説明

無線通信装置および優先度変更方法

【課題】通信機器のプロファイルの優先度の変更をユーザが操作することなく行うこと。
【解決手段】保持部101は、通信機器との接続の確立に必要な情報を含むプロファイルであって、異なる通信機器間の検索時における優先度が設定されたプロファイルを保持し、接続先選択部104の選択部106は、保持部101が保持するプロファイルのうち、自装置との接続を行う通信機器のプロファイルを選択し、変更部107は、保持部101が保持するプロファイルのうち自装置との接続が可能な通信機器のプロファイルにおいて、選択部106で選択されたプロファイルの優先度を最も高くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置および優先度変更方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線LAN(Wireless Local Area Network:WLAN)システムでは、無線通信装置が、複数のアクセスポイント(Access Point:AP)の中から通信状態のより良いAPを選択し接続する方法が提案されている。
【0003】
例えば、WLANシステムでは、無線通信装置は、APとの通信を確立するために用いる情報を含むプロファイル(または接続プロファイル)を保持する。無線通信装置が保持するプロファイルには、例えば、個々のAPを識別するためのBSSID(Basic Service Set Identifier)、1つまたは複数のAPで構成されるネットワーク(サービスエリア)を識別するためのESSID(Extended Service Set Identifier)、WPA(Wi-Fi Protocol Access)またはWPA2等の認証方式、または、無線通信装置との接続状態(‘接続’または‘切断’)を示す情報が含まれる。そして、無線通信装置は、自装置が保持するプロファイルに対応するAPを検索し、接続可能なAPのプロファイルの中から接続先APのプロファイルを選択し、選択したプロファイルに基づいて接続を確立する。
【0004】
また、APの検索方法の1つとして、アクティブスキャニングによる検索方法がある。アクティブスキャニングでは、無線通信装置は、例えば検索するAPのBSSIDまたはESSIDを含む検索要求(プローブ(probe)要求)をブロードキャスト送信し、APからの検索応答(プローブ応答)を受信することにより接続可能なAPを検索する。そして、無線通信装置は、自装置が保持するプロファイルに対応するAPを順次検索する。
【0005】
ここで、例えば、携帯電話端末またはWLAN端末等の無線通信装置は、様々な場所へ移動して使用される頻度が高く、多くのAPとの通信を確立するために、多くのプロファイルを登録する必要がある。よって、無線通信装置は、上述したAPの検索を、自装置が保持するプロファイル数(登録されたAP数)だけ実施する必要が生じ、APの検索時間が長くなってしまう。
【0006】
そこで、APの検索時間を短縮するAPの検索方法として、無線通信装置が保持する複数のプロファイルに、検索時における優先度を設定する方法がある(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。無線通信装置は、自装置が保持するプロファイルのうち、優先度がより高いプロファイルから順に、プロファイルを選択し、選択したプロファイルに対応するAPを検索する。これにより、無線通信装置は、優先度がより高いAPほどより早い時刻で接続可能か否かを判断することができる。なお、検索の優先度は、例えば、APの電波強度(信号レベル)、APの電池残量、APの使用頻度、APに設定された認証方式のセキュリティ強度、または、無線通信装置の位置等の通信評価情報に基づいて設定される。
【0007】
また、APの検索時間をさらに短縮するために、無線通信装置は、自装置が位置する場所の状況または接続先APに応じて、無線通信装置が保持するプロファイルの優先度を変更することが検討されている(例えば、特許文献3参照)。具体的には、無線通信装置は、AP毎のプロファイルの優先度をユーザの手動操作により変更する。
【特許文献1】特開2006−319946号公報
【特許文献2】特表2007−525894号公報
【特許文献3】特開2008−160646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
APとの接続が手動で行われる場合、無線通信装置は、自装置が保持するプロファイルの中から、操作入力により選択したプロファイルに対応するAPと接続する。また、上述したAPの検索の優先度を変更する場合には、無線通信装置は、選択した接続先APに応じて、自装置が保持するプロファイルの優先度を、操作入力により変更する。よって、無線通信装置は、接続先APの選択およびプロファイルの優先度変更の双方の操作入力を、ユーザに対して別々で要求しなければならず煩わしい。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、APのプロファイルの優先度の変更をユーザが操作することなく行うことができる無線通信装置および優先度変更方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の無線通信装置は、通信機器との接続の確立に必要な情報を含むプロファイルであって、異なる通信機器間の検索時における優先度が設定された前記プロファイルを保持する保持手段と、前記保持手段が保持する前記プロファイルのうち、自装置との前記接続を行う通信機器の前記プロファイルを選択する選択手段と、前記保持手段が保持する前記プロファイルのうち自装置との前記接続が可能な通信機器の前記プロファイルにおいて、選択された前記プロファイルの前記優先度を最も高く変更する変更手段と、を具備する構成を採る。
【0011】
本発明の優先度変更方法は、通信機器との接続の確立に必要な情報を含むプロファイルであって、異なる通信機器間の検索時における優先度が設定された前記プロファイルを保持し、前記保持手段が保持する前記プロファイルのうち、自装置との前記接続を行う通信機器の前記プロファイルを選択し、前記保持手段が保持する前記プロファイルのうち自装置との前記接続が可能な通信機器の前記プロファイルにおいて、選択された前記プロファイルの前記優先度を最も高く変更するようにした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、APのプロファイルの優先度の変更をユーザが操作することなく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1に本発明の各実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す。図1に示すように、以下の各実施の形態における無線通信システムでは、AP1およびAP2により構成されるサービスエリア1(ESSID=eeee1)、および、AP3およびAP4により構成されるサービスエリア2(ESSID=eeee2)が存在する。例えば、サービスエリア1はオフィスを想定し、サービスエリア2は自宅を想定する。また、図1に示すWLAN端末(本実施の形態に係る無線通信装置)は、各APを特定するプロファイルID、各APが属するサービスエリアのESSID、BSSID、認証方式(例えば、WPAまたはWPA2)および接続状態(例えば、接続または切断)等を含むプロファイルをAP1〜AP4毎に保持する。また、以下の説明では、図1に示すように、AP1のプロファイルIDを‘オフィス1’とし、AP2のプロファイルIDを‘オフィス2’とし、AP3のプロファイルIDを‘自宅1’とし、AP4のプロファイルIDを‘自宅2’とする。また、WLAN端末において、AP1〜AP4の間で設定されたプロファイルの優先度は、AP3(‘自宅1’)が最も高く、AP1(‘オフィス1’)がAP3の次に高く、AP4(‘自宅2’)がAP1の次に高く、AP2(‘オフィス2’)が最も低い。
【0015】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る無線通信装置100の構成を図2に示す。図2に示す無線通信装置100において、保持部101は、APとの接続の確立に必要な情報を含むプロファイルを保持する。ここでは、無線通信装置100に登録されたAPのプロファイルには、プロファイルID、ESSID、BSSID、認証方式および接続状態等が含まれる。また、プロファイルには、APの検索時に用いる、異なるAP(図1ではAP1〜AP4)間の優先度が設定されている。また、保持部101は、例えば、図示しない更新部からの指示に従って、プロファイルの変更、追加、削除を行うことにより、保持するプロファイルを更新する。また、保持部101は、変更部107からの指示に従って、プロファイルの優先度を変更することにより、保持するプロファイルを更新する。
【0016】
制御部102は、保持部101が保持するプロファイルに基づいて、接続先APの検索および接続を制御する。具体的には、まず、制御部102は、保持部101が保持するプロファイルのうち、優先度がより高いプロファイルに対応するAPから順に、APの検索を行うように通信部103に指示する。そして、制御部102は、通信部103から入力される、APの検索結果(例えば、接続可または接続不可)を示す情報を接続先選択部104および変更部107に出力する。
【0017】
また、制御部102は、接続先選択部104から入力される、接続先APを示す接続先選択結果に従って、APとの接続を制御する。具体的には、制御部102は、保持部101が保持するプロファイルの中から、接続先選択結果に示される接続先APのプロファイルを選択する。そして、制御部102は、選択したプロファイルに基づいて、接続先APとの接続を行うように通信部103に指示する。
【0018】
通信部103は、制御部102からの指示に従って、WLANプロトコルに基づくAPの検索および接続を行う。また、通信部103は、APの検索結果または接続の状態(通信状態)を示す情報を制御部102に出力する。
【0019】
接続先選択部104は通信情報提示部105および選択部106を内部に備える。接続先選択部104の通信情報提示部105は、制御部102から入力される、各APの検索結果(例えば、接続可または接続不可)を示す情報を、例えばディスプレイに提示する。
【0020】
接続先選択部104の選択部106は、通信情報提示部105で提示された情報に基づいて、操作入力により接続先APのプロファイルを選択する。そして、選択部106は、選択した接続先APのプロファイルを示す接続先選択結果を制御部102および変更部107に出力する。
【0021】
変更部107は、接続先選択部104の選択部106から入力される接続先選択結果に基づいて、保持部101が保持するプロファイルの優先度を変更する。具体的には、変更部107は、接続先選択結果に示される接続先APのプロファイルの優先度を、保持部101が保持するプロファイルのうち自装置と接続可能なAP(接続先APを含む)のプロファイルにおいて、接続先APのプロファイル(選択部106で選択されたプロファイル)の優先度を最も高く変更する。そして、変更部107は、プロファイルの優先度を変更するように保持部101に指示する。
【0022】
次に、本実施の形態に係る無線通信装置100の変更部107におけるプロファイルの優先度変更処理について詳細に説明する。以下、変更部107におけるプロファイルの優先度変更方法1〜3についてそれぞれ説明する。
【0023】
なお、以下の変更方法1〜3では、無線通信装置100(WLAN端末)の保持部101は、図1に示すAP1(プロファイルID:‘オフィス1’)、AP2(プロファイルID:‘オフィス2’)、AP3(プロファイルID:自宅1)およびAP4(プロファイルID:自宅2)のプロファイルを保持する。また、後述する図5、図7および図8において、プロファイルID:‘屋外’を含むプロファイルは、図1に示すAP1〜AP4以外のどのAPでも検索されれば接続することを示す。つまり、無線通信装置100は、プロファイルID:‘屋外’のプロファイルを選択した場合、検索したAPのESSIDがいずれであっても接続する。
【0024】
また、無線通信装置100(WLAN端末)は、優先度が最も高いAP3(プロファイルID:自宅1)から順に、優先度が最も低い図示しないAP(プロファイルID:屋外)まで、プロファイルの優先度が高い順にAPを検索する。また、ここでは、図1に示す無線通信システムにおいて、無線通信装置100(WLAN端末)はサービスエリア1(オフィス)に位置し、サービスエリア2(自宅)を構成するAP3およびAP4の圏外に位置する。つまり、図5、図7および図8それぞれの左側に示すように、無線通信装置100(WLAN端末)では、AP検索の結果、AP1(‘オフィス1’)およびAP2(‘オフィス2’)との接続が可能となり(図5に示す接続可の欄:‘○’)、AP3(‘自宅1’)およびAP4(‘自宅2’)との接続が不可能となる(図5に示す接続可の欄:空白)。
【0025】
以下の変更方法1〜3に係る変更部107は、保持部101が保持するプロファイルのうち自装置との接続が可能なAPのプロファイル(選択されたAPを含む)において、選択部106で選択されたAP(接続先AP)のプロファイルの優先度を最も高く変更する。
【0026】
<変更方法1>
本変更方法では、変更部107は、選択部106で選択されたAPのプロファイルと、自装置との接続が不可能なAPのプロファイルとの間の優先度の関係を維持する。
【0027】
図3は、本変更方法に係る変更部107におけるプロファイルの優先度変更処理の流れを示し、図4は、図3に示すST14におけるプロファイルの優先度変更処理のより詳細な流れを示す。
【0028】
図3においてステップ(以下、STという)11では、変更部107は、選択部106から入力される接続先選択結果を取得する。ST12では、変更部107は、制御部102から入力される各APの検索結果(接続可能または接続不可能)を取得する。
【0029】
ST13では、変更部107は、ST11で取得した接続先選択結果に示される接続先APのプロファイルの優先度が、保持部101に保持されるプロファイルの優先度の中で最も高いか否かを判断する。
【0030】
接続先APのプロファイルの優先度が保持部101に保持されるプロファイルの優先度の中で最も高い場合(ST13:YES)、変更部107は何もしないで処理を終了させる。
【0031】
一方、接続先APのプロファイルの優先度が保持部101に保持されるプロファイルの優先度の中で最も高くない場合(ST13:NO)、ST14では、変更部107は、接続先APのプロファイルの優先度を変更する。
【0032】
次いで、図3に示すST14におけるプロファイルの変更処理の詳細について図4を用いて説明する。なお、図4において、保持部101が保持するプロファイルをカウントするインデックスiは初期化(例えば、i=1)されている(図示せず)。また、図4では、保持部101が保持するプロファイル(例えば、N個のプロファイル)に対して、優先度が低いプロファイルから順にそれぞれインデックス(i=1、2,3,…,N)が付されているものとする。つまり、優先度が最も低いプロファイルPiをi=1とし、優先度が最も高いプロファイルPiをi=Nとする。
【0033】
図4において、ST21では、変更部107は、図3に示すST11で取得した接続先選択結果に示される接続先APのプロファイルPs(つまり、選択部106で選択されたプロファイル)を取得する。ST22では、変更部107は、保持部101が保持するプロファイルのうち、接続可能なAPのプロファイルにおいて優先度が最も高いプロファイルPh(つまり、i=h)を取得する。ST23では、変更部107は、保持部101が保持するプロファイルのうち優先度が最も低いプロファイルPi(ただし、i=1)を取得する。
【0034】
ST24では、変更部107は、ST21で取得したプロファイル(接続先APのプロファイル)Psの優先度と、プロファイルPi(ST23またはST28の処理で得られるプロファイル)の優先度とを比較する。プロファイルPiの優先度がプロファイルPsの優先度以下の場合(ST24:NO)、ST27に進む。
【0035】
プロファイルPiの優先度がプロファイルPsの優先度より高い場合(ST24:YES)、ST25において、変更部107は、図3に示すST12で取得した検索結果に基づいて、プロファイルPiに対応するAPが接続可能であるか否かを判断する。プロファイルPiに対応するAPが接続不可能である場合(ST25:NO)、ST27に進む。
【0036】
プロファイルPiに対応するAPが接続可能である場合(ST25:YES)、ST26において、変更部107は、プロファイルPiの優先度を、プロファイルPsの優先度より低くする。換言すると、変更部107は、プロファイルPsの優先度を、プロファイルPiの優先度よりも高くする。
【0037】
ST27では、変更部107は、インデックスiがh以下であるか否かを判断する。インデックスiがh以下の場合(ST27:YSE)、変更部107は、i=i+1のようにインデックスiをインクリメントして(ST28)、処理をST24に移行する。インデックスiがhより大きい場合(ST27:NO)、変更部107は、図3に示す処理に戻り、優先度変更処理を終了する。
【0038】
すなわち、変更部107は、図4に示すST24〜ST28の処理を繰り返すことにより、接続先AP以外で接続可能なすべてのAPのプロファイルPiの優先度を、接続先APのプロファイルPsの優先度よりも低くする。換言すると、変更部107は、接続可能なAPのプロファイルにおいて、接続先APのプロファイルPsの優先度を最も高くする。ただし、変更部107は、ST25によって、選択部106で選択された接続先APのプロファイルPsの優先度を、プロファイルPsよりも高い優先度が設定された、自装置との接続が不可能なAPのプロファイルの優先度よりも低いままとする。つまり、接続先APのプロファイルPsと、自装置との接続が不可能なAPのプロファイルとの間の優先度の関係は維持される。
【0039】
次に、変更部107におけるプロファイルの優先度変更処理の具体例について説明する。ここで、選択部106(図2)は図5左側に示すプロファイルのうち、プロファイルIDが‘屋外’であるAPを選択する。このとき、変更部107は、図3および図4に示す処理を行うことにより、図5右側に示すように、プロファイルの優先度を変更する。具体的には、図5右側に示すように、AP1〜AP4およびプロファイルIDが‘屋外’であるAP(接続先AP)の間で設定されるプロファイルの優先度は、AP3(‘自宅1’)が最も高く、AP4(‘自宅2’)がAP3の次に高く、AP(‘屋外’)がAP4の次に高く、AP1(‘オフィス1’)がAP(‘屋外’)の次に高く、AP2(‘オフィス2’)が最も低い。
【0040】
つまり、図5右側に示すように、選択部106で選択されたAP(‘屋外’)のプロファイルの優先度は、接続可が‘○’のAP(プロファイルID:‘オフィス1’、‘オフィス2’および‘屋外’)のプロファイルの優先度の中で最も高く変更されている。また、選択部106で選択されたAP(‘屋外’)のプロファイルの優先度は、図5左側および図5右側の双方で、接続が不可能なAP(プロファイルID:‘自宅1’および‘自宅2’)の優先度よりも低い。つまり、選択部106で選択されたAP(‘屋外’)のプロファイルと、接続が不可能なAP(プロファイルID:‘自宅1’および‘自宅2’のAP)との間の優先度の関係は、優先度変更処理の前後で維持されている。
【0041】
ここで、例えば、図5左側において、AP(‘自宅1’)およびAP(‘自宅2’)は、AP(‘屋外’)よりも優先度が高い。そのため、無線通信装置100は、AP(‘自宅1’)およびAP(‘自宅2’)との接続が可能であれば、AP(‘自宅1’)またはAP(‘自宅2’)を選択する可能性が高い。
【0042】
よって、本変更方法によれば、例えば、通信環境の変化により接続が不可能であったAP(図5ではAP(‘自宅1’)およびAP(‘自宅2’))が接続可能な状態になった場合でも、無線通信装置100は、プロファイルの優先度変更前において優先度が高かったAPを優先的に検索することでAPの検索時間を短くすることができる。
【0043】
また、本変更方法によれば、無線通信装置100は、接続先APを選択するのみで、保持部101が保持するプロファイルの優先度を自動的に変更することができる。
【0044】
<変更方法2>
本変更方法では、変更部107は、保持部101が保持するすべてのプロファイルにおいて、選択部106で選択されたAPのプロファイルの優先度を最も高くする。
【0045】
本変更方法に係る変更部107におけるプロファイルの優先度変更処理の流れは、図3に示す変更方法1の処理の流れと同様であるが、図3に示すST14において図4に示す処理の代わりに、図6に示す処理を行う点が変更方法1の処理の流れと相違する。なお、図6において、図4と同一の処理には同一符号を付し説明を省略する。
【0046】
図6において、ST31では、変更部107は、ST21で得たプロファイル(接続先APのプロファイル)Psの優先度を、保持部101が保持するすべてのプロファイルの優先度の最上位に変更する。
【0047】
次に、変更部107におけるプロファイルの優先度変更処理の具体例について説明する。ここで、選択部106(図2)は、変更方法1と同様、図7左側に示すプロファイルのうち、プロファイルIDが‘屋外’であるAPを選択する。このとき、変更部107は、図3および図6に示す処理を行うことにより、図7右側に示すように、プロファイルの優先度を変更する。具体的には、図7右側に示すように、AP1〜AP4およびプロファイルIDが‘屋外’であるAP(接続先AP)の間で設定されるプロファイルの優先度は、AP(‘屋外’)が最も高く、AP3(‘自宅1’)のAPがAP(‘屋外’)の次に高く、AP1(‘オフィス1’)がAP3(‘自宅1’)の次に高く、AP4(‘自宅2’)がAP1の次に高く、AP2(‘オフィス2’)が最も低い。
【0048】
図7右側に示すように、選択部106で選択されたAP(‘屋外’)のプロファイルの優先度は、変更方法1と同様、接続可が‘○’のAP(プロファイルID:‘オフィス1’、‘オフィス2’および‘屋外’)のプロファイルの優先度の中で最も高く変更されている。なお、図7右側に示すように、選択部106で選択されたAP(‘屋外’)のプロファイルの優先度は、接続不可能なAP(プロファイルID:‘自宅1’および‘自宅2’)を含む、保持部101が保持するすべてのプロファイルの優先度の中でも最も高く変更されている。
【0049】
よって、本変更方法によれば、例えば、通信が不安定な環境下において、APとの接続が頻繁に切断される場合でも、無線通信装置100は、接続先AP(図7ではAP(‘屋外’))の再検索を素早く行うことができる。つまり、同一の通信環境においてAPを繰り返し再検索する場合には、無線通信装置100は、選択したAP(図7ではAP(‘屋外’))を優先的に検索することでAPの検索時間を短くすることができる。
【0050】
また、本変更方法によれば、変更方法1と同様、無線通信装置100は、接続先APを選択するのみで、保持部101が保持するプロファイルの優先度を自動的に変更することができる。
【0051】
<変更方法3>
本変更方法では、変更部107は、選択されたAPのプロファイルの優先度を、自装置との接続が可能なAPのプロファイルよりも低い優先度が設定された、自装置との接続が不可能なAPのプロファイルの優先度よりも高く変更する。
【0052】
本変更方法に係る変更部107におけるプロファイルの優先度変更処理の流れは、図3に示す変更方法1の処理の流れと同様であるが、図3に示すST14の処理(図4)において、ST25の処理を行わない点のみが変更方法1の処理の流れと相違する。
【0053】
すなわち、図4において、プロファイルPiの優先度がプロファイルPsの優先度より高い場合(ST24:YES)、変更部107は、ST25を行わず、ST26において、プロファイルPiの優先度をプロファイルPsの優先度より低くする。
【0054】
次に、変更部107におけるプロファイルの優先度変更処理の具体例について説明する。ここで、選択部106(図2)は、変更方法1と同様、図8左側に示すプロファイルのうち、プロファイルIDが‘屋外’のAPを選択する。このとき、変更部107は、図3および図4(ただし、ST25は行わず)に示す処理を行うことにより、図8右側に示すように、プロファイルの優先度を変更する。具体的には、図8右側に示すように、AP1〜AP4およびプロファイルIDが‘屋外’であるAP(接続先AP)の間で設定されるプロファイルの優先度は、AP3(‘自宅1’)が最も高く、AP(‘屋外’)がAP3の次に高く、AP1(‘オフィス1’)がAP(‘屋外’)の次に高く、AP4(‘自宅2’)がAP1の次に高く、AP2(‘オフィス2’)が最も低い。
【0055】
つまり、図8右側に示すように、選択部106で選択されたAP(‘屋外’)のプロファイルの優先度は、変更方法1と同様、接続可が‘○’のAP(プロファイルID:‘オフィス1’、‘オフィス2’および‘屋外’)のプロファイルの優先度の中で最も高く変更されている。
【0056】
また、優先度変更前(図8左側)において、接続可能なAPのプロファイルの中で優先度が最も高いAP(‘オフィス1’)は、無線通信装置100との接続が不可能であるAPのうち、AP(‘自宅1’)よりも優先度が低く、AP(‘自宅2’)よりも優先度が高い。一方、優先度変更後(図8右側)において、接続可能なAPのプロファイルの中で優先度が最も高いAP(‘屋外’)は、無線通信装置100との接続が不可能であるAPのうち、AP(‘自宅1’)よりも優先度が低く、AP(‘自宅2’)よりも優先度が高い。つまり、変更部107は、選択部106で選択された接続先AP(‘屋外’)のプロファイルの優先度を、自装置との接続が可能なAPのプロファイルよりも低い優先度が設定された、自装置との接続が不可能なAP(‘自宅2’)のプロファイルの優先度よりも高く変更する。
【0057】
換言すると、接続可能なAPのプロファイルのうち優先度が最も高いAP(優先度変更前は図8左側に示すAP(‘オフィス1’)、優先度変更後は図8右側に示すAP(‘屋外’))のプロファイルと、自装置との接続が不可能なAP(図8左側および右側に示すAP(‘自宅1’)およびAP(‘自宅2’))のプロファイルとの間の優先度の関係は、優先度変更処理の前後で維持される。
【0058】
これにより、本変更方法によれば、同一の通信環境においてAPを繰り返し再検索する場合(例えば、通信環境が不安定な場合)には、無線通信装置100は、変更方法2と同様にして、選択したAP(図7ではAP(‘屋外’))をより高い優先順位で検索することができる。
【0059】
また、図8左側および図8右側に示すように、無線通信装置100と接続可能なAP(接続可:‘○’)のうち選択部106で選択されたAP(‘屋外’)のプロファイル以外のプロファイル(プロファイルID:‘オフィス1’および‘オフィス2’)と、無線通信装置100と接続不可能なAP(接続可:空白)のプロファイル(プロファイルID:‘自宅1’および‘自宅2’)との間の優先度の関係は、優先度変更処理の前後で維持されている。具体的には、優先度変更前(図8左側)では、AP(‘自宅1’)、AP(‘オフィス1’)、AP(‘自宅2’)、AP(‘オフィス2’)の順に優先度が高い。一方、優先度変更後(図8右側)でも、AP(‘自宅1’)、AP(‘オフィス1’)、AP(‘自宅2’)、AP(‘オフィス2’)の順に優先度が高い。
【0060】
これにより、本変更方法によれば、例えば、通信環境の変化により接続が不可能であったAP(図8ではAP(‘自宅1’)およびAP(‘自宅2’))が接続可能な状態になった場合でも、無線通信装置100は、変更方法1と同様にして、プロファイルの優先度変更前の優先度において優先度が高かったAPを優先的に検索することができる。
【0061】
また、本変更方法によれば、変更方法1と同様、無線通信装置100は、接続先APを選択するのみで、保持部101が保持するプロファイルの優先度を自動的に変更することができる。
【0062】
以上、変更部107におけるプロファイルの優先度変更方法1〜3について説明した。
【0063】
このようにして、本実施の形態によれば、無線通信装置は、接続先APを選択することにより、自装置が保持するプロファイルの優先度を自動的に変更することができる。よって、本実施の形態によれば、プロファイルの優先度の変更をユーザが操作することなく行うことができる。
【0064】
なお、変更部107におけるプロファイルの優先度変更方法は、優先度変更方法1〜3のうちのいずれかに予め固定しておかなければならないというものではなく、ユーザの選択に応じて優先度変更方法を切り替えるようにしてもよい。
【0065】
また、通信部103がAPの電界強度または通信速度等の情報を通信状態として出力し、変更部107が通信状態に基づいて通信環境の安定度を判断して、優先度変更方法を優先度変更方法1〜3のいずれかに切り替えるようにしてもよい。
【0066】
これにより、通信が安定している場合であっても不安定な場合であっても常にAPの検索時間を短縮することができる。
【0067】
(実施の形態2)
本実施の形態では、無線通信装置は、接続先APのプロファイルの優先度を変更した後に、接続先APとの接続が切断された場合、接続先APのプロファイルの優先度を変更前の優先度に戻す。
【0068】
以下、具体的に説明する。本実施の形態に係る無線通信装置200の構成を図9に示す。なお、図9において、図2に示した構成部と同一の構成部については同一符号を付し説明を省略する。
【0069】
本実施の形態に係る無線通信装置200(図9)の計時部201には、自装置と接続先APとの接続状態(接続または切断)を示す接続状態通知が変更部107から入力される。そして、計時部201は、接続状態が‘切断’であることを示す接続状態通知が入力された場合、接続状態通知が入力された時刻からの経過時間を計時する。そして、計時部201は、予め設定された時間が経過した場合、予め設定された時間が経過したことを示す計時情報を変更部107に出力する。
【0070】
変更部107には、接続状態通知が制御部102から入力される。変更部107は、選択部106で選択されたAP(接続先AP)のプロファイルの優先度を実施の形態1と同様にして変更する前に、保持部101が保持する現在のプロファイルの優先度を保存する。そして、変更部107は、接続先APのプロファイルの優先度を、実施の形態1と同様にして変更する。また、変更部107は、接続先APのプロファイルの優先度を変更後、接続状態が‘切断’であることを示す接続状態通知が入力された場合、その接続状態通知を計時部201に出力する。そして、変更部107は、計時部201から計時情報が入力された場合(つまり、接続状態通知(‘切断’)が入力された時間から予め設定された時間が経過した場合)、接続先APのプロファイルの優先度を、変更前の優先度(保存していた優先度)に戻すように保持部101に指示する。
【0071】
保持部101は、変更部107からの指示に従って、プロファイルの優先度を、変更前の優先度に戻す(回復する)ことにより、保持するプロファイルを更新する。
【0072】
次に、本実施の形態に係る無線通信装置200の変更部107におけるプロファイルの優先度変更(回復)処理について詳細に説明する。図10は、本実施の形態に係る変更部107におけるプロファイルの優先度変更処理の流れを示し、図11は、図10に示すST44におけるプロファイルの優先度回復処理のより詳細な流れを示す。なお、図10において、図3と同一の処理には同一符号を付し説明を省略する。
【0073】
図10において、ST41では、変更部107は、保持部101に保持されているプロファイルの現在の優先度を保存する。ST14で接続先APのプロファイルの優先度を変更後、ST42では、変更部107は、自装置と接続先APとの接続状態(接続または切断)を示す接続状態通知を制御部102から取得する。
【0074】
ST42で取得した接続状態通知が‘接続’を示す場合(ST43:NO)、変更部107は何もせず、ST43の判断を繰り返す。一方、ST42で取得した接続状態通知が‘切断’を示す場合(ST43:YSE)、ST44では、変更部107は、保持部101が保持するプロファイルの優先度を、ST41で保存した優先度(変更前の優先度)に回復する。
【0075】
次いで、図10に示すST44におけるAPの変更処理の詳細について図11を用いて説明する。
【0076】
ST51では、変更部107は、接続状態が‘切断’であることを示す接続状態通知を計時部201に出力することにより、計時部201に対して、接続状態が‘切断’になった時刻からの経過時間の計時を開始させる。
【0077】
接続状態が‘切断’になった時刻から予め設定された時間が経過するまでは(ST52:NO)、変更部107は何もしない。一方、接続状態が‘切断’になった時間から予め設定された時間が経過した場合(ST52:YES)、つまり、計時部201から計時情報が入力された場合、ST53では、変更部107は、保持部101が保持するプロファイルの優先度を、図10に示すST41で保存した優先度に戻す。
【0078】
例えば、無線通信装置200があるAPと一時的に接続する場合、つまり、選択した接続先APのプロファイルの優先度を一時的に高くする場合について説明する。無線通信装置200は、接続先APのプロファイルの優先度を、実施の形態1と同様にして変更しているため、接続先APとの接続が切断されても、接続先APの検索に要する時間を短縮することができる。また、無線通信装置200は、接続先APと切断後、予め設定された時間が経過した場合、つまり、接続先APとの接続が終了したと考えられる場合には、プロファイルの優先度を変更前の状態に自動的に回復する。つまり、無線通信装置200では、あるAPと一時的に接続する場合でも、操作入力によりAPの選択を行うのみで、プロファイルの変更およびプロファイルの回復を自動的に行うことができる。
【0079】
また、例えば、通信環境が不安定な場合には、実施の形態1の変更方法2と本実施の形態とを組み合わせることにより、無線通信装置200は、接続先APとの接続が切断されても、接続先APの検索に要する時間を最短に抑えることができ、かつ、接続先APとの接続が終了するとプロファイルの優先度を自動的に戻すことができる。
【0080】
このようにして、本実施の形態によれば、無線通信装置は、実施の形態1と同様、接続先APを選択することにより、自装置が保持するプロファイルの優先度を自動的に変更することができ、かつ、切断後にはプロファイルの優先度を変更前の状態に自動的に戻すことができる。よって、本実施の形態によれば、プロファイルの優先度の変更および回復をユーザが操作することなく行うことができる。
【0081】
なお、本実施の形態では、無線通信装置200は、接続先APとの接続が切断された時刻から予め設定された時間が経過した際、保持部101が保持するプロファイルの優先度を変更前の優先度に自動的に戻す場合について説明した。しかし、本発明では、無線通信装置200は、接続先APとの接続が切断された場合に、保持部101が保持するプロファイルの優先度を変更前の優先度に戻すか否かを、ユーザの操作入力により選択してもよい。具体的には、図12に示すように、ST61において、無線通信装置200の変更部107は、保持部101が保持するプロファイルの優先度を、変更前の優先度に戻すか否かをユーザに問い合わせる。例えば、ユーザの操作入力により、保持部101が保持するプロファイルの優先度を変更前の優先度に戻す指示が有る場合(ST62:YES)、変更部107は、ST53において、本実施の形態と同様にして、保持部101が保持するプロファイルの優先度を、図10に示すS41で保存した優先度に戻す。一方、保持部101が保持するプロファイルの優先度を変更前の優先度に戻す指示が無い場合(ST62:NO)、または、変更後の優先度をそのまま保存する指示がある場合、変更部107は、現在の優先度(変更後の優先度)を保存する。
【0082】
(実施の形態3)
実施の形態2において、接続先APとの接続が手動により切断(手動切断)された場合、つまり、ユーザの操作入力により接続先APとの接続が切断された場合、無線通信装置は、その接続先APとの接続を再開させるためにAPの再検索を直ちに行う可能性は低い。これに対し、接続先APとの接続が自動で切断(自動切断)された場合、例えば、通信環境が不安定なため接続先APとの接続が切断された場合、無線通信装置は、その接続先APとの接続をすぐに再開させるためにAPの再検索を行う可能性は高い。
【0083】
そこで、本実施の形態に係る無線通信装置は、接続先APとの接続の切断が手動切断の場合、手動切断すると同時に、保持部101が保持するプロファイルの優先度を、変更前の優先度に回復する。一方、変更部107は、接続先APとの接続の切断が自動切断の場合には、実施の形態2と同様にして、自動切断された時刻から予め設定された時間が経過後に、保持部101が保持するプロファイルの優先度を、変更前の優先度に回復する。
【0084】
以下、具体的に説明する。本実施の形態に係る無線通信装置300の構成を図13に示す。なお、図13において、図9に示した構成部と同一の構成部については同一符号を付し説明を省略する。
【0085】
本実施の形態に係る無線通信装置300(図13)の切断操作入力部301は、自装置と接続されている接続先APに対して切断の操作入力を行う。切断操作入力部301は、切断の操作入力が行われた場合、接続先APとの接続を切断する指示(切断指示)を制御部102に出力する。なお、切断指示には、操作入力が手動(手動切断)で行われたか、自動(自動切断)で行われたかを示す情報が含まれる。
【0086】
制御部102は、切断操作入力部301から切断指示が入力された場合、接続先APとの接続を切断するように通信部103に指示する。また、制御部102は、接続先APとの接続の切断が手動切断であるか自動切断であるかを示す情報を含む接続状態通知を変更部107に出力する。
【0087】
変更部107は、選択部106で選択されたAP(接続先AP)のプロファイルの優先度を実施の形態1と同様にして変更する前に、保持部101が保持する現在のプロファイルの優先度を保存する。また、変更部107は、接続先APのプロファイルの優先度を変更後、接続状態が‘手動切断’であることを示す接続状態通知が入力された場合、接続先APのプロファイルの優先度を、変更前の優先度(保存しているプロファイルの優先度)に直ちに戻す。つまり、変更部107は、接続先APとの接続の切断が手動切断の場合(図14に示すST71:YES)、切断と同時に、接続先APのプロファイルの優先度を変更前の優先度(保存してある優先度)に戻す。
【0088】
一方、変更部107は、接続先APのプロファイルの優先度を変更後、接続状態が‘自動切断’であることを示す接続状態通知が入力された場合(図14に示すST71:NO)、実施の形態2(図10)と同様にして、その接続状態通知を計時部201に出力する。そして、変更部107は、計時部201から計時情報が入力された場合(つまり、接続状態通知(‘自動切断’)が入力された時刻から予め設定された時間が経過した場合)、接続先APのプロファイルの優先度を、変更前の優先度に戻す。
【0089】
例えば、無線通信装置300があるAPと一時的に接続する場合、つまり、選択した接続先APのプロファイルの優先度を一時的に高くする場合について説明する。ここで、あるAPとの接続を終了する場合には、無線通信装置300は、操作入力によりAPとの接続を切断(手動切断)すると同時にプロファイルの優先度を変更前の優先度に戻す。つまり、手動切断の場合には、無線通信装置300は、切断されたAPの再検索の可能性が低いと判断してプロファイルの優先度を変更前の優先度に戻すことにより、変更前のプロファイルの優先度(つまり、通常の優先度)に基づくAPの検索を直ちに実行することができる。
【0090】
このようにして、本実施の形態によれば、無線通信装置は、APとの接続の切断が手動切断であるか自動切断であるかに応じて、自装置が保持するプロファイルの優先度を回復するタイミングを制御する。これにより、手動切断の場合、つまり、APの再検索が直ちに行われる可能性が低い場合、プロファイルの優先度を本来の優先度に直ちに戻すことができ、無線通信装置は、本来の優先度(通信評価情報に基づく優先度)を用いてAPを検索することができる。また、自動切断の場合、つまり、予期しない切断が発生し、APの再検索が直ちに行われる可能性が高い場合、プロファイルの優先度を予め設定された時間だけ維持するため、無線通信装置は、実施の形態2と同様、APの再検索に要する時間を短縮することができる。
【0091】
(実施の形態4)
本実施の形態では、無線通信装置は、選択したAP(接続先AP)のプロファイルの優先度が変更された場合、プロファイルの優先度の変更を提示する。
【0092】
以下、具体的に説明する。本実施の形態に係る無線通信装置400の構成を図15に示す。なお、図15において、図9に示した構成部と同一の構成部については同一符号を付し説明を省略する。
【0093】
本実施の形態に係る無線通信装置400(図15)の優先度変更状態提示部401は、変更部107から、選択部106で選択された接続先APのプロファイルの優先度を変更する指示が入力される場合、プロファイルの優先度の変更を提示する。
【0094】
例えば、図1に示すAP1〜AP4のうち、AP2(‘オフィス2’)のプロファイルの優先度が変更された場合について説明する。
【0095】
優先度変更状態提示部401は、AP2(‘オフィス2’)のプロファイルの優先度を変更する指示が変更部107から入力されると、例えば、図16Aに示すように、保持部101が保持するすべてのプロファイルを提示する際に、優先度が変更されるAP(‘オフィス2’)の書式(字体または色)を変更して提示してもよい。
【0096】
または、図16Bに示すように、優先度変更状態提示部401は、保持部101が保持するすべてのプロファイルを提示する際に、優先度が変更されるAP(‘オフィス2’)のプロファイルにマーク(図16Bでは星印)を付与してもよい。
【0097】
または、図16Cに示すように、優先度変更状態提示部401は、保持部101が保持するすべてのプロファイルを提示する際に、いずれかのAPのプロファイルの優先度が変更されていることを示すマーク(図16Cでは星印)を、ピクト等で提示してもよい。
【0098】
このように、本実施の形態によれば、無線通信装置は、あるAPが一時的に選択され、優先度が一時的に高くなっている状態をユーザに提示することができる。例えば、無線通信装置が、プロファイルの優先度が変更されていることを提示することにより、ユーザはプロファイルの優先度を変更前に戻すか、変更後の優先度を保存するか等の操作を容易に判断することができる。
【0099】
以上、本発明の各実施の形態について説明した。
【0100】
なお、上記実施の形態では、WLAN端末がAPへ接続する場合を一例として説明した。しかし、WLAN端末がAPへ接続する場合に限らず、例えば、Bluetooth(登録商標)による通信が可能な端末が周辺の通信機器へ接続する場合など、WLAN以外の無線通信装置において本発明を実施することも可能である。
【0101】
また、上記実施の形態では、無線通信装置(WLAN端末)がAPのプロファイルの優先度に基づいてAPの検索を行う場合について説明したが、本発明では、無線通信装置は、APのプロファイルの優先度に限らず、APの電界強度、APの通信速度またはAPの暗号化強度等に基づいてAPの検索を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は移動体通信システム等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の各実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す概念図
【図2】本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1に係る優先度変更処理の流れを示す図
【図4】本発明の実施の形態1に係る優先度変更処理の詳細な流れを示す図(変更方法1)
【図5】本発明の実施の形態1に係る優先度変更処理の一例を示す図(変更方法1)
【図6】本発明の実施の形態1に係る優先度変更処理の詳細な流れを示す図(変更方法2)
【図7】本発明の実施の形態1に係る優先度変更処理の一例を示す図(変更方法2)
【図8】本発明の実施の形態1に係る優先度変更処理の一例を示す図(変更方法3)
【図9】本発明の実施の形態2に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【図10】本発明の実施の形態2に係る優先度変更および回復処理の流れを示す図
【図11】本発明の実施の形態2に係る優先度回復処理の詳細な流れを示す図
【図12】本発明の実施の形態2に係るバリエーションを示す図
【図13】本発明の実施の形態3に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【図14】本発明の実施の形態3に係る優先度回復処理の詳細な流れを示す図
【図15】本発明の実施の形態4に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【図16A】本発明の実施の形態4に係る優先度の変更の提示処理の一例を示す図
【図16B】本発明の実施の形態4に係る優先度の変更の提示処理の一例を示す図
【図16C】本発明の実施の形態4に係る優先度の変更の提示処理の一例を示す図
【符号の説明】
【0104】
100,200,300,400 無線通信装置
101 保持部
102 制御部
103 通信部
104 接続先選択部
105 通信情報提示部
106 選択部
107 変更部
201 計時部
301 切断操作入力部
401 優先度変更状態提示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機器との接続の確立に必要な情報を含むプロファイルであって、異なる通信機器間の検索時における優先度が設定された前記プロファイルを保持する保持手段と、
前記保持手段が保持する前記プロファイルのうち、自装置との前記接続を行う通信機器の前記プロファイルを選択する選択手段と、
前記保持手段が保持する前記プロファイルのうち自装置との前記接続が可能な通信機器の前記プロファイルにおいて、選択された前記プロファイルの前記優先度を最も高く変更する変更手段と、
を具備する無線通信装置。
【請求項2】
前記変更手段は、選択された前記プロファイルと、自装置との前記接続が不可能な通信機器の前記プロファイルとの間の前記優先度の関係を維持する、
請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記変更手段は、選択された前記プロファイルの前記優先度を、選択された前記プロファイルよりも高い前記優先度が設定された、自装置との前記接続が不可能な通信機器の前記プロファイルの前記優先度よりも低くする、
請求項1記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記変更手段は、前記保持手段が保持するすべての前記プロファイルにおいて、選択された前記プロファイルの前記優先度を最も高く変更する、
請求項1記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記変更手段は、選択された前記プロファイルの前記優先度を、自装置との前記接続が可能な通信機器の前記プロファイルよりも低い前記優先度が設定された、自装置との前記接続が不可能な通信機器の前記プロファイルの前記優先度よりも高く変更する、
請求項1記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記変更手段は、自装置との前記接続が可能な通信機器の前記プロファイルのうち選択された前記プロファイル以外の前記プロファイルと、自装置との前記接続が不可能な通信機器の前記プロファイルとの間の前記優先度の関係を維持する、
請求項1記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記変更手段は、さらに、選択された前記プロファイルの前記優先度の変更後、選択された前記プロファイルに対応する通信機器との前記接続が切断された場合、選択された前記プロファイルの前記優先度を変更前の優先度に戻す、
請求項1記載の無線通信装置。
【請求項8】
変更手段は、前記切断が手動切断の場合、前記切断と同時に、選択された前記プロファイルの前記優先度を変更前の優先度に戻す、
請求項7記載の無線通信装置。
【請求項9】
変更手段は、前記切断が自動切断の場合、前記切断の時刻から予め設定された時間経過後に、選択された前記プロファイルの前記優先度を変更前の優先度に戻す、
請求項7記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記変更手段により、選択された前記プロファイルの前記優先度が変更された場合、前記優先度の変更を提示する提示手段を、さらに具備する、
請求項1記載の無線通信装置。
【請求項11】
通信機器との接続の確立に必要な情報を含むプロファイルであって、異なる通信機器間の検索時における優先度が設定された前記プロファイルを保持し、
前記保持手段が保持する前記プロファイルのうち、自装置との前記接続を行う通信機器の前記プロファイルを選択し、
前記保持手段が保持する前記プロファイルのうち自装置との前記接続が可能な通信機器の前記プロファイルにおいて、選択された前記プロファイルの前記優先度を最も高く変更する、
優先度変更方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【公開番号】特開2010−192993(P2010−192993A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32923(P2009−32923)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】