説明

無線通信方法及び無線通信システム

【課題】TDMA方式の互いに異なる周波数で通信を行う2つの基本ネットワーク相互間の通信で使用されるスロット割当て要求が、他の通信と干渉する課題がある。
【解決手段】スレーブノード群110、120、210、220に割当てられたタイムスロットの一部である特定のタイムスロットを複数のサブタイムスロットに分割し、当該サブタイムスロットを用いて各スレーブノード110、120、210、220は通信要求を送信し、通信要求がマスターノード100、200で受信されることにより、マスターノード100、200が、スレーブノード群110、120、210、220に割当てられたタイムスロットから、通信要求を行なったスレーブノードに対して、タイムスロットを割当てることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TDMA(Time Division Multiple Access)を用いて通信を行う無線通信方法及びシステムに関し、特に、スレーブノードの通信タイミングを規定する無線通信方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、無線機間で通信回線を確立し、様々なネットワークを構築する技術開発が行なわれている。
【0003】
関連する技術の例としては、特許文献1並びに特許文献2が挙げられる。
特許文献1に記載された技術は、ネットワークを構築する各ノードの無線帯域、即ち、無線周波数を共有する多重化方法としてTDMA方式を用いている。TDMA方式は、使用する無線周波数の帯域を時間軸で分割し、スロットを一単位として管理し、スロットごとにノード間の通信を割当てることで、無線周波数帯域を複数のノードで共有する多元接続方式である。
更に、特許文献1は、マスターノード(制御装置)とスレーブノード(デバイス)とによって通信回線(ネットワーク)を確立し、マスターノード(制御装置)とスレーブノード(デバイス)との間の通信を可能としている。また、特許文献1は、少なくとも2つのネットワーク間の通信を行うために、有線基幹回線の代わりに、無線回線を用いることを提案している。具体的に云えば、隣接する2つのネットワークにそれぞれ配置された制御装置間の距離によって定まる2つのネットワークのオーバーラップの程度を利用して、ネットワーク情報を送受することが開示されている。例えば、2つのネットワークが可視できる程度に近接した可視オーバーラップの場合には、2つの制御装置間で、ネットワーク情報が直接渡され、不可視オーバーラップの場合には、一方の制御装置は他方の制御装置のネットワークにおけるデバイスを使用してネットワーク情報を渡している。更に、2つのネットワーク間のオーバーラップが小さいときには、両ネットワークにおけるデバイスで構成される子ネットワークを通して、ネットワーク情報が渡されている。
ここで、ネットワーク情報には、ルータ/制御装置識別子、シーケンス番号、接続ネットワークデバイスの数等が含まれている。
【0004】
また、特許文献2には、マスターノードを必要としないアドホックネットワークが記載されている。更に、アドホックネットワークを構築する各ノードが同一の使用周波数帯を自律的に選択可能とできる技術が記載されている。
特許文献2に記載された技術は、情報を複数のノード(中継ノード)を経由して通信可能とでき、通信圏内にいない別のノードとも通信可能とできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−537692号公報
【特許文献2】特開2006−254209号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した、特許文献1並びに特許文献2のように複数のノードでネットワークを構築する無線通信システムでは、通信を発信するタイミングを制御することが望ましい。
【0007】
しかしながら、特許文献1の様なマスターノードに対してスレーブノードが通信要求を行なう無線通信システムでは、スレーブノードが自ら通信を行なうタイミングでマスターノードに対して通信要求を行なっている。この場合、複数のスレーブノードが同時に通信要求を発信した場合に、干渉(コリジョン、衝突)が発生する。また、通信要求以外の通信と干渉した場合には、干渉先の通信にも影響を及ぼす。
【0008】
更に、特許文献1の様に、互いに異なるネットワーク間で、ネットワーク情報を送受するような場合には、多量のトラフィックを送受信する為に多量の通信要求を発生させる必要があり、中継ノード(選定された制御装置、デバイス)の通信要求が干渉する確率が高まる。
【0009】
このため、中継装置のシステムの負荷や通信の集中により、通信速度の遅延や通信効率の悪化などが発生する。
【0010】
他方、特許文献2の様な、アドホック接続では、ネットワークを拡張する為に常時何らかの通信を行なっており、前述の通信要求が干渉する確率が高い。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、TDMA方式の通信を行なう無線通信システムにおいて、スレーブノードから発信される通信要求を効率よく処理できる無線通信方法を提供することにある。
【0012】
本発明の別の目的は、複数のネットワーク間の無線通信に使用される中継ノードの発信する通信要求を効率よく処理できる無線通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の無線通信方法は、マスターノードと複数のスレーブノードからなるスレーブノード群とがそれぞれ割当てられたタイムスロットを介して通信を行なう通信方式において、前記スレーブノード群に割当てられたタイムスロットの一部である特定のタイムスロットを複数のサブタイムスロットに分割し、当該サブタイムスロットを用いて各スレーブノードは通信要求を送信し、前記通信要求が前記マスターノードで受信されることにより、前記マスターノードが、前記スレーブノード群に割当てられたタイムスロットから、前記通信要求を行なったスレーブノードに対して、タイムスロットを割当てることを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、TDMA方式の通信を行なう無線通信システムにおいて、スレーブノードから発信される通信要求を効率よく処理できる。また、通信要求が干渉することを減少できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信システムを概略的に示す図である。
【図2】図1の通信システムで使用されるスーパーフレームの構成を示す図である。
【図3】本発明に係る通信システムにおいて使用されるスーパーフレームを説明するタイムチャートである。
【図4】スーパーフレームのスロットの分割を例示する図である。
【図5】本発明の係る通信システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の実施の一形態を、まず、図1を参照して説明する。
本実施の一形態では、互いに異なる周波数帯域で通信可能であり、更に使用周波数帯域を瞬時に変更可能な無線機を、マスターノード、スレーブノード、中継ノードのいずれのノードとしても使用できるものとする。また、各種ノード(無線機)間は、相互にGPS機能等を用いて同期が取れているものとし、通信方式もTDMA方式を使用するものとする。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信システムを例示した構成図であり、図示された通信システムは、第1の無線周波数F1(即ち、無線周波数帯域F1)を用いて通信を行う第1の基本ネットワーク10と、第1の無線周波数F1とは異なる第2の無線周波数(無線周波数帯域)F2を用いて通信を行う第2の基本ネットワーク20とを含んでいる。第1の基本ネットワーク10と第2の基本ネットワーク20とは、図示されているように、部分的にオーバーラップしたサービスエリアを有している。
【0018】
第1の基本ネットワーク10は、マスターノード100、スレーブノード110、及び、中継ノード120を含んでいる。実際には、第1の基本ネットワーク10には、多数のスレーブノードが含まれていても良いが、ここでは、図を簡略化するために、単一のスレーブノード110と中継ノード120だけが示されている。中継ノード120は、第2の基本ネットワーク20と連結するための中継ノードとして動作し、オーバーラップしたサービスエリ内に配置された複数のスレーブノードから選定されている。図示されているように、中継ノード120は、第1のマスターノード100と無線周波数F1を用いて通信を行うことができる。
【0019】
具体的に説明すると、第1のマスターノード100は、第1の基本ネットワーク10を構築する役割を受持ち、第1の基本ネットワーク10の使用周波数帯域(ここではF1)を定め、スレーブノード110や第1の中継ノード120等の情報の管理や通信タイミングの管理などを行なう。更に、第1のマスターノード100は、通信タイミング等のネットワーク管理情報(スロット割当て情報等)や様々な情報をブロードキャストで各ノードに送信する。スレーブノード110及び第1の中継ノード120は、マスターノード100に対して、通信要求(スロット割当て要求情報)を送信することで、マスターノード100からスロットを割当てられ、当該割当てられたスロットのタイミングで送信(発信)する。
【0020】
一方、第2の基本ネットワーク20は、第2のマスターノード200、スレーブノード210、及び、第2の中継ノード220を含んでいる。第2の基本ネットワーク20におけるスレーブノードは、第2のマスターノード200と無線周波数F2を用いて通信可能であり、第2の中継ノード220は、第2のマスターノード200と通信可能なスレーブノードのうち、オーバーラップしたサービスエリアに配置されたスレーブノードから選定される。即ち、第2の中継ノード220は、第1の基本ネットワーク10と連結するための中継ノードとして動作する。第2のマスターノード200、スレーブノード210、中継ノード220も、第1のマスターノード100等と同様に、ネットワーク管理情報(スロット割当て情報等)や通信要求(スロット割当て要求情報)等の情報を送信(発信)する。
【0021】
上記したことからも明らかな通り、第1及び第2のマスターノード100及び200はそれぞれ第1及び第2の中継ノードを選定する機能、手段を備え、これら中継ノードの選定は、通常の技術を用いて実現できる。
【0022】
更に、図示された第1の中継ノード120は、第1のマスターノード100から受信した信号の無線周波数F1を第2の基本ネットワーク20の無線周波数F2に変換する機能を有し、他方、第2の中継ノード220は、第2のマスターノード200から受信した信号の無線周波数F2を第1の基本ネットワーク10の無線周波数F1に変換する機能を備えている。
【0023】
更に、第1及び第2の中継ノード120及び220は、周波数を変換するだけで、受信した信号の識別、復号化、符号化等は行なわない構成とすれば、構成を簡略化することができる。同じく、第1及び第2の中継ノード120及び220が、内蔵するメモリバッファを用いて、通信の送信タイミングの調整を行なえば、マスターノード間の通信効率の向上が図れる。
【0024】
尚、第1及び第2のスレーブノード110、210は、一般的な無線機を始め、各基本ネットワーク10、20で使用される通信方式を利用可能であればどの様な無線機でも良い。例えば、音声通信専用のトランシーバでも良いし、大型の固定無線機(局)でも良い。
【0025】
第1及び第2の基本ネットワーク10及び20におけるマスターノード100、200とスレーブノード110、210との間の通信は、無線周波数F1、F2を搬送波とするTDMA方式で行なわれる。
【0026】
図2を参照すると、TDMA方式で用いられるスーパーフレームの一例が示されており、図示したスーパーフレームは、20のスロットから構成されている。各スロットは同一の間隔(時間)である。スロットに示してある『M』及び『S』は、各スロットのタイミングで使用周波数帯域の送信権を有するノードを示したマークであり、『M0〜M9』はマスターノード、『S0〜S9』はスレーブノード(中継ノード)を示す。即ち、例示したスーパーフレームは、マスターノードが10スロット分の送信権を有し、スレーブノードが10スロット分の送信権を有し、マスターノードとスレーブノードとの送信権が交互に入れ替わって構成されていることを示す。マスターノード100、200を始め、各種ノードは同期が取れている為、スーパーフレームの同期も取れている。
【0027】
即ち、図1に示されたマスターノード100、200を含む基本ネットワーク10、20内では、各マスターノード100、200がスーパーフレームを用いて、割り当てられた特定の無線周波数F1、F2を時分割し、ネットワーク管理情報をブロードキャストチャンネル(BCC)を用いて送信し、スレーブノードがネットワーク管理情報を参照してマスターノードと通信することで、複数ノードが同時的に接続(多重接続、多元接続)し、基本ネットワーク10、20を構築している。
【0028】
基本ネットワーク間の通信を行う場合、2つの中継ノード120、220を各基本ネットワーク内通信の状態から切り替える必要がある。このため、図示された実施の一形態では、時間的に互いに異なる位置にBCCを配置し、当該BCCを用いて中継ノードの周波数切替を行なわせたり、様々な情報を送信したりし、通信の効率化等を図っている。
【0029】
図3を参照すると、通信要求(SCH、スロット割当て要求情報)を示したスーパーフレームが示されている。
図3に示されているように、本実施の一形態のTDMA通信は、スーパーフレームを繰り返す。各スーパーフレームは、『M0』から『S9』の20スロットに分けられている。各スロットは、各ノード間で様々なチャンネル(BCC(Broadcast channel)、SCH(service channel)、TCH(traffic channel)、RCH(response channel)等)として利用される。
更に、図3に示されたスーパーフレームを構成するスロットのうち、『S2』、『S3』スロットをSCH用に確保する。更に、『S2』、『S3』スロットを分割し、4つのサブスロットとして利用する。
また、『M6』、『M7』スロットはBCC用に確保され、残りのスロットをTCH等の送信に利用する。
【0030】
SCHは、スロットを管理するノード(スロット管理者)に対してスロット割り当て要求等を行なうチャンネルである。本実施の一形態では、スレーブノード110、210及び中継ノード120、220がスロット割当て情報を含む通信要求情報を発信し、マスターノード100、200が受信する。
【0031】
BCCは、報知チャンネルとして使用され、スーパーフレームの各スロットの割当て情報を含む情報を送信するチャンネルであるが、本実施の一形態では、当該BCC『M6』、『M7』スロットをマスターノード100、200がネットワーク管理情報をそれぞれ発信し、スレーブノード110、210及び中継ノード120、220が受信するためのスロットとして利用している。
【0032】
TCHは、各ノード間の通信データ(実データ)を送信するチャンネルである。本実施の一形態では、スレーブノード110、210及び中継ノード120、220とマスターノード100、200とが通信に利用する。
【0033】
ここで、スレーブノード110の通信要求を例に挙げ、第1の基本ネットワーク10の動作を説明する。
図4は、スーパーフレームのスロットの分割を例示する図である。本図は、図3で示したスーパーフレームの一部を拡大した図であり、『M3』スロット〜『S4』スロット部分である。本実施の一形態では、SCH用スロットを2スロット(『S2』、『S3』)設け、更に、サブスロットに分割し、SCHの干渉を低減させる。
図4を参照すると、『S3』スロットが2分割されている。更に、分割されたサブスロット(1/2スロット)のタイミングで送信されるフレームは、一般的なフレーム構成であるガードで区切られた構成をしている。
即ち、通常1スロットを使用するスロット割当て情報(SCH)を、1/2スロット割当フレームを用いることで、1/2スロットを使用して送信可能とできる。
【0034】
図5は、スレーブノード110の通信要求の通信を示す、フローチャートである。
マスターノード100とスレーブノード110とは、互いに通信可能な位置に存在し、無線リンク可能なトポロジーを形成する。
マスターノード100は、スーパーフレームのBCC用のスロットを使用し、スロット割当て情報を含むBCCを送信する(ステップS401)。
【0035】
スレーブノード110は、マスターノード100から送信されたBCCを受信し、BCCに記載された内容を分析する。即ち、スロットの割当て情報を取得する。スレーブノード110は、前記分析により、各種スロットの割り当て等の情報、マスターノードからの指示等を認識する。
スレーブノード110は、自らが通信を行なう時など、スロットを必要とするときに、『S2』又は『S3』のサブスロットのタイミング、即ち、SCH送信タイミングで必要なスロット数等を含む通信要求をSCHとして送信する(ステップS402)。ここで送信されるSCHは、図4に示すとおり、他のフレームの1/2長であるスロット割当フレームである。即ち、1つのタイムスロットに2つのSCHが送信可能である。
【0036】
マスターノード100は、スレーブノード110から送信されたSCHを受信し、スレーブノード110の要求スロット数を認識する。マスターノード100は、認識したスレーブノード110の要求や、他のノードから受信したスロット割当て要求を認識し、スーパーフレームのどのタイムスロットにどのノードに電波の送信権を割振るか任意に定める。マスターノード100は、定めたスロットの割振り指示(結果)をスロット割当て情報として構成しBCCを送信する(ステップS403)。
【0037】
スレーブノード110は、マスターノード100から送信されたBCCを受信し、BCCに記載された内容を分析し、マスターノード100が割振ったスロットのタイミングでTCHを送信する(ステップS404)。
【0038】
各ノードもスレーブノード110と同様に、BCCを受信し、各々のタイミングで、サブスロットのタイミングでSCHを発信する。
【0039】
このようにして、基本ネットワークは、複数のノードから発信されるSCHを、拡散させることができる。
即ち、スレーブノードから発信される通信要求を効率よく処理できる。
【0040】
次に、通信システム全体の動作を説明する。
【0041】
第2の基本ネットワーク20は、前述の第1の基本ネットワーク10と同様に動作し、第2の基本ネットワーク20を構築する。即ち、通信システムには、マスターノード100とマスターノード200が構築する2つの基本ネットワークが在る。
【0042】
中継ノード120、220は、マスターノード100、200から送信されるBCCを受信し、また、マスターノード100、200からの中継要求情報や中継通信データ等を受信する。
【0043】
中継ノード120は、マスターノード100がBCCを介して送信した、中継要求情報を受信すると、当該情報に従い動作する。中継ノード120は、基本ネットワーク10内の通信から基本ネットワーク10、20間の通信状態に切替を行なう。
【0044】
同様に、中継ノード220も、マスターノード200がBCCを介して送信した、中継要求情報を受信すると、基本ネットワーク間通信状態に切り替わる。
【0045】
中継ノード120は、第1の無線周波数F1を用いて、マスターノード100の発信するBCCを『M6』スロットのタイミングで受信し、第2の無線周波数F2を用いて、マスターノード200の発信するBCCを『M7』スロットのタイミングで受信する。
【0046】
中継ノード120は、マスターノード200に通信要求を行なうとき、即ち、通信の中継を行なうときに、『S2』又は『S3』のサブスロットのタイミング(SCH送信タイミング)、で必要なスロット数等を含む通信要求をSCHとして送信する。ここで送信されるSCHは、図4に示すとおり、他のフレームの1/2長であるスロット割当フレームである。即ち、1つのタイムスロットに2つのSCHが送信可能である。
【0047】
中継ノード220は、中継ノード120と同様に、第2の無線周波数F2を用いて、マスターノード200の発信するBCCを受信し、第1の無線周波数F1を用いて、マスターノード100の発信するBCCを受信する。
【0048】
中継ノード220は、マスターノード100に通信要求を行なうとき、即ち、通信の中継を行なうときに、『S2』又は『S3』のサブスロットのタイミング、で通信要求をSCHとして送信する。
【0049】
中継ノード120、220は、自らが属するマスターノードから送信される通信を、別の基本ネットワークのマスターノードに通信することで、通信を中継する。即ち、中継ノード120、220は、第1の基本ネットワーク10と第2の基本ネットワーク20とを連結し、マスターノード100、200間の通信を中継する。
【0050】
このようにして、通信システムは、中継ノードから発信されるSCHを、拡散させることができる。
【0051】
また、中継ノードが他のノードと同時に通信要求を発信する可能性を低減できる。同じく、通信要求以外の通信との干渉を低減できる。
【0052】
即ち、中継ノードから発信される通信要求を効率よく処理できる。
【0053】
次に、別の実施の一形態を説明する。
【0054】
上記通信システムで通信要求は、スレーブノード群が『S2』『S3』スロットのサブスロットを用いて、SCH(通信要求)を送信する。
【0055】
ネットワーク間で、ネットワーク情報を送受するような場合には、多量のトラフィックを送受信する為に多量の通信要求(SCH)を発生させる必要があり、中継ノードの通信要求(SCH)が干渉する確率が高い。このため、中継ノードのシステムの負荷や通信の集中により、通信速度の遅延や通信効率の悪化などが発生する。
【0056】
本実施の一形態では、スロットの割当て情報に加え、スレーブノード群が通信要求を送信する方法、即ち、通信タイミング(使用スロット)を『S2』、『S3』スロットに指定する情報や、サブスロットの前半又は後半の何れかを使用する様指示する等の通信方式(スロットの使用方式)を指定する通信要求指定情報を発信する。即ち、マスターノードが通信要求指定情報をスレーブノード群に送信することに特徴がある。
【0057】
マスターノード100、200は、中継ノードや、頻繁に通信するノードに、優先的にSCHを発信するタイミングを割当て、BCCを用いて通信要求指定情報を発信する。
【0058】
スレーブノード110は、自らが通信を行なう時など、スロットを必要とするときに、必要なスロット数等を含む通信要求をBCCより取得した通信要求指定情報(SCHの送信タイミング、通信方式)に従い、SCHとして送信する。
【0059】
これは、マスターノード100が送信した通信要求指定情報に従い、スレーブノード110がSCHを発信(送信)したことになる。
【0060】
中継ノード120は、スレーブノード110と同様に、BCCを受信し、通信要求指定情報に従い、SCHを発信する。他のスレーブノード群も同様に、BCCを受信し、通信要求指定情報に従い、SCHを発信する。
【0061】
即ち、スレーブノード群は、マスターノードが指定した通信要求指定情報に従い、通信要求を送信する。
【0062】
このようにして、通信システムは、中継ノードから発信されるSCHを、拡散させることができる。
【0063】
また、中継ノードが他のノードと同時に通信要求を発信する可能性を低減できる。同じく、通信要求以外の通信との干渉を低減できる。
【0064】
更に、中継ノードや頻繁に通信するノードでは、通信が集中する為、優先的にSCHを発信するタイミングを割当てることで、輻輳を防止できる。
【0065】
同じく、スレーブノード群から発信されたSCHが他のSCHや他の通信と干渉する確率が低くなり、再発信の回数が減少する為、各ノードの処理負荷を低減できる。
【0066】
更に、互いに異なる周波数で通信を行うネットワーク間の輻輳を防止し、通信を良行にできる。
【0067】
即ち、スレーブノード群から発信される通信要求を効率よく処理できる無線通信方法を提供できる。
【0068】
複数のネットワーク間の無線通信に使用される中継ノードの発信する通信要求を効率良く処理できる。
【0069】
尚、通信要求指定情報で指定するSCHを送信するタイミングを、『S2』『S3』スロットのサブスロットに限定せずに、他の『S』スロットと合わせて使用しても良い。このときは、『S2』『S3』スロットのサブスロットを優先的に割当てれば、通信効率の向上が図れる。
【0070】
同じく、中継ノードが、内蔵するメモリバッファを用いて、通信の送信タイミングの調整を行なえば、マスターノード間の通信効率の向上が図れる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、例えば、基地局と移動局間の無線通信システム、移動局相互間の無線通信システムに適用できる。
【符号の説明】
【0072】
10 第1の基本ネットワーク
20 第2の基本ネットワーク
100 第1のマスターノード
110 スレーブノード
120 第1の中継ノード
200 第2のマスターノード
210 スレーブノード
220 第2の中継ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスターノードと複数のスレーブノードからなるスレーブノード群とがそれぞれ割当てられたタイムスロットを介して通信を行なう通信方式において、
前記スレーブノード群に割当てられたタイムスロットの一部である特定のタイムスロットを複数のサブタイムスロットに分割し、当該サブタイムスロットを用いて各スレーブノードは通信要求を送信し、前記通信要求が前記マスターノードで受信されることにより、
前記マスターノードが、前記スレーブノード群に割当てられたタイムスロットから、前記通信要求を行なったスレーブノードに対して、タイムスロットを割当てることを特徴とする無線通信方法。
【請求項2】
請求項1であって、
前記スレーブノード群に割当てられ、複数のサブタイムスロットに分割されるタイムスロットが、複数のタイムスロットであることを特徴とする無線通信方法。
【請求項3】
請求項1又は2であって、
前記マスターノードは、前記スレーブノード群に対して、通信要求を送信するスロット等を指定する通信要求指定情報を発信し、
前記マスターノードに通信要求を送信するスレーブノードは、前記通信要求指定情報に従って通信要求を発信する
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項4】
マスターノードと複数のスレーブノードからなるスレーブノード群とがそれぞれ割当てられたタイムスロットを介して通信を行ない構築されるネットワーク構築方法において、
前記スレーブノード群に割当てられたタイムスロットの一部である特定のタイムスロットを複数のサブタイムスロットに分割し、当該サブタイムスロットを用いて各スレーブノードは通信要求を送信し、前記通信要求が前記マスターノードで受信されることにより、
前記マスターノードが、前記スレーブノード群に割当てられたタイムスロットから、前記通信要求を行なったスレーブノードに対して、タイムスロットを割当てることで通信を可能とし、
前記マスターノードと前記スレーブノード群とがネットワークを構築することを特徴とするネットワーク構築方法。
【請求項5】
請求項4であって、
前記マスターノードは、前記スレーブノード群から、別のネットワークと通信可能な中継ノードを選出し、
当該選出された中継ノードは、前記サブタイムスロットを用いて、別のネットワークを構築するマスターノードに通信要求を送信する
ことを特徴とするネットワーク構築方法。
【請求項6】
請求項4又は5であって、
前記スレーブノード群に割当てられ、複数のサブタイムスロットに分割されるタイムスロットが、複数のタイムスロットであることを特徴とするネットワーク構築方法。
【請求項7】
請求項4ないし6の何れかであって、
前記マスターノードは、前記スレーブノード群に対して、通信要求を送信するスロット等を指定する通信要求指定情報を発信し、
前記マスターノードに通信要求を送信するスレーブノードは、前記通信要求指定情報に従って通信要求を発信する
ことを特徴とするネットワーク構築方法。
【請求項8】
請求項7であって、
前記マスターノードは、前記中継ノードに対して、優先的に通信要求を送信するスロットを割当て、前記通信要求指定情報を構築し、当該構築した通信要求指定情報を発信することを特徴とするネットワーク構築方法。
【請求項9】
マスターノードと複数のスレーブノードからなるスレーブノード群とがそれぞれ割当てられたタイムスロットを介して通信を行なう無線通信システムにおいて、
前記複数のスレーブノードは、前記割当てられたタイムスロットの特定のタイムスロットを複数のサブタイムスロットとして使用し、当該サブタイムスロットを用いて通信要求情報を送信し、
前記マスターノードは、前記サブタイムスロットを用いて通信要求情報を受信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項10】
請求項9であって、
前記マスターノードは、前記スレーブノード群から、別のネットワークと通信可能な中継ノードを選出し、
当該選出された中継ノードは、前記サブタイムスロットを用いて、別のネットワークを構築するマスターノードに通信要求情報を送信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項11】
請求項9又は10であって、
前記スレーブノード群に割当てられ、複数のサブタイムスロットとして使用されるタイムスロットが、複数のタイムスロットであることを特徴とする無線通信システム。
【請求項12】
請求項9ないし11の何れかであって、
前記マスターノードは、前記スレーブノード群に対して、通信要求情報を送信するスロット等を指定する通信要求指定情報を発信し、
前記マスターノードに通信要求を送信するスレーブノードは、前記通信要求指定情報に従って通信要求情報を発信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項13】
請求項12であって、
前記マスターノードは、前記中継ノードに対して、優先的に通信要求情報を送信するスロットを割当て、前記通信要求指定情報を構築し、当該構築した通信要求指定情報を発信することを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−29876(P2011−29876A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172814(P2009−172814)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(390014306)防衛省技術研究本部長 (169)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】