説明

無線LANアクセスポイント装置及び無線設定引継ぎ方法

【課題】無線LANアクセスポイント装置の置き換えをミスなくかつ容易に行う。
【解決手段】他の無線LANアクセスポイント装置に接続する無線LANインタフェース11において、無線LANクライアント装置として動作して他の無線LANアクセスポイント装置における無線設定内容を取得するクライアント動作と、他の無線LANアクセスポイント装置から取得した無線設定内容に基づいてアクセスポイントとして動作するアクセスポイント動作とを切り替えて行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANアクセスポイント装置に関し、特に、無線設定のコピー機能を備えた無線LANアクセスポイント装置及び無線設定引継ぎ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線LANアクセスポイント装置の無線設定は、一般的に初期値としてそれぞれの装置固有の設定がなされている。そして、一般的に、無線設定内容をアクセスポイントからクライアントに送信することによって無線通信を可能としている(例えば、特許文献1参照)。そのため、無線LANアクセスポイントの機能を持つルーター装置を買い替え等により置き換える場合、単純に装置を置き換えただけではこれまで接続されていた無線LANクライアントがネットワークを利用不可能になってしまう。
【0003】
図5は、無線LANアクセスポイント装置を置き換える構成例を示す図である。
【0004】
図5に示すように既に構築済のBSSネットワーク中の無線LANアクセスポイント装置120を単純に新しい無線LANアクセスポイント装置110に置き換えただけでは、これまでの帰属していた無線LANクライアント装置102−1〜102−3は接続できない状態になってしまう。
【0005】
このような場合に無線LAN環境を維持するためには、既存BSSネットワーク中の無線LANアクセスポイント装置120と同じ無線設定を、新たに設置する無線LANアクセスポイント装置110にコピーするか、帰属させたい全ての無線LANクライアント装置102−1〜102−3の設定を新しい無線LANアクセスポイント装置110のものに設定しなおす必要がある。
【0006】
ここで、既存BSSネットワーク中の無線LANアクセスポイント装置120と同じ無線設定を、新たに設置する無線LANアクセスポイント装置110にコピーする場合について以下に説明する。
【0007】
図6は、図5に示した無線LAN環境にて無線LANアクセスポイント装置を置き換える場合の手順を示す図である。また、図7は、図6に示した手順を説明するためのタイミングチャートである。
【0008】
図5に示した無線LAN環境にて無線LANアクセスポイント装置を置き換える場合、一般的に無線LANアクセスポイント装置の設定はネットワーク経由で装置内部の設定画面にアクセスして設定を行うものが多い。
【0009】
そのためまず、図6に示すように、ユーザは、既存の無線LANアクセスポイント装置120とクライアント装置であるPC102とを有線LAN等で接続し、設定引継ぎ元となる無線LANアクセスポイント装置120の設定画面にアクセスし(B1)、ネットワーク経由で設定画面から無線設定を確認、取得する(B2)。
【0010】
そして、この無線設定を紙等の記憶媒体に保存する(B3)。
【0011】
その後、PC102を新しい無線LANアクセスポイント装置110と接続し、設定画面を表示させ(B4,B5)、記憶媒体に記録しておいた設定を読み込み(B6)、反映することになる(B7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2011−139199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述したような設定はユーザが行うことになるため、ユーザにとって非常に手間がかかって煩わしく、また、設定にミスがあると無線LANクライアント装置が無線接続できなくなってしまうという問題点がある。
【0014】
本発明は、上述したような技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、無線LANアクセスポイント装置の置き換えをミスなくかつ容易に行うことができる無線LANアクセスポイント装置及び無線設定引継ぎ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明は、
無線設定のコピー機能を備えた無線LANアクセスポイント装置であって、
他の無線LANアクセスポイント装置に接続するインタフェース手段を有し、該インタフェース手段は、無線LANクライアント装置として動作して前記他の無線LANアクセスポイント装置における無線設定内容を取得するクライアント動作と、前記他の無線LANアクセスポイント装置から取得した無線設定内容に基づいてアクセスポイントとして動作するアクセスポイント動作とを切り替えて行う。
【0016】
また、他の無線LANアクセスポイント装置に接続するインタフェース手段を有する無線LANアクセスポイント装置における無線設定引継ぎ方法であって、
前記インタフェース手段が、無線LANクライアント装置として動作して前記他の無線LANアクセスポイント装置における無線設定内容を取得するクライアント動作を行い、
前記他の無線LANアクセスポイント装置から取得した無線設定内容に基づいてアクセスポイントとして動作するアクセスポイント動作を行う。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、他の無線LANアクセスポイント装置における無線設定内容を取得するクライアント動作と、他の無線LANアクセスポイント装置から取得した無線設定内容に基づいてアクセスポイントとして動作するアクセスポイント動作とを切り替えて行うことで、無線LANアクセスポイント装置間での無線設定のコピーを自動化する構成としたため、無線LANアクセスポイント装置の置き換えをミスなくかつ容易に行うことができる。また、無線LANアクセスポイント装置間での無線設定のコピーのためにパソコン等の装置が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の無線LANアクセスポイント装置の実施の一形態を示す図である。
【図2】図1に示した無線LANアクセスポイント装置の動作の概略を説明するための図である。
【図3】図1に示した無線LANアクセスポイント装置の動作の詳細を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】図1に示した無線LANアクセスポイント装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】無線LANアクセスポイント装置を置き換える構成例を示す図である。
【図6】図5に示した無線LAN環境にて無線LANアクセスポイント装置を置き換える場合の手順を示す図である。
【図7】図6に示した手順を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の無線LANアクセスポイント装置の実施の一形態を示す図である。
【0021】
本形態は図1に示すように、インタフェース手段となる無線LANインタフェース11と、制御部12と、記憶部13とから構成されており、無線設定のコピー機能を備えた無線LANアクセスポイント装置10である。
【0022】
無線LANインタフェース11は、他の無線LANアクセスポイント装置に接続するものであって、無線LANクライアント装置として動作して他の無線LANアクセスポイント装置における無線設定内容を取得するクライアント動作と、他の無線LANアクセスポイント装置から取得した無線設定内容に基づいてアクセスポイントとして動作するアクセスポイント動作とを切り替えて行う。
【0023】
記憶部13は、他の無線LANアクセスポイント装置から取得した無線設定内容を記憶する。
【0024】
制御部12は、無線LANインタフェース11の動作を切り替え、無線LANインタフェース11にて取得した無線設定内容を記憶部13に記憶し、また、記憶部13に記憶した無線設定内容を読み込む。
【0025】
以下に、上記のように構成された無線LANアクセスポイント装置10における無線設定引継ぎ方法について説明する。
【0026】
まず、動作の概略を説明する。
【0027】
図2は、図1に示した無線LANアクセスポイント装置10の動作の概略を説明するための図である。
【0028】
図1に示した無線LANアクセスポイント装置10は、図2に示すように、まず、無線設定を取得するため無線LANインタフェース11をクライアントとして動作させる。そして、設定引継ぎ元の無線LANアクセスポイント装置20とWPS(Wi-Fi Protected Setup)や各無線LANアクセスポイント装置10のメーカー独自に採用している無線自動設定技術等、無線LANアクセスポイント装置10に応じた無線自動設定技術を用いて接続設定を行い、無線設定を取得する。このように、WPSや各無線LANアクセスポイント装置10のメーカー独自に採用している無線自動設定技術を用いて接続設定を行い、無線設定を取得することにより、無線設定のコピー元となる無線LANアクセスポイント装置はWPSもしくは各無線LANアクセスポイント装置メーカー独自の自動無線設定にさえ対応していれば、特に改造の必要なく本発明を利用することができる。
【0029】
その後、無線LANアクセスポイント装置10は、無線LANインタフェース11をアクセスポイントとして動作させ、アクセスポイントの設定は無線自動設定で取得したものを適用する。
【0030】
この一連の動作により、無線設定の引継ぎ元、引継ぎ先以外に装置を用いることなく、簡単に無線設定のコピーが完了する。
【0031】
以下に、動作の詳細について説明する。
【0032】
図3は、図1に示した無線LANアクセスポイント装置10の動作の詳細を説明するためのタイミングチャートである。また、図4は、図1に示した無線LANアクセスポイント装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
【0033】
初期状態として、図5中左側の構成でBSSネットワークが構築されている状態を考える。この初期状態においては、無線LANアクセスポイント装置120があり、これに複数の無線LANクライアント装置102−1〜102−3が帰属している。
【0034】
この構成から、既存の無線LANアクセスポイント装置120を、新しい無線LANアクセスポイント装置110へ置き換える場合を考える。なお、図5に示す無線LANアクセスポイント装置110が図1に示した無線LANアクセスポイント装置10に相当する。この場合において、これまで帰属していた無線LANクライアント装置102−1〜102−3が無線LANアクセスポイント装置の置き換え後も無線接続を利用可能になるよう、既存の無線LANアクセスポイント装置120から新しい無線LANアクセスポイント装置110に無線設定のコピーを行う例を考える。
【0035】
まず、無線LANアクセスポイント装置10に対し、ユーザから無線設定自動コピーの要求が行われる(ステップ1,A1)。
【0036】
すると、無線LANアクセスポイント装置10の制御部12が、無線LANインタフェース11を無線LANクライアント装置として動作させる(ステップ2,A2)。さらに制御部12は、無線LANインタフェース11に対して、WPS(プッシュボタン方式)の開始するよう要求する(ステップ3,A3,A4)。
【0037】
ユーザは、設定引継ぎ元となる無線LANアクセスポイント装置120のボタンを押下することでWPSを成功させる(ステップ4,A5)。
【0038】
制御部12は、無線LANアクセスポイント装置120の無線設定内容をWPSにより取得し(A6)、記憶部に保存する(ステップ5,A7)。そして、制御部12は、無線LANインタフェース11をアクセスポイント動作に切り替える(ステップ6,A8)。
【0039】
その後、記憶部13に保存していた無線設定を読み込み(A9)、無線LANアクセスポイントで動作中の無線LANインタフェース11に設定する(A10)。
【0040】
このようにして、無線LANアクセスポイント装置の置き換え動作が完了する。
【0041】
(他の実施の形態)
上述した実施の形態では、コピー元、コピー先の無線LANアクセスポイント装置において、WPSのプッシュボタン方式により無線設定の取得を行ったが、WPSのPIN方式もしくは各無線LANアクセスポイント装置メーカー独自の自動無線設定等、他の設定方法でも利用可能である。
【0042】
また、上述した実施の形態では、無線LANインタフェースは1つだけであり、クライアント動作とアクセスポイント動作とを切り替えているが、無線LANインタフェースとして、クライアント動作を行う第1のインタフェース手段と、アクセスポイント動作を行う第2のインタフェース手段とを設け、これらを動作切り替えを伴わずに動作させることも可能である。
【0043】
なお、本発明は、無線LANアクセスポイントの機能を持つ装置において利用が考えられる。
【符号の説明】
【0044】
10,20 無線LANアクセスポイント装置
11 無線LANインタフェース
12 制御部
13 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線設定のコピー機能を備えた無線LANアクセスポイント装置であって、
他の無線LANアクセスポイント装置に接続するインタフェース手段を有し、該インタフェース手段は、無線LANクライアント装置として動作して前記他の無線LANアクセスポイント装置における無線設定内容を取得するクライアント動作と、前記他の無線LANアクセスポイント装置から取得した無線設定内容に基づいてアクセスポイントとして動作するアクセスポイント動作とを切り替えて行う無線LANアクセスポイント装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線LANアクセスポイント装置において、
前記インタフェース手段として、
無線LANクライアント装置として動作して前記他の無線LANアクセスポイント装置における無線設定内容を取得するクライアント動作を行う第1のインタフェース手段と、
第1のインタフェース手段にて前記他の無線LANアクセスポイント装置から取得した無線設定内容に基づいてアクセスポイントとして動作するアクセスポイント動作を行う第2のインタフェース手段とを有する無線LANアクセスポイント装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の無線LANアクセスポイント装置において、
前記インタフェース手段は、当該無線LANアクセスポイント装置に応じた無線自動設定技術を用いて、前記他の無線LANアクセスポイント装置における無線設定内容を取得する無線LANアクセスポイント装置。
【請求項4】
他の無線LANアクセスポイント装置に接続するインタフェース手段を有する無線LANアクセスポイント装置における無線設定引継ぎ方法であって、
前記インタフェース手段が、無線LANクライアント装置として動作して前記他の無線LANアクセスポイント装置における無線設定内容を取得するクライアント動作を行い、
前記他の無線LANアクセスポイント装置から取得した無線設定内容に基づいてアクセスポイントとして動作するアクセスポイント動作を行う、無線設定引継ぎ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−115539(P2013−115539A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258662(P2011−258662)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】