性のパラメータやデータを格納する。
【0016】
変調方式決定テーブル211は通信品質レベルに応じて適用できる変調方式を定義したテーブルであり、ROM210に保存される。通信品質テーブル216はネットワーク内のノード間の各送受信指向角における通信リンクの通信品質を示すテーブルである。アプリケーションデータ217はデータソース105から受信したビデオデータを含む。ここで、アプリケーションデータをビデオデータとして説明するが、これに限定されるものではなく、例えばオーディオデータや単なるファイルデータなどでも良い。タイムスロット割当情報218は通信フレーム内のタイムスロットの割り当てと各タイムスロットで使用する変調方式を定める情報である。尚、通信品質テーブル216、アプリケーションデータ217、タイムスロット割当情報218は全てRAM215に保存される。
【0017】
外部インターフェース部220はデータソース105からビデオデータを受信するためのインターフェースである。変調方式決定部221は通信品質テーブル216と変調方式決定テーブル211とに基づいて各通信リンクで適用する変調方式を決定する。アンテナ制御部230は無線データを放射するアンテナ225の送受信指向角の制御を行う。無線通信部235は所定の変調方式で無線データ送受信の信号処理を行う。アプリケーションデータ処理部240はアプリケーションデータ217を無線データとしてパケット化する。制御データ処理部245は無線プロトコルの制御データを処理する。尚、ソースノード100が送信する制御データには、通信品質の測定を行うトレーニング処理の開始指示、通信品質測定用のトレーニングシーケンス、タイムスロット割り当て情報などが含まれる。また他のノードの送信する制御データには、通信品質測定用のトレーニングシーケンスや通信品質情報などの制御情報が含まれる。
【0018】
タイムスロットデータ処理部250はタイムスロット割当情報218に定められたタイミングと変調方式で無線通信部235を制御し、タイムスロットデータの送信と他のノードからタイムスロットデータの受信を行う。タイムスロットデータには、ビデオデータや各ノードが生成する制御データなどが含まれる。角度差算出部255はソースノード100から宛先ノード110へ至る無線通信パス同士(以下、単に通信パス同士)の送受信における指向角の角度差を算出する。通信パス選択部260は角度差算出部255が算出した角度差に基づいて、ソースノード100から宛先ノード110へ至る複数の通信パスを選択する。タイムスロット割当情報生成部265は選択された通信パスに従って、タイムスロットの割り当てと変調方式を決定し、タイムスロット割当情報218を構築する。
【0019】
図3は、宛先ノード110の内部構成例を示すブロック図である。制御部300は宛先ノード110内の全体の動作を制御する。タイマー部305は送受信処理のタイミングを生成する。この送受信処理のタイミングは無線通信により受信したタイムスロット割当情報317によって決定される。ROM310は宛先ノード110のプログラムや不揮発性のパラメータを格納する。RAM315は揮発性のパラメータやデータを格納する。
【0020】
アプリケーションデータ316は無線通信により受信したビデオデータを含む。タイムスロット割当情報317は通信フレーム内のタイムスロットの割り当てと各タイムスロットで使用する変調方式を定める情報である。通信品質情報318は他のノードとの各送受信指向角における通信状態を示す情報である。尚、アプリケーションデータ316、タイムスロット割当情報317、通信品質情報318は全てRAM315に保存される。
【0021】
外部インターフェース部320はディスプレイ115へビデオデータを出力する機能を有する。アンテナ制御部330は無線データを放射するアンテナ325の送受信指向角の制御を行う。無線通信部335は所定の変調方式で無線データ送受信の信号処理を行う。アプリケーションデータ処理部340はアプリケーションデータ316のうち自ノードに宛てられたデータを抽出し、外部インターフェース部320に出力する。制御データ処理部345は無線プロトコルの制御データを処理する。ソースノード100の送信する制御データには、通信品質の測定を行うトレーニング処理の開始指示、通信品質測定用のトレーニングシーケンス、タイムスロット割り当て情報などが含まれる。また宛先ノード110が送信する制御データには通信品質情報などの制御情報が含まれる。
【0022】
タイムスロットデータ処理部350はタイムスロット割当情報317に定められたタイミングと変調方式で無線通信部335を制御し、タイムスロットデータの送信と他のノードからのタイムスロットデータの受信を行う。タイムスロットデータには、ビデオデータや各ノードが生成する制御データなどが含まれる。
【0023】
図4は、ノードのアンテナ制御を説明するための図である。各ノードは複数のアンテナ素子から構成される指向性アンテナを備えている。また各アンテナ素子から送受信される無線信号の位相を制御することにより狭指向性モード480と広指向性(ワイド)モード490を切り替えることができる。図4に示すように、狭指向性モード480では15°〜165°の範囲を15°ステップの分解能で制御し、11個の指向角パターンのビームを形成する。狭指向性モード480における指向角の範囲及び指向角の分解能はこの限りではない。
【0024】
ワイドモード490では、0〜180°の範囲の広い指向角をカバーするが、指向角の範囲はこの限りではない。狭指向性モード480は、通信パスの送受信可能な範囲は限定されるが、高いゲインが得られるため高レートのデータ伝送が可能である。また、ワイドモード490は狭指向性モード480と比較して通信パスの送受信可能な範囲は限定されないが、低レートであるという特徴がある。この例では、データ容量の大きいアプリケーションデータは狭指向性モード480での送受信を行い、データ容量が小さい制御データはワイドモード490で送受信を行うものとする。
【0025】
次に、通信フレームの構成を、図5を用いて説明する。図5に示す(a)は、無線通信システムにおける通信フレームであるスーパーフレーム500の構成例を示す図である。スーパーフレーム500は固定長であり、アプリケーションデータの有効期間である繰り返し周期で送信される。スーパーフレーム500は、制御データ用のタイムスロット領域510とアプリケーションデータ用のタイムスロット領域520、の2つの時分割領域を含んでいる。
【0026】
制御データ用のタイムスロット領域510では、全てのノード同士で制御情報を交換できるように、ネットワークに参加している全てのノードに対してタイムスロットが割り当てられる。ソースノード100の割り当てタイムスロットに含まれる制御データ511は、タイムスロット割当情報513、トレーニング処理の開始指示やトレーニングシーケンス等のその他の制御データ514を含む。また、宛先ノード110の割り当てタイムスロットの含まれる制御データ512は、通信品質情報等を含む。
【0027】
また、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域520ではビデオデータを送信するノードにタイムスロット521が割り当てられる。図5に示す例では、ソースノード100が宛先ノード110に対して2つの通信パスを使用して同じビデオデータ522、523を伝送している。各通信リンクには、通信品質の状態に応じてソースノードが決定した変調方式を採用することが可能で、使用する変調方式に応じて必要となるタイムスロット数が異なる。この例では、1つ目の通信パスは4つのタイムスロットを占有し、2つ目の通信パスは3つのタイムスロットを占有している。
【0028】
通信フレーム内における制御データ及びアプリケーションデータのタイムスロット構成と各タイムスロットで適用する変調方式は、全てソースノード100が生成するタイムスロット割当情報に格納される。しかし、制御データ用のタイムスロットはアプリケーションデータと異なり、ワイドモードで送信され複数のノードに宛てられるデータなので、変調方式を固定してもよい。
【0029】
次に、アプリケーションデータを伝送する前に、ノード間の通信品質を測定するトレーニング処理を行い、ソースノード100が収集した通信品質に基づいて使用する通信パスを決定する処理を図6に示す(a)を用いて説明する。
【0030】
S1000において、ソースノード100がトレーニング開始指示を示す制御データを宛先ノード110に対して送信する。トレーニング開始指示の制御データには、トレーニングシーケンスの送信ノードの情報、トレーニングシーケンス送信開始時間、送信指向角の切り替えタイミングの情報が含まれる。ここではトレーニングシーケンスの送信ノードはソースノード100に設定される。その後、ソースノード100はS1005において、アンテナの送信指向角を所定のタイミングで切り替えながら、既知信号であるトレーニングシーケンスを所定期間送信する。
【0031】
一方、トレーニング開始指示を受信した宛先ノード110はS1010において、アンテナの受信指向角を所定のタイミングで切り替えながらトレーニング信号を受信し、通信品質を測定する。宛先ノード110は、トレーニングシーケンス送信開始時間、送信指向角の切り替えタイミングの情報からソースノード100から受信するトレーニングシーケンスの送信指向角を知ることができる。この処理により、宛先ノード110はソースノード100の各送信指向角と自身の各受信指向角の組み合わせにおける通信品質を測定することができる。次に、全ての通信品質の測定を完了した宛先ノード110は、S1015において、通信品質の測定結果をソースノード100に対して送信する。
【0032】
次に、ソースノード100はS1020において、受信した通信品質の測定結果を通信品質テーブルに保存して更新する。次にソースノード100はS1200において、通信品質テーブルに基づいてアプリケーションデータの伝送に使用する複数の通信パスの選択を行う。通信パス選択のアルゴリズムの詳細については後述する。ソースノード100は選択された通信パスに従って、タイムスロットの割り当て及び各通信リンクで適用する変調方式を決定し、タイムスロット割当情報を宛先ノード110に通知する。その後、ソースノード100及び宛先ノード110はタイムスロット割当情報に基づいてアプリケーションデータの伝送を開始する。
【0033】
ここで、ソースノード100の通信パス選択のアルゴリズムを、図7を用いて説明する。ここでは、図1に示すネットワーク構成で、図8に示す通信品質テーブルを使用する。また、ソースノード100が選択する通信パスの数を2とし、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域のタイムスロット数を8とする。
【0034】
まずS1205において、通信品質テーブルに基づき各通信リンクで適用する変調方式と占有するタイムスロット数を決定する。図8は、図1に示すネットワーク構成例の通信品質テーブルの一例を示す図である。各セルはソースノード100の所定の送信指向角と宛先ノード110の所定の受信指向角の組み合わせにおける通信リンクの通信品質レベルを示している。レベルはレベル1からレベル10までの十段階であり、通信品質が良好である程数値が大きくなる。またNA(Not Applicable)と記載されているセルは通信品質が悪く測定できなかったことを示す。例えばソースノード100が60°の指向角で送信し、宛先ノード110が120°の指向角で受信した場合の通信リンクの通信品質レベルはレベル7である。これら通信リンクに対して、図9に示す変調方式決定テーブルを参照することにより適用可能な変調方式を一意に決定する。このテーブルは通信品質レベルに応じて適用すべき変調方式を、BPSK、QPSK、8PSK、16QAMの4つに分けて定義している。
【0035】
ソースノード100が90°の指向角で送信し、宛先ノード110が90°の指向角で受信した場合の通信リンクの通信品質レベルはレベル9なので、この通信リンクに対しては16QAMの変調方式を用いることができる。各変調方式はデータレートが異なるので、図9に示すように同じビデオデータを伝送するにあたって占有するタイムスロット数が異なる。各通信リンクで適用する変調方式と占有するタイムスロット数を決定した結果は図10に示すテーブルのようになり、4つの通信リンクの候補が示されている。
【0036】
次に、S1210において、S1205で求めた通信リンクの情報に基づいて、ソースノード100から宛先ノード110へ至る通信パスの占有スロット数を算出する。この例では、通信リンクがソースノード100から直接宛先ノード110へ到達するため、図11に示すように通信パスと通信リンクが1対1で対応する。この通信パスの中から2つの通信パスの組み合わせを選択する。
【0037】
次に、S1215において、図11に示す通信パスのうち、任意の2つの組み合わせにおける占有スロット数を算出する。ここでは上述したように、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域のタイムスロット数は8であるので、8を超えるタイムスロット数を占有する通信パスの組み合わせは選択対象から除外する。図12に示す(a)は、候補として残された通信パスの組み合わせを示すテーブルで、網掛けの通信パスの組み合わせは除外されたことを示している。
【0038】
次に、S1216において、図12の(a)に示す通信パスの組み合わせのうち、使用している通信リンクが重複している通信パスの組み合わせが存在する場合は、除外する。この処理は、後述する第4の実施形態のように、ネットワークに中継ノードを含み、通信パスの組み合わせに中継ノードを含む場合、候補となる通信パスの重複を避けるための処理である。ここで説明する例では重複している通信パスの組み合わせは存在しないため、この処理は行われない。
【0039】
次に、S1220において、候補として残された通信パスの組み合わせに対して、その通信パス同士で使用している送信指向角及び受信指向角の角度差を算出する。結果として、図12に示す(b)のテーブルのように全ての通信パスの組み合わせに対して角度差が算出される。
【0040】
次に、S1225において、図12の(b)に示される通信パスの組み合わせのうち、角度差の大きい通信パスの組み合わせを選択する。この処理の詳細は図7に示す(b)のフローチャートを用いて説明する。尚、ここではS1300及びS1310の判定で使用する角度差の閾値を60°とする。
【0041】
まず、S1300において、通信パス同士のソースノード100の送信指向角の角度差が閾値以上の組み合わせが存在するか否かを判定する。図12に示す(b)の場合、番号2(通信パス1と3)と番号5(通信パス2と4)の組み合わせは送信指向角の角度差が60°以上なのでS1305へ分岐する。閾値以上の通信パスの組み合わせが存在しない場合にはS1310へ分岐する。S1305において、送信指向角の角度差が60°より小さい通信パスの組み合わせを選択対象から除外する。結果として、番号2(通信パス1と3)と番号5(通信パス2と4)の組み合わせが選択対象として残ることになる。
【0042】
次に、S1306において、選択対象として残されている通信パスの組み合わせが2つ以上あるか否かを判定する。1つしかない場合にはS1330へ分岐する。この例では、番号2(通信パス1と3)と番号5(通信パス2と4)の2つの組み合わせが選択対象として残っているため、S1310へ分岐する。S1310において、通信パス同士の宛先ノード110の受信指向角の角度差が閾値以上の組み合わせが存在するか否かを判定する。番号2(通信パス1と3)と番号5(通信パス2と4)の組み合わせは受信指向角の角度差が共に60°以上なので、S1315へ分岐する。閾値以上の通信パスの組み合わせが存在しない場合にはS1320へ分岐する。
【0043】
次に、S1315において、送信指向角の角度差が60°より小さい通信パスの組み合わせを選択対象から除外する。結果として、除外される組み合わせはなく、番号2(通信パス1と3)と番号5(通信パス2と4)の組み合わせが選択対象として残ることになる。次に、S1320において、選択対象として残されている通信パスの組み合わせが2つ以上あるか否かを判定する。1つしかない場合にはS1330へ分岐し、その1つの通信パスの組み合わせを選択する。この例では、通信パスの選択候補が2つ存在するので、S1325へ分岐する。
【0044】
最後に、S1325では、残された通信パスの組み合わせのうち、占有スロット数が最も少ない組み合わせを選択する。番号2(通信パス1と3)の組み合わせは占有スロット数が8、番号5(通信パス2と4)の組み合わせは7なので、最終的に番号5(通信パス2と4)の組み合わせが選択される。これにより、ソースノード100の送信時間を短縮し、消費電力を低減する効果を得ることができる。また番号2(通信パス1と3)の組み合わせのように、通信パスが互いに交差する場合には、角度差が大きいのにも関わらず、途切れやすい可能性がある。
【0045】
上述のように、壁に複数回反射して到達するような通信パスを含む場合、占有スロット数が多くなるため、角度差が大きい組み合わせの中から、占有する通信帯域が少ない組み合わせ(上記説明では占有スロット数が少ない組み合わせ)を優先的に選択する。これにより、角度差が大きいのにも関わらず、途切れやすい通信パスを選択する可能性を低減させることができる。
【0046】
尚、S1325で、複数の候補から組み合わせを選択する際の判断指標として占有スロット数を用いているが、これに限定されるものではなく、その他の通信パスの特性情報によって優先度付けを行うようにしても良い。例えば、占有通信帯域が所定の閾値より少ない通信パスの組み合わせの中から、各通信パスでデータ伝送を行う際のソースノード100の送信電力を算出し、通信パスにおける送信電力の合計が少ない通信パスの組み合わせを優先させる方法が考えられる。これにより、ソースノード100の消費電力を低減する効果を得ることができる。またその他の方法としては、占有通信帯域が所定の閾値より少ない通信パスの組み合わせの中から、通信パスにおける宛先ノード110の通信品質の合計が大きい通信パスの組み合わせを優先させる方法などが考えられる。これにより、通信エラーを低減させる効果を得ることができる。
【0047】
最終的に選択された通信パスを図13の(a)に示す。また、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域のタイムスロットの割り当てを図13の(b)に示す。
【0048】
上述したアルゴリズムを適用することにより、データの有効期間を考慮した上で空間的に互いに離れた通信パスを選択することができ、遅延時間を保証すると共に信頼性の高いデータ伝送を行うことができる。
【0049】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、図14のネットワーク構成図に示すようにソースノード100が狭指向性モードを有しておらず、ワイドモードのみを有し、宛先ノード110が狭指向性モードを有している場合を説明する。図7の(a)のアルゴリズムに従って通信パス選択を行う際の制御動作を示す。尚、ソースノード100が選択する通信パスの数を2とし、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域のタイムスロット数を8とする。また、通信品質テーブルは図15に示すテーブルを使用する。
【0050】
まず、S1205において、図15の通信品質テーブルと図9の変調方式決定テーブルに基づいて、各通信リンクで適用する変調方式と占有するタイムスロット数を決定する。ソースノード100の送信角はワイドのみ存在する。結果として、図16に示すテーブルのようになり、3つの通信リンクが候補となる。
【0051】
次に、S1210において、図16の通信リンクのテーブルから図17に示す無線通信パス(通信パス)の占有スロット数を示すテーブルを生成する。この通信パスの中から、2つの通信パスの組み合わせを選択する。次に、S1215において、図17に示す通信パスのうち、任意の2つの組み合わせにおける占有スロット数を算出する。ここでは上述したようにアプリケーションデータ用タイムスロット領域のタイムスロット数が8であるので、8を超えるタイムスロット数を占有する通信パスの組み合わせは選択対象から除外する。この場合、全ての通信パスの組み合わせにおいて占有タイムスロット数が8を超えるものは存在しないので除外されるものはない。その結果、図18のテーブルに示す通信パスの組み合わせが候補としてあげられる。
【0052】
次に、S1216において、図18に示す通信パスの組み合わせうち、使用している通信リンクが重複している通信パスの組み合わせが存在する場合は、除外する。この例では、重複している通信パスの組み合わせは存在しないため除外されない。次に、S1220において、候補として残された通信パスの組み合わせに対して、その通信パス同士で使用している送信指向角及び受信指向角の角度差を算出する。ソースノード100の送信角はワイドのみなので送信指向角の角度差は全てゼロとなる。結果として、図18のテーブルに示すように全ての通信パスの組み合わせに対して角度差が算出される。
【0053】
次に、S1225において、図18に示される通信パスの組み合わせのうち、角度差の大きい通信パスの組み合わせを選択する。今回ソースノード100の送信指向角はワイドのみなので、宛先ノード110の受信指向角の角度差によってのみ通信パスの組み合わせが選択される。この処理の詳細を図7の(b)のフローチャートを用いて説明する。尚、ここではS1300及びS1310の判定で使用する角度差の閾値を45°とする。
【0054】
まず、S1300において、通信パス同士のソースノード100の送信指向角の角度差が閾値以上の組み合わせが存在するか否かを判定する。ソースノード100の送信指向角はワイドのみなので、送信指向角の角度差は全てゼロとなるため、S1310へ分岐する。次に、S1310〜S1315において、通信パス同士の宛先ノード110の受信指向角の角度差が閾値より小さい組み合わせを除外する。結果として、図18の番号1(通信パス1と2)と番号2(通信パス1と3)の組み合わせが選択対象として残ることになる。
【0055】
次に、S1320において、選択対象として残されている通信パスの組み合わせが2つ以上あるか否かを判定する。この例では、通信パスの選択候補が2つ存在するので、S1325へ分岐する。最後にS1325では、残された通信パスの組み合わせのうち、占有スロット数が最も少ない組み合わせである番号1(通信パス1と2)の組み合わせが最終的に選択される。
【0056】
最終的に選択された通信パスを図19の(a)に示す。また、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域のタイムスロットの割り当てを図19の(b)に示す。
【0057】
第2の実施形態では、ソースノード100がワイドモードのみを有し宛先ノード110が狭指向性モードを有する場合を説明したが、ソースノード100が狭指向性モードのみを有し宛先ノード110がワイドモードを有する場合の動作も同様である。その場合は、通信パス選択時に、宛先ノード110の受信指向角は考慮されず、ソースノード100の送信指向角の角度差によって判断される。
【0058】
このように、通信ネットワークを構成する少なくとも1つのノードが狭指向性モードを備えていれば、同様のアルゴリズムを適用することにより、通信パスの組み合わせを選択することができる。
【0059】
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、図20のネットワーク構成図に示すように、ソースノード100から受信したビデオデータを中継する中継ノード111を含む場合を説明する。まず中継ノード111の内部構成を、図21を用いて説明する。この中継ノード111の内部構成は宛先ノード110とほぼ同じなので、ここでは宛先ノード110との差分についてのみ説明する。
【0060】
中継ノード111には、宛先ノード110に存在していた外部インタフェース部が存在しない。またアプリケーションデータ処理部440は、ソースノードから受信したデータを中継伝送のためにRAM315上に保存し、自ノードに割り当てられたタイムスロットで中継伝送する。
【0061】
次に、中継ノード111が加わった場合のスーパーフレーム500の構成を図5に示す(b)を用いて説明する。図5に示す(a)のスーパーフレーム構成と異なる点は、制御データ用のタイムスロット領域510に中継ノード111用のタイムスロットが割り当てられている点である。このタイムスロットを使用して中継ノード111は通信品質情報等の制御データ515を送信する。
【0062】
また、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域520に中継ノード111用のタイムスロットが割り当てられている。この例では、ソースノード100が宛先ノード110へ直接伝送する1つ目の通信パスのビデオデータ524、ソースノード100が中継ノード111に伝送する2つ目の通信パスのビデオデータ525が示されている。更に、中継ノード111が中継伝送する2つ目の通信パスのビデオデータ526が示されている。このように、図5の(b)では、中継ノード111を含む形でソースノード100から宛先ノード110へ至る複数の通信パスが構成される。
【0063】
次に、中継ノード111が加わった場合の通信パスを決定する処理を図6に示す(b)のシーケンス図を用いて説明する。第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、アプリケーションデータを伝送する前に、ノード間の通信品質を測定するトレーニング処理を行う。
【0064】
まず、S1100において、ソースノード100は、トレーニングシーケンス送信ノードをソースノード100に設定したトレーニング開始指示を中継ノード111と宛先ノード110に対して送信する。その後、ソースノード100はS1105において、アンテナの送信指向角を所定のタイミングで切り替えながら、既知信号であるトレーニングシーケンスを所定期間送信する。
【0065】
一方、トレーニング開始指示を受信した中継ノード111と宛先ノード110では、S1110、S1115において、アンテナの受信指向角を所定のタイミングで切り替えながらトレーニング信号を受信し、通信品質を測定する。この処理により、中継ノード111と宛先ノード110は、ソースノード100の各送信指向角と自ノードの各受信指向角の組み合わせにおける通信品質を測定することができる。全ての通信品質の測定を完了した中継ノード111と宛先ノード110は、S1120、S1125において、通信品質の測定結果をソースノード100に対して送信する。
【0066】
次に、ソースノード100はS1130において、受信した通信品質の測定結果を通信品質テーブルに保存して更新する。そして、ソースノード100はS1135において、トレーニングシーケンス送信ノードを中継ノード111に設定したトレーニング開始指示を中継ノード111と宛先ノード110に送信する。その後、中継ノード111はS1140において、アンテナの送信指向角を所定のタイミングで切り替えながら、既知信号であるトレーニングシーケンスを所定期間送信する。
【0067】
一方、トレーニング開始指示を受信した宛先ノード110では、S1145において、アンテナの受信指向角を所定のタイミングで切り替えながらトレーニング信号の受信し、通信品質の測定を試みる。この処理により、宛先ノード110は、中継ノード111の各送信指向角と自身の各受信指向角の組み合わせにおける通信品質を測定することができる。全ての通信品質の測定を完了した宛先ノード110はS1150において、通信品質の測定結果をソースノード100に対して送信する。
【0068】
次に、ソースノード100はS1155において、受信した通信品質の測定結果を通信品質テーブルに保存して更新する。そして、ソースノード100はS1200において、通信品質テーブルに基づいて、アプリケーションデータの伝送に使用する複数の通信パスの選択を行う。通信パス選択のアルゴリズムの詳細については後述する。ソースノード100は選択された通信パスに従って、タイムスロットの割り当て及び各通信リンクで適用する変調方式を決定し、生成したタイムスロット割当情報を中継ノード111と宛先ノード110に通知する。その後、ソースノード100、中継ノード111、宛先ノード110はタイムスロット割当情報に基づいて、アプリケーションデータの伝送を開始する。
【0069】
ここで、図7に示す(a)のアルゴリズムに従って通信パス選択を行う際の制御動作を説明する。尚、ソースノード100が選択する通信パスの数を2とし、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域のタイムスロット数を8とする。また、通信品質テーブルは図22に示すテーブルを使用する。
【0070】
まず、S1205において、図22の通信品質テーブルと図9の変調方式決定テーブルに基づいて、各通信リンクで適用する変調方式と占有するタイムスロット数を決定する。この例では、中継ノード111が加わるため、ソースノード100の送信角と中継ノード111の受信角の組み合わせと、中継ノード111の送信角と宛先ノード110の受信角の組み合わせの通信品質テーブルが加わる。結果として、図23に示すテーブルのようになり、4つの通信リンクが候補となる。
【0071】
次に、S1210において、図23の通信リンクのテーブルから図24に示す通信パスの占有スロット数を示すテーブルを生成する。この場合は、ソースノード100から宛先ノード110に直接到達する通信パスのほか、番号3の通信パスのように、ソースノード100から中継ノード111を介して宛先ノード110に到達する中継パスも含まれる。これら通信パスの中から2つの通信パスの組み合わせを選択する。
【0072】
次に、S1215において、図24に示す通信パスのうち、任意の2つの組み合わせにおける占有スロット数を算出する。ここでは上述したように、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域のタイムスロット数は8であるので、8を超えるタイムスロット数を占有する通信パスの組み合わせは選択対象から除外する。図25に示す(a)は、候補として残された通信パスの組み合わせを示すテーブルで、網掛けの通信パスの組み合わせは除外されたことを示している。
【0073】
次に、S1216において、図25の(a)に示す通信パスの組み合わせのうち、使用している通信リンクが重複している通信パスの組み合わせが存在する場合は、除外する。この例では重複している通信パスの組み合わせは存在しないため除外されない。
【0074】
次に、S1220において、候補として残された通信パスの組み合わせに対して、その通信パス同士で使用している送信指向角及び受信指向角の角度差を算出する。結果として、図25の(b)のテーブルに示すように全ての通信パスの組み合わせに対して角度差が算出される。
【0075】
次に、S1225において、図25の(b)に示される通信パスの組み合わせのうち、角度差の大きい通信パスの組み合わせを選択する。ここではS1300及びS1310の判定で使用する角度差の閾値を45°とする。この制御動作は第1の実施形態と同様なので説明を省略する。結果として、図25の(b)の番号3(通信パス2と3)の組み合わせが選択される。
【0076】
最終的に選択された通信パスを図26の(a)に示す。また、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域のタイムスロットの割り当てを図26の(b)に示す。
【0077】
以上のようなアルゴリズムを適用することにより、中継ノードを含む場合においても、データの有効期間を考慮した上で空間的に互いに離れた最適な通信パスを選択することができる。
【0078】
[第4の実施形態]
第4の実施形態では、図27のネットワーク構成図のように中継ノード111を含み、通信パスを構成する中継ノード111の送受信角を考慮し、通信パスの組み合わせを選択する場合を説明する。以下、図7の(a)のアルゴリズムに従って通信パスの選択を行う際の制御動作を示す。尚、ソースノード100が選択する通信パスの数を2とし、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域のタイムスロット数を10とする。また、通信品質テーブルは図28に示すテーブルを使用する。
【0079】
まず、S1205において、図28の通信品質テーブルと図9の変調方式決定テーブルに基づいて、各通信リンクで適用する変調方式と占有するタイムスロット数を決定する。結果として、図29に示すテーブルのようになり、5つの通信リンクが候補となる。
【0080】
次に、S1210において、図29の通信リンクのテーブルから図30に示す通信パスの占有スロット数を示すテーブルを生成する。この通信パスの中から、2つの通信パスの組み合わせを選択する。
【0081】
次に、S1215において、図30に示す通信パスのうち、任意の2つの組み合わせにおける占有スロット数を算出する。ここでは上述したようにアプリケーションデータ用のタイムスロット領域のタイムスロット数が10であるので、10を超えるタイムスロット数を占有する通信パスの組み合わせを選択対象から除外する。これにより、番号1(通信パス1と2)、4(通信パス1と5)、7(通信パス2と4)、8(通信パス2と5)、13(通信パス4と5)の組み合わせが除外される。
【0082】
更に、S1216において、使用している通信リンクが重複している通信パスの組み合わせが存在する場合、1つを残して後は除外する。例えば、番号10(通信パス3と4)の組み合わせは、番号5(通信パス1と6)の組み合わせと同じ通信リンクで構成されるので、番号10(通信パス3と4)の組み合わせを候補から除外する。これにより、番号10(通信パス3と4)、11(通信パス3と5)の通信パスの組み合わせが除外される。図31に示す(a)は、S1215とS1216での処理の結果、候補として残された通信パスの組み合わせを示すテーブルで、網掛けの通信パスの組み合わせが除外されたことを示している。
【0083】
次に、S1220において、候補として残された通信パスの組み合わせに対して、その通信パス同士で使用している送信指向角及び受信指向角の角度差を算出する。結果として、図31の(b)のテーブルに示すように全ての通信パスの組み合わせに対して角度差が算出される。この例では、中継ノード111を介する通信パスが複数存在するため、中継ノード111の送受信指向角の角度差が加わっている。
【0084】
次に、S1225において、図31の(b)に示される通信パスの組み合わせのうち、角度差の大きい通信パスの組み合わせを選択する。この処理の詳細は図7に示す(c)のフローチャートを用いて説明する。尚、ここではS1400、S1410、S1425、S1435の判定で使用する角度差の閾値を45°とする。
【0085】
まず、S1400において、通信パス同士のソースノード100の送信指向角の角度差が閾値以上の組み合わせが存在するかどうかを判定する。この例では、組み合わせが存在するのでS1405へ分岐し、送信指向角の角度差が45°より小さい通信パスの組み合わせを選択対象から除外される。結果として、図31の(b)の番号3(通信パス1と4),5(通信パス1と6)、9(通信パス2と6)、12(通信パス3と6)の組み合わせが選択対象として残ることになる。
【0086】
次に、S1406において、選択対象として残されている通信パスの組み合わせが2つ以上あるか否かを判定し、この例では4つの組み合わせが選択対象として残っているため、S1410へ分岐する。S1410において、通信パス同士の中継ノード111の受信指向角の角度差が閾値以上の組み合わせが存在するか否かを判定する。判定の結果、存在するのでS1415へ分岐し、受信指向角の角度差が45°より小さい通信パスの組み合わせを選択対象から除外する。ここで、全ての通信パスの組み合わせにおいて45°以上の角度差があるので、除外される通信パスの組み合わせはない。結果として、図31の(b)の番号3(通信パス1と4),5(通信パス1と6)、9(通信パス2と6)、12(通信パス3と6)の組み合わせが選択対象として残ることになる。
【0087】
次に、S1416において、選択対象として残されている通信パスの組み合わせが2つ以上あるか否かを判定する。この例では4つの組み合わせが選択対象として残っているため、S1425へ分岐する。組み合わせが1つしかない場合には、S1420へ分岐し、その1つの通信パスの組み合わせを選択し、処理を終了する。
【0088】
次に、S1425において、通信パス同士の中継ノード111の送信指向角の角度差が閾値以上の組み合わせが存在するか否かを判定する。判定の結果、組み合わせが存在するのでS1430へ分岐し、送信指向角の角度差が45°より小さい通信パスの組み合わせを選択対象から除外される。結果として、図31の(b)の番号3(通信パス1と4)、5(通信パス1と6)、12(通信パス3と6)の組み合わせが除外され、番号9(通信パス2と6)の組み合わせが選択対象として残ることになる。
【0089】
次に、S1431において、選択対象として残されている通信パスの組み合わせが2つ以上あるか否かを判定する。ここで図31(b)の番号9(通信パス2と6)の組み合わせしか選択対象として残っていないので、S1455へ分岐し、最終的に図31の(b)の番号9(通信パス2と6)の組み合わせが選択されることになる。
【0090】
仮に、S1431において、選択対象として残されている通信パスの組み合わせが2つ以上存在した場合にはS1435へ分岐し、通信パス同士の中継ノード111の受信指向角の角度差が閾値以上の組み合わせが存在するか否かを判定する。判定の結果、存在する場合にはS1440へ分岐し、受信指向角の角度差が45°よりも小さい通信パスの組み合わせを選択対象から除外する。また、存在しない場合にはS1445へ分岐する。S1445では、選択対象として残されている通信パスの組み合わせが2つ以上あるか否かを判定し、1つしかない場合にはS1450へ分岐し、その1つの通信パスの組み合わせを選択する。一方、通信パスの選択候補が2つ以上存在する場合にはS1455へ分岐し、残された通信パスの組み合わせのうち、占有スロット数が最も少ない組み合わせを選択する。
【0091】
最終的に選択された通信パスを図32の(a)に示す。また、アプリケーションデータ用のタイムスロット領域のタイムスロットの割り当てを図32の(b)に示す。
【0092】
以上のようなアルゴリズムを適用することにより、ソースノード100と宛先ノード110の送受信角に加えて、中継ノード111の送受信角を考慮に入れた上で、最適な通信パスを選択することができる。
【0093】
尚、上述した各実施形態の説明では、ソースノードが通信パスを選択する選択装置の例を説明したが、宛先ノード、中継ノード、その他のノード等の選択装置が通信パスを選択してもよい。この場合、宛先ノード、中継ノードが測定した通信品質を通信パスを選択装置に通知し、選択装置は、各ノードから収集した通信品質の情報を使って、上述のソースノードの選択処理を行えばよい。
【0094】
[他の実施形態]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースノードから宛先ノードへ至る無線通信パスを選択するノードにおける無線通信パスの選択方法であって、
判定手段が、前記ソースノードから宛先ノードへ至る無線通信パスが占有する通信帯域を判定する判定工程と、
選択手段が、無線通信パスの組み合わせに対する通信帯域が閾値より小さな無線通信パスの組み合わせのうち、空間的に互いに離れた無線通信パスの組み合わせを選択する選択工程と、
を有することを特徴とする無線通信パスの選択方法。
【請求項2】
ソースノードから宛先ノードへ至る無線通信パスを選択する選択装置であって、
前記ソースノードから宛先ノードへ至る無線通信パスが占有する通信帯域を判定する判定手段と、
無線通信パスの組み合わせに対する通信帯域が閾値より小さな無線通信パスの組み合わせのうち、空間的に互いに離れた無線通信パスの組み合わせを選択する選択手段と、
を有することを特徴とする選択装置。
【請求項3】
前記選択手段では、前記空間的に互いに離れた無線通信パスの組み合わせにおける無線通信パス同士の指向角の角度差を算出し、
前記算出された角度差の大きい組み合わせを、前記空間的に互いに離れた無線通信パスとして選択することを特徴とする請求項2に記載の選択装置。
【請求項4】
前記ソースノードは送信指向角を制御する指向性アンテナを備え、
前記選択手段は、前記ソースノードの送信指向角に基づいて前記無線通信パス同士の指向角の角度差を算出することを特徴とする請求項3に記載の選択装置。
【請求項5】
前記宛先ノードは受信指向角を制御する指向性アンテナを備え、
前記選択手段は、前記宛先ノードの受信指向角に基づいて前記無線通信パス同士の指向角の角度差を算出することを特徴とする請求項3又は4に記載の選択装置。
【請求項6】
前記無線通信パスには、少なくとも受信指向角及び送信指向角の何れかを制御する指向性アンテナを備えた中継ノードを介する無線通信パスも含み、
前記選択手段は、前記中継ノードの少なくとも受信指向角及び送信指向角の何れかに基づいて前記無線通信パス同士の指向角の角度差を算出することを特徴とする請求項3乃至5の何れか1項に記載の選択装置。
【請求項7】
所定の値よりも空間的に互いに離れた無線通信パスの組み合わせが複数存在する場合に、各無線通信パスの特性情報に基づいて、無線通信パスの組み合わせを選択することを特徴とする請求項2乃至6の何れか1項に記載の選択装置。
【請求項8】
前記無線通信パスの特性情報は前記無線通信パスの通信品質又は送信電力であることを特徴とする請求項7に記載の選択装置。
【請求項9】
コンピュータを請求項2乃至8の何れか1項に記載の選択装置の各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図7(c)】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−186566(P2012−186566A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46970(P2011−46970)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】