無線通信装置及び無線通信システム
【課題】定期送信を行う第1通信装置とランダム送信を行う第2通信装置とが混在し、第1通信装置が定期送信期間情報を送信し、定期送信期間情報を受信した第2通信装置がその情報を再送信することで、各第2通信装置が定期送信期間を検知して、その期間内にランダム送信を実行しないようにした無線通信システムにおいて、第1通信装置が他の装置と重複しないように定期送信期間を自動設定できるようにする。
【解決手段】定期送信端末2において、定期送信期間設定部30では、空き定期送信期間判定部34が、データ受信部18にて復元された定期送信情報に基づき、予め記憶された複数の定期送信期間の候補の中から、他の定期送信端末2が利用していない空き定期送信期間を抽出し、定期送信期間選択部38が、その抽出された空き定期送信期間の中から、自端末が利用する定期送信期間を選択して、定期送信期間テーブル20に格納する。
【解決手段】定期送信端末2において、定期送信期間設定部30では、空き定期送信期間判定部34が、データ受信部18にて復元された定期送信情報に基づき、予め記憶された複数の定期送信期間の候補の中から、他の定期送信端末2が利用していない空き定期送信期間を抽出し、定期送信期間選択部38が、その抽出された空き定期送信期間の中から、自端末が利用する定期送信期間を選択して、定期送信期間テーブル20に格納する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共通の通信チャンネルを利用して無線通信を行う通信装置として、定期送信機能を有する第1通信装置とランダム送信機能を有する第2通信装置との2種類の通信装置を備えた無線通信システム、及び、この無線通信システムの第1通信装置を構成するのに好適な無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CSMA方式の無線通信システムのように、複数の通信装置が共通の通信チャンネルを利用してランダムにデータ送信を開始する無線通信システムでは、例えば、基地局となる特定の通信装置が重要性の高い情報(重要情報)を送信しようとしても、通信チャンネルで送信権を取得するのに時間がかかり、重要情報を速やかに送信することができないという問題があった。
【0003】
そこで、この種の無線通信システムにおいては、CSMA等の通信方式でランダムにデータ送信を開始するランダム送信機能を有する通信装置(第2通信装置)とは別に、TDMA等による通信方式で重要情報を定期的に送信する定期送信機能を有する通信装置(第1通信装置)を設け、第1通信装置が定期送信する定期送信期間中は、第2通信装置によるランダム送信を禁止することが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【0004】
また、この提案の無線通信システムでは、第1通信装置が定期送信する際に、送信データに定期送信期間を表す定期送信期間情報を含めることで、第2通信装置に定期送信期間を通知し、更に、定期送信期間情報を受信した第2通信装置がランダム送信を行う際には、送信データに定期送信期間情報を含めることで、第1通信装置からの送信電波が届かないエリアに位置する他の第2通信装置に対し、定期送信期間情報を転送するようにされている。
【0005】
このため、上記提案の無線通信システムによれば、第2通信装置がランダム送信を行うランダム送信期間を制限して、第1通信装置から周囲の第2通信装置に重要情報を優先的に送信させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−21870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記提案の無線通信システムにおいて、第1通信装置は、予め設定された定期送信期間内に定期送信を行うことから、例えば、第1通信装置を路側機として近接した位置に複数設置すると、その複数の第1通信装置間で電波干渉が生じることが考えられる。
【0008】
この問題を防止するには、近接する第1通信装置間で定期送信期間が重複することのないよう、各第1通信装置の定期送信期間を割り当てておけばよいが、路側機として第1通信装置を新たに設置するような場合には、新たに設置する第1通信装置の通信エリア内で、当該第1通信装置からの送信電波の受信電力及び近接する路側機からの送信電波の受信電力をそれぞれ測定することにより、新たに設置する第1通信装置との間で送信電波の干渉が生じる恐れのある既存の路側機を特定し、その既存の路側機が使用している定期送信期間と重複することのないよう、新たに設置する第1通信装置の定期送信期間を設定する必要がある。
【0009】
このため、路側機として第1通信装置を新たに設置する際には、定期送信期間を設定しなければならず、そのための費用と時間がかかるという問題があった。
また、路側機として第1通信装置を設置した後に、周囲に建造物が新たに建てられたり、あるいは取り壊されたりするなどして、周囲の電波環境が変わると、近接する路側機との間で電波の干渉が発生して、通信不能になることも考えられる。
【0010】
そして、この問題を防止するには、路側機を新たに設置するときと同様、再度電力測定を行った上で、定期送信期間を再度割り当てるようにすればよいが、このためには、費用と時間がかかるだけでなく、一時的にサービスを停止しなければならないという問題も発生する。
【0011】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、定期送信機能を有する第1通信装置とランダム送信機能を有する第2通信装置とが混在し、第1通信装置が定期送信期間情報を送信し、第2通信装置が定期送信期間情報を受信して他の第2通信装置に転送することで、各第2通信装置が第1通信装置の定期送信期間を把握して、その期間内にランダム送信を実行しないようにした無線通信システムにおいて、定期送信機能を有する第1通信装置自身が、他の第1通信装置との間で送信電波の干渉が発生することのないよう、定期送信期間を自動で割り当てることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、上述した従来の無線通信システムと同様、定期送信機能を有する複数の第1通信装置とランダム送信機能を有する複数の第2通信装置とが混在する無線通信システムにおいて、第1通信装置として用いられる無線通信装置に関する発明である。
【0013】
また、本発明の無線通信装置が使用される無線通信システムにおいて、複数の第1通信装置は、定期送信期間を表す定期送信期間情報を含むデータを定期送信するよう構成され、複数の第2通信装置は、第1通信装置又は他の第2通信装置から定期送信期間情報を含む信号を受信すると、その受信信号に含まれる定期送信期間情報に対応する定期送信期間内にランダム送信を実施することのないよう自身の送信期間を制限し、しかも、その復元した定期送信期間情報を他の通信装置に転送するよう構成される。
【0014】
そして、この無線通信システムにおいて、第1通信装置として用いられる本発明の無線通信装置では、受信手段が、所定の通信チャンネルを利用して第2通信装置及び他の第1通信装置から送信されてくる送信信号を受信して、受信データを復元し、定期送信期間設定手段が、受信手段にて復元された受信データの中から定期送信期間情報を抽出し、その抽出した定期送信期間情報に基づき、当該無線通信装置が定期送信を行う定期送信期間を、他の第1通信装置の定期送信期間と重複することのないように設定する。
【0015】
つまり、本発明の無線通信装置においては、定期送信期間設定手段が、他の通信装置から受信した受信データに含まれる定期送信期間情報に基づき、他の第1通信装置が定期送信を行う定期送信期間とは異なる定期送信期間を、自身の定期送信期間として自動的に設定する。
【0016】
従って、本発明の無線通信装置によれば、上述した無線通信システムにおいて、当該無線通信装置を第1通信装置として新規に設ける場合や、周囲の電波環境の変化に対応して当該無線通信装置からなる第1通信装置の定期送信期間を再度割り当てる場合に、当該無線通信装置からの送信電波が、他の第1通信装置からの送信電波と干渉することのないよう、定期送信期間を自動で設定することができ、その設定に要する時間及び費用を削減することができる。
【0017】
ここで、定期送信期間設定手段にて定期送信期間を設定する際には、請求項2に記載のように、第1通信装置が設定可能な定期送信期間として、予め、複数の定期送信期間を記憶しておき、定期送信期間設定手段は、その複数の定期送信期間の中から、他の第1通信装置が使用していない定期送信期間を選択するようにするとよい。
【0018】
このようにすれば、上記無線通信システムにおいて、第1通信装置は、予め用意されている複数の定期送信期間の中から、他の第1通信装置とは異なる一つの定期送信期間を、自身の定期送信期間として選択することになり、各第1通信装置が定期送信期間を任意に設定するようにした場合に比べて、定期送信の一周期内で複数の第1通信装置が定期送信を行う定期送信期間を効率よく割り当てることができる。
【0019】
また、この場合、複数の定期送信期間を用意する際に、定期送信の一周期内で定期送信期間として割り当てない空き期間を設けることで、第2通信装置がランダム送信に用いるランダム送信期間を確保することもできる。
【0020】
そして、定期送信期間設定手段をこのように動作させるには、請求項2に記載のように、定期送信期間設定手段を、定期送信期間情報に基づき、予め記憶された複数の定期送信期間の中から、他の第1通信装置が使用していない空き定期送信期間を抽出する空き定期送信期間抽出手段と、空き送信期間抽出手段にて抽出された空き定期送信期間の中から、当該無線通信装置が定期送信を行う定期送信期間を選択する定期送信期間選択手段と、により構成するとよい。
【0021】
ところで、本発明の無線通信装置では、第1通信装置から直接送信されてきた定期送信期間情報だけでなく、第2通信装置から転送されてきた定期送信期間情報を利用して、自身の定期送信期間を設定することから、当該無線通信装置に他の第1通信装置からの送信電波が届かなくても、当該無線通信装置の通信エリア内で、当該無線通信装置からの送信電波と他の第1通信装置からの送信電波とが干渉するのを防止できる。
【0022】
しかし、無線通信装置の通信エリア内で他の第1通信装置からの送信電波が届くオーバーラップ領域に第2通信装置が存在しない場合や、他の第1通信装置の通信エリア内の第2通信装置と当該無線通信装置の通信エリア内の第2通信装置との間で通信不良が発生した場合等、定期送信期間を設定するのに必要な他の第1通信装置の定期送信期間情報が第2通信装置を介して転送されてこないことも考えられる。
【0023】
そして、この場合には、他の第1通信装置の定期送信期間が空き定期送信期間として抽出され、その抽出された空き定期送信期間が、当該無線通信装置の定期送信期間として設定される虞がある。
【0024】
そこで、この問題をより確実に防止するには、請求項3に記載のように、空き定期送信期間抽出手段を、他の第1通信装置からの受信データに含まれている定期送信期間情報に基づき空き定期送信期間を抽出する第1抽出手段と、第2通信装置からの受信データに含まれている定期送信期間情報に基づき、所定の判定回数以上、他の第1通信装置が使用していないと判定された定期送信期間を、空き定期送信期間として抽出する第2抽出手段とから構成し、定期送信期間選択手段は、第1抽出手段及び第2抽出手段の両方で空き定期送信期間として抽出された空き定期送信期間の中から、当該無線通信装置が定期送信を行う定期送信期間を選択するようにするとよい。
【0025】
つまり、このようにすれば、空き定期送信期間抽出手段において、第2通信装置から転送されてきた定期送信期間情報に基づき空き定期送信期間を抽出する際には、第2抽出手段が、第2通信装置から受信した複数の定期送信期間情報に基づき、所定の判定回数以上空きと判定された定期送信期間だけを、空き定期送信期間として抽出することになる。
【0026】
従って、第2抽出手段が、第2通信装置から、定期送信期間を設定するのに必要な定期送信期間情報を取得できなかった場合に、その定期送信期間情報に対応した定期送信期間が、空き定期送信期間として抽出されるのを抑制できる。
【0027】
よって、請求項3に記載の無線通信装置によれば、当該無線通信装置の通信エリア内に届く他の第1通信装置の定期送信期間が、当該無線通信装置の定期送信期間として誤って設定される確率を低減することができる。
【0028】
一方、第2通信装置は、第1通信装置や第2通信装置から取得した定期送信期間情報を転送することから、本発明の無線通信装置に第2通信装置から転送されてくる定期送信期間情報は、電波干渉が生じることのない遠くの第1通信装置からのものであることも考えられる。
【0029】
そして、このように、電波干渉が生じることのない第1通信装置からの定期送信期間情報が第2通信装置を介して転送されてきた際にも、その定期送信期間情報に基づき、当該無線通信装置の定期送信期間を設定するようにしていると、当該無線通信装置の定期送信期間として設定可能な空き定期送信期間が少なくなり、場合によっては、定期送信期間を設定できなくなることも考えられる。
【0030】
このため、無線通信システムを構成する第2通信装置が、それぞれ、受信信号から復元した定期送信期間情報を転送する際に、当該定期送信期間情報が第1通信装置から送信されてから第2通信装置にて転送された転送回数を表す転送回数情報を付与するように構成されている場合には、定期送信期間設定手段を、請求項4に記載のように構成するとよい。
【0031】
すなわち、請求項4に記載の無線通信装置において、定期送信期間設定手段は、受信データから抽出した定期送信期間情報に付与されている転送回数情報に基づき、当該定期送信期間情報の転送回数を検知し、その転送回数が予め設定された上限値以上の定期送信期間情報については、当該無線通信装置の定期送信期間の設定に用いる定期送信期間情報から除外する。
【0032】
従って、請求項4に記載の無線通信装置によれば、第2通信装置による転送回数が多く、当該無線通信装置との間の距離が長いと考えられる第1通信装置からの定期送信期間情報に基づき、当該無線通信装置の定期送信期間を不必要に制限してしまうのを防止することができ、定期送信期間の設定可能範囲を広げることができる。
【0033】
また、このように定期送信期間の設定可能範囲を広げるには、請求項5に記載のように、定期送信期間設定手段において、受信データの受信レベルが予め設定された判定レベルに達しているか否かを判定し、受信レベルが判定レベルに達していない受信データの定期送信期間情報については、当該無線通信装置の定期送信期間の設定に用いる定期送信期間情報から除外するようにしてもよい。
【0034】
つまり、受信データの受信レベルが低い場合には、その受信データを送信してきた通信装置と当該無線通信装置との距離が長く、その受信データに含まれる定期送信情報の送信元の第1通信装置との電波干渉による通信不良が発生する可能性が低いことから、請求項5に記載の無線通信装置では、受信データの受信レベルが判定レベルに達していない場合には、受信データに含まれる定期送信期間情報を、当該無線通信装置の定期送信期間の設定に用いる定期送信期間情報から除外するのである。
【0035】
従って、請求項5に記載の無線通信装置においても、請求項4に記載の無線通信装置と同様、当該無線通信装置の定期送信期間を不必要に制限してしまうのを防止することができ、定期送信期間の設定可能範囲を広げることができる。
【0036】
なお、請求項4に記載の技術と、請求項5に記載の技術は、各々単独で実施するようにしてもよく、組み合わせて実施するようにしてもよい。
そして、これらの技術を組み合わせて実施する際には、定期送信期間設定手段は、例えば、転送回数が上限値に達していない定期送信期間情報については、転送回数が下限値(上限値よりも小さい値)以上か否かを判定し、転送回数が上限値未満、下限値以上である場合には、当該定期送信期間情報の受信レベルが予め設定された判定レベルに達しているか否かを判定し、当該定期送信期間情報の受信レベルが判定レベルに達していなければ、当該定期送信期間情報を、当該無線通信装置の定期送信期間の設定に用いる定期送信期間情報から除外するようにするとよい。
【0037】
一方、上述した本発明の無線通信装置では、他の第1通信装置からの定期送信期間情報が当該無線通信装置に届かない場合や、他の第1通信装置からの定期送信期間情報を転送してくる第2通信装置が当該無線通信装置の通信エリア内に存在しない場合に、当該無線通信装置の定期送信期間として、他の第1通信装置の定期送信期間が誤って設定されることを、完全に防止することはできない。
【0038】
そして、本発明の無線通信装置を、上記のように誤設定した定期送信期間にて定期送信するよう動作させると、当該無線通信装置の通信エリア内で他の第1通信装置との電波干渉が生じ、当該無線通信装置の通信エリア内に存在する第2通信装置が、当該無線通信装置からの送信データを正常に受信することができなくなってしまう。
【0039】
そこで、この問題を防止するには、請求項6に記載の無線通信装置のように、別途、定期送信判定手段を設けるとよい。
つまり、請求項6に記載の無線通信装置において、定期送信判定手段は、定期送信期間設定手段により定期送信期間が設定されて、当該無線通信装置が該定期送信期間内での定期送信を開始すると、その後、第2通信装置から当該無線通信装置の定期送信期間情報を含むデータを受信できたか否かを判断し、第2通信装置から当該無線通信装置の定期送信期間情報を含むデータを受信できないときには、定期送信期間設定手段に対し定期送信期間を再設定させる。
【0040】
従って、請求項6に記載の無線通信装置によれば、第2通信装置から当該無線通信装置の定期送信期間情報を受信することができず、当該無線通信装置の定期送信期間が他の第1通信装置と同じ定期送信期間に誤設定されている可能性があるときには、定期送信期間設定手段に、定期送信期間を再設定させることができる。
【0041】
よって、請求項6に記載の無線通信装置によれば、他の第1通信装置との間で電波干渉が生じ、当該無線通信装置の通信エリア内に存在する第2通信装置が、当該無線通信装置からの送信データを正常に受信できなくなるのを防止できる。
【0042】
次に、請求項7に記載の発明は、所定の通信チャンネルを利用して、予め設定された一定周期毎に、該周期よりも短い定期送信期間内に無線送信を行う定期送信機能を有し、しかも、定期送信時には、前記定期送信期間を表す定期送信期間情報を含むデータを送信するよう構成された複数の第1通信装置と、送信要求が発生した際、前記通信チャンネルが空いているか否かを判定して、前記通信チャンネルが空いているときに無線送信を行うランダム送信機能を有する複数の第2通信装置との2種類の通信装置が混在し、各第2通信装置が、第1通信装置又は他の第2通信装置から定期送信期間情報を含む信号を受信すると、その受信信号から定期送信期間情報を復元して、その定期送信期間情報に対応する定期送信期間内にランダム送信を実施することのないよう自身の送信期間を制限し、しかも、その復元した定期送信期間情報を、前記通信チャンネルを利用して他の通信装置に転送するよう構成された無線通信システムに関する発明である。
【0043】
そして、請求項7に記載の無線通信システムにおいては、複数の第1通信装置が、それぞれ、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の無線通信装置にて構成されている。
このため、請求項7に記載の無線通信システムによれば、近接する複数の第1通信装置が定期送信を行う定期送信期間が重複して、各第1通信装置の通信エリア内の第2通信装置が正常な通信を実施できなくなるのを防止できる。
【0044】
また、各第1通信装置は、自身の定期送信期間を自動的に設定できることから、各第1通信装置の定期送信期間を設定若しくは変更するのに要する費用と時間を削減することができ、無線通信システムの構築及びメンテナンスを低コストで実現できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1実施形態の無線通信システムの構成及び動作の概要を表す説明図である。
【図2】第1実施形態の定期送信端末の構成を表すブロック図である。
【図3】第1実施形態のランダム送信端末の構成を表すブロック図である。
【図4】第1実施形態の定期送信端末にて実行される空き定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
【図5】第1実施形態の空き定期送信期間設定処理にて実行される空き判定処理Aを表すフローチャートである。
【図6】第2実施形態の定期送信端末にて実行される空き定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
【図7】第2実施形態の空き定期送信期間設定処理にて実行される空き判定処理Bを表すフローチャートである。
【図8】第3実施形態の定期送信端末の構成を表すブロック図である。
【図9】第3実施形態の定期送信端末にて実行される空き定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
【図10】第3実施形態の空き定期送信期間設定処理にて実行される空き判定処理Cを表すフローチャートである。
【図11】第4実施形態の定期送信端末の構成を表すブロック図である。
【図12】第4実施形態の定期送信端末にて実行される空き定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
【図13】第4実施形態の空き定期送信期間設定処理にて定期送信期間選択後に実行される空き定期送信期間判定処理を表すフローチャートである。
【図14】第4実施形態の空き定期送信期間判定処理にて実行される空き判定処理Dを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
(無線通信システム全体の構成)
図1は、本発明が適用された第1実施形態の無線通信システムの構成及び動作の概要を表す説明図である。なお、本実施形態の無線通信システムは、上述した特許文献1に記載の実施形態と略同様に構成されている。
【0047】
図1(a)に示すように、本実施形態の無線通信システムは、路側機として自動車の走行路付近に分散して設置される複数の定期送信端末2(図に示す2a、2b)と、自動車に搭載され、路側機や他の車両との間で無線通信を行う複数のランダム送信端末4(図に示す4a、4b)と、から構成されている。
【0048】
定期送信端末2は、本発明の第1通信装置(換言すれば本発明の無線通信装置)に相当するものであり、交通情報等の各種情報を周囲の自動車に定期的に送信する定期送信機能を有する。
【0049】
また、ランダム送信端末4は、本発明の第2通信装置に相当するものであり、自動車に搭載された制御装置からの送信要求を受けて、自車両の状態等を路側機や他の車両に送信するランダム送信機能を有する。
【0050】
そして、定期送信端末2とランダム送信端末4との間の路車間通信、及び、ランダム送信端末4同士の車車間通信には、共通の通信チャンネルが使用され、ランダム送信端末4がランダム送信する際には、CSMA方式のアクセス制御によって通信チャンネルが空いているか否かを判断し、通信チャンネルが空いているときにデータ送信を開始する。
【0051】
また、定期送信端末2による定期送信の周期は予め決められており、各定期送信端末2は、走行路付近への設置時や当該システムの設定変更時等に、定期送信一周期内のどの期間を定期送信期間として利用するかを、定期送信期間が他の定期送信端末2と重複することのないように自動設定する。
【0052】
そして、各定期送信端末2(2a、2b)は、その定期送信期間(図1(c)に示す期間α,期間β)を表す定期送信期間情報を、定期送信によって周囲のランダム送信端末4(4a、4b)に通知し、各ランダム送信端末4(4a、4b)は、その通知された定期送信期間α,βの間、ランダム送信を禁止する。
【0053】
つまり、本実施形態では、定期送信機能を有する定期送信端末2が、図1(b)に示す定期送信情報を送信データに付与して定期送信し、ランダム送信端末4は、定期送信情報を受信すると、図1(c)に示すように、その定期送信情報に基づき自らのランダム送信禁止期間を設定し、そのランダム送信禁止期間以外の期間(ランダム送信期間)内に、ランダム送信を行うのである。
【0054】
なお、定期送信情報は、図1(b)に示すように、定期送信期間の開始タイミングと定期送信期間の長さ(期間長)を表す定期送信期間情報に、定期送信を行う定期送信端末2の識別情報である装置ID(例えばMACアドレス等)と、後述の転送回数C(初期値:0)とを付与することにより構成される。
【0055】
ところで、図1(a)に示すように、ランダム送信端末4aが、定期送信端末2aからの送信電波が届く通信エリア内に位置し、ランダム送信端末4bがその通信エリア外に位置する場合には、ランダム送信端末4bに、定期送信端末2aから送信された定期送信情報が届かない。
【0056】
このため、ランダム送信端末4bが定期送信端末2aの定期送信期間内にランダム送信を開始し、ランダム送信端末4aには、定期送信端末2aからの送信電波と、ランダム送信端末4bからの送信電波とが同時に届き、それぞれの送信データを受信できなくなることが考えられる。
【0057】
そこで、本実施形態では、例えば、図1(a)において、ランダム送信端末4aが定期送信情報を受信したときには、その受信した定期送信情報を他のランダム送信端末4bに通知するようにされている。
【0058】
つまり、各ランダム送信端末4は、定期送信端末2や他のランダム送信端末4から定期送信情報を受信した際、その定期送信情報を送信データに付与することで、定期送信情報を再送信する。
【0059】
また、各ランダム送信端末4が定期送信情報を再送信する際には、定期送信情報に含まれる転送回数Cを更新(+1)する。この結果、ランダム送信端末4から送信された定期送信情報を受信した端末側では、その定期送信情報が、定期送信端末2が最初に送信してから何度目の転送で届いたのかを識別できるようになる。
【0060】
また、ランダム送信端末4側で、定期送信情報に基づきランダム送信禁止期間を設定するには、定期送信端末2側で認識されている定期送信の周期と、ランダム送信端末4側で認識されている定期送信の周期とを一致させる必要がある。
【0061】
このため、本実施形態では、定期送信端末2が定期送信情報を送信するときや、ランダム送信端末4が定期送信情報を再送信(転送)するときには、その送信時刻を自らの時計26,50(図2,3参照)から読み出して定期送信情報に付与する(図1(b)参照)。
【0062】
そして、定期送信情報を受信したランダム送信端末4側では、定期送信情報に付与されている送信時刻と、自らの時計50から読み出した受信時刻とを比較することで、時計50の時刻を、定期送信情報を送信してきた定期送信端末2若しくはランダム送信端末4側の時刻と同期させる。
【0063】
つまり、例えば、図1(a)において、ランダム送信端末4aは、定期送信端末2aから定期送信情報を取得し、ランダム送信端末4bは、ランダム送信端末4aから定期送信情報を取得するが、これら各ランダム送信端末4a、4bは、定期送信情報を受信した際に、自らの時計50の時刻を、定期送信情報を送信してきた定期送信端末2a又はランダム送信端末4aの時計と同期させるのである。
【0064】
この結果、定期送信情報を受信したランダム送信端末4の時計50は、全て、定期送信情報の送信元である定期送信端末2の時計26と同一時刻となり、各ランダム送信端末4は、自らの時計50を用いて、定期送信端末2による定期送信期間を正確に把握することができる。
(定期送信端末の構成)
次に、図2は、本実施形態の無線通信システムを構築するのに用いられる定期送信端末2の構成を表すブロック図である。
【0065】
図2に示すように、定期送信端末2には、周囲のランダム送信端末4に送信すべき送信データにヘッダ等の付加情報を付与して出力するデータ送信部12と、データ送信部12から出力された送信データを所定の通信チャンネルでの送信信号(高周波信号)に変換して通信アンテナ(図示せず)に出力する変調処理部14と、通信アンテナにて受信された受信信号を取り込み他の送信端末(定期送信端末2又は他のランダム送信端末4)からの送信データを復元する復調処理部16と、復調処理部16にて復元された受信データからヘッダ等の付加情報を抽出し、受信データが当該ランダム送信端末4(4a、4b)に向けて送信されたものであれば、その受信データを外部のデータ処理装置(無線通信システムの管理装置等)に出力するデータ受信部18と、が設けられている。
【0066】
また、定期送信端末2には、自身の定期送信期間を表す定期送信期間情報が記憶された定期送信期間テーブル20、自身の定期送信期間を設定して定期送信期間テーブル20に書き込む定期送信期間設定部30、定期送信期間テーブル20に記憶された定期送信期間情報に基づきデータ送信部12が実際に定期送信を行う定期送信期間を決定する定期送信期間決定部22、定期送信期間テーブル20に記憶された定期送信期間情報に基づき送信データに付与する定期送信情報を生成する定期送信情報生成部24、及び、データ送信部12が送信タイミングを検知するのに用いられる時計26が設けられている。
【0067】
そして、データ送信部12は、時計26による計時時刻に基づき、定期送信期間決定部22から入力される定期送信期間を検知し、その定期送信期間中に、現在の時刻情報や定期送信情報等からなる付加情報を付与した送信データを変調処理部14に出力することで、定期送信を実施する。
【0068】
次に、定期送信期間設定部30は、本発明の定期送信期間設定手段に相当し、定期送信端末の設置時や無線通信システムの改変時等、定期送信期間の設定が必要なときに、外部から入力される定期送信期間設定指令に従い自身の定期送信期間を自動設定するためのものである。
【0069】
そして、定期送信期間設定部30は、定期送信期間候補記憶部32、空き定期送信期間判定部34、空き定期送信期間テーブル36、及び、定期送信期間選択部38にて構成されている。
【0070】
ここで、定期送信期間候補記憶部32は、定期送信一周期内で各定期送信端末2が定期送信期間として設定することのできる複数の定期送信期間が、定期送信期間の候補として予め記憶されたものであり、例えば、データを書き換え可能な不揮発性メモリにて構成されている。
【0071】
また、空き定期送信期間判定部34は、定期送信の一周期よりも長い判定時間T1(例えば、定期送信周期を数倍した時間)の間、データ受信部18にて復元された受信データの中から定期送信情報を取り込み、その取り込んだ定期送信情報に含まれている定期送信期間情報に基づき、定期送信期間候補記憶部32に記憶された定期送信期間の候補の中から、他の定期送信端末2が使用していない空き定期送信期間を抽出して、空き定期送信期間テーブル36(詳しくはメモリ)に書き込むためのものであり、本発明の空き定期送信期間抽出手段に相当する。
【0072】
また、定期送信期間選択部38は、空き定期送信期間判定部34により空き定期送信期間テーブル36に書き込まれた空き定期送信期間の中から、空き定期送信期間の一つを、当該定期送信端末2の定期送信期間として選択し、定期送信期間テーブルに書き込むためのものであり、本発明の定期送信期間選択手段に相当する。
【0073】
そして、空き定期送信期間判定部34及び定期送信期間選択部38は、定期送信期間決定部22及び定期送信情報生成部24と共に、定期送信端末2に設けられたマイクロコンピュータ(図示せず)が実行するソフトウェア処理により実現される。
【0074】
なお、空き定期送信期間判定部34としての機能を実現するためにマイクロコンピュータにて実行される処理については、図4、図5のフローチャートに沿って後に詳しく説明する。
(ランダム送信端末の構成)
次に、図3は、本実施形態の無線通信システムを構築するのに用いられるランダム送信端末4の構成を表すブロック図である。
【0075】
図3に示すように、ランダム送信端末4には、定期送信端末2と同様、データ送信部12、変調処理部14、復調処理部16、及び、データ受信部18が備えられている。
また、ランダム送信端末4には、定期送信端末2若しくは他のランダム送信端末4から取得した定期送信情報を記憶するための定期送信期間テーブル40(詳しくはメモリ)、及び、ランダム送信禁止期間を、定期送信期間テーブル20内の定期送信情報(詳しくは定期送信期間情報)に基づき決定し、データ送信部12に出力するランダム送信禁止期間決定部44、が設けられている。
【0076】
そして、データ送信部12は、ランダム送信禁止期間決定部44からランダム送信禁止期間情報が入力されると、その情報に対応したランダム送信禁止期間だけ、送信データのランダム送信を禁止する。
【0077】
また、ランダム送信端末4には、時刻を計時する時計50が設けられており、データ送信部12は、この時計50による計時時刻に基づき、ランダム送信禁止期間を検知する。
また、ランダム送信端末4には、マイクロコンピュータによるソフトウェア処理により実現される機能ブロックとして、定期送信期間更新部42及び時刻補正部52が備えられている。
【0078】
定期送信期間更新部42は、データ受信部18にて復元された受信データに含まれる定期送信情報に基づき、定期送信期間テーブル40内の定期送信情報を更新するものである。そして、この定期送信期間更新部42は、データ受信部18にて復元された定期送信情報に基づき定期送信期間テーブル40内の定期送信情報を更新する処理に加えて、下記の定期送信情報転送処理や非同期設定処理も実行する。
【0079】
定期送信情報転送処理:データ受信部18にて受信された定期送信情報の転送回数Cが転送要否判定用として予め設定されたしきい値Cmax よりも小さい場合に、定期送信情報の転送回数Cを更新(+1)して、その更新後の定期送信情報をデータ送信部12に出力することにより、データ受信部18にて復元された定期送信情報をデータ送信部12から再送信(転送)させる。
【0080】
非同期設定処理:定期送信期間テーブル20に登録された定期送信情報が所定時間以上受信されない場合に、自車両が、その登録された定期送信情報に対応する定期送信端末2から離れたものと判断して、定期送信期間テーブル20内の定期送信情報を、ランダム送信禁止期間の設定に用いることのない非同期情報に書き換える。
【0081】
また、時刻補正部52は、データ受信部18にて復元された定期送信情報に付与されている送信時刻と定期送信情報の受信時刻とに基づき、時計50による計時時刻と定期送信端末2側での計時時刻とずれ量(時刻ずれ量)を求め、その時刻ずれ量に基づき時計50による計時時刻を補正する。
【0082】
なお、本実施形態の無線通信システムにおいて、定期送信端末2及びランダム送信端末4の構成は、基本的には、上述した特許文献1に記載のものと略同様であり、本発明の主要部である定期送信端末2内の定期送信期間設定部30以外の構成・動作については、特許文献1に詳しく説明されているので、本明細書では、無線通信システムの更なる構成については説明を省略する。
(空き定期送信期間設定処理)
次に、定期送信端末2において、定期送信期間設定部30内の空き定期送信期間判定部34としての機能を実現するためにマイクロコンピュータにて実行される空き定期送信期間設定処理について説明する。
【0083】
図4は、空き定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
図4に示すように、この処理が開始されると、まずS110(Sはステップを表す)にて、データ受信部18が定期送信情報を含むデータを受信したか否かを判断する。
【0084】
そして、S110において、データ受信部18にて定期送信情報を含むデータは受信されていないと判断されると、S150に移行し、逆に、データ受信部18にて定期送信情報を含むデータが受信されたと判断されると、S120に移行する。
【0085】
S120では、データ受信部18から定期送信情報の転送回数Cを読み込み、転送回数Cは、予め設定された上限値(例えば、値「3」)よりも小さいか否かを判断する。
そして、転送回数Cが上限値以上である場合には、S150に移行し、逆に、転送回数Cが上限値よりも小さい場合(例えば、C:0,1,2の場合)には、S140に移行し、図5に示す手順で空き判定処理Aを実行する。
【0086】
図5に示すように、空き判定処理Aでは、まず、S210にて、定期送信期間候補記憶部32に0番から1番,2番,…と順番に記憶されている定期送信期間の番号を表すカウンタnを初期値「0」に設定した後、S220にて、カウンタnに対応したn番目の定期送信期間は、今回データ受信部18から取得した定期送信情報の定期送信期間と一致するか否かを判断することにより、n番の定期送信期間は、今回取得した定期送信情報の定期送信期間とは異なる「空き」の定期送信期間であるか否かを判断する。
【0087】
そして、n番目の定期送信期間は「空き」であると判断されると、S230に移行し、n番目の定期送信期間を「空き」と仮判定して、RAM等の一時保存メモリに記憶した後、S240に移行する。
【0088】
また、S220にて、n番目の定期送信期間は「空き」ではないと判断されると、そのままS240に移行する。
S240では、カウンタnの値は、定期送信期間候補記憶部32に記憶されている定期送信期間の最後の番号Nに達しているか否かを判断することにより、定期送信期間候補記憶部32に記憶されている全定期送信期間に対し、空き判定を行ったか否かを判断する。
【0089】
そして、S240にて、カウンタnの値が「N」に達していると判断すると、当該空き判定処理Aを終了する。
また、S240にて、カウンタnの値は値「N」に達していないと判断された場合には、S250にて、カウンタnの値をインクリメント(+1)した後、再度S220に移行する。
【0090】
図4に戻り、上記のようにS140にて空き判定処理Aが実行されると、S150に移行する。
S150では、当該空き定期送信期間設定処理を開始してからの経過時間tが、予め設定された判定時間T1(定期送信の一周期よりも長い一定時間)を超えたか否かを判断し、経過時間tが判定時間T1を超えていなければ、再度S110に移行して、上記S110〜S140の処理を実行する。
【0091】
一方、S150にて、経過時間tが判定時間T1を超えたと判断されると、S160に移行し、判定時間T1が経過するまでの間に、上記S140による空き判定処理Aが実行されたか否かを判断する。
【0092】
そして、S160にて、判定時間T1の間に空き判定処理Aが実行されたと判断されると、S170に移行し、空き判定処理AのS230にて、受信した定期送信情報毎に「空き」と仮判定して一時保存メモリに記憶した定期送信期間の中から、受信した全ての定期送信情報にて「空き」と判定された定期送信期間を抽出し、その抽出した定期送信期間を、他の定期送信端末2が利用していない空き定期送信期間として、空き定期送信期間テーブル36に記憶し、当該空き定期送信期間設定処理を終了する。
【0093】
また、S160にて、判定時間T1の間に空き判定処理Aを実行できなかったと判断された場合、つまり、判定時間T1の間、他の定期送信端末2や周囲のランダム送信端末4から定期送信情報を含むデータが送信されてこなかった場合には、当該定期送信端末2の通信エリア内に、他の定期送信端末2からの送信電波は届かず、送信電波が干渉することはないと判断して、S180に移行し、定期送信期間候補記憶部32に記憶された全ての定期送信期間候補を、空き定期送信期間として、空き定期送信期間テーブル36に記憶し、当該空き定期送信期間設定処理を終了する。
(第1実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態の定期送信端末2においては、受信手段としてのデータ受信部18にて定期送信情報を含む受信データが復元されると、その復元された定期送信情報に基づき、他の定期送信端末2が定期送信に利用している使用中定期送信期間を検知して、定期送信期間候補記憶部32に記憶された定期送信期間の中から、使用中定期送信期間を除く定期送信期間を空き定期送信期間として仮判定する一連の判定処理(S110〜S140)を、所定の判定時間T1が経過する間実行する。
【0094】
そして、その判定時間T1の間、データ受信部18にて復元された定期送信情報毎に仮判定した空き定期送信期間の中から、全ての定期送信情報にて他の定期送信端末2が利用していない空き定期送信期間として判定された定期送信期間を、空き定期送信期間テーブル36に書き込み、定期送信期間選択部38が、空き定期送信期間テーブル36に書き込まれた空き定期送信期間の中から、当該定期送信端末2の定期送信期間として使用する一つの空き定期送信期間を選択して、定期送信期間テーブル20に記憶する。
【0095】
従って、本実施形態の定期送信端末2によれば、当該定期送信端末2からの送信電波が他の定期送信端末2からの送信電波と干渉することのないよう、自身の定期送信期間を、他の定期送信端末2と重複することのない定期送信期間に自動で設定することができるようになり、定期送信期間の設定に要する時間及び費用を削減することができる。
【0096】
また、本実施形態では、定期送信端末2にて設定可能な定期送信期間の候補を、複数、定期送信期間候補記憶部32に記憶しておき、各定期送信端末2は、その複数の定期送信期間の中から、他の定期送信端末2が使用していない空き定期送信期間を抽出し、その抽出した空き定期送信期間の一つを、自身の定期送信期間として選択する。
【0097】
このため、例えば、定期送信の一周期内で他の定期送信端末2が定期送信期間として利用していない期間を検出して、その検出した全期間の中から、定期送信に利用する定期送信期間を任意に設定するようにした場合に比べて、定期送信期間を効率よく割り当てることができる。
【0098】
また、この場合、定期送信期間候補記憶部32に記憶する定期送信期間の候補を設定する際に、定期送信一周期内の一定期間は、定期送信期間の候補を設定しないことで、ランダム送信端末4によるランダム送信期間を確保することもできる。
【0099】
また、本実施形態の定期送信端末2においては、データ受信部18にて復元された定期送信情報の転送回数Cが所定値「3」以上の場合は、空き判定処理Aを実施しないようにしている。
【0100】
これは、転送回数Cが所定値「3」以上の定期送信情報は、複数(本実施形態では3つ)のランダム送信端末4を介して転送されてきたものであり、その定期送信情報の送信元の定期送信端末2と、当該定期送信端末2との間の距離は長く、これら両端末からの送信電波が干渉することはないと考えられるためである。
【0101】
従って、本実施形態によれば、空き判定処理Aを実施する定期送信情報を、転送回数Cが上限値未満(0,1,2)のものに制限することで、空き判定処理Aを不必要に実施して、自身の定期送信期間として設定可能な空き定期送信期間の数が少なくなるのを防止することができる。
[第2実施形態]
次に、図6,図7は、第2実施形態の定期送信端末2において、空き定期送信期間判定部34としての機能を実現するためにマイクロコンピュータにて実行される、空き定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
【0102】
なお、第2実施形態の定期送信端末2の構成は、図2に示した第1実施形態のものと同様であるので、構成の説明は省略する。
(空き定期送信期間設定処理)
図6に示すように、本実施形態の空き定期送信期間設定処理は、基本的には、図4に示した第1実施形態のものと同じであり、第1実施形態と異なる点は、S120にて定期送信情報の転送回数Cを読み込んだ後、S132にて、転送回数Cが「0」であるか否かを判断して、転送回数Cが「0」である場合にS140の空き判定処理Aを実行し、転送回数Cが「0」でなければ、S134にて転送回数Cが「1」若しくは「2」であるか否かを判断して、転送回数Cが「1」若しくは「2」である場合には、S142に移行して、空き判定処理Aとは異なる空き判定処理Bを実行する点である。
【0103】
つまり、本実施形態では、データ受信部18にて復元された定期送信期間情報が、他の定期送信端末2から直接送信されてきた定期送信期間情報(転送回数C=0)である場合には、空き判定処理Aを実行し、データ受信部18にて復元された定期送信期間情報が、ランダム送信端末4にて1回若しくは2回転送された定期送信期間情報(転送回数C=1,2)である場合には、空き判定処理Bを実行する。
【0104】
また、この空き判定処理Bは、図7に示すように、基本的には、図5に示した空き判定処理Aと同じであり、空き判定処理Aと異なる点は、S220にて、n番目の定期送信期間は今回取得した定期送信情報の定期送信期間とは異なる「空き」と判定した場合に、S222にて、n番目の定期送信期間の「空き」の判定回数をカウントするためのカウンタm(n)をインクリメントし、S230にて、そのカウンタm(n)の値がしきい値M1を超えたか否かを判断し、カウンタm(n)の値がしきい値M1を超えているときに、S230に移行し、カウンタm(n)の値が所定値を超えていなければ、S240に移行するようにした点である。
【0105】
つまり、この空き判定処理Bでは、定期送信期間の候補として記憶されたN個の定期送信期間が、判定時間T1内に受信された定期送信情報に基づき、しきい値M1に対応した所定回数以上「空き」と判定された際に、その定期送信期間は「空き」であると仮判定するのである。
【0106】
これは、例えば、図1(a)において、定期送信端末2a、2bからの電波が届くオーバーラップ領域にランダム送信端末4aが存在しない場合や、定期送信端末2bの通信エリア内のランダム送信端末4bと定期送信端末2aの通信エリア内のランダム送信端末4aとの間で通信不良が発生した場合等、ランダム送信端末4aから定期送信端末2aへの定期送信情報の送信が一時的に停止した場合に、空き定期送信期間を誤って抽出するのを防止するためである。
【0107】
つまり、ランダム送信端末4から転送されてくる定期送信情報は、定期送信端末2から直接転送されてくる定期送信情報よりも多く、しかも、一つの受信データに複数の定期送信端末2の定期送信情報が含まれることもあることから、空き定期送信期間を特定するのには極めて有効である。
【0108】
しかし、上記のように特定のランダム送信端末4から必要な定期送信情報を取得できない場合には、他のランダム送信端末4から転送されてくる定期送信情報だけで空き定期送信期間が抽出されることになるので、本来空き定期送信期間として抽出すべきでない定期送信期間が、誤って抽出されることがある。
【0109】
そこで、本実施形態では、ランダム送信端末4から転送されてくる定期送信情報に基づき空き定期送信期間を抽出する際には、空き判定処理Bを実行することにより、その定期送信情報に基づき、複数回「空き」と判定された定期送信期間を、空き定期送信期間として仮判定するようにしているのである。
【0110】
なお、図6に示すように、本実施形態の空き定期送信期間設定処理においては、S140、S142にて、空き判定処理A、Bが実行されるか、或いは、S134にて、転送回数Cは「1」又は「2」ではないと判断されると、S150に移行する。
【0111】
また、S160では、空き判定処理A、Bの内の少なくとも一つが実行されたか否かを判断し、S160にて、空き判定処理A、Bの内の少なくとも一つが実行されたと判断すると、S170に移行する。
【0112】
そして、S170では、各空き判定処理A,Bにて「空き」と仮判定された定期送信期間の中から、空き判定を行った全ての定期送信情報に対し「空き」と判定された定期送信期間を抽出し、その抽出した定期送信期間を、他の定期送信端末2が利用していない空き定期送信期間として、空き定期送信期間テーブル36に記憶する。
(第2実施形態の効果)
従って、本実施形態の定期送信端末2によれば、ランダム送信端末4から、定期送信期間を設定するのに必要な定期送信期間情報を取得できなかった場合に、その定期送信期間情報に対応した定期送信期間が、空き定期送信期間として抽出されるのを抑制することができる。
【0113】
よって、本実施形態の定期送信端末2によれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、更に、他の定期送信端末2の定期送信期間が、当該定期送信端末2の定期送信期間として誤って設定される確率を低減できる、という効果が得られる。
【0114】
なお、本実施形態においては、S140にて実行される空き判定処理Aが、本発明の第1抽出手段に相当し、S142にて実行される空き判定処理Bが、本発明の第2抽出手段に相当する。
[第3実施形態]
次に、図8は、第3実施形態の定期送信端末2の構成を表すブロック図であり、図9、図10は、第3実施形態の定期送信端末2において、空き定期送信期間判定部34としての機能を実現するためにマイクロコンピュータにて実行される、空き定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
(定期送信端末の構成)
図8に示すように、本実施形態の定期送信端末2の構成は、図2に示した第1、第2実施形態のものと略同様であり、第1、第2実施形態と異なる点は、復調処理部16に受信信号の信号レベル(受信レベル)を検出する検出回路(図示せず)が設けられており、その検出された受信レベルが、空き定期送信期間判定部34に入力される点である。
(空き定期送信期間設定処理)
また、図10に示すように、本実施形態の空き定期送信期間設定処理は、基本的には、図6に示した第2実施形態のものと同じであり、第2実施形態と異なる点は、S132にて転送回数Cが「0」ではないと判断されると、S136にて、転送回数Cは「1」であるか否かを判断して、転送回数Cが「1」であればS142で空き判定処理Bを実行し、転送回数Cが「1」でなければ、S138にて、転送回数Cは「2」であるか否かを判断して、転送回数Cが「2」であればS144で空き判定処理Cを実行する点である。
【0115】
つまり、本実施形態では、データ受信部18にて復元された定期送信期間情報が、他の定期送信端末2から直接送信されてきた定期送信期間情報(転送回数C=0)である場合には、空き判定処理Aを実行し、データ受信部18にて復元された定期送信期間情報が、ランダム送信端末4にて1回転送された定期送信期間情報(転送回数C=1)である場合には、空き判定処理Bを実行し、データ受信部18にて復元された定期送信期間情報が、ランダム送信端末4にて2回転送された定期送信期間情報(転送回数C=2)である場合には、空き判定処理Cを実行する。
【0116】
また、この空き判定処理Cは、図10に示すように、基本的には、図7に示した空き判定処理Bと同じであり、空き判定処理Bと異なる点は、当該空き判定処理Cの開始直後に、S200にて、復調処理部16から入力される受信レベルに基づき、データ受信部18から取得した定期送信情報を受信した際の受信信号の受信レベルPを検出して、その受信レベルPが予め設定されたしきい値Th1よりも大きいか否かを判定し、受信レベルPがしきい値Th1よりも大きい場合に、S210以降の処理を実行し、受信レベルPがしきい値Th1以下である場合には、そのまま空き判定処理Cを終了する点である。
【0117】
つまり、定期送信端末2にて受信・復元される定期送信情報は、転送回数Cが大きいほど、送信元の定期送信端末2との間の距離が長くなっていると考えられるが、定期送信情報を転送してきたランダム送信端末4との間の距離は、定期送信情報を含む受信信号の受信レベルから推定できる。
【0118】
そこで、本実施形態においては、データ受信部18から取得した定期送信情報の転送回数Cが「2」になっている場合には、その定期送信情報を含む受信信号の受信レベルPがしきい値Th1よりも大きいときに、その定期送信情報を転送してきたランダム送信端末4との間の距離が短く、その定期送信情報の送信元の定期送信端末2からの送信電波が当該定期送信端末2の通信エリア内に到達して電波干渉が生じることがあると判断して、今回取得した定期送信情報を空き定期送信期間の抽出に利用し、受信信号の受信レベルPがしきい値Th1以下であれば、電波干渉が生じることはないと判断して、空き定期送信期間の抽出に今回取得した定期送信情報を利用するのを禁止するのである。
【0119】
なお、図9に示すように、本実施形態の空き定期送信期間設定処理においては、S140、S142,S144にて、空き判定処理A、B、Cが実行されるか、或いは、S138にて、転送回数Cは「2」ではないと判断されると、S150に移行する。
【0120】
また、S160では、空き判定処理A、B、Cの内の少なくとも一つが実行されたか否かを判断し、S160にて、空き判定処理A、B、Cの内の少なくとも一つが実行されたと判断すると、S170に移行する。
【0121】
そして、S170では、各空き判定処理A,B,Cにて「空き」と仮判定された定期送信期間の中から、空き判定を行った全ての定期送信情報に対し「空き」と判定された定期送信期間を抽出し、その抽出した定期送信期間を、他の定期送信端末2が利用していない空き定期送信期間として、空き定期送信期間テーブル36に記憶する。
(第3実施形態の効果)
従って、本実施形態の定期送信端末2によれば、データ受信部18にて復元された定期送信情報の転送回数Cと、その定期送信情報を含む受信信号の受信レベルとを用いて、定期送信期間を設定するのに用いる定期送信情報を識別することができるようになり、第1、第2実施形態の定期送信端末2に比べ、定期送信期間をより適正に設定することができる。
[第4実施形態]
次に、図11は、第4実施形態の定期送信端末2の構成を表すブロック図であり、図12〜図14は、第4実施形態の定期送信端末2において、空き定期送信期間判定部34としての機能を実現するためにマイクロコンピュータにて実行される、空き定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
(定期送信端末の構成)
図11に示すように、本実施形態の定期送信端末2の構成は、図8に示した第3実施形態のものと略同様であり、第3実施形態と異なる点は、定期送信期間設定部30の定期送信期間選択部38を介して定期送信期間テーブル20に登録された定期送信期間情報が、定期送信期間設定部30の空き定期送信期間判定部34に入力される点である。
(空き定期送信期間設定処理)
また、本実施形態の空き定期送信期間設定処理においては、図12に示すように、まず、S310にて、定期送信期間選択部38による定期送信期間の選択(換言すれば定期送信期間テーブル20への定期送信期間の書き込み)が一旦終了したか否かを判断する。
【0122】
そして、定期送信期間の選択が終了していない場合(換言すれば定期送信期間テーブル20に定期送信期間が書き込まれていない場合)には、S320にて、上記第1実施形態〜第3実施形態の何れかの空き定期送信期間設定処理と同様の手順で、定期送信期間選択前の空き定期送信期間設定処理を実行する。
【0123】
なお、S320の処理を実行した後は、定期送信期間テーブル20に格納された定期送信期間情報に基づく定期送信が開始されるが、本実施形態の空き定期送信期間設定処理は、定期送信の開始後も定期的に実行される。
【0124】
次に、S310にて、定期送信期間の選択が終了していると判断された場合(換言すれば定期送信期間テーブル20に定期送信期間が書き込まれ、定期送信が開始されている場合)には、S330に移行して、定期送信期間選択後の空き定期送信期判定処理を実行する。
【0125】
この空き定期送信期判定処理は、図13に示す手順で実行される。
すなわち、空き定期送信期間判定処理では、まずS410にて、データ受信部18が定期送信情報を含むデータを受信したか否かを判断する。
【0126】
そして、S410において、データ受信部18にて定期送信情報を含むデータは受信されていないと判断されると、S460に移行し、逆に、データ受信部18にて定期送信情報を含むデータが受信されたと判断されると、S420に移行する。
【0127】
S420では、データ受信部18から定期送信情報の転送回数Cを読み込み、その読み込んだ転送回数Cは値「1」であるか否かを判断する。
そして、転送回数Cが値「1」でなければ、S460に移行し、転送回数Cが値「1」であれば、S440に移行して、図14に示す手順で空き判定処理Dを実行する。
【0128】
図14に示すように、空き判定処理Dでは、まず、S510にて、データ受信部18にて復元された受信データに、自身の定期送信期間を表す定期送信情報が含まれているかを判断し、受信データに自身の定期送信期間を表す定期送信情報が含まれていれば、S520に移行して、自身の定期送信期間を、他の定期送信端末2が使用していない空き定期送信期間であると判定して、当該空き判定処理Dを終了する。
【0129】
また、S510にて、受信データに自身の定期送信期間を表す定期送信情報が含まれていないと判断された場合には、S530に移行して、復調処理部16から入力される受信レベルに基づき、データ受信部18から取得した定期送信情報を受信した際の受信信号の受信レベルPを検出して、その受信レベルPが予め設定されたしきい値Th2よりも大きいか否かを判定する。
【0130】
そして、受信レベルPがしきい値Th2よりも大きい場合には、S540に移行し、受信レベルPがしきい値Th2以下である場合には、S520に移行する。
S540では、受信データに自身の定期送信期間が含まれていないと判断された回数をカウントするためのカウンタuをインクリメント(+1)し、続くS550にて、カウンタuの値は、予め設定されたしきい値U1を超えたか否かを判断する。
【0131】
そして、カウンタuの値がしきい値U1を超えていなければ、S520に移行し、カウンタuの値がしきい値U1を超えていれば、S560に移行して、先に設定した自身の定期送信期間は他の定期送信端末2が使用中であると判断し、当該空き判定処理Dを終了する。
【0132】
このように空き判定処理Dが実行されると、今度は、図13のS450に移行し、上記の空き判定処理Dにて、自身の定期送信期間は「空き」と判定されたか否かを判断する。
そして、空き判定処理Dにて、自身の定期送信期間は「空き」と判定された際には、S460に移行し、当該空き定期送信期間設定処理を開始してからの経過時間tが、予め設定された判定時間T2(定期送信一周期の数倍の時間)を超えたか否かを判断し、経過時間tが判定時間T2を超えていなければ、再度S410に移行して、上記S410〜S450の処理を実行する。
【0133】
一方、S460にて、経過時間tが判定時間T2を超えたと判断されるか、或いは、空き判定処理Dにて自身の定期送信期間を他の定期送信端末2が使用中であると判断されている場合(S450:NO)には、空き判定処理Dでの判定結果を最終的な判断結果として保持し、当該空き定期送信期間判定処理を終了する。
【0134】
このように定期送信期間選択後の空き定期送信期間判定処理(S330)が実行されると、今度は、図12のS340に移行し、この空き定期送信期間判定処理(S330)では、自身の定期送信期間が「空き」と判断されたか否かを判定する。
【0135】
そして、空き定期送信期間判定処理(S330)にて、自身の定期送信期間が「空き」と判断されていれば、定期送信期間テーブル20に格納されている定期送信期間は正常であると判断して、当該空き定期送信期間設定処理を終了し、空き定期送信期間判定処理(S330)にて、自身の定期送信期間は他の定期送信端末2が使用中であると判断されていれば、定期送信期間テーブル20に格納されている定期送信期間を書き換えるために、S320の定期送信期間選択前の空き定期送信期間設定処理に移行する。
(第4実施形態の効果)
上記のように、本実施形態では、第1実施形態〜第3実施形態の何れかと同様の手順で空き定期送信期間設定処理(S320)を実行することにより、他の定期送信端末2が使用していない空き定期送信期間を抽出して、その内の一つを自身の定期送信期間として定期送信期間テーブル20に格納した後、その定期送信期間は、他の定期送信端末2にて使用されていないかどうかを確認するために、定期送信期間判定処理(S330)を実行する。
【0136】
そして、この定期送信期間判定処理(S330)では、当該定期送信端末2から定期送信により送信した定期送信情報が、周囲のランダム送信端末4にて受信されて、そのランダム送信端末4から自身の定期送信情報が転送回数C=1の定期送信情報として転送されてきたか否かを判断することにより、自身の定期送信情報が転送されてくるのを確認し、周囲のランダム送信端末4からの受信データに自身の定期送信情報が含まれていない回数(カウンタuの値)がしきい値U1を超えると、自身の定期送信期間と他の定期送信端末2の定期送信期間とが一致して送信電波の干渉が生じている可能性があるので、再度、空き定期送信期間設定処理(320)を実行する。
【0137】
従って、本実施形態の定期送信端末2によれば、定期送信期間選択前の空き定期送信期間設定処理(S320)により、他の定期送信端末2と同じ定期送信期間が、自身の定期送信期間として誤設定された際に、その旨を速やかに検出して、自身の定期送信期間を、他の定期送信端末2が使用していない定期送信期間に再設定させることができる。
【0138】
よって、本実施形態の定期送信端末2によれば、上記第1実施形態〜第3実施形態のものに比べ、他の定期送信端末2との間で電波干渉が生じるのをより確実に防止することができ、他の定期送信端末2との間で生じる電波干渉によって、ランダム送信端末4に通信不良が発生するのを抑制することができる。
【0139】
なお、本実施形態においては、S330及びS340の処理が、本発明の定期送信判定手段に相当する。
[変形例]
以上、本発明の実施形態として、第1実施形態〜第4実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の態様をとることができる。
【0140】
例えば、上記実施形態では、第1通信装置としての定期送信端末2は、路側機として自動車の走行路付近に分散して設置されるものとして説明したが、定期送信端末2は、緊急自動車等、重要情報を周囲の一般車両に優先的に通知する必要のある車両に搭載するようにしてもよい。
【0141】
また、上記実施形態では、定期送信端末2において、ランダム送信端末4から取得した定期送信情報の内、転送回数Cが所定値以上のものは、自身の定期送信期間の設定に利用しないものとして説明したが、例えば、ランダム送信端末4から転送される定期送信情報に転送回数Cが付与されない無線通信システムであれば、定期送信情報を含む受信信号の受信レベルがしきい値以上となっている定期送信情報だけを、自身の定期送信期間の設定に利用するようにしてもよい。
【0142】
また、上記実施形態では、定期送信情報に付与される転送回数情報を、各ランダム送信端末4が定期送信情報を再送信する際に、インクリメント(+1)することで更新するものとして説明したが、例えば、各ランダム送信端末4が定期送信情報を再送信する際に、デクリメント(−1)することで更新するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0143】
2,2a,2b…定期送信端末、4,4a,4b…ランダム送信端末、12…データ送信部、14…変調処理部、16…復調処理部、18…データ受信部、20…定期送信期間テーブル、22…定期送信期間決定部、24…定期送信情報生成部、26…時計、30…定期送信期間設定部、32…定期送信期間候補記憶部、34…空き定期送信期間判定部、36…空き定期送信期間テーブル、38…定期送信期間選択部、40…定期送信期間テーブル、42…定期送信期間更新部、44…ランダム送信禁止期間決定部、50…時計、52…時刻補正部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、共通の通信チャンネルを利用して無線通信を行う通信装置として、定期送信機能を有する第1通信装置とランダム送信機能を有する第2通信装置との2種類の通信装置を備えた無線通信システム、及び、この無線通信システムの第1通信装置を構成するのに好適な無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CSMA方式の無線通信システムのように、複数の通信装置が共通の通信チャンネルを利用してランダムにデータ送信を開始する無線通信システムでは、例えば、基地局となる特定の通信装置が重要性の高い情報(重要情報)を送信しようとしても、通信チャンネルで送信権を取得するのに時間がかかり、重要情報を速やかに送信することができないという問題があった。
【0003】
そこで、この種の無線通信システムにおいては、CSMA等の通信方式でランダムにデータ送信を開始するランダム送信機能を有する通信装置(第2通信装置)とは別に、TDMA等による通信方式で重要情報を定期的に送信する定期送信機能を有する通信装置(第1通信装置)を設け、第1通信装置が定期送信する定期送信期間中は、第2通信装置によるランダム送信を禁止することが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【0004】
また、この提案の無線通信システムでは、第1通信装置が定期送信する際に、送信データに定期送信期間を表す定期送信期間情報を含めることで、第2通信装置に定期送信期間を通知し、更に、定期送信期間情報を受信した第2通信装置がランダム送信を行う際には、送信データに定期送信期間情報を含めることで、第1通信装置からの送信電波が届かないエリアに位置する他の第2通信装置に対し、定期送信期間情報を転送するようにされている。
【0005】
このため、上記提案の無線通信システムによれば、第2通信装置がランダム送信を行うランダム送信期間を制限して、第1通信装置から周囲の第2通信装置に重要情報を優先的に送信させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−21870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記提案の無線通信システムにおいて、第1通信装置は、予め設定された定期送信期間内に定期送信を行うことから、例えば、第1通信装置を路側機として近接した位置に複数設置すると、その複数の第1通信装置間で電波干渉が生じることが考えられる。
【0008】
この問題を防止するには、近接する第1通信装置間で定期送信期間が重複することのないよう、各第1通信装置の定期送信期間を割り当てておけばよいが、路側機として第1通信装置を新たに設置するような場合には、新たに設置する第1通信装置の通信エリア内で、当該第1通信装置からの送信電波の受信電力及び近接する路側機からの送信電波の受信電力をそれぞれ測定することにより、新たに設置する第1通信装置との間で送信電波の干渉が生じる恐れのある既存の路側機を特定し、その既存の路側機が使用している定期送信期間と重複することのないよう、新たに設置する第1通信装置の定期送信期間を設定する必要がある。
【0009】
このため、路側機として第1通信装置を新たに設置する際には、定期送信期間を設定しなければならず、そのための費用と時間がかかるという問題があった。
また、路側機として第1通信装置を設置した後に、周囲に建造物が新たに建てられたり、あるいは取り壊されたりするなどして、周囲の電波環境が変わると、近接する路側機との間で電波の干渉が発生して、通信不能になることも考えられる。
【0010】
そして、この問題を防止するには、路側機を新たに設置するときと同様、再度電力測定を行った上で、定期送信期間を再度割り当てるようにすればよいが、このためには、費用と時間がかかるだけでなく、一時的にサービスを停止しなければならないという問題も発生する。
【0011】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、定期送信機能を有する第1通信装置とランダム送信機能を有する第2通信装置とが混在し、第1通信装置が定期送信期間情報を送信し、第2通信装置が定期送信期間情報を受信して他の第2通信装置に転送することで、各第2通信装置が第1通信装置の定期送信期間を把握して、その期間内にランダム送信を実行しないようにした無線通信システムにおいて、定期送信機能を有する第1通信装置自身が、他の第1通信装置との間で送信電波の干渉が発生することのないよう、定期送信期間を自動で割り当てることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、上述した従来の無線通信システムと同様、定期送信機能を有する複数の第1通信装置とランダム送信機能を有する複数の第2通信装置とが混在する無線通信システムにおいて、第1通信装置として用いられる無線通信装置に関する発明である。
【0013】
また、本発明の無線通信装置が使用される無線通信システムにおいて、複数の第1通信装置は、定期送信期間を表す定期送信期間情報を含むデータを定期送信するよう構成され、複数の第2通信装置は、第1通信装置又は他の第2通信装置から定期送信期間情報を含む信号を受信すると、その受信信号に含まれる定期送信期間情報に対応する定期送信期間内にランダム送信を実施することのないよう自身の送信期間を制限し、しかも、その復元した定期送信期間情報を他の通信装置に転送するよう構成される。
【0014】
そして、この無線通信システムにおいて、第1通信装置として用いられる本発明の無線通信装置では、受信手段が、所定の通信チャンネルを利用して第2通信装置及び他の第1通信装置から送信されてくる送信信号を受信して、受信データを復元し、定期送信期間設定手段が、受信手段にて復元された受信データの中から定期送信期間情報を抽出し、その抽出した定期送信期間情報に基づき、当該無線通信装置が定期送信を行う定期送信期間を、他の第1通信装置の定期送信期間と重複することのないように設定する。
【0015】
つまり、本発明の無線通信装置においては、定期送信期間設定手段が、他の通信装置から受信した受信データに含まれる定期送信期間情報に基づき、他の第1通信装置が定期送信を行う定期送信期間とは異なる定期送信期間を、自身の定期送信期間として自動的に設定する。
【0016】
従って、本発明の無線通信装置によれば、上述した無線通信システムにおいて、当該無線通信装置を第1通信装置として新規に設ける場合や、周囲の電波環境の変化に対応して当該無線通信装置からなる第1通信装置の定期送信期間を再度割り当てる場合に、当該無線通信装置からの送信電波が、他の第1通信装置からの送信電波と干渉することのないよう、定期送信期間を自動で設定することができ、その設定に要する時間及び費用を削減することができる。
【0017】
ここで、定期送信期間設定手段にて定期送信期間を設定する際には、請求項2に記載のように、第1通信装置が設定可能な定期送信期間として、予め、複数の定期送信期間を記憶しておき、定期送信期間設定手段は、その複数の定期送信期間の中から、他の第1通信装置が使用していない定期送信期間を選択するようにするとよい。
【0018】
このようにすれば、上記無線通信システムにおいて、第1通信装置は、予め用意されている複数の定期送信期間の中から、他の第1通信装置とは異なる一つの定期送信期間を、自身の定期送信期間として選択することになり、各第1通信装置が定期送信期間を任意に設定するようにした場合に比べて、定期送信の一周期内で複数の第1通信装置が定期送信を行う定期送信期間を効率よく割り当てることができる。
【0019】
また、この場合、複数の定期送信期間を用意する際に、定期送信の一周期内で定期送信期間として割り当てない空き期間を設けることで、第2通信装置がランダム送信に用いるランダム送信期間を確保することもできる。
【0020】
そして、定期送信期間設定手段をこのように動作させるには、請求項2に記載のように、定期送信期間設定手段を、定期送信期間情報に基づき、予め記憶された複数の定期送信期間の中から、他の第1通信装置が使用していない空き定期送信期間を抽出する空き定期送信期間抽出手段と、空き送信期間抽出手段にて抽出された空き定期送信期間の中から、当該無線通信装置が定期送信を行う定期送信期間を選択する定期送信期間選択手段と、により構成するとよい。
【0021】
ところで、本発明の無線通信装置では、第1通信装置から直接送信されてきた定期送信期間情報だけでなく、第2通信装置から転送されてきた定期送信期間情報を利用して、自身の定期送信期間を設定することから、当該無線通信装置に他の第1通信装置からの送信電波が届かなくても、当該無線通信装置の通信エリア内で、当該無線通信装置からの送信電波と他の第1通信装置からの送信電波とが干渉するのを防止できる。
【0022】
しかし、無線通信装置の通信エリア内で他の第1通信装置からの送信電波が届くオーバーラップ領域に第2通信装置が存在しない場合や、他の第1通信装置の通信エリア内の第2通信装置と当該無線通信装置の通信エリア内の第2通信装置との間で通信不良が発生した場合等、定期送信期間を設定するのに必要な他の第1通信装置の定期送信期間情報が第2通信装置を介して転送されてこないことも考えられる。
【0023】
そして、この場合には、他の第1通信装置の定期送信期間が空き定期送信期間として抽出され、その抽出された空き定期送信期間が、当該無線通信装置の定期送信期間として設定される虞がある。
【0024】
そこで、この問題をより確実に防止するには、請求項3に記載のように、空き定期送信期間抽出手段を、他の第1通信装置からの受信データに含まれている定期送信期間情報に基づき空き定期送信期間を抽出する第1抽出手段と、第2通信装置からの受信データに含まれている定期送信期間情報に基づき、所定の判定回数以上、他の第1通信装置が使用していないと判定された定期送信期間を、空き定期送信期間として抽出する第2抽出手段とから構成し、定期送信期間選択手段は、第1抽出手段及び第2抽出手段の両方で空き定期送信期間として抽出された空き定期送信期間の中から、当該無線通信装置が定期送信を行う定期送信期間を選択するようにするとよい。
【0025】
つまり、このようにすれば、空き定期送信期間抽出手段において、第2通信装置から転送されてきた定期送信期間情報に基づき空き定期送信期間を抽出する際には、第2抽出手段が、第2通信装置から受信した複数の定期送信期間情報に基づき、所定の判定回数以上空きと判定された定期送信期間だけを、空き定期送信期間として抽出することになる。
【0026】
従って、第2抽出手段が、第2通信装置から、定期送信期間を設定するのに必要な定期送信期間情報を取得できなかった場合に、その定期送信期間情報に対応した定期送信期間が、空き定期送信期間として抽出されるのを抑制できる。
【0027】
よって、請求項3に記載の無線通信装置によれば、当該無線通信装置の通信エリア内に届く他の第1通信装置の定期送信期間が、当該無線通信装置の定期送信期間として誤って設定される確率を低減することができる。
【0028】
一方、第2通信装置は、第1通信装置や第2通信装置から取得した定期送信期間情報を転送することから、本発明の無線通信装置に第2通信装置から転送されてくる定期送信期間情報は、電波干渉が生じることのない遠くの第1通信装置からのものであることも考えられる。
【0029】
そして、このように、電波干渉が生じることのない第1通信装置からの定期送信期間情報が第2通信装置を介して転送されてきた際にも、その定期送信期間情報に基づき、当該無線通信装置の定期送信期間を設定するようにしていると、当該無線通信装置の定期送信期間として設定可能な空き定期送信期間が少なくなり、場合によっては、定期送信期間を設定できなくなることも考えられる。
【0030】
このため、無線通信システムを構成する第2通信装置が、それぞれ、受信信号から復元した定期送信期間情報を転送する際に、当該定期送信期間情報が第1通信装置から送信されてから第2通信装置にて転送された転送回数を表す転送回数情報を付与するように構成されている場合には、定期送信期間設定手段を、請求項4に記載のように構成するとよい。
【0031】
すなわち、請求項4に記載の無線通信装置において、定期送信期間設定手段は、受信データから抽出した定期送信期間情報に付与されている転送回数情報に基づき、当該定期送信期間情報の転送回数を検知し、その転送回数が予め設定された上限値以上の定期送信期間情報については、当該無線通信装置の定期送信期間の設定に用いる定期送信期間情報から除外する。
【0032】
従って、請求項4に記載の無線通信装置によれば、第2通信装置による転送回数が多く、当該無線通信装置との間の距離が長いと考えられる第1通信装置からの定期送信期間情報に基づき、当該無線通信装置の定期送信期間を不必要に制限してしまうのを防止することができ、定期送信期間の設定可能範囲を広げることができる。
【0033】
また、このように定期送信期間の設定可能範囲を広げるには、請求項5に記載のように、定期送信期間設定手段において、受信データの受信レベルが予め設定された判定レベルに達しているか否かを判定し、受信レベルが判定レベルに達していない受信データの定期送信期間情報については、当該無線通信装置の定期送信期間の設定に用いる定期送信期間情報から除外するようにしてもよい。
【0034】
つまり、受信データの受信レベルが低い場合には、その受信データを送信してきた通信装置と当該無線通信装置との距離が長く、その受信データに含まれる定期送信情報の送信元の第1通信装置との電波干渉による通信不良が発生する可能性が低いことから、請求項5に記載の無線通信装置では、受信データの受信レベルが判定レベルに達していない場合には、受信データに含まれる定期送信期間情報を、当該無線通信装置の定期送信期間の設定に用いる定期送信期間情報から除外するのである。
【0035】
従って、請求項5に記載の無線通信装置においても、請求項4に記載の無線通信装置と同様、当該無線通信装置の定期送信期間を不必要に制限してしまうのを防止することができ、定期送信期間の設定可能範囲を広げることができる。
【0036】
なお、請求項4に記載の技術と、請求項5に記載の技術は、各々単独で実施するようにしてもよく、組み合わせて実施するようにしてもよい。
そして、これらの技術を組み合わせて実施する際には、定期送信期間設定手段は、例えば、転送回数が上限値に達していない定期送信期間情報については、転送回数が下限値(上限値よりも小さい値)以上か否かを判定し、転送回数が上限値未満、下限値以上である場合には、当該定期送信期間情報の受信レベルが予め設定された判定レベルに達しているか否かを判定し、当該定期送信期間情報の受信レベルが判定レベルに達していなければ、当該定期送信期間情報を、当該無線通信装置の定期送信期間の設定に用いる定期送信期間情報から除外するようにするとよい。
【0037】
一方、上述した本発明の無線通信装置では、他の第1通信装置からの定期送信期間情報が当該無線通信装置に届かない場合や、他の第1通信装置からの定期送信期間情報を転送してくる第2通信装置が当該無線通信装置の通信エリア内に存在しない場合に、当該無線通信装置の定期送信期間として、他の第1通信装置の定期送信期間が誤って設定されることを、完全に防止することはできない。
【0038】
そして、本発明の無線通信装置を、上記のように誤設定した定期送信期間にて定期送信するよう動作させると、当該無線通信装置の通信エリア内で他の第1通信装置との電波干渉が生じ、当該無線通信装置の通信エリア内に存在する第2通信装置が、当該無線通信装置からの送信データを正常に受信することができなくなってしまう。
【0039】
そこで、この問題を防止するには、請求項6に記載の無線通信装置のように、別途、定期送信判定手段を設けるとよい。
つまり、請求項6に記載の無線通信装置において、定期送信判定手段は、定期送信期間設定手段により定期送信期間が設定されて、当該無線通信装置が該定期送信期間内での定期送信を開始すると、その後、第2通信装置から当該無線通信装置の定期送信期間情報を含むデータを受信できたか否かを判断し、第2通信装置から当該無線通信装置の定期送信期間情報を含むデータを受信できないときには、定期送信期間設定手段に対し定期送信期間を再設定させる。
【0040】
従って、請求項6に記載の無線通信装置によれば、第2通信装置から当該無線通信装置の定期送信期間情報を受信することができず、当該無線通信装置の定期送信期間が他の第1通信装置と同じ定期送信期間に誤設定されている可能性があるときには、定期送信期間設定手段に、定期送信期間を再設定させることができる。
【0041】
よって、請求項6に記載の無線通信装置によれば、他の第1通信装置との間で電波干渉が生じ、当該無線通信装置の通信エリア内に存在する第2通信装置が、当該無線通信装置からの送信データを正常に受信できなくなるのを防止できる。
【0042】
次に、請求項7に記載の発明は、所定の通信チャンネルを利用して、予め設定された一定周期毎に、該周期よりも短い定期送信期間内に無線送信を行う定期送信機能を有し、しかも、定期送信時には、前記定期送信期間を表す定期送信期間情報を含むデータを送信するよう構成された複数の第1通信装置と、送信要求が発生した際、前記通信チャンネルが空いているか否かを判定して、前記通信チャンネルが空いているときに無線送信を行うランダム送信機能を有する複数の第2通信装置との2種類の通信装置が混在し、各第2通信装置が、第1通信装置又は他の第2通信装置から定期送信期間情報を含む信号を受信すると、その受信信号から定期送信期間情報を復元して、その定期送信期間情報に対応する定期送信期間内にランダム送信を実施することのないよう自身の送信期間を制限し、しかも、その復元した定期送信期間情報を、前記通信チャンネルを利用して他の通信装置に転送するよう構成された無線通信システムに関する発明である。
【0043】
そして、請求項7に記載の無線通信システムにおいては、複数の第1通信装置が、それぞれ、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の無線通信装置にて構成されている。
このため、請求項7に記載の無線通信システムによれば、近接する複数の第1通信装置が定期送信を行う定期送信期間が重複して、各第1通信装置の通信エリア内の第2通信装置が正常な通信を実施できなくなるのを防止できる。
【0044】
また、各第1通信装置は、自身の定期送信期間を自動的に設定できることから、各第1通信装置の定期送信期間を設定若しくは変更するのに要する費用と時間を削減することができ、無線通信システムの構築及びメンテナンスを低コストで実現できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1実施形態の無線通信システムの構成及び動作の概要を表す説明図である。
【図2】第1実施形態の定期送信端末の構成を表すブロック図である。
【図3】第1実施形態のランダム送信端末の構成を表すブロック図である。
【図4】第1実施形態の定期送信端末にて実行される空き定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
【図5】第1実施形態の空き定期送信期間設定処理にて実行される空き判定処理Aを表すフローチャートである。
【図6】第2実施形態の定期送信端末にて実行される空き定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
【図7】第2実施形態の空き定期送信期間設定処理にて実行される空き判定処理Bを表すフローチャートである。
【図8】第3実施形態の定期送信端末の構成を表すブロック図である。
【図9】第3実施形態の定期送信端末にて実行される空き定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
【図10】第3実施形態の空き定期送信期間設定処理にて実行される空き判定処理Cを表すフローチャートである。
【図11】第4実施形態の定期送信端末の構成を表すブロック図である。
【図12】第4実施形態の定期送信端末にて実行される空き定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
【図13】第4実施形態の空き定期送信期間設定処理にて定期送信期間選択後に実行される空き定期送信期間判定処理を表すフローチャートである。
【図14】第4実施形態の空き定期送信期間判定処理にて実行される空き判定処理Dを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
(無線通信システム全体の構成)
図1は、本発明が適用された第1実施形態の無線通信システムの構成及び動作の概要を表す説明図である。なお、本実施形態の無線通信システムは、上述した特許文献1に記載の実施形態と略同様に構成されている。
【0047】
図1(a)に示すように、本実施形態の無線通信システムは、路側機として自動車の走行路付近に分散して設置される複数の定期送信端末2(図に示す2a、2b)と、自動車に搭載され、路側機や他の車両との間で無線通信を行う複数のランダム送信端末4(図に示す4a、4b)と、から構成されている。
【0048】
定期送信端末2は、本発明の第1通信装置(換言すれば本発明の無線通信装置)に相当するものであり、交通情報等の各種情報を周囲の自動車に定期的に送信する定期送信機能を有する。
【0049】
また、ランダム送信端末4は、本発明の第2通信装置に相当するものであり、自動車に搭載された制御装置からの送信要求を受けて、自車両の状態等を路側機や他の車両に送信するランダム送信機能を有する。
【0050】
そして、定期送信端末2とランダム送信端末4との間の路車間通信、及び、ランダム送信端末4同士の車車間通信には、共通の通信チャンネルが使用され、ランダム送信端末4がランダム送信する際には、CSMA方式のアクセス制御によって通信チャンネルが空いているか否かを判断し、通信チャンネルが空いているときにデータ送信を開始する。
【0051】
また、定期送信端末2による定期送信の周期は予め決められており、各定期送信端末2は、走行路付近への設置時や当該システムの設定変更時等に、定期送信一周期内のどの期間を定期送信期間として利用するかを、定期送信期間が他の定期送信端末2と重複することのないように自動設定する。
【0052】
そして、各定期送信端末2(2a、2b)は、その定期送信期間(図1(c)に示す期間α,期間β)を表す定期送信期間情報を、定期送信によって周囲のランダム送信端末4(4a、4b)に通知し、各ランダム送信端末4(4a、4b)は、その通知された定期送信期間α,βの間、ランダム送信を禁止する。
【0053】
つまり、本実施形態では、定期送信機能を有する定期送信端末2が、図1(b)に示す定期送信情報を送信データに付与して定期送信し、ランダム送信端末4は、定期送信情報を受信すると、図1(c)に示すように、その定期送信情報に基づき自らのランダム送信禁止期間を設定し、そのランダム送信禁止期間以外の期間(ランダム送信期間)内に、ランダム送信を行うのである。
【0054】
なお、定期送信情報は、図1(b)に示すように、定期送信期間の開始タイミングと定期送信期間の長さ(期間長)を表す定期送信期間情報に、定期送信を行う定期送信端末2の識別情報である装置ID(例えばMACアドレス等)と、後述の転送回数C(初期値:0)とを付与することにより構成される。
【0055】
ところで、図1(a)に示すように、ランダム送信端末4aが、定期送信端末2aからの送信電波が届く通信エリア内に位置し、ランダム送信端末4bがその通信エリア外に位置する場合には、ランダム送信端末4bに、定期送信端末2aから送信された定期送信情報が届かない。
【0056】
このため、ランダム送信端末4bが定期送信端末2aの定期送信期間内にランダム送信を開始し、ランダム送信端末4aには、定期送信端末2aからの送信電波と、ランダム送信端末4bからの送信電波とが同時に届き、それぞれの送信データを受信できなくなることが考えられる。
【0057】
そこで、本実施形態では、例えば、図1(a)において、ランダム送信端末4aが定期送信情報を受信したときには、その受信した定期送信情報を他のランダム送信端末4bに通知するようにされている。
【0058】
つまり、各ランダム送信端末4は、定期送信端末2や他のランダム送信端末4から定期送信情報を受信した際、その定期送信情報を送信データに付与することで、定期送信情報を再送信する。
【0059】
また、各ランダム送信端末4が定期送信情報を再送信する際には、定期送信情報に含まれる転送回数Cを更新(+1)する。この結果、ランダム送信端末4から送信された定期送信情報を受信した端末側では、その定期送信情報が、定期送信端末2が最初に送信してから何度目の転送で届いたのかを識別できるようになる。
【0060】
また、ランダム送信端末4側で、定期送信情報に基づきランダム送信禁止期間を設定するには、定期送信端末2側で認識されている定期送信の周期と、ランダム送信端末4側で認識されている定期送信の周期とを一致させる必要がある。
【0061】
このため、本実施形態では、定期送信端末2が定期送信情報を送信するときや、ランダム送信端末4が定期送信情報を再送信(転送)するときには、その送信時刻を自らの時計26,50(図2,3参照)から読み出して定期送信情報に付与する(図1(b)参照)。
【0062】
そして、定期送信情報を受信したランダム送信端末4側では、定期送信情報に付与されている送信時刻と、自らの時計50から読み出した受信時刻とを比較することで、時計50の時刻を、定期送信情報を送信してきた定期送信端末2若しくはランダム送信端末4側の時刻と同期させる。
【0063】
つまり、例えば、図1(a)において、ランダム送信端末4aは、定期送信端末2aから定期送信情報を取得し、ランダム送信端末4bは、ランダム送信端末4aから定期送信情報を取得するが、これら各ランダム送信端末4a、4bは、定期送信情報を受信した際に、自らの時計50の時刻を、定期送信情報を送信してきた定期送信端末2a又はランダム送信端末4aの時計と同期させるのである。
【0064】
この結果、定期送信情報を受信したランダム送信端末4の時計50は、全て、定期送信情報の送信元である定期送信端末2の時計26と同一時刻となり、各ランダム送信端末4は、自らの時計50を用いて、定期送信端末2による定期送信期間を正確に把握することができる。
(定期送信端末の構成)
次に、図2は、本実施形態の無線通信システムを構築するのに用いられる定期送信端末2の構成を表すブロック図である。
【0065】
図2に示すように、定期送信端末2には、周囲のランダム送信端末4に送信すべき送信データにヘッダ等の付加情報を付与して出力するデータ送信部12と、データ送信部12から出力された送信データを所定の通信チャンネルでの送信信号(高周波信号)に変換して通信アンテナ(図示せず)に出力する変調処理部14と、通信アンテナにて受信された受信信号を取り込み他の送信端末(定期送信端末2又は他のランダム送信端末4)からの送信データを復元する復調処理部16と、復調処理部16にて復元された受信データからヘッダ等の付加情報を抽出し、受信データが当該ランダム送信端末4(4a、4b)に向けて送信されたものであれば、その受信データを外部のデータ処理装置(無線通信システムの管理装置等)に出力するデータ受信部18と、が設けられている。
【0066】
また、定期送信端末2には、自身の定期送信期間を表す定期送信期間情報が記憶された定期送信期間テーブル20、自身の定期送信期間を設定して定期送信期間テーブル20に書き込む定期送信期間設定部30、定期送信期間テーブル20に記憶された定期送信期間情報に基づきデータ送信部12が実際に定期送信を行う定期送信期間を決定する定期送信期間決定部22、定期送信期間テーブル20に記憶された定期送信期間情報に基づき送信データに付与する定期送信情報を生成する定期送信情報生成部24、及び、データ送信部12が送信タイミングを検知するのに用いられる時計26が設けられている。
【0067】
そして、データ送信部12は、時計26による計時時刻に基づき、定期送信期間決定部22から入力される定期送信期間を検知し、その定期送信期間中に、現在の時刻情報や定期送信情報等からなる付加情報を付与した送信データを変調処理部14に出力することで、定期送信を実施する。
【0068】
次に、定期送信期間設定部30は、本発明の定期送信期間設定手段に相当し、定期送信端末の設置時や無線通信システムの改変時等、定期送信期間の設定が必要なときに、外部から入力される定期送信期間設定指令に従い自身の定期送信期間を自動設定するためのものである。
【0069】
そして、定期送信期間設定部30は、定期送信期間候補記憶部32、空き定期送信期間判定部34、空き定期送信期間テーブル36、及び、定期送信期間選択部38にて構成されている。
【0070】
ここで、定期送信期間候補記憶部32は、定期送信一周期内で各定期送信端末2が定期送信期間として設定することのできる複数の定期送信期間が、定期送信期間の候補として予め記憶されたものであり、例えば、データを書き換え可能な不揮発性メモリにて構成されている。
【0071】
また、空き定期送信期間判定部34は、定期送信の一周期よりも長い判定時間T1(例えば、定期送信周期を数倍した時間)の間、データ受信部18にて復元された受信データの中から定期送信情報を取り込み、その取り込んだ定期送信情報に含まれている定期送信期間情報に基づき、定期送信期間候補記憶部32に記憶された定期送信期間の候補の中から、他の定期送信端末2が使用していない空き定期送信期間を抽出して、空き定期送信期間テーブル36(詳しくはメモリ)に書き込むためのものであり、本発明の空き定期送信期間抽出手段に相当する。
【0072】
また、定期送信期間選択部38は、空き定期送信期間判定部34により空き定期送信期間テーブル36に書き込まれた空き定期送信期間の中から、空き定期送信期間の一つを、当該定期送信端末2の定期送信期間として選択し、定期送信期間テーブルに書き込むためのものであり、本発明の定期送信期間選択手段に相当する。
【0073】
そして、空き定期送信期間判定部34及び定期送信期間選択部38は、定期送信期間決定部22及び定期送信情報生成部24と共に、定期送信端末2に設けられたマイクロコンピュータ(図示せず)が実行するソフトウェア処理により実現される。
【0074】
なお、空き定期送信期間判定部34としての機能を実現するためにマイクロコンピュータにて実行される処理については、図4、図5のフローチャートに沿って後に詳しく説明する。
(ランダム送信端末の構成)
次に、図3は、本実施形態の無線通信システムを構築するのに用いられるランダム送信端末4の構成を表すブロック図である。
【0075】
図3に示すように、ランダム送信端末4には、定期送信端末2と同様、データ送信部12、変調処理部14、復調処理部16、及び、データ受信部18が備えられている。
また、ランダム送信端末4には、定期送信端末2若しくは他のランダム送信端末4から取得した定期送信情報を記憶するための定期送信期間テーブル40(詳しくはメモリ)、及び、ランダム送信禁止期間を、定期送信期間テーブル20内の定期送信情報(詳しくは定期送信期間情報)に基づき決定し、データ送信部12に出力するランダム送信禁止期間決定部44、が設けられている。
【0076】
そして、データ送信部12は、ランダム送信禁止期間決定部44からランダム送信禁止期間情報が入力されると、その情報に対応したランダム送信禁止期間だけ、送信データのランダム送信を禁止する。
【0077】
また、ランダム送信端末4には、時刻を計時する時計50が設けられており、データ送信部12は、この時計50による計時時刻に基づき、ランダム送信禁止期間を検知する。
また、ランダム送信端末4には、マイクロコンピュータによるソフトウェア処理により実現される機能ブロックとして、定期送信期間更新部42及び時刻補正部52が備えられている。
【0078】
定期送信期間更新部42は、データ受信部18にて復元された受信データに含まれる定期送信情報に基づき、定期送信期間テーブル40内の定期送信情報を更新するものである。そして、この定期送信期間更新部42は、データ受信部18にて復元された定期送信情報に基づき定期送信期間テーブル40内の定期送信情報を更新する処理に加えて、下記の定期送信情報転送処理や非同期設定処理も実行する。
【0079】
定期送信情報転送処理:データ受信部18にて受信された定期送信情報の転送回数Cが転送要否判定用として予め設定されたしきい値Cmax よりも小さい場合に、定期送信情報の転送回数Cを更新(+1)して、その更新後の定期送信情報をデータ送信部12に出力することにより、データ受信部18にて復元された定期送信情報をデータ送信部12から再送信(転送)させる。
【0080】
非同期設定処理:定期送信期間テーブル20に登録された定期送信情報が所定時間以上受信されない場合に、自車両が、その登録された定期送信情報に対応する定期送信端末2から離れたものと判断して、定期送信期間テーブル20内の定期送信情報を、ランダム送信禁止期間の設定に用いることのない非同期情報に書き換える。
【0081】
また、時刻補正部52は、データ受信部18にて復元された定期送信情報に付与されている送信時刻と定期送信情報の受信時刻とに基づき、時計50による計時時刻と定期送信端末2側での計時時刻とずれ量(時刻ずれ量)を求め、その時刻ずれ量に基づき時計50による計時時刻を補正する。
【0082】
なお、本実施形態の無線通信システムにおいて、定期送信端末2及びランダム送信端末4の構成は、基本的には、上述した特許文献1に記載のものと略同様であり、本発明の主要部である定期送信端末2内の定期送信期間設定部30以外の構成・動作については、特許文献1に詳しく説明されているので、本明細書では、無線通信システムの更なる構成については説明を省略する。
(空き定期送信期間設定処理)
次に、定期送信端末2において、定期送信期間設定部30内の空き定期送信期間判定部34としての機能を実現するためにマイクロコンピュータにて実行される空き定期送信期間設定処理について説明する。
【0083】
図4は、空き定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
図4に示すように、この処理が開始されると、まずS110(Sはステップを表す)にて、データ受信部18が定期送信情報を含むデータを受信したか否かを判断する。
【0084】
そして、S110において、データ受信部18にて定期送信情報を含むデータは受信されていないと判断されると、S150に移行し、逆に、データ受信部18にて定期送信情報を含むデータが受信されたと判断されると、S120に移行する。
【0085】
S120では、データ受信部18から定期送信情報の転送回数Cを読み込み、転送回数Cは、予め設定された上限値(例えば、値「3」)よりも小さいか否かを判断する。
そして、転送回数Cが上限値以上である場合には、S150に移行し、逆に、転送回数Cが上限値よりも小さい場合(例えば、C:0,1,2の場合)には、S140に移行し、図5に示す手順で空き判定処理Aを実行する。
【0086】
図5に示すように、空き判定処理Aでは、まず、S210にて、定期送信期間候補記憶部32に0番から1番,2番,…と順番に記憶されている定期送信期間の番号を表すカウンタnを初期値「0」に設定した後、S220にて、カウンタnに対応したn番目の定期送信期間は、今回データ受信部18から取得した定期送信情報の定期送信期間と一致するか否かを判断することにより、n番の定期送信期間は、今回取得した定期送信情報の定期送信期間とは異なる「空き」の定期送信期間であるか否かを判断する。
【0087】
そして、n番目の定期送信期間は「空き」であると判断されると、S230に移行し、n番目の定期送信期間を「空き」と仮判定して、RAM等の一時保存メモリに記憶した後、S240に移行する。
【0088】
また、S220にて、n番目の定期送信期間は「空き」ではないと判断されると、そのままS240に移行する。
S240では、カウンタnの値は、定期送信期間候補記憶部32に記憶されている定期送信期間の最後の番号Nに達しているか否かを判断することにより、定期送信期間候補記憶部32に記憶されている全定期送信期間に対し、空き判定を行ったか否かを判断する。
【0089】
そして、S240にて、カウンタnの値が「N」に達していると判断すると、当該空き判定処理Aを終了する。
また、S240にて、カウンタnの値は値「N」に達していないと判断された場合には、S250にて、カウンタnの値をインクリメント(+1)した後、再度S220に移行する。
【0090】
図4に戻り、上記のようにS140にて空き判定処理Aが実行されると、S150に移行する。
S150では、当該空き定期送信期間設定処理を開始してからの経過時間tが、予め設定された判定時間T1(定期送信の一周期よりも長い一定時間)を超えたか否かを判断し、経過時間tが判定時間T1を超えていなければ、再度S110に移行して、上記S110〜S140の処理を実行する。
【0091】
一方、S150にて、経過時間tが判定時間T1を超えたと判断されると、S160に移行し、判定時間T1が経過するまでの間に、上記S140による空き判定処理Aが実行されたか否かを判断する。
【0092】
そして、S160にて、判定時間T1の間に空き判定処理Aが実行されたと判断されると、S170に移行し、空き判定処理AのS230にて、受信した定期送信情報毎に「空き」と仮判定して一時保存メモリに記憶した定期送信期間の中から、受信した全ての定期送信情報にて「空き」と判定された定期送信期間を抽出し、その抽出した定期送信期間を、他の定期送信端末2が利用していない空き定期送信期間として、空き定期送信期間テーブル36に記憶し、当該空き定期送信期間設定処理を終了する。
【0093】
また、S160にて、判定時間T1の間に空き判定処理Aを実行できなかったと判断された場合、つまり、判定時間T1の間、他の定期送信端末2や周囲のランダム送信端末4から定期送信情報を含むデータが送信されてこなかった場合には、当該定期送信端末2の通信エリア内に、他の定期送信端末2からの送信電波は届かず、送信電波が干渉することはないと判断して、S180に移行し、定期送信期間候補記憶部32に記憶された全ての定期送信期間候補を、空き定期送信期間として、空き定期送信期間テーブル36に記憶し、当該空き定期送信期間設定処理を終了する。
(第1実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態の定期送信端末2においては、受信手段としてのデータ受信部18にて定期送信情報を含む受信データが復元されると、その復元された定期送信情報に基づき、他の定期送信端末2が定期送信に利用している使用中定期送信期間を検知して、定期送信期間候補記憶部32に記憶された定期送信期間の中から、使用中定期送信期間を除く定期送信期間を空き定期送信期間として仮判定する一連の判定処理(S110〜S140)を、所定の判定時間T1が経過する間実行する。
【0094】
そして、その判定時間T1の間、データ受信部18にて復元された定期送信情報毎に仮判定した空き定期送信期間の中から、全ての定期送信情報にて他の定期送信端末2が利用していない空き定期送信期間として判定された定期送信期間を、空き定期送信期間テーブル36に書き込み、定期送信期間選択部38が、空き定期送信期間テーブル36に書き込まれた空き定期送信期間の中から、当該定期送信端末2の定期送信期間として使用する一つの空き定期送信期間を選択して、定期送信期間テーブル20に記憶する。
【0095】
従って、本実施形態の定期送信端末2によれば、当該定期送信端末2からの送信電波が他の定期送信端末2からの送信電波と干渉することのないよう、自身の定期送信期間を、他の定期送信端末2と重複することのない定期送信期間に自動で設定することができるようになり、定期送信期間の設定に要する時間及び費用を削減することができる。
【0096】
また、本実施形態では、定期送信端末2にて設定可能な定期送信期間の候補を、複数、定期送信期間候補記憶部32に記憶しておき、各定期送信端末2は、その複数の定期送信期間の中から、他の定期送信端末2が使用していない空き定期送信期間を抽出し、その抽出した空き定期送信期間の一つを、自身の定期送信期間として選択する。
【0097】
このため、例えば、定期送信の一周期内で他の定期送信端末2が定期送信期間として利用していない期間を検出して、その検出した全期間の中から、定期送信に利用する定期送信期間を任意に設定するようにした場合に比べて、定期送信期間を効率よく割り当てることができる。
【0098】
また、この場合、定期送信期間候補記憶部32に記憶する定期送信期間の候補を設定する際に、定期送信一周期内の一定期間は、定期送信期間の候補を設定しないことで、ランダム送信端末4によるランダム送信期間を確保することもできる。
【0099】
また、本実施形態の定期送信端末2においては、データ受信部18にて復元された定期送信情報の転送回数Cが所定値「3」以上の場合は、空き判定処理Aを実施しないようにしている。
【0100】
これは、転送回数Cが所定値「3」以上の定期送信情報は、複数(本実施形態では3つ)のランダム送信端末4を介して転送されてきたものであり、その定期送信情報の送信元の定期送信端末2と、当該定期送信端末2との間の距離は長く、これら両端末からの送信電波が干渉することはないと考えられるためである。
【0101】
従って、本実施形態によれば、空き判定処理Aを実施する定期送信情報を、転送回数Cが上限値未満(0,1,2)のものに制限することで、空き判定処理Aを不必要に実施して、自身の定期送信期間として設定可能な空き定期送信期間の数が少なくなるのを防止することができる。
[第2実施形態]
次に、図6,図7は、第2実施形態の定期送信端末2において、空き定期送信期間判定部34としての機能を実現するためにマイクロコンピュータにて実行される、空き定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
【0102】
なお、第2実施形態の定期送信端末2の構成は、図2に示した第1実施形態のものと同様であるので、構成の説明は省略する。
(空き定期送信期間設定処理)
図6に示すように、本実施形態の空き定期送信期間設定処理は、基本的には、図4に示した第1実施形態のものと同じであり、第1実施形態と異なる点は、S120にて定期送信情報の転送回数Cを読み込んだ後、S132にて、転送回数Cが「0」であるか否かを判断して、転送回数Cが「0」である場合にS140の空き判定処理Aを実行し、転送回数Cが「0」でなければ、S134にて転送回数Cが「1」若しくは「2」であるか否かを判断して、転送回数Cが「1」若しくは「2」である場合には、S142に移行して、空き判定処理Aとは異なる空き判定処理Bを実行する点である。
【0103】
つまり、本実施形態では、データ受信部18にて復元された定期送信期間情報が、他の定期送信端末2から直接送信されてきた定期送信期間情報(転送回数C=0)である場合には、空き判定処理Aを実行し、データ受信部18にて復元された定期送信期間情報が、ランダム送信端末4にて1回若しくは2回転送された定期送信期間情報(転送回数C=1,2)である場合には、空き判定処理Bを実行する。
【0104】
また、この空き判定処理Bは、図7に示すように、基本的には、図5に示した空き判定処理Aと同じであり、空き判定処理Aと異なる点は、S220にて、n番目の定期送信期間は今回取得した定期送信情報の定期送信期間とは異なる「空き」と判定した場合に、S222にて、n番目の定期送信期間の「空き」の判定回数をカウントするためのカウンタm(n)をインクリメントし、S230にて、そのカウンタm(n)の値がしきい値M1を超えたか否かを判断し、カウンタm(n)の値がしきい値M1を超えているときに、S230に移行し、カウンタm(n)の値が所定値を超えていなければ、S240に移行するようにした点である。
【0105】
つまり、この空き判定処理Bでは、定期送信期間の候補として記憶されたN個の定期送信期間が、判定時間T1内に受信された定期送信情報に基づき、しきい値M1に対応した所定回数以上「空き」と判定された際に、その定期送信期間は「空き」であると仮判定するのである。
【0106】
これは、例えば、図1(a)において、定期送信端末2a、2bからの電波が届くオーバーラップ領域にランダム送信端末4aが存在しない場合や、定期送信端末2bの通信エリア内のランダム送信端末4bと定期送信端末2aの通信エリア内のランダム送信端末4aとの間で通信不良が発生した場合等、ランダム送信端末4aから定期送信端末2aへの定期送信情報の送信が一時的に停止した場合に、空き定期送信期間を誤って抽出するのを防止するためである。
【0107】
つまり、ランダム送信端末4から転送されてくる定期送信情報は、定期送信端末2から直接転送されてくる定期送信情報よりも多く、しかも、一つの受信データに複数の定期送信端末2の定期送信情報が含まれることもあることから、空き定期送信期間を特定するのには極めて有効である。
【0108】
しかし、上記のように特定のランダム送信端末4から必要な定期送信情報を取得できない場合には、他のランダム送信端末4から転送されてくる定期送信情報だけで空き定期送信期間が抽出されることになるので、本来空き定期送信期間として抽出すべきでない定期送信期間が、誤って抽出されることがある。
【0109】
そこで、本実施形態では、ランダム送信端末4から転送されてくる定期送信情報に基づき空き定期送信期間を抽出する際には、空き判定処理Bを実行することにより、その定期送信情報に基づき、複数回「空き」と判定された定期送信期間を、空き定期送信期間として仮判定するようにしているのである。
【0110】
なお、図6に示すように、本実施形態の空き定期送信期間設定処理においては、S140、S142にて、空き判定処理A、Bが実行されるか、或いは、S134にて、転送回数Cは「1」又は「2」ではないと判断されると、S150に移行する。
【0111】
また、S160では、空き判定処理A、Bの内の少なくとも一つが実行されたか否かを判断し、S160にて、空き判定処理A、Bの内の少なくとも一つが実行されたと判断すると、S170に移行する。
【0112】
そして、S170では、各空き判定処理A,Bにて「空き」と仮判定された定期送信期間の中から、空き判定を行った全ての定期送信情報に対し「空き」と判定された定期送信期間を抽出し、その抽出した定期送信期間を、他の定期送信端末2が利用していない空き定期送信期間として、空き定期送信期間テーブル36に記憶する。
(第2実施形態の効果)
従って、本実施形態の定期送信端末2によれば、ランダム送信端末4から、定期送信期間を設定するのに必要な定期送信期間情報を取得できなかった場合に、その定期送信期間情報に対応した定期送信期間が、空き定期送信期間として抽出されるのを抑制することができる。
【0113】
よって、本実施形態の定期送信端末2によれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、更に、他の定期送信端末2の定期送信期間が、当該定期送信端末2の定期送信期間として誤って設定される確率を低減できる、という効果が得られる。
【0114】
なお、本実施形態においては、S140にて実行される空き判定処理Aが、本発明の第1抽出手段に相当し、S142にて実行される空き判定処理Bが、本発明の第2抽出手段に相当する。
[第3実施形態]
次に、図8は、第3実施形態の定期送信端末2の構成を表すブロック図であり、図9、図10は、第3実施形態の定期送信端末2において、空き定期送信期間判定部34としての機能を実現するためにマイクロコンピュータにて実行される、空き定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
(定期送信端末の構成)
図8に示すように、本実施形態の定期送信端末2の構成は、図2に示した第1、第2実施形態のものと略同様であり、第1、第2実施形態と異なる点は、復調処理部16に受信信号の信号レベル(受信レベル)を検出する検出回路(図示せず)が設けられており、その検出された受信レベルが、空き定期送信期間判定部34に入力される点である。
(空き定期送信期間設定処理)
また、図10に示すように、本実施形態の空き定期送信期間設定処理は、基本的には、図6に示した第2実施形態のものと同じであり、第2実施形態と異なる点は、S132にて転送回数Cが「0」ではないと判断されると、S136にて、転送回数Cは「1」であるか否かを判断して、転送回数Cが「1」であればS142で空き判定処理Bを実行し、転送回数Cが「1」でなければ、S138にて、転送回数Cは「2」であるか否かを判断して、転送回数Cが「2」であればS144で空き判定処理Cを実行する点である。
【0115】
つまり、本実施形態では、データ受信部18にて復元された定期送信期間情報が、他の定期送信端末2から直接送信されてきた定期送信期間情報(転送回数C=0)である場合には、空き判定処理Aを実行し、データ受信部18にて復元された定期送信期間情報が、ランダム送信端末4にて1回転送された定期送信期間情報(転送回数C=1)である場合には、空き判定処理Bを実行し、データ受信部18にて復元された定期送信期間情報が、ランダム送信端末4にて2回転送された定期送信期間情報(転送回数C=2)である場合には、空き判定処理Cを実行する。
【0116】
また、この空き判定処理Cは、図10に示すように、基本的には、図7に示した空き判定処理Bと同じであり、空き判定処理Bと異なる点は、当該空き判定処理Cの開始直後に、S200にて、復調処理部16から入力される受信レベルに基づき、データ受信部18から取得した定期送信情報を受信した際の受信信号の受信レベルPを検出して、その受信レベルPが予め設定されたしきい値Th1よりも大きいか否かを判定し、受信レベルPがしきい値Th1よりも大きい場合に、S210以降の処理を実行し、受信レベルPがしきい値Th1以下である場合には、そのまま空き判定処理Cを終了する点である。
【0117】
つまり、定期送信端末2にて受信・復元される定期送信情報は、転送回数Cが大きいほど、送信元の定期送信端末2との間の距離が長くなっていると考えられるが、定期送信情報を転送してきたランダム送信端末4との間の距離は、定期送信情報を含む受信信号の受信レベルから推定できる。
【0118】
そこで、本実施形態においては、データ受信部18から取得した定期送信情報の転送回数Cが「2」になっている場合には、その定期送信情報を含む受信信号の受信レベルPがしきい値Th1よりも大きいときに、その定期送信情報を転送してきたランダム送信端末4との間の距離が短く、その定期送信情報の送信元の定期送信端末2からの送信電波が当該定期送信端末2の通信エリア内に到達して電波干渉が生じることがあると判断して、今回取得した定期送信情報を空き定期送信期間の抽出に利用し、受信信号の受信レベルPがしきい値Th1以下であれば、電波干渉が生じることはないと判断して、空き定期送信期間の抽出に今回取得した定期送信情報を利用するのを禁止するのである。
【0119】
なお、図9に示すように、本実施形態の空き定期送信期間設定処理においては、S140、S142,S144にて、空き判定処理A、B、Cが実行されるか、或いは、S138にて、転送回数Cは「2」ではないと判断されると、S150に移行する。
【0120】
また、S160では、空き判定処理A、B、Cの内の少なくとも一つが実行されたか否かを判断し、S160にて、空き判定処理A、B、Cの内の少なくとも一つが実行されたと判断すると、S170に移行する。
【0121】
そして、S170では、各空き判定処理A,B,Cにて「空き」と仮判定された定期送信期間の中から、空き判定を行った全ての定期送信情報に対し「空き」と判定された定期送信期間を抽出し、その抽出した定期送信期間を、他の定期送信端末2が利用していない空き定期送信期間として、空き定期送信期間テーブル36に記憶する。
(第3実施形態の効果)
従って、本実施形態の定期送信端末2によれば、データ受信部18にて復元された定期送信情報の転送回数Cと、その定期送信情報を含む受信信号の受信レベルとを用いて、定期送信期間を設定するのに用いる定期送信情報を識別することができるようになり、第1、第2実施形態の定期送信端末2に比べ、定期送信期間をより適正に設定することができる。
[第4実施形態]
次に、図11は、第4実施形態の定期送信端末2の構成を表すブロック図であり、図12〜図14は、第4実施形態の定期送信端末2において、空き定期送信期間判定部34としての機能を実現するためにマイクロコンピュータにて実行される、空き定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
(定期送信端末の構成)
図11に示すように、本実施形態の定期送信端末2の構成は、図8に示した第3実施形態のものと略同様であり、第3実施形態と異なる点は、定期送信期間設定部30の定期送信期間選択部38を介して定期送信期間テーブル20に登録された定期送信期間情報が、定期送信期間設定部30の空き定期送信期間判定部34に入力される点である。
(空き定期送信期間設定処理)
また、本実施形態の空き定期送信期間設定処理においては、図12に示すように、まず、S310にて、定期送信期間選択部38による定期送信期間の選択(換言すれば定期送信期間テーブル20への定期送信期間の書き込み)が一旦終了したか否かを判断する。
【0122】
そして、定期送信期間の選択が終了していない場合(換言すれば定期送信期間テーブル20に定期送信期間が書き込まれていない場合)には、S320にて、上記第1実施形態〜第3実施形態の何れかの空き定期送信期間設定処理と同様の手順で、定期送信期間選択前の空き定期送信期間設定処理を実行する。
【0123】
なお、S320の処理を実行した後は、定期送信期間テーブル20に格納された定期送信期間情報に基づく定期送信が開始されるが、本実施形態の空き定期送信期間設定処理は、定期送信の開始後も定期的に実行される。
【0124】
次に、S310にて、定期送信期間の選択が終了していると判断された場合(換言すれば定期送信期間テーブル20に定期送信期間が書き込まれ、定期送信が開始されている場合)には、S330に移行して、定期送信期間選択後の空き定期送信期判定処理を実行する。
【0125】
この空き定期送信期判定処理は、図13に示す手順で実行される。
すなわち、空き定期送信期間判定処理では、まずS410にて、データ受信部18が定期送信情報を含むデータを受信したか否かを判断する。
【0126】
そして、S410において、データ受信部18にて定期送信情報を含むデータは受信されていないと判断されると、S460に移行し、逆に、データ受信部18にて定期送信情報を含むデータが受信されたと判断されると、S420に移行する。
【0127】
S420では、データ受信部18から定期送信情報の転送回数Cを読み込み、その読み込んだ転送回数Cは値「1」であるか否かを判断する。
そして、転送回数Cが値「1」でなければ、S460に移行し、転送回数Cが値「1」であれば、S440に移行して、図14に示す手順で空き判定処理Dを実行する。
【0128】
図14に示すように、空き判定処理Dでは、まず、S510にて、データ受信部18にて復元された受信データに、自身の定期送信期間を表す定期送信情報が含まれているかを判断し、受信データに自身の定期送信期間を表す定期送信情報が含まれていれば、S520に移行して、自身の定期送信期間を、他の定期送信端末2が使用していない空き定期送信期間であると判定して、当該空き判定処理Dを終了する。
【0129】
また、S510にて、受信データに自身の定期送信期間を表す定期送信情報が含まれていないと判断された場合には、S530に移行して、復調処理部16から入力される受信レベルに基づき、データ受信部18から取得した定期送信情報を受信した際の受信信号の受信レベルPを検出して、その受信レベルPが予め設定されたしきい値Th2よりも大きいか否かを判定する。
【0130】
そして、受信レベルPがしきい値Th2よりも大きい場合には、S540に移行し、受信レベルPがしきい値Th2以下である場合には、S520に移行する。
S540では、受信データに自身の定期送信期間が含まれていないと判断された回数をカウントするためのカウンタuをインクリメント(+1)し、続くS550にて、カウンタuの値は、予め設定されたしきい値U1を超えたか否かを判断する。
【0131】
そして、カウンタuの値がしきい値U1を超えていなければ、S520に移行し、カウンタuの値がしきい値U1を超えていれば、S560に移行して、先に設定した自身の定期送信期間は他の定期送信端末2が使用中であると判断し、当該空き判定処理Dを終了する。
【0132】
このように空き判定処理Dが実行されると、今度は、図13のS450に移行し、上記の空き判定処理Dにて、自身の定期送信期間は「空き」と判定されたか否かを判断する。
そして、空き判定処理Dにて、自身の定期送信期間は「空き」と判定された際には、S460に移行し、当該空き定期送信期間設定処理を開始してからの経過時間tが、予め設定された判定時間T2(定期送信一周期の数倍の時間)を超えたか否かを判断し、経過時間tが判定時間T2を超えていなければ、再度S410に移行して、上記S410〜S450の処理を実行する。
【0133】
一方、S460にて、経過時間tが判定時間T2を超えたと判断されるか、或いは、空き判定処理Dにて自身の定期送信期間を他の定期送信端末2が使用中であると判断されている場合(S450:NO)には、空き判定処理Dでの判定結果を最終的な判断結果として保持し、当該空き定期送信期間判定処理を終了する。
【0134】
このように定期送信期間選択後の空き定期送信期間判定処理(S330)が実行されると、今度は、図12のS340に移行し、この空き定期送信期間判定処理(S330)では、自身の定期送信期間が「空き」と判断されたか否かを判定する。
【0135】
そして、空き定期送信期間判定処理(S330)にて、自身の定期送信期間が「空き」と判断されていれば、定期送信期間テーブル20に格納されている定期送信期間は正常であると判断して、当該空き定期送信期間設定処理を終了し、空き定期送信期間判定処理(S330)にて、自身の定期送信期間は他の定期送信端末2が使用中であると判断されていれば、定期送信期間テーブル20に格納されている定期送信期間を書き換えるために、S320の定期送信期間選択前の空き定期送信期間設定処理に移行する。
(第4実施形態の効果)
上記のように、本実施形態では、第1実施形態〜第3実施形態の何れかと同様の手順で空き定期送信期間設定処理(S320)を実行することにより、他の定期送信端末2が使用していない空き定期送信期間を抽出して、その内の一つを自身の定期送信期間として定期送信期間テーブル20に格納した後、その定期送信期間は、他の定期送信端末2にて使用されていないかどうかを確認するために、定期送信期間判定処理(S330)を実行する。
【0136】
そして、この定期送信期間判定処理(S330)では、当該定期送信端末2から定期送信により送信した定期送信情報が、周囲のランダム送信端末4にて受信されて、そのランダム送信端末4から自身の定期送信情報が転送回数C=1の定期送信情報として転送されてきたか否かを判断することにより、自身の定期送信情報が転送されてくるのを確認し、周囲のランダム送信端末4からの受信データに自身の定期送信情報が含まれていない回数(カウンタuの値)がしきい値U1を超えると、自身の定期送信期間と他の定期送信端末2の定期送信期間とが一致して送信電波の干渉が生じている可能性があるので、再度、空き定期送信期間設定処理(320)を実行する。
【0137】
従って、本実施形態の定期送信端末2によれば、定期送信期間選択前の空き定期送信期間設定処理(S320)により、他の定期送信端末2と同じ定期送信期間が、自身の定期送信期間として誤設定された際に、その旨を速やかに検出して、自身の定期送信期間を、他の定期送信端末2が使用していない定期送信期間に再設定させることができる。
【0138】
よって、本実施形態の定期送信端末2によれば、上記第1実施形態〜第3実施形態のものに比べ、他の定期送信端末2との間で電波干渉が生じるのをより確実に防止することができ、他の定期送信端末2との間で生じる電波干渉によって、ランダム送信端末4に通信不良が発生するのを抑制することができる。
【0139】
なお、本実施形態においては、S330及びS340の処理が、本発明の定期送信判定手段に相当する。
[変形例]
以上、本発明の実施形態として、第1実施形態〜第4実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の態様をとることができる。
【0140】
例えば、上記実施形態では、第1通信装置としての定期送信端末2は、路側機として自動車の走行路付近に分散して設置されるものとして説明したが、定期送信端末2は、緊急自動車等、重要情報を周囲の一般車両に優先的に通知する必要のある車両に搭載するようにしてもよい。
【0141】
また、上記実施形態では、定期送信端末2において、ランダム送信端末4から取得した定期送信情報の内、転送回数Cが所定値以上のものは、自身の定期送信期間の設定に利用しないものとして説明したが、例えば、ランダム送信端末4から転送される定期送信情報に転送回数Cが付与されない無線通信システムであれば、定期送信情報を含む受信信号の受信レベルがしきい値以上となっている定期送信情報だけを、自身の定期送信期間の設定に利用するようにしてもよい。
【0142】
また、上記実施形態では、定期送信情報に付与される転送回数情報を、各ランダム送信端末4が定期送信情報を再送信する際に、インクリメント(+1)することで更新するものとして説明したが、例えば、各ランダム送信端末4が定期送信情報を再送信する際に、デクリメント(−1)することで更新するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0143】
2,2a,2b…定期送信端末、4,4a,4b…ランダム送信端末、12…データ送信部、14…変調処理部、16…復調処理部、18…データ受信部、20…定期送信期間テーブル、22…定期送信期間決定部、24…定期送信情報生成部、26…時計、30…定期送信期間設定部、32…定期送信期間候補記憶部、34…空き定期送信期間判定部、36…空き定期送信期間テーブル、38…定期送信期間選択部、40…定期送信期間テーブル、42…定期送信期間更新部、44…ランダム送信禁止期間決定部、50…時計、52…時刻補正部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通信チャンネルを利用して、予め設定された一定周期毎に、該周期よりも短い定期送信期間内に無線送信を行う定期送信機能を有し、しかも、定期送信時には、前記定期送信期間を表す定期送信期間情報を含むデータを送信するよう構成された複数の第1通信装置と、
送信要求が発生した際、前記通信チャンネルが空いているか否かを判定して、前記通信チャンネルが空いているときに無線送信を行うランダム送信機能を有する複数の第2通信装置と、
の2種類の通信装置が混在し、
前記各第2通信装置が、前記第1通信装置又は他の第2通信装置から前記定期送信期間情報を含む信号を受信すると、該受信信号から当該定期送信期間情報を復元して、該定期送信期間情報に対応する定期送信期間内にランダム送信を実施することのないよう自身の送信期間を制限し、しかも、その復元した定期送信期間情報を、前記通信チャンネルを利用して他の通信装置に転送するよう構成された無線通信システムにおいて、
前記第1通信装置として用いられる無線通信装置であって、
前記通信チャンネルを利用して前記第2通信装置及び他の第1通信装置から送信されてくる送信信号を受信し、受信データを復元する受信手段と、
前記受信手段にて復元された受信データの中から前記定期送信期間情報を抽出し、該抽出した定期送信期間情報に基づき、当該無線通信装置が定期送信を行う定期送信期間を、他の第1通信装置の定期送信期間と重複することのないよう設定する定期送信期間設定手段と、
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記定期送信期間設定手段は、
前記定期送信期間情報に基づき、予め記憶された複数の定期送信期間の中から、他の第1通信装置が使用していない空き定期送信期間を抽出する空き定期送信期間抽出手段と、
前記空き送信期間抽出手段にて抽出された空き定期送信期間の中から、当該無線通信装置が定期送信を行う定期送信期間を選択する定期送信期間選択手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記空き定期送信期間抽出手段は、
前記他の第1通信装置からの受信データに含まれている定期送信期間情報に基づき、前記空き定期送信期間を抽出する第1抽出手段と、
前記第2通信装置からの受信データに含まれている定期送信期間情報に基づき、所定の判定回数以上、他の第1通信装置が使用していないと判定された定期送信期間を、空き定期送信期間として抽出する第2抽出手段と、
を備え、前記定期送信期間選択手段は、前記第1抽出手段及び前記第2抽出手段の両方で空き定期送信期間として抽出された空き定期送信期間の中から、当該無線通信装置が定期送信を行う定期送信期間を選択することを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記無線通信システムを構成する複数の第2通信装置は、それぞれ、前記受信信号から復元した定期送信期間情報を転送する際、当該定期送信期間情報が前記第1通信装置から送信されてから前記第2通信装置にて転送された転送回数を表す転送回数情報を付与するように構成されており、
前記定期送信期間設定手段は、前記受信データから抽出した定期送信期間情報に付与されている転送回数情報に基づき、当該定期送信期間情報の転送回数を検知し、該転送回数が予め設定された上限値以上の定期送信期間情報については、当該無線通信装置の定期送信期間の設定に用いる定期送信期間情報から除外することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記定期送信期間設定手段は、前記受信データの受信レベルが予め設定された判定レベルに達しているか否かを判定し、受信レベルが判定レベルに達していない受信データの定期送信期間情報については、当該無線通信装置の定期送信期間の設定に用いる定期送信期間情報から除外することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記定期送信期間設定手段にて定期送信期間が設定されて、当該無線通信装置が該定期送信期間内での定期送信を開始すると、その後、前記第2通信装置から当該無線通信装置の定期送信期間情報を含むデータを受信できたか否かを判断し、前記第2通信装置から当該無線通信装置の定期送信期間情報を含むデータを受信できないときには、前記定期送信期間設定手段に対し定期送信期間を再設定させる定期送信判定手段、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
所定の通信チャンネルを利用して、予め設定された一定周期毎に、該周期よりも短い定期送信期間内に無線送信を行う定期送信機能を有し、しかも、定期送信時には、前記定期送信期間を表す定期送信期間情報を含むデータを送信するよう構成された複数の第1通信装置と、
送信要求が発生した際、前記通信チャンネルが空いているか否かを判定して、前記通信チャンネルが空いているときに無線送信を行うランダム送信機能を有する複数の第2通信装置と、
の2種類の通信装置が混在し、
前記各第2通信装置が、前記第1通信装置又は他の第2通信装置から前記定期送信期間情報を含む信号を受信すると、該受信信号から当該定期送信期間情報を復元して、該定期送信期間情報に対応する定期送信期間内にランダム送信を実施することのないよう自身の送信期間を制限し、しかも、その復元した定期送信期間情報を、前記通信チャンネルを利用して他の通信装置に転送するよう構成された無線通信システムにおいて、
前記複数の第1通信装置は、それぞれ、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の無線通信装置にて構成されていることを特徴とする無線通信システム。
【請求項1】
所定の通信チャンネルを利用して、予め設定された一定周期毎に、該周期よりも短い定期送信期間内に無線送信を行う定期送信機能を有し、しかも、定期送信時には、前記定期送信期間を表す定期送信期間情報を含むデータを送信するよう構成された複数の第1通信装置と、
送信要求が発生した際、前記通信チャンネルが空いているか否かを判定して、前記通信チャンネルが空いているときに無線送信を行うランダム送信機能を有する複数の第2通信装置と、
の2種類の通信装置が混在し、
前記各第2通信装置が、前記第1通信装置又は他の第2通信装置から前記定期送信期間情報を含む信号を受信すると、該受信信号から当該定期送信期間情報を復元して、該定期送信期間情報に対応する定期送信期間内にランダム送信を実施することのないよう自身の送信期間を制限し、しかも、その復元した定期送信期間情報を、前記通信チャンネルを利用して他の通信装置に転送するよう構成された無線通信システムにおいて、
前記第1通信装置として用いられる無線通信装置であって、
前記通信チャンネルを利用して前記第2通信装置及び他の第1通信装置から送信されてくる送信信号を受信し、受信データを復元する受信手段と、
前記受信手段にて復元された受信データの中から前記定期送信期間情報を抽出し、該抽出した定期送信期間情報に基づき、当該無線通信装置が定期送信を行う定期送信期間を、他の第1通信装置の定期送信期間と重複することのないよう設定する定期送信期間設定手段と、
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記定期送信期間設定手段は、
前記定期送信期間情報に基づき、予め記憶された複数の定期送信期間の中から、他の第1通信装置が使用していない空き定期送信期間を抽出する空き定期送信期間抽出手段と、
前記空き送信期間抽出手段にて抽出された空き定期送信期間の中から、当該無線通信装置が定期送信を行う定期送信期間を選択する定期送信期間選択手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記空き定期送信期間抽出手段は、
前記他の第1通信装置からの受信データに含まれている定期送信期間情報に基づき、前記空き定期送信期間を抽出する第1抽出手段と、
前記第2通信装置からの受信データに含まれている定期送信期間情報に基づき、所定の判定回数以上、他の第1通信装置が使用していないと判定された定期送信期間を、空き定期送信期間として抽出する第2抽出手段と、
を備え、前記定期送信期間選択手段は、前記第1抽出手段及び前記第2抽出手段の両方で空き定期送信期間として抽出された空き定期送信期間の中から、当該無線通信装置が定期送信を行う定期送信期間を選択することを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記無線通信システムを構成する複数の第2通信装置は、それぞれ、前記受信信号から復元した定期送信期間情報を転送する際、当該定期送信期間情報が前記第1通信装置から送信されてから前記第2通信装置にて転送された転送回数を表す転送回数情報を付与するように構成されており、
前記定期送信期間設定手段は、前記受信データから抽出した定期送信期間情報に付与されている転送回数情報に基づき、当該定期送信期間情報の転送回数を検知し、該転送回数が予め設定された上限値以上の定期送信期間情報については、当該無線通信装置の定期送信期間の設定に用いる定期送信期間情報から除外することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記定期送信期間設定手段は、前記受信データの受信レベルが予め設定された判定レベルに達しているか否かを判定し、受信レベルが判定レベルに達していない受信データの定期送信期間情報については、当該無線通信装置の定期送信期間の設定に用いる定期送信期間情報から除外することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記定期送信期間設定手段にて定期送信期間が設定されて、当該無線通信装置が該定期送信期間内での定期送信を開始すると、その後、前記第2通信装置から当該無線通信装置の定期送信期間情報を含むデータを受信できたか否かを判断し、前記第2通信装置から当該無線通信装置の定期送信期間情報を含むデータを受信できないときには、前記定期送信期間設定手段に対し定期送信期間を再設定させる定期送信判定手段、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
所定の通信チャンネルを利用して、予め設定された一定周期毎に、該周期よりも短い定期送信期間内に無線送信を行う定期送信機能を有し、しかも、定期送信時には、前記定期送信期間を表す定期送信期間情報を含むデータを送信するよう構成された複数の第1通信装置と、
送信要求が発生した際、前記通信チャンネルが空いているか否かを判定して、前記通信チャンネルが空いているときに無線送信を行うランダム送信機能を有する複数の第2通信装置と、
の2種類の通信装置が混在し、
前記各第2通信装置が、前記第1通信装置又は他の第2通信装置から前記定期送信期間情報を含む信号を受信すると、該受信信号から当該定期送信期間情報を復元して、該定期送信期間情報に対応する定期送信期間内にランダム送信を実施することのないよう自身の送信期間を制限し、しかも、その復元した定期送信期間情報を、前記通信チャンネルを利用して他の通信装置に転送するよう構成された無線通信システムにおいて、
前記複数の第1通信装置は、それぞれ、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の無線通信装置にて構成されていることを特徴とする無線通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−186707(P2012−186707A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49147(P2011−49147)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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