無線通信機
【課題】アンテナ特性がよい無線通信機を実現する。
【解決手段】無線通信を行うためのアンテナ素子100と、アンテナ素子100に電力を供給する給電部101と、アンテナ素子100とは異なる導体102と、導体102を分断するための分断部103とを備え、分断部103は、導体102の長さが、アンテナ素子100が通信を行うために使用する使用周波数の波長の4分の1以下となるように導体102を分断するように配置されている無線通信機1。
【解決手段】無線通信を行うためのアンテナ素子100と、アンテナ素子100に電力を供給する給電部101と、アンテナ素子100とは異なる導体102と、導体102を分断するための分断部103とを備え、分断部103は、導体102の長さが、アンテナ素子100が通信を行うために使用する使用周波数の波長の4分の1以下となるように導体102を分断するように配置されている無線通信機1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3Dテレビを視聴するための3D眼鏡、3Dゲームを楽しむための3D眼鏡及び眼鏡型のヘッドマウントディスプレイ等、眼鏡の体裁を有する電子機器が開発されている。これらの電子機器は、アンテナを備え、無線通信を行う場合がある。
【0003】
従来、アンテナを備えた眼鏡型の無線通信機としては、例えば、特許文献1に記載のような、眼鏡のフレームにアンテナを配置したものが知られている。すなわち、特許文献1には、フレームにアンテナを配置した可変焦点眼鏡が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−214545号公報(平14年7月31日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、眼鏡のフレームは金属等の導体で作られている場合が多く、このようなフレームにアンテナを配置すると、当該アンテナに近接する位置に導体が配置されてしまう。アンテナと導体とが近接した位置に配置されると、当該アンテナと当該導体とが共振を起こし、アンテナ特性が劣化するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、アンテナ特性がよい無線通信機を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明における無線通信機は、無線通信を行うためのアンテナ素子と、上記アンテナ素子に電力を供給する給電部とを備えた無線通信機であって、上記アンテナ素子とは異なる導体と、上記導体を分断するための絶縁体である分断部とを更に備え、上記分断部は、当該導体の長さが、上記アンテナ素子が通信を行うために使用する使用周波数の波長の4分の1以下となるように当該導体を分断するように配置されていることを特徴としている。
【0008】
アンテナ素子が通信を行うために使用する使用周波数の波長の4分の1以下となるように導体を分断すると、分断された導体の両端が開放端のときに各々が共振する周波数は、使用周波数の2倍以上の周波数となる。それゆえ、分断された導体の各々は、使用周波数において当該アンテナ素子と共振しない。
【0009】
したがって、分断部を、当該導体の長さが、アンテナ素子が通信を行うために使用する使用周波数の波長の4分の1以下となるように、導体を分断するように配置することにより、当該アンテナ素子と当該導体とが共振しないように配置することができるため、アンテナ特性が向上するという効果を奏する。
【0010】
本発明における無線通信機では、上記分断部によって分断されている上記導体の両端が開放端となっているものであってもよく、上記分断部によって分断されている上記導体の両端が短絡端となっているものであってもよい。
【0011】
上記導体の両端が開放端であれば、当該両端の電流の振幅が0となるように共振が生じ、上記導体の両端が短絡端であれば、当該両端の電流の振幅が最大となるように共振が生じるため、何れの場合も、上記導体の長さが2分の1波長となるような周波数で共振が生じる。したがって、上記アンテナ素子が通信を行うために使用する使用周波数の波長の4分の1以下の長さの導体が共振する周波数は、使用周波数の2倍以上となる。よって、使用周波数では、当該アンテナ素子と分断された導体の各々とは共振しない。これにより、共振することによるアンテナ特性の劣化を首尾よく防ぐことができる。
【0012】
本発明における無線通信機の上記分断部によって分断された上記導体のうちの一つの導体は、一端がグランドと短絡した短絡端であり、他端が開放端であり、上記アンテナ素子に励起される電流によって誘導電流が生じるような位置に配置され、上記使用周波数の波長の16分の3から4分の1の長さであり、上記短絡端は上記開放端よりも上記給電部に近く、上記一つの導体と上記アンテナ素子とのなす角が90度以上であってもよい。
【0013】
アンテナ素子の長さは、アンテナ素子が通信を行うために使用する使用周波数の4分の1波長である。このとき、上記分断部によって分断された上記導体のうちの一つの導体であって、一端がグランドに短絡し、他端が開放端である導体を、アンテナ素子に励起される電流によって誘導電流が生じるような位置に配置する。また、上記一つの導体の短絡端のほうが上記開放端よりも給電部に近い位置に配置する。さらに、上記アンテナ素子と上記一つの導体とのなす角が90度以上になるように配置する。これにより、上記一つの導体に誘導電流が生じ、アンテナ素子および上記一つの導体は、それぞれ4分の1波長で共振する。このアンテナ素子および上記一つの導体は、ダイポールアンテナと同様の動作を行う。従って、使用周波数帯でアンテナ特性を好適に向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明における無線通信機は、無線通信を行うためのアンテナ素子と、上記アンテナ素子に電力を供給する給電部とを備えた無線通信機であって、上記アンテナ素子とは異なる導体と、上記導体を分断するための絶縁体である分断部とを更に備え、上記分断部は、当該導体の長さが、上記アンテナ素子が通信を行うために使用する使用周波数の波長の4分の1以下となるように当該導体を分断するように配置されていることを特徴としている。
【0015】
これにより、分断部を、当該導体の長さが、アンテナ素子が通信を行うために使用する使用周波数の波長の4分の1以下となるように、導体を分断するように配置することにより、当該アンテナ素子と当該導体とが共振しないように配置することができるため、アンテナ特性が向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1における無線通信機の内部構成の一例を示す図である。
【図2】無線通信機の概観図である。
【図3】(a)は、長さ物理長Lのアンテナ素子における共振時の電流振幅の一例を示す図であり、(b)は長さ2Lの導体における共振時の電流振幅の一例を示す図であり、(c)は長さLの導体における共振時の電流振幅の一例を示す図である。
【図4】(a)〜(c)実施形態1における眼鏡型無線通信機の内部構成の他の例を示す図である。
【図5】(a)は、長さ物理長Lのアンテナ素子における共振時の電流振幅の一例を示す図であり、(b)は長さ2Lの導体における共振時の電流振幅の他の例を示す図であり、(c)は長さLの導体における共振時の電流振幅の他の例を示す図である。
【図6】(a)〜(d)は、実施形態2における無線通信機の内部構成の一例を示す図である。
【図7】実施形態2における無線通信機の内部構成の他の例を示す図である。
【図8】実施形態3における無線通信機の内部構成の一例を示す図である。
【図9】実施形態3における無線通信機の内部構成の他の例を示す図である。
【図10】(a)は端Aと端Bとを有した導体の一例を示す図であり、(b)は(a)に示す導体の両端の状態と共振するときの波長の長さとの関係を示す図である。
【図11】実施形態4における無線通信機の構成の一例を示す図である。
【図12】実施形態4における無線通信機の構成の他の例を示す図である。
【図13】実施形態5における無線通信機の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0018】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態(実施形態1)について、図1から図4を参照して説明すれば、以下のとおりである。なお、本実施形態に係る無線通信機は、眼鏡型の形状を有し、無線通信を行うものであれば、特に限定されず、3D眼鏡、ヘッドマウントディスプレイ、ヘッドセット、ラジオ受信機、個人識別装置等様々な用途に適用し得る。
【0019】
(無線通信機1の概略)
図2は、本実施形態における無線通信機1の概観図である。図2に示すように、無線通信機1は、眼鏡型の形状を有しており、接眼部11、リム12、ブリッジ13、テンプル14、モダン15、智16、蝶番17、パッド18、及び、クリングス19などを有する。
【0020】
接眼部11は、左右の目の前に配置される光学部材であり、例えば、眼鏡型のレンズであり得、LCD(Liquid Crystal Display)、網膜操作ディスプレイなど、画像を表示するためのディスプレイに組み込まれているものであってもよい。
【0021】
リム12は、接眼部11の周りを囲んで接眼部11を保持する保持部材である。ブリッジ13は、左右の接眼部11を連結するための連結部材である。
【0022】
ブリッジ13は、リム12を介して、左右の接眼部11を所定の位置関係にて連結する。
【0023】
テンプル14は、耳掛けを含んだ部材であり、ツルとも称される。また、テンプル14において、ユーザの耳に接する部分を、モダン15と称される被覆部材が被覆している場合もある。
【0024】
智16は、接眼部11とテンプル14とを接続するための接続部材である。智16は、接眼部11の外周に沿った領域に設けられており、リム12と一体化されていてもよいし、独立して接眼部に結合していてもよい。
【0025】
蝶番17は、接眼部11等に対してテンプル14を折りたたみ可能にするための開閉部材であり、智16とテンプル14との間に設けられている。
【0026】
パッド18は、ユーザの鼻に接する部材である。
【0027】
クリングス19は、パッド18と接眼部11とを連結する連結部材である。クリングス19は、リム12を介して、パッド18と接眼部11とを所定の位置関係にて連結する。また、無線通信機1は、クリングス19を備えていなくともよく、その場合、パッド18と接眼部11またはリム12とは直接結合され得る。
【0028】
なお、各部は、例えば、一般の眼鏡と同じ材料で構成してもよいが、これに限定されない。例えば、リム12、ブリッジ13、及び、テンプル14の材料としては、例えば、金属(例えば、チタン、チタン合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金、ニッケルクロム合金、及び、ステンレスなど)等を用いることができるが、これに限定されない。
【0029】
(無線通信機1の内部構成)
次に、無線通信機1の内部構成について、図1を参照して説明する。図1は、無線通信機1の内部構成を示す図である。図1に示すように、無線通信機1は、アンテナ素子100、給電部101、導体102および複数の分断部103を備えている。
【0030】
アンテナ素子100は、リム12の上側のリム12aに配置されている。また、リム12の下側のリム12bおよびテンプル14は、アンテナ素子100とは異なる導体102を構成している。
【0031】
給電部101は、アンテナ素子100に電力を供給する。図1に示すように、給電部101は、アンテナ素子100の一端に接続されている。
【0032】
分断部103は、導体102を分断するように配置されている絶縁体である。分断部103は、アンテナ素子100の開放端および給電部101の少なくとも一つに近接する(アンテナ素子100に励起される電流によって誘導電流が生じるような位置に配置されている)導体102を分断する。
【0033】
ここで、図3にアンテナ素子100および導体102の共振時の電流振幅を表す概念図を示す。
【0034】
図3(a)は長さLのアンテナ素子100における共振時の電流振幅を示す概念図である。アンテナ素子100は片端が給電部101に接続されており(給電点)、他端は開放端である。図3(a)に示すように、電流振幅は給電点で最大となり、開放端に向かうにつれ0になる。アンテナ素子100が通信を行うために使用する周波数(使用周波数f1)の波長をλ1とすると、アンテナ素子100の長さLはL=λ1/4で表すことができる。つまり、アンテナ素子100の長さは使用周波数f1の4分の1波長である。
【0035】
図3(b)は、長さ2Lの導体102における共振時の電流振幅を示す概念図である。導体102はアンテナ素子ではないため給電部101とは接続されず、両端は開放端であるとする。導体102がアンテナ素子100に近接して励振される場合、図3(b)の実線に示すように、開放端で電流振幅は0、導体102の中央付近で最大となる。図3(a)の電流振幅と図3(b)の実線で示す電流振幅とを比較すると、両者ともL=λ1/4であることが分かる。つまり、2L=λ1/2であり、2Lで共振する周波数はf1となる。
【0036】
一方、導体102は開放端の電流振幅が0となる条件を満たせば共振する。つまり、図3(b)の破線で示すように長さ2Lでちょうど1波長になる周波数においても共振する。このときの周波数f2は、図3(a)の場合の周波数f1のちょうど2倍に当たる。つまりf2=2×f1となる。同様に、2Lで2分の3波長、2波長、2分の5波長・・・のように、半波長の整数倍(1/2、1、3/2、2、5/2、3、・・・)のときに共振し、共振しうるもっとも低い周波数が2分の1波長である。
【0037】
図3(c)は、図3(b)の導体102の長さを半分のLにしたときの電流振幅を示す概念図である。導体102は、両端が開放であるとすると、図3(b)の破線で示した場合と同様、長さLでちょうど半波長になる周波数で共振する。このときの周波数は図3(b)の破線と同じf2となり、アンテナ素子100の動作周波数f1の2倍の周波数であり、長さLの導体が共振しうる最も低い周波数がf2となる。
【0038】
つまり、アンテナ素子100の使用周波数f1の4分の1波長以下の長さの導体102は、f1の2倍以上の周波数でしか共振しえない。従って、導体102はアンテナ素子100に近接してもf1においてアンテナ素子100の動作を阻害する共振を発生しないため、アンテナ素子100の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0039】
このように、不要共振が生じないように、分断部103は、導体102の長さが、アンテナ素子100が通信を行うために使用する使用周波数の波長の4分の1以下になるように導体102を電気的に分断するように配置される。分断部103は、図1に示すように、リム12およびテンプル14に配置されている。
【0040】
また、図1に示すように、リム12bは、給電部101に近接している。また、テンプル14は、アンテナ素子100の開放端に近接している。分断部103が分断している導体102は、このようなリム12bおよびテンプル14である。
【0041】
アンテナ素子100の開放端や給電部101に近接する導体102は、アンテナ素子100と共振する可能性がある。アンテナ素子100の開放端および給電部101の少なくとも一つに近接する導体102を分断することにより、アンテナ素子100と導体102とが使用周波数で共振することを防ぐことができる。
【0042】
(変形例)
なお、図1では、アンテナ素子100がリム12の上側のリム12aに配置されており、給電部101がアンテナ素子100のブリッジ13側の一端に接続されるように配置されているが、アンテナ素子100および給電部101の配置はこれに限定されない。
【0043】
図4に無線通信機1の内部構成の他の例を示す。図4(a)に示すように、無線通信機1は、アンテナ素子100がリム12の上側のリム12aに配置され、給電部101がアンテナ素子100の智16側の一端に接続されるように配置されていてもよい。また、図4(b)に示すように、無線通信機1は、アンテナ素子100がリム12の下側のリム12bに配置され、給電部101がアンテナ素子100のブリッジ13側の一端に接続されるように配置されていてもよい。また、図4(c)に示すように、無線通信機1は、アンテナ素子100がリム12の下側のリム12bに配置され、給電部101がアンテナ素子100の智16側の一端に接続されるように配置されていてもよい。
【0044】
なお、本実施形態では、導体102の両端が開放端であることを例に説明を行ったが、導体102の両端は、短絡端であってもよい。
【0045】
図5にアンテナ素子100および導体102の共振時の電流振幅を表す概念図を示す。
【0046】
図5(a)は図3(a)と同様の図であるため説明を割愛する。図5(b)および図5(c)は、導体102の両端が短絡のときの共振時の電流振幅を示す概念図である。図3(b)および図3(c)の開放端での電流振幅の概念図と異なり、短絡端で電流振幅が最大、導体102の中央付近では電流振幅が0となるが、導体102の長さLと共振する周波数の関係は図3(b)および図3(c)と同様であるため詳細の説明は割愛する。
【0047】
つまり、導体102の両端が短絡の場合でも、導体102がアンテナ素子100の使用周波数f1の4分の1波長以下の長さのときはf1の2倍以上の周波数でしか共振しえない。従って、導体102はアンテナ素子100に近接してもf1においてアンテナ素子100の動作を阻害する共振を発生しないため、アンテナ素子100の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0048】
なお、本実施形態において、アンテナ素子100が配置される位置は、左目の前に配置される接眼部11を囲むリム(以降、単に左のリムと呼ぶ)の上側のリム12aまたは下側のリム12bであることを例に説明を行った。しかし、アンテナ素子100が配置される位置はこれに限定されない。アンテナ素子100は、右目の前に配置される接眼部を囲むリム(右のリム)の上下のリムであってもよい。
【0049】
〔実施形態2〕
実施形態1の眼鏡型の無線通信機1のアンテナ素子100がリム12に配置されていることについて説明を行ったが、アンテナ素子100の配置はこれに限定されない。例えば、テンプル14に配置されていてもよい。
【0050】
以下、本発明の他の実施形態(実施形態2)について、図6および図7を参照して説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態1にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0051】
(無線通信機2の内部構成)
図6は、アンテナ素子200がテンプル14に配置された眼鏡型の形状を有した無線通信機2の内部構成を示す図である。図6に示すように、無線通信機2は、給電部101、分断部103、アンテナ素子200および導体202を備えている。
【0052】
図6(a)に示すように、無線通信機2のアンテナ素子200は、テンプル14の一部であって、テンプル14の智16側の部分であるテンプル14aに配置されている。また、テンプル14のモダン15側の部分であるテンプル14bおよびリム12は、アンテナ素子200とは異なる導体202を構成している。給電部101は、アンテナ素子200のテンプル14b側の一端に接続されている。
【0053】
なお、無線通信機2のアンテナ素子200および給電部101の配置はこれに限定されない。図6(b)に示すように、無線通信機2は、アンテナ素子200がテンプル14の智16側の部分であるテンプル14aに配置され、給電部101がアンテナ素子200の智16側の一端に接続されるように配置されていてもよい。また、図6(c)に示すように、無線通信機1は、アンテナ素子100がテンプル14のモダン15側の部分であるテンプル14b配置され、給電部101がアンテナ素子100の智16側の一端に接続されるように配置されていてもよい。また、図6(d)に示すように、無線通信機1は、アンテナ素子100がテンプル14のモダン15側の部分であるテンプル14b配置され、給電部101がアンテナ素子200のモダン15側の一端に接続されるように配置されていてもよい。
【0054】
(変形例)
また、アンテナ素子200はテンプル14の一部ではなく、テンプル14の全体に配置されていてもよい。
【0055】
(無線通信機3の内部構成)
図7は、アンテナ素子200がテンプル14の全体に配置された眼鏡型の形状を有した無線通信機3の内部構成を示す図である。図7に示すように、無線通信機3は、給電部101、分断部103、アンテナ素子300および導体302を備えている。
【0056】
アンテナ素子200がテンプル14の全体に配置された場合、左右の上側のリム(12Ra、12La)および左右の下側のリム(12Rb、12Lb)のそれぞれのみではアンテナ素子200より長さが短くなることが多い。しかし、例えば、右の上側のリム12Raと、左の上側のリム12Laとが、ブリッジ13を介してつながった場合、アンテナ素子200より長さが長くなる場合がある。導体102の長さが、アンテナ素子200の長さより長くなるとき、導体102とアンテナ素子200との間に不要共振が生じてしまう可能性がある。そのため、図7に示すように上下左右のリム12を、分断部103を用いて分断する。
【0057】
これにより、上下左右のリム(12Ra、12La、12Rbおよび12Lb)はそれぞれ長さがアンテナ素子200より短い独立した導体となるため、上下左右のリムのそれぞれとアンテナ素子200との間には、不要共振が生じない。よって、使用周波数でのアンテナ特性の劣化を防ぐことができる。
【0058】
〔実施形態3〕
実施形態1および実施形態2では、導体の両端が開放端または短絡端である場合を例に説明を行ったが、導体はこれに限定されない。導体の一端が短絡端であり、他の一端が開放端であってもよい。
【0059】
以下、本発明の他の実施形態(実施形態3)について、図8から図10を参照して説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態1にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0060】
(無線通信機4の内部構成)
図8は、導体402の一端が回路GND(グランド)404と短絡している無線通信機4の内部構成を示す図である。図8に示すように、無線通信機4は、給電部101、分断部103、アンテナ素子400、導体402および回路GND404を備えている。
【0061】
図8に示すように、無線通信機4のアンテナ素子400は、リム12の上側のリム12aに配置されている。また、リム12の下側のリム12bおよびテンプル14は、アンテナ素子400とは異なる導体402を構成している。給電部101は、リム12a上の智16よりブリッジ13に近い位置に配置されている。また、給電部101は、アンテナ素子200のブリッジ13側の一端に接続されている。なお、給電部101が配置される位置はこれに限定されず、ブリッジ13上に配置されていてもよい。
【0062】
導体402のうち分断部103によって分断されたリム12bにおけるブリッジ13側の一端は、回路GND404と短絡された短絡端であり、他方(智16側)の一端は、開放端である。リム12bは、図8に示すように、アンテナ素子400に近接した位置に配置されている。また、アンテナ素子400と導体402とのなす角は、90度以上になるように配置されている。
【0063】
リム12bはブリッジ13側で短絡端、智16側で開放端であり、このときのリム12b上の電流振幅は図3および図5で説明したとおり、短絡端では電流振幅最大、開放端では電流振幅0となる。ここで、リム12a(アンテナ素子400)とリム12bとはほぼ同じ長さで、両者ともアンテナ素子400が通信を行うために使用する周波数fの波長λの4分の1波長でちょうど共振するような構成になっている。つまり、リム12bの長さは、使用周波数fの4分の1波長である。このようにアンテナ素子400に近接した位置に配置されており、アンテナ素子400とリム12bとのなす角が、90度以上になるように配置されているアンテナ素子400とリム12bとは半波長ダイポールアンテナとして動作する。これにより、回路GND404の影響を低減することができる。したがって、好適にアンテナ特性を向上させることができる。
【0064】
なお、リム12bの長さが、使用周波数fの4分の1波長であることを例に説明を行ったが、リム12bの長さは、これに限定されない。リム12bの長さは、アンテナ素子400とリム12bとが半波長ダイポールアンテナとして動作できる長さであればよく、例えば、使用周波数fの波長の16分の3から4分の1の長さであればよい。
【0065】
(変形例)
図8では、アンテナ素子400がリム12aに配置されているとき、リム12bと半波長ダイポールアンテナとして働くことについて説明を行ったが、本発明はこれに限定されない。
【0066】
図9は、アンテナ素子400が左の上側のリム12Laに配置されているときの、無線通信機4の全体を示す図である。図9に示すように、アンテナ素子400が左の上側のリム12Laに配置されており、給電部101がアンテナ素子400のブリッジ13側の一端に接続しているとする。このとき、右の上側のリム12Raが給電部101に近接した位置で回路GND404に短絡しており、アンテナ素子400とリム12Raとのなす角が90度以上である場合、アンテナ素子400は、右の上側のリム12Raと半波長ダイポールアンテナとして働くことが可能である。
【0067】
同様に、右の下側のリム12Rbが給電部101に近接した位置で回路GND404に短絡しており、アンテナ素子400とリム12Rbとのなす角が90度以上である場合、アンテナ素子400は、右の下側のリム12Rbと半波長ダイポールアンテナとして働くことが可能である。
【0068】
また、アンテナ素子400が左の上側のリム12Laに配置されており、給電部101がリム12La上のブリッジ13より智16に近い位置に配置されているとする。つまり、給電部101がアンテナ素子400の智16側の一端に接続しているとする。このとき、左の下側のリム12Laが給電部101に近接した位置で回路GND404に短絡しており、アンテナ素子400とリム12Laとのなす角が90度以上である場合、アンテナ素子400は、左の下側のリム12Laと半波長ダイポールアンテナとして働くことが可能である。同様に、テンプル14が給電部101に近接した位置で回路GND404に短絡しており、アンテナ素子400とテンプル14とのなす角が90度以上である場合、アンテナ素子400は、テンプル14と半波長ダイポールアンテナとして働くことが可能である。なお、給電部101が配置される位置はこれに限定されず、智16上に配置されていてもよい。
【0069】
また、本実施形態において、アンテナ素子400が配置される位置は、左の上側のリム12Laであることを例に説明を行ったが、アンテナ素子100が配置される位置はこれに限定されない。アンテナ素子100は、左の下側のリム12Lbであってもよいし、右の上側のリム12Raであってもよいし、右の下側のリム12Rbであってもよい。
【0070】
図10に導体の両端の状態と共振する時の波長の長さとの関係を示す。図10(b)は、図10(a)に示すような端Aと端Bとを有した導体102(202、302または402)の両端の状態と共振する時の波長の長さとの関係を示す図である。
【0071】
図10(b)に示すように、端Aが開放端であり、端Bが開放端である(ケース1)とき、実施形態1で説明したとおり、波長をλとすると、共振する時の波長(共振モード)はλ/2である。端Aが短絡端であり、端Bが短絡端である(ケース4)とき、共振モードはλ/2である。
【0072】
また、端Aが開放端であり端Bが短絡端である(ケース2)とき、および、端Aが短絡端であり端Bが開放端である(ケース3)とき、本実施形態で説明したとおり共振モードはλ/4である。
【0073】
このように、アンテナ素子400と半波長ダイポールアンテナとして働くことが可能な導体402は、一端が短絡端で他端が開放端であればよい。
【0074】
また、分断部103によって分断された導体402の何れか一つ(例えばリム12b)がアンテナ素子400に励起される電流によって誘導電流が生じるような位置に配置する。この導体402の何れか一つの導体は、一端が短絡端で他端が開放端である。また、上記一つの導体の短絡端のほうが開放端よりも給電部101に近い位置に配置する。さらに、アンテナ素子400と上記一つの導体とのなす角が90度以上になるように配置する。これにより、アンテナ素子400は、上記一つの導体と半波長ダイポールアンテナとして働くことが可能である。よって、さらにアンテナ特性を向上させることができる。
【0075】
〔実施形態4〕
実施形態1から3では、眼鏡型の形状を有した無線通信機について説明を行ったが、本発明における無線通信機はこれに限定されない。例えば、無線通信機は、携帯電話端末等の携帯端末機器であってもよい。以下、本発明の他の実施形態(実施形態4)について、図11および図12を参照して説明すれば、以下のとおりである。
【0076】
(無線通信機5の構成)
図11は、携帯電話端末型を有した無線通信機5の構成を示す図である。図11に示すように、無線通信機5は、導体502および分断部503を含んでいる。導体502は、無線通信機5の外周に沿って配置されている。導体502は、無線通信機5の飾りとしての部材であり、帯状の形状を有している。また導体502は、電気的に機能をしていない部材である。導体502の材料としては、例えば、金属(例えば、チタン、チタン合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金、ニッケルクロム合金、及び、ステンレスなど)等を用いることができるが、これに限定されない。なお、導体502の形状は帯状に限定されない。
【0077】
分断部503は、導体502を分断するように配置されている絶縁体である。分断部503は、導体502の長さが使用周波数の波長の4分の1以下になるように導体502を分断する。また、無線通信機5は、分断された導体502の各々が、無線通信機5のグランドと非接続(両端が開放端)となる、または、グランドと導通(両端が短絡端)となるようにする。
【0078】
このように、導体502が飾りとして配置された無線通信機5であっても、当該導体502の長さが使用周波数の波長の4分の1以下になるように分断部503を配置することにより、アンテナ特性の劣化を防ぐことができる。
【0079】
(変形例)
次に、携帯電話端末を有した無線通信機の他の例について説明する。図12は、携帯電話端末型を有した無線通信機6の構成を示す図である。
【0080】
(無線通信機6の構成)
図12(a)は、無線通信機6の上面図であり、図12(b)は無線通信機6のそくめん図である。図12(a)および(b)に示すように、無線通信機6は、アンテナ素子600、導体602および間隙(分断部)603を含んでいる。導体602は、無線通信機6の本体を固定するための部材であり、大板金602aと小板金602bとを含んでいる。
【0081】
小板金602bは、アンテナ素子600と樹脂などを介して固着している。小板金602bの長手方向の長さL(図12(a)の横方向の長さ)は、使用周波数の波長の4分の1以下である。このとき、大板金602aと小板金602bとが接続すると、これらの長手方向の長さは、図12(b)の縦方向の長さとなり、アンテナ素子600の長さより長くなってしまう可能性がある。そのため。大板金602aと小板金602bとが接続しないように、間隙603を形成する。これにより、大板金602aと小板金602bとは絶縁される。
【0082】
〔実施形態5〕
本実施形態では、時計型の形状を有した無線通信機について説明を行う。以下、本発明の他の実施形態(実施形態5)について、図13を参照して説明すれば、以下のとおりである。
【0083】
(無線通信機7の構成)
図13は、時計型を有した無線通信機7の構成を示す図である。図13に示すように、無線通信機7は、導体702および連結軸(分断部)703を含んでいる。また、無線通信機7は、GPSやBluetooth(登録商標)などの無線機能を有しているとする。
【0084】
導体702は、複数のパーツが連結軸703で連結されており、バンド状になっている。導体702の材料としては、例えば、金属(例えば、チタン、チタン合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金、ニッケルクロム合金、及び、ステンレスなど)等を用いることができるが、これに限定されない。
【0085】
連結軸703、非導体(絶縁体)である。つまり、導体702の各パーツが絶縁されるように配置されている。GPSの使用周波数における4分の1波長は、およそ50mmであり、Bluetoothの使用周波数における4分の1波長は、およそ30mmである。そのため、連結軸703を用いることにより、導体702の各パーツを使用周波数の波長の4分の1以下にすることができる。これにより、アンテナ特性の劣化を防ぐことができる。
【0086】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、無線通信機の製造分野に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 無線通信機
11 接眼部
12 リム
13 ブリッジ
14 テンプル
15 モダン
16 智
17 蝶番
18 パッド
19 クリングス
100 アンテナ素子
101 給電部
102 導体
103 分断部
2 無線通信機
200 アンテナ素子
202 導体
3 無線通信機
300 アンテナ素子
302 導体
4 無線通信機
400 アンテナ素子
402 導体
404 回路GND(グランド)
5 無線通信機
502 導体
503 分断部
6 無線通信機
600 アンテナ素子
602 導体
603 間隙(分断部)
7 無線通信機
702 導体
703 連結軸(分断部)
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3Dテレビを視聴するための3D眼鏡、3Dゲームを楽しむための3D眼鏡及び眼鏡型のヘッドマウントディスプレイ等、眼鏡の体裁を有する電子機器が開発されている。これらの電子機器は、アンテナを備え、無線通信を行う場合がある。
【0003】
従来、アンテナを備えた眼鏡型の無線通信機としては、例えば、特許文献1に記載のような、眼鏡のフレームにアンテナを配置したものが知られている。すなわち、特許文献1には、フレームにアンテナを配置した可変焦点眼鏡が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−214545号公報(平14年7月31日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、眼鏡のフレームは金属等の導体で作られている場合が多く、このようなフレームにアンテナを配置すると、当該アンテナに近接する位置に導体が配置されてしまう。アンテナと導体とが近接した位置に配置されると、当該アンテナと当該導体とが共振を起こし、アンテナ特性が劣化するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、アンテナ特性がよい無線通信機を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明における無線通信機は、無線通信を行うためのアンテナ素子と、上記アンテナ素子に電力を供給する給電部とを備えた無線通信機であって、上記アンテナ素子とは異なる導体と、上記導体を分断するための絶縁体である分断部とを更に備え、上記分断部は、当該導体の長さが、上記アンテナ素子が通信を行うために使用する使用周波数の波長の4分の1以下となるように当該導体を分断するように配置されていることを特徴としている。
【0008】
アンテナ素子が通信を行うために使用する使用周波数の波長の4分の1以下となるように導体を分断すると、分断された導体の両端が開放端のときに各々が共振する周波数は、使用周波数の2倍以上の周波数となる。それゆえ、分断された導体の各々は、使用周波数において当該アンテナ素子と共振しない。
【0009】
したがって、分断部を、当該導体の長さが、アンテナ素子が通信を行うために使用する使用周波数の波長の4分の1以下となるように、導体を分断するように配置することにより、当該アンテナ素子と当該導体とが共振しないように配置することができるため、アンテナ特性が向上するという効果を奏する。
【0010】
本発明における無線通信機では、上記分断部によって分断されている上記導体の両端が開放端となっているものであってもよく、上記分断部によって分断されている上記導体の両端が短絡端となっているものであってもよい。
【0011】
上記導体の両端が開放端であれば、当該両端の電流の振幅が0となるように共振が生じ、上記導体の両端が短絡端であれば、当該両端の電流の振幅が最大となるように共振が生じるため、何れの場合も、上記導体の長さが2分の1波長となるような周波数で共振が生じる。したがって、上記アンテナ素子が通信を行うために使用する使用周波数の波長の4分の1以下の長さの導体が共振する周波数は、使用周波数の2倍以上となる。よって、使用周波数では、当該アンテナ素子と分断された導体の各々とは共振しない。これにより、共振することによるアンテナ特性の劣化を首尾よく防ぐことができる。
【0012】
本発明における無線通信機の上記分断部によって分断された上記導体のうちの一つの導体は、一端がグランドと短絡した短絡端であり、他端が開放端であり、上記アンテナ素子に励起される電流によって誘導電流が生じるような位置に配置され、上記使用周波数の波長の16分の3から4分の1の長さであり、上記短絡端は上記開放端よりも上記給電部に近く、上記一つの導体と上記アンテナ素子とのなす角が90度以上であってもよい。
【0013】
アンテナ素子の長さは、アンテナ素子が通信を行うために使用する使用周波数の4分の1波長である。このとき、上記分断部によって分断された上記導体のうちの一つの導体であって、一端がグランドに短絡し、他端が開放端である導体を、アンテナ素子に励起される電流によって誘導電流が生じるような位置に配置する。また、上記一つの導体の短絡端のほうが上記開放端よりも給電部に近い位置に配置する。さらに、上記アンテナ素子と上記一つの導体とのなす角が90度以上になるように配置する。これにより、上記一つの導体に誘導電流が生じ、アンテナ素子および上記一つの導体は、それぞれ4分の1波長で共振する。このアンテナ素子および上記一つの導体は、ダイポールアンテナと同様の動作を行う。従って、使用周波数帯でアンテナ特性を好適に向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明における無線通信機は、無線通信を行うためのアンテナ素子と、上記アンテナ素子に電力を供給する給電部とを備えた無線通信機であって、上記アンテナ素子とは異なる導体と、上記導体を分断するための絶縁体である分断部とを更に備え、上記分断部は、当該導体の長さが、上記アンテナ素子が通信を行うために使用する使用周波数の波長の4分の1以下となるように当該導体を分断するように配置されていることを特徴としている。
【0015】
これにより、分断部を、当該導体の長さが、アンテナ素子が通信を行うために使用する使用周波数の波長の4分の1以下となるように、導体を分断するように配置することにより、当該アンテナ素子と当該導体とが共振しないように配置することができるため、アンテナ特性が向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1における無線通信機の内部構成の一例を示す図である。
【図2】無線通信機の概観図である。
【図3】(a)は、長さ物理長Lのアンテナ素子における共振時の電流振幅の一例を示す図であり、(b)は長さ2Lの導体における共振時の電流振幅の一例を示す図であり、(c)は長さLの導体における共振時の電流振幅の一例を示す図である。
【図4】(a)〜(c)実施形態1における眼鏡型無線通信機の内部構成の他の例を示す図である。
【図5】(a)は、長さ物理長Lのアンテナ素子における共振時の電流振幅の一例を示す図であり、(b)は長さ2Lの導体における共振時の電流振幅の他の例を示す図であり、(c)は長さLの導体における共振時の電流振幅の他の例を示す図である。
【図6】(a)〜(d)は、実施形態2における無線通信機の内部構成の一例を示す図である。
【図7】実施形態2における無線通信機の内部構成の他の例を示す図である。
【図8】実施形態3における無線通信機の内部構成の一例を示す図である。
【図9】実施形態3における無線通信機の内部構成の他の例を示す図である。
【図10】(a)は端Aと端Bとを有した導体の一例を示す図であり、(b)は(a)に示す導体の両端の状態と共振するときの波長の長さとの関係を示す図である。
【図11】実施形態4における無線通信機の構成の一例を示す図である。
【図12】実施形態4における無線通信機の構成の他の例を示す図である。
【図13】実施形態5における無線通信機の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0018】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態(実施形態1)について、図1から図4を参照して説明すれば、以下のとおりである。なお、本実施形態に係る無線通信機は、眼鏡型の形状を有し、無線通信を行うものであれば、特に限定されず、3D眼鏡、ヘッドマウントディスプレイ、ヘッドセット、ラジオ受信機、個人識別装置等様々な用途に適用し得る。
【0019】
(無線通信機1の概略)
図2は、本実施形態における無線通信機1の概観図である。図2に示すように、無線通信機1は、眼鏡型の形状を有しており、接眼部11、リム12、ブリッジ13、テンプル14、モダン15、智16、蝶番17、パッド18、及び、クリングス19などを有する。
【0020】
接眼部11は、左右の目の前に配置される光学部材であり、例えば、眼鏡型のレンズであり得、LCD(Liquid Crystal Display)、網膜操作ディスプレイなど、画像を表示するためのディスプレイに組み込まれているものであってもよい。
【0021】
リム12は、接眼部11の周りを囲んで接眼部11を保持する保持部材である。ブリッジ13は、左右の接眼部11を連結するための連結部材である。
【0022】
ブリッジ13は、リム12を介して、左右の接眼部11を所定の位置関係にて連結する。
【0023】
テンプル14は、耳掛けを含んだ部材であり、ツルとも称される。また、テンプル14において、ユーザの耳に接する部分を、モダン15と称される被覆部材が被覆している場合もある。
【0024】
智16は、接眼部11とテンプル14とを接続するための接続部材である。智16は、接眼部11の外周に沿った領域に設けられており、リム12と一体化されていてもよいし、独立して接眼部に結合していてもよい。
【0025】
蝶番17は、接眼部11等に対してテンプル14を折りたたみ可能にするための開閉部材であり、智16とテンプル14との間に設けられている。
【0026】
パッド18は、ユーザの鼻に接する部材である。
【0027】
クリングス19は、パッド18と接眼部11とを連結する連結部材である。クリングス19は、リム12を介して、パッド18と接眼部11とを所定の位置関係にて連結する。また、無線通信機1は、クリングス19を備えていなくともよく、その場合、パッド18と接眼部11またはリム12とは直接結合され得る。
【0028】
なお、各部は、例えば、一般の眼鏡と同じ材料で構成してもよいが、これに限定されない。例えば、リム12、ブリッジ13、及び、テンプル14の材料としては、例えば、金属(例えば、チタン、チタン合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金、ニッケルクロム合金、及び、ステンレスなど)等を用いることができるが、これに限定されない。
【0029】
(無線通信機1の内部構成)
次に、無線通信機1の内部構成について、図1を参照して説明する。図1は、無線通信機1の内部構成を示す図である。図1に示すように、無線通信機1は、アンテナ素子100、給電部101、導体102および複数の分断部103を備えている。
【0030】
アンテナ素子100は、リム12の上側のリム12aに配置されている。また、リム12の下側のリム12bおよびテンプル14は、アンテナ素子100とは異なる導体102を構成している。
【0031】
給電部101は、アンテナ素子100に電力を供給する。図1に示すように、給電部101は、アンテナ素子100の一端に接続されている。
【0032】
分断部103は、導体102を分断するように配置されている絶縁体である。分断部103は、アンテナ素子100の開放端および給電部101の少なくとも一つに近接する(アンテナ素子100に励起される電流によって誘導電流が生じるような位置に配置されている)導体102を分断する。
【0033】
ここで、図3にアンテナ素子100および導体102の共振時の電流振幅を表す概念図を示す。
【0034】
図3(a)は長さLのアンテナ素子100における共振時の電流振幅を示す概念図である。アンテナ素子100は片端が給電部101に接続されており(給電点)、他端は開放端である。図3(a)に示すように、電流振幅は給電点で最大となり、開放端に向かうにつれ0になる。アンテナ素子100が通信を行うために使用する周波数(使用周波数f1)の波長をλ1とすると、アンテナ素子100の長さLはL=λ1/4で表すことができる。つまり、アンテナ素子100の長さは使用周波数f1の4分の1波長である。
【0035】
図3(b)は、長さ2Lの導体102における共振時の電流振幅を示す概念図である。導体102はアンテナ素子ではないため給電部101とは接続されず、両端は開放端であるとする。導体102がアンテナ素子100に近接して励振される場合、図3(b)の実線に示すように、開放端で電流振幅は0、導体102の中央付近で最大となる。図3(a)の電流振幅と図3(b)の実線で示す電流振幅とを比較すると、両者ともL=λ1/4であることが分かる。つまり、2L=λ1/2であり、2Lで共振する周波数はf1となる。
【0036】
一方、導体102は開放端の電流振幅が0となる条件を満たせば共振する。つまり、図3(b)の破線で示すように長さ2Lでちょうど1波長になる周波数においても共振する。このときの周波数f2は、図3(a)の場合の周波数f1のちょうど2倍に当たる。つまりf2=2×f1となる。同様に、2Lで2分の3波長、2波長、2分の5波長・・・のように、半波長の整数倍(1/2、1、3/2、2、5/2、3、・・・)のときに共振し、共振しうるもっとも低い周波数が2分の1波長である。
【0037】
図3(c)は、図3(b)の導体102の長さを半分のLにしたときの電流振幅を示す概念図である。導体102は、両端が開放であるとすると、図3(b)の破線で示した場合と同様、長さLでちょうど半波長になる周波数で共振する。このときの周波数は図3(b)の破線と同じf2となり、アンテナ素子100の動作周波数f1の2倍の周波数であり、長さLの導体が共振しうる最も低い周波数がf2となる。
【0038】
つまり、アンテナ素子100の使用周波数f1の4分の1波長以下の長さの導体102は、f1の2倍以上の周波数でしか共振しえない。従って、導体102はアンテナ素子100に近接してもf1においてアンテナ素子100の動作を阻害する共振を発生しないため、アンテナ素子100の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0039】
このように、不要共振が生じないように、分断部103は、導体102の長さが、アンテナ素子100が通信を行うために使用する使用周波数の波長の4分の1以下になるように導体102を電気的に分断するように配置される。分断部103は、図1に示すように、リム12およびテンプル14に配置されている。
【0040】
また、図1に示すように、リム12bは、給電部101に近接している。また、テンプル14は、アンテナ素子100の開放端に近接している。分断部103が分断している導体102は、このようなリム12bおよびテンプル14である。
【0041】
アンテナ素子100の開放端や給電部101に近接する導体102は、アンテナ素子100と共振する可能性がある。アンテナ素子100の開放端および給電部101の少なくとも一つに近接する導体102を分断することにより、アンテナ素子100と導体102とが使用周波数で共振することを防ぐことができる。
【0042】
(変形例)
なお、図1では、アンテナ素子100がリム12の上側のリム12aに配置されており、給電部101がアンテナ素子100のブリッジ13側の一端に接続されるように配置されているが、アンテナ素子100および給電部101の配置はこれに限定されない。
【0043】
図4に無線通信機1の内部構成の他の例を示す。図4(a)に示すように、無線通信機1は、アンテナ素子100がリム12の上側のリム12aに配置され、給電部101がアンテナ素子100の智16側の一端に接続されるように配置されていてもよい。また、図4(b)に示すように、無線通信機1は、アンテナ素子100がリム12の下側のリム12bに配置され、給電部101がアンテナ素子100のブリッジ13側の一端に接続されるように配置されていてもよい。また、図4(c)に示すように、無線通信機1は、アンテナ素子100がリム12の下側のリム12bに配置され、給電部101がアンテナ素子100の智16側の一端に接続されるように配置されていてもよい。
【0044】
なお、本実施形態では、導体102の両端が開放端であることを例に説明を行ったが、導体102の両端は、短絡端であってもよい。
【0045】
図5にアンテナ素子100および導体102の共振時の電流振幅を表す概念図を示す。
【0046】
図5(a)は図3(a)と同様の図であるため説明を割愛する。図5(b)および図5(c)は、導体102の両端が短絡のときの共振時の電流振幅を示す概念図である。図3(b)および図3(c)の開放端での電流振幅の概念図と異なり、短絡端で電流振幅が最大、導体102の中央付近では電流振幅が0となるが、導体102の長さLと共振する周波数の関係は図3(b)および図3(c)と同様であるため詳細の説明は割愛する。
【0047】
つまり、導体102の両端が短絡の場合でも、導体102がアンテナ素子100の使用周波数f1の4分の1波長以下の長さのときはf1の2倍以上の周波数でしか共振しえない。従って、導体102はアンテナ素子100に近接してもf1においてアンテナ素子100の動作を阻害する共振を発生しないため、アンテナ素子100の特性劣化を抑制することが可能となる。
【0048】
なお、本実施形態において、アンテナ素子100が配置される位置は、左目の前に配置される接眼部11を囲むリム(以降、単に左のリムと呼ぶ)の上側のリム12aまたは下側のリム12bであることを例に説明を行った。しかし、アンテナ素子100が配置される位置はこれに限定されない。アンテナ素子100は、右目の前に配置される接眼部を囲むリム(右のリム)の上下のリムであってもよい。
【0049】
〔実施形態2〕
実施形態1の眼鏡型の無線通信機1のアンテナ素子100がリム12に配置されていることについて説明を行ったが、アンテナ素子100の配置はこれに限定されない。例えば、テンプル14に配置されていてもよい。
【0050】
以下、本発明の他の実施形態(実施形態2)について、図6および図7を参照して説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態1にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0051】
(無線通信機2の内部構成)
図6は、アンテナ素子200がテンプル14に配置された眼鏡型の形状を有した無線通信機2の内部構成を示す図である。図6に示すように、無線通信機2は、給電部101、分断部103、アンテナ素子200および導体202を備えている。
【0052】
図6(a)に示すように、無線通信機2のアンテナ素子200は、テンプル14の一部であって、テンプル14の智16側の部分であるテンプル14aに配置されている。また、テンプル14のモダン15側の部分であるテンプル14bおよびリム12は、アンテナ素子200とは異なる導体202を構成している。給電部101は、アンテナ素子200のテンプル14b側の一端に接続されている。
【0053】
なお、無線通信機2のアンテナ素子200および給電部101の配置はこれに限定されない。図6(b)に示すように、無線通信機2は、アンテナ素子200がテンプル14の智16側の部分であるテンプル14aに配置され、給電部101がアンテナ素子200の智16側の一端に接続されるように配置されていてもよい。また、図6(c)に示すように、無線通信機1は、アンテナ素子100がテンプル14のモダン15側の部分であるテンプル14b配置され、給電部101がアンテナ素子100の智16側の一端に接続されるように配置されていてもよい。また、図6(d)に示すように、無線通信機1は、アンテナ素子100がテンプル14のモダン15側の部分であるテンプル14b配置され、給電部101がアンテナ素子200のモダン15側の一端に接続されるように配置されていてもよい。
【0054】
(変形例)
また、アンテナ素子200はテンプル14の一部ではなく、テンプル14の全体に配置されていてもよい。
【0055】
(無線通信機3の内部構成)
図7は、アンテナ素子200がテンプル14の全体に配置された眼鏡型の形状を有した無線通信機3の内部構成を示す図である。図7に示すように、無線通信機3は、給電部101、分断部103、アンテナ素子300および導体302を備えている。
【0056】
アンテナ素子200がテンプル14の全体に配置された場合、左右の上側のリム(12Ra、12La)および左右の下側のリム(12Rb、12Lb)のそれぞれのみではアンテナ素子200より長さが短くなることが多い。しかし、例えば、右の上側のリム12Raと、左の上側のリム12Laとが、ブリッジ13を介してつながった場合、アンテナ素子200より長さが長くなる場合がある。導体102の長さが、アンテナ素子200の長さより長くなるとき、導体102とアンテナ素子200との間に不要共振が生じてしまう可能性がある。そのため、図7に示すように上下左右のリム12を、分断部103を用いて分断する。
【0057】
これにより、上下左右のリム(12Ra、12La、12Rbおよび12Lb)はそれぞれ長さがアンテナ素子200より短い独立した導体となるため、上下左右のリムのそれぞれとアンテナ素子200との間には、不要共振が生じない。よって、使用周波数でのアンテナ特性の劣化を防ぐことができる。
【0058】
〔実施形態3〕
実施形態1および実施形態2では、導体の両端が開放端または短絡端である場合を例に説明を行ったが、導体はこれに限定されない。導体の一端が短絡端であり、他の一端が開放端であってもよい。
【0059】
以下、本発明の他の実施形態(実施形態3)について、図8から図10を参照して説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態1にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0060】
(無線通信機4の内部構成)
図8は、導体402の一端が回路GND(グランド)404と短絡している無線通信機4の内部構成を示す図である。図8に示すように、無線通信機4は、給電部101、分断部103、アンテナ素子400、導体402および回路GND404を備えている。
【0061】
図8に示すように、無線通信機4のアンテナ素子400は、リム12の上側のリム12aに配置されている。また、リム12の下側のリム12bおよびテンプル14は、アンテナ素子400とは異なる導体402を構成している。給電部101は、リム12a上の智16よりブリッジ13に近い位置に配置されている。また、給電部101は、アンテナ素子200のブリッジ13側の一端に接続されている。なお、給電部101が配置される位置はこれに限定されず、ブリッジ13上に配置されていてもよい。
【0062】
導体402のうち分断部103によって分断されたリム12bにおけるブリッジ13側の一端は、回路GND404と短絡された短絡端であり、他方(智16側)の一端は、開放端である。リム12bは、図8に示すように、アンテナ素子400に近接した位置に配置されている。また、アンテナ素子400と導体402とのなす角は、90度以上になるように配置されている。
【0063】
リム12bはブリッジ13側で短絡端、智16側で開放端であり、このときのリム12b上の電流振幅は図3および図5で説明したとおり、短絡端では電流振幅最大、開放端では電流振幅0となる。ここで、リム12a(アンテナ素子400)とリム12bとはほぼ同じ長さで、両者ともアンテナ素子400が通信を行うために使用する周波数fの波長λの4分の1波長でちょうど共振するような構成になっている。つまり、リム12bの長さは、使用周波数fの4分の1波長である。このようにアンテナ素子400に近接した位置に配置されており、アンテナ素子400とリム12bとのなす角が、90度以上になるように配置されているアンテナ素子400とリム12bとは半波長ダイポールアンテナとして動作する。これにより、回路GND404の影響を低減することができる。したがって、好適にアンテナ特性を向上させることができる。
【0064】
なお、リム12bの長さが、使用周波数fの4分の1波長であることを例に説明を行ったが、リム12bの長さは、これに限定されない。リム12bの長さは、アンテナ素子400とリム12bとが半波長ダイポールアンテナとして動作できる長さであればよく、例えば、使用周波数fの波長の16分の3から4分の1の長さであればよい。
【0065】
(変形例)
図8では、アンテナ素子400がリム12aに配置されているとき、リム12bと半波長ダイポールアンテナとして働くことについて説明を行ったが、本発明はこれに限定されない。
【0066】
図9は、アンテナ素子400が左の上側のリム12Laに配置されているときの、無線通信機4の全体を示す図である。図9に示すように、アンテナ素子400が左の上側のリム12Laに配置されており、給電部101がアンテナ素子400のブリッジ13側の一端に接続しているとする。このとき、右の上側のリム12Raが給電部101に近接した位置で回路GND404に短絡しており、アンテナ素子400とリム12Raとのなす角が90度以上である場合、アンテナ素子400は、右の上側のリム12Raと半波長ダイポールアンテナとして働くことが可能である。
【0067】
同様に、右の下側のリム12Rbが給電部101に近接した位置で回路GND404に短絡しており、アンテナ素子400とリム12Rbとのなす角が90度以上である場合、アンテナ素子400は、右の下側のリム12Rbと半波長ダイポールアンテナとして働くことが可能である。
【0068】
また、アンテナ素子400が左の上側のリム12Laに配置されており、給電部101がリム12La上のブリッジ13より智16に近い位置に配置されているとする。つまり、給電部101がアンテナ素子400の智16側の一端に接続しているとする。このとき、左の下側のリム12Laが給電部101に近接した位置で回路GND404に短絡しており、アンテナ素子400とリム12Laとのなす角が90度以上である場合、アンテナ素子400は、左の下側のリム12Laと半波長ダイポールアンテナとして働くことが可能である。同様に、テンプル14が給電部101に近接した位置で回路GND404に短絡しており、アンテナ素子400とテンプル14とのなす角が90度以上である場合、アンテナ素子400は、テンプル14と半波長ダイポールアンテナとして働くことが可能である。なお、給電部101が配置される位置はこれに限定されず、智16上に配置されていてもよい。
【0069】
また、本実施形態において、アンテナ素子400が配置される位置は、左の上側のリム12Laであることを例に説明を行ったが、アンテナ素子100が配置される位置はこれに限定されない。アンテナ素子100は、左の下側のリム12Lbであってもよいし、右の上側のリム12Raであってもよいし、右の下側のリム12Rbであってもよい。
【0070】
図10に導体の両端の状態と共振する時の波長の長さとの関係を示す。図10(b)は、図10(a)に示すような端Aと端Bとを有した導体102(202、302または402)の両端の状態と共振する時の波長の長さとの関係を示す図である。
【0071】
図10(b)に示すように、端Aが開放端であり、端Bが開放端である(ケース1)とき、実施形態1で説明したとおり、波長をλとすると、共振する時の波長(共振モード)はλ/2である。端Aが短絡端であり、端Bが短絡端である(ケース4)とき、共振モードはλ/2である。
【0072】
また、端Aが開放端であり端Bが短絡端である(ケース2)とき、および、端Aが短絡端であり端Bが開放端である(ケース3)とき、本実施形態で説明したとおり共振モードはλ/4である。
【0073】
このように、アンテナ素子400と半波長ダイポールアンテナとして働くことが可能な導体402は、一端が短絡端で他端が開放端であればよい。
【0074】
また、分断部103によって分断された導体402の何れか一つ(例えばリム12b)がアンテナ素子400に励起される電流によって誘導電流が生じるような位置に配置する。この導体402の何れか一つの導体は、一端が短絡端で他端が開放端である。また、上記一つの導体の短絡端のほうが開放端よりも給電部101に近い位置に配置する。さらに、アンテナ素子400と上記一つの導体とのなす角が90度以上になるように配置する。これにより、アンテナ素子400は、上記一つの導体と半波長ダイポールアンテナとして働くことが可能である。よって、さらにアンテナ特性を向上させることができる。
【0075】
〔実施形態4〕
実施形態1から3では、眼鏡型の形状を有した無線通信機について説明を行ったが、本発明における無線通信機はこれに限定されない。例えば、無線通信機は、携帯電話端末等の携帯端末機器であってもよい。以下、本発明の他の実施形態(実施形態4)について、図11および図12を参照して説明すれば、以下のとおりである。
【0076】
(無線通信機5の構成)
図11は、携帯電話端末型を有した無線通信機5の構成を示す図である。図11に示すように、無線通信機5は、導体502および分断部503を含んでいる。導体502は、無線通信機5の外周に沿って配置されている。導体502は、無線通信機5の飾りとしての部材であり、帯状の形状を有している。また導体502は、電気的に機能をしていない部材である。導体502の材料としては、例えば、金属(例えば、チタン、チタン合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金、ニッケルクロム合金、及び、ステンレスなど)等を用いることができるが、これに限定されない。なお、導体502の形状は帯状に限定されない。
【0077】
分断部503は、導体502を分断するように配置されている絶縁体である。分断部503は、導体502の長さが使用周波数の波長の4分の1以下になるように導体502を分断する。また、無線通信機5は、分断された導体502の各々が、無線通信機5のグランドと非接続(両端が開放端)となる、または、グランドと導通(両端が短絡端)となるようにする。
【0078】
このように、導体502が飾りとして配置された無線通信機5であっても、当該導体502の長さが使用周波数の波長の4分の1以下になるように分断部503を配置することにより、アンテナ特性の劣化を防ぐことができる。
【0079】
(変形例)
次に、携帯電話端末を有した無線通信機の他の例について説明する。図12は、携帯電話端末型を有した無線通信機6の構成を示す図である。
【0080】
(無線通信機6の構成)
図12(a)は、無線通信機6の上面図であり、図12(b)は無線通信機6のそくめん図である。図12(a)および(b)に示すように、無線通信機6は、アンテナ素子600、導体602および間隙(分断部)603を含んでいる。導体602は、無線通信機6の本体を固定するための部材であり、大板金602aと小板金602bとを含んでいる。
【0081】
小板金602bは、アンテナ素子600と樹脂などを介して固着している。小板金602bの長手方向の長さL(図12(a)の横方向の長さ)は、使用周波数の波長の4分の1以下である。このとき、大板金602aと小板金602bとが接続すると、これらの長手方向の長さは、図12(b)の縦方向の長さとなり、アンテナ素子600の長さより長くなってしまう可能性がある。そのため。大板金602aと小板金602bとが接続しないように、間隙603を形成する。これにより、大板金602aと小板金602bとは絶縁される。
【0082】
〔実施形態5〕
本実施形態では、時計型の形状を有した無線通信機について説明を行う。以下、本発明の他の実施形態(実施形態5)について、図13を参照して説明すれば、以下のとおりである。
【0083】
(無線通信機7の構成)
図13は、時計型を有した無線通信機7の構成を示す図である。図13に示すように、無線通信機7は、導体702および連結軸(分断部)703を含んでいる。また、無線通信機7は、GPSやBluetooth(登録商標)などの無線機能を有しているとする。
【0084】
導体702は、複数のパーツが連結軸703で連結されており、バンド状になっている。導体702の材料としては、例えば、金属(例えば、チタン、チタン合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金、ニッケルクロム合金、及び、ステンレスなど)等を用いることができるが、これに限定されない。
【0085】
連結軸703、非導体(絶縁体)である。つまり、導体702の各パーツが絶縁されるように配置されている。GPSの使用周波数における4分の1波長は、およそ50mmであり、Bluetoothの使用周波数における4分の1波長は、およそ30mmである。そのため、連結軸703を用いることにより、導体702の各パーツを使用周波数の波長の4分の1以下にすることができる。これにより、アンテナ特性の劣化を防ぐことができる。
【0086】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、無線通信機の製造分野に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 無線通信機
11 接眼部
12 リム
13 ブリッジ
14 テンプル
15 モダン
16 智
17 蝶番
18 パッド
19 クリングス
100 アンテナ素子
101 給電部
102 導体
103 分断部
2 無線通信機
200 アンテナ素子
202 導体
3 無線通信機
300 アンテナ素子
302 導体
4 無線通信機
400 アンテナ素子
402 導体
404 回路GND(グランド)
5 無線通信機
502 導体
503 分断部
6 無線通信機
600 アンテナ素子
602 導体
603 間隙(分断部)
7 無線通信機
702 導体
703 連結軸(分断部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行うためのアンテナ素子と、上記アンテナ素子に電力を供給する給電部とを備えた無線通信機であって、
上記アンテナ素子とは異なる導体と、上記導体を分断するための絶縁体である分断部とを更に備え、
上記分断部は、当該導体の長さが、上記アンテナ素子が通信を行うために使用する使用周波数の波長の4分の1以下となるように当該導体を分断するように配置されていることを特徴とする無線通信機。
【請求項2】
上記分断部によって分断されている上記導体の両端が開放端となっていることを特徴とする請求項1に記載の無線通信機。
【請求項3】
上記分断部によって分断されている上記導体の両端が短絡端となっていることを特徴とする請求項1に記載の無線通信機。
【請求項4】
上記分断部によって分断されている上記導体のうちの一つの導体は、一端がグランドと短絡した短絡端であり、他端が開放端であり、上記アンテナ素子に励起される電流によって誘導電流が生じるような位置に配置され、上記使用周波数の波長の16分の3から4分の1の長さであり、
上記短絡端は上記開放端よりも上記給電部に近く、
上記一つの導体と上記アンテナ素子とのなす角が90度以上であることを特徴とする請求項1に記載の無線通信機。
【請求項1】
無線通信を行うためのアンテナ素子と、上記アンテナ素子に電力を供給する給電部とを備えた無線通信機であって、
上記アンテナ素子とは異なる導体と、上記導体を分断するための絶縁体である分断部とを更に備え、
上記分断部は、当該導体の長さが、上記アンテナ素子が通信を行うために使用する使用周波数の波長の4分の1以下となるように当該導体を分断するように配置されていることを特徴とする無線通信機。
【請求項2】
上記分断部によって分断されている上記導体の両端が開放端となっていることを特徴とする請求項1に記載の無線通信機。
【請求項3】
上記分断部によって分断されている上記導体の両端が短絡端となっていることを特徴とする請求項1に記載の無線通信機。
【請求項4】
上記分断部によって分断されている上記導体のうちの一つの導体は、一端がグランドと短絡した短絡端であり、他端が開放端であり、上記アンテナ素子に励起される電流によって誘導電流が生じるような位置に配置され、上記使用周波数の波長の16分の3から4分の1の長さであり、
上記短絡端は上記開放端よりも上記給電部に近く、
上記一つの導体と上記アンテナ素子とのなす角が90度以上であることを特徴とする請求項1に記載の無線通信機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−30920(P2013−30920A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164630(P2011−164630)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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