説明

無色なポリイソシアネートの製造方法

本発明は、無色なポリイソシアネートの製造方法、とりわけポリイソシアネートの色を減少させるための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無色なポリイソシアネートの製造方法、とりわけポリイソシアネートの色を減少させるための方法に関する。
【0002】
ポリイソシアネート中の色をその製造後に減少させるためには、従来技術で様々な方法が公知である。
【0003】
JP 03036975 Bは、メチレン架橋されたポリフェニレン−ポリイソシアネートの脱色方法を開示しており、ここではポリイソシアネートに波長200〜700nm、好ましくは300〜500nmの光を照射する。
【0004】
芳香族イソシアネートにおける黄変メカニズムは、芳香族アミンと酸素との反応(芳香族化合物のベンジルの水素原子が酸素と反応する)に起因するので、JP 03036975 Bが基礎とする課題は、本願発明のものとは別のものである:本発明では、まずポリイソシアネートから、そして二番目に脂肪族イソシアネートから色価を減少させるが、これに対してJP 03036975 Bでは芳香族ジイソシアネートが処理されるが、これはイソシアネート基のオリゴマー化によってさらに処理されない。よって当業者はJP 03036975 Bの教示を、解決すべき課題に転用することから出発することはない。と言うのも、芳香族イソシアネートにおける黄変メカニズムは、脂肪族イソシアネートにベンジル基が存在しない以上、脂肪族のものとはもちろん異なるからである。
【0005】
EP 377177 A1は、過酸化物による(環式)脂肪族ポリイソシアネートの後処理を記載しており、この(環式)脂肪族ポリイソシアネートは、触媒としてホスフィンを用いたジイソシアネートの三量化により製造されている。この方法では混合物を、熱により後処理しなければならない。
【0006】
WO 97/45399は過酸化物を用いた、ホスフィンによってオリゴマー化されているヘキサメチレンジイソシアネートベースのポリイソシアネートの色改善を記載している。
【0007】
DE 10 2006 043464は、過酸化物又はヒドロペルオキシドによる、ポリイソシアネートの処理を記載している。
【0008】
EP 630928 A2は、有機過酸の添加による、ポリイソシアネートの改善された色価及び貯蔵安定性を記載しており、このポリイソシアネートは、触媒としてのアルミニウム塩又は金属塩により製造されている。酸官能性は同時に触媒の分解に役立ち、反応が中断される。
【0009】
オゾン、酸素若しくはオゾン含有ガス混合物によるポリイソシアネートの処理は、EP 569804から公知である。
【0010】
この方法の欠点は、添加された過酸又はヒドロペルオキシド若しくは着色性成分の分解生成物が生成物中に残ることである。
【0011】
本発明の課題は、ポリイソシアネート中に既に形成された色を、系外の物質を添加せずに除去可能な方法を開発することであった。
【0012】
この課題は、無色な(環式)脂肪族のポリイソシアネートの製造方法により解決され、この方法では、所望の色価よりも高い色価を有する(環式)脂肪族ジイソシアネートベースのポリイソシアネートを、200〜600nmの波長の光によりこの波長範囲でのエネルギー供給量で、色価を減少させるために充分なほど照射する。
【0013】
加えて、本発明により処理されたポリイソシアネートは、処理していないものよりも粘度が低いことが判明した。その結果、本発明により処理されたポリイソシアネートの場合、作業粘度を調整するためにより僅かな量の溶剤で充分である。
【0014】
ポリイソシアネートとして、本発明による方法のために特に適しているのは、(環式)脂肪族ジイソシアネートベースのポリイソシアネートである。
【0015】
(環式)脂肪族という言葉は、本明細書中においては、短く、脂環式又は脂肪族とする。
【0016】
脂環式イソシアネートは、少なくとも1つの脂環式環構造を含有するものである。
【0017】
脂肪族イソシアネートは、直鎖又は分子鎖だけを有するイソシアネートであり、つまり非環式化合物である。
【0018】
本発明により使用可能なポリイソシアネートは、芳香族基を有さない。
【0019】
モノマー性イソシアネートとは好ましくは、丁度2つのイソシアネート基を有するジイソシアネートである。しかしながら原則的にはまた、イソシアネート基を1つ有するモノイソシアネートであってよいが、これはあまり好ましくない。
【0020】
原則的にはまた、平均で2つより多いイソシアネート基を有するより高度なイソシアネートが考慮されるが、これらはあまり好ましくない。これに適しているのは例えば、トリイソシアネート、例えばトリイソシアナトノナン、又は2’−イソシアナトエチル−(2,6−ジイソシアナトヘキサノエート)、又はジイソシアネート、トリイソシアネート、及びより高度なポリイソシアネートからの混合物である。
【0021】
モノマー性イソシアネートは、基本的にイソシアネート基と、それ自身との反応生成物を有さない。
【0022】
モノマー性イソシアネートとは好ましくは、4〜20個のC原子を有するイソシアネートである。通常の脂肪族ジイソシアネートの例は、テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−ジイソシアナトヘキサン)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネートの誘導体(例えばメチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート又はエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート)、トリメチルヘキサンジイソシアネート、又はテトラメチルヘキサンジイソシアネートである。脂環式ジイソシアネートの例は、1,4−、1,3−、若しくは1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’−若しくは2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3−若しくは1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、又は2,4−若しくは2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン、並びに3(若しくは4)、8(若しくは9)−ビス(イソシアナトメチル)−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−異性体混合物である。
【0023】
特に好ましいジイソシアネートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、及びイソホロンジイソシアネート、極めて特に好ましくはイソホロンジイソシアネート、及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、とりわけ好ましくはイソホロンジイソシアネートである。
【0024】
挙げられたイソシアネートの混合物も存在していてよい。
【0025】
イソホロンジイソシアネートはたいてい混合物として、即ち、シス−及びトランス−異性体の混合物として存在し、通常は、約60:40〜80:20(w/w)の比、有利には約70:30〜75:25の比、特に有利には約75:25の比の混合物として存在する。
【0026】
ジイソシアネート中の異性体化合物の含分は、本発明による方法にとって重要な役割を果たすものではない。よって1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートは例えば、2−及び/又は3−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを僅かな割合で含んでいてよい。
【0027】
本発明のためには、相応するアミンのホスゲン化によって得られるジイソシアネートベースの、またホスゲン不使用で、すなわちホスゲン不含法で製造されるジイソシアネートベースのポリイソシアネートが使用可能である。EP-A-O 126 299 (US 4 596 678)、EP-A-126 300 (US 4 596 679)、及びEP-A-355 443 (US 5 087 739)の記載によれば例えば、(環式)脂肪族ジイソシアネート、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)は、(環式)脂肪族ジアミンと、例えば尿素及びアルコールとを反応させて(環式)脂肪族ビスカルバミン酸エステルにし、それを熱開裂することにより相応するジイソシアネートとアルコールにすることにより製造できる。この合成はたいてい連続的に循環法で行われ、場合によっては、N−置換されたカルバミン酸エステル、ジアルキルカーボネート、反応プロセスから返送される他の副生成物の存在下で行われる。こうして得られるジイソシアネートは通常、非常に僅かな、又はそれどころか測定不能な割合で塩素化された化合物を有するが、これは生成物の有利な色価につながりうる。本発明のさらなる利点は、本発明による方法は脂肪族ジイソシアネートについて、その製造とは独立している、すなわち脂肪族ジイソシアネートがホスゲン化、又はホスゲン不含法によって製造されたかどうかとは独立していることである。
【0028】
本発明の実施態様においてジイソシアネートは、加水分解可能な塩素の合計含分が200ppm未満、好ましくは120ppm未満、特に好ましくは80ppm未満、極めて特に好ましくは50ppm未満、とりわけ15ppm未満、及び特に10ppm未満である。このことは例えば、ASTM処方 D4663-98によって測定可能である。しかしながらもちろんまた、より塩素含分の高いジイソシアネート、例えば最大500ppmのものが使用可能である。
【0029】
もちろんまた、相応するジアミンと、例えば尿素及びアルコールとの反応、及び得られたビスカルバミン酸エステルの開裂により得られたジイソシアネートと、相応するアミンのホスゲン化によって得られたジイソシアネートとからの混合物が使用可能である。
【0030】
ジイソシアネートベースのポリイソシアネートとは、好ましくは以下の化合物である:
1)イソシアヌレート基を有する、脂肪族及び/又は脂環式のジイソシアネートのポリイソシアネート。ここで特に好ましいのは、相応の脂肪族及び/又は脂環式イソシアナトイソシアヌレート、とりわけ、ヘキサメチレンジイソシアネート及び/又はイソホロンジイソシアネートをベースとするものである。この場合に存在するイソシアヌレートは、特に、ジイソシアネートの環式三量体であるトリス−イソシアナトアルキル−若しくはトリス−イソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート、又は1個より多いイソシアヌレート環を有するそれらの高級な同族体との混合物である。このイソシアナトイソシアヌレートは、一般的に、NCO含有率が10〜30質量%、特に15〜25質量%であり、平均NCO官能価は2.6〜8である。
【0031】
2)脂肪族的、及び/又は脂環式的に結合した、好ましくは脂肪族的及び/又は脂環式的に結合したイソシアネート基を有する、ウレトジオン基含有ポリイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートから誘導されたもの。ウレトジオンジイソシアネートは、ジイソシアネートの環式二量体化生成物である。
【0032】
ウレトジオン基含有ポリイソシアネートは、本発明の範囲では、他のポリイソシアネート、とりわけ1)で挙げたものとの混合物で得られる。このためにジイソシアネートを以下のような反応条件で反応させることができる:ウレトジオン基も他のポリイソシアネートも形成される反応条件、又はまずウレトジオン基が形成され、そしてこれを引き続き他のポリイソシアネートに反応させる反応条件、又はジイソシアネートをまず他のポリイソシアネートに反応させ、そしてこれを引き続きウレトジオン基含生成物に反応させる反応条件。
【0033】
3)脂肪族的又は脂環式に結合されたイソシアネート基を有する、ウレタン基及び/又はアロファネート基含有ポリイソシアネート、これらは例えば過剰量のジイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートと、一価又は多価のアルコールとの反応により得られる。これらのウレタン基及び/又はアロファネート基含有ポリイソシアネートは一般的に、NCO含分が12〜24質量%、平均NCO官能価が2.1〜4.5である。このようなウレタン基及び/又はアロファネート基含有ポリイソシアネートは、触媒によらずに、又は好ましくは触媒、例えばアンモニウムカルボキシレート若しくは水酸化アンモニウム、又はアロファネート化触媒、例えばZn(II)化合物の存在下で、その都度一価、二価、又は多価の、好ましくは一価のアルコールの存在下で製造できる。ウレタン基及び/又はアロファネート基含有ポリイソシアネートはまた、他のポリイソシアネート、とりわけ1)で挙げたものとの混合物で製造できる。
【0034】
4)ウレトンイミン変性ポリイソシアネート。
【0035】
5)カルボジイミド変性ポリイソシアネート。
【0036】
6)超分岐ポリイソシアネート、例えばDE-A1 10013186又はDE-A1 10013187から公知のもの。
【0037】
7)ポリウレタン−ポリイソシアネートプレポリマー、ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートと、アルコールとからのもの。
【0038】
8)ポリ尿素−ポリイソシアネートプレポリマー。
【0039】
9)親水性に変性されたポリイソシアネート、すなわち1〜10で記載された基の他に、式的にはNCO反応性基及び親水化基を有する分子を、上記分子のイソシアネート基に付加することにより生じるポリイソシアネート。後者の場合、非イオン性の基、例えばアルキルポリエチレンオキシド、及び/又はイオン性の基、例えばリン酸、ホスホン酸、硫酸、又はスルホン酸、若しくはこれらの塩から誘導されるものである。
【0040】
10)イミノオキサジアジンジオン基含有ポリイソシアネート、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートから誘導されたもの。このようなイミノオキサジアジンジオン基含有ポリイソシアネートは、ジイソシアネートから特別な触媒によって製造可能である。
【0041】
本発明の好ましい態様においてポリイソシアネートはイソシアヌレート、ウレタン、及びアロファネートから成る群から、好ましくはイソシアヌレート及びアロファネートから成る群から選択される少なくとも1つの原子団であり、特に好ましくはイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートである。
【0042】
特に好ましい実施態様においてポリイソシアネートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート及び/又はイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートであり、極めて特に好ましくはイソホロンジイソシアネートベースのイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートである。
【0043】
本明細書中、DIN EN ISO 3219/A.3準拠の23℃での粘度は、別段言及されない限り、コーンプレートシステムで250s-1の落下速度で記載されたものである。
【0044】
上述のポリイソシアネートはまた、少なくとも部分的にブロックされた形で存在していてよい。
【0045】
ブロック化に使用される化合物群は、D. A. Wicks, Z. W. Wicks著、Progress in Organic Coatings, 36, 148-172 (1999), 41 , 1-83 (2001)並びに43, 131-140 (2001)に記載されている。
【0046】
ブロック化のために使用される化合物群の例は、フェノール、イミダゾール、トリアゾール、ピラゾール、オキシム、N−ヒドロキシイミド、ヒドロキシ安息香酸エステル、第二級アミン、ラクタム、CH−酸環式ケトン、マロン酸エステル、又はアルキルアセトアセテートである。
【0047】
色改善のための本発明による方法では好ましくは、少なくとも1つの第四級窒素原子を有する少なくとも1つの触媒、特に好ましくは第四級アンモニウムイオンを有する触媒の作用により、モノマー性イソシアネートの反応によって得られたポリイソシアネートを使用することができる。
【0048】
これは極めて特に好ましくは、式
1234+-
[式中、R1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立して、場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子、及び/又は複素環によって置換されたC1〜C20アルキル、C6〜C12アリール、又はC5〜C12シクロアルキルであり、Y-は任意のアニオンである]
のアンモニウムイオンである。
【0049】
ここでR1、R2、R3、及びR4は好ましくは、それぞれ相互に独立して、メチル、エチル、n−ブチル、オクチル、ベンジル、2−ヒドロキシエチル、及び2−ヒドロキシプロピルから成る群から選択されている。
【0050】
好ましい実施態様においてアニオンY-は、フルオリド、ヒドロキシド、カルボキシレート、カーボネート、及びα−ヒドロキシカルボキシレートからなる群から、特に好ましくはヒドロキシド、カルボキシレート、カーボネート、及びα−ヒドロキシカルボキシレートからなる群から、極めて特に好ましくは、ヒドロキシド、及びカルボキシレートから成る群から選択されている。
【0051】
ここでカルボキシレートイオンとは、芳香族、脂肪族、又は脂環式であり、好ましくは芳香族又は脂肪族であり、特に好ましくは脂肪族であり、最大12個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するものである。
【0052】
特に好ましいカルボキシレートイオンの例は、ホルミエート、アセテート、プロピオネート、及び2−エチルヘキサノエートであり、極めて特に好ましくはホルミエート及び2−エチルヘキサノエートであり、とりわけ2−エチルヘキサノエートである。
【0053】
さらなる実施態様では、触媒は以下の種類のものである:米国特許4,454,317及び4,801,663に記載された種類の第四級カルボン酸アンモニウム;
米国特許4,335,219に記載された種類の、双性イオン構造を有する第四級アンモニウムフェノレート;
米国特許4,499,253に記載された種類の、ホスホン酸アンモニウム及びリン酸アンモニウム;
アルカリ金属フッ化物と、第四級アンモニウム塩又はホスホニウム塩とからの混合物、例えばEP-A 355479; EP 798299 B1、又はEP 896009 B1に記載された、イソシアヌレートと、不斉イソシアヌレート、イミノオキソジアジンジオンとの混合物を製造するためのもの、
アンモニウムα−ヒドロキシカルボキシレート、例えばWO 2005/087828に記載のもの、
炭酸アンモニウム又はアンモニウムベタイン、例えばEP 668271に記載のもの、
DE-A-26 31 733 (US-A-4 040 992)に記載の触媒としての式
【化1】

の第四級ヒドロキシアルキルアンモニウム化合物。
【0054】
前記式中、基R5〜R9は、相互に独立して水素、C1〜C4アルキル、及びベンジルであり、R9はこれらに加えて、C5〜C8アルキルである。
【0055】
本発明のための触媒として特に適しているのは、式
【化2】

に相応する第四級アンモニウム塩である。
【化3】

はカルボン酸イオン(R14COO-)、フッ化物イオン(F-)、炭酸イオン(R14O(CO)O-)、又は水酸化物イオン(OH-)であり、
例えばこれらのうちY-=OH-については、米国特許4,324,879に、そしてドイツ公開公報2,806,731及び2,901 ,479に記載されている。
【0056】

【化4】

は好ましくは、カルボキシレート、カーボネート、又はヒドロキシドであり、特に好ましくはカルボキシレート又はヒドロキシドであり、極めて特に好ましくはカルボキシレートである。
【0057】
14は水素、C1〜C20アルキル、C6〜C12アリール、又はC7〜C20アリールアルキルであり、これらはそれぞれ任意に置換されていてよい。
【0058】
14は好ましくは水素、又はC1〜C8アルキルである。
【0059】
アニオンとして水酸化物イオンを有する触媒を使用する場合、二酸化炭素(CO2)含分が低減された下で反応を行うのが好ましく、例えばEP 330966 A2に記載されているように20ppm未満、好ましくは10ppm未満、特に好ましくは5ppm未満である。
【0060】
好ましい第四級アンモニウム塩は、基R10〜R13が、1〜20個、好適には1〜4個の炭素原子を有する同一の、又は異なるアルキル基のものであり、これらのアルキル基は場合によりヒドロキシ基又はフェニル基によって置換されていてよい。
【0061】
10〜R13のうち2つはまた、窒素原子とともに、及び場合によりさらなる窒素元素又は酸素原子とともに、複素環式五員環、六員環、又は七員環を形成することができる。基R10〜R12は、基R13が2〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基であり(ここでヒドロキシ基が好適には第四級アンモニウムに対して2位に配置されている)であれば、あらゆる場合で、第四級窒素原子及びさらなる第三級窒素原子と共に二環式トリエチレンジアミン構造を形成するエチレン基であってよい。1つ又は複数のヒドロキシ置換された基はまた、他の置換基、例えばC1〜C4アルキルオキシ置換基を有することができる。
【0062】
ここでアンモニウムイオンは一員環系又は複員環系の一部であってもよく、例えばピペラジン、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、キヌクリジン、又はジ−アザビシクロ−[2.2.2]−オクタンであり得る。
【0063】
1〜20個の炭素原子を有する基R10〜R13の例は、相互に独立してメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘタデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)−エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボンエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ(メトキシカルボニル)エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、クロムメチル、2−クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、2−メトキシイソプロピル、2−エトキシエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、6−エトキシヘキシル、フェニル、トルイル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニルイル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソ−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、ノルボニル、又はノルボルネニルである。
【0064】
基R10〜R13は好ましくは、相互に独立してC1〜C4アルキルである。R13は付加的にベンジルであってよく、又は式
【化5】

[式中、R15及びR16は相互に独立して水素、又はC1〜C4アルキルであってよい]
の基であってよい。
【0065】
特に好ましい基R10〜R13は、相互に独立してメチル、エチル、及びn−ブチルであり、R13についてはこれらに加えてベンジル、2−ヒドロキシエチル、及び2−ヒドロキシプロピルである。
【0066】
好ましくは、本発明による方法のために以下の触媒を使用する:
第四級水酸化アンモニウム、好適にはDE-A-38 06 276に記載のN,N,N−トリメチル−N−ベンジル水酸化アンモニウム、及びN,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシプロピル)水酸化アンモニウム(本方法が好ましくは二酸化炭素含分低減下で行われるならば)。
【0067】
EP-A- 10 589 (US-A-4 324 879)に記載された、ヒドロキシアルキル置換された第四級水酸化アンモニウム。
【0068】
この文献では、
場合により、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環により置換されたC1〜C20−アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4,−トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘタデシル、オクタデシル、エイコシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)−エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシ−カルボンエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ−(メトキシカルボニル)−エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3−ジオキソラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシプロピル、2−オクチルオキシエチル、クロロメチル、2−クロロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、2−メトキシイソプロピル、2−エトキシエチル、ブチルチオメチル、2−ドデシルチオエチル、2−フェニルチオエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキブチル、6−ヒドロキシヘキシル、2−アミノエチル、2−アミノプロピル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、6−アミノヘキシル、2−メチルアミノエチル、2−メチルアミノプロピル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、6−メチルアミノヘキシル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジメチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、6−ジメチルアミノヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2,−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、又は6−エトキシヘキシルであり、
場合により、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環により置換されたC6〜C12−アリールは、例えばフェニル、トルイル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニルイル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−ブロモフェニル、2−若しくは4−ニトロフェニル、2,4−若しくは2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル、又はエトキシメチルフェニルであり、
場合により、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環により置換されたC5〜C12−シクロアルキルは、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、並びに、飽和の又は不飽和の、二環式系、例えばノルボルニル又はノルボルネニルであり、
二価のC2〜C9アルキレン基(アリーレン基又はシクロアルキレン基の構成要素の一部であってもよい)は例えば、1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,6−ヘキシレン、2,2,4−トリメチルヘキシレン、1,4−シクロヘキシレン、イソプロピリデン−1,4−ジシクロヘキシレン、1,2−、1,3−若しくは1,4−フェニレン、4,4’−ビフェニレン、4,4’−ビフェニルメチレン、1,3−、1,4−若しくは1,5−ナフチレン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニレン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニレン、2,4−若しくは2,6−ピリジル、1,4−アントラキノンジイル、m−若しくはp−トルイレン、4,6−ジメチル−1,3−フェニレン、4,6−ジクロロ−1,3−フェニレン、5−クロロ−1,3−フェニレン、5−ヒドロキシ−1,3−フェニレン、5−メトキシ−1,3−フェニレン、2,3−ジメチル−1,4−フェニレン、m−若しくはp−キシレン、メチレン−ジ−p−フェニレン、イソプロピリデン−ジ−p−フェニレン、チオ−ジ−p−フェニレン、ジチオ−ジ−p−フェニレン、スルホ−ジ−pフェニレン、カルボニル−ジ−p−フェニレンであり、
1〜C4アルキルは例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、又はt−ブチル、好ましくはメチル、エチル、又はn−ブチル、特に好ましくはメチル又はエチルであり、極めて特に好ましくはメチルである。
【0069】
第四級アンモニア触媒の製造は公知の方法で、例えば水性アルコール媒体中で第三級アミンとアルキレンオキシドとの反応により行う(米国特許3,995,997、第2コラム、19〜44行目参照)。
【0070】
適切な第三級アミンの例は、トリメチルアミン、トリブチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、ドデシルジメチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルピロリドン、N−メチルモルホリン、及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである。適切なアルキレンオキシドの例は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、及びメトキシ−、エトキシ−、若しくはフェノキシプロピレンオキシドである。
【0071】
たいてい好ましい触媒は、Air Products社のN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエート(DABCO TMR(登録商標))、及びN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−ホルミエート(DABCO TMR(登録商標)−2)である。
【0072】
さらに好ましいのは、DE 10 2004 012571 A1(特に段落[0017]〜[0027])から、そしてEP-A1 668 271(特に4頁16行目〜6頁47行目)から公知の三量体化触媒であり、これらについては本願の開示内容に含まれるものとする。
【0073】
触媒は一般的に、使用されるイソシアネートに対して最大1000質量ppmの量、好適には約5〜500ppmの量、特に好ましくは10〜100質量ppmの量で使用する。
【0074】
触媒は、純粋な形態で、又は溶液で使用できる。より良好な取り扱いのために、触媒は適切な溶剤に溶解させることができる。これに適しているのは例えば、アルコール、ジオール、ケトン、エーテル、及びエステルである。この文献で説明されるイソシアネート基に対して不活性の溶剤は、触媒の種類によって溶剤として適している。ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドは、同様に触媒のための溶剤として使用可能である。
【0075】
ポリイソシアネートの製造は、本発明によれば制限されない。その製造は例えば、以下のように行うことができる:
a)まず、触媒の存在下でモノマー性イソシアネートの反応を行う。
【0076】
工程a)はバッチ式で、又は連続的に行うことができ、典型的な実施態様は例えば以下のように行うことができる:
工程a)において反応体の反応は、少なくとも1つの反応ゾーンで起こる。工程a)での平均総滞留時間は、最大7時間であってよく、好ましくは最大90分、特に好ましくは最大60分、極めて特に好ましくは最大30分、及びとりわけ最大20分である。
【0077】
工程a)での平均総滞留時間は通常、少なくとも2分、好ましくは少なくとも5分、特に好ましくは少なくとも10分、極めて特に好ましくは少なくとも15分、及びとりわけ少なくとも20分である。
【0078】
反応ゾーンは、逆混合又は非逆混合であってよく、またこれらの組み合わせも考えられる。
【0079】
反応ゾーンとは例えば、複数の撹拌槽の順次接続であってよく(撹拌槽カスケード)、又は反応体積の適切な分割によって、例えば分離板により複数のゾーンに区分された少なくとも1つの撹拌槽(カスケード化された撹拌槽)、又はこれらの組み合わせであってよい。
【0080】
逆混合反応器システムでの温度は一般的に、40〜170℃、好ましくは45℃〜160℃、特に好ましくは50〜150℃であり、極めて特に好ましくは55〜140℃である。
【0081】
触媒は一般的に、使用されるイソシアネートに対して最大1000質量ppmの量、好適には約5〜500ppmの量、特に好ましくは10〜100質量ppmの量で使用する。
【0082】
b)工程a)で所望の反応率を達成するために、工程a)で触媒を不活性にできる少なくとも1つの化合物を反応混合物に添加する。
【0083】
反応率は使用されるイソシアネートに依存して、様々に選択することができる。反応率は一般的に、(反応前のNCO含分に対して)5〜60%、好ましくは5〜35%が目標である。
【0084】
工程b)で停止のため、不活性化剤を例えば、使用される触媒量に対して0.5〜20のモル比、特に好ましくは0.6〜3、極めて特に好ましくは0.8〜2のモル比で使用する。
【0085】
不活性化剤として適しているのは原則的に無機酸、例えば塩化水素、亜リン酸、若しくはリン酸、カルボン酸ハロゲン化物、例えば塩化アセチル若しくは塩化ベンゾール、スルホン酸若しくはスルホン酸エステル、例えばメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチルエステル、若しくはp−トルエンスルホン酸エチルエステル、m−クロロペル安息香酸、及び好適にはジアルキルホスフェート、例えばジ−2−エチルヘキシルホスフェート、及びジブチルホスフェートである。
【0086】
またカルバメート化合物、例えばWO 2008/068198に記載されたものの使用も考えられる。
【0087】
停止剤の添加は通常、室温で、また室温より高い又は低い温度で行うことができ、例えば最大30℃以下、好ましくは最大20℃以下、及び特に好ましくは最大10℃以下である。
【0088】
代替的には、工程a)からの反応混合物は、触媒を熱で不活性化することにより停止されるか、又は停止を完全化することができる。このために適している触媒は、アンモニウム基に結合されたβ−ヒドロキシアルキル基を有するものである。このために温度は短時間で少なくとも100℃、好ましくは少なくとも110℃、及び特に好ましくは少なくとも120℃に上昇させ、好ましくは工程c)に記載されているように蒸留装置を通じた導通によって行う。
【0089】
c)こうして得られた反応混合物からの、未反応のイソシアネート(D)の分離
こうして製造されたポリイソシアネート含有反応混合物を引き続き工程c)でそれ自体公知の方法で、例えば薄膜蒸留により90〜220℃の温度で、場合により真空中で、場合により付加的に不活性ストリッピングガスの導通によって、場合により存在する溶剤又は希釈剤及び/又は好適には余剰の未反応イソシアネートを除去し、その結果、モノマー性イソシアネート含分が例えば1.0質量%未満、好適には0.5質量%未満、特に好適には0.3質量%未満、極めて特に好適には0.2質量%未満、とりわけ0.1質量%以下のイソシアネート基含有ポリイソシアネートが得られる。
【0090】
このための装置として、フラッシュ蒸発器、流下薄膜型蒸発器、薄膜蒸発器、及び/又はショートパス蒸留器が用いられ、これに場合により短い塔を取り付けることができる。
【0091】
この蒸留は通常、0.1〜300hPa、有利に200hPa未満、特に有利に100hPa未満の圧力で行う。
【0092】
好ましい実施態様において蒸留は多段階で行うことができ、例えば2〜5段階、好適には2〜4段階、特に好適には3〜4段階で行うことができる。
【0093】
この際に圧力は有利には1段階ごとに低下させ、例えば300〜500hPaから始まって、100〜300hPaを経て10〜100hPaに、そして引き続き0.1〜10hPaに低下させる。
【0094】
個々の蒸留段階での温度はそれぞれ、90〜220℃である。
【0095】
有利には第一工程を単純な装置、例えば循環蒸発器、フラッシュ蒸発器、又はキャンドル式蒸発器(Kerzenverdampfer)で、そして後続の段階を複雑な装置、例えば流下薄膜型蒸発器、薄膜蒸発器、例えばSambay(登録商標)蒸発器、又はLuwa蒸発器、又はショートパス蒸留器で行う。ここで装置的な措置とは有利には、流れの滞留時間、ひいてはその熱負荷が減少されるものと理解され、例えば中間容器又は保管容器の省略、短い管経路、又はできるだけ小さい塔底容積の実施である。
【0096】
モノマー性イソシアネートから留去された蒸留物は工程a)に返送され、そして新鮮に供給されたイソシアネートを補って、新ためて反応に投入される。
【0097】
本発明による方法では、波長が200〜600nm、好ましくは210〜500nm、特に好ましくは220〜450nm、及び極めて特に好ましくは220〜420nmの光でポリイソシアネートを照射する。
【0098】
使用される光線源は好ましくは、少なくとも1つの放出最大値をこの波長範囲内で有するのが望ましい。
【0099】
エネルギー供給量は、上述のように基本的に制限されない。エネルギー供給量は、所望の色価が達成されていれば充分である。
【0100】
エネルギー供給量は、少なくとも1ヘイズ(Haze)の色価を減少させるために、好ましくは少なくとも2ヘイズ、特に好ましくは少なくとも3ヘイズ、極めて特に好ましくは少なくとも5ヘイズ、及びとりわけ少なくとも10ヘイズの色価を減少させれば充分であろう。少なくとも15ヘイズ、又はそれどころか20ヘイズの色価を減少させることが、望ましいことがあり得る。
【0101】
通常、20〜40000J/cm2の光線供給量が使用できる。これより多くの供給量も、例えば生成物が激しく着色されていれば合理的であり得る。
【0102】
光線源としては例えば、水銀低圧照射器、高圧照射器を有する水銀平均圧力照射器が適しており(これらは場合によりドープ無しで、又はガリウム若しくは鉄がドープされていてよい)、並びに発光管(Leuchtstoffrohr)、インパルス照射器(Impulsstrahler)、金属ハロゲン化物照射器、エキシマー照射器、レーザー、LED、パルスランプ(フラッシュ)、又はハロゲンランプである。
【0103】
もちろんまた、複数の同種の又は異なる光線源が、所望のエネルギー供給量又はスペクトル分布を達成するために使用可能である。これらはまた、それぞれ種々の波長範囲内で照射してもよい。
【0104】
また、不所望の光反応を避けるために、適切な光学的充填材によって特定の波長範囲を照射スペクトルから遮蔽する(ausblenden)ことも可能である。
【0105】
同様にまた、光線源の不所望の光波長が吸収されるように、光線源と照射すべき生成物の間にガラスを選択することもできる。例えば、相対的に高価な石英ガラスは、生成物に悪影響を与える短波光線をフィルタリングするため、光線源に応じてホウケイ酸ガラスで置き換えることができる。
【0106】
非常に短波の光線、好ましくは250nm未満の光線を遮断する光学フィルター、又は例えば短波のUV光線も長波のIR光線(赤外線)も、とりわけ780nm〜1mmの波長を遮断するフィルターを使用することができる。
【0107】
本発明によればポリイソシアネートは、5分〜最大600時間の所要時間、好ましくは20分〜8時間の所要時間にわたって照射することができる。
【0108】
ここで照射の際にポリイソシアネートの温度は、単に二次的な役割を果たすに過ぎない。温度境界の下限は、ポリイソシアネートをポンプ輸送すべきかどうかによって決まり、上限は、その温度安定性によって決まる。この温度は周辺温度〜130℃、特に好ましくは20℃〜100℃、極めて特に好ましくは30〜80℃、及びとりわけ30〜70℃である。
【0109】
本発明によれば照射は、連続的に、又は非連続的に行うことができる。この際にポリイソシアネートは静置しても、又は好ましくは例えばポンプ輸送若しくは撹拌によって動かしてもよい。
【0110】
好ましい実施態様では、1つ又は複数の光線源は、所望の場合又は必要な場合には、保管容器内、例えば貯蔵槽でポリイソシアネートにより浸漬し、ポリイソシアネートを動かす。
【0111】
さらに好ましい実施態様では、1つ又は複数の光線源は、所望の場合又は必要な場合には、保管容器内、例えば貯蔵槽で、ポリイソシアネート内又はポリイソシアネート上方で位置決めし、ポリイソシアネートを動かす。
【0112】
さらに好ましい実施態様においてポリイソシアネートは、照射された光の所望の波長に対して少なくとも部分的に透過性の管部、例えば石英ガラスからできているものを通じて導かれ、ポリイソシアネートが照射される。このような装置のための配置は、原則的に飲料水後処理から公知であり、化学装置に典型的な方法で要求に適合させることができる。
【0113】
また、装置での照射を既に製造の間に行うことも考えられ、例えば薄膜蒸発器が石英ガラス窓(Quartzfenster)を備えていることによって、又は照射源を薄膜蒸発器の内部に設置することによって、未反応のモノマー性イソシアネートの分離(上記参照)で行う。
【0114】
粘度低減のために、ポリイソシアネートを溶剤と混合することが必要であり得る。
【0115】
このような溶剤のための例は、芳香族及び/又は(環式)脂肪族の炭化水素及びそれらの混合物、ハロゲン化された炭化水素、ケトン、エステル及びエーテルである。
【0116】
有利なのは、芳香族炭化水素、(環式)脂肪族炭化水素、アルカン酸アルキルエステル、アルコキシル化アルカン酸アルキルエステル、及びこれらの混合物である。
【0117】
特に好ましくは、一回又は複数回アルキル化されたベンゼン及びナフタリン、アルカン酸アルキルエステル、及びアルコキシル化アルカン酸アルキルエステル、並びにそれらの混合物である。
【0118】
芳香族炭化水素混合物として好ましいのは、主に芳香族C7〜C14−炭化水素を有しかつ110〜300℃の沸点範囲を有することができるものであり、特に好ましいのはトルエン、o−、m−又はp−キシレン、トリメチルベンゼン異性体、テトラメチルベンゼン異性体、エチルベンゼン、クメン、テトラヒドロナフタレン、及びこれらを有する混合物である。
【0119】
このための例は、Exxon Mobil Chemical社のSolvesso(登録商標)、特にSolvesso(登録商標)100(CAS-No. 64742-95-6、主にC9〜C10芳香族化合物、沸点範囲約154〜178℃)、Solvesso(登録商標)150(沸点範囲約182〜207℃)、及びSolvesso(登録商標)200(CAS-No. 64742-94-5)、並びにShell社のShellsol(登録商標)、Petrochem Carless社のCaromax(登録商標)(例えばCaromax(登録商標)18)、及びDHC社のHydrosol(例えばHydrosol(登録商標)A 170)である。パラフィン、シクロパラフィン、及び芳香族化合物からの炭化水素混合物はまた、商品名Kristalloel (例えばKristalloel 30、沸点範囲約158〜198℃、又はKristalloel 60: CAS-No. 64742-82-1)、ホワイトスピリット(例えば同様にCAS-No. 64742-82-1)、又はソルベントナフサ(軽質:沸点範囲約155〜180℃、重質:沸点範囲約225〜300℃)で市販されている。この種の炭化水素混合物の芳香族化合物含有量は、一般に、90質量%より高く、有利に95質量%より高く、特に有利に98質量%より高く、さらに特に有利に99質量%より高い。特に低減されたナフタリン含量を有する炭化水素混合物を使用することが合理的なことがある。
【0120】
脂肪族炭化水素の含有率は、一般に、5質量%未満であり、好ましくは2.5質量%未満であり、特に好ましくは1質量%未満である。
【0121】
ハロゲン化炭化水素は例えば、クロロベンゼン及びジクロロベンゼン、又はその異性体混合物、並びにパラクロロベンゾトリフルオリド(Oxsol(登録商標)100)である。
【0122】
エステルは、例えばn−ブチルアセテート、エチルアセテート、1−メトキシプロピルアセテート−2、及び2−メトキシエチルアセテートである。
【0123】
エーテルは、例えばTHF、ジオキサン、並びにエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール若しくはトリプロピレングリコールのジメチルエーテル、ジエチルエーテル又はn−ブチルエーテルである。
【0124】
(環式)脂肪族の炭化水素は、例えばデカリン、アルキル化デカリン、並びに直鎖状若しくは分枝鎖状のアルカン、及び/又はシクロアルカン、例えば石油エーテル若しくはリグロインの異性体混合物である。
【0125】
さらに好ましいのは、n−ブチルアセテート、エチルアセテート、1−メトキシプロピルアセテート−2、2−メトキシエチルアセテート、t−ブチルアセテート、並びにそれらの混合物、特に上述の芳香族炭化水素混合物との混合物である。
【0126】
さらに好ましいのは、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、及びメチルアミルケトンである。
【0127】
このような混合物は、容量比5:1〜1:5で、好ましくは容量比4:1〜1:4で、特に好ましくは容量比3:1〜1:3で、殊に好ましくは容量比2:1〜1:2で調製できる。
【0128】
好ましい例は、ブチルアセテート/キシレン、メトキシプロピルアセテート/キシレン1:1、ブチルアセテート/ソルベントナフサ100 1:1、ブチルアセテートSolvesso(登録商標)100 1:2、及びKristaoel 30/Shellsol(登録商標)A 3:1である。
【0129】
本発明による方法により、色のあるポリイソシアネートを再度脱色することができ、こうしたポリイソシアネートは貯蔵の間も引き続き良好な色安定性を有する。その結果、相応して処理されたポリイソシアネートは、塗料での使用に良好に適している:
本発明により得られるポリイソシアネートは、ポリウレタン及びポリウレタン塗料の製造に使用可能であり、例えば1成分系、2成分系、光線硬化性、又は粉末塗料被覆系のため、並びに様々な基材、例えば木材、木質化粧張り、紙、ボール紙、厚紙、繊維、皮革、フリース、プラスチック表面、ガラス、セラミックス、無機建材、金属、又は被覆された金属を被覆するための、こうして製造された塗料に使用可能である。
【0130】
被覆剤において使用する場合、本発明によるポリイソシアネートは、とりわけ自動車補修又は大型車塗装の分野での下塗り、充填材、顔料性トップコート、ベースコート、クリアコート、及びトップコートで使用することができる。このような被覆剤は、特に高度な適用安全性、耐候性、視覚的効果、耐溶剤性、耐化学薬品性及び耐水性が必要とされる用途、例えば自動車補修塗装及び大型車両塗装、並びに農業や建築業での輸送用車両に適している。
【0131】
このような被覆物は、外面被覆、つまり日光にさらされる適用、好ましくは建築部材、内面被覆、(大型)車両及び航空機への被覆、並びに工業的な適用、橋、建築物、鉄塔、タンク、コンテナ、パイプライン、発電所、化学プラント、船舶、クレーン、杭、矢板壁(Spundwand)、計器類、管、取り付け具、フランジ、継ぎ手、ホール、屋根、及び建築鋼として適している。本発明による被覆物はとりわけ、自動車用のクリアコート及びトップコートで、又は自動車用のクリアコート及びトップコートとして使用される。さらなる好ましい使用領域は、缶コーティングとコイルコーティングである。
【0132】
本発明による被覆物は、工業塗装、木材塗装、自動車塗装、とりわけOEM塗装の分野における下塗り、充填材、顔料性トップコート、及びクリアコートでの、又は装飾塗装での使用に適している。極めて特に適切なのは、特に高い適用安全性、耐候性、外観、耐引掻性、耐溶剤性、及び/又は耐薬品性が要求される適用のための被覆剤である。その低い色価と高い安定性によって、本発明による被覆物はとりわけ、クリアコート用の被覆物にとって興味深い。本発明による被覆物はとりわけ、抗酸化剤及びルイス酸化合物との組み合わせで、場合により溶剤の存在下で、とりわけ貯蔵の際に興味深い。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】ランプのスペクトルを示す(ES 450)。
【図2】ランプのスペクトルを示す(ES 460)。
【図3】ランプのスペクトルを示す(ES 470)。
【図4】ランプのスペクトルを示す(ES 465)。
【0134】
実施例
本明細書における色価測定は、別段記載がなければ、DIN EN 1557に記載のヘイズ(Hz)で、Lange社のLico 300装置を用いて、体積5mLの5cmの測定キュベットで行う。
【0135】
実施例1
ホスゲン法で製造されたイソホロンジイソシアネート(IPDI)600gを室温で装入し、1時間、真空下に保ち、引き続き50℃に加熱した。
【0136】
N,N,N−トリメチル−N−ベンジル水酸化アンモニウム160ppmを、エチルヘキサノール中で3%の溶液の形で添加した。温度は、50℃から61℃に上昇した。引き続き65℃に加熱した。NCO値は100分の後反応時間後、32.2%に達した。
【0137】
140℃に素早く加熱することにより、反応を停止させた。濾過後に余剰なIPDIを薄膜蒸発器で、加熱媒体温度195℃でほぼ完全に除去した。生成物は、酢酸ブチル中に濃度70%で溶解させた。黄色っぽく着色された生成物溶液(色価68Hz)が、NCO含分12.4%で得られる。
【0138】
実施例2
実施例1と同様に作業を行ったのだが、異なる点は、NCO値が32%に達した後、使用される触媒に対してモル量のブチルカルバメートによって、65℃で反応を中断させたことである。色価:39Hz。
【0139】
実施例3
作業は実施例1と同様に行ったが、異なる点は、三量体化触媒としてDABCO(登録商標)TMRを使用したことである。NCO値が32.1%に達した後、使用される触媒に対してモル量のXHC−20(2−ヒドロキシエチルカルバメート、Huntsman社)によって、65℃で反応を中断させた。色価:35Hz。
【0140】
実施例4
実施例3に記載の試験を、尿素法で製造されたIPDIを用いて繰り返した。色価:42Hz。
【0141】
実施例5
実施例3に記載の試験を、尿素法からのIPDIを用いて繰り返した。しかしながら反応は、熱により140℃で停止させた。色価:55Hz。
【0142】
実施例6
実施例4に記載の試験を、ホスゲン法からのIPDIを用いて繰り返した。反応は、NCO値32.5%で熱により140℃で停止させた。色価:88Hz。
【0143】
実施例7
新たに蒸留された、ホスゲン法からのIPDI600gをメタノール6gと混合し、そして2時間90℃で撹拌した。この後、温度は65℃に低下した。それからDABCO(登録商標)TMR150ppmを添加した。NCO値31.7%で、使用される触媒に対して等モル量のブチルカルバメートを添加した。引き続き、蒸留による後処理を、190℃/1mbarで行った。色価:41Hz。
【0144】
実施例8
新たに蒸留された、尿素法からのIPDI600gをエタノール6gと混合し、そして2時間90℃で撹拌した。この後、温度は65℃に低下した。それからDABCO(登録商標)TMR160ppmを添加した。NCO値31.7%で、使用される触媒に対して等モル量のXHC−20(Huntsman社)を添加した。さらなる作業は、実施例1で記載したように行った。色価:35Hz。
【0145】
実施例9
ホスゲン法からのIPDI50%と、尿素法からのIPDI50%とからの混合物600gを、2−エチルヘキサノール8gと混合し、2時間115℃で撹拌した。この後、温度は65℃に低下した。それから、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールに溶解させたDABCO(登録商標)TMR185ppmを添加した(2%溶液)。NCO値31.7%で、使用される触媒に対して2倍のモル当量のt−ブチルカルバメートを添加した。さらなる作業は、実施例1で記載したように行った。色価:37Hz。
【0146】
実施例10
ホスゲン法からのIPDI50%と、尿素法からのIPDI50%とからの混合物600gを、2−エチルヘキサノール8gと混合し、2時間115℃で撹拌した。この後、温度は65℃に低下した。それから、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールに溶解させたDABCO(登録商標)TMR185ppmを添加した(2%溶液)。32.7%のNCO値で、熱によって140℃で停止させた。さらなる作業は、実施例1で記載したように行った。色価:85Hz。
【0147】
実施例11
ホスゲン法からの1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)588gを室温で装入し、1時間窒素下で保ち、引き続き40℃に加熱した。N,N,N−トリメチル−N−ベンジル水酸化アンモニウム60ppmを、エチルヘキサノール中で3%の溶液の形で添加した。
【0148】
温度は、40℃から52℃に上昇した。引き続き60℃に加熱した。NCO値は100分の後反応時間後、40.6%に達した。130℃に素早く加熱することにより、反応を停止させた。濾過後に余剰なHDIを薄膜蒸発器で、外部温度170℃でほぼ完全に除去した。NCO含分が21.7%、粘度が2400mPasの黄色っぽく着色された生成物(色価78Hz)が得られる。
【0149】
実施例12
作業は実施例1と同様に行ったが、異なる点は、三量体化触媒としてDABCO(登録商標)TMRを使用したことである。NCO値が40.6%に達した後、使用される触媒に対してモル量のXHC−20(Huntsman社)によって、65℃で反応を中断させた。蒸留後の色価:65Hz。
【0150】
実施例13
新たに蒸留された、尿素法からのHDI588gをメタノール12gと混合し、2時間80℃で撹拌した。この後、温度は65℃に低下した。それからDABCO(登録商標)TMR150ppmを添加した。NCO値38.7%で、使用される触媒に対して等モル量のブチルカルバメートを添加した。1時間、後撹拌し、再度NCO値を測定した。後反応後のNCO値:38.6%。引き続き、蒸留による後処理を170℃/1mbarで行った。蒸留後の色価:48Hz。
【0151】
実施例14
新たに蒸留された、ホスゲン法からのHDI588gをエチルヘキサノール12gと混合し、2時間115℃で撹拌した。この後、温度は65℃に低下した。それから、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールに溶解されたN,N,N−トリメチル−N−ベンジル水酸化アンモニウム24ppm(0.5%溶液)を添加した。NCO値38.7%で、使用される触媒に対して2倍のモル当量のt−ブチルカルバメートを添加した。1時間、後撹拌し、再度NCO値を測定した。後反応後のNCO値:38.7%。さらなる作業は、実施例7に記載したように行った。蒸留後の色価:58Hz。
【0152】
実施例15
新たに蒸留された、ホスゲン法と尿素法からのHDI混合物(1:1)588gをエチルヘキサノール12gと混合し、2時間115℃で撹拌した。この後、温度は65℃に低下した。それから、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールに溶解させたDABCO(登録商標)TMR24ppmを添加した(0.5%溶液)。NCO値38.7%で、使用される触媒に対して等モル量のt−ブチルカルバメートを添加した。1時間、後撹拌し、再度NCO値を測定した。後反応後のNCO値:38.7%。さらなる作業は、実施例7に記載したように行った。蒸留後の色価:51Hz。
【0153】
照射後の結果
様々なサンプルを、以下のUVランプを有するPanacol-Elosolの照射装置で4時間照射した。
【表1】

【0154】
エネルギー測定装置として、Hoenle社のUV測定器(ゾンデ、No.724(UV−A範囲))を使用した。
【0155】
ランプのスペクトルは、図1〜4に示されている:
図1:ES 450
図2:ES 460
図3:ES 470
図4:ES 465。
【0156】
実施例は表1に示されている。
【表2】

【0157】
全てのランプタイプが、生成物の色を減少させることが判明した。
【0158】
試料はUV処理後に9週間(Wo)、50℃で貯蔵した。
【0159】
実施例は表2に示されている。
【表3】

【0160】
全ての試料で、明らかに改善された生成物特性の貯蔵安定性が示された。
【0161】
実施例16:
貯蔵安定性のさらなる試験のために、製造されたポリイソシアネートを、ルイス酸触媒、及び有機溶剤を含む調製物中で、高められた温度で試験した。この試験のために、50質量%のポリイソシアネートと50%の溶剤(ソルベントナフサ75%、酢酸ブチル25%から成り、ジブチルスズジラウレート1000質量ppm(溶剤の総質量に対して))を加えた。調製物を室温で完全混合後、混合物を50℃で窒素雰囲気下、貯蔵した。
【0162】
1、2、4、及び8週間後に、色の上昇度を測定した。
【表4】

【0163】
実施例17:
さらに、実施例16に従って製造されたサンプルの粘度を、Physica Rheolab MC1でDIN 5301に準拠して、剪断速度250s-1で測定した。
【表5】

【0164】
UV照射された試料は、色値でも粘度でも改善された結果が得られたことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無色な(環式)脂肪族ポリイソシアネートの製造方法において、所望の色価よりも高い色価を有する(環式)脂肪族ジイソシアネートベースのポリイソシアネートを、200〜600nmの波長の光によりこの波長範囲でのエネルギー供給量で、色価を減少させるために充分なほど照射することを特徴とする、前記製造方法。
【請求項2】
前記ポリイソシアネートが、イソホロンジイソシアネート及び/又は1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとするポリイソシアネートであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリイソシアネートが、イソシアヌレート基、ウレタン基、及び/又はアロファネート基を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリイソシアネートが、少なくとも1つの第四級窒素原子を有する少なくとも1つの触媒の作用により、モノマー性イソシアネートの反応によって得られたものであることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒が、式
1234+-
[式中、R1、R2、R3、及びR4はそれぞれ相互に独立して、場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子、及び/又はヘテロ環によって置換されたC1〜C20アルキル、C6〜C12アリール、又はC5〜C12シクロアルキルであり、Y-は任意のアニオンである]
の化合物であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
1、R2、R3、及びR4がそれぞれ相互に独立して、メチル、エチル、n−ブチル、オクチル、ベンジル、2−ヒドロキシエチル、及び2−ヒドロキシプロピルから成る群から選択されていることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
アニオンY-が、フルオリド、ヒドロキシド、カルボキシレート、カーボネート、及びα−ヒドロキシカルボキシレートから成る群から選択されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
アニオンY-が、ホルミエート、アセテート、プロピオネート、及び2−エチルヘキサノエートから成る群から選択されていることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
自動車補修塗装又は大型車両塗装の分野における被覆剤、下塗り、充填材、顔料性トップコート、ベースコート、及びクリアコートでの、自動車補修塗装及び大型車両塗装における、並びに農業や建築業での輸送用車両における、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法により得られるポリイソシアネートの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−506465(P2012−506465A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532601(P2011−532601)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063634
【国際公開番号】WO2010/046327
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】