説明

無電極放電灯点灯装置及び照明器具

【課題】 オンデューティが低いときにも輻射ノイズの強度を抑制することができる無電極放電灯点灯装置及び照明器具を提供する。
【解決手段】 点灯期間ON同士や消灯期間OFF同士でも2通りずつの動作周波数fを分散して用いるようにした。輻射ノイズの周波数が分散されることになるから、輻射ノイズの強度が抑制される。また、個々の点灯期間ON内では動作周波数fを変化させないから、点灯期間ONの継続時間が短いとき、すなわちオンデューティが低いときにも、動作周波数fが分散し、オンデューティが高いときと同様の効果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電極放電灯点灯装置及び該無電極放電灯装置を用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばガラスのような透光性を有する材料からなるバルブに放電ガスが封入されてなる無電極放電灯を点灯させる無電極放電灯点灯装置が提供されている。この種の無電極放電灯点灯装置は、無電極放電灯に近接配置される誘導コイルと、誘導コイルに高周波電力を供給する電源部とを備え、誘導コイルによって無電極放電灯のバルブ内に高周波電磁界を発生させるものである。高周波電磁界によって無電極放電灯のバルブ内に放電が発生すると、励起された放電ガスが紫外線を放出する。無電極放電灯のバルブの内面には蛍光体が塗布されており、この蛍光体によって上記紫外線が可視光に変換されることにより、無電極放電灯は発光する。
【0003】
この種の無電極放電灯点灯装置として、無電極放電灯を点灯させる点灯期間と、無電極放電灯を消灯させる消灯期間とを交互に繰り返すことにより、光出力を低下させる調光動作が可能なものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−247201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、熱陰極放電灯を用いる一般的な放電灯点灯装置では、放電灯には通電されればよく電磁波を入射させる必要がないため、輻射ノイズを発生させる回路を導電材料で覆う周知技術によって輻射ノイズを抑制することは比較的に容易である。しかしながら、無電極放電灯点灯装置では、発生させる電磁波をバルブに入射させる必要があり、且つバルブは発光部であるので、上記の熱陰極放電灯の場合のような手段による輻射ノイズの抑制が不可能である。
【0005】
そこで、図14に示すように、点灯期間の開始時から終了時にかけて、時間tの経過につれて電源部の出力の周波数(以下、「動作周波数」と呼ぶ。)fを徐々に低下させることにより、輻射ノイズの周波数を分散させ、結果として輻射ノイズの強度を抑制することが提案されている。
【0006】
しかし、図14のものでは、動作周波数fがとり得る範囲や、誘導コイルに出力される電圧Vcoilがとり得る範囲は、点灯期間の継続時間と消灯期間の継続時間との合計に占める点灯期間の継続時間の割合(以下、「オンデューティ」と呼ぶ。)に応じて決まり、オンデューティが変更されない限りは上記の範囲は全ての点灯期間でほぼ一定である。そして、オンデューティが低いほど、動作周波数fがとりうる範囲(すなわち動作周波数fの変動幅)が狭くなって、輻射ノイズの強度の抑制の効果が得られにくくなる。
【0007】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、オンデューティが低いときにも輻射ノイズの強度を抑制することができる無電極放電灯点灯装置及び照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、透光材料からなるバルブに放電ガスが封入されてなる無電極放電灯に近接配置された誘導コイルに高周波電力を供給し誘導コイルに高周波電磁界を発生させこの高周波電磁界によってバルブ内に放電を発生させる無電極放電灯点灯装置であって、誘導コイルに高周波電力を供給する電源部と、電源部の出力の周波数を制御する制御部とを備え制御部は、電源部の出力の周波数を無電極放電灯が点灯可能な範囲とする点灯期間と、電源部の出力の周波数を無電極放電灯が点灯不可能な範囲とする消灯期間とを、交互に繰り返す調光動作が可能であって、点灯期間中に電源部の出力の周波数がとり得る範囲を周期的に変化させることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、点灯期間中に電源部の出力の周波数がとり得る範囲そのものを周期的に変化させることにより、輻射ノイズの強度が抑制される。また、各点灯期間で電源部の出力の周波数がとり得る範囲を共通とする場合と違い、オンデューティを低くしても、輻射ノイズの強度の抑制の効果が得られる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、制御部は、各点灯期間において、それぞれ、点灯期間の開始時から点灯期間の終了時にかけて、電源部の出力の周波数を徐々に変化させることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、点灯期間中に電源部の出力の周波数を変化させない場合に比べ、輻射ノイズの強度がさらに抑制される。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、制御部は、次の点灯期間において無電極放電灯が点灯開始する時点での電源部から誘導コイルへの出力電圧の実効値が低くなるような消灯期間ほど継続時間を短くすることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、誘導コイルへの出力電圧の実効値が低くなり無電極放電灯の点灯に時間がかかって実質的な点灯時間が短くなる程度を、直前の消灯期間を短くすることによって抑制することができる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、制御部は、消灯期間に電源部の出力の周波数がとり得る範囲も、周期的に変化させることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、消灯期間中の輻射ノイズの強度も抑制することができる。また、点灯期間についてのみ電源部の出力の周波数がとり得る範囲を変化させる場合に比べ、簡単な回路で実現して製造コストを低減することができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の無電極放電灯点灯装置と、無電極放電灯点灯装置によって点灯される無電極放電灯と無電極放電灯点灯装置とをそれぞれを保持する器具本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、点灯期間中に電源部の出力の周波数がとり得る範囲そのものを周期的に変化させることにより、輻射ノイズの強度が抑制される。また、各点灯期間で電源部の出力の周波数がとり得る範囲を共通とする場合と違い、オンデューティを低くしても、輻射ノイズの強度の抑制の効果が得られる。
【0018】
請求項2の発明によれば、制御部は、各点灯期間において、それぞれ、点灯期間の開始時から点灯期間の終了時にかけて、電源部の出力の周波数を徐々に変化させるので、点灯期間中に電源部の出力の周波数を変化させない場合に比べ、輻射ノイズの強度がさらに抑制される。
【0019】
請求項3の発明によれば、制御部は、次の点灯期間において無電極放電灯が点灯開始する時点での電源部から誘導コイルへの出力電圧の実効値が低くなるような消灯期間ほど継続時間を短くするので、誘導コイルへの出力電圧の実効値が低くなり無電極放電灯の点灯に時間がかかって実質的な点灯時間が短くなる程度を、直前の消灯期間を短くすることによって抑制することができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、制御部は、消灯期間に電源部の出力の周波数がとり得る範囲も、周期的に変化させるので、消灯期間中の輻射ノイズの強度も抑制することができる。また、点灯期間についてのみ電源部の出力の周波数がとり得る範囲を変化させる場合に比べ、簡単な回路で実現して製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
本実施形態の無電極放電灯点灯装置1は、図2に示すように、交流電源ACから交流電力を電圧値VDCの直流電直に変換する直流電源回路2と、直流電源回路2が出力した直流電力を電圧値Vcoilの高周波電力に変換する電源部としてのインバータ回路3と、インバータ回路3を制御する制御回路4と、インバータ回路3から供給される高周波電力により高周波電磁界を生成する誘導コイル5とを備える。
【0023】
誘導コイル5は図3に示すように円筒形状のカプラ50に巻回される。図3の例では、無電極放電灯点灯装置1は、金属製のケース10に収納され、給電線11を介して誘導コイル5に電気的に接続されている。
【0024】
無電極放電灯6は、図4に示すように、例えばガラスのような透明な材料からなり外面に凹部60を有する中空のバルブ61と、合成樹脂からなる筒形状であってバルブ61に対し凹部60の開口を囲む形で取り付けられた口金62とを有し、凹部60にカプラ50が挿入されることによって誘導コイル5の近傍に配置される。バルブ61には、例えば不活性ガスと金属蒸気とを含む放電ガスが封入されている。また、バルブ61の凹部60の底面には、カプラ50に挿入される凸部61aが突設されている。さらに、バルブ61の内面には保護膜62と蛍光体膜63とが設けられている。すなわち、誘導コイル5が発生させる高周波電磁界によってバルブ61内に放電が発生すると、発生した紫外線が蛍光体膜63において可視光に変換されることにより、無電極放電灯6が発光する。
【0025】
直流電源回路2は、交流電源ACから供給された交流電流を全波整流するダイオードブリッジDBと、ダイオードブリッジDBの出力端間に接続されたインダクタL1とダイオードD1と平滑コンデンサC1との直列回路と、インダクタL1とダイオードD1との接続点とダイオードブリッジDBの低電圧側の出力端との間に接続されたスイッチング素子Q1と、平滑コンデンサC1の両端電圧VDCを一定とするようなデューティ比でスイッチング素子Q1をオンオフ駆動する電圧制御部21とを備える、周知の昇圧型コンバータである。
【0026】
インバータ回路3は、直流電源回路2の出力端間すなわち平滑コンデンサC1の両端間に接続されたスイッチング素子Q2,Q3の直列回路と、ローサイドのスイッチング素子Q3の両端間に接続されたインダクタLsと並列コンデンサCpとの直列回路と、誘導コイル5との直列回路が並列コンデンサCpに対して並列に接続された直列コンデンサCsと、スイッチング素子Q3,Q4を交互にオンオフ駆動する駆動部31とを備える。駆動部31は、入力端CONから流出する制御電流Ivpが多いほど高い動作周波数fでスイッチング素子Q2,Q3をオンオフする。通常、動作周波数fは、インバータ回路3と誘導コイル5とが構成する共振回路の共振周波数(以下、単に「共振周波数」と呼ぶ。)よりも高い範囲とされる。
【0027】
制御回路4は、PWM信号Vpwmを出力するPWM発振回路40と、PWM発振回路40からPWM信号Vpwmを入力され該PWM信号Vpwmのオン期間にはインバータ回路3の出力電圧(以下、「コイル電圧」と呼ぶ。)Vcoilの実効値を徐々に増加させるようにインバータ回路3の出力の周波数を徐々に変化させる始動スイープ回路41とを備える。
【0028】
始動スイープ回路41は、一端が定電圧源E1に接続された抵抗R1と、抵抗R1の他端に一端が接続された抵抗R2とコンデンサC2との並列回路と、この並列回路の他端に抵抗R3を介して反転入力端子が接続されるとともに帰還抵抗R4を介して出力端と反転入力端子とが接続されたオペアンプOP1と、オペアンプOP1の出力端に一端が接続された抵抗R5と、抵抗R5の他端にカソードが接続されアノードが駆動部31の入力端CONに接続されたダイオードD2と、コンデンサC2の両端間に接続されPWM発振回路40からのPWM信号Vpwmによってオンオフ駆動されるスイッチング素子Q4と抵抗R6との直列回路とを備える。
【0029】
始動スイープ回路41の動作を説明する。PWM信号VpwmがLレベルである期間には、スイッチング素子Q4がオフされ、定電圧源E1の出力が抵抗R1,R2で分圧された電圧によってコンデンサC2が充電され、オペアンプOP1の出力電圧Vfが徐々に上昇する。すると、制御電流Ivpが減少し動作周波数fが低くなって共振周波数に近づくことにより、コイル電圧Vcoilの実効値は徐々に高くなる。やがて、コイル電圧Vcoilの実効値が十分に高くなり、無電極放電灯6において放電が開始されると、無電極放電灯6は点灯を開始する。つまり、PWM信号VpwmがLレベルである期間が、請求項における点灯期間となる。
【0030】
PWM信号VpwmがHレベルである期間には、スイッチング素子Q4がオンされ、コンデンサC2への充電が停止されるとともにコンデンサC2が放電されることで、オペアンプOP1の出力電圧Vfが低下する。すると、制御電流Ivpが増加し動作周波数fが高くなって共振周波数から離れることにより、コイル電圧Vcoilの実効値は低くなる。そして、コイル電圧Vcoilの実効値が、無電極放電灯6の点灯維持に必要な程度を下回ることにより、無電極放電灯6は消灯する。つまり、PWM信号VpwmがHレベルである期間が、請求項における消灯期間となる。
【0031】
さらに、本実施形態の制御回路4は、動作周波数fを分散させるための周波数分散回路42を備える。周波数分散回路42は、PWM信号Vpwmに同期して発振する発振回路42aと、発振回路42aの出力を基準としたタイミングで変化する出力を発生する周波数制御回路42bとを備える。周波数制御回路42bは、アノードを駆動部31の入力端CONに向けた逆流防止用のダイオードD3を介して駆動部31の入力端CONに接続されており、PWM信号Vpwmの2周期毎に、PWM信号Vpwmが立ち上がるタイミング(すなわち、コイル電圧Vcoilの実効値が立ち下がるタイミング)で、高低2段階の出力電圧を択一的に切り換え、始動スイープ回路41の出力に重畳する。そして、PWM信号Vpwmのオンデューティを100%とした場合、すなわち消灯期間を設けない場合には、時間tに対するコイル電圧Vcoilと動作周波数fとの変化はそれぞれ図5のようになる。
【0032】
すなわち、本実施形態においては、図1及び図6に示すように、周波数分散回路42の出力電圧が高いことにより動作周波数fが低くされる期間Aであって、且つ、PWM信号VpwmがLレベルである点灯期間ONである期間に、平均の動作周波数f4が最も低くなってコイル電圧Vcoilの実効値が最も高くなる。また、周波数分散回路42の出力電圧が低いことにより動作周波数fが高くされる期間Bであって、且つ、PWM信号VpwmがHレベルである消灯期間OFFである期間に、平均の動作周波数f1が最も高くなってコイル電圧Vcoilの実効値が最も低くなる。さらに、周波数分散回路42により動作周波数fが低くされる期間Aであって且つ消灯期間OFFである期間の平均の動作周波数f2は、周波数分散回路42により動作周波数fが高くされる期間Bであって且つ点灯期間ONである期間の平均の動作周波数f3よりも高くされていて、前者の動作周波数f2は無電極放電灯6が消灯する程度に高く、後者の動作周波数f3は無電極放電灯6が点灯可能な程度に低くされている。なお、図1において、点灯期間ONの開始直後のコイル電圧Vcoilの振幅のピークは、無電極放電灯6の点灯開始時の特性の変化によるものである。また、図6において、曲線aは無電極放電灯6が点灯していない状態での特性を示し、曲線bは無電極放電灯6が点灯した状態での特性を示す。つまり、本実施形態の制御回路4は、点灯期間ON中の動作周波数fと、消灯期間OFF中の動作周波数fとを、それぞれPWM信号Vpwmの周期の4倍の周期(つまり4分の1の周波数)で、周期的に変化させている。
【0033】
上記構成によれば、周波数分散回路42によって、点灯期間ON同士や消灯期間OFF同士でも2通りずつの動作周波数fが分散して用いられるため、輻射ノイズの周波数が分散されることになるから、輻射ノイズの強度が抑制される。
【0034】
また、点灯期間ONの継続時間が短いとき、すなわちオンデューティが低いときにも、動作周波数fが分散し、オンデューティが高いときと同様の効果が得られる。
【0035】
ここで、コイル電圧Vcoilの実効値が立ち上がるタイミング(すなわち消灯期間から点灯期間に移行するタイミング)で周波数分散回路42の出力が切り換えられる場合には、コイル電圧Vcoilの波形の乱れにより、無電極放電灯6の点灯に時間がかかって実質的な点灯時間が短縮されることで光出力が低下してしまったり、電磁ノイズが比較的に多くなるといったことが考えられる。これに対し、本実施形態では、コイル電圧Vcoilの実効値が立ち下がるタイミング(すなわち点灯期間から消灯期間に移行するタイミング)で周波数分散回路42の出力が切り換えられるので、コイル電圧Vcoilの実効値が立ち上がるタイミングで周波数分散回路42の出力が切り換えられる場合に比べ、光出力の低下や電磁ノイズの発生といった、コイル電圧Vcoilの波形の乱れによる影響が抑制される。
【0036】
また、従来例のように点灯期間中に動作周波数fを徐々に高くすると、オンデューティが高い領域ほど、オンデューティの変化幅に対する光出力の変化幅が小さくなるといったように、オンデューティと光出力との対応関係において線型性が低くなる。これに対し、上記の実施形態では、個々の点灯期間ONの継続時間中には始動スイープ回路41の動作以外では動作周波数fを変化させないから、従来例のように点灯期間中に徐々に動作周波数を変化させる場合に比べ、PWM信号Vpwmのオンデューティの変化幅と無電極放電灯6の光出力との対応関係において線型性が高くなることにより、オンデューティによる光出力の制御が容易となっている。
【0037】
さらに、周波数分散回路42において、発振回路42aを設ける代わりに、周波数制御回路42bがPWM信号Vpwmの立ち上がりを2回検出する度に出力を変化させるようにしてもよい。この構成を採用すれば、発振回路42aを不要として製造コストを低減することができる。
【0038】
なお、周波数分散回路42による動作周波数fの周期的な変更は、上記の実施形態では高低の2段階となっているが、3段階以上としてもよく、その場合には、輻射ノイズの周波数がより分散されることになるから、輻射ノイズの強度をさらに抑制することができる。
【0039】
さらに、周波数制御回路42bの出力の波形を適宜変更すれば、図7や図8に示すように消灯期間での動作周波数fを変動させずに点灯期間での動作周波数fのみを周期的に変化させることも可能であり、この場合には、消灯期間での動作周波数fも変動させた図1の例と違い、消灯期間中については輻射ノイズの強度の抑制の効果は得られないものの、消灯期間中の動作周波数fを共振周波数に対して十分に高く維持することで消灯期間中の消費電力を低減することができる。図7ではPWM信号Vpwmのオンデューティが50%であり、図8ではPWM信号Vpwmのオンデューティが75%である。図8の例では、図7の例よりもオンデューティが高く消灯期間が短いことにより、点灯期間の開始から無電極放電灯6が点灯してコイル電圧Vcoilが低下するまでの時間(以下、「再点弧時間」と呼ぶ。)が短くなっている。
【0040】
また、図9に示すように、PWM信号Vpwmに連動する矩形波状の電圧を出力する電圧生成回路43を設けるとともに、始動スイープ回路41のコンデンサC2の充電に定電圧源E1を用いる代わりに、電圧生成回路43の出力電圧によってコンデンサC2を充電するようにしてもよい。図9の構成は、図1の構成に比べ、抵抗R6とスイッチング素子Q4との直列回路と、コンデンサC2に並列に接続された抵抗R2と、コンデンサC2を定電圧源E1に接続する抵抗R1とが設けられていない点と、コンデンサC2においてオペアンプOP1の非反転入力端子に接続された一端が、アノードが電圧生成回路43に接続されたダイオードD4と充電側抵抗R7との直列回路と、カソードが電圧生成回路43に接続されたダイオードD5との放電側抵抗R8との直列回路との並列回路を介して、電圧生成回路43に接続されている点とが異なる。すなわち、周波数分散回路42の寄与を除外した動作としては、電圧生成回路43の出力がHレベルである期間には、電圧生成回路43のHレベルでの出力電圧によるコンデンサC2の両端電圧の最高値に応じた動作周波数fの最低値まで、充電側抵抗R7の抵抗値とコンデンサC2の容量値とによって決定する時定数で動作周波数fが徐々に低くなり、逆に、電圧生成回路43の出力がLレベルである期間には、電圧生成回路43のLレベルでの出力電圧によるコンデンサC2の両端電圧の最低値に応じた動作周波数fの最高値まで、放電側抵抗R8の抵抗値とコンデンサC2の容量値とによって決定する時定数で動作周波数fが徐々に高くなる。また、周波数分散回路42は、PWM信号Vpwmに同期した出力を生成するものであって、点灯期間中には動作周波数fを徐々に高くする出力であって動作周波数fの平均値が互いに異なる2パターンの出力を交互に生成する。つまり、点灯期間中に動作周波数fがとり得る範囲を周期的に変化させている。これにより、図10に示すように、各消灯期間では動作周波数f及びコイル電圧Vcoilの実効値が一定に維持されるとともに、各点灯期間においてコンデンサC2の両端電圧が最高値に達してから点灯期間の終了までは、周波数分散回路42の出力によって動作周波数fが徐々に高くなりコイル電圧Vcoilの実効値が徐々に低下する。また、連続する2個の点灯期間の間では、動作周波数fやコイル電圧Vcoilの実効値がとり得る範囲が互いに異なる。つまり、図9及び図10の例では、制御回路4は、無電極放電灯6のオンオフの周期の2倍の周期で、点灯期間中に動作周波数fがとり得る範囲(上限値及び下限値)を周期的に変化させているのであって、開始時点での動作周波数fが低い(すなわち動作周波数fの下限値が低い)点灯期間ほど、終了時点での動作周波数f(すなわち点灯期間内での動作周波数fの上限値)を低くしている。これにより、点灯期間中で動作周波数fを変化させない場合や、動作周波数fの変化範囲を全ての点灯期間で共通とする場合に比べ、輻射ノイズの強度が低減される。なお、上記のように点灯期間中に動作周波数fを徐々に高くすると、オンデューティが高い領域ほど、オンデューティの変化幅に対する光出力の変化幅が小さくなる。これにより、1個の点灯期間内での動作周波数fの変化幅を大きくするほど、オンデューティによる光出力の制御が困難となるので、1個の点灯期間内での動作周波数fの変化幅はあまり大きくしないことが望ましい。図9及び図10の例では、連続する2個の点灯期間の間で動作周波数fがとり得る範囲を互いに異ならせることで、点灯期間中に動作周波数fがとり得る範囲を周期的に変化させているので、複数個の点灯期間の全体としての動作周波数fの変化幅を、1個の点灯期間の中での動作周波数fの変化幅の割に大きくすることが可能となっている。
【0041】
ところで、開始時に動作周波数fが高くコイル電圧Vcoilの実効値が低い点灯期間ほど、無電極放電灯6の点灯に時間(再点弧時間)がかかることにより、無電極放電灯6が実際に点灯してから次の消灯期間が開始されて無電極放電灯6が消灯されるまでの実質的な点灯時間が短くなりやすい。そこで、制御回路4が、図11に示すように、複数周期分(図11では2周期分)の点灯期間と消灯期間とを1個の制御期間として扱い、制御期間全体としてのオンデューティがPWM信号Vpwmのオンデューティに一致するように、制御期間内の各消灯期間の継続時間を互いに異ならせ、次の点灯期間が、開始時の動作周波数fが高く(つまりコイル電圧Vcoilの実効値が低く)再点弧時間が長くなりやすい点灯期間であるような消灯期間ほど、継続時間を短くするようにしてもよい。この構成を採用すれば、開始時のコイル電圧Vcoilの実効値が低いことによる再点弧時間の延長が、直前の消灯期間が短くされることによる再点弧時間の短縮で相殺されるから、点灯期間の間での動作周波数fの差による実質的な点灯時間の差が抑制される。このような制御回路4は例えばマイクロコンピュータを用いて周知技術で実現可能であるので、詳細な図示及び説明は省略する。
【0042】
ここで、上記の各例では、それぞれ、PWM信号Vpwmとして、制御回路4内のPWM信号発振回路40が生成したものが用いられているが、これに限られず、外部から入力されたPWM信号Vpwmが用いられるようにしてもよい。
【0043】
また、制御回路4が、消灯期間にはインバータ回路3の出力を停止させるようにしてもよい。このような制御回路4は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0044】
上記各種の無電極放電灯点灯装置1は、例えば図12や図13に示すように、無電極放電灯6やカプラ50とともに適宜形状の器具本体71に保持されて照明器具7を構成することができる。このような器具本体71や照明器具7は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態の動作を示す説明図である。
【図2】同上を示す回路ブロック図である。
【図3】同上の使用形態の一例を示す斜視図である。
【図4】無電極放電灯の構造の一例を示す説明図である。
【図5】同上においてPWM信号のオンデューティを100%としたときの動作を示す説明図である。
【図6】同上における動作周波数とコイル電圧との関係を示す説明図である。
【図7】同上の別の形態の、PWM信号のオンデューティが50%であるときの動作を示す説明図である。
【図8】図7の形態の、PWM信号のオンデューティが75%であるときの動作を示す説明図である。
【図9】同上の更に別の形態を示す回路ブロック図である。
【図10】図9の形態の動作を示す説明図である。
【図11】同上の別の形態の動作を示す説明図である。
【図12】同上を用いた照明器具の例を示す説明図である。
【図13】同上を用いた照明器具の別の例を示す説明図である。
【図14】従来例の動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1 無電極放電灯点灯装置
3 インバータ回路(請求項における電源部)
4 制御回路
7 照明器具
71 器具本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光材料からなるバルブに放電ガスが封入されてなる無電極放電灯に近接配置された誘導コイルに高周波電力を供給し誘導コイルに高周波電磁界を発生させこの高周波電磁界によってバルブ内に放電を発生させる無電極放電灯点灯装置であって、
誘導コイルに高周波電力を供給する電源部と、
電源部の出力の周波数を制御する制御部とを備え
制御部は、電源部の出力の周波数を無電極放電灯が点灯可能な範囲とする点灯期間と、電源部の出力の周波数を無電極放電灯が点灯不可能な範囲とする消灯期間とを、交互に繰り返す調光動作が可能であって、点灯期間中に電源部の出力の周波数がとり得る範囲を周期的に変化させることを特徴とする無電極放電灯点灯装置。
【請求項2】
制御部は、各点灯期間において、それぞれ、点灯期間の開始時から点灯期間の終了時にかけて、電源部の出力の周波数を徐々に変化させることを特徴とする請求項1記載の無電極放電灯点灯装置。
【請求項3】
制御部は、次の点灯期間において無電極放電灯が点灯開始する時点での電源部から誘導コイルへの出力電圧の実効値が低くなるような消灯期間ほど継続時間を短くすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の無電極放電灯点灯装置。
【請求項4】
制御部は、消灯期間に電源部の出力の周波数がとり得る範囲も、周期的に変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無電極放電灯点灯装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の無電極放電灯点灯装置と、無電極放電灯点灯装置によって点灯される無電極放電灯と無電極放電灯点灯装置とをそれぞれを保持する器具本体とを備えることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−238531(P2009−238531A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82091(P2008−82091)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】