説明

無線通信装置およびその制御方法とプログラム

【課題】位置情報で特定できるよりも高い精度でユーザが目標に到達することを可能にする無線通信装置を提供する。
【解決手段】無線通信装置は、取得手段、無線通信手段、および処理手段を有する。取得手段は、自装置の位置を示す自装置位置情報を取得する。無線通信手段は、他装置から受信される無線信号の受信信号強度を測定する。処理手段は、自装置位置情報と目標位置を示す目標位置情報とに基づいて算出される自装置と目標位置の距離である第1の距離が第1の閾値以下と判定した後、受信信号強度に基づいて算出される自装置と他装置との距離である第2の距離に基づく提示情報を提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置のユーザの移動行動を支援するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムにおいてGPS(Global Positioning System)で取得した位置情報を基に携帯端末のユーザ同士の待ち合わせを支援する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、現状ではGPSを用いて得られる位置情報の誤差は約10m程度である。そのため、非常に混雑した人混みでは、ユーザがある程度待ち合わせ相手や目的の場所に近づいても、更に、待ち合わせ相手や目的の場所を特定するのが困難な場合がある。
【0004】
また、ユーザが紛失した携帯端末の捜索を支援するための技術として特許文献2に開示された技術がある。捜索される側の端末装置と捜索する側の端末装置が1対1で直接無線通信し、電界強度から算出した距離をユーザに提示することで捜索を支援する。
【0005】
しかしながら、特許文献2の技術は、捜索される側の端末装置と捜索する側の端末装置が直接無線通信を行うものなので、それらが、ある程度、近づいてからでないと利用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−232947号公報
【特許文献2】特開2006−081036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように現状ではGPSの精度に限界があるため、位置情報を利用した支援では、人混みで待ち合わせ相手や目的の場所を特定するのが困難な場合がある。
【0008】
本発明の目的は、位置情報で特定できるよりも高い精度でユーザが目標に到達することを可能にする無線通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の無線通信装置は、
自装置の位置を示す自装置位置情報を取得する取得手段と、
他装置から受信される無線信号の受信信号強度を測定する無線通信手段と、
前記自装置位置情報と目標位置を示す目標位置情報とに基づいて算出される前記自装置と前記目標位置の距離である第1の距離が第1の閾値以下と判定した後、前記受信信号強度に基づいて算出される前記自装置と前記他装置との距離である第2の距離に基づく提示情報を提示する処理手段と、を有する。
【0010】
本発明の無線通信装置の制御方法は、
自装置の位置を示す自装置位置情報を取得し、
前記自装置位置情報と目標位置を示す目標位置情報とに基づいて算出される前記自装置と前記目標位置の距離である第1の距離が第1の閾値以下か否か判定し、
他装置から受信される無線信号の受信信号強度を測定し、
前記第1の距離が前記第1の閾値以下と判定された後、前記受信信号強度に基づいて算出される前記自装置と前記他装置の距離である第2の距離に基づく提示情報を提示するというものである。
【0011】
本発明のプログラムは、
自装置の位置を示す自装置位置情報を取得する手順と、
前記自装置位置情報と目標位置を示す目標位置情報とに基づいて算出される前記自装置と前記目標位置の距離である第1の距離が第1の閾値以下か否か判定する手順と、
前記他装置から受信される無線信号の受信信号強度を測定する手順と、
前記第1の距離が前記第1の閾値以下と判定された後、前記受信信号強度に基づいて算出される前記自装置と前記他装置の距離である第2の距離に基づく提示情報を提示する手順と、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、位置情報で特定できるよりも高い精度の支援でユーザが目標に到達することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態の無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第2の実施形態の無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【図3】第2の実施形態の携帯端末装置10の構成を示すブロック図である。
【図4】第2の実施形態の携帯端末装置10の動作を示すフローチャートである。
【図5】第3の実施形態の無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【図6】第3の実施形態の携帯端末装置10の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の無線通信装置の構成を示すブロック図である。第1の実施形態の無線通信装置1はユーザが携帯する携帯型の通信端末である。ここでは一例として、同じ構成の無線通信装置1を持ったユーザ同士が待ち合わせを行うものとし、無線通信装置1はそれを支援するものとする。
【0016】
図1を参照すると、無線通信装置1は、取得部2、無線通信部3、および処理部4を有している。
【0017】
取得部2は、自装置の位置を示す自装置位置情報を取得する。自装置の位置を取得する方法は一例としてGPSを用いた方法である。
【0018】
無線通信部3は、待ち合わせの相手であるユーザが携帯している無線通信装置1(他装置)から受信される無線信号の受信信号強度を測定する。ここでは一例として、無線通信部3は無線LANの通信を行う通信部であるとする。
【0019】
処理部4は、自装置位置情報と待ち合わせ場所(目標位置)を示す他装置位置情報とに基づいて、自装置と目標位置の間の距離(第1の距離)を算出し、第1の距離を第1の閾値と比較する。そして、処理部4は、第1の距離が第1の閾値以下であれば、無線通信部3で測定される受信信号強度に基づいて、自装置と他装置の間の距離(第2の距離)を算出し、第2の距離に基づく提示情報をユーザに提示する。第1の閾値は、誤差を含む位置情報に基づく判定に用いるものなので、位置情報の誤差と同程度かそれ以上の値としておくのがよい。また、提示情報は、例えば、画面表示、音、光、バイブレーションなどでユーザに提示される。
【0020】
本実施形態では、位置情報に基づく支援の後、受信信号強度に基づく支援を行うので、位置情報で特定できるよりも高い精度の支援でユーザが目標に到達することが可能になる。
【0021】
なお、処理部4は、定期的に第2の距離を算出して、今回算出した第2の距離と前回算出した第2の距離を比較し、自装置と他装置が前回よりも近づいたか、遠ざかったかを提示情報としてユーザに提示することにしてもよい。
【0022】
また、処理部4は、第2の距離が第2の閾値以下となったら、自装置と他装置が出会ったことを提示情報としてユーザに提示する。第2の閾値は、第1の閾値に比べて十分に小さい値であり、数メートル程度以下の値が好ましい。
【0023】
また、処理部4は、他装置が無線信号を送出する送信信号強度の情報を予め保持しているか、あるいは他装置から取得する。そして、処理部4は、その送信信号強度と受信信号強度とに基づいて第2の距離を算出すればよい。送信信号強度と受信信号強度の差分が無線伝送路での減衰であり、その減衰量は無線伝送路の距離に依存するので、減衰量から距離を算出することができる。また、処理部4は、その送信信号強度に基づいて第2の閾値を決定すればよい。受信信号強度が送信信号強度から一定減衰の範囲に入ったら、装置間の距離が一定範囲内に近づいたと判断できる。
【0024】
また、処理部4は、第1の距離が第1の閾値以下と判定したことを条件として、無線通信部3を起動することにしてもよい。そうすることで、無線通信を必要最小限に抑え、消費電力を抑制することができる。
【0025】
また、処理部4は、第1の距離が第1の閾値以下と判定すると、無線通信部3を起動して公衆無線LANにおける近傍の最も電界強度の強い第1のアクセスポイントにアクセスさせることにしてもよい。第1のアクセスポイントと他装置がアクセスしている公衆無線LANの第2のアクセスポイントとが同じであれば、処理部4は第2の距離に基づく提示情報を提示するとよい。また、第1のアクセスポイントと第2のアクセスポイントが異なれば、処理部4は、第1のアクセスポイントと第2のアクセスポイントの位置関係に基づいて、自装置を第2のアクセスポイントに近づけるための提示情報を提示するとよい。その場合、処理部4は、自装置が第2のアクセスポイントに近づき、第2のアクセスポイントからの無線信号の電界強度が最も強くなった後に、第2の距離に基づく提示情報を提示すればよい。
【0026】
第1の実施形態は本発明の基本的構成を備えた実施形態であったが、以下、より具体的な構成の実施形態について説明する。
【0027】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態の無線通信システムの構成を示すブロック図である。図2を参照すると、無線通信システムは携帯端末装置10、20とGPS衛星30を有している。携帯端末装置10、20は同じ構成であり、GPS衛星30からの電波を受信して自身の位置を検出する機能と、携帯端末装置同士で近距離の無線通信を行う機能を備えている。
【0028】
図3は、第2の実施形態の携帯端末装置10の構成を示すブロック図である。図3を参照すると、携帯端末装置10は、無線回路12、位置情報取得回路13、近距離無線回路14、処理部15、表示制御部16、LED(Light Emitting Diode)制御部17、バイブレータ制御部18、メモリ19、表示部20、LED部21、およびバイブレータ部22を有している。処理部15は、一例として、ソフトウェアプログラムを実行するプロセッサであり、処理部15のバス23に表示制御部16、LED制御部17、バイブレータ制御部18、およびメモリ19が接続されている。
【0029】
メモリ19は、処理部15が実行するための各種の制御用プログラムや処理に利用するユーザデータなどを格納した書き換え可能なメモリと、処理部15がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するメモリにて構成されている。
【0030】
表示部20は液晶パネルや有機EL等の表示装置である。表示制御部16は、表示部20の表示を制御する回路である。
【0031】
LED部21は、LEDを点灯させることでインジケータ等の提示を行う装置である。LED制御部17は、LED部21の点灯および消灯を制御する回路である。
【0032】
バイブレータ部22は、携帯端末装置10に振動(バイブレーション)を発生させる装置である。バイブレータ制御部18は、バイブレータ部22を制御して、着信通知時などにバイブレーションを発生させる回路である。
【0033】
無線回路12は、アンテナを介して通話やデータ通信の無線信号を送受信する回路である。
【0034】
位置情報取得回路13は、GPS衛星30からの電波を受信して自装置の位置情報を取得する回路である。
【0035】
近距離無線回路14(Bluetooth/W−LAN)は、アンテナを介して他の携帯端末装置20と近距離無線通信の無線信号を送受信する回路である。
【0036】
図4は、第2の実施形態の携帯端末装置10の動作を示すフローチャートである。携帯端末装置10のユーザと携帯端末装置20のユーザが待ち合わせをするものとし、待ち合わせ場所の位置情報は携帯端末装置10、20に予め設定されているものとする。
【0037】
まず、携帯端末装置10では、位置情報取得回路13が起動され、自装置の位置情報を取得する(ステップS1)。次に、処理部15が、その位置情報と、予め設定した待ち合わせ場所の位置情報とを比較し、待ち合わせ場所に到達したか否か判定する(ステップS2)。自装置の位置と待ち合わせ場所の距離が所定の閾値(到達判定距離)より近ければ、処理部15は、待ち合わせ場所に到達したと判定する。自装置の位置と待ち合わせ場所の距離が到達判定距離より遠ければ、処理部15はステップS1に戻って処理を繰り返す。
【0038】
待ち合わせ場所に到達したと判定すると、処理部15は、近距離無線回路14を起動して携帯端末装置20からの信号の電界強度測定を開始する(ステップS3)。なお、携帯端末装置10には、近距離無線通信において待ち合わせ相手の携帯端末装置20からの信号が識別できるように携帯端末装置20の識別情報が予め設定されている。
【0039】
このとき処理部15は、自装置(携帯端末装置10)と他装置(携帯端末装置20)が出会ったと判断するための第2の閾値として電界強度値Cを設定する。電界強度値Cとして、携帯端末装置10が携帯端末装置20と直近で近距離通信したときの電界強度値を保持しておいた値を用いてもよい。
【0040】
処理部15は、継続的に携帯端末装置20からの受信信号の電界強度を測定し、最新の測定データBと1回前の測定データAを表示制御部16経由で表示部20に表示させる(ステップS4)。更に、処理部15は、最新の測定データBと1回前の測定データAを比較する(ステップS5)。
【0041】
最新の測定データBが一回前の測定データAよりも大きいと判定されたら、処理部15は、前回よりも携帯端末装置20に近づいたことをユーザに通知する(ステップS6)。その通知は、表示制御部16経由での表示部20への表示、LED制御部17経由でのLED部21への表示、バイブレータ制御部18経由でのバイブレータ部22のバイブレーションの1つあるいは複数または全てを用いて通知される。
【0042】
また、最新の測定データBが一回前の測定データAよりも小さいと判定されたら、処理部15は、前回よりも携帯端末装置20から遠ざかったことをユーザに通知し(ステップS9)、ステップS4に戻る。その通知も、表示制御部16経由での表示部20への表示、LED制御部17経由でのLED部21への表示、バイブレータ制御部18経由でのバイブレータ部22のバイブレーションの1つあるいは複数または全てを用いて、接近したときとは異なる態様で通知される。
【0043】
ステップS6の次に、処理部15は、最新の測定データBを、予め設定しておいた電界強度値Cと比較する(ステップS7)。最新の測定データBが電界強度値Cよりも大きければ、処理部15は、携帯端末装置20を所有している待ち合わせ相手が直近にいることをユーザに通知して(ステップS8)、処理を終了する。その通知も、表示制御部16経由での表示部20への表示、LED制御部17経由でのLED部21への表示、バイブレータ制御部18経由でのバイブレータ部22のバイブレーションの1つあるいは複数または全てを用いて通知される。また、最新の測定データBが電界強度値Cよりも小さければ、処理部15はステップS4に戻る。
【0044】
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態の無線通信システムの構成を示すブロック図である。図3を参照すると、本実施形態の無線通信システムは、公衆無線LANの無線アクセスポイント(AP)24、25、26がある点で、図2に示した第2の実施形態のものと異なる。本実施形態の携帯端末装置10は図3に示した第2の実施形態のものと同じ構成である。
【0045】
第3の実施形態では、待ち合わせ場所が駅構内、展示会会場、競技場等の公衆無線LAM(W−LAN)環境が存在している場所であることを想定している。そして、AP24、25、26のうちどのAPへアクセスしているかの情報とAPの設置位置情報を元に、携帯端末装置10のユーザを待ち合わせ相手の携帯端末装置20がアクセスしているAPへ向かわせるようにナビゲートするという処理が第1の実施形態のものに追加されている。
【0046】
図6は、第3の実施形態の携帯端末装置10の動作を示すフローチャートである。携帯端末装置10のユーザと携帯端末装置20のユーザが待ち合わせをするものとし、待ち合わせ場所の位置情報は携帯端末装置10、20に予め設定されているものとする。
【0047】
まず、携帯端末装置10では位置情報取得回路13が起動され、位置情報を取得する(ステップS10)。次に、処理部15が、その位置情報と、予め設定した待ち合わせ場所の位置情報とを比較し、待ち合わせ場所に到達したか否か判定する(ステップS11)。
【0048】
自装置の位置と待ち合わせ場所の距離が所定の閾値(到達判定距離)より近ければ、処理部15は、待ち合わせ場所に到達したと判定する。自装置の位置と待ち合わせ場所の距離が到達判定距離より遠ければ、処理部15はステップS10に戻って処理を繰り返す。
【0049】
待ち合わせ場所に到達したと判定すると、処理部15は、近距離無線回路14を起動して近傍の最も電界強度の強いAPにアクセスする(ステップS12)。
【0050】
処理部15は、携帯端末装置20と通信を行って携帯端末装置20がアクセスしているAPの情報を取得し、自装置がアクセスしているAPと携帯端末装置20がアクセスしているAPと同じか否か判定する(ステップS13)。なお、処理部15が、携帯端末装置20がアクセスしているAPの情報を取得する方法は特に限定されないが、例えば、処理部15は、APを経由した近距離無線通信を用いて携帯端末装置20とデータ通信し、携帯端末装置20がアクセスしているAPの情報を取得することにしてもよい。あるいは、処理部15は、携帯電話網を経由する通信で携帯端末装置20と通信し、携帯端末装置20がアクセスしているAPの情報を取得してもよい。
【0051】
自装置が携帯端末装置20と違うAPへアクセスしている場合、処理部15は、携帯端末装置20がアクセスしているAPの設置位置を示す位置情報を元に、自装置を携帯端末装置20がアクセスしているAPへ向かうようにナビゲートし(S14)、ステップS13に戻る。
【0052】
自装置が携帯端末装置20と同じAPへアクセスしている場合、処理部15は、無線LANで携帯端末装置20を検索し、携帯端末装置20からの無線信号の電界強度の測定を開始する(ステップS15)。その際、処理部15は、自装置と携帯端末装置20が出会ったと判断するための閾値として電界強度値Cを設定する。
【0053】
処理部15は、継続的に携帯端末装置20からの受信信号の電界強度を測定し、最新の測定データBと1回前の測定データAを表示制御部16経由で表示部20に表示させる(ステップS16)。更に、処理部15は、最新の測定データBと1回前の測定データAを比較する(ステップS17)。
【0054】
最新の測定データBが一回前の測定データAよりも大きいと判定されたら、処理部15は、前回よりも携帯端末装置20に近づいたことをユーザに通知する(ステップS19)。その通知は、表示制御部16経由での表示部20への表示、LED制御部17経由でのLED部21への表示、バイブレータ制御部18経由でのバイブレータ部22のバイブレーションの1つあるいは複数または全てを用いて通知される。
【0055】
また、最新の測定データBが一回前の測定データAよりも小さいと判定されたら、処理部15は、前回よりも携帯端末装置20から遠ざかったことをユーザに通知し(ステップS18)、ステップS16に戻る。その通知も、表示制御部16経由での表示部20への表示、LED制御部17経由でのLED部21への表示、バイブレータ制御部18経由でのバイブレータ部22のバイブレーションの1つあるいは複数または全てを用いて、接近したときとは異なる態様で通知される。
【0056】
ステップS19の次に、処理部15は、最新の測定データBを、予め設定しておいた電界強度値Cと比較する(ステップS20)。最新の測定データBが電界強度値Cよりも大きければ、処理部15は、携帯端末装置20を所有している待ち合わせ相手が直近にいることをユーザに通知して(ステップS21)、処理を終了する。その通知も、表示制御部16経由での表示部20への表示、LED制御部17経由でのLED部21への表示、バイブレータ制御部18経由でのバイブレータ部22のバイブレーションの1つあるいは複数または全てを用いて通知される。また、最新の測定データBが電界強度値Cよりも小さければ、処理部15はステップS16に戻る。
【0057】
本実施形態では、GPSを用いて取得した位置情報に加え、公衆無線LANのアクセスポイントの位置情報を用いて支援を行うので、より高い精度の支援でユーザを目標に到達させることができる。
【0058】
なお、第1の実施形態で例示した無線通信装置および第2、3の実施形態で例示した携帯端末装置として、携帯電話機、ハンディナビゲーション装置、携帯型ゲーム機など様々な装置が該当する。
【0059】
また、上述の実施形態では、自装置と他装置が出会ったと判断するための第2の閾値(電界強度値C)として、携帯端末装置同士が過去に直近で近距離通信したときの電界強度値を予め保持しておいた値を用いる例を示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、他に様々な方法が考えられる。他の例として、待ち合わせ場所についた携帯端末装置が近距離通信の受信電界強度の測定を開始するとき、相互に接続して送信電界強度を通知し合うことにしてもよい。その場合、携帯端末装置は、相手から通知された送信電界強度を所定値だけ減衰させた値を第2の閾値(電界強度値C)として設定することにしてもよい。更に他の例として、ユーザ同士が待ち合わせを約束し、相手の携帯端末装置の情報を自分の携帯端末装置に設定するときに第2の閾値(電界強度値C)を設定することにしてもよい。その場合、ユーザが値を手操作で入力することにしてもよく、携帯端末装置同士が携帯電話網を介した通信を行い、相互に通知し合うことにしてもよい。
【0060】
なお、上述した実施形態では、待ち合わせを例にとり、双方が所有する同様の構成を備えた携帯端末装置が相手の携帯端末装置からの無線信号の減衰に基づいて相手との距離を算出し、双方のユーザが互いに近づくように移動する場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。他の例として、携帯端末装置のユーザが行こうとする目的地に予め近距離無線通信の信号を送出する固定装置を設置しておき、携帯端末装置はその固定装置からの信号の減衰に基づいて固定装置との距離を算出し、ユーザが固定装置に近づくように移動することにしてもよい。その場合、固定装置は、待ち合わせによく利用される場所、観光スポット、訪問者が多い場所などに設置することが考えられる。
【0061】
また、第2、3の実施形態では、携帯端末装置10は相手の携帯端末装置20に前回より近づいたか、遠ざかったかを通知することにしたが、本発明がこれに限定されるものではない。他の例として、携帯端末装置10はその時点での相手の携帯端末装置20との距離あるいは距離範囲を通知することしてもよい。
【0062】
以上、本発明の実施形態について述べてきたが、本発明は、これらの実施形態だけに限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内において、これらの実施形態を組み合わせて使用したり、一部の構成を変更したりしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 無線通信装置
10 携帯端末装置
12 無線回路
13 位置情報取得回路
14 近距離無線回路
15 処理部
16 表示制御部
17 LED制御部
18 バイブレータ制御部
19 メモリ
2 取得部
20 携帯端末装置
21 LED部
22 バイブレータ部
23 バス
24 AP、
3 無線通信部
30 GPS衛星
4 処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置の位置を示す自装置位置情報を取得する取得手段と、
他装置から受信される無線信号の受信信号強度を測定する無線通信手段と、
前記自装置位置情報と目標位置を示す目標位置情報とに基づいて算出される前記自装置と前記目標位置の距離である第1の距離が第1の閾値以下と判定した後、前記受信信号強度に基づいて算出される前記自装置と前記他装置との距離である第2の距離に基づく提示情報を提示する処理手段と、を有する無線通信装置。
【請求項2】
前記処理手段は、定期的に前記第2の距離を算出して、今回算出した第2の距離と前回算出した第2の距離を比較し、前記自装置と前記他装置が前回よりも近づいたか、遠ざかったかを提示する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記第2の距離が第2の閾値以下であれば前記自装置と前記他装置が出会ったことを提示する、
請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記他装置が前記無線信号を送出する送信信号強度と前記受信信号強度とに基づいて前記第2の距離を算出し、該送信信号強度に基づいて前記第2の閾値を決定する、
請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記他装置が前記自装置と同じ構成の無線通信装置である、請求項1から4のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記処理手段は、前記第1の距離が前記第1の閾値以下と判定すると、前記無線通信手段を起動する、請求項1から5のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記処理手段は、前記第1の距離が前記第1の閾値以下と判定すると、前記無線通信手段を起動して最も電界強度の強い第1のアクセスポイントにアクセスさせ、該第1のアクセスポイントと前記他装置がアクセスしている第2のアクセスポイントとが同じであれば、前記第2の距離に基づく提示情報を提示し、前記第1のアクセスポイントと前記第2のアクセスポイントが異なれば、前記第1のアクセスポイントと前記第2のアクセスポイントの位置関係に基づいて前記自装置を前記第2のアクセスポイントに近づけるための提示情報を提示する、請求項1から6のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項8】
自装置の位置を示す自装置位置情報を取得し、
前記自装置位置情報と目標位置を示す目標位置情報とに基づいて算出される前記自装置と前記目標位置の距離である第1の距離が第1の閾値以下か否か判定し、
他装置から受信される無線信号の受信信号強度を測定し、
前記第1の距離が前記第1の閾値以下と判定された後、前記受信信号強度に基づいて算出される前記自装置と前記他装置の距離である第2の距離に基づく提示情報を提示する、
無線通信装置の制御方法。
【請求項9】
自装置の位置を示す自装置位置情報を取得する手順と、
前記自装置位置情報と目標位置を示す目標位置情報とに基づいて算出される前記自装置と前記目標位置の距離である第1の距離が第1の閾値以下か否か判定する手順と、
前記他装置から受信される無線信号の受信信号強度を測定する手順と、
前記第1の距離が前記第1の閾値以下と判定された後、前記受信信号強度に基づいて算出される前記自装置と前記他装置の距離である第2の距離に基づく提示情報を提示する手順と、をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−175341(P2012−175341A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34636(P2011−34636)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】