説明

無線通信端末、中継方法、およびプログラム

【課題】他の無線通信端末20を介してデータを無線により中継するシステムにおいて、データの送信を迅速に開始すると共に、トラフィックの増加を抑えることができる無線通信端末20を提供する。
【解決手段】本発明の無線通信端末20は、一度送信したことのあるパケット、2度受信したことのあるパケット、または所定の閾値以上の受信電力で受信したパケットの中継を行わない。また、無線通信端末20は、一度送信したことのあるパケットまたは所定の閾値未満の受信電力で受信したパケットの中継を行わないようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信によりデータを送信する無線通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、複数の無線通信端末が存在する通信環境において、それぞれの無線通信端末が、専用の通信パケットを互いにやり取りし、他のそれぞれの無線通信端末へデータを送信する際に中継装置として機能すべき無線通信端末を特定することにより、データを送信する際の最適な中継ルートを求める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−306585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、車両間で無線による通信を行うことにより、事故や渋滞等の情報を、近くの車両を介して、離れた位置にいる車両へ順次伝達し、危険の回避や渋滞の緩和に役立てる技術の開発が進められている。このような技術分野に対して上記した特許文献1に開示された技術を適用する場合、以下のような問題がある。
【0005】
まず、上記した特許文献1の技術では、中継を行う無線通信端末は移動しないことが前提となっている。そのため、車両に搭載された無線通信端末を中継装置にする場合、各車両の位置が時々刻々と変化するため、短い周期で中継ルートの探索を繰り返さなければならず、中継ルートを特定するための専用パケットでトラフィックが圧迫されてしまう。
【0006】
データの送信を行う段階で中継ルートを求めることも考えられるが、その場合、中継ルートが確定するまでデータの送信を開始することができず、データの送信に遅延が生じてしまう。特に高速移動体の無線通信では、周囲に存在する無線通信端末の位置が短時間のうちに変わってしまい、中継ルートを頻繁に算出しなおすことが必要になる。この場合、データの送信を開始することができない事態が頻発し、スループット低下の要因になる。
【0007】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、他の無線通信端末を介してデータを無線により中継するシステムにおいて、データの送信を迅速に開始すると共に、トラフィックの増加を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
例えば、本発明の第一の態様は、無線通信によりデータを送受信する無線通信端末であって、
それぞれの通信パケットを識別するパケットIDを格納するID格納手段と、
他の無線通信端末と無線通信を行う無線通信手段と、
受信電力を測定する受信電力測定手段と、
前記無線通信手段を介して他の無線通信端末から受信した通信パケットに含まれているパケットIDを抽出し、抽出したパケットIDが前記ID格納手段内に格納されているか否かを判定するID比較手段と、
前記ID比較手段によって、他の無線通信端末から受信した通信パケットに含まれているパケットIDが、前記ID格納手段内に格納されていないと判定された場合に、当該通信パケットを受信した際の受信電力が、予め定められた閾値以上か否かを判定する受信電力判定手段と、
前記受信電力判定手段によって、通信パケットを受信した際の受信電力が予め定められた閾値未満であると判定された場合に、当該通信パケットのパケットIDを前記ID格納手段に格納させると共に、当該通信パケットを前記無線通信手段に送信させる中継制御手段と
を備えることを特徴とする無線通信端末を提供する。
【0009】
また、本発明の第2の態様は、無線通信によりデータを送受信する無線通信端末であって、
それぞれの通信パケットを識別するパケットIDを格納するID格納手段と、
他の無線通信端末と無線通信を行う無線通信手段と、
受信電力を測定する受信電力測定手段と、
前記無線通信手段を介して他の無線通信端末から受信した通信パケットに含まれているパケットIDを抽出し、抽出したパケットIDが前記ID格納手段内に格納されているか否かを判定するID比較手段と、
前記ID比較手段によって、他の無線通信端末から受信した通信パケットに含まれているパケットIDが、前記ID格納手段内に格納されていないと判定された場合に、当該通信パケットを受信した際の受信電力が、予め定められた閾値以上か否かを判定する受信電力判定手段と、
前記受信電力判定手段によって、通信パケットを受信した際の受信電力が予め定められた閾値以上であると判定された場合に、当該通信パケットのパケットIDを前記ID格納手段に格納させると共に、当該通信パケットを前記無線通信手段に送信させる中継制御手段と
を備えることを特徴とする無線通信端末を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の無線通信端末によれば、他の無線通信端末を介してデータを無線により中継するシステムにおいて、データの送信を迅速に開始すると共に、トラフィックの増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態を説明するための無線通信システム10のシステム構成図である。
【図2】第1の実施形態における無線通信端末20の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】データパケットの構成の一例を示す概念図である。
【図4】第1の実施形態における無線通信端末20の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態を説明するための無線通信システム10のシステム構成図である。
【図6】第2の実施形態における無線通信端末20の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図7】第2の実施形態における無線通信端末20の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】無線通信端末20の機能を実現するコンピュータ40の構成の一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
第1の実施形態は、ある無線通信端末が、自身の通信可能範囲の外に存在している無線通信端末宛にデータパケットを送信する時、他の無線通信端末にデータパケットを中継させて、データパケットを宛先の無線通信端末へ届ける動作を表したものである。
【0014】
このとき、送信元の無線通信端末の近傍に位置する無線通信端末には中継を行わせないことにより、少ない中継回数で宛先の無線通信端末にデータパケットを送ることができる点が特徴である。これにより、無駄な中継送信パケットを減らし、通信効率を向上させることができる。
【0015】
図1は、第1の実施形態を説明するための無線通信システム10のシステム構成図である。無線通信システム10は、複数の車両11のそれぞれに搭載された無線通信端末20を備える。
【0016】
図1において、符号12は、車両11−1に搭載されている無線通信端末20−1であって、データパケットを送信する無線通信端末20−1の通信可能範囲の境界を示している。また、符号13は、無線通信端末20−1から送信された電波を、予め定められた電力以上で受信可能な範囲の境界を示している。
【0017】
本実施形態では、他の無線通信端末20からデータパケットを、所定の電力以上で受信した無線通信端末20(図1の例では、破線円内の無線通信端末20−2や20−3)は、受信したデータパケットの中継を行わない。一方、他の無線通信端末20からデータパケットを、所定の電力未満で受信した無線通信端末20(図1の例では、破線円外の無線通信端末20−4)は、受信したデータパケットを中継のために送信する。
【0018】
無線通信端末20−2や20−3は、無線通信端末20−1から発信されたデータパケットを中継しないため、無線チャネル上のトラフィックの増大を抑えることができる。また、無線通信端末20−2〜4の通信可能範囲内に位置する車両11−5に搭載されている無線通信端末20−5は、無線通信端末20−2や20−3からデータパケットが送信されないため、無線通信端末20−4を介して無線通信端末20−1から発信されたデータパケットを、低い衝突確率でより確実に受信することができる。
【0019】
図2は、第1の実施形態における無線通信端末20の機能構成の一例を示すブロック図である。無線通信端末20は、無線通信部21、アプリケーション処理部22、中継制御部23、ID比較部24、ID格納部25、受信電力判定部26、および中継残回数変更部27を有する。
【0020】
まず、各車両11に搭載されている無線通信端末20の送信動作について説明する。
【0021】
アプリケーション処理部22は、例えば図3に示すような構造のデータパケットを生成し、生成したデータパケットを、無線通信部21に指示して他の無線通信端末20へ送信させる。
【0022】
図3は、データパケットの構成の一例を示す概念図である。図3に示すように、データパケットは、宛先アドレスや送信元アドレス等が格納されるヘッダ30、データパケットの中継回数の残りを示す中継残回数31、それぞれのデータパケットを識別するパケットID32、およびデータ本体が格納されるペイロード34を有する。緊急情報であるか否かなどを識別するためのパケットID33を設けてもよい。
【0023】
アプリケーション処理部22は、図3に例示したデータパケットにおいて、ヘッダ30に宛先アドレスや送信元アドレス等を格納し、パケットID32に当該データパケットを識別するIDを格納し、ペイロード34に送信対象のデータ本体を格納する。ペイロードに34に格納されるデータとしては、例えば、渋滞情報、路面情報、車両の位置情報等の車両の走行状況に関する情報、テキストや音声等のアプリケーションデータ等がある。
【0024】
無線通信部21は、アプリケーション処理部22からの指示に応じて、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access / Collision Avoidance)の制御に従って送信可能か否かを判定する。そして、送信可能と判定した場合に、無線通信部21は、アプリケーション処理部22から受け取った緊急情報を含まないデータパケットに対して、符号化や誤り訂正等を施し、符号化や誤り訂正等が施されたデータパケットに応じて所定の変調を加えた電波を、アンテナ28を介して送信する。
【0025】
次に、車両11−1の近傍に位置する車両11−2〜5に搭載されている無線通信端末20−2〜5の受信動作と中継動作について説明する。
【0026】
無線通信部21は、アンテナ28を介して他の無線通信端末20から受信した電波を復調し、復号化や誤り訂正等を行う。そして、無線通信部21は、復号化や誤り訂正等が施されたデータパケットの種別を参照して当該データパケットに緊急情報が含まれているか否かを判定する。
【0027】
無線通信部21は、受信したデータパケットをアプリケーション処理部22およびID比較部24に提供する。アプリケーション処理部22は、無線通信部21から提供されたデータパケットを処理する。なお、無線通信部21は、電波の受信電力を測定する機能を有しており、受信したデータパケットをID比較部24に提供する際に、当該データパケットを受信した際の電波の受信電力を示す情報も併せてID比較部24に提供する。
【0028】
ID格納部25には、ID比較部24によってパケットIDが格納される。ID格納部25は、少なくとも数十個程度のパケットIDが格納可能な容量を有することが好ましい。ID格納部25内に容量いっぱいまでパケットIDが格納された場合、ID比較部24は、例えば最も古く格納されたパケットIDを、新たに格納すべきパケットIDで上書きする。
【0029】
ID比較部24は、無線通信部21からデータパケットを受け取った場合に、当該データパケットに含まれているパケットIDを抽出し、抽出したパケットIDを中継制御部23へ送る。そして、ID比較部24は、ID格納部25を参照し、抽出したパケットIDと同一のパケットIDがID格納部25内に格納されているか否かを判定する。
【0030】
無線通信部21から受け取ったデータパケットから抽出したパケットIDが、ID格納部25内に既に格納されている場合、ID比較部24は、無線通信部21から受け取ったデータパケットを破棄する。一方、無線通信部21から受け取ったデータパケットから抽出したパケットIDが、ID格納部25内に格納されていない場合、ID比較部24は、当該データパケットおよび当該データパケットと共に無線通信部21から受け取った受信電力を示す情報を受信電力判定部26へ送り、当該データパケットに含まれるパケットIDをID格納部25へ格納する。
【0031】
受信電力判定部26は、ID比較部24からデータパケットと共に受信電力を示す情報を受け取った場合に、当該受信電力が、予め定められた閾値未満か否かを判定する。受信電力が予め定められた閾値以上である場合、受信電力判定部26は、当該データパケットを破棄する。一方、受信電力が予め定められた閾値未満である場合、受信電力判定部26は、ID比較部24から受け取ったデータパケットを中継残回数変更部27へ送る。
【0032】
中継残回数変更部27は、受信電力判定部26からデータパケットを受け取った場合に、受け取ったデータパケットから中継残回数を抽出し、抽出した中継残回数が0か否かを判定する。中継残回数が0である場合、中継残回数変更部27は、当該データパケットを破棄する。
【0033】
一方、中継残回数が0でない場合、中継残回数変更部27は、当該中継残回数から1を減じた情報で、受信電力判定部26から受け取ったデータパケット内の中継残回数を書き換え、中継残回数を書き換えたデータパケットを中継制御部23へ送る。
【0034】
中継制御部23は、中継残回数変更部27から中継残回数が書き換えられたデータパケットを受け取った場合に、当該データパケットの送信を無線通信部21に指示する。無線通信部21は、中継制御部23からの指示に応じて、CSMA/CAの制御に従って送信可能か否かを判定する。
【0035】
そして、送信可能と判定した場合に、無線通信部21は、中継制御部23から受け取った緊急情報を含むデータパケットに対して、符号化や誤り訂正等を施し、符号化や誤り訂正等が施されたデータパケットに応じて所定の変調を加えた電波を、アンテナ28を介して送信する。そして、無線通信部21は、緊急情報を含むデータパケットの送信完了を中継制御部23に通知する。
【0036】
なお、無線通信部21がCSMA/CAの制御に従って緊急情報を含むデータパケットの送信が可能か否か判定している間に、当該データパケットに含まれているパケットIDと同一のパケットIDをID比較部24から受け取った場合、中継制御部23は、当該データパケットの送信を中止するよう無線通信部21に指示すると共に、当該データパケットを破棄する。
【0037】
図4は、第1の実施形態における無線通信端末20の動作の一例を示すフローチャートである。無線通信部21が他の無線通信端末20からデータパケットを受信した場合に、無線通信端末20は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0038】
まず、ID比較部24は、無線通信部21から受け取ったデータパケットに含まれているパケットIDを抽出し、抽出したパケットIDを中継制御部23へ送る。そして、ID比較部24は、ID格納部25を参照し、抽出したパケットIDと同一のパケットIDがID格納部25内に存在するか否かを判定する(S100)。
【0039】
同一のパケットIDがID格納部25内に存在する場合(S100:Yes)、ID比較部24は、無線通信部21から受け取ったデータパケットを破棄し(S108)、無線通信端末20は、本フローチャートに示した動作を終了する。一方、同一のパケットIDがID格納部25内に存在しない場合(S100:No)、ID比較部24は、無線通信部21から受け取ったデータパケットおよび当該データパケットと共に無線通信部21から受け取った受信電力を示す情報を受信電力判定部26へ送り、当該データパケットに含まれるパケットIDをID格納部25へ格納する(S101)。
【0040】
次に、受信電力判定部26は、受信電力が予め定められた閾値未満か否かを判定する(S102)。受信電力が予め定められた閾値以上である場合(S102:No)、受信電力判定部26は、ID比較部24から受け取ったデータパケットを破棄する(S108)。
【0041】
一方、受信電力が予め定められた閾値未満である場合(S102:Yes)、受信電力判定部26は、ID比較部24から受け取ったデータパケットを中継残回数変更部27へ送る。中継残回数変更部27は、受信電力判定部26から受け取ったデータパケットから中継残回数を抽出し、抽出した中継残回数が0か否かを判定する(S103)。
【0042】
中継残回数が0である場合(S103:Yes)、中継残回数変更部27は、受信電力判定部26から受け取ったデータパケットを破棄する(S108)。一方、中継残回数が0でない場合(S103:No)、中継残回数変更部27は、当該中継残回数から1を減じた情報で、受信電力判定部26から受け取ったデータパケット内の中継残回数を書き換え(S104)、中継残回数を書き換えたデータパケットを中継制御部23へ送る。
【0043】
次に、中継制御部23は、中継残回数変更部27から受け取った、中継残回数が書き換えられたデータパケットの送信を無線通信部21に指示する。無線通信部21は、中継制御部23からの指示に応じて、CSMA/CAの制御に従って送信可能か否かを判定する(S105)。
【0044】
送信可能である場合(S105:Yes)、無線通信部21は、中継制御部23から受け取ったデータパケットに対して、符号化や誤り訂正等を施し、符号化や誤り訂正等が施されたデータパケットに応じて所定の変調を加えた電波を、アンテナ28を介して送信する(S106)。そして、無線通信部21は、データパケットの送信完了を中継制御部23に通知し、無線通信端末20は、本フローチャートに示した動作を終了する。
【0045】
送信可能でない場合(S105:No)、中継制御部23は、送信対象のデータパケットに含まれているパケットIDと同一のパケットIDをID比較部24から受け取ったか否かを判定する(S107)。同一のパケットIDをID比較部24から受け取っていない場合(S107:No)、無線通信部21は、再びステップS105に示した処理を実行する。
【0046】
一方、同一のパケットIDをID比較部24から受け取った場合(S107:Yes)、中継制御部23は、当該データパケットの送信を中止するよう無線通信部21に指示すると共に、当該データパケットを破棄し(S108)、無線通信端末20は、本フローチャートに示した送信処理を終了する。
【0047】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
【0048】
上記説明から明らかなように、本実施形態によれば、図1中の車両11−1に搭載されている無線通信端末20−1は、通信可能範囲の外に存在している無線通信端末20−5宛にデータパケットを送信する時、一定距離はなれた無線通信端末20−4にデータパケットを中継させることにより、少ない中継回数でデータパケットを宛先の無線通信端末へ届けることができる。
【0049】
また、図1中の無線通信端末20−1が送信したデータパケットを、予め定められた閾値未満の受信電力でデータパケットを受信した無線通信端末20−4が、受信したデータパケットを中継するため、データパケットを送信する無線通信端末20の数が制限され、トラフィックを増加させることなく、遠く離れた車両11の無線通信端末20にデータパケットを効率よく届けることができる。
【0050】
また、本実施形態の図1中の無線通信端末20−4は、一度送信したことのあるデータパケット、2回以上受信したことのあるデータパケット、および中継残回数が0となっているデータパケットを中継しないため、トラフィックの増加をさらに低く抑えることができる。
【0051】
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0052】
第2の実施形態は、無線通信端末を搭載している車両が事故などの緊急事態を検出した時、緊急事態を示す緊急情報を含むデータパケットなどを無線通信端末から送信し、周辺に存在する車両全てに搭載されている無線通信端末に、当該データパケットを中継させる動作を表したものである。
【0053】
このとき、中継動作を行わせる無線通信端末を、緊急事態を検出した車両の近傍に存在するものに限定し、また、中継回数を制限することにより、トラフィックの増加を抑えることができる。
【0054】
図5は、第2の実施形態を説明するための無線通信システム10のシステム構成図である。なお、以下に説明する点を除き、図5において、図1と同じ符号を付した構成は、図1における構成と同一または同様であるため説明を省略する。
【0055】
車両11−6の無線通信端末20−6は、障害物14がなければ車両11−1の無線通信端末20−1から送信されたデータフレームを受信することが可能な距離に位置しているが、障害物14があるために、無線通信端末20−1から送信される電波が遮断され、無線通信端末20−6は無線通信端末20−1からの電波を直接受信することができない。
【0056】
事故現場の近傍に位置する車両の乗員は、事故に関する情報を一刻も早く知ることにより、多重事故の回避が可能となる。そのため、本実施形態の無線通信端末20は、所定以上の受信電力で緊急情報を含むデータパケットを受信した無線通信端末20(図5の例では無線通信端末20−2および20−3)が、受信したデータパケットを中継する。
【0057】
これにより、事故車両11−1の近傍に位置するが、車両11−1に搭載された無線通信端末20−1からの電波を直接受信できない無線通信端末20−6に対して、迅速かつ確実に緊急情報を通知することができる。
【0058】
図6は、第2の実施形態における無線通信端末20の機能構成の一例を示すブロック図である。なお、図6において、図2と同じ符号を付した構成は、以下に説明する点を除き、図1における構成と同一または同様であるため説明を省略する。また、緊急事態が発生していない通常の状態において各車両11に搭載されている無線通信端末20の動作は、第1の実施形態における段落[0018]から[0022]において説明した動作と同様であるため、説明を省略する。ここでは、事故を起こした車両11−1に搭載されている無線通信端末20−1の動作と、事故を起こした車両11−1の近傍に位置する車両11−2、3、6、または7に搭載されている無線通信端末20−2、3、6、または7の動作について以下に説明する。
【0059】
まず、図6を用いて、事故を起こした車両11−1に搭載されている無線通信端末20−1の動作について説明する。
【0060】
アプリケーション処理部22は、例えば図3に示したような、緊急情報を含むデータパケットを作成する。アプリケーション処理部22は、例えば、ヘッダ30に宛先アドレスや送信元アドレスなどを格納し、中継残回数31に中継回数の残りを示す値として例えば「1」を格納し、パケットID32に当該データパケットを識別するIDを格納し、種別33に当該データパケットは緊急情報である旨を示す情報を格納し、ペイロード34に緊急情報を格納する。
【0061】
そして、アプリケーション処理部22は、生成した緊急情報を含むデータパケットを、無線通信部21に指示して他の無線通信端末20へ送信させる。無線通信部21は、アプリケーション処理部22からの指示に応じて、CSMA/CAの制御に従って送信可能か否かを判断する。そして、送信可能と判断した場合に、無線通信部21は、アプリケーション処理部22から受け取った緊急情報を含むデータパケットに対して、符号化や誤り訂正を施し、符号化や誤り訂正等が施されたデータパケットに応じて所定の変調を加えた電波を、アンテナ28を介して送信する。
【0062】
次に、図6を用いて、事故を起こした車両11−1の近傍に位置する車両11−2、3、6または7に搭載されている無線通信端末20−2、3、6または7の動作について説明する。
【0063】
ID比較部24は、無線通信部21からデータパケットを受け取った場合に、当該データパケットに含まれているパケットIDを抽出する。そして、ID比較部24は、ID格納部25を参照し、抽出したパケットIDと同一のパケットIDがID格納部25内に格納されているか否かを判定する。
【0064】
無線通信部21から受け取ったデータパケットから抽出したパケットIDが、ID格納部25内に既に格納されている場合、ID比較部24は、無線通信部21から受け取ったデータパケットを破棄する。一方、無線通信部21から受け取ったデータパケットから抽出したパケットIDが、ID格納部25内に格納されていない場合、ID比較部24は、当該データパケットおよび当該データパケットと共に無線通信部21から受け取った受信電力を示す情報を受信電力判定部26へ送り、当該データパケットに含まれるパケットIDをID格納部25へ格納する。
【0065】
受信電力判定部26は、ID比較部24からデータパケットと共に受信電力を示す情報を受け取った場合に、当該受信電力が、予め定められた閾値以上か否かを判定する。受信電力が予め定められた閾値未満である場合、受信電力判定部26は、ID比較部24から受け取ったデータパケットを破棄する。一方、受信電力が予め定められた閾値以上である場合、受信電力判定部26は、ID比較部24から受け取ったデータパケットを中継残回数変更部27へ送る。
【0066】
中継制御部23は、中継残回数変更部27から中継残回数が書き換えられたデータパケットを受け取った場合に、当該データパケットの送信を無線通信部21に指示する。無線通信部21は、中継制御部23からの指示に応じて、CSMA/CAの制御に従って送信可能か否かを判定する。
【0067】
そして、送信可能と判定した場合に、無線通信部21は、中継制御部23から受け取った緊急情報を含むデータパケットに対して、符号化や誤り訂正等を施し、符号化や誤り訂正等が施されたデータパケットに応じて所定の変調を加えた電波を、アンテナ28を介して送信する。そして、無線通信部21は、緊急情報を含むデータパケットの送信完了を中継制御部23に通知する。
【0068】
本実施形態において、中継制御部23は、受信したデータパケットの中継残回数が0でなければ、受信したデータパケットを、中継のために1回は送信する。
【0069】
図7は、第2の実施形態における無線通信端末20の動作の一例を示すフローチャートである。
【0070】
ステップS100において、無線通信部21から受け取ったデータパケットと同一のパケットIDがID格納部25内に存在する場合(S100:Yes)、ID比較部24は、無線通信部21から受け取ったデータパケットを破棄し(S108)、無線通信端末20は、本フローチャートに示した動作を終了する。一方、同一のパケットIDがID格納部25内に存在しない場合(S100:No)、ID比較部24は、無線通信部21から受け取ったデータパケットおよび当該データパケットと共に無線通信部21から受け取った受信電力を示す情報を受信電力判定部26へ送り、当該データパケットに含まれるパケットIDをID格納部25へ格納する(S101)。
【0071】
次に、受信電力判定部26は、受信電力が予め定められた閾値以上か否かを判定する(S200)。受信電力が予め定められた閾値未満である場合(S200:No)、受信電力判定部26は、ID比較部24から受け取ったデータパケットデータパケットを破棄する(S108)。一方、受信電力が予め定められた閾値以上である場合(S200:Yes)、受信電力判定部26は、ID比較部24から受け取ったデータパケットを中継残回数変更部27へ送る。
【0072】
ステップS103において、中継残回数が0でない場合(S103:No)、中継残回数変更部27は、当該中継残回数から1を減じた情報で、受信電力判定部26から受け取ったデータパケット内の中継残回数を書き換え(S104)、中継残回数を書き換えたデータパケットを中継制御部23へ送る。
【0073】
ステップS103において、中継残回数が0である場合(S103:Yes)、中継残回数変更部27は、受信電力判定部26から受け取ったデータパケットを破棄する(S108)。
【0074】
次に、中継制御部23は、中継残回数変更部27から受け取った、中継残回数が書き換えられたデータパケットの送信を無線通信部21に指示する。無線通信部21は、中継制御部23からの指示に応じて、CSMA/CAの制御に従って送信可能か否かを判定する(S105)。
【0075】
送信可能でない場合(S105:No)、無線通信部21は、再びステップS105に示した処理を実行する。送信可能である場合(S105:Yes)、無線通信部21は、中継制御部23から受け取った緊急情報を含むデータパケットに対して、符号化や誤り訂正等を施し、符号化や誤り訂正等が施されたデータパケットに応じて所定の変調を加えた電波を、アンテナ28を介して送信する(S106)。
【0076】
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
【0077】
上記説明から明らかなように、本実施形態によれば、閾値以上の受信電力でデータパケットを受信した無線通信端末20が、受信したデータパケットを中継するため、データパケットを送信する無線通信端末20の数が制限され、トラフィックを増加させることなく、緊急情報の発信元の無線通信端末20近傍の車両11に効率よく緊急情報を通知することができる。
【0078】
また、本実施形態の無線通信端末20は、一度送信したことのあるデータパケットおよび中継残回数が0となっているデータパケットを中継しないため、トラフィックの増加をさらに低く抑えることができる。
【0079】
ここで、実施形態1に記載した発明と実施形態2に記載した発明は、併用することもできる。
【0080】
例えば、無線通信端末20が図3に示すようなデータパケットを受信し、当該データパケットの種別33に緊急情報である旨の情報が格納されている場合、無線通信端末20は、実施形態2に示すデータパケットの中継動作を行う。
【0081】
一方、無線通信端末20が図3に示すようなデータパケットを受信し、当該データパケットの種別33に緊急情報である旨以外の情報が格納されている場合、無線通信端末20は、実施形態1に示すデータパケットの中継動作を行う。
【0082】
これにより、緊急情報を含むデータパケットを、事故などの緊急事態を検出した車両の近傍に存在する無線通信端末20のみに受信させ、また、緊急情報を含まないデータパケットは、データパケットを送信する無線通信端末20の通信可能範囲の外に存在する、他の無線通信端末20に受信させることができる。
【0083】
なお、上記第1または第2の実施形態における無線通信端末20は、例えば図8に示すような構成のコンピュータ40によって実現される。図8は、無線通信端末20の機能を実現するコンピュータ40の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ40は、CPU(Central Processing Unit)41、RAM(Random Access Memory)42、ROM(Read Only Memory)43、無線機44、および入出力インターフェイス(I/F)45を備える。
【0084】
CPU41は、ROM43に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM43は、コンピュータ40の起動時にCPU41によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ40のハードウェアに依存するプログラム、CPU41によって実行されるその他のプログラム等を格納する。
【0085】
無線機44は、アンテナ28を介して受信した電波を復調し、復号化や誤り訂正等を行い、復号化や誤り訂正等が施されたデータをCPU41に提供する。また、無線機44は、CPU41が生成したデータに、符号化や誤り訂正等を施し、符号化や誤り訂正等が施されたデータに応じて所定の変調を加えた電波をアンテナ28を介して送信する。
【0086】
入出力インターフェイス45は、キーパッド等の入力装置やLCD等の出力装置を制御し、入力装置から取得したデータをCPU41へ送ると共に、CPU41が生成したデータを出力装置へ送る。また、入出力インターフェイス45は、他の装置からプログラムまたはデータを取得し、RAM42を介してCPU41に提供する。
【0087】
CPU41は、入出力インターフェイス45を介して取得したプログラムをRAM42上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。コンピュータ40のCPU41は、RAM42上にロードされたプログラムを実行することにより、無線通信部21、アプリケーション処理部22、中継制御部23、ID比較部24、ID格納部25、受信電力判定部26、および中継残回数変更部27の各機能を実現する。
【0088】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0089】
例えば、上記した実施形態では、中継残回数および受信電力の閾値は固定であったが、他の形態として、緊急情報が含まれているデータパケットを中継する場合と、緊急情報が含まれていないデータパケットを中継する場合とで、中継残回数または受信電力の閾値の少なくともいずれか一方を変えるようにしてもよい。
【0090】
また、上記した実施形態では、パケットIDを比較した後に、受信電力を閾値と比較し、中継残回数が0か否かを判定したが、判定の順番はこれに限られない。例えば、受信電力を閾値と比較した後に、パケットIDを比較したり、中継残回数が0か否かを判定してもよい。
【0091】
また、上記した実施形態では、緊急情報を含むデータパケットの送信を例に説明したが、本発明の適用対象となる情報は緊急情報に限定されず、緊急情報以外の情報を送信する際にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0092】
10・・・無線通信システム、11・・・車両、12・・・境界、13・・・境界、14・・・障害物、20・・・無線通信端末、21・・・無線通信部、22・・・アプリケーション処理部、23・・・中継制御部、24・・・ID比較部、25・・・ID格納部、26・・・受信電力判定部、27・・・中継残回数変更部、28・・・アンテナ、30・・・ヘッダ、31・・・中継残回数、32・・・パケットID、33・・・種別、34・・・ペイロード、40・・・コンピュータ、41・・・CPU、42・・・RAM、43・・・ROM、44・・・無線通信器、45・・・入出力インターフェイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信によりデータを送受信する無線通信端末であって、
それぞれの通信パケットを識別するパケットIDを格納するID格納手段と、
他の無線通信端末と無線通信を行う無線通信手段と、
受信電力を測定する受信電力測定手段と、
前記無線通信手段を介して他の無線通信端末から受信した通信パケットに含まれているパケットIDを抽出し、抽出したパケットIDが前記ID格納手段内に格納されているか否かを判定するID比較手段と、
前記ID比較手段によって、他の無線通信端末から受信した通信パケットに含まれているパケットIDが、前記ID格納手段内に格納されていないと判定された場合に、当該通信パケットを受信した際の受信電力が、予め定められた閾値以上か否かを判定する受信電力判定手段と、
前記受信電力判定手段によって、通信パケットを受信した際の受信電力が予め定められた閾値未満であると判定された場合に、当該通信パケットのパケットIDを前記ID格納手段に格納させると共に、当該通信パケットを前記無線通信手段に送信させる中継制御手段と
を備えることを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信端末であって、
前記ID比較手段は、
前記無線通信手段を介して他の無線通信端末から受信した通信パケットから抽出したパケットIDを、前記中継制御手段へ送り、
前記中継制御手段は、
前記無線通信手段によって通信パケットの送信が開始される前に、当該通信パケットのパケットIDと同一のパケットIDを前記ID比較手段から受け取った場合には、当該通信パケットの送信中止を前記無線通信手段に指示すると共に、当該通信パケットを破棄することを特徴とする無線通信端末。
【請求項3】
無線通信によりデータを送受信する無線通信端末であって、
それぞれの通信パケットを識別するパケットIDを格納するID格納手段と、
他の無線通信端末と無線通信を行う無線通信手段と、
受信電力を測定する受信電力測定手段と、
前記無線通信手段を介して他の無線通信端末から受信した通信パケットに含まれているパケットIDを抽出し、抽出したパケットIDが前記ID格納手段内に格納されているか否かを判定するID比較手段と、
前記ID比較手段によって、他の無線通信端末から受信した通信パケットに含まれているパケットIDが、前記ID格納手段内に格納されていないと判定された場合に、当該通信パケットを受信した際の受信電力が、予め定められた閾値以上か否かを判定する受信電力判定手段と、
前記受信電力判定手段によって、通信パケットを受信した際の受信電力が予め定められた閾値以上であると判定された場合に、当該通信パケットのパケットIDを前記ID格納手段に格納させると共に、当該通信パケットを前記無線通信手段に送信させる中継制御手段と
を備えることを特徴とする無線通信端末。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の無線通信端末であって、
前記受信電力判定手段によって、通信パケットを受信した際の受信電力が予め定められた閾値未満であると判定された場合に、当該通信パケットから中継可能な残りの回数を示す中継残回数を抽出し、抽出した中継残回数が0である場合に、当該通信パケットを破棄し、抽出した中継残回数が1以上である場合に、当該中継残回数から1を減じた情報で、当該通信パケットの中継残回数を書き換える中継残回数変更手段
をさらに備え、
前記中継制御手段は、
前記中継残回数変更手段によって中継残回数が変更された通信パケットについて、当該通信パケットのパケットIDを前記ID格納手段に格納させると共に、当該通信パケットを前記無線通信手段に送信させることを特徴とする無線通信端末。
【請求項5】
無線通信によりデータを送受信する無線通信端末における中継方法であって、
前記無線通信端末は、
それぞれの通信パケットを識別するパケットIDを格納するID格納手段と、
他の無線通信端末と無線通信を行う無線通信手段と
を備え、
受信電力を測定する受信電力測定ステップと、
前記無線通信手段を介して他の無線通信端末から受信した通信パケットに含まれているパケットIDを抽出し、抽出したパケットIDが前記ID格納手段内に格納されているか否かを判定するID比較ステップと、
前記ID比較ステップにおいて、他の無線通信端末から受信した通信パケットに含まれているパケットIDが、前記ID格納手段内に格納されていないと判定した場合に、当該通信パケットを受信した際の受信電力が、予め定められた閾値以上か否かを判定する受信電力判定ステップと、
前記受信電力判定ステップにおいて、通信パケットを受信した際の受信電力が予め定められた閾値未満であると判定された場合に、当該通信パケットのパケットIDを前記ID格納手段に格納させると共に、当該通信パケットを前記無線通信手段に送信させる中継制御ステップと
を実行することを特徴とする中継方法。
【請求項6】
コンピュータを、無線通信によりデータを送受信する無線通信端末として機能させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
それぞれの通信パケットを識別するパケットIDを管理するID管理機能、
他の無線通信端末と無線通信を行う無線通信機能、
受信電力を測定する受信電力測定機能、
前記無線通信機能を介して他の無線通信端末から受信した通信パケットに含まれているパケットIDを抽出し、抽出したパケットIDが前記ID管理機能によって管理されているパケットID内に含まれているか否かを判定するID比較機能、
前記ID比較機能によって、他の無線通信端末から受信した通信パケットに含まれているパケットIDが、前記ID管理機能によって管理されているパケットID内に含まれていないと判定された場合に、当該通信パケットを受信した際の受信電力が、予め定められた閾値以上か否かを判定する受信電力判定機能、および
前記受信電力判定機能によって、通信パケットを受信した際の受信電力が予め定められた閾値未満であると判定された場合に、当該通信パケットのパケットIDを前記ID管理機能によって管理されているパケットIDに追加すると共に、当該通信パケットを前記無線通信機能に送信させる中継制御機能
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
無線通信によりデータを送受信する無線通信端末における中継方法であって、
前記無線通信端末は、
それぞれの通信パケットを識別するパケットIDを格納するID格納手段と、
他の無線通信端末と無線通信を行う無線通信手段と
を備え、
受信電力を測定する受信電力測定ステップと、
前記無線通信手段を介して他の無線通信端末から受信した通信パケットに含まれているパケットIDを抽出し、抽出したパケットIDが前記ID格納手段内に格納されているか否かを判定するID比較ステップと、
前記ID比較ステップにおいて、他の無線通信端末から受信した通信パケットに含まれているパケットIDが、前記ID格納手段内に格納されていないと判定した場合に、当該通信パケットを受信した際の受信電力が、予め定められた閾値以上か否かを判定する受信電力判定ステップと、
前記受信電力判定ステップにおいて、通信パケットを受信した際の受信電力が予め定められた閾値以上であると判定された場合に、当該通信パケットのパケットIDを前記ID格納手段に格納させると共に、当該通信パケットを前記無線通信手段に送信させる中継制御ステップと
を実行することを特徴とする中継方法。
【請求項8】
コンピュータを、無線通信によりデータを送受信する無線通信端末として機能させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
それぞれの通信パケットを識別するパケットIDを管理するID管理機能、
他の無線通信端末と無線通信を行う無線通信機能、
受信電力を測定する受信電力測定機能、
前記無線通信機能を介して他の無線通信端末から受信した通信パケットに含まれているパケットIDを抽出し、抽出したパケットIDが前記ID管理機能によって管理されているパケットID内に含まれているか否かを判定するID比較機能、
前記ID比較機能によって、他の無線通信端末から受信した通信パケットに含まれているパケットIDが、前記ID管理機能によって管理されているパケットID内に含まれていないと判定された場合に、当該通信パケットを受信した際の受信電力が、予め定められた閾値以上か否かを判定する受信電力判定機能、および
前記受信電力判定機能によって、通信パケットを受信した際の受信電力が予め定められた閾値以上であると判定された場合に、当該通信パケットのパケットIDを前記ID管理機能によって管理されているパケットIDに追加すると共に、当該通信パケットを前記無線通信機能に送信させる中継制御機能
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−259026(P2011−259026A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129192(P2010−129192)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000233295)日立情報通信エンジニアリング株式会社 (195)
【Fターム(参考)】