説明

無線通信基地局装置

【課題】データの伝送効率を向上出来る無線通信基地局装置を提供すること。
【解決手段】使用する周波数帯域幅の異なる第1無線通信方式と第2無線通信方式とが使用可能であり、且つ無線通信端末3に対して前記第1無線通信方式から前記第2無線通信方式への移行を指示する無線通信基地局装置2であって、前記第1無線通信方式から前記第2無線通信方式への移行命令を生成して、前記移行命令を前記無線通信端末3へ送信する移行命令送信部36と、前記移行命令が送信された後に、前記第1無線通信方式から前記第2無線通信方式への移行に失敗した前記無線通信端末3を検出し、検出された場合に前記移行命令を再度送信するように、前記移行命令送信部36に対して命令する移行失敗端末検出部33とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信基地局装置に関する。例えば、複数の通信方式が使用可能な無線LAN基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11委員会において、次世代の高速無線LAN(Local Area Network)方式が検討されている。この中で、従来使用していた20MHzの通信周波数帯域を40MHzに拡張して更なる高速通信を実現する方式が提案されている(非特許文献1参照)。
【0003】
また、40MHz帯域で通信を行う無線LAN端末と、20MHz帯域で通信を行う無線LAN端末とを、同時に1つの無線LAN基地局で収容し、これら2つの帯域で通信を可能とするPhased Coexistence Operationと呼ばれる機能(以下、PCO機能と呼ぶ)が提案されている(非特許文献2参照)。PCO機能では、無線LAN基地局が、自身が収容する全ての無線LAN端末に対して20MHz帯域通信から40MHz帯域通信への移行を命令する。
【0004】
しかしながら、移行命令を受信できなかった無線LAN端末は、20MHz帯域通信状態のままとなり、40MHz帯域通信の間、データの送受信が出来なくなる。
【0005】
また上記移行命令の後、無線LAN基地局は40MHz帯域通信によりデータの送受信を行う。しかしながら、無線LAN基地局は40MHz帯域通信への移行に失敗した無線LAN端末の存在を認識していない。そのため、移行に失敗した無線LAN端末へも40MHz帯域通信によってデータを送信する。すると、この無線LAN端末ではデータを正しく受信出来ないため、無線LAN基地局は同じデータを繰り返し送信することとなる。その結果、全体としての帯域使用効率が悪化するという問題があった。
【非特許文献1】"IEEE Standards for Information Technology -- Telecommunications and Information Exchange between Systems -- Local and Metropolitan Area Network -- Specific Requirements -- Part 11: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications"、[online]、IEEE 802.11, 1999 Edition (ISO/IEC 8802-11)、1999年、インターネット<URL: http://standards.ieee.org/getieee802/802.11.html>、<URL: http://standards.ieee.org/getieee802/download/802.11-1999.pdf>
【非特許文献2】"Draft STANDARD for Information Technology - Telecommunications and information exchange between systems - Local and metropolitan area networks - Specific requirements - Part 11: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) specifications: Amendment <number>: Enhancements for Higher Throughput," IEEE P802.11n/D2.00, February 2007
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、データの伝送効率を向上出来る無線通信基地局装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一態様に係る無線通信基地局装置は、使用する周波数帯域幅の異なる第1無線通信方式と第2無線通信方式とが使用可能であり、且つ無線通信端末に対して前記第1無線通信方式から前記第2無線通信方式への移行を指示する無線通信基地局装置であって、前記第1無線通信方式から前記第2無線通信方式への移行命令を生成して、前記移行命令を前記無線通信端末へ送信する移行命令送信部と、前記移行命令が送信された後に、前記第1無線通信方式から前記第2無線通信方式への移行に失敗した前記無線通信端末を検出し、検出された場合に前記移行命令を再度送信するように、前記移行命令送信部に対して命令する移行失敗端末検出部とを具備する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、データの伝送効率を向上出来る無線通信基地局装置を提供出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施形態につき図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
【0010】
[第1の実施形態]
この発明の第1の実施形態に係る無線通信基地局装置について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る無線通信システムのブロック図である。
【0011】
図示するように、無線通信システム1は、無線LAN基地局2及び複数の無線LAN端末3、4を備えており、これらによって通信ネットワーク(LAN)を構成している。無線LAN端末3は、無線LAN基地局2との間で、20MHzの周波数帯域を用いた無線通信(これを第1通信方式と呼ぶことがある)と、40MHzの周波数帯域を用いた無線通信(これを第2通信方式と呼ぶことがある)とを行う。これに対して無線LAN端末4は、20MHzの周波数帯域を用いた無線通信(第1通信方式)により、無線LAN基地局2と無線通信を行う。
【0012】
無線LAN基地局2は、無線LAN端末3を収容し、BSS(Basic Service Set)を形成している。無線LAN基地局2は、例えば有線LANによって図示せぬサーバに接続され、またはメタル回線や光ファイバ等によってインターネットサービスプロバイダを介してインターネットに接続される。そして無線LAN基地局2は、上記第1通信方式による通信期間(これを第1通信期間と呼ぶことがある)と、第2通信方式による通信期間(これを第2通信期間とよぶことがある)とを設定する。第1通信期間においては、無線LAN端末3、4は第1通信方式による通信が可能とされる。他方、第2通信期間においては、無線LAN端末3は第2通信方式による通信が可能とされ、無線LAN端末4は通信禁止とされる。
【0013】
以上の構成によって、1つの無線LAN基地局2が第1通信方式と第2通信方式とを同時に使用可能なネットワークが実現される。図2は、無線LAN端末3、4がそれぞれ使用する周波数帯域について示すバンド図であり、IEEE802.11n規格に従ったものである。
【0014】
従来の無線LAN方式では、20MHz帯域を1チャネルとして、20MHz帯域での通信(第1通信方式)を行っていた。IEEE802.11n規格においてはこれに加え、隣接する20MHz帯域を併用した40MHz帯域通信(第2通信方式)を行うことを許している。ただし、既存の無線LAN端末との下位互換性を考慮して、20MHz帯域通信と40MHz帯域通信とは併用される。なお、20MHz帯域通信のみを行う無線LAN端末を収容するチャネルをプライマリチャネルと呼び、40MHz帯域通信の際に帯域拡張のためだけに使用されるチャネルをセカンダリチャネルと呼ぶ。図2の例であると、プライマリチャネルのほうがセカンダリチャネルより低周波数側に配置されているが、これは逆であっても構わない。
【0015】
20MHz帯域通信のみしかできない無線LAN端末は、40MHz帯域で送信されたフレームを受信できないため、相互接続に支障をきたす。そこで、両者の共存を図るための方式もIEEE802.11n規格には盛り込まれており、その1つが、PCO機能と呼ばれるオプション機能である。
【0016】
PCO機能では、PCO機能を使用する無線LAN基地局が主導して、20MHz帯域通信期間(第1通信期間)と40MHz帯域通信期間(第2通信期間)とを設定する。そして、マネージメントフレームを使用して、各期間の移行を無線LAN基地局が収容する全無線LAN端末に通知し、移行を指示する。これにより、第2通信期間においては、第1通信方式によってのみ通信を行う端末、換言すればPCO機能を持たない無線LAN端末の通信が禁止され、相互接続に支障をきたすことを防止出来る。図1の例であると、無線LAN端末3はPCO機能を有しており、この機能によって第1通信方式と第2通信方式との2つの通信方式によって通信可能とされる。他方、無線LAN端末4はPCO機能を有さず、第1通信方式によってのみ通信可能とされる。
【0017】
次に、図1で説明した無線LAN基地局2の構成について、図3を用いて説明する。図3は、無線LAN基地局2の構成を示すブロック図である。
【0018】
図示するように無線LAN基地局2は、おおまかにはRF(Radio Frequency)部10、物理部20、及びMAC(Media Access Control)部30を備えている。RF部10は、無線通信によって送受信されるアナログ信号のデータの増幅等を行い、アンテナ11からデータを送信または受信する。物理部20及びMAC部30は、サーバまたはインターネットからダウンロードされ、無線LAN端末3へ送信すべきデータを、図示せぬインターフェース部から受け取り、データの信号処理を行ってRF部10へ出力する。また物理部20及びMAC部30は、無線LAN端末3から受け取ったデータの信号処理を行って、インターフェース部へ出力する。以下、物理部20及びMAC部30の詳細について説明する。
【0019】
なお以下では、送受信データにおいて、MAC部30を境に無線LAN端末3側の送受信データを「フレーム」と呼び、インターフェース側の送受信データを「パケット」と呼ぶ。パケットとは、送受信データがパーソナルコンピュータ等において扱えるデータ構造に組み立てられたものである。またフレームとは、無線通信により通信可能に組み立てられた送受信データのことである。
【0020】
まず、図3を参照しつつ、物理部20の構成について説明する。図示するように物理部20は、物理層送信部21及び物理層受信部22を備えている。
【0021】
物理層送信部21は、第1物理層送信部23、第2物理層送信部24、及びスイッチ素子25、26を備えている。スイッチ素子25は、MAC部30の制御に従って、第1通信期間において第1物理層送信部23とRF部10とを接続し、第2通信期間において第2物理層送信部24とRF部10とを接続する。スイッチ素子26は、MAC部30の制御に従って、第1通信期間において第1物理層送信部23とMAC部30とを接続し、第2通信期間において第2物理層送信部24とMAC部30とを接続する。
【0022】
第1、第2物理層送信部23、24は、送信フレームの物理層に関して、それぞれ第1、第2通信方式する送信処理を行う。第1、第2物理層送信部23、24は、具体的には、それぞれ第1、第2通信期間において、スイッチ素子25を介してMAC部30から与えられるフレームを冗長符号化する。その後、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調を行ってベースバンド送信信号を得る。更にベースバンド送信信号につきD/A変換を行うことによりアナログ信号を得て、スイッチ素子25を介してRF部10へ出力する。
【0023】
物理層受信部22は、第1物理層受信部27、第2物理層受信部28、及びスイッチ素子29、40を備えている。スイッチ素子29は、MAC部30の制御に従って、第1通信期間において第1物理層受信部27とRF部10とを接続し、第2通信期間において第2物理層受信部28とRF部10とを接続する。スイッチ素子40は、MAC部30の制御に従って、第1通信期間において第1物理層受信部27とMAC部30とを接続し、第2通信期間において第2物理層受信部28とMAC部30とを接続する。
【0024】
第1、第2物理層受信部27、28は、受信フレームの物理層に関して、それぞれ第1、第2通信方式する受信処理を行う。第1、第2物理層受信部27、28は、具体的には、それぞれ第1、第2通信期間において、スイッチ素子29を介してRF部10から与えられるフレームをA/D変換した後に、OFDM復調及び誤り訂正復号を行ってフレームを得る。そして得られたフレームを、スイッチ素子40を介してMAC部30へ出力する。
【0025】
上記構成の物理部20は、第2通信期間においては、40MHzの周波数帯域がプライマリチャネルの20MHz帯域を含むため、第2通信方式により送信されたフレームに加えて、第1通信方式で送信されたフレームの受信も可能である。
【0026】
しかし、第2通信方式でフレームを待ち受けている状態で第1通信方式によるフレームを受信する場合、セカンダリチャネルでの雑音の影響により、一般的に受信性能が低下する傾向がある。加えて、消費電力も、第2通信方式で待ち受けていた方が多くなるため、通常は第1通信方式で待ち受けを行い、必要な時のみ第2通信方式でフレームを待ち受ける。なお、第1通信方式で待ち受けを行っている場合には、第2通信方式で送信されたフレームを受信することは出来ない。
【0027】
次に図3を参照して、MAC部30の構成について説明する。MAC部30は、MAC層送信部31、MAC層送信部32、及び移行失敗端末検出部33を備えている。
まずMAC層送信部31について説明する。MAC層送信部31は、データフレーム送信部34、コントロールフレーム送信部35、及び切り替え指示フレーム送信部36を備えている。データフレーム送信部34は、MAC層上位レイヤより受け渡されたパケットにMACヘッダを付与してフレームを組み立てて、物理層送信部21へ出力する。すなわち、データフレームMPDU(MAC Protocol Data Unit)として単一データとして送信したり、複数のMPDUを連接フレームとしてA−MPDU(Aggregated-MPDU)として送信したりする機能を担う。
【0028】
コントロールフレーム送信部35は、コントロールフレームの送信機能を担う。すなわちコントロールフレーム送信部35は、データフレームMPDUに対する応答フレーム(以下、ACK(Acknowledge)フレームと呼ぶ)や、データフレームA−MPDUやBAR(Block ACK Request)フレームに対する応答フレーム(以下、BA(Block ACK)フレームと呼ぶ)等を作成して送信する。
【0029】
応答フレームは、無線LAN基地局2と無線LAN端末3、4との間でフレームの送受信があった際に、受信側がそのフレームを正確に受信できた否かを送信側に対して知らせるためのフレームである。例えば無線LAN基地局2がフレームを送信した場合には、送信先となる無線LAN端末3、4のいずれかが、応答フレームを無線LAN基地局2に対して送信する。これにより、無線LAN基地局2はフレームを正しく送信できたか否かを把握でき、正しく送信できなかった際には例えばフレームを再送する。
【0030】
応答フレームのうちBAフレームは、ブロック送達確認用のフレームである。ブロック送達確認では、複数のデータフレームを含み、且つ同一のトラフィックIDによって管理されるデータについて、1つのBAフレームを用いて送達確認を行う。またBARフレームは、フレームの送信側が送信先に対してBAフレームを求めるためのフレームである。
【0031】
切り替え指示フレーム送信部36は、無線LAN端末3に対して、第1通信方式から第2通信方式への切り替えを指示するフレームを生成し、送信する。このフレームは、例えばビーコンフレームやSet PCO Phaseフレームである。
【0032】
次に、MAC層受信部32について説明する。MAC層受信部32は、データフレーム受信部37及びコントロールフレーム受信部38を備えている。データフレーム受信部37は、データフレームMPDUやA−MPDUを受信した際に、フレームからMACヘッダを取り除いてパケットを組み立て、上位レイヤへ渡す。コントロールフレーム受信部38は、ACKフレームやBAフレーム等のコントロールフレームを受信する。
【0033】
次に、移行失敗端末検出部33について説明する。移行失敗端末検出部33は、第1通信方式から第2通信方式への移行に失敗した無線LAN端末3の検出を行う。そして検出された場合には、切り替え指示フレーム送信部36に対して、切り替えを指示するフレームの送信を命令する。移行に失敗した無線LAN端末3の検出方法は、第2通信期間においてMAC層受信部32で受信したフレームや、MAC層送信部31から送信されたフレームを監視することで行う。その詳細については後述する。
【0034】
上記無線LAN基地局2による通信方式の制御について、まず図4を用いて簡単に説明する。図4は、無線LAN基地局2によって送信されるビーコンフレームと、無線LAN端末3、4の通信方式の変化を示すタイミングチャートである。図示するように、時刻t0までの期間、無線LAN基地局2は第1通信期間を設定している。これにより、無線LAN端末3、4はいずれも、第1通信方式によって通信可能とされている。
【0035】
時刻t0において、無線LAN基地局2は、ビーコンフレームを無線LAN端末3、4に対して送信する。このビーコンフレームには、第1通信方式から第2通信方式への移行命令と、次に第1通信方式へ戻るタイミング、すなわち第2通信期間の長さの情報とを含んでいる。すると、PCO機能を有する無線LAN端末3は、一定の遷移期間を経て第2通信方式へ移行する。PCO機能を有しない無線LAN端末4は、第2通信期間の間、通信を禁止される。そして、第2通信期間経過の後、時刻t1において無線LAN基地局2は再び第1通信期間を設定する。これにより、無線LAN端末3は一定の遷移期間を経て第1通信方式へ移行し、また無線LAN端末4も通信可能とされる。その後も同様にして、第2通信方式によって通信を行う際には、無線LAN基地局2はビーコンフレームによって第2通信期間を設定する。
【0036】
無線LAN基地局2による上記通信方式の移行方法について、図5を用いて詳細に説明する。図5は、無線LAN基地局2における処理の流れを示すフローチャートである。
【0037】
図示するように、無線LAN基地局2は第1通信期間を設定し、無線LAN端末3、4は第1通信方式(20MHz帯域)によってフレームの送受信を行っている(ステップS10)。この期間、無線LAN基地局2では、スイッチ素子25、26が、それぞれRF部10及びMAC部30を第1物理層送信部23に接続し、スイッチ素子29、40が、それぞれRF部10及びMAC部30を第1物理層受信部27に接続する。従って、第1通信方式で送受信されるフレームは、第1物理層送信部23及び第1物理層受信部27において送受信処理される。
【0038】
次に無線LAN基地局2は、第1通信方式から第2通信方式(40MHz帯域)への移行を、無線LAN端末3へ命令する(ステップS11)。すなわち、MAC層送信部31における切り替え指示フレーム送信部36が、ビーコンフレームまたはSet PCO Phaseフレームを、その宛先をブロードキャストアドレスとして生成する。そして、このビーコンフレームまたはSet PCO Phaseフレームが、無線LAN基地局2の収容する全無線LAN端末3、4に対して送信されることにより、第2通信方式への移行指示が為される。
【0039】
この際、切り替え指示フレーム送信部36は、第2通信方式に移行してから再び第1通信期間に戻るまでの期間を、ビーコンフレームまたはSet PCO PhaseフレームのDurationフィールドに設定する。これにより、全無線LAN端末3、4にNAV(Network Allocation Vector)と呼ばれる通信待機期間が設定され、全無線LAN端末3、4が通信待機状態となる。
【0040】
その後、無線LAN基地局2と、PCO機能を使用している無線LAN端末3は、あらかじめ無線LAN基地局2によって設定されている遷移期間を使用して、第2通信方式(40MHz帯域通信)へと移行する(ステップS12)。
【0041】
加えて無線LAN基地局2は、この遷移期間中にセカンダリチャネルにNAVを設定する。すなわち、セカンダリチャネルに存在する、自無線LAN基地局2が収容していない他の無線LAN端末を通信待機状態にさせるために、コントロールフレーム送信部35がCTS-selfフレームをセカンダリチャネル側に送信する。CTS-selfフレームのDurationフィールドには第1通信方式に戻るまでの期間が設定される。なお、CTS-selfフレームはプライマリチャネル及びセカンダリチャネルの双方に送信されても良いが、上記目的のためのフレームであるので、セカンダリチャネルに対してのみ送信されれば十分である。
【0042】
遷移期間終了後、無線LAN基地局2のコントロールフレーム送信部35は、第2通信方式によりCF-Endフレームを送信する。CF-EndフレームはNAVで設定された通信待機状態をクリアすることのできるフレームである。CF-Endフレームを第2通信方式で送信することで、PCO機能を使用し、且つ第2通信方式に移行した無線LAN端末3のみがCF-Endフレームを正しく受信出来る。これによって、第2通信方式に移行した無線LAN端末3のみが通信を開始することができる。
【0043】
次に無線LAN基地局2は、移行失敗端末検出部33において、第1通信方式から第2通信方式への移行に失敗した無線LAN端末3を検出する(ステップS13)。つまり、自らが収容し、且つPCO機能を有する無線LAN端末3のうち、未だに第1通信方式である無線LAN端末3を探索する。
【0044】
ステップS13において、移行失敗端末検出部33が移行に失敗した無線LAN端末3を発見した場合(ステップS14、YES)、移行失敗端末検出部33は、切り替え指示フレーム送信部36に対して、切り替え指示フレームの再送を命令する(ステップS15)。この命令に従って、切り替え指示フレーム送信部36は、第1通信方式から第2通信方式への移行を指示する旨のフレームを、ブロードキャストフレームとして送信する。ブロードキャストフレームとは、送信宛先をブロードキャストアドレスとして、すなわち、自らが収容する全無線LAN端末を宛先として送信されるフレームのことである。
【0045】
ステップS15によって、ステップS11において第2通信方式への移行に失敗した無線LAN端末3が第2通信方式へ移行する(ステップS16)。そして、第2通信期間が終了するまでの期間(ステップS18、NO)、無線LAN基地局2と、PCO機能を有する無線LAN端末3との間では第2通信方式による通信が行われる(ステップS17)。この期間、無線LAN基地局2では、スイッチ素子25、26が、それぞれRF部10及びMAC部30を第2物理層送信部24に接続し、スイッチ素子29、40が、それぞれRF部10及びMAC部30を第2物理層受信部28に接続する。従って、第2通信方式で送受信されるフレームは、第2物理層送信部24及び第2物理層受信部28において送受信処理される。
【0046】
第2通信期間が経過すると(ステップS18、YES)、無線LAN基地局2は、無線LAN端末3に対して第2通信方式から第1通信方式へ戻ることを命令する(ステップS19)。すなわち無線LAN基地局2の切り替え指示フレーム送信部36は、Set PCO Phase フレームを第2通信方式にてブロードキャストフレームとして送信する。これにより、無線LAN端末3は第2通信方式から第1通信方式へ移行する(ステップS20)。
【0047】
この際、無線LAN基地局2は、第2通信方式へ移行する際と同様に遷移期間を設ける。そして遷移期間において、無線LAN基地局2はセカンダリチャネルにCF-Endフレームを送信する。これにより、第2通信方式へ移行する際にCTS-selfフレームで設定したNAVをクリアし、通信待機状態を終了させる。
【0048】
また、遷移期間終了後に無線LAN基地局2は、プライマリチャネルでCF-Endフレームを送信する。これにより、自無線LAN基地局2で収容しており、且つPCO機能を使用していない無線LAN端末4のNAVをクリアして通信待機状態を終了させる。
【0049】
以上の結果、自無線LAN基地局2で収容している全無線LAN端末3、4が、第1通信方式での通信を再開することができる(ステップS21)。
【0050】
以上の一連のフレーム交換により、無線LAN基地局2が任意に第1通信期間と第2通信期間とを設定出来る。そして、既存の無線LAN端末4や、IEEE802.11n規格に準拠した無線LAN端末ではあるが第1通信方式しか使用できない無線LAN端末4などと、PCO機能を有することで第2通信方式により通信出来る無線LAN端末3の共存が可能となる。
【0051】
次に、上記ステップS13〜S15をステップS30として、このステップS30の処理の詳細について図6を用いて説明する。図6はステップS30の詳細を示すフローチャートである。
【0052】
図示するように、ステップS12において無線LAN端末3が第2通信方式に移行した後、移行失敗端末検出部33はデータフレーム受信部37においていずれかの無線LAN端末から第1通信方式によりデータフレームを受信したか否かを監視する(ステップS31)。
【0053】
そして、データフレーム受信部37においていずれかの無線LAN端末3、4から第1通信方式によりデータフレームを受信した場合(ステップS31、YES)、移行失敗端末検出部33は、この無線LAN端末3、4がPCO機能を使用しているか否かを確認する(ステップS32)。いずれの無線LAN端末がPCO機能を使用しているかは、無線LAN基地局2にとっては既知の情報である。なぜなら、PCO機能を使用する無線LAN端末は、無線LAN基地局2に接続する際に、PCO機能を使用する旨を予め無線LAN基地局2に対して明示しておくからである。
【0054】
ステップS32の結果、第1通信方式でデータフレームを送信した無線LAN端末がPCO機能を使用していると判定された場合(ステップS33、YES)、移行失敗端末検出部33は、この無線LAN端末3が第2通信方式への移行に失敗したと判断する。PCO機能を使用していないと判定された場合(ステップS33、NO)、ステップS16に進み、第2通信方式での通信を開始する。
【0055】
いずれかの無線LAN端末3が移行に失敗した場合には(ステップS33、YES)、移行失敗端末検出部33は切り替え指示フレーム送信部36に対して、Set PCO Phaseフレームを送信するように命令する。この命令に従って、切り替え指示フレーム送信部36はSet PCO Phaseフレームを生成、送信して、無線LAN端末3、4に対して第2通信方式への移行を命令する(ステップS34)。
【0056】
通常、Set PCO Phaseフレームは全無線LAN端末に報知されるフレームであるため、ブロードキャストフレームとして送信される。しかしステップS34においては、第2通信方式への移行に失敗していると判定された無線LAN端末3のみが、このSet PCO Phaseフレームを受け取れれば十分である。従って切り替え指示フレーム送信部36は、ここでのSet PCO Phaseフレームを、移行に失敗したと判断した当該無線LAN端末アドレス宛のユニキャストフレームとして送信してもよい。
【0057】
仮にSet PCO Phaseフレームをユニキャストフレームとして送信した場合には、このフレームに対し、当該無線LAN端末3からのACKフレームによる送達確認応答が受け取れる。よって、より確実に第2通信方式への移行の指示が可能となる。
【0058】
ステップS34においてSet PCO Phaseフレーム送信後、無線LAN基地局2は、通常の第2通信方式への移行の際と同じく遷移期間を設ける。そしてコントロールフレーム送信部35によってCTS-selfフレームが送信され、全ての無線LAN端末3、4が通信禁止とされる(ステップS35)。そして、遷移期間終了後、第2通信方式によってCF-Endフレームが送信することで、第2通信方式へ移行した無線LAN端末3のみのNAVがクリアされ、ステップS11において移行に失敗した無線LAN端末も加えた上で第2通信方式によるデータ送受信が開始される(ステップS36)。
【0059】
次に、図5及び図6を用いて説明した動作の具体例について、特に第1通信方式から第2通信方式への移行に着目して、図7を用いて説明する。図7は、無線LAN基地局2と無線LAN端末3との間のフレームの送受信の様子を示すタイムチャートである。
【0060】
図示するように、第1通信期間の時刻t10において無線LAN基地局2は、第2通信方式への移行の指示のために、プライマリチャネル上に第1通信方式によりビーコンフレームを送信する。この際、ビーコンフレーム内に第2通信方式への移行情報をあわせて送信する。通常、このビーコンフレームを受信したPCO機能を使用する無線LAN端末3は第2通信方式へ移行する。しかし図7に示す無線LAN端末3は、ビーコンフレームを受信出来ず、第2通信方式への移行動作を行わなかったとする。なお図7において示すバツ印は、送信されたフレームを受信出来なかったことを示す。
【0061】
更に、その後の遷移期間の時刻t11において無線LAN基地局2は、プライマリチャネル及びセカンダリチャネルの双方に、第1通信方式によりCTS-selfフレームを同時に送信する。無線LAN端末3がCTS-selfフレームも受信出来なかった場合、この無線LAN端末3にはNAVすら設定されない。
【0062】
次に時刻t12において無線LAN基地局2は、第2通信方式によりCF-Endフレームを送信する。その結果、第2通信方式へ移行できた無線LAN端末3のみのNAVがクリアされ、第2通信方式でのデータ送受信が開始される。しかし、移行できなかった無線LAN端末3は、図示するように第1通信方式のままであり、かつNAV設定すらされていない。従って、時刻t13に示すように、第2通信期間内に第1通信方式によりA−MPDUフレームによるデータ送信を実行している。
【0063】
A−MPDUフレームを受信した無線LAN基地局2は、この無線LAN端末3がPCO機能を使用している端末かどうかを確認する。本例では、この無線LAN端末3はPCO機能を使用している端末である。従って無線LAN基地局2は、この無線LAN端末3が、第2通信方式への移行に失敗した端末であることを把握する。
【0064】
そこで無線LAN基地局2は、通常のデータフレーム送受信シーケンスに従って、受信したA−MPDUフレームに対してBAフレームを無線LAN端末3に対して返す。その後、無線LAN基地局2は時刻t14において、Set PCO Phaseフレームをプライマリチャネル及びセカンダリチャネルの双方に、第1通信方式により同時に送信し、第2通信方式への移行を指示する。
【0065】
なお、図7の例では無線LAN基地局2がA−MPDUフレームに応答してBAフレームを送信しているが、必ずしも送信する必要はない。なぜなら、PCO機能を使用する無線LAN端末は、第2通信期間内に第1通信方式によりデータフレームを送信することは禁止されているのが通常だからである。また図7では、Set PCO Phaseフレームをプライマリチャネル及びセカンダリチャネルの双方に同時に送信しているが、プライマリチャネルのみに第1通信方式で送信してもよい。
【0066】
その後、時刻t14で送信された救済用のSet PCO Phaseフレームを受信した無線LAN端末3は、受信後に遷移期間に入り(時刻t15)、この期間中に第2通信方式へ移行する。
【0067】
そして無線LAN基地局2は、無線LAN端末3の遷移期間中の時刻t16において、CTS-selfフレームを送信し、これにより通常の遷移期間同様、NAVを設定する。なおこのNAV設定も必ずしも必要ではない。なぜなら、この状態においては既に通常の遷移期間中にNAV設定は終了しているからである。
【0068】
その後、時刻t17において無線LAN基地局2は、無線LAN端末3の遷移期間終了後に第2通信方式によりCF-Endフレームを送信し、再度第2通信方式による通信を再開させる。
【0069】
以上のように、この発明の第1の実施形態に係る無線通信システムであると、下記(1)の効果が得られる。
(1)データの伝送効率を向上出来る(その1)。
前述の通り、現在規格策定中のIEEE802.11n規格においては、PCO機能がオプション機能として採用されている。これにより、1つのBSS内において20MHz帯域を利用した通信方式と、40MHz帯域を利用した通信方式とを併存させることが可能となる。
【0070】
しかしながら、通信方式を移行させるために使用する送信フレームはブロードキャストフレームであり、送達確認の応答フレームを必要としないフレームである。そのため、BSS内の全ての無線LAN端末が上記フレームを正しく受信できたか否かを確認出来ない。PCO機能を使用する無線LAN端末が上記フレームを受信できなかった場合、この無線LAN端末は40MHz帯域通信に移行することができず、20MHz帯域通信状態のままとなってしまう。これにより、この無線LAN端末は40MHz帯域通信期間にデータの送受信が行えなくなってしまう。
【0071】
更に無線LAN基地局においては、移行に失敗した無線LAN端末の存在を認識していない。そのため、移行に失敗した無線LAN端末との間でも、40MHz帯域でのデータ送受信ができるものだと解釈し、該無線LAN端末宛に40MHz帯域でデータフレームを送信する可能性がある。しかしこの場合、無線LAN端末はデータフレームを正しく受信できない。そのため、無線LAN基地局は当該データフレームの再送を繰り返し、その結果、帯域全体としての使用効率も低下することとなってしまう。
【0072】
しかしながら本実施形態に係る無線LAN基地局2は、通信方式の移行指示フレームとして機能するビーコンフレームを送信した後、移行に失敗した無線LAN端末3を、移行失敗端末検出部33において検出している。そして、移行に失敗した無線LAN端末3が存在する場合には、移行失敗端末検出部33の命令により、切り替え指示フレーム送信部36が再度、移行指示フレーム(Set PCO Phaseフレーム)を送信している。
【0073】
より具体的には、移行失敗端末検出部33は、ビーコンフレームが送信された後に、第1通信方式によって送信されたフレームをデータフレーム受信部32において受信したか否かを監視する。そして受信した場合に、そのフレームを送信した無線LAN端末3がPCO機能を使用していた場合には、当該無線LAN端末3は移行に失敗した端末であると判断する。なぜなら、PCO規格においては、第2通信期間に第1通信方式によるデータフレームの送信を禁止しているからである。
【0074】
以上のように、1回目の移行命令において移行に失敗した無線LAN端末3を、再度の移行命令によって救済出来る。つまり第2通信方式へ移行させることが出来る。その結果、PCO機能を有する無線LAN端末3が、第2通信期間において通信不能となることを防止出来る。更に、第2通信期間に第1通信方式によってフレームが送信されることを防止出来るので、周波数帯域の非効率な占有を防止し、無線LAN基地局2が管理するBSS全体としての周波数帯域利用効率を向上出来る。
【0075】
なお、前述のように無線LAN基地局2は、Set PCO Phaseフレームをユニキャストフレームとして送信しても良い。この場合の、無線LAN基地局2と無線LAN端末3との間のフレームの送受信の様子を示すタイムチャートについて図8に示す。
【0076】
上記実施形態では、Set PCO Phaseフレームを通常のPCOシーケンスと同様にブロードキャストフレームとして送信するため、応答フレームが得られない。しかし図8に示すように、移行に失敗したと判断された無線LAN端末3を宛先とするユニキャストフレームとして送信することで、当該無線LAN端末3からACKフレームによる送達確認フレームを得ることが出来る(時刻t18)。
【0077】
本方法によれば、救済用として送信されたSet PCO Phaseフレームまでもが、移行に失敗した無線LAN端末3へ届かないという可能性を排除することが可能となる。なぜならば、応答フレームを期待するユニキャストフレームによってSet PCO Phaseフレームを送信すれば、仮にSet PCO Phaseフレームを受信できずに応答フレームが返ってこなければ、無線LAN基地局2は、Set PCO Phaseフレームの送信失敗を把握出来る。そしてその場合には、無線LAN基地局2は再度、Set PCO Phaseフレームを送信出来るからである。
【0078】
[第2の実施形態]
次に、この発明の第2の実施形態に係る無線通信基地局装置について説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態において、移行に失敗した無線LAN端末の検出を、図6とは異なる方法によって行うものである。従って、無線LAN基地局2の構成や、そのおおまかな動作は、上記第1の実施形態と同様であるので説明は省略し、以下では第1の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0079】
本実施形態に係る方法は、まず第1通信方式によりコントロールフレームを送信する。次に、応答フレームを期待するデータフレームを第2通信方式により送信する。そして、コントロールフレームに対して応答フレームを受信し、且つデータフレームに対して応答フレームを受信できなかった場合、当該無線LAN端末は移行に失敗したと判断する。
【0080】
図9は、図5におけるステップS30の詳細を示すフローチャートである。図示するように、第1の実施形態で説明したステップS10〜S12の後、無線LAN基地局2のコントロールフレーム送信部35が、RTS(Request To Send)フレームを第1通信方式により無線LAN端末3、4へ送信する(ステップS40)。
【0081】
RTSフレームは通信帯域を予約するためのフレームで、コントロールフレームの一種である。RTSフレームを受信した無線LAN端末3、4は、CTSフレームによって無線LAN基地局2へ応答する。この応答の後、データフレームの連続送信が可能となる。RTSフレームは、既存の非IEEE802.11n対応端末においても使用されるフレームである。IEEE802.11n規格においては、RTSフレームは特にLong NAV方式と呼ばれる機能において多用される。Long NAV方式とは、次のようなものである。通常、RTSフレームによって予約できる期間は、これから連続送信するデータフレーム等の送信期間分だけである。これに対してLong NAV方式は、新たに連続送信可能な最大期間を示すTXOP Limit(Transmission Opportunity Limit)期間分、あらかじめ帯域予約することを許す方式である。
【0082】
RTSフレーム等のコントロールフレームは通常、第2通信期間においても第1通信方式によって送信される。従って、Long NAV方式などを使用してTXOP期間帯域予約して連続送信を行おうとする無線LAN基地局などは、通常のデータ送信シーケンスにおいてRTSフレームを送信する。そこで、この動作を移行失敗端末検出部33において監視する。
【0083】
RTSフレームの送信後、コントロールフレーム受信部38がいずれの無線LAN端末3、4からもCTS応答フレームを受信しなかった場合(ステップS41、NO)には、移行失敗端末検出部33は移行に失敗した端末は無いと判断し、処理はステップS16に進む。CTS応答フレームを受信した場合(ステップS41、YES)には、移行失敗端末検出部33は、データフレーム送信部34が、応答フレームを期待するデータフレームを第2通信方式により送信したか否かを監視する。データフレームが送信されると(ステップS42)、移行失敗端末検出部33は、このデータフレームに対する応答フレームが該無線LAN端末3から送信されたか否かを監視する。すなわち、コントロールフレーム受信部38において、応答フレームが受信されたか否かを監視する。
【0084】
コントロールフレーム受信部38において応答フレームが受信された場合(ステップS43、NO)には、ステップS16に進む。受信されなかった場合(ステップS43、YES)、当該無線LAN端末は、第1通信方式で送信されたフレームには応答したが、第2通信方式により送信されたフレームには応答しなかったことになるため、この時点で、当該無線LAN端末は第1通信方式であることが分かる。
【0085】
そこで、次にこの無線LAN端末3、4がPCO機能を使用しているか否かを検索する(ステップS32)。以下、第1の実施形態において図6を用いて説明したステップS33以降の処理を行う。
【0086】
次に、図9を用いて説明した動作の具体例について、特に第1通信方式から第2通信方式への移行に着目して、図10を用いて説明する。図10は、無線LAN基地局2と無線LAN端末3との間のフレームの送受信の様子を示すタイムチャートである。
【0087】
図示するように、無線LAN基地局2がCF-Endフレームを送信する時刻t12までは、第1の実施形態で説明した図7と同様である。第2通信方式によりCF-Endフレームが送信されることで、第2通信方式に移行できた無線LAN端末3のみのNAVがクリアされ、第2通信方式によりデータ送受信が開始される。しかし、移行できなかった無線LAN端末3は第1通信方式のままとなっており、第2通信方式によるデータの送受信は行えない。
【0088】
次に無線LAN基地局2は、コントロールフレーム送信部35からRTSフレームを、無線LAN端末に対してプライマリチャネル及びセカンダリチャネルの双方に、第1通信方式により送信する(時刻t20)。なお、このRTSフレームはプライマリチャネル上のみで送信されてもよい。
【0089】
移行に失敗して第1通信方式のままとなっている無線LAN端末3においても、第1通信方式により送信されたRTSフレームは受信できる。従って、時刻t21において無線LAN端末3は、プライマリチャネル上にCTS応答フレームを、第1通信方式により無線LAN基地局2へ返信する。そして移行失敗端末検出部33は、コントロールフレーム受信部38においてCTSフレームが受信されたことを把握する。
【0090】
その後、無線LAN基地局2は第2通信期間中なので、複数データフレームを連接したA−MPDUフレームを、移行に失敗した無線LAN端末3宛に第2通信方式により送信する(時刻t22)。しかし、無線LAN端末3は第1通信方式で通信を行っているため、このフレームを受信出来ず、伝送路上に雑音がのっただけの、帯域Busy状態としてしか認識することができない。
【0091】
また、時刻t22で送信されたA−MPDUフレームは、BAフレームによる応答を期待して送信されているが、宛先となる無線LAN端末3はこのA−MPDUフレームを受信できていないため、BAフレームは返信されない。
【0092】
移行失敗端末検出部33は、BAフレームを受信できなかったことを認識した時点で、この無線LAN端末3が第1通信方式による通信状態にあることを把握する。そこで、この無線LAN端末3がPCO機能を使用しているか否かを確認する。PCO機能を使用していることが分かると、移行失敗端末検出部33は、この無線LAN端末3は移行に失敗した端末であると判断する。
【0093】
そこで移行失敗端末検出部33は、切り替え指示フレーム送信部36に対して、Set PCO Phaseフレームを再度送信するように命令する。これにより、時刻t23において、無線LAN基地局2からSet PCO Phaseフレームが、プライマリチャネル及びセカンダリチャネルの双方に、第1通信方式により同時に送信され、第2通信方式への再度の移行命令が為される。
その後の時刻t15以降の動作は、上記第1の実施形態と同様である。
【0094】
以上のように、この発明の第1の実施形態に係る無線通信システムであると、下記(2)の効果が得られる。
(2)データの伝送効率を向上出来る(その2)。
本実施形態に係る無線通信システムであると、第1通信方式から第2通信方式への移行に失敗した無線LAN端末を検出するために、次のような方法を用いている。
【0095】
すなわち、移行失敗端末検出部33は、第1通信方式によって送信されたRTSフレームに対し、CTSフレームが受信されたか否かを監視する。更に、CTSフレームを送信した無線LAN端末3に対して第2通信方式により応答を期待するデータフレームが送信された際に、このデータフレームに対する応答フレームが受信されたか否かを監視する。そして、CTSフレームを送信し、且つデータフレームに対する応答フレームを送信してこなかった無線LAN端末がPCO機能を使用していた場合に、この無線LAN端末は移行に失敗した端末であると判断する。なぜなら、第1通信方式によって送信されたデータフレームは受信可能であり、第2通信方式によって送信されたデータフレームは受信不可能であるということは、未だに第1通信方式による通信を行っているということだからである。
【0096】
そして、再度の移行命令を行うことで、移行に失敗した無線LAN端末3を救済する。従って、第1の実施形態で説明した(1)の効果と同様の効果が得られる。また、RTSフレームの送信は、前述の通り通信期間の設定時に一般的に行われる処理である。従って、移行失敗端末の検出のためだけに新たにフレームを送信する等の必要が無く、簡便に移行失敗端末を検出出来る。
【0097】
勿論、本実施形態においても、無線LAN基地局2は、Set PCO Phaseフレームをユニキャストフレームとして送信しても良い。この場合の、無線LAN基地局2と無線LAN端末3との間のフレームの送受信の様子を示すタイムチャートについて図11に示す。図示するように、時刻t23で送信されるSet PCO Phaseフレームをユニキャストフレームとして送信することで、時刻t24においてACKフレームを得ることが出来る。
【0098】
[第3の実施形態]
次に、この発明の第3の実施形態に係る無線通信基地局装置について説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態において、移行に失敗した無線LAN端末の検出を、図6及び第2の実施形態で説明した図9とは異なる方法によって行うものである。従って、無線LAN基地局2の構成や、そのおおまかな動作は、上記第1の実施形態と同様であるので説明は省略し、以下では第1の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0099】
本実施形態に係る方法は、まず応答フレームを期待するデータフレームを第2通信方式により送信する。このデータフレームに対して応答フレームを受信できなかった場合、次に、先に送信したデータフレームについての応答フレームを要求するBARフレームを第1通信方式により送信する。そして、データフレームに対して応答フレームを受信できず、且つBARフレームに対してBAフレームを受信した場合、当該無線LAN端末は移行に失敗したと判断する。
【0100】
図12は、図5におけるステップS30の詳細を示すフローチャートである。図示するように、第1の実施形態で説明したステップS10〜S12の後、無線LAN基地局2のデータフレーム送信部34が、応答を期待するデータフレームをいずれかの無線LAN端末宛に、第2通信方式により送信する(ステップS50)。その後、移行失敗端末検出部33は、ステップS50で送信されたデータフレームについて応答フレームが受信されたか否かにつき、コントロールフレーム受信部38を監視する。
【0101】
応答フレームを受信した場合(ステップS51、NO)には、当該無線LAN端末は移行に失敗していないと判断し、処理はステップS16に進む。応答フレームを受信しなかった場合(ステップS51、YES)には、ステップS50で送信したデータフレームを、応答を期待するフレームとして再送するか、または応答を要求するBARフレームを第1通信方式により、当該無線LAN端末3に送信する(ステップS52)。
【0102】
次に移行失敗端末検出部33は、ステップS52で送信されたBARフレームに対してBAフレームを受信したか否かにつき、コントロールフレーム受信部38を監視する。そしてBAフレームを受信しなかった場合(ステップS53、NO)には、ステップS16に進む。BAフレームを受信した場合(ステップS53、YES)には、当該無線LAN端末は、第2通信方式で送信されたフレームには応答しなかったが、第1通信方式により送信されたフレームには応答しなかったことになるため、この時点で、当該無線LAN端末は第1通信方式であることが分かる。
【0103】
そこで、次にこの無線LAN端末3、4がPCO機能を使用しているか否かを検索する(ステップS32)。以下、第1の実施形態において図6を用いて説明したステップS33以降の処理を行う。
【0104】
次に、図12を用いて説明した動作の具体例について、特に第1通信方式から第2通信方式への移行に着目して、図13を用いて説明する。図13は、無線LAN基地局2と無線LAN端末3との間のフレームの送受信の様子を示すタイムチャートである。
【0105】
図示するように、無線LAN基地局2がCF-Endフレームを送信する時刻t12までは、第1の実施形態で説明した図7と同様である。第2通信方式によりCF-Endフレームが送信されることで、第2通信方式に移行できた無線LAN端末3のみのNAVがクリアされ、第2通信方式によりデータ送受信が開始される。しかし、移行できなかった無線LAN端末3は第1通信方式のままとなっており、第2通信方式によるデータの送受信は行えない。
【0106】
次に無線LAN基地局2は、データフレーム送信部34から、いずれかの無線LAN端末3宛に、応答フレームを期待するA−MPDUフレームを、第2通信方式により送信する(時刻t30)。そして移行失敗端末検出部33は、コントロールフレーム受信部38を監視し、無線LAN端末3から応答フレームを受信したか否かを把握する。しかし、無線LAN端末3は第1通信方式で通信しているため、このフレームを受信することができず、伝送路上に雑音がのっただけの、帯域Busy状態としてしか認識することができない。従って、無線LAN端末3は応答フレームを返信せず、移行失敗端末検出部33は応答フレームを受信出来なかったことを認識する。
【0107】
次に無線LAN基地局2は、A−MPDUフレームに応答するBAフレームを受信できなかったので、BAフレームを要求するBARフレームを、コントロールフレーム送信部35からプライマリチャネル及びセカンダリチャネルの双方に、第1通信方式により送信する(時刻t31)。なお、BARフレームはプライマリチャネルのみに第1通信方式で送信されてもよい。また移行失敗端末検出部33はコントロールフレーム受信部38を監視して、BARフレームに応答してBAフレームが受信されるか否かを監視する。
【0108】
第1通信方式のままとなっている該無線LAN端末3においても、第1通信方式で送られてきたBARフレームは受信できる。従って無線LAN端末3は、BARフレームに応答して、プライマリチャネル上にBAフレームを第1通信方式により無線LAN基地局2へ返信する(時刻t32)。この時点で受信されるBAフレームに付随する送達確認情報の内容は、時刻t30で送信されたA−MPDUフレームに含まれるいずれのデータフレームも受信できなかった旨の内容である。
【0109】
移行失敗端末検出部33はBAフレームを受信した時点で、この無線LAN端末3が第1通信方式による通信状態にあることを把握する。そこで、この無線LAN端末3がPCO機能を使用しているか否かを確認する。PCO機能を使用していることが分かると、移行失敗端末検出部33は、この無線LAN端末3が移行に失敗した端末であると判断する。
【0110】
そこで移行失敗端末検出部33は、切り替え指示フレーム送信部36に対して、Set PCO Phaseフレームを再度送信するように命令する。これにより、時刻t33において、無線LAN基地局2からSet PCO Phaseフレームが、プライマリチャネル及びセカンダリチャネルの双方に、第1通信方式により同時に送信され、第2通信方式への再度の移行命令が為される。
その後の時刻t15以降の動作は、上記第1の実施形態と同様である。
【0111】
以上のように、この発明の第1の実施形態に係る無線通信システムであると、下記(3)の効果が得られる。
(3)データの伝送効率を向上出来る(その3)。
本実施形態に係る無線通信システムであると、第1通信方式から第2通信方式への移行に失敗した無線LAN端末を検出するために、次のような方法を用いている。
【0112】
すなわち、移行失敗端末検出部33は、第2通信方式によって送信されたデータフレームに対し、応答フレームが受信されたか否かを監視する。更に、応答フレームが受信されなかった場合に、当該無線LAN端末3に対して送信されたBARフレームに応答したBAフレームが受信されたか否かを監視する。そして、データフレームに対して応答フレームを送信してこず、且つBARフレームに対してBAフレームを送信してきた無線LAN端末がPCO機能を使用していた場合に、この無線LAN端末を移行に失敗した端末として認識する。なぜなら、第2通信方式によって送信されたフレームは受信不可能であり、第1通信方式によって送信されたフレームは受信可能であるということは、未だに第1通信方式による通信を行っているということだからである。
【0113】
そして、再度の移行命令を行うことで、移行に失敗した無線LAN端末3を救済する。従って、第1の実施形態で説明した(1)の効果と同様の効果が得られる。また、BARフレームの送信は、データフレーム送信時に応答フレームが得られなかった場合に一般的に行われる処理である。従って、移行失敗端末の検出のためだけに新たにフレームを送信する等の必要が無く、簡便に移行失敗端末を検出出来る。
【0114】
勿論、本実施形態においても、無線LAN基地局2は、Set PCO Phaseフレームをユニキャストフレームとして送信しても良い。この場合の、無線LAN基地局2と無線LAN端末3との間のフレームの送受信の様子を示すタイムチャートについて図14に示す。図示するように、時刻t33で送信されるSet PCO Phaseフレームをユニキャストフレームとして送信することで、時刻t34においてACKフレームを得ることが出来る。
【0115】
以上のように、この発明の第1乃至第3の実施形態に係る無線LAN基地局装置であると、20MHz帯域通信から40MHz帯域通信への移行に失敗した無線LAN端末を検出し、検出した場合には、再度、移行命令を送信している。従って、40MHz帯域通信に移行できなかった無線LAN端末が40MHz帯域通信期間に通信不能状態となることを解消できる。
【0116】
更に、移行に失敗した無線LAN端末は、40MHz帯域通信期間に20MHz帯域通信を実施し、それにより非効率な帯域の占有が生じさせる。しかし本実施形態によれば、この非効率な帯域占有を解消することができ、無線LAN基地局が管理するBSS全体での帯域利用の効率化を実現することができる。
【0117】
なお、上記実施形態では2つの通信方式を使用する無線LANシステムを例に挙げて説明し、各通信方式の伝送帯域がそれぞれ20MHz、40MHzである場合について説明した。しかし、伝送帯域は20MHz、40MHzに限定されるものではないし、3つ以上の通信方式が混在する無線LANシステムであっても適用可能である。
【0118】
また、移行失敗端末検出部33は、例えばCPU等を用いてソフトウェアにより図6、図9及び図12に示す処理を行っても良いし、またはハードウェアによって実現しても良い。
【0119】
更に、上記第1乃至第3の実施形態を組み合わせても良い。すなわち、第1の実施形態では、無線LAN端末3からのデータ送信があった際に、移行失敗端末を検出する。これに対して第2、第3の実施形態では、無線LAN基地局2がRTSフレームを送信する場合、及びデータフレームを送信する際に、移行失敗端末を検出する。しかし、第1、第2の実施形態を組み合わせても良いし、第1、第3の実施形態を組み合わせても良いし、または第2、第3の実施形態を組み合わせても良い。勿論、第1乃至第3の実施形態の全てを組み合わせても良い。これらの組み合わせにより、より多くの機会において移行失敗端末を検出出来る。
【0120】
なお、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出されうる。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出されうる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る無線通信システムのブロック図。
【図2】この発明の第1の実施形態に係る無線LAN端末が使用する周波数帯域について示すバンド図。
【図3】この発明の第1の実施形態に係る無線LAN基地局のブロック図。
【図4】この発明の第1の実施形態に係る無線通信システムにおける、ビーコンフレーム及び使用可能な通信方式のタイミングチャート。
【図5】この発明の第1の実施形態に係る無線LAN基地局の、通信方式を制御する際の動作を示すフローチャート。
【図6】この発明の第1の実施形態に係る無線LAN基地局の、移行失敗端末を検出する際の動作を示すフローチャート。
【図7】この発明の第1の実施形態に係る無線通信システムにおける、無線LAN基地局と無線LAN端末との間の送受信状況を示すタイミングチャート。
【図8】この発明の第1の実施形態の変形例に係る無線通信システムにおける、無線LAN基地局と無線LAN端末との間の送受信状況を示すタイミングチャート。
【図9】この発明の第2の実施形態に係る無線LAN基地局の、移行失敗端末を検出する際の動作を示すフローチャート。
【図10】この発明の第2の実施形態に係る無線通信システムにおける、無線LAN基地局と無線LAN端末との間の送受信状況を示すタイミングチャート。
【図11】この発明の第2の実施形態の変形例に係る無線通信システムにおける、無線LAN基地局と無線LAN端末との間の送受信状況を示すタイミングチャート。
【図12】この発明の第3の実施形態に係る無線LAN基地局の、移行失敗端末を検出する際の動作を示すフローチャート。
【図13】この発明の第3の実施形態に係る無線通信システムにおける、無線LAN基地局と無線LAN端末との間の送受信状況を示すタイミングチャート。
【図14】この発明の第3の実施形態の変形例に係る無線通信システムにおける、無線LAN基地局と無線LAN端末との間の送受信状況を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0122】
1…無線LANシステム、2…無線LAN基地局、3、4…無線LAN端末、10…RF部、11…アンテナ、20…物理部、21…物理層送信部、22…物理層受信部、23…第1物理層送信部、24…第2物理層送信部、25、26、29、40…スイッチ素子、27…第1物理層受信部、28…第2物理層受信部、30…MAC部、31…MAC層送信部、32…MAC層受信部、33…移行失敗検出部、34…データフレーム送信部、35…コントロールフレーム送信部、36…切り替え指示フレーム送信部、37…データフレーム受信部、38…コントロールフレーム受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用する周波数帯域幅の異なる第1無線通信方式と第2無線通信方式とが使用可能であり、且つ無線通信端末に対して前記第1無線通信方式から前記第2無線通信方式への移行を指示する無線通信基地局装置であって、
前記第1無線通信方式から前記第2無線通信方式への移行命令を生成して、前記移行命令を前記無線通信端末へ送信する移行命令送信部と、
前記移行命令が送信された後に、前記第1無線通信方式から前記第2無線通信方式への移行に失敗した前記無線通信端末を検出し、検出された場合に前記移行命令を再度送信するように、前記移行命令送信部に対して命令する移行失敗端末検出部と
を具備することを特徴とする無線通信基地局装置。
【請求項2】
使用する周波数帯域幅の異なる第1無線通信方式と第2無線通信方式とが使用可能であり、且つ無線通信端末に対して前記第1無線通信方式から前記第2無線通信方式への移行を指示する無線通信基地局装置であって、
前記第1無線通信方式によって前記無線通信端末から送信されたフレームを受信可能な受信部と、
前記第1無線通信方式から前記第2無線通信方式への移行命令を生成して、前記移行命令を前記無線通信端末へ送信する移行命令送信部と、
前記移行命令が送信された後に、前記第1無線通信方式によって送信された前記フレームを前記受信部が受信した際に、当該フレームを送信した前記無線通信端末が前記第2無線通信方式への移行に失敗したと判断し、前記移行命令を再度送信するように前記移行命令送信部に対して命令する移行失敗端末検出部と
を具備することを特徴とする無線通信基地局装置。
【請求項3】
使用する周波数帯域幅の異なる第1無線通信方式と第2無線通信方式とが使用可能であり、且つ無線通信端末に対して前記第1無線通信方式から前記第2無線通信方式への移行を指示する無線通信基地局装置であって、
前記第1無線通信方式から前記第2無線通信方式への移行命令を生成して、前記移行命令を前記無線通信端末へ送信する移行命令送信部と、
前記移行命令の送信の後に、第1応答フレームを期待する第1フレームを前記第1無線通信方式によって前記無線通信端末に送信し、前記第1フレームの送信の後に、第2応答フレームを期待する第2フレームを前記第2無線通信方式によって前記無線通信端末に送信するフレーム送信部と、
前記第1応答フレーム及び前記第2応答フレームを受信可能な受信部と、
前記第1応答フレームを前記受信部で受信し、且つ前記第2応答フレームを前記受信部で受信しなかった前記無線通信端末が、前記第2無線通信方式への移行に失敗したと判断し、前記移行命令を再度送信するように前記移行命令送信部に対して命令する移行失敗端末検出部と
を具備することを特徴とする無線通信基地局装置。
【請求項4】
使用する周波数帯域幅の異なる第1無線通信方式と第2無線通信方式とが使用可能であり、且つ無線通信端末に対して前記第1無線通信方式から前記第2無線通信方式への移行を指示する無線通信基地局装置であって、
前記第1無線通信方式から前記第2無線通信方式への移行命令を生成して、前記移行命令を前記無線通信端末へ送信する移行命令送信部と、
前記移行命令の送信の後に、第1応答フレームを期待する第1フレームを前記第2無線通信方式によって前記無線通信端末に送信し、前記第1フレームの送信の後に、第2応答フレームを期待する第2フレームを前記第1無線通信方式によって前記無線通信端末に送信する送信部と、
前記第1応答フレーム及び前記第2応答フレームを受信可能な受信部と、
前記第2応答フレームを前記受信部で受信し、且つ前記第1応答フレームを前記受信部で受信しなかった前記無線通信端末が前記第2無線通信方式への移行に失敗したと判断し、前記移行命令を再度送信するように前記移行命令送信部に対して命令する移行失敗端末検出部と
を具備することを特徴とする無線通信基地局装置。
【請求項5】
前記移行失敗端末検出部は、前記移行命令送信部に対して前記移行命令の再度の送信を命令する際、前記第2無線通信方式への移行に失敗したと判断した前記無線通信端末を、当該送信の宛先とする
ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の無線通信基地局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−228209(P2008−228209A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67283(P2007−67283)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】