説明

無線通信装置及び無線通信方法

【課題】煩雑な操作なしで自機器と対象機器とを接続させ、かつ、ユーザの意思を反映した使いやすい無線通信装置及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決するために、接続要求信号を送り出し、接続応答信号を受け取り、受け取った接続応答信号に対応する他機器の電波強度を取得し、電波強度が増加し、その後、電波強度が閾値以上であって、かつ、所定の時間以上、一定であるか否かを判定し、他機器との機器間認証を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信装置及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近距離無線通信の一手法であるBluetooth(登録商標、以下同様)を用いてデータ通信を行う無線通信装置として、特許文献1が知られている。
【0003】
複数の無線通信装置において、近距離無線通信インタフェースを介して通信を行う場合、接続開始時に、一方の無線通信装置から他方の無線通信装置へ向けて接続処理を行う。この際には、まず初めに、接続をしようとする無線通信装置(以下「自機器」ともいう)は、一定の距離範囲の中において、接続要求待ちの無線通信装置(つまり、接続要求を受け入れる状態にある無線通信装置であり、以下、このような無線通信装置を「他機器」という)を検索する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−248215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、他機器を検索するための操作が煩雑であるという問題がある。さらに、一定の距離範囲の中に複数の他機器が存在する場合には、接続をしようとする他機器(以下「対象機器」という、つまり、対象機器とは、他機器のうち、ユーザが自機器を接続しようとするものをいう)を選択しなければならず、そのための操作も煩雑である。ユーザは、煩雑な操作方法を理解しておく必要があり、この操作の煩雑さや理解の難しさが無線通信装置の利用の障壁となっている。
【0006】
これを解決する方法として、以下の方法が考えられる。対象機器を検索する際に、自機器が発する検索用の電波の出力を微弱にし、検索する距離範囲を極めて狭くしておき、ユーザが自機器を対象機器に近づけること(ユーザが近づけるアクションが検索の操作と同等になる)により、自機器と対象機器とを接続させる。
【0007】
しかしながら、この方法には近くにある他機器は何でも接続してしまうという問題がある。つまり、他機器が偶発的に自機器の近くにあったのか、あるいは、ユーザが接続のために近づけたのかどうかを判定することはできないので、ユーザが接続する意思のない他機器と自機器を接続する可能性がある。ユーザが接続する意思のない他機器と自機器を接続した場合には、ユーザは接続をキャンセルし、対象機器との接続操作をしなければならない。また、セキュリティ上の問題も生じる。例えば、自機器内のデータを他機器により読み取られたり、他機器から自機器内にデータを書き込まれる可能性等がある。
【0008】
本発明は、煩雑な操作なしで自機器と対象機器とを接続させ、かつ、ユーザの意思を反映した使いやすい無線通信装置及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、接続要求信号を送り出し、接続応答信号を受け取り、受け取った接続応答信号に対応する他機器の電波強度を取得し、電波強度が増加し、その後、電波強度が閾値以上であって、かつ、所定の時間以上、一定であるか否かを判定し、他機器との機器間認証を行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、煩雑な操作なしで自機器と対象機器とを接続させ、かつ、ユーザが接続する意思のない他機器の誤検出を防ぐことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】無線通信装置100の機能構成例を示すブロック図。
【図2】無線通信装置100の処理フローを示す図。
【図3】無線通信装置100のハードウェア構成例を示すブロック図。
【図4】携帯電話を無線通信装置100とした場合のソフトウェア構成例を示すブロック図。
【図5】図5Aは自機器100と他機器20との距離が大きく電波強度が小の場合の例を示す図であり、図5Bは自機器100と他機器20との電波強度が中の場合の例を示す図であり、図5Cは自機器100と他機器20との距離が小さく電波強度が大の場合の例を示す図。
【図6】図5A、図5B、図5Cにおける電波強度を示す図。
【図7】接続判定部140の機能構成例を示すブロック図。
【図8】接続判定部140の処理フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
<無線通信装置100>
図1を用いて実施例1に係る無線通信装置100を説明する。無線通信装置100は、例えば、入出力部101と、記憶部103と、通信処理部110と、検索部120と、電波強度取得部130と、接続判定部140と、機器間認証部150とを備える。以下、図2を用いて、処理概要を説明する。なお、無線通信の方式としては、例えば、Bluetooth等が考えられる。
【0014】
検索部120は、通信処理部110を介して、接続要求信号Inq(例えばBluetoothにおけるInquiry)を送り出す(s121)。検索部120は、通信処理部110を介して、他機器の出力する接続応答信号Resを受け取る(s122)。
【0015】
電波強度取得部130は、受け取った接続応答信号Resに対応する他機器の電波強度を取得する(s130)。
【0016】
接続判定部140は、電波強度が増加し、その後、電波強度が閾値以上であって、かつ、所定の時間以上、一定であるか否かを判定する(s140)。
【0017】
電波強度が増加し、その後、電波強度が閾値以上であって、かつ、所定の時間以上、一定である場合に、機器間認証部150は、その電波強度に対応する他機器との機器間認証(例えばBluetoothにおけるペアリング)を行う(s150)。各部の詳細は後述する。
【0018】
なお、他機器は、無線通信装置100が有する無線通信方法と対応する無線通信方法(例えばBluetooth)を用い、接続要求信号Inqを受け取ると接続応答信号Resを出力するものとする。他機器として、例えば、カーナビゲーションシステム、PDA、ワイヤレスイヤホン、パーソナルコンピュータ、スピーカ等が挙げられる。
【0019】
<ハードウェア構成>
図3は、実施例1における無線通信装置100のハードウェア構成を例示したブロック図である。図3に例示するように、この例の無線通信装置100は、CPU(Central Processing Unit)11、入力部12、出力部13、補助記憶装置14、ROM(Read Only Memory)15、RAM(Random Access Memory)16及びバス17を有している。
【0020】
この例のCPU11は、制御部11a、演算部11b及びレジスタ11cを有し、レジスタ11cに読み込まれた各種プログラムに従って様々な演算処理を実行する。また、入力部12は、キーボード、マウス、文字・数字入力及び実行指示を行うボタン、タッチパネル、音声入力を行うマイクロフォン等であり、出力部13は、画像を出力する液晶パネルや音声出力を行うスピーカ等である。補助記憶装置14は、例えば、ハードディスク、半導体メモリ等であり、無線通信装置100としてコンピュータを機能させるためのプログラムや各種データが格納される。また、RAM16には、上記のプログラムや各種データが展開され、CPU11等から利用される。通信部18は、ベースバンドチップにより構成される。なお、ベースバンドチップとは、この無線通信装置100に内蔵されるICチップのうち、無線通信を実現するために使うものをいう。また、バス17は、CPU11、入力部12、出力部13、補助記憶装置14、ROM15、RAM16及び通信部18を通信可能に接続する。なお、このようなハードウェアの具体例としては、例えば、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)及びノートパソコン等が挙げられる。
【0021】
図1は、CPU11に無線通信プログラムが読み込まれて実行されることにより構成される無線通信装置100の機能構成を例示したブロック図である。ここで、図1の入出力部101は、入力部12及び出力部13に相当する。また、図1の記憶部103は、補助記憶装置14、RAM16、レジスタ11c、その他のバッファメモリやキャッシュメモリ等の何れか、あるいはこれらを併用した記憶領域に相当する。図1の通信処理部110は、通信部18に相当する。また、検索部120、電波強度取得部130、接続判定部140及び機器間認証部150は、CPU11に無線通信プログラムを実行させることにより構成されるものである。
【0022】
<携帯電話としての構成>
実施例1では、無線通信装置100として携帯電話を用いる場合について、説明する(図4参照)。無線通信装置100は、近距離無線通信処理部171を含むハードウェア170を備える。また、無線通信装置100には、近距離無線通信制御部181と制御部183と設定管理部185を含むミドルウェア180と、非ネイディブアプリ191とネイティブアプリ193(近距離無線通信アプリ193a、通話アプリ193b、音楽アプリ193c等からなる)を含むアプリケーション190を実装される。なお、ネイティブアプリとは、実行する携帯電話のCPU、ソフトウェアプラットフォーム、API向けに特化したアプリケーションであり、非ネイティブアプリケーションとは、実行する携帯電話上に展開される仮想計算機上で実行されるアプリケーションである。非ネイティブアプリケーションとして、例えば、iアプリ(登録商標)等のJava(登録商標)アプリケーションが挙げられる。
【0023】
近距離無線通信処理部171は、図1の通信処理部110及び図3の通信部18に相当し、ベースバンドチップにより構成される。近距離無線通信処理部171は、他機器から無線情報を受け取り、ミドルウェア180へ伝達する。また、近距離無線通信処理部171は、他機器にミドルウェア180から受け取った情報を出力する。
【0024】
近距離無線通信制御部181は、上位アプリケーションでの操作に従い、ミドルウェア180内部での制御コマンドなどを管理し、上位(制御部183等)からの情報をハードウェア170に送信する。さらに、無線情報を受けたハードウェア170(物理層)からの情報を上位に伝える。
【0025】
制御部183は、無線通信に係る各種制御を行う。図1の検索部120、電波強度取得部130、接続判定部140及び機器間認証部150に相当する。
【0026】
ユーザは、近距離無線通信アプリ193aを起動し、通信無線装置の近距離無線通信用のメニューにある近距離無線通信機能を設定することができる。近距離無線通信機能の設定内容については後述する。
【0027】
設定された近距離無線通信機能は、設定管理部185で管理され、制御部183において行われる各種制御時に利用される。
【0028】
通話アプリ193bは、携帯電話の通話機能を制御(呼制御等)するためのアプリケーションであり、音楽アプリ193cは携帯電話をミュージックプレイヤーとして機能させるためのアプリケーションである。制御部183は、このような特定の機能を持つアプリからの通知を処理する。例えば、ユーザが通話アプリ193bまたは音楽アプリ193cを起動すると、制御部183は、対応する対象機器との自動接続を行う。その際、制御部183は、近距離無線通信制御部181と近距離無線通信処理部171を介して、電波(接続要求信号)を出力し、接続処理を行う。なお、対象機器からの信号は、近距離無線通信処理部171と近距離無線通信制御部181と制御部183を介して、各アプリに送られる。このとき、制御部183は、機器間認証時の状況表示(電波強度等)をリアルタイムに各アプリへ通知する。なお、非ネイティブアプリ191は、ネイティブアプリ193の近距離無線通信アプリ193a、通話アプリ193b、音楽アプリ193c等と同様の機能を有するアプリケーションとしてもよい。
【0029】
以下、図1の各部の詳細を説明する。
【0030】
<検索部120>
検索部120は、通信処理部110を介して、接続要求信号Inqを出力する(s121)。接続要求信号Inqの届く範囲内に他機器が存在する場合には、他機器は接続応答信号Resを出力する。検索部120は、通信処理部110を介して、接続応答信号Resを受け取り(s122)、接続応答信号Resを出力した他端末を特定する情報を含む制御信号c1を電波強度取得部130に送信する。また、このとき、検索部120は、通信処理部110を介して、他機器に対して接続取消信号canを出力し、接続応答信号Resを出力した他機器との接続処理を一旦、中止する。
【0031】
なお、接続要求信号Inqの届く範囲内に他機器が存在しない場合には、検索部120は、接続応答信号Resを受け取るまで、周期的(例えば、1秒間に10回等)に接続要求信号Resを出力する(s121)。
【0032】
<電波強度取得部130>
電波強度取得部130は、制御信号c1を受け取ると、通信処理部110を介して、受け取った接続応答信号Resに対応する他機器の電波sigを取得し、その電波sigから電波強度(例えば、RSSI値(Received Signal Strength Indication))を取得する(s130)。電波強度取得部130は、例えば、RSSI回路(Received Signal Strength Indicator)により構成される。電波強度取得部130は、取得した電波強度を接続判定部140に送信する。また、記憶部103に電波強度を送信し、記憶する構成としてもよい。電波強度取得部130は、周期的に(例えば1秒間に10回)電波強度を取得する。
【0033】
<接続判定部140>
接続判定部140は、電波強度が増加し、その後、電波強度が閾値T以上であって、かつ、所定の時間以上、一定であるか否かを判定する(s140)。
【0034】
ユーザが自機器を対象機器に接続しようとする場合には、その自機器と対象機器とを近づけ、かざす動作を伴うと仮定する。図5及び図6を用いて、この動作を説明する。
【0035】
図5Aの状態の電波強度は図6の点Aである。ユーザが自機器100を他機器20に接続しようとする場合には、その自機器100を他機器20に近づけ、図5Bの状態となる。このときの電波強度は図6の点Bである。自機器100を他機器20にかざすと、図5Bの状態を一定時間以上、継続することになる。電波強度は図6の点Bから点B’に推移する。さらに、その自機器100を他機器20に近づけると、図5Cの状態となり、電波強度は図6の点Cとなる。その後に、自機器100を他機器20にかざすと、図5Cの状態を一定時間以上、継続することになる。電波強度は図6の点Cから点C’に推移する。つまり、図6の点A→B→B’に推移するとき、及び、点A→B→C→C’に推移するとき、自機器を他機器に近づけ、かざす動作を行ったと判断し、自機器と他機器との機器間認証を実施する。
【0036】
図5Aの状態を継続した場合には、図6の点Aから点A’に推移する。このとき、ユーザは、自機器100を他機器20に近づける動作を行っておらず、かつ、電波強度が小さい(距離が大きい)ため、ユーザに接続の意思はないものと判断する。図5Aの状態から図5Bの状態に、自機器100を他機器20に近づけ、その後、自機器100を他機器20にかざすことなく、自機器100を他機器20から遠ざけた場合(図5Aの状態にした場合)には、図6の点A→B→A”に推移する。このとき、ユーザは立ち去ったものと判断し、接続の意思はないものと判断する。図5Aの状態から図5Cの状態に、自機器100を他機器20に近づけ、その後、また、図5Bの状態に、自機器100を他機器20から遠ざけた場合には、図6の点A→B→C→B”に推移する。このときも、ユーザは立ち去ったものと判断し、接続の意思はないものと判断する。例え、電波強度が、所定の時間以上、閾値T以上であったとしても、他機器20の近傍を通過しただけであり、接続の意思はないものと判断する。自機器100を他機器20の近傍で、かざす行為を検出するため、電波強度が閾値T以上であって、かつ、所定の時間以上、一定であることを条件とする。なお、この例では、自機器100を他機器20に近づける場合を説明しているが、他機器20を自機器100に近づけた場合や、他機器20と自機器100とをそれぞれ近づけた場合も、他機器20と自機器100は近づき、電波強度は図6の点A→Bや点A→B→Cに推移する。このときも、その後、かざす動作が行われた場合には、ユーザに接続の意思があるものと判断する。
【0037】
自機器と対象機器とを近づけ、かざす動作を伴う行為を検出するために、接続判定部140は、電波強度判定部141と、接近判定部143と、蓄積部145と、保持判定部147とを備える(図7参照)。以下、図7及び図8を用いて、接続判定部140の処理を説明する。
【0038】
(電波強度判定部141)
電波強度判定部141は、電波強度取得部130において取得した電波強度が閾値T以上か否かを判定する(s141)。電波強度が閾値T以上の場合(例えば、図6の点B、B’、B”、C、C’、C”の場合)には、制御信号d1を接近判定部143に送信する。一方、電波強度が閾値T未満の場合(例えば、図6の点A、A’、A”の場合)には、制御信号c3を検索部120に送信する。なお、閾値Tは、自機器と他機器の大きさや、使用方法に応じて適宜設定することができ、例えば、自機器と他機器との距離が20cmのときに得られる電波強度を閾値Tとして予め設定する。
【0039】
(接近判定部143)
接近判定部143は、閾値T以上の電波強度であると判断した時点において、その電波強度が増加傾向にあるか否かを判定する(s143)。接近判定部143は、制御信号d1を受信すると、記憶部103または蓄積部145に問い合わせて、過去の電波強度を取得し、現時点の電波強度が増加傾向にあるか否かを判定する。現時点の電波強度が増加傾向にある場合(例えば、図6の点A→Bや点B→Cと推移している場合)には、制御信号d2を保持判定部147に送信する。一方、増加傾向にない場合(例えば、図6の点A→A’や点B→B’や点C→C’や点B→A”や点C→B”と推移している場合)には、制御信号c3を検索部120に送信する。
【0040】
従来技術では、距離的に遠くにある他機器でも、その他機器が強い電波を発している場合には、距離的に近くにあると認識し、対象機器であると誤検出してしまう可能性がある。実施例1では接近判定部143を設けることで、遠くで強い電波を発し、電波強度に変化のない他機器と自機器を接続しない。このような構成により、ユーザが近づける意思のない他機器の誤検出を防ぐことができる。
【0041】
なお、過去の電波強度として、1つの電波強度を用いても良いし、複数の電波強度を用いてもよい。1つの電波強度を用いる場合には、現在の電波強度から一つ前に取得した電波強度を減算し、その差がプラスの場合には、増加傾向にあると判定し、0またはマイナスの場合には、増加傾向にはないと判定する。複数の電波強度を用いる場合、例えば、1秒間分の電波強度(例えば、10個)を取得する場合には、複数の電波強度が全体として増加傾向にあるか否かを判定する。
【0042】
(蓄積部145)
蓄積部145は、少なくとも所定の時間分の他機器の電波強度を蓄積する(s145)。例えば、電波強度が増加傾向にある場合に、接近判定部における判定後に得られる他機器の電波強度を、少なくとも所定の時間分蓄積する。なお、蓄積部145は、記憶部103の一部であってもよい。また、所定の時間分とは、後述する保持判定部147で、電波強度が一定であるか否かを判定するために必要な時間分であり、自機器と他機器の使用方法に応じて適宜設定することができ、例えば、2秒間分の電波強度(例えば20個)を蓄積するように設定する。
【0043】
(保持判定部147)
保持判定部147は、電波強度が増加傾向にある場合に、接近判定部143における判定後に蓄積した所定の時間分の電波強度が一定であるか否かを判定する(s147)。例えば、保持判定部147は、制御信号d2を受信すると、制御信号d2を取得した時点から所定の時間分の電波強度が蓄積部145に蓄積されるのを待って、蓄積部145に問い合わせて、所定の時間分の電波強度を取得し、蓄積した電波強度が一定である場合(例えば、図6の点A→A’や点B→B’や点C→C’と推移している場合)には、制御信号c2を機器間認証部150に送信する。
【0044】
一方、蓄積した電波強度が一定ではない場合、さらに、蓄積した電波強度が増加傾向にあるか否かを判定する(s148)。例えば、保持判定部147は、制御信号d3を接近判定部143に送信し、これを受信した接近判定部143は、蓄積部145に問い合わせ、蓄積した電波強度を取得し、これが増加傾向にあるか否か判定する。蓄積した電波強度が増加傾向にある場合(例えば、図6の点A→Bや点B→Cと推移している場合)には、制御信号d4を保持判定部147に送信する。一方、増加傾向にない場合(例えば、図6の点A→A’や点B→B’や点C→C’や点B→A”や点C→B”と推移している場合)には、制御信号c3を検索部120に送信する。
【0045】
電波強度取得部130において、新たに電波強度を1つ取得し、この新たに取得した電波強度を蓄積部145に蓄積する(s149)。つまり、蓄積部145には、常に最新の所定の時間分の電波強度が蓄積される。
【0046】
制御信号d4を受け取った保持判定部147は、新たに蓄積した電波強度が一定であるか否かを判定する(s147)。保持判定部147は、制御信号d4を受信すると、次の時点の電波強度が蓄積部145に蓄積されるのを待って、蓄積部145に問い合わせて、最新の所定の時間分の電波強度を取得し、蓄積した電波強度が一定である場合には、制御信号c2を機器間認証部150に送信する。一定でない場合には、制御信号d3を接近判定部143に送信する。接近判定部143または保持判定部147が制御信号c3を検索部120に送信するか、保持判定部147が制御信号c2を機器間認証部150に送信するまで、s147〜s149を繰り返す。このような繰り返し処理を行うことで、図6の点A→B→C→C’と推移する場合を、接続の意思があるものとして検出することができる。
【0047】
なお、蓄積した電波強度が一定であるか否かを判定する場合の「一定」とは、蓄積した電波強度が全て同一である場合だけでなく、予め定めた範囲内(例えば、蓄積した電波強度の平均値の±2dBM等の範囲内)に、蓄積した電波強度の最大値及び最小値が含まれる場合等を含む。
【0048】
また、制御信号c3を受信した検索部120は、通信処理部110を介して、接続要求信号Inqを出力し(s121)、他機器を検索する。
【0049】
<機器間認証部150>
電波強度が増加し、その後、電波強度が閾値T以上であって、かつ、所定の時間以上、一定である場合に、機器間認証部150は、その電波強度に対応する他機器との機器間認証を行う(s150)。例えば、機器間認証部150は、通信処理部110を介して、接続要求信号Inqを出力し、他機器から通信処理部110を介して接続応答信号Resを受け取る。複数の接続応答信号Resを受け取った場合には、保持判定部140で判定した電波強度を出力している他機器を選択する。選択した他機器に対しリンクキーL−keyを要求する信号を出力し、他機器から通信処理部110を介してリンクキーL−keyを受信し、記憶部103に記憶する。自機器100と他機器は同じリンクキーを共有することになり、機器間認証された状態となる。これにより、自機器と対象機器は無線通信を行うことができる。
【0050】
なお、機器間認証部150は、上記以外の従来技術を用いて機器間認証を行ってもよい。例えば、対象機器に予め設定されたパスキーを、自機器から入力する設定としてもよい。
【0051】
<近距離無線通信機能の設定>
図4の近距離無線通信アプリ193aを起動し、検索部110において接続要求信号Inqを出力してから(または接続応答信号Resを受け取ってから)、接続取消信号canを出力するまでの時間を設定することができる。また、接続要求信号Resの出力の大きさや、保持判定部147において自機器がかざされていると判断するための所定の時間の長さ等を設定することができる。また電波強度判定部141で用いる閾値Tの大きさを設定することもできる。つまり、電波強度判定部141は、自機器100と他機器との距離が一定の距離未満か否かを判断することができ、その一定の距離をどのくらいにするかを設定することができる。
【0052】
<効果>
このような構成とすることで、ユーザが接続する意思のない他機器の誤検出を防ぐことができる。ユーザは煩雑な操作なしで自機器と対象機器とを接続させることができる。つまり、自機器と対象機器とを近づけ、かざすだけで機器間認証を行い、無線通信を行うことができる。さらに、自機器と対象機器とを近づけ、かざすという動作を検出することで、ユーザの接続の意思を反映した機器間認証を実施でき、ユーザが接続する意思のない他機器を間違って検出することを防ぐことができる。
【0053】
<変形例>
なお、実施例1において、図2等は他機器が1台の場合の処理フローについて説明しているが、他機器が複数台であっても同様の処理を行うことによって、対応することができる。検索部120は、通信処理部110を介して、接続要求信号Inqを出力し、複数台の他機器から接続応答信号Resを受け取った場合、接続応答信号Resを出力した各他端末を特定する情報を含む制御信号c1を電波強度取得部130に送信する。電波強度取得部130は、制御信号c1を用いて、接続応答信号Resに対応する各他機器の電波強度を取得し、接続判定部は、各電波強度に対して、判定処理を行う。
【0054】
また、検索部120は、制御信号c1を電波強度取得部130に送信した後も、周期的に接続要求信号Inqを出力し続け、他機器を検索し続ける構成としても良い。つまり、検索部120は、接続応答信号Resを受け取ったか否かにかかわらず、周期的に接続要求信号Inqを出力し続ける。このような構成とすることで、機器間認証を行う他機器を常に監視することができる。
【0055】
図5に示すように無線通信装置100(例えば携帯電話)の表示部に電波強度を表示する構成としても良い。このような構成とすることで、ユーザは、どの他機器と接続しようとしているのか、容易に確認することができる。
【実施例2】
【0056】
<無線通信装置200>
図1及び図2を用いて実施例2に係る無線通信装置200を説明する。無線通信装置100と異なる部分についてのみ説明する。無線通信装置200は、例えば、入出力部101と、記憶部103と、通信処理部110と、検索部220と、電波強度取得部130と、接続判定部140と、機器間認証部250とを備える。検索部220と機器間認証部250の処理内容が異なる。
【0057】
本実施例では、ユーザが自機器を対象機器に接続しようとする場合には、その自機器と対象機器とを近づけ、かざす動作を伴うという仮定に加え、自機器の周辺(少なくとも接続応答信号を受け取ることができる距離)に対象機器が位置すると仮定している。
【0058】
<検索部220>
検索部220は、接続要求信号を送り出し、接続応答信号を受け取る。受け取った接続応答信号が1つの場合(s223、図2中、破線で示す)、検索部220は、制御信号c4を機器間認証部250へ送信する(図1中、破線で示す)。一方、受け取った接続応答信号が複数の場合には(s223)、制御信号c1を電波強度取得部130に出力し、実施例1と同様の処理を行う。
【0059】
<機器間認証部250>
機器間認証部250は、検索部220から制御信号c4を受け取った場合、接続応答信号を出力した他機器との機器間認証を行う(s250)。なお、機器間認証部250は、接続判定部140から制御信号c3を受け取った場合には、実施例1と同様の処理を行う。
【0060】
<効果>
このような構成とすることで、実施例1と同様に煩雑な操作なしで自機器と対象機器とを接続させ、かつ、ユーザが接続する意思のない他機器の誤検出を防ぐことができるという効果を奏する。さらに、自機器の周辺に対象機器以外の他機器が存在しない場合には、直ちに対象機器との機器間認証を行うことで、機器間認証に係る時間を削減し、処理量を減らすことができる。
【符号の説明】
【0061】
100、200 無線通信装置
110 通信処理部
120、220 検索部
130 電波強度取得部
140 接続判定部
141 電波強度判定部
143 接近判定部
145 蓄積部
147 保持判定部
150、250 機器間認証部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続要求信号を送り出し、接続応答信号を受け取る検索部と、
受け取った接続応答信号に対応する他機器の電波強度を取得する電波強度取得部と、
前記電波強度が増加し、その後、前記電波強度が閾値以上であって、かつ、所定の時間以上、一定であるか否かを判定する接続判定部と、
他機器との機器間認証を行う機器間認証部と、
を備える無線通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の無線通信装置であって、
前記接続判定部は、
前記電波強度取得部において取得した電波強度が前記閾値以上か否かを判定する電波強度判定部と、
閾値以上の電波強度であると判断した時点において、その電波強度が増加傾向にあるか否かを判定する接近判定部と、
少なくとも所定の時間分の前記他機器の電波強度を蓄積する蓄積部と、
前記電波強度が増加傾向にある場合に、前記接近判定部における判定後に蓄積した所定の時間分の電波強度が一定であるか否かを判定する保持判定部と、を備える、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の無線通信装置であって、
前記検索部は、接続要求信号を送り出し、接続応答信号を受け取り、受け取った接続応答信号が1つか否かを判定し、
前記機器間認証部は、受け取った前記接続応答信号が1つの場合、または、前記電波強度が増加し、その後、前記電波強度が閾値以上であって、かつ、所定の時間以上、一定である場合、他機器との機器間認証を行う、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項4】
接続要求信号を送り出し、接続応答信号を受け取る検索ステップと、
受け取った接続応答信号に対応する他機器の電波強度を取得する電波強度取得ステップと、
前記電波強度が増加し、その後、前記電波強度が閾値以上であって、かつ、所定の時間以上、一定であるか否かを判定する接続判定ステップと、
他機器との機器間認証を行う機器間認証ステップと、
を備える無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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