説明

無線通信装置

【課題】ダイバーシチアンテナを有する無線通信装置でより良好な受信をおこなう。
【解決手段】無線通信装置1は、プライマリアンテナ51と、プライマリアンテナ51よりも利得の劣るセカンダリアンテナ52を備えている。プライマリアンテナ51からの受信信号は分配器70によって第1の受信回路81と第2の受信回路82側に分配される。制御部100は、異なるチャネルを受信する場合には、プライマリアンテナ51からの受信信号が第2の受信回路82に入力されるよう切換器90を制御することで、利得の高いプライマリアンテナ51からの受信信号が第1の受信回路81と第2の受信回路82に入力されチャネル別に復調される。一方、1つのチャネルを受信する場合には、切換器90が切り換えられ、プライマリアンテナ51とセカンダリアンテナ52を用いたダイバーシチ受信がおこなわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関し、特に、移動体通信端末におけるダイバーシチ受信に好適な無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置(例えば、携帯電話などの移動体通信端末など)においては、アンテナを複数設けることで、通信状態の良好なアンテナを選択的に使用するダイバーシチ受信が広く採用されている。このようなダイバーシチ受信機能を有する無線通信装置では、プライマリ系のアンテナと受信回路、および、セカンダリ系のアンテナと受信回路はそれぞれ1対1で対応しており、例えば、プライマリ系のアンテナで受けた信号をセカンダリ系の受信回路では受信できない構成となっている。
【0003】
一方、ダイバーシチ受信機能を有する無線通信装置では、2つの受信系で必ずしも同一のチャネル信号を受信する必要はなく、必要に応じて別のチャネルを受信し、異なる情報を同時に取得することも可能である(例えば、特許文献1)。このような手法は、例えば、プライマリ系で音声通信の待受受信をおこないながら、セカンダリ系でデータ通信の受信をおこなうといった、いわゆるSHDR(Simultaneous High Data Rate)の利用形態で必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−229539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、移動体通信端末などのような小型の無線通信装置では、2つのアンテナを狭小な筐体内に実装しなければならない。この場合、アンテナの実装空間が制限されてしまうので、十分な利得を確保することが困難になる。また、2つのアンテナ間で十分な距離間隔を確保できないため相互干渉の影響も生じてしまう。このため、2つのアンテナを同等の性能とすることが困難であり、送受信機能を担うプライマリアンテナに比べ、ダイバーシチ受信機能だけを担うセカンダリアンテナの性能は、利得にして約10dB程度低下したものになってしまう。
【0006】
上述したように、従来のダイバーシチ構成では、プライマリ系のアンテナと受信回路、および、セカンダリ系のアンテナと受信回路がそれぞれ1対1に対応しているため、異なるチャネルを受信する状況においては、セカンダリ系の受信回路における受信性能が、プライマリ系の受信回路よりも劣ってしまうという問題がある。
【0007】
このような場合、プライマリ系のアンテナを、プライマリ系とセカンダリ系の受信回路で共用して異なるチャネルを受信することが好ましいが、従来のダイバーシチ構成では、性能がよい方のアンテナ(プライマリアンテナ)のみを使って、異なるチャネルを受信することはできなかった。
【0008】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、アンテナに性能差のあるダイバーシチ構成でより良好な受信性能を実現することのできる無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明にかかる無線通信装置は、
第1のアンテナと、
第2のアンテナと、
前記第1のアンテナが受信した第1の信号を復調する第1の受信回路と、
前記第1の信号または前記第2のアンテナが受信した第2の信号のいずれかを復調する第2の受信回路と、
を備えたダイバーシチ受信機能を有する無線通信装置において、
前記第1の信号を、前記第1の受信回路への信号経路を含む2以上の信号経路に分配する1以上の分配器と、
前記分配器により分配された第1の信号と、前記第2の信号とを切り換えて前記第2の受信回路に入力する1以上の切換器と、
前記切換器の切換動作を制御する切換制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
上記無線通信装置において、
前記切換制御手段は、前記ダイバーシチ受信機能によって受信する場合、前記第2の信号が前記第2の受信回路に入力されるよう前記切換器を制御することが望ましい。
【0011】
上記無線通信装置において、
前記切換制御手段は、前記第1の受信回路と前記第2の受信回路とで異なるチャネルの信号を復調する場合、前記分配器で分配された第1の信号が前記第2の受信回路に入力されるよう前記切換器を制御することが望ましい。
【0012】
上記無線通信装置は、
前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナそれぞれの受信品質を判別する受信品質判別手段をさらに備えていることが望ましく、この場合、
前記切換制御手段は、前記第1の受信回路と前記第2の受信回路とで異なるチャネルの信号を復調する場合、前記受信品質判別手段の判別結果に基づいて、前記切換器を制御することが望ましい。
【0013】
上記無線通信装置は、
前記切換器の前段で、前記第2の信号を増幅する増幅器と、
前記増幅器の動作を制御する増幅制御手段と、をさらに備えていてもよく、この場合、
前記増幅制御手段は、前記分配器で分配された第1の信号が前記第2の受信回路に入力されるよう前記切換制御手段が前記切換器を制御する場合、前記増幅器の動作を停止させることが望ましい。
【0014】
上記無線通信装置は、
前記第1の受信回路の前段で、前記第1の信号についての信号処理をおこなう第1の前段処理部と、
前記第2の受信回路の前段で、前記第2の信号についての信号処理をおこなう第2の前段処理部と、をさらに備えていてもよく、この場合、
前記分配器は、前記第1の前段処理部の入力側に配置され、
前記切換器は、前記第2の前段処理部の入力側に配置される、ことが望ましい。
【0015】
上記無線通信装置は、
送信信号を生成する送信回路と、
前記第1の受信回路または前記第2の受信回路と前記送信回路とで前記第1のアンテナを共用する1以上のアンテナ共用器と、をさらに備えていてもよい。
【0016】
上記無線通信装置において、
前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとが同一の筐体内に構成されているものとすることができる。
【0017】
上記無線通信装置において、
前記第1のアンテナの利得性能が、前記第2のアンテナの利得性能よりも高いことが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、アンテナに性能差のあるダイバーシチ構成の無線通信装置でより良好な受信性能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1にかかる無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す制御部によって実現される機能を示す機能ブロック図である。
【図3】図2に示す機能によって実行される「受信制御処理」を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態2にかかる無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態3にかかる無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明にかかる実施形態を、図面を参照して以下に説明する。以下の実施形態では、例えば、移動体通信端末などの無線通信装置を想定するが、理解を容易にするため、このような無線通信装置の構成のうち、無線通信動作にかかる構成についてのみ説明する。
【0021】
(実施形態1)
本実施形態にかかる無線通信装置1の構成を、図1を参照して説明する。図1は、無線通信装置1の構成を示すブロック図である。
【0022】
図示するように、無線通信装置1は、信号処理回路10、送信回路21、送信用後段回路31、アンテナ共用器41、プライマリアンテナ51、セカンダリアンテナ52、第1の受信用前段回路61、第2の受信用前段回路62、分配器70、第1の受信回路81、第2の受信回路82、切換器90、制御部100、インタフェース(I/F)部200、などから構成される。
【0023】
信号処理回路10は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)などから構成され、無線通信装置1において送受信する信号の処理をおこなう。例えば、送信対象となる情報の符号化や、受信したデジタル信号の復号などをおこなう。また、信号処理回路10は、受信信号について、例えば、SN比やエラーレートなどの検出をおこなうことで、受信品質を測定する。
【0024】
送信回路21は、例えば、発振器や移相器、フィルタ、混合器、加算器などから構成された変調回路であり、信号処理回路10から送出されるベースバンド信号の変調をおこなう。
【0025】
送信用後段回路31は、例えば、フィルタやパワーアンプ(PA)などから構成され、送信回路21の後段において、送信回路21より出力された送信信号について、濾波や増幅などの信号処理をおこなう。送信回路21と送信用後段回路31を合わせたものを「送信系」とする。
【0026】
送信用後段回路31で処理された送信信号は、アンテナ共用器41を介してプライマリアンテナ51(第1のアンテナ)から送信される。アンテナ共用器41は、例えば、デュプレクサなどから構成され、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)を送信系と受信系で共用させる。
【0027】
すなわち、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)が受信した受信信号(第1の信号)は、アンテナ共用器41を介して受信系に入力される。この場合、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)からの受信信号(第1の信号)はまず、第1の受信用前段回路61に入力される。第1の受信用前段回路61は、例えば、低雑音増幅器(Low Noise Amplifier:LNA)や所定のフィルタ回路で構成された受信フィルタなどから構成される。
【0028】
本実施形態では、分配器70により、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)が受信した受信信号(第1の信号)を、第1の受信回路81と第2の受信回路82側に分配する構成としている。ここで、分配器70として、同じ周波数帯の信号を分配する通常の分配器とした場合、分配器70の挿入損失により、2方向に分配した場合には、信号のゲインが1/2となる。このような、分配器70によるゲインの低下を考慮し、分配器70の前段に第1の受信用前段回路61を構成している。
【0029】
すなわち、第1の受信用前段回路61のLNAで信号を増幅し、必要な受信帯域成分だけを通過させる受信フィルタを介してから信号を分配させることで、分配後の受信信号におけるゲインを維持する。
【0030】
ここで、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)からの受信信号(第1の信号)を分配する分配器70は、例えば、入力信号を2方向に分配する分配器によって構成されている。本実施形態では、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)からの受信信号(第1の信号)が、分配器70によって、第1の受信回路81への信号経路と、第2の受信回路82側への信号経路に分配される。
【0031】
分配器70によって分配された受信信号(第1の信号)が定常的に入力される第1の受信回路81は、例えば、発振器や移相器、フィルタ、混合器、加算器などから構成された復調回路であり、第1の受信用前段回路61から送出される受信信号(第1の信号)を復調して信号処理回路10に出力する。無線通信装置1における受信系のうち、第1の受信回路81に入力される受信系を「第1の受信系」とする。
【0032】
本実施形態にかかる無線通信装置1は、ダイバーシチアンテナによるダイバーシチ受信をおこなうことのできる構成とする。よって、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)の他にセカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)が構成される。上述したように、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)は、送受信をおこなうアンテナである。一方、セカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)は、ダイバーシチ受信のみをおこなうためのアンテナである。
【0033】
そして、本実施形態では、無線通信装置1が移動体通信端末としているので、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)とセカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)は、このような無線通信装置1を構成している同一の筐体内に配置されるものとする。この場合、移動体通信端末などでは狭小な筐体となるため、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)とセカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)との間に十分な距離間隔をとることができない。このため、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)とセカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)の間には性能差が生じ、例えば、セカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)の利得性能は、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)の利得性能よりも約10dB低いものとなる。
【0034】
このようなセカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)によって受信された受信信号(第2の信号)は、第2の受信用前段回路62に入力される。第2の受信用前段回路62は、受信信号(第2の信号)を復調する第2の受信回路82の前段において、復調に必要となる周波数変換などの前処理をおこなうものであり、例えば、バンドパスフィルタやLNAなどの増幅器、所定のフィルタ回路で構成された受信フィルタ、などから構成される。
【0035】
第2の受信用前段回路62の後段には、第2の受信回路82へ入力される信号を切り換えるための切換器90が構成されている。この切換器90には、分配器70で分配された受信信号(第1の信号)も入力される。すなわち、切換器90による切換動作によって、第2の受信回路82には、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)で受信された受信信号(第1の信号)か、セカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)で受信された受信信号(第2の信号)のいずれかが入力される。
【0036】
ここで、図1に示すように、切換器90においては、分配器70と接続される入力端を「A端」とし、第2の受信用前段回路62と接続される入力端を「B端」とする。よって、切換器90がA端側に切り換わると、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)で受信された受信信号(第1の信号)が第2の受信回路82に入力され、B端側に切り換わると、セカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)で受信された受信信号(第2の信号)が第2の受信回路82に入力されることになる。
【0037】
ここで、第2の受信回路82は、上述した第1の受信回路81と同様の構成であり、入力された受信信号の復調動作をおこなう。ただし、第1の信号と第2の信号のいずれでも処理可能な構成であることとする。無線通信装置1における受信系のうち、第2の受信回路82に入力される受信系を「第2の受信系」とする。
【0038】
このような、第2の受信回路82への入力を切り換える切換器90は、制御部100によって制御される。制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)や主記憶装置(メモリ)、などから構成され、無線通信装置1の各部を制御する。
【0039】
制御部100は、切換器90を制御する他、切換器90の切換動作に応じて、第2の受信用前段回路62の動作を制御する。このような制御は、信号処理回路10からの入力と、インタフェース部200からの入力に基づいておこなわれる。インタフェース部200は、例えば、無線通信装置1のユーザとのユーザインタフェースを構成するものであり、ユーザによって操作される入力装置や、表示出力をおこなう表示装置などから構成されている。
【0040】
本実施形態では、無線通信装置1のユーザが、インタフェース部200を構成している入力装置を操作することで、通信動作にかかる指示が制御部100に入力されるものとする。
【0041】
ここで、切換器90および第2の受信用前段回路62の制御にかかる制御部100の機能を、図2を参照して説明する。図2は、切換器90および第2の受信用前段回路62の制御をおこなうために実現される機能を示した機能ブロック図であり、例えば、無線通信装置1内に格納されている動作プログラムを制御部100が実行することによって実現される。
【0042】
図示するように、制御部100は、受信チャネル判別部101、受信状態判別部102、切換制御部103、受信動作制御部104、などとして機能する。
【0043】
受信チャネル判別部101は、インタフェース部200からの入力に基づいて、ユーザが所望する受信チャネル(周波数または符号)を判別する。本実施形態にかかる無線通信装置1は、異なる2つのチャネルを同時に受信することができるものとし、ユーザが同時受信を所望するチャネルが1つであるか、異なる2つのチャネルであるかを、ユーザ操作に応じた入力信号から判別する。なお、ユーザ操作とは関係なく自動的に受信チャネルを選択する動作がある場合には、その動作に基づいて受信チャネルを判別する。なお、同時に受信可能なチャネル数は、例えば、搭載している受信回路の数や性能に依存する。本実施形態では、2つの受信回路(第1の受信回路81と第2の受信回路82)を備えていることから、理解を容易にするため、同時に受信できるチャネル数を「2」とするが、2以上の異なるチャネル(周波数または符号)を同時に受信できてもよい。
【0044】
受信状態判別部102は、信号処理回路10を制御することで、信号処理回路10に受信品質の測定をおこなわせ、測定結果に基づいて、アンテナ毎の受信状態を判別する。本実施形態では、そのときに使用しているアンテナからの受信信号の受信品質が、所定の基準より悪いか否かを判別する。この場合、例えば、信号処理回路10による測定が示す数値が、測定内容に応じて予め設定された閾値以下となったか否かを判別する。
【0045】
切換制御部103は、受信チャネル判別部101および受信状態判別部102の判別結果に応じて切換器90および第2の受信用前段回路62を制御する。
【0046】
受信動作制御部104は、第1の受信回路81および第2の受信回路82に対し、そのときの受信対象チャネルや切換器90の切換状態に応じた受信動作の指示をおこなう。
【0047】
このような機能構成による動作を以下に説明する。ここでは、図2に示した機能構成によって実行される「受信制御処理」を、図3に示すフローチャートを参照して説明する。この「受信制御処理」は、無線通信装置1による受信動作がおこなわれる際に開始されるものとする。
【0048】
処理が開始されると、受信チャネル判別部101により、2つの異なるチャネルが同時受信の対象となっているか否かが判別される(ステップS101)。2つの異なるチャネルを同時受信する場合(ステップS101:Yes)、受信チャネル判別部101は、その旨を受信状態判別部102と切換制御部103に通知する。
【0049】
受信状態判別部102は、信号処理回路10を制御し、受信品質の測定をおこなわせ(ステップS102)、測定結果に基づいて、受信品質がより良好なアンテナがいずれであるかを判別する(ステップS103)。
【0050】
受信品質がより良好であると判別されたアンテナがプライマリアンテナ51である場合(ステップS104:Yes)、受信状態判別部102は、その旨を切換制御部103に通知する。
【0051】
受信状態判別部102からの通知に応じて、切換制御部103は、現在ダイバーシチ受信をおこなっているか否かを判別する(ステップS105)。現在、ダイバーシチ受信をおこなっている場合(ステップS105:Yes)、すなわち、切換器90の入力端がB端となっており、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)からの受信信号(第1の信号)が第1の受信回路81に入力され、セカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)からの受信信号(第2の信号)が第2の受信回路82に入力されている状態である場合、切換制御部103は、切換器90の入力端がA端になるよう切換器90を制御する(ステップS106)。
【0052】
これにより、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)からの受信信号(第1の信号)が、第1の受信回路81に入力されるとともに、分配器70および切換器90を介して第2の受信回路82にも入力される。つまり、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)のみで受信をおこない、その受信信号(第1の信号)を、第1の受信回路81と第2の受信回路82で処理する。
【0053】
上述したように、セカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)はプライマリアンテナ51(第1のアンテナ)よりも利得性能が劣るので、2つの異なるチャネルを同時受信する状況においては、性能の高いプライマリアンテナ51(第1のアンテナ)を第1の受信回路81と第2の受信回路82で共用した方が、受信性能が良好となる場合が多い。
【0054】
よって、受信動作制御部104は、同時受信する2つのチャネルの一方を第1の受信回路81が復調し、他方を第2の受信回路82が復調するよう、第1の受信回路81と第2の受信回路82のそれぞれに指示する。
【0055】
このように、切換器90の入力端をA端とすることで、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)のみを用いた受信をおこなう場合、セカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)による受信信号(第2の信号)は、復調動作に用いられない。この場合、セカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)の直後に構成されている第2の受信用前段回路62の動作は不要になる。このため、切換制御部103は、ステップS106で切換器90を制御した際に、第2の受信用前段回路62の動作を停止させる制御をおこなう(ステップS107)。
【0056】
ここでは、第2の受信用前段回路62を構成しているLNAの動作電力を切断することで、第2の受信用前段回路62の動作を停止させる。これにより、不要な電力消費を抑制することができる。
【0057】
このように、利得性能が比較的高いプライマリアンテナ51(第1のアンテナ)と、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)よりも利得性能の低いセカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)を有する無線通信装置1において、異なる複数のチャネルを同時受信する場合は、利得性能の高いプライマリアンテナ51(第1のアンテナ)のみを用いて受信をおこなう。そして、所定の終了イベント(例えば、無線通信装置1の電源オフなどによる受信動作の停止など)が発生するまで(ステップS108:No)、ステップS101以降の処理を繰り返しおこなう。
【0058】
上述したように、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)の性能の方がセカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)よりも高いため、通常、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)による受信品質の方が、セカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)よりも良好となる場合が多い(ステップS104:Yes)。この場合、切換制御部103による切換器90の制御はおこなわない(ステップS105:No)。すなわち、切換器90の入力端がA端となる状態が維持され、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)のみを使った受信が継続される。
【0059】
しかしながら、移動体通信端末などの場合では、様々な使用状況が考えられるので、場合によっては、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)の受信品質が低下し、セカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)の受信品質の方が良好となる場合もある。
【0060】
ここで、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)のみで受信動作をおこなっている場合においては、信号処理回路10に入力される受信信号は、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)からの受信信号(第1の信号)のみであるため、ステップS102における測定は、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)のみについておこなわれる。ここで、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)からの受信信号(第1の信号)で測定された受信品質が、一定の基準に満たないような場合、受信状態判別部102は、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)の受信品質が良好でなく、セカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)の方が良好であると判別する(ステップS104:No)。
【0061】
この場合、その時点では、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)のみを使った受信であるため、ダイバーシチ受信ではない(ステップS109:No)。よって、切換制御部103は、セカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)を用いたダイバーシチ受信に切り換えるための制御をおこなう。
【0062】
ステップS107において、第2の受信用前段回路62の動作を停止させているため、切換制御部103はまず、停止させていた第2の受信用前段回路62を励起させてから、切換器90の入力端がB端となるよう切換器90を制御する(ステップS110、ステップS111)。
【0063】
これにより、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)とセカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)を用いたダイバーシチ受信となり、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)の受信品質が依然として良好でない場合には、セカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)の受信信号(第2の信号)を第2の受信回路82が復調することで、2つの異なるチャネルの同時受信がおこなわれることになる。
【0064】
そして、再度、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)の受信品質の方が良好となった場合(ステップS104:Yes)には、切換器90の入力端をA端とする切換と、第2の受信用前段回路62の停止をおこなうことで、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)のみを使った受信に切り換える(ステップS106、ステップS107)。
【0065】
また、受信対象のチャネルが1つである場合(ステップS101:No)は、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)とセカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)を用いた通常のダイバーシチ受信をおこなう。すなわち、その時点でダイバーシチ受信をおこなっていないのであれば(ステップS109:No)、切換制御部103の制御により、第2の受信用前段回路62が励起され(ステップS110)、切換器90の入力端がB端になるよう切り換えられる(ステップS111)。
【0066】
これらの処理が、所定の終了イベントが発生するまでおこなわれ(ステップS108:No)、終了イベントの発生とともに本処理は終了する(ステップS108:Yes)。
【0067】
以上のように、本実施形態によれば、移動体通信端末のような、狭小な同一筐体内にダイバーシチアンテナが構成されることにより、構造上アンテナ間に性能差が生じる無線通信装置において、より性能の高いプライマリアンテナからの受信信号を分配器によって2つの受信回路に分配するよう構成したことで、2つの異なるチャネルを同時受信する場合には、性能の高いプライマリアンテナのみを使った受信をおこなうことができる。この場合、チャネル毎の復調動作を2つの受信回路のそれぞれでおこなうことができる。これにより、より良好な受信を実現することができる。
【0068】
また、分配器で分配されたプライマリアンテナからの受信信号と、セカンダリアンテナからの受信信号のいずれかを切り換えて一方の受信回路に入力させる切換器を、当該受信回路の前段に構成しているので、1つのチャネルを受信する場合には、プライマリアンテナとセカンダリアンテナの双方を用いたダイバーシチ受信をおこなうこともできる。
【0069】
すなわち、同時受信するチャネルの数によって、より良好な受信状態の得られる受信方法が自動的に選択されるので、性能差のあるダイバーシチアンテナを有する無線通信装置でより良好な受信をおこなうことができる。
【0070】
さらに、セカンダリアンテナを使用しない場合には、当該アンテナからの信号を増幅する回路などの動作を停止させるので、消費電力の低減を図ることができる。
【0071】
(実施形態2)
次に、複数の異なるチャネルを同時受信する場合において、チャネル間の周波数帯域に大きな差がある場合に好適な例を実施形態2として説明する。
【0072】
本実施形態にかかる無線通信装置2の構成を、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態にかかる無線通信装置2の構成を示すブロック図である。図4において、図1に示した実施形態1にかかる無線通信装置1と同一の参照符号が付されているものは、同じ構成であり詳細な説明は省略する。
【0073】
図示するように、無線通信装置2の構成要素それぞれは、実施形態1にかかる無線通信装置1のものと変わりはないが、配置位置が実施形態とは異なる。
【0074】
すなわち、実施形態1では、アンテナ共用器41および第1の受信用前段回路61と、第1の受信回路81との間に分配器70を配置していたが、本実施形態では、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)の直後に分配器70が構成され、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)の受信信号(第1の信号)を2方向に分配する。そして、分配器70が分配した一方の信号経路にはアンテナ共用器41が構成され、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)が送信系と受信系で共用されている。
【0075】
また、実施形態1では、第2の受信用前段回路62と第2の受信回路82の間に切換器90を配置していたが、本実施形態では、セカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)と第2の受信用前段回路62の間に配置し、分配器70が分配した他方の信号経路が入力端Aに接続され、セカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)からの信号経路が入力端Bに接続されるよう構成する。
【0076】
このような構成の無線通信装置2では、例えば、第1の受信回路81で800MHz帯域の受信信号(例えば、セルラ通信)にかかる受信動作をおこない、第2の受信回路82で1.5GHz帯域の受信信号(例えば、GPS信号)にかかる受信動作をおこなうことを想定する。
【0077】
このように、第1の受信回路81と第2の受信回路82とで、対象とする周波数帯域が大きく異なる場合、分配器70として通常の分配器を用いると、ゲイン低下による影響が大きくなる。よって、本実施形態では、分配器70としてダイプレクサを用いるものとする。ダイプレクサであれば、分配してもゲインが維持されるので、各々の受信帯域での分配器70の挿入損失を低減することができる。
【0078】
また、図4に示した構成では、切換器90の後段に第2の受信用前段回路62を設けているので、切換器90の切換状態にかかわらず、第2の受信用前段回路62には、常に受信信号が入力される。このため、実施形態1のように、第2の受信用前段回路62(増幅器)の動作を停止させる制御はおこなわない。このため、実施形態1のような、消費電力を低減させる効果は得られない反面、GPSなどのようなナノ秒レベルでの遅延が問題となる受信動作において、信号群遅延時間差による影響を低減することができる。すなわち、本実施形態では、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)での受信信号(第1の信号)も、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)の直後にある分配器70で分配されてから、第2の受信用前段回路62での処理を受ける構成となっているため、第2の受信回路82に入力される信号については、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)の受信信号(第1の信号)からの到達時間とセカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)からの到達時間が同じになる。つまり、信号群に遅延時間差が生じないので、僅かな信号遅延が問題となる通信方式を採用する場合には、本実施形態で例示した構成が好適となる。
【0079】
(実施形態3)
実施形態1および実施形態2で例示した構成を組み合わせることで、いわゆるデュアルバンド対応の移動体通信端末などに好適な構成とすることができる。
【0080】
このような無線通信装置3の構成を図5に示す。図5は、本実施形態にかかる無線通信装置3の構成を示すブロック図である。図5に示す参照符号のうち、実施形態1および実施形態2で示したものと同一のものは同一の構成である。また、参照符号の十の位が同じものも、同様の構成であることを示している。
【0081】
本実施形態にかかる無線通信装置3は、例えば、移動体通信の通信方式として、2つの異なる通信方式(例えば、2つの異なる通信キャリアに対応した通信方式や、国内で使用できる通信方式と外国で使用できる通信方式、など。以下、一方を「α通信方式」、他方を「β通信方式」とする。)のそれぞれに対応するとともに、GPS受信に対応したデュアルバンド端末であるものとする。この場合、移動体通信については送受信動作をおこなうため、それぞれの通信方式について、送信回路(第1の送信回路21(α通信方式用)と第2の送信回路22(β通信方式用))が構成されている。
【0082】
また、受信に関しては、上記各実施形態と同様、ダイバーシチ受信できる構成であるため、通信方式毎に2系統の受信回路(α通信方式用については第1の受信回路81および第2の受信回路82、β通信方式用については第3の受信回路83および第4の受信回路84)が構成されている。
【0083】
さらに、受信のみをおこなうGPS機能についての受信系として、第5の受信回路85が構成されている。
【0084】
このように、上記各実施形態の場合と比べ、送信回路と受信回路の数が多くなっているため、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)とセカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)それぞれの直後には、3方向に分配する分配器71および分配器72が構成される。すなわち、実施形態2の場合と同様に、アンテナの受信信号をすぐに分配しているため、分配器71および分配器72は、ゲインを維持することのできるトリプレクサによって構成されているものとする。
【0085】
プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)の受信信号(第1の信号)を分配する分配器71は、移動体通信にかかるα通信方式用とβ通信方式用それぞれについての一方の受信回路(すなわち、第1の受信回路81、第3の受信回路83)の各前段に構成されている受信用前段回路(第1の受信用前段回路61、第3の受信用前段回路63)への信号経路に受信信号(第1の信号)分配するとともに、GPS用の受信回路(第5の受信回路85)の前段回路(第5の受信用前段回路65)への入力を切り換える切換器93への信号経路に受信信号(第1の信号)を分配する。
【0086】
セカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)の受信信号(第2の信号)を分配する分配器72は、移動体通信にかかるα通信方式用とβ通信方式用それぞれについての他方の受信回路(すなわち、第2の受信回路82、第4の受信回路84)の各前段に構成されている受信用前段回路(第2の受信用前段回路62、第4の受信用前段回路64)への信号経路に受信信号(第2の信号)分配するとともに、GPS用の受信回路(第5の受信回路85)の前段回路(第5の受信用前段回路65)への入力を切り換える切換器93への信号経路に受信信号(第2の信号)を分配する。
【0087】
α通信方式の受信系では、分配器71によって分配されたプライマリアンテナ51(第1のアンテナ)の受信信号(第1の信号)が、アンテナ共用器41を介して第1の受信用前段回路61に入力される。第1の受信用前段回路61で増幅された信号は、2方向に分配する分配器73によって、第1の受信回路81に入力される信号経路に分配される。分配器73により分配された他方は、第2の受信回路82の前段に構成された切換器91の一方の入力端であるA1端への信号経路に接続されている。切換器91の他方の入力端であるB1端には、分配器72によって分配されたセカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)の受信信号(第2の信号)が入力される第2の受信用前段回路62からの出力が入力される。
【0088】
すなわち、切換器91の切換制御により、α通信方式で2つの異なるチャネルを同時受信する場合には、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)で受信した受信信号(第1の信号)を第1の受信回路81と第2の受信回路82のそれぞれで復調する動作がおこなわれ、受信するチャネルが1つである場合には、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)とセカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)の双方を用いたダイバーシチ受信がおこなわれる。
【0089】
β通信方式の受信系では、分配器71によって分配されたプライマリアンテナ51(第1のアンテナ)の受信信号(第1の信号)が、アンテナ共用器42を介して第3の受信用前段回路63に入力される。第3の受信用前段回路63で増幅された信号を2方向に分配する分配器74の一方は、第3の受信回路83への信号経路に接続されている。分配器74の他方は、第4の受信回路84の前段に構成された切換器92の一方の入力端であるA2端への信号経路に接続されている。切換器92の他方の入力端であるB2端には、分配器72によって分配されたセカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)の受信信号(第2の信号)が入力される第4の受信用前段回路64からの出力が入力される。
【0090】
すなわち、切換器92の切換制御により、β通信方式で2つの異なるチャネルを同時受信する場合には、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)で受信した受信信号(第1の信号)を第3の受信回路83と第4の受信回路84のそれぞれで復調する動作がおこなわれ、受信するチャネルが1つの場合には、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)とセカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)の双方を用いたダイバーシチ受信がおこなわれる。
【0091】
つまり、α通信方式とβ通信方式の受信動作においては、実施形態1の構成が用いられている。よって、切換器91および切換器92の切換制御をおこなう際に、第2の受信用前段回路62と第4の受信用前段回路64の動作制御がおこなわれる。すなわち、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)の受信信号のみで2つの異なるチャネルを同時受信する場合には、第2の受信用前段回路62や第4の受信用前段回路64の動作を停止させることで、消費電力の低減を図る。
【0092】
一方、GPSの受信系では、実施形態2の構成が用いられている。すなわち、第5の受信回路85の前段に第5の受信用前段回路65を構成し、その第5の受信用前段回路65への入力を切り換える切換器93が構成されている。この切換器93の一方の入力端であるA3端には、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)の受信信号(第1の信号)を分配した分配器71からの信号経路が接続され、他方の入力端であるB3端には、セカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)の受信信号(第2の信号)を分配した分配器72からの信号経路が接続されている。
【0093】
すなわち、プライマリアンテナ51(第1のアンテナ)とセカンダリアンテナ52(第2のアンテナ)の受信品質に応じて切換器93を制御することで、より良好なアンテナで受信された受信信号が第5の受信用前段回路65を介して第5の受信回路85に入力されることになる。この場合、実施形態2と同様、第5の受信用前段回路65の前段に切換器93が構成されているため、切換器93の切換状態にかかわらず、第5の受信用前段回路65に受信信号が入力される。このため、第5の受信用前段回路65については、動作を停止させる制御はおこなわない。
【0094】
つまり、GPSのような、信号群遅延時間差の影響を受ける受信動作にかかる受信系には、実施形態2の構成を適用することで、信号群遅延時間差を生じさせないようにする。
【0095】
以上のように、本実施形態によれば、2以上の異なる通信方式に対応した無線通信装置において、異なる通信方式での受信を同時におこなうことができるとともに、各通信方式においては、受信するチャネル数に応じてアンテナの利用方法を変えることで、より良好な受信をおこなうことができる。
【0096】
以上説明したように、本発明を上記実施形態の如く適用することにより、ダイバーシチアンテナを備えた無線通信装置において、より良好な受信をおこなうことができる。
【0097】
上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
【0098】
例えば、上記各実施形態では、本発明にかかる無線通信装置を移動体通信端末によって実現した場合を例示したが、ダイバーシチアンテナを有する構成であれば、移動体通信端末に限らず、種々の無線通信装置に本発明を適用することができる。
【0099】
なお、上記実施形態では、送信機能を有している無線通信端末の例を示したが、ダイバーシチアンテナを有する構成であれば、受信専用機に本発明を適用してもよい。
【0100】
また、上記実施形態3では、デュアルバンド端末の例として、2種類の移動体通信方式とGPSに対応した無線通信装置を示したが、対応する通信方式は任意であり、例示したものに限られるものではない。
【0101】
上記実施形態3では、3種類の通信方式に対応させた場合を例示したが、上記各実施形態で示した構成を組み合わせることにより、4種類以上の通信方式に対応する無線通信装置として構成してもよい。
【符号の説明】
【0102】
1…無線通信装置、2…無線通信装置、3…無線通信装置、10…信号処理回路、21…送信回路(第1の送信回路)、22…第2の送信回路、31…送信用後段回路(第1の送信用後段回路)、32…第2の送信用後段回路、41…アンテナ共用器、51…プライマリアンテナ、52…セカンダリアンテナ、61…第1の受信用前段回路、62…第2の受信用前段回路、63…第3の受信用前段回路、64…第2の受信用前段回路、65…第5の受信用前段回路、70…分配器、71…分配器、72…分配器、73…分配器、74…分配器、81…第1の受信回路、82…第2の受信回路、83…第3の受信回路、84…第4の受信回路、85…第5の受信回路、90…切換器、91…切換器、92…切換器、93…切換器、100…制御部、101…受信チャネル判別部、102…受信状態判別部、103…切換制御部、104…受信動作制御部、200…インタフェース(I/F)部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のアンテナと、
第2のアンテナと、
前記第1のアンテナが受信した第1の信号を復調する第1の受信回路と、
前記第1の信号または前記第2のアンテナが受信した第2の信号のいずれかを復調する第2の受信回路と、
を備えたダイバーシチ受信機能を有する無線通信装置において、
前記第1の信号を、前記第1の受信回路への信号経路を含む2以上の信号経路に分配する1以上の分配器と、
前記分配器により分配された第1の信号と、前記第2の信号とを切り換えて前記第2の受信回路に入力する1以上の切換器と、
前記切換器の切換動作を制御する切換制御手段と、
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記切換制御手段は、前記ダイバーシチ受信機能によって受信する場合、前記第2の信号が前記第2の受信回路に入力されるよう前記切換器を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記切換制御手段は、前記第1の受信回路と前記第2の受信回路とで異なるチャネルの信号を復調する場合、前記分配器で分配された第1の信号が前記第2の受信回路に入力されるよう前記切換器を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナそれぞれの受信品質を判別する受信品質判別手段をさらに備え、
前記切換制御手段は、前記第1の受信回路と前記第2の受信回路とで異なるチャネルの信号を復調する場合、前記受信品質判別手段の判別結果に基づいて、前記切換器を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記切換器の前段で、前記第2の信号を増幅する増幅器と、
前記増幅器の動作を制御する増幅制御手段と、をさらに備え、
前記増幅制御手段は、前記分配器で分配された第1の信号が前記第2の受信回路に入力されるよう前記切換制御手段が前記切換器を制御する場合、前記増幅器の動作を停止させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記第1の受信回路の前段で、前記第1の信号についての信号処理をおこなう第1の前段処理部と、
前記第2の受信回路の前段で、前記第2の信号についての信号処理をおこなう第2の前段処理部と、をさらに備え、
前記分配器は、前記第1の前段処理部の入力側に配置され、
前記切換器は、前記第2の前段処理部の入力側に配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
送信信号を生成する送信回路と、
前記第1の受信回路または前記第2の受信回路と前記送信回路とで前記第1のアンテナを共用する1以上のアンテナ共用器と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとが同一の筐体内に構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記第1のアンテナの利得性能が、前記第2のアンテナの利得性能よりも高い、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−233023(P2010−233023A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79285(P2009−79285)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】