無線通信装置、センサモジュール及び反射波処理方法
【課題】周囲環境に依存せずに、電源の電力消費を効率的に抑制できる無線通信装置を提供する。
【解決手段】本実施形態によれば、無線通信装置は、無線回路と、反射波回収回路と、変換回路とを備えた構成である。無線回路は送信電波をアンテナに送出する。反射波回収回路は前記アンテナからの反射波を回収する。変換回路は前記反射波回収回路により回収された前記反射波を電力に変換する。
【解決手段】本実施形態によれば、無線通信装置は、無線回路と、反射波回収回路と、変換回路とを備えた構成である。無線回路は送信電波をアンテナに送出する。反射波回収回路は前記アンテナからの反射波を回収する。変換回路は前記反射波回収回路により回収された前記反射波を電力に変換する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電波によるデータ送信を行なう無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、原子力プラントなどの高度の監視機能を必要とする施設では、多数のセンサモジュールから構成されるセンサネットワークの適用が注目されている。センサモジュールはそれぞれ、例えば地震振動計測を行なうセンサを内蔵する小型デバイスである。
【0003】
センサモジュールは、センサにより得られる計測データをセンサネットワークに接続される管理システムに送信する。センサモジュールは、計測データを送信するための無線通信装置を含む構成が一般的である。これにより、センサネットワークを構築する上で、データ通信のケーブルレス化を実現し、ネットワーク設備の維持及び管理の効率化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−292319号公報
【特許文献2】特開2004−226157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
センサモジュールは小型デバイスであるため、内蔵する電源として相対的に小容量の電池などを使用する。このため、電池交換などの作業の効率化を図るためにも、電池の電力消費を抑制するための対策が重要である。
【0006】
電池交換を不要とする技術として、振動や熱、光などの自然エネルギーから得られる環境発電技術や電波をエネルギー源とする電源技術が周知である。しかしながら、環境発電技術は小型化が容易でない。また、電波を利用する電源技術では、外部から高い電波強度の電波を受信する必要があり、センサモジュールの周辺装置に対して、機器の誤作動の要因となるような影響を与える可能性がある。
【0007】
そこで、周囲環境に依存せずに、電源の電力消費を効率的に抑制できることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態によれば、無線通信装置は、電波送出手段と、反射波回収手段と、変換手段とを備えた構成である。電波送出手段は送信電波をアンテナに送出する。反射波回収手段は前記アンテナからの反射波を回収する。変換手段は前記反射波回収手段により回収された前記反射波を電力に変換する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に関するセンサモジュールの構成を説明するためのブロック図。
【図2】第1の実施形態に関するセンサモジュールの動作を説明するためのフローチャート。
【図3】第2の実施形態に関するセンサモジュールの動作を説明するためのタイミングチャート。
【図4】第2の実施形態に関する電源ユニットの構成を説明するためのブロック図。
【図5】第3の実施形態に関するセンサモジュールの構成を説明するためのブロック図。
【図6】第3の実施形態に関する通信距離と電波強度との関係を説明するための図。
【図7】第3の実施形態に関する電波強度と送信電波出力との関係を示すテーブル情報の一例を示す図。
【図8】第3の実施形態に関する異常検知を説明するための図。
【図9】各実施形態に関するセンサネットワークを説明するための図。
【図10】第3の実施形態に関する管理テーブルの一例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面を参照して、実施形態を説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に関するセンサモジュール10の構成を説明するためのブロック図である。
【0012】
センサモジュール10は、モジュール本体として、コントローラ11と、センサ12と、メモリ13と、無線回路14とを有する。さらに、センサモジュール10は、電源ユニット15及びアンテナユニット21を含む小電力仕様の小型デバイスである。
【0013】
コントローラ11は、マイクロプロセッサ(CPU)から構成されており、センサ12及び無線回路14を制御する。センサ12は、例えばプラントに設置されている地震振動計測用センサであり、計測データをコントローラ11に出力する。なお、センサ12は、地震振動計測用センサ以外の各種の計測用センサに置き換え可能である。メモリ13は、センサ12から出力される計測データを一時的に保存する記憶領域、コントローラ11のCPUが実行するプログラムを記憶領域、及びコントローラ11の処理に必要な作業用記憶領域などに使用される。
【0014】
無線回路14は、無線通信によりデータを送受信する無線通信モジュールであり、例えば特定小電力無線局(空中線電力が10mW以下)の仕様で構成されている。無線回路14は、アンテナユニット21に接続し、アンテナユニット21に対して送信電波を送出する。また、無線回路14は、アンテナユニット21から転送される受信電波を受信する。
【0015】
アンテナユニット21は、アンテナ22と、反射波回収回路23と、第1のスイッチ回路24と、第2のスイッチ回路25とを有する。反射波回収回路23は、例えばサーキュレータ(circulator)から構成されており、無線回路14とアンテナ21との間に配置される。
【0016】
反射波回収回路23は、無線回路14と第1のスイッチ回路24を介して接続し、無線回路14から送出される送信電波をアンテナ22に供給する。一方、反射波回収回路23は、第2のスイッチ回路25に接続し、アンテナ22からの反射波また受信電波を第2のスイッチ回路25に転送する。後述するように、本実施形態の反射波回収回路23は、アンテナ22からの反射波を回収し、電源ユニット15の変換回路20に供給する。
【0017】
電源ユニット15は、具体的には充電方式の電池ユニットであり、発電素子16と、整流/昇圧回路17と、充放電回路18と、蓄電素子19と、変換回路20とを有する。充放電回路18は、一定の電圧/電流の電力をコントローラ11と、センサ12と、メモリ13と、無線回路14に供給する。変換回路20は、電波のエネルギーを電力に変換する回路であり、変換した電力を整流/昇圧回路17を介して充放電回路18に供給する。蓄電素子19は、センサモジュール10の動作停止時に、充放電回路18からの充電により電力を蓄える。
【0018】
本実施形態では、変換回路20は、第2のスイッチ回路25を介して、反射波回収回路23に接続されている。変換回路20は、反射波回収回路23により回収される反射波を電力に変換する。換言すれば、変換回路20は、アンテナ22からの反射波を電力を生成する一種の補助電源である。
【0019】
[センサモジュールの動作]
以下、図2のフローチャート及び図3のタイミングチャートを参照して、本実施形態のセンサモジュール10の動作を説明する。
【0020】
まず、センサモジュール10は、地震の発生がない状態では、消費電力を抑制するために待機状態(スリープ状態)を維持している(ステップS1)。センサモジュール10は、地震発生をトリガとしてコントローラ11が起動し、計測を開始する(ステップS2のYES,S3)。コントローラ11は、センサ12から計測データ(ここでは地震による振動値データ)を入力し、例えばデータ圧縮などの処理を実行してメモリ13に一時的に保存する(ステップS4)。
【0021】
コントローラ11は、予め決められたサンプリング周波数で規定時間に達するまで、センサ12からの計測データを収集してメモリ13に保存する(ステップS5)。次に、コントローラ11は、メモリ13に保存された計測データを読み出し、所定のデータ単位からなる送信用データを作成して、無線回路14に出力する(ステップS6)。
【0022】
無線回路14は、コントローラ11からの送信用データで変調した送信電波を送出し、アンテナ22から送信する(ステップS7)。無線回路14は、メモリ13に保存されたデータの全てを送信するまで送信動作を継続する(ステップS8)。
【0023】
ここで、無線回路14は、内蔵の内部コントローラがアンテナユニット21に含まれる第1のスイッチ回路24及び第2のスイッチ回路25の各接点SW1,SW2を切り替えることにより、送受信時の経路を切り替える制御を実行する。これにより、無線回路14は、図3に示すように、送受信動作を時分割で制御する。以下、図1及び図3を参照して、具体的に説明する。
【0024】
無線回路14の内部コントローラは、送信動作時に、第1のスイッチ回路24を接点SW1にセットし、第2のスイッチ回路25を接点SW2にセットする。これにより、無線回路14から送出される送信電波は、第1のスイッチ回路24、反射波回収回路23、及びアンテナ22までの経路を伝達し、アンテナ22から発信される(T1)。
【0025】
ここで、無線回路14からの送信電波は、図9に示すように、センサネットワークの基地局92で受信されて、管理システム91に転送される。管理システム91は、無線回路14からの送信電波から計測データを復調する。
【0026】
このような送信電波の発信時に、アンテナ22からは余剰の電波である反射波が発生する。反射波回収回路23は反射波を、アンテナ22に接続するポートから導入し、第2のスイッチ回路25に接続するポートから導出する。このとき、第2のスイッチ回路25が接点SW2にセットされているため、反射波回収回路23により回収された反射波は、第2のスイッチ回路25と電源ユニット15間の経路を伝達し、変換回路20に導入される。
【0027】
なお、反射波回収回路23は例えばサーキュレータから構成されているため、第2のスイッチ回路25に接続するポートと、第1のスイッチ回路24に接続するポートとは干渉しないように分離されている。即ち、反射波回収回路23は、2ポート間の電波が一方の方向のみに伝達されるアイソレータとして機能している。従って、反射波は無線回路14に導入されることはない。
【0028】
変換回路20は、反射波のエネルギーを電力に変換し、整流/昇圧回路17を介して充放電回路18に供給する。これにより、反射波から変換された電力は、充放電回路18からセンサモジュール10の補助電源として利用可能となる。また、センサモジュール10の待機時には、当該反射波から変換された電力は、蓄電素子19により予備電源として蓄えられることが可能となる。
【0029】
ここで、無線回路14は、コントローラ11の制御により、データ送信に対する受信確認(AcK)を行なうための受信動作に移行する(T2)。この受信動作時に、無線回路14の内部コントローラは、第1のスイッチ回路24を接点SW2にセットし、第2のスイッチ回路25を接点SW1にセットする。これにより、アンテナ22で受信される受信電波は、反射波回収回路23、第2のスイッチ回路25及び第1のスイッチ回路24からなる経路を伝達し、無線回路14に導入される。無線回路14は、受信電波から受信確認(AcK)を復調し、コントローラ11に出力する。
【0030】
以上のようにして、無線回路14は、図3に示すように、送受信動作を時分割で制御する(T1〜T4)。これにより、通信品質の劣化を抑制できる効果がある。ここで、無線回路14は、コントローラ11の制御により、規定時間内に受信確認が得られないときは、第1及び第2のスイッチ回路24,25を制御して送信動作時の経路に切り替えて、再送信を実行する。
【0031】
ここで、前述したように、センサモジュール10は、地震の発生がない状態では、消費電力を抑制するために待機状態を維持している。この待機状態では、無線回路14は、送信動作時と同様に、スイッチ回路24を接点SW1にセットし、第2のスイッチ回路25を接点SW2にセットした状態を維持する。これにより、アンテナ22から導入される周囲の電磁波が、反射波回収回路23により回収されて、電源ユニット15の変換回路20に送られる。従って、センサモジュール10の待機時にも、周囲の電磁波を回収して、変換回路20により補助電力として使用することが可能となる。
【0032】
以上要するに本実施形態によれば、送信動作時のアンテナからの反射波を回収して、センサモジュール10の補助電力として利用することが可能となる。また、センサモジュール10の待機状態時でも、周囲の電磁波を回収して補助電力として利用することが可能となる。従って、小型化が容易でない環境発電技術や、外部から高い電波強度の電波を利用することなく、センサモジュール10の内部構成を利用することで、電源ユニット15の電力を補助する補助電力を使用することができる。これにより、電源ユニット15の発電素子16からの電力だけでなく、補助電力を利用できるため、結果として電源ユニット15の電力消費を効率的に抑制することが可能となる。
【0033】
ここで、反射波の電力換算は、アンテナ22の性能に依存するが、送信電波の電力の10%程度である。従って、本実施形態は、相対的に小電力使用の小型デバイスで使用される小容量の電源ユニットの補助電源として適用することが有効である。
【0034】
なお、本実施形態では、無線回路14の内部コントローラが、第1及び第2のスイッチ回路24,25を制御して、アンテナユニット21の送受信時の経路を切り替える構成について説明した。しかし、これに限ることなく、センサモジュール10のコントローラ11が第1及び第2のスイッチ回路24,25を制御する構成でもよい。このような構成であれば、無線回路14として、交換可能な標準仕様の無線回路を利用できる。
【0035】
また、前述のセンサネットワークは、図9に示すように、複数の基地局92と管理システム91とが光回線などを使用するネットワーク90に接続されており、各センサモジュール10-nと基地局92とが無線通信により計測データの送受信を行なうように構成されている。各センサモジュール10-nは、中継局93を介して基地局92と無線通信を行なう構成でもよい。管理システム91は、例えばプラントを監視するサーバであり、各センサモジュール10-nから送信される各種の計測データを収集し、プラントを監視および管理する。
【0036】
[第2の実施形態]
図4は、第2の実施形態に関するセンサモジュール10の電源ユニット15の構成を説明するための図である。なお、センサモジュール10の本体及びアンテナユニット21の構成については、図1に示す構成と同様のため説明を省略する。
【0037】
本実施形態のセンサモジュール10は、通信用のアンテナ22とは別に、電力回収用の専用受信アンテナ40を有する構成である。電源ユニット15は、当該専用受信アンテナ40と変換回路20とが接続されている。
【0038】
このような構成であれば、変換回路20は、専用受信アンテナ40で受信する各種の電波を電力に変換して、電源ユニット15の補助電力として回収することができる。なお、変換回路20は、図1に示す第1の実施形態と同様に、通信用のアンテナ22からの反射波を電力に変換する。
【0039】
従って、本実施形態のセンサモジュール10であれば、通信用のアンテナ22からの反射波と共に、常に受信電波を電力として回収することが可能となるため、電源ユニット15の補助電力を効率的に確保することができる。
【0040】
なお、本実施形態の場合には、通信用のアンテナ22と専用受信アンテナ40との間で相互干渉が発生する可能性があるため、実際上の設計では、各アンテナ22,40の相対的配置関係を考慮することが必要となる。
【0041】
[第3の実施形態]
図5は、第3の実施形態に関するセンサモジュール10の構成を説明するための図である。なお、図1を参照した第1の実施形態のセンサモジュール10と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
本実施形態のセンサモジュール10は、電波強度監視回路26と、逆流防止用素子27と、電源監視回路28と、リアルタイムクロック回路(以下、RTC回路と表記する)29と、小型蓄電素子30とを含む構成である。
【0043】
本実施形態のセンサモジュール10は、アンテナユニット21の反射波回収回路23により回収された反射波から得られる電力を、モジュール本体ではなく、RTC回路29のような特定回路に対する個別電源として使用する。即ち、変換回路20は、反射波回収回路23からの反射波を電力に変換し、RTC回路29に供給する。RTC回路29は、コントローラ11に時刻情報を供給する回路である。
【0044】
変換回路20は、当該反射波から変換された電力を小型蓄電素子30に供給する。小型蓄電素子30は、変換回路20からの電力を予備電源として蓄電する。小型蓄電素子30は、電源ユニット15に含まれる蓄電素子19と比較して、キャパシタなどを利用した小容量素子である。
【0045】
小型蓄電素子30は、センサモジュール10の待機時に、RTC回路29や周辺機器の待機状態を保持するために必要な電源として利用可能である。この場合、メインの電源である電源ユニット15の蓄電素子19は、相対的に大容量であるため、変換回路20からの微小な電流では充電効率が良くない。これに対して、小型蓄電素子30は、小容量のため、充電効率が良いキャパシタなどの素子により構成することが可能である。ここで、逆流防止用素子27により、小型蓄電素子30から電流が変換回路20を介して、アンテナユニット21の反射波回収回路23に流れることを防止できる。
【0046】
なお、本実施形態では、便宜的に、変換回路20及び小型蓄電素子30は、モジュール本体に設けられている。これに限らず、変換回路20及び小型蓄電素子30は、電源ユニット15に含まれる要素でもよい。また、変換回路20及び逆流防止用素子27は、アンテナユニット21に含まれる要素でもよい。
【0047】
次に、電波強度監視回路26は、受信動作時に、アンテナ22から反射波回収回路23に導入される受信電波の電波強度を計測し、この計測データを無線回路14に伝送する。無線回路14の内部コントローラは、電波強度監視回路26から伝送される電波強度の計測結果に基づいて、無線送信動作時の電波出力を適正値に制御する。
【0048】
以下、図6、図7、図8を参照して、電波強度監視回路26に関する具体的動作を説明する。
【0049】
図6に示すように、電波強度は通信距離に依存している。従って、電波強度監視回路26は、受信感度の変化に応じた受信電波強度を計測する。無線回路14の内部コントローラは、図7に示すようなテーブル情報を有し、電波強度監視回路26から伝送される計測結果(受信電波強度)及び通信が成立する電波強度の基準値に基づいて、通信距離を判定する。即ち、無線回路14の内部コントローラは、テーブル情報を参照し、受信電波強度が相対的に強い場合は通信距離が例えば5m程度で短いと判定し、逆に受信電波強度が相対的に弱い場合は通信距離が例えば15m程度で長いと判定する。
【0050】
無線回路14は、通信距離が短いと判定した場合には、送信動作時に送出する送信電波出力を小さくするように制御する。逆に、通信距離が長いと判定した場合には、送信動作時に送出する送信電波出力を大きくするように制御する。これにより、通信距離が相対的に短い場合には、送信電波出力を低下させるため、電力消費を節約することが可能となる。また、通信距離が相対的に長い場合には、送信電波出力を増大させるため、再送信などの通信効率の悪化を抑制し、高い通信品質を確保することができる。
【0051】
次に、電波強度監視回路26は、送信動作時に、アンテナ22から反射波回収回路23に導入される反射波の電波強度を計測し、この計測データをコントローラ11に伝送する。即ち、電波強度監視回路26は、送信動作時に、無線回路14から送出され送信電波出力に応じて発生する反射波の電波強度を計測する。コントローラ11は、電波強度監視回路26から伝送された計測データに基づいて、アンテナ22の破損や回路異常などの異常発生を検知する。
【0052】
具体的には、図8に示すように、反射波の電波強度に対する上限及び下限の基準範囲を設定する。コントローラ11は、電波強度監視回路26から伝送された時系列計測データ80を監視し、基準範囲内の電波強度値81の場合には正常であると判定する。一方、コントローラ11は、時系列計測データ80で、基準範囲を外れる電波強度値82の場合には異常が発生していると判定する。
【0053】
コントローラ11は、異常発生を検知したときに、無線回路14からの送信電波に当該異常発生を示す情報を乗せて、図9に示すセンサネットワークの管理システム91に送信する。これにより、管理システム91は、管理対象のセンサモジュール10でイジヨウが発生していることを認識できる。従って、センサモジュール10の故障管理などを自動的に行なうことが可能となる。
【0054】
さらに、本実施形態の電源監視回路28は、図5に示すように、発電素子16、整流/昇圧回路17、充放電回路18及び蓄電素子19の入出力電圧を監視する。電源監視回路28は、監視結果を示す情報をコントローラ11に伝送する。コントローラ11は、無線回路14からの送信電波に当該監視結果を示す情報を乗せて、図9に示すセンサネットワークの管理システム91に送信する。
【0055】
このような構成により、センサネットワークの管理システム91は、管理対象である複数のセンサモジュール10nの電源ユニット15の状態(異常や故障)を自動的に管理することができる。具体的には、管理システム91は、例えば図10に示すように、センサモジュール10nの電池残量を管理する管理テーブルを作成し、電池交換の時期などを管理する。
【0056】
また、管理システム91は、図10に示す管理テーブルを参照して、センサモジュール10n毎の計測データの送信タイミングを決定することができる。例えば、アクセスポイントの伝送レートに応じて、管理テーブルから電池残量が少ないセンサモジュールを選定し、送信順位を優先し、当該センサモジュールから計測データを収集することができる。従って、例えば電池切れにより、当該センサモジュールから計測データが消失するような事態を回避することができる。また、管理システム91は、全ての計測データが送信できないセンサモジュールを検知した場合には、当該センサモジュールのコントローラ11に待機状態に移行する指示を実行する。これにより、当該センサモジュールでの消費電力を抑制できるため、全ての計測データを保護することができる。このセンサモジュールからは、別途全ての計測データを回収すればよい。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
10,10n…センサモジュール、11…コントローラ、12…センサ、
13…メモリ、14…無線回路、15…電源ユニット、
16…発電素子、17…整流/昇圧回路、18…充放電回路、19…蓄電素子、
20…変換回路、21…アンテナユニット、22…アンテナ、反射波回収回路、
24…第1のスイッチ回路、25…第2のスイッチ回路、
26…電波強度監視回路、27…逆流防止用素子、28…電源監視回路、
29…リアルタイムクロック回路(RTC回路)、30…小型蓄電素子、
40…専用受信アンテナ、90…ネットワーク、91…管理システム、
92…基地局。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電波によるデータ送信を行なう無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、原子力プラントなどの高度の監視機能を必要とする施設では、多数のセンサモジュールから構成されるセンサネットワークの適用が注目されている。センサモジュールはそれぞれ、例えば地震振動計測を行なうセンサを内蔵する小型デバイスである。
【0003】
センサモジュールは、センサにより得られる計測データをセンサネットワークに接続される管理システムに送信する。センサモジュールは、計測データを送信するための無線通信装置を含む構成が一般的である。これにより、センサネットワークを構築する上で、データ通信のケーブルレス化を実現し、ネットワーク設備の維持及び管理の効率化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−292319号公報
【特許文献2】特開2004−226157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
センサモジュールは小型デバイスであるため、内蔵する電源として相対的に小容量の電池などを使用する。このため、電池交換などの作業の効率化を図るためにも、電池の電力消費を抑制するための対策が重要である。
【0006】
電池交換を不要とする技術として、振動や熱、光などの自然エネルギーから得られる環境発電技術や電波をエネルギー源とする電源技術が周知である。しかしながら、環境発電技術は小型化が容易でない。また、電波を利用する電源技術では、外部から高い電波強度の電波を受信する必要があり、センサモジュールの周辺装置に対して、機器の誤作動の要因となるような影響を与える可能性がある。
【0007】
そこで、周囲環境に依存せずに、電源の電力消費を効率的に抑制できることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態によれば、無線通信装置は、電波送出手段と、反射波回収手段と、変換手段とを備えた構成である。電波送出手段は送信電波をアンテナに送出する。反射波回収手段は前記アンテナからの反射波を回収する。変換手段は前記反射波回収手段により回収された前記反射波を電力に変換する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に関するセンサモジュールの構成を説明するためのブロック図。
【図2】第1の実施形態に関するセンサモジュールの動作を説明するためのフローチャート。
【図3】第2の実施形態に関するセンサモジュールの動作を説明するためのタイミングチャート。
【図4】第2の実施形態に関する電源ユニットの構成を説明するためのブロック図。
【図5】第3の実施形態に関するセンサモジュールの構成を説明するためのブロック図。
【図6】第3の実施形態に関する通信距離と電波強度との関係を説明するための図。
【図7】第3の実施形態に関する電波強度と送信電波出力との関係を示すテーブル情報の一例を示す図。
【図8】第3の実施形態に関する異常検知を説明するための図。
【図9】各実施形態に関するセンサネットワークを説明するための図。
【図10】第3の実施形態に関する管理テーブルの一例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面を参照して、実施形態を説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に関するセンサモジュール10の構成を説明するためのブロック図である。
【0012】
センサモジュール10は、モジュール本体として、コントローラ11と、センサ12と、メモリ13と、無線回路14とを有する。さらに、センサモジュール10は、電源ユニット15及びアンテナユニット21を含む小電力仕様の小型デバイスである。
【0013】
コントローラ11は、マイクロプロセッサ(CPU)から構成されており、センサ12及び無線回路14を制御する。センサ12は、例えばプラントに設置されている地震振動計測用センサであり、計測データをコントローラ11に出力する。なお、センサ12は、地震振動計測用センサ以外の各種の計測用センサに置き換え可能である。メモリ13は、センサ12から出力される計測データを一時的に保存する記憶領域、コントローラ11のCPUが実行するプログラムを記憶領域、及びコントローラ11の処理に必要な作業用記憶領域などに使用される。
【0014】
無線回路14は、無線通信によりデータを送受信する無線通信モジュールであり、例えば特定小電力無線局(空中線電力が10mW以下)の仕様で構成されている。無線回路14は、アンテナユニット21に接続し、アンテナユニット21に対して送信電波を送出する。また、無線回路14は、アンテナユニット21から転送される受信電波を受信する。
【0015】
アンテナユニット21は、アンテナ22と、反射波回収回路23と、第1のスイッチ回路24と、第2のスイッチ回路25とを有する。反射波回収回路23は、例えばサーキュレータ(circulator)から構成されており、無線回路14とアンテナ21との間に配置される。
【0016】
反射波回収回路23は、無線回路14と第1のスイッチ回路24を介して接続し、無線回路14から送出される送信電波をアンテナ22に供給する。一方、反射波回収回路23は、第2のスイッチ回路25に接続し、アンテナ22からの反射波また受信電波を第2のスイッチ回路25に転送する。後述するように、本実施形態の反射波回収回路23は、アンテナ22からの反射波を回収し、電源ユニット15の変換回路20に供給する。
【0017】
電源ユニット15は、具体的には充電方式の電池ユニットであり、発電素子16と、整流/昇圧回路17と、充放電回路18と、蓄電素子19と、変換回路20とを有する。充放電回路18は、一定の電圧/電流の電力をコントローラ11と、センサ12と、メモリ13と、無線回路14に供給する。変換回路20は、電波のエネルギーを電力に変換する回路であり、変換した電力を整流/昇圧回路17を介して充放電回路18に供給する。蓄電素子19は、センサモジュール10の動作停止時に、充放電回路18からの充電により電力を蓄える。
【0018】
本実施形態では、変換回路20は、第2のスイッチ回路25を介して、反射波回収回路23に接続されている。変換回路20は、反射波回収回路23により回収される反射波を電力に変換する。換言すれば、変換回路20は、アンテナ22からの反射波を電力を生成する一種の補助電源である。
【0019】
[センサモジュールの動作]
以下、図2のフローチャート及び図3のタイミングチャートを参照して、本実施形態のセンサモジュール10の動作を説明する。
【0020】
まず、センサモジュール10は、地震の発生がない状態では、消費電力を抑制するために待機状態(スリープ状態)を維持している(ステップS1)。センサモジュール10は、地震発生をトリガとしてコントローラ11が起動し、計測を開始する(ステップS2のYES,S3)。コントローラ11は、センサ12から計測データ(ここでは地震による振動値データ)を入力し、例えばデータ圧縮などの処理を実行してメモリ13に一時的に保存する(ステップS4)。
【0021】
コントローラ11は、予め決められたサンプリング周波数で規定時間に達するまで、センサ12からの計測データを収集してメモリ13に保存する(ステップS5)。次に、コントローラ11は、メモリ13に保存された計測データを読み出し、所定のデータ単位からなる送信用データを作成して、無線回路14に出力する(ステップS6)。
【0022】
無線回路14は、コントローラ11からの送信用データで変調した送信電波を送出し、アンテナ22から送信する(ステップS7)。無線回路14は、メモリ13に保存されたデータの全てを送信するまで送信動作を継続する(ステップS8)。
【0023】
ここで、無線回路14は、内蔵の内部コントローラがアンテナユニット21に含まれる第1のスイッチ回路24及び第2のスイッチ回路25の各接点SW1,SW2を切り替えることにより、送受信時の経路を切り替える制御を実行する。これにより、無線回路14は、図3に示すように、送受信動作を時分割で制御する。以下、図1及び図3を参照して、具体的に説明する。
【0024】
無線回路14の内部コントローラは、送信動作時に、第1のスイッチ回路24を接点SW1にセットし、第2のスイッチ回路25を接点SW2にセットする。これにより、無線回路14から送出される送信電波は、第1のスイッチ回路24、反射波回収回路23、及びアンテナ22までの経路を伝達し、アンテナ22から発信される(T1)。
【0025】
ここで、無線回路14からの送信電波は、図9に示すように、センサネットワークの基地局92で受信されて、管理システム91に転送される。管理システム91は、無線回路14からの送信電波から計測データを復調する。
【0026】
このような送信電波の発信時に、アンテナ22からは余剰の電波である反射波が発生する。反射波回収回路23は反射波を、アンテナ22に接続するポートから導入し、第2のスイッチ回路25に接続するポートから導出する。このとき、第2のスイッチ回路25が接点SW2にセットされているため、反射波回収回路23により回収された反射波は、第2のスイッチ回路25と電源ユニット15間の経路を伝達し、変換回路20に導入される。
【0027】
なお、反射波回収回路23は例えばサーキュレータから構成されているため、第2のスイッチ回路25に接続するポートと、第1のスイッチ回路24に接続するポートとは干渉しないように分離されている。即ち、反射波回収回路23は、2ポート間の電波が一方の方向のみに伝達されるアイソレータとして機能している。従って、反射波は無線回路14に導入されることはない。
【0028】
変換回路20は、反射波のエネルギーを電力に変換し、整流/昇圧回路17を介して充放電回路18に供給する。これにより、反射波から変換された電力は、充放電回路18からセンサモジュール10の補助電源として利用可能となる。また、センサモジュール10の待機時には、当該反射波から変換された電力は、蓄電素子19により予備電源として蓄えられることが可能となる。
【0029】
ここで、無線回路14は、コントローラ11の制御により、データ送信に対する受信確認(AcK)を行なうための受信動作に移行する(T2)。この受信動作時に、無線回路14の内部コントローラは、第1のスイッチ回路24を接点SW2にセットし、第2のスイッチ回路25を接点SW1にセットする。これにより、アンテナ22で受信される受信電波は、反射波回収回路23、第2のスイッチ回路25及び第1のスイッチ回路24からなる経路を伝達し、無線回路14に導入される。無線回路14は、受信電波から受信確認(AcK)を復調し、コントローラ11に出力する。
【0030】
以上のようにして、無線回路14は、図3に示すように、送受信動作を時分割で制御する(T1〜T4)。これにより、通信品質の劣化を抑制できる効果がある。ここで、無線回路14は、コントローラ11の制御により、規定時間内に受信確認が得られないときは、第1及び第2のスイッチ回路24,25を制御して送信動作時の経路に切り替えて、再送信を実行する。
【0031】
ここで、前述したように、センサモジュール10は、地震の発生がない状態では、消費電力を抑制するために待機状態を維持している。この待機状態では、無線回路14は、送信動作時と同様に、スイッチ回路24を接点SW1にセットし、第2のスイッチ回路25を接点SW2にセットした状態を維持する。これにより、アンテナ22から導入される周囲の電磁波が、反射波回収回路23により回収されて、電源ユニット15の変換回路20に送られる。従って、センサモジュール10の待機時にも、周囲の電磁波を回収して、変換回路20により補助電力として使用することが可能となる。
【0032】
以上要するに本実施形態によれば、送信動作時のアンテナからの反射波を回収して、センサモジュール10の補助電力として利用することが可能となる。また、センサモジュール10の待機状態時でも、周囲の電磁波を回収して補助電力として利用することが可能となる。従って、小型化が容易でない環境発電技術や、外部から高い電波強度の電波を利用することなく、センサモジュール10の内部構成を利用することで、電源ユニット15の電力を補助する補助電力を使用することができる。これにより、電源ユニット15の発電素子16からの電力だけでなく、補助電力を利用できるため、結果として電源ユニット15の電力消費を効率的に抑制することが可能となる。
【0033】
ここで、反射波の電力換算は、アンテナ22の性能に依存するが、送信電波の電力の10%程度である。従って、本実施形態は、相対的に小電力使用の小型デバイスで使用される小容量の電源ユニットの補助電源として適用することが有効である。
【0034】
なお、本実施形態では、無線回路14の内部コントローラが、第1及び第2のスイッチ回路24,25を制御して、アンテナユニット21の送受信時の経路を切り替える構成について説明した。しかし、これに限ることなく、センサモジュール10のコントローラ11が第1及び第2のスイッチ回路24,25を制御する構成でもよい。このような構成であれば、無線回路14として、交換可能な標準仕様の無線回路を利用できる。
【0035】
また、前述のセンサネットワークは、図9に示すように、複数の基地局92と管理システム91とが光回線などを使用するネットワーク90に接続されており、各センサモジュール10-nと基地局92とが無線通信により計測データの送受信を行なうように構成されている。各センサモジュール10-nは、中継局93を介して基地局92と無線通信を行なう構成でもよい。管理システム91は、例えばプラントを監視するサーバであり、各センサモジュール10-nから送信される各種の計測データを収集し、プラントを監視および管理する。
【0036】
[第2の実施形態]
図4は、第2の実施形態に関するセンサモジュール10の電源ユニット15の構成を説明するための図である。なお、センサモジュール10の本体及びアンテナユニット21の構成については、図1に示す構成と同様のため説明を省略する。
【0037】
本実施形態のセンサモジュール10は、通信用のアンテナ22とは別に、電力回収用の専用受信アンテナ40を有する構成である。電源ユニット15は、当該専用受信アンテナ40と変換回路20とが接続されている。
【0038】
このような構成であれば、変換回路20は、専用受信アンテナ40で受信する各種の電波を電力に変換して、電源ユニット15の補助電力として回収することができる。なお、変換回路20は、図1に示す第1の実施形態と同様に、通信用のアンテナ22からの反射波を電力に変換する。
【0039】
従って、本実施形態のセンサモジュール10であれば、通信用のアンテナ22からの反射波と共に、常に受信電波を電力として回収することが可能となるため、電源ユニット15の補助電力を効率的に確保することができる。
【0040】
なお、本実施形態の場合には、通信用のアンテナ22と専用受信アンテナ40との間で相互干渉が発生する可能性があるため、実際上の設計では、各アンテナ22,40の相対的配置関係を考慮することが必要となる。
【0041】
[第3の実施形態]
図5は、第3の実施形態に関するセンサモジュール10の構成を説明するための図である。なお、図1を参照した第1の実施形態のセンサモジュール10と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
本実施形態のセンサモジュール10は、電波強度監視回路26と、逆流防止用素子27と、電源監視回路28と、リアルタイムクロック回路(以下、RTC回路と表記する)29と、小型蓄電素子30とを含む構成である。
【0043】
本実施形態のセンサモジュール10は、アンテナユニット21の反射波回収回路23により回収された反射波から得られる電力を、モジュール本体ではなく、RTC回路29のような特定回路に対する個別電源として使用する。即ち、変換回路20は、反射波回収回路23からの反射波を電力に変換し、RTC回路29に供給する。RTC回路29は、コントローラ11に時刻情報を供給する回路である。
【0044】
変換回路20は、当該反射波から変換された電力を小型蓄電素子30に供給する。小型蓄電素子30は、変換回路20からの電力を予備電源として蓄電する。小型蓄電素子30は、電源ユニット15に含まれる蓄電素子19と比較して、キャパシタなどを利用した小容量素子である。
【0045】
小型蓄電素子30は、センサモジュール10の待機時に、RTC回路29や周辺機器の待機状態を保持するために必要な電源として利用可能である。この場合、メインの電源である電源ユニット15の蓄電素子19は、相対的に大容量であるため、変換回路20からの微小な電流では充電効率が良くない。これに対して、小型蓄電素子30は、小容量のため、充電効率が良いキャパシタなどの素子により構成することが可能である。ここで、逆流防止用素子27により、小型蓄電素子30から電流が変換回路20を介して、アンテナユニット21の反射波回収回路23に流れることを防止できる。
【0046】
なお、本実施形態では、便宜的に、変換回路20及び小型蓄電素子30は、モジュール本体に設けられている。これに限らず、変換回路20及び小型蓄電素子30は、電源ユニット15に含まれる要素でもよい。また、変換回路20及び逆流防止用素子27は、アンテナユニット21に含まれる要素でもよい。
【0047】
次に、電波強度監視回路26は、受信動作時に、アンテナ22から反射波回収回路23に導入される受信電波の電波強度を計測し、この計測データを無線回路14に伝送する。無線回路14の内部コントローラは、電波強度監視回路26から伝送される電波強度の計測結果に基づいて、無線送信動作時の電波出力を適正値に制御する。
【0048】
以下、図6、図7、図8を参照して、電波強度監視回路26に関する具体的動作を説明する。
【0049】
図6に示すように、電波強度は通信距離に依存している。従って、電波強度監視回路26は、受信感度の変化に応じた受信電波強度を計測する。無線回路14の内部コントローラは、図7に示すようなテーブル情報を有し、電波強度監視回路26から伝送される計測結果(受信電波強度)及び通信が成立する電波強度の基準値に基づいて、通信距離を判定する。即ち、無線回路14の内部コントローラは、テーブル情報を参照し、受信電波強度が相対的に強い場合は通信距離が例えば5m程度で短いと判定し、逆に受信電波強度が相対的に弱い場合は通信距離が例えば15m程度で長いと判定する。
【0050】
無線回路14は、通信距離が短いと判定した場合には、送信動作時に送出する送信電波出力を小さくするように制御する。逆に、通信距離が長いと判定した場合には、送信動作時に送出する送信電波出力を大きくするように制御する。これにより、通信距離が相対的に短い場合には、送信電波出力を低下させるため、電力消費を節約することが可能となる。また、通信距離が相対的に長い場合には、送信電波出力を増大させるため、再送信などの通信効率の悪化を抑制し、高い通信品質を確保することができる。
【0051】
次に、電波強度監視回路26は、送信動作時に、アンテナ22から反射波回収回路23に導入される反射波の電波強度を計測し、この計測データをコントローラ11に伝送する。即ち、電波強度監視回路26は、送信動作時に、無線回路14から送出され送信電波出力に応じて発生する反射波の電波強度を計測する。コントローラ11は、電波強度監視回路26から伝送された計測データに基づいて、アンテナ22の破損や回路異常などの異常発生を検知する。
【0052】
具体的には、図8に示すように、反射波の電波強度に対する上限及び下限の基準範囲を設定する。コントローラ11は、電波強度監視回路26から伝送された時系列計測データ80を監視し、基準範囲内の電波強度値81の場合には正常であると判定する。一方、コントローラ11は、時系列計測データ80で、基準範囲を外れる電波強度値82の場合には異常が発生していると判定する。
【0053】
コントローラ11は、異常発生を検知したときに、無線回路14からの送信電波に当該異常発生を示す情報を乗せて、図9に示すセンサネットワークの管理システム91に送信する。これにより、管理システム91は、管理対象のセンサモジュール10でイジヨウが発生していることを認識できる。従って、センサモジュール10の故障管理などを自動的に行なうことが可能となる。
【0054】
さらに、本実施形態の電源監視回路28は、図5に示すように、発電素子16、整流/昇圧回路17、充放電回路18及び蓄電素子19の入出力電圧を監視する。電源監視回路28は、監視結果を示す情報をコントローラ11に伝送する。コントローラ11は、無線回路14からの送信電波に当該監視結果を示す情報を乗せて、図9に示すセンサネットワークの管理システム91に送信する。
【0055】
このような構成により、センサネットワークの管理システム91は、管理対象である複数のセンサモジュール10nの電源ユニット15の状態(異常や故障)を自動的に管理することができる。具体的には、管理システム91は、例えば図10に示すように、センサモジュール10nの電池残量を管理する管理テーブルを作成し、電池交換の時期などを管理する。
【0056】
また、管理システム91は、図10に示す管理テーブルを参照して、センサモジュール10n毎の計測データの送信タイミングを決定することができる。例えば、アクセスポイントの伝送レートに応じて、管理テーブルから電池残量が少ないセンサモジュールを選定し、送信順位を優先し、当該センサモジュールから計測データを収集することができる。従って、例えば電池切れにより、当該センサモジュールから計測データが消失するような事態を回避することができる。また、管理システム91は、全ての計測データが送信できないセンサモジュールを検知した場合には、当該センサモジュールのコントローラ11に待機状態に移行する指示を実行する。これにより、当該センサモジュールでの消費電力を抑制できるため、全ての計測データを保護することができる。このセンサモジュールからは、別途全ての計測データを回収すればよい。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
10,10n…センサモジュール、11…コントローラ、12…センサ、
13…メモリ、14…無線回路、15…電源ユニット、
16…発電素子、17…整流/昇圧回路、18…充放電回路、19…蓄電素子、
20…変換回路、21…アンテナユニット、22…アンテナ、反射波回収回路、
24…第1のスイッチ回路、25…第2のスイッチ回路、
26…電波強度監視回路、27…逆流防止用素子、28…電源監視回路、
29…リアルタイムクロック回路(RTC回路)、30…小型蓄電素子、
40…専用受信アンテナ、90…ネットワーク、91…管理システム、
92…基地局。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信電波をアンテナに送出する電波送出手段と、
前記アンテナからの反射波を回収する反射波回収手段と、
前記反射波回収手段により回収された前記反射波を電力に変換する変換手段と
を具備したことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
電源装置を含み、
前記変換手段は、
前記反射波を電力に変換して前記電源装置に供給するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記アンテナで受信した受信電波を入力する電波受信手段と、
前記反射波回収手段との経路を切り替える切り替え手段とを含み、
前記切り替え手段は、
受信動作時には、前記アンテナで受信した受信電波を前記反射波回収手段を介して前記電波受信手段に転送し、
前記受信動作時を除く送信動作時または待機状態時には、前記アンテナからの前記反射波または電磁波を前記反射波回収手段を介して前記変換手段に転送するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記反射波回収手段は、
前記電波送出手段から送出される送信電波を前記アンテナに導出し、前記アンテナからの反射波または電磁波を導入するサーキュレータ手段を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記変換手段から得られる電力を特定回路の動作電源として使用する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記電源装置は補助電源として使用可能な蓄電手段を含み、
前記変換手段は、
前記反射波を電力に変換して前記蓄電手段に供給するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項7】
請求項2に記載の無線通信装置を有し、
計測データを出力するセンサ手段と、
前記電波送出手段から前記計測データで変調した前記送信電波を送出させる制御手段とを有することを特徴とするセンサモジュール。
【請求項8】
前記反射波回収手段は、
前記電波送出手段から送出される送信電波を前記アンテナに導出する第1の入出力手段と、前記アンテナからの反射波または電磁波を導入する第2の入出力とを含むサーキュレータ手段から構成されていることを特徴とする請求項7に記載のセンサモジュール。
【請求項9】
前記サーキュレータ手段との経路を切り替える切り替え手段を有し、
前記切り替え手段は、
前記送信電波を送出する送信動作時には、前記電波送出手段と前記第1の入出力手段とを接続し、かつ前記変換手段と前記第2の入出力手段とを接続し、
前記センサ手段の待機状態時には、前記変換手段と前記第2の入出力手段とを接続するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のセンサモジュール。
【請求項10】
前記反射波回収手段により回収される前記反射波の電波強度を計測する手段を有し、
前記制御手段は、
前記電波強度に基づいてセンサモジュールの内部に発生する異常を検知し、
当該検知結果を示す情報を前記電波送出手段からの送信電波に乗せて送信させるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のセンサモジュール。
【請求項11】
送信電波をアンテナに送出する電波送出手段と、電磁波を電力に変換する変換手段とを含む無線通信装置に適用する反射波処理方法であって、
前記アンテナからの反射波を回収する処理と、
前記回収された前記反射波を前記変換手段により電力に変換する処理と
を実行することを特徴とする反射波処理方法。
【請求項1】
送信電波をアンテナに送出する電波送出手段と、
前記アンテナからの反射波を回収する反射波回収手段と、
前記反射波回収手段により回収された前記反射波を電力に変換する変換手段と
を具備したことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
電源装置を含み、
前記変換手段は、
前記反射波を電力に変換して前記電源装置に供給するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記アンテナで受信した受信電波を入力する電波受信手段と、
前記反射波回収手段との経路を切り替える切り替え手段とを含み、
前記切り替え手段は、
受信動作時には、前記アンテナで受信した受信電波を前記反射波回収手段を介して前記電波受信手段に転送し、
前記受信動作時を除く送信動作時または待機状態時には、前記アンテナからの前記反射波または電磁波を前記反射波回収手段を介して前記変換手段に転送するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記反射波回収手段は、
前記電波送出手段から送出される送信電波を前記アンテナに導出し、前記アンテナからの反射波または電磁波を導入するサーキュレータ手段を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記変換手段から得られる電力を特定回路の動作電源として使用する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記電源装置は補助電源として使用可能な蓄電手段を含み、
前記変換手段は、
前記反射波を電力に変換して前記蓄電手段に供給するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項7】
請求項2に記載の無線通信装置を有し、
計測データを出力するセンサ手段と、
前記電波送出手段から前記計測データで変調した前記送信電波を送出させる制御手段とを有することを特徴とするセンサモジュール。
【請求項8】
前記反射波回収手段は、
前記電波送出手段から送出される送信電波を前記アンテナに導出する第1の入出力手段と、前記アンテナからの反射波または電磁波を導入する第2の入出力とを含むサーキュレータ手段から構成されていることを特徴とする請求項7に記載のセンサモジュール。
【請求項9】
前記サーキュレータ手段との経路を切り替える切り替え手段を有し、
前記切り替え手段は、
前記送信電波を送出する送信動作時には、前記電波送出手段と前記第1の入出力手段とを接続し、かつ前記変換手段と前記第2の入出力手段とを接続し、
前記センサ手段の待機状態時には、前記変換手段と前記第2の入出力手段とを接続するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のセンサモジュール。
【請求項10】
前記反射波回収手段により回収される前記反射波の電波強度を計測する手段を有し、
前記制御手段は、
前記電波強度に基づいてセンサモジュールの内部に発生する異常を検知し、
当該検知結果を示す情報を前記電波送出手段からの送信電波に乗せて送信させるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のセンサモジュール。
【請求項11】
送信電波をアンテナに送出する電波送出手段と、電磁波を電力に変換する変換手段とを含む無線通信装置に適用する反射波処理方法であって、
前記アンテナからの反射波を回収する処理と、
前記回収された前記反射波を前記変換手段により電力に変換する処理と
を実行することを特徴とする反射波処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−49637(P2012−49637A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187543(P2010−187543)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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