説明

焦点検出装置、撮像装置

【課題】複数の焦点検出エリアを有する撮像素子においてデフォーカス量を算出する際に同時性を確保する。
【解決手段】撮像装置1に備わる撮像素子31には、撮像画素が二次元状に配列され、複数の撮像画素の間に複数の焦点検出画素列eが配列されている。複数の焦点検出画素列は、撮像装置1の複数の焦点検出エリアにそれぞれ対応している。撮像素子駆動制御回路32aは、各焦点検出エリアに対応する焦点検出画素列から焦点検出信号列を時系列的に繰り返し読み出す。読み出された焦点検出信号列は、時系列に内部メモリ32cに記憶される。ボディCPU32dは、加算処理の対象となる焦点検出信号列の中心時刻tcを決定する。さらに、ボディCPU32dは、決定した中心時刻tcに基づいて、加算処理において加算する焦点検出信号列の選択を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は焦点検出装置およびその焦点検出装置を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
位相差検出方式に用いる焦点検出画素列を有する撮像素子を備えた撮像素子において、これら焦点検出画素列から読み出された焦点検出信号列をそれぞれ時系列に加算し、所定値以上の信号レベルを有する加算値を得て、その加算値に基づいてそれぞれデフォーカス量の算出を行う撮像装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−85738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、撮像素子に複数の焦点検出エリアが存在するとき、各焦点検出エリアにおいて加算する加算中心がばらつき、各焦点検出エリアごとにデフォーカス量の算出に用いられる焦点検出信号の同時性がないという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施の形態による焦点検出装置は、複数の焦点検出エリアを有する焦点検出装置であって、二次元状に配列される複数の撮像画素と、複数の焦点検出エリアにそれぞれ対応して複数の撮像画素の間に配置される複数の焦点検出画素列とを有し、結像光学系からの光束を受光する撮像素子と、複数の焦点検出エリアの各々に対応する焦点検出画素列から焦点検出信号列を時系列的に繰り返し読み出す読出手段と、読出手段によって読み出された各焦点検出エリアに対応する焦点検出信号列に基づき、各焦点検出エリアにおける結像光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出手段と、読出手段により時系列的に繰り返し読み出される各焦点検出エリアに対応する時系列の焦点検出信号列を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された焦点検出エリアに対応する時系列の複数の焦点検出信号列を、各焦点検出エリア毎に加算値が所定値に達するまで、加算する加算手段と、加算手段で加算する際に、各焦点検出エリアの加算中央の時間を略同時刻となるように制御する加算制御手段と、を備え、焦点検出手段は、加算手段によって加算された焦点検出信号列に基づき、当該焦点検出信号列に対応する焦点検出エリアにおける結像光学系の焦点調節状態を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
複数の焦点検出エリアを有する撮像素子においても、同時性を確保しつつ算出したデフォーカス量に基づいて、焦点調節状態を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態による撮像装置の一構成例を示す断面図である。
【図2】撮像画面に対応する撮像素子の平面図の一例である。
【図3】焦点検出画素の平面図の一例である。
【図4】複数の焦点検出エリアを有する撮影画面の一例である。
【図5】ボディ駆動制御装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図6】焦点検出信号の加算処理について説明するための図である。
【図7】焦点検出信号の加算処理について一例を示す図である。
【図8】焦点検出信号の加算処理対象とする焦点検出信号列を選択した結果の一例を示す図である。
【図9】加算処理対象とする焦点検出信号列を選択した後の焦点検出信号の加算処理について説明するための図である。
【図10】焦点検出処理に関するフローチャートの一例である。
【図11】変形例の撮像装置の一構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の一実施の形態による撮像装置の一構成例を示すブロック図である。図1に例示される撮像装置1は、交換レンズ2とカメラボディ3とから構成される。交換レンズ2は、マウント部4を介してカメラボディ3に交換可能に装着される。
【0009】
交換レンズ2は、レンズ21a〜21cを含む結像光学系21と、絞り22と、レンズ駆動制御装置23とを備える。レンズ21aおよび21cはズーミング用のレンズであり、レンズ21cはフォーカシング用のレンズとしても作用する。これらのレンズ21a、21cはレンズ駆動制御装置23によって制御される不図示のモータにより光軸方向に駆動される。
【0010】
レンズ駆動制御装置23は、マイクロコンピューターとメモリなどの周辺部品によって構成される。レンズ駆動制御装置23は、レンズ21a、レンズ21c、および絞り22の駆動制御、絞り22および結像光学系21の状態検出、電気接点部5を介してカメラボディ3との間で行われる情報の送受信などの処理を行う。
【0011】
カメラボディ3は、撮像素子31とボディ駆動制御装置32とメモリーカード33と液晶表示素子駆動回路34と液晶表示素子35と接眼レンズ36とを備える。
【0012】
撮像素子31は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどから構成される。図2は、撮像素子31の正面図の一例である。図2(a)に示すように、撮像素子31には撮像画素が2次元状に配置され、複数の撮像画素の間に焦点検出画素列311a〜311eが配置されている。
【0013】
図2(b)は、焦点検出画素列311a近傍の拡大図である。図2(b)に示すように、焦点検出画素列311aには焦点検出画素312、313が直線状に交互に配列されている。焦点検出画素列311aの周囲には、赤(R)、緑(G)、青(B)の3種類の色フィルタを有する撮像画素310が二次元状にベイヤ配列されている。焦点検出画素列311b〜311eについても同様に焦点検出画素312、313が直線状に交互に配列され、その周囲に撮像画素310がベイヤ配列されている。
【0014】
図3は焦点検出画素312、313の拡大図である。図3(a)に示すように、焦点検出画素312はマイクロレンズ10と光電変換部12から構成される。また、図3(b)に示すように、焦点検出画素313はマイクロレンズ10と光電変換部13から構成される。光電変換部12と13はマイクロレンズ10を重ね合わせて表示した場合、左右水平方向に並んでいる。光電変換部12、13は、マイクロレンズ10を介して光束を受光すると光束の明るさに対応したアナログ信号を出力する。以降、焦点検出画素312、313の光電変換部12、13から出力されるアナログ信号を焦点検出信号と称する。そして、焦点検出画素列311a〜311eに配列された焦点検出画素312、313から出力される焦点検出信号の列を焦点検出信号列と称する。
【0015】
図4は、撮像装置1の撮影画面の一例を示す図である。図4に例示される撮影画面100には、焦点検出エリア101〜105が設定されている。撮像素子31の焦点検出画素列311a〜311eは、焦点検出エリア101〜105に対応する位置に配置される。
【0016】
図5は、ボディ駆動制御装置32の内部構成を説明するためのブロック図である。図5に例示するボディ駆動制御装置32は、撮像素子駆動制御回路32aとAD変換回路32bと内部メモリ32cとボディCPU32dとを備える。
【0017】
撮像素子駆動制御回路32aは、撮像素子31を制御して、撮像素子31の各画素から出力信号を繰り返し読み出して、出力信号列をAD変換回路32bへ出力する。また、撮像素子駆動制御回路32aは、AD変換回路32bを制御して撮像素子31から読み出された撮像信号列や焦点検出信号列などの出力信号列をA/D変換する。内部メモリ32cは、AD変換回路32bによりA/D変換された出力信号列を記憶する。
【0018】
ボディCPU32dは、内部メモリ32cに記憶された撮像信号列に基づいた画像処理や、内部メモリ32cに記憶された焦点検出信号列に基づいたデフォーカス量の算出、レンズ駆動制御装置23へのデフォーカス量に関する情報の送信、レンズ駆動制御装置23から送信される各種情報の受信等の各種処理を行う。レンズ駆動制御装置23は、電気接点部5を介してボディCPU32dからデフォーカス量に関する情報を送信されると、その情報に基づいて不図示のモータを介してフォーカシング用のレンズ21cを駆動し、結像光学系21の焦点調節を行う。ボディCPU32dにより画像処理された撮像信号列は、撮像画像として液晶表示素子35に表示されたり、撮像画像データとしてメモリーカード33に記憶される。
【0019】
メモリーカード33はカメラボディ3に脱着可能であり、撮像画像データを記憶する可搬記憶媒体である。液晶表示素子35は、液晶ビューファインダー(EVF:電気的ビューファインダー)であって、液晶表示素子駆動回路34によって駆動される。撮影者は接眼レンズ36を介して液晶表示素子35に表示された像を観察することができる。
【0020】
内部メモリ32cに記憶された焦点検出信号列に基づいたデフォーカス量の算出について説明する。各焦点検出エリア101〜105に対応した焦点検出画素列311a〜311eから読み出された焦点検出信号列は、AD変換回路32bによりA/D変換され、内部メモリ32cに時系列的に記憶される。このように内部メモリ32cに記憶された焦点検出信号列には、焦点検出画素列311a〜311eに含まれる焦点検出画素312から読み出された焦点検出信号と、焦点検出画素313から読み出された焦点検出信号とが含まれる。ボディCPU32dは、焦点検出画素312から読み出された焦点検出信号の信号列と、焦点検出画素313から読み出された焦点検出信号の信号列とに基づいて、デフォーカス量を算出する。
【0021】
撮像画素の間に配列された焦点検出画素の出力信号レベルは、撮像画素の出力信号レベルと比べて低レベルとなる傾向にある。焦点検出画素の出力レベルが低レベルのままデフォーカス量を算出しても、ノイズの影響を受けて大きな誤差が生じたり、焦点検出不能になってしまう。そこで、デフォーカス量の算出を行う際、焦点検出信号の出力信号レベルが不足しているときは過去の焦点検出信号との加算を行う加算処理がボディCPU32dにより実行される。
【0022】
図6は、加算処理を説明するための図である。図6において、横軸は焦点検出画素列における焦点検出画素の位置であり、縦軸は焦点検出信号の出力レベルである。加算処理は、各焦点検出エリア101〜105ごとに行われるが、図6の説明においては焦点検出エリア104における加算処理を例に説明する。また、フレームyに焦点検出エリアxに対応する焦点検出信号列から読み出され内部メモリ32cに記憶された焦点検出信号列をS(x,y)と記載することにする。まず今回フレームnに内部メモリ32cに記憶された焦点検出エリア104の焦点検出信号列S(104,n)の出力レベルの中から信号レベルが最大の焦点検出信号Pnを検出する。この最大の焦点検出信号Pnが所定の閾値Pthに達していない場合には、内部メモリ32cから前回の過去フレームn−1に内部メモリ32cに記憶された焦点検出エリア101の焦点検出信号列S(104,n−1)を読み出して加算する。加算値の最大値Pn−1が所定値Pthを達していない場合にはさらに前々回の過去フレームn−2の焦点検出信号列S(104,n−2)を加算する。このような加算を加算値の最大値が所定の閾値Pthに達するまで繰り返すことにより、加算データは焦点検出処理に適した信号レベルに達する。図6の例では、過去フレームn−3まで時系列に加算したとき焦点検出エリア104に対する加算値の最大値Pn−3が所定の閾値Pthに達している。
【0023】
図7は、加算処理の実行結果の一例である。図7に示す実行結果例は、内部メモリ32cに記憶されている各焦点検出エリア101〜105の時系列の焦点検出信号列について加算処理を行った結果を示している。図7には、今回フレームnから過去フレームn−5までの焦点検出エリアx(焦点検出エリア101〜105)の焦点検出信号列S(x,y)がセルとして表示されている。図7では、加算処理で時系列に加算された焦点検出信号列のセルは黒色で塗りつぶされている。つまり、焦点検出エリア101は過去フレームn−2まで加算することにより所定の閾値Pthに達し、焦点検出エリア102は今回フレームnのみで所定の閾値Pthに達し、焦点検出エリア103は過去フレームn−5まで加算することにより所定の閾値Pthに達し、焦点検出エリア104は過去フレームn−3まで加算することにより所定の閾値Pthに達し、焦点検出エリア105は過去フレームn−1まで加算することにより所定の閾値Pthに達した状態が例示されている。
【0024】
図7では、各焦点検出エリア101〜105ごとに黒色のセルの中心がばらついている。すなわち、各焦点検出エリア101〜105において加算された時系列の複数の焦点検出信号列の略中央の焦点検出信号列がそれぞれ読み出された時刻にばらつきが生じている。ボディCPU32dは、各焦点検出エリア101〜105について加算される時系列の複数の焦点検出信号列の略中央の焦点検出信号列が各焦点検出エリア101〜105から略同時刻に読み出された焦点検出信号列になるように焦点検出信号列を再選択して加算処理を再度実行する。
【0025】
図8は、各焦点検出エリア101〜105の加算処理において加算する焦点検出信号列をボディCPU32dが再選択した結果の一例を示す。図8では、焦点検出エリア103の加算中央の時刻tcを中心に加算する焦点検出信号列を表す黒色のセルが再配置されている。
【0026】
ボディCPU32dは、図7のように今回フレームnから時系列的に加算した場合に加算した回数を各焦点検出エリア101〜105ごとに算出し、その中で加算回数が最大となる焦点検出エリアを検出する。図7の例では、焦点検出エリア103の加算回数が今回フレームnの焦点検出信号列に5個の過去フレームの焦点検出信号列を時系列に加算しており、加算回数が最大である。
【0027】
加算回数が最大となった焦点検出エリアを検出したら、ボディCPU32dはその焦点検出エリアにおいて略中央の焦点検出信号列が読み出された加算中央の時刻tcを算出する。そして、ボディCPU32dは、各焦点検出エリア101〜105ごとに算出した加算回数と、算出された時刻tcとに基づいて、各焦点検出エリア101〜105の加算処理において加算する焦点検出信号列を再選択する。
【0028】
図9は、図8のように再選択されたときに実行される加算処理の計算式を示す。図8のS(101,n−4)などのように黒色に半分塗られたセルに相当する焦点検出信号列は、対応するフレームの焦点検出信号列に1/2など、所定の係数を乗じてから加算している。なお、所定の係数は1/2に限定されず1でもよい。このようにして加算された焦点検出信号列において、焦点検出画素312に対応する焦点検出信号列と焦点検出画素313に対応する焦点検出信号列とに基づいて、ボディCPU32dは各焦点検出エリアのデフォーカス量を算出する。ボディCPU32dは、算出した各焦点検出エリアのデフォーカス量に基づいて、レンズ駆動制御装置23に送信するデフォーカス量を決定する。たとえば、各焦点検出エリアのデフォーカス量の平均値をレンズ駆動制御装置23に送信する。
【0029】
図10は、ボディ駆動制御装置32が実行する焦点検出処理に関するフローチャートである。図10の処理は、撮像装置1の電源が投入されときに開始される。ステップS110では、ボディ駆動制御装置32の撮像素子駆動制御回路32aは、撮像素子31から焦点検出エリア101〜105の焦点検出信号列を含む出力信号列を読み込む。ステップS120では、撮像素子駆動制御回路32aは、AD変換回路32bを制御してステップS110で読み込まれた出力信号をAD変換し、内部メモリ32cへ記憶する。
【0030】
ステップS130では、ボディCPU32dは、内部メモリ32cに記憶されている各焦点検出エリア101〜105の時系列の焦点検出信号列に基づいて、加算処理における加算値の最大値が所定の閾値Pthに達するまでの加算回数を算出する。
【0031】
ステップS140では、ボディCPU32dは、加算中央の時刻とする中心時刻tcを決定する。中心時刻tcは、たとえば加算回数が最大となる焦点検出エリア(図8における焦点検出エリア103)における加算中央の時刻とすればよい。
【0032】
ステップS150では、ボディCPU32dは、ステップS140で決定した中心時刻tcと、ステップS130で各焦点検出エリア101〜105ごとに算出した加算回数に基づいて、加算処理に用いる時系列の焦点検出信号列を再選択する。
【0033】
ステップS160では、ステップS150で各焦点検出エリアごとに再選択された焦点検出信号列に基づいて加算処理を実行する。ステップS170では、ステップS160で加算処理を行った焦点検出信号列に基づいて各焦点検出エリアごとにデフォーカス量の算出を行う。
【0034】
各焦点検出エリアごとにデフォーカス量を算出したら、それらのデフォーカス量に基づいて、レンズ駆動制御装置23へ送信するデフォーカス量を決定する。たとえば、各焦点検出エリアごとのデフォーカス量の平均値をレンズ駆動制御装置23へ送信するデフォーカス量として決定し、レンズ駆動制御装置23へ送信する。レンズ駆動制御装置23は、送信されたデフォーカス量に基づいて、フォーカシング用のレンズ21cを駆動制御し、結像光学系21を焦点調節する。
【0035】
以上で説明した実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
撮像装置1は、結像光学系21と、結像光学系21を通過した結像光束を受光する撮像素子31とを備える。撮像素子31には、撮像画素310が二次元状に配列され、複数の撮像画素310の間に複数の焦点検出画素列311a〜311eが配列されている。複数の焦点検出画素列311a〜311eは、撮像装置1の複数の焦点検出エリア101〜105にそれぞれ対応しており、撮像素子駆動制御回路32aの制御により焦点検出信号列が時系列的に繰り返し読み出される。読み出された焦点検出信号列は、時系列に内部メモリ32cに記憶される。ボディCPU32dは、内部メモリ32cに記憶された時系列の焦点検出信号列の加算値が所定の閾値に達するまでの加算回数を算出する(図10のステップS130)。そして、ボディCPU32dは、算出した加算回数に基づいて、加算処理の対象となる焦点検出信号列の中心時刻tcを決定する(ステップS140)。さらに、ボディCPU32dは、各焦点検出エリア101〜105ごとに算出された加算回数と、中心時刻tcとに基づいて、加算処理において加算する焦点検出信号列の再選択を行う(ステップS150)。このとき、各焦点検出エリア101〜105について加算される時系列の複数の焦点検出信号列のほぼ中央の焦点検出信号列は、中心時刻tcに対応する時刻に各焦点検出エリア101〜105から読み出された焦点検出信号列となる。そして、再選択した焦点検出信号列について加算処理を行い、その加算値結果に基づいてデフォーカス量の算出を行う。これにより、複数の焦点検出エリアを有する撮像素子においても、同時性を確保しつつ算出したデフォーカス量に基づいて、結像光学系の焦点調節状態を検出することができる。
【0036】
以上で説明した実施形態は、以下のように変形して実施できる。
上記の実施の形態では、撮像素子31を一つ備える撮像装置1を用いて説明を行ったが、図11のように複数の撮像素子31a、31bを有する撮像装置6にも適用できる。交換レンズ2を通過した結像光束は、ハーフミラー37により分割されて、各分割光束がそれぞれ撮像素子31aおよび31bに導かれる。各撮像素子は複数の焦点検出エリアを有し、各焦点検出エリアからは焦点検出信号列が時系列に繰り返し読み出される。内部メモリ32cには、焦点検出信号列が複数の撮像素子の複数の焦点検出エリアごとに時系列に記憶される。内部メモリ32cに記憶された後は、複数の焦点検出エリアとして、上記の実施形態と同様の処理により各焦点検出エリアごとに加算処理やデフォーカス量の算出処理を行う。
【0037】
上記の実施の形態では、加算回数を算出するとき、内部メモリ32cに記憶されている焦点検出信号列に対して予備的な加算処理を行った。しかし、予備的な加算処理を行わずに所定の閾値Pthと、撮像素子31から読み出された焦点検出信号列の最大値Pmaxとに基づいて、加算回数を推定する演算を行ってもよい。たとえば、Pth/Pmaxを算出し、その算出結果に安全係数などの所定値を乗じた結果を加算回数の推定値として利用してもよい。
【0038】
以上で説明した各実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【符号の説明】
【0039】
1、6 撮像装置
2 交換レンズ
3 カメラボディ
4 マウント部
5 電気接点部
21 結像光学系
21c (フォーカシング用の)レンズ
22 絞り
23 レンズ駆動制御装置
31 撮像素子
32 ボディ駆動制御装置
32a 撮像素子駆動制御回路
32b AD変換回路
32c 内部メモリ
32d ボディCPU
33 メモリーカード
34 液晶表示素子駆動回路
35 液晶表示素子
36 接眼レンズ
37 ハーフミラー
100 撮影画面
101〜105 焦点検出エリア
310 撮像画素
311a〜311e 焦点検出画素列
312、313 焦点検出画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の焦点検出エリアを有する焦点検出装置であって、
二次元状に配列される複数の撮像画素と、前記複数の焦点検出エリアにそれぞれ対応して前記複数の撮像画素の間に配置される複数の焦点検出画素列とを有し、結像光学系からの光束を受光する撮像素子と、
前記複数の焦点検出エリアの各々に対応する焦点検出画素列から焦点検出信号列を時系列的に繰り返し読み出す読出手段と、
前記読出手段によって読み出された前記各焦点検出エリアに対応する焦点検出信号列に基づき、前記各焦点検出エリアにおける前記結像光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出手段と、
前記読出手段により時系列的に繰り返し読み出される前記各焦点検出エリアに対応する前記時系列の焦点検出信号列を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記焦点検出エリアに対応する前記時系列の複数の焦点検出信号列を、前記各焦点検出エリア毎に加算値が所定値に達するまで、加算する加算手段と、
前記加算手段で加算する際に、各焦点検出エリアの加算中央の時間を略同時刻となるように制御する加算制御手段と、
を備え、
前記焦点検出手段は、前記加算手段によって加算された焦点検出信号列に基づき、当該焦点検出信号列に対応する焦点検出エリアにおける前記結像光学系の焦点調節状態を検出することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の焦点検出装置において、
前記読出手段により読み出された焦点検出信号列が前記所定値以上のときは、当該焦点検出信号列が読み出された焦点検出エリアについて前記加算手段による加算を行わず、
前記加算制御手段は、前記読出手段により前記所定値以上の焦点検出信号列が読み出された焦点検出エリアについては、当該焦点検出エリア以外の各焦点検出エリアについて前記加算される時系列の複数の焦点検出信号列のほぼ中央の焦点検出信号列と略同時刻を中心にして当該焦点検出エリアの焦点検出信号列を前記読出手段によって読み出すように制御することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の焦点検出装置において、
前記記憶手段から前記焦点検出エリアに対応する前記時系列の所定個数の焦点検出信号列を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記時系列の所定個数の焦点検出信号列を加算する第2の加算手段と、
前記第2の加算手段により加算された前記時系列の所定個数の焦点検出信号列の第2の加算値が前記所定値に達したか否かを判定する判定手段と、
をさらに備え、
前記複数の焦点検出エリアのそれぞれについて、
前記第2の加算値が前記所定値に達していないと前記判定手段が判定したときは、前記所定個数を第2の所定値だけ増加させて、前記抽出手段と前記加算手段と前記判定手段とを繰り返し、
前記第2の加算値が前記所定値に達していると前記判定手段が判定したときは、前記記憶手段に記憶された当該焦点検出エリアに対応する前記時系列の複数の焦点検出信号列のうち、前記判定手段により前記第2の加算値が前記所定値に達したと判定されたときの前記所定個数の時系列の焦点検出信号列を、前記加算手段が加算することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の焦点検出装置において、
前記加算制御手段は、前記加算手段により前記焦点検出信号列を加算する際に、前記判定手段により前記第2の加算値が前記所定値に達したと判定されたときの前記所定個数が最大となる焦点検出エリアの加算中央の時間と、各焦点検出エリアの前記加算中央の時間とが略同時刻になるように制御することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の焦点検出装置において、
前記加算手段は、前記各焦点検出エリアの各々に対応する焦点検出画素列から前記読出手段によってそれぞれ読み出された焦点検出信号列に基づいて、前記各焦点検出エリアの加算値が所定値に達するまでの加算回数を算出し、前記記憶手段に記憶された前記焦点検出エリアに対応する前記時系列の前記加算回数の焦点検出信号列を加算することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項6】
複数の焦点検出エリアを有する焦点検出装置であって、
二次元状に配列される複数の撮像画素と、前記複数の焦点検出エリアにそれぞれ対応して前記複数の撮像画素の間に配置される複数の焦点検出画素列とを有し、結像光学系からの光束を受光する撮像素子と、
前記複数の焦点検出エリアの各々に対応する焦点検出画素列から焦点検出信号列を時系列的に繰り返し読み出す読出手段と、
前記読出手段によって読み出された前記各焦点検出エリアに対応する焦点検出信号列に基づき、前記各焦点検出エリアにおける前記結像光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出手段と、
前記読出手段により時系列的に繰り返し読み出される前記各焦点検出エリアに対応する前記時系列の焦点検出信号列を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記焦点検出エリアに対応する前記時系列の複数の焦点検出信号列を、前記各焦点検出エリア毎に加算値が所定値に達するまで、加算する加算手段と、
前記各焦点検出エリアに対応する焦点検出信号列について前記加算値が前記所定値に達するまでの加算回数を算出する加算回数算出手段と、
を備え、
前記加算手段は、前記焦点検出信号列を加算する際に、各焦点検出エリアについて前記加算される時系列の複数の焦点検出信号列のほぼ中央の焦点検出信号列が各焦点検出エリアについて前記読出手段によって略同時刻に読み出された焦点検出信号列となるように、前記加算回数に基づき前記加算される時系列の複数の焦点検出信号列を前記記憶手段から選択し、
前記焦点検出手段は、前記加算手段によって加算された焦点検出信号列に基づき、当該焦点検出信号列に対応する焦点検出エリアにおける前記結像光学系の焦点調節状態を検出することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の焦点検出装置において、
前記読出手段により読み出された焦点検出信号列が前記所定値以上のときは、当該焦点検出信号列が読み出された焦点検出エリアについて前記加算手段による加算を行わず、
前記加算回数算出手段は、前記読出手段により前記所定値以上の焦点検出信号列が読み出された焦点検出エリアについては、当該焦点検出エリア以外の各焦点検出エリアについて前記加算される時系列の複数の焦点検出信号列のほぼ中央の焦点検出信号列と略同時刻に前記読出手段によって読み出された焦点検出信号列を、前記加算手段によって加算される焦点検出信号列の代わりとすることを特徴とする焦点検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の焦点検出装置において、
前記加算回数算出手段は、
前記記憶手段から前記焦点検出エリアに対応する前記時系列の所定個数の焦点検出信号列を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記時系列の所定個数の焦点検出信号列を加算する第2の加算手段と、
前記第2の加算手段により加算された前記時系列の所定個数の焦点検出信号列の第2の加算値が前記所定値に達したか否かを判定する判定手段と、
を有し、
前記判定手段により前記第2の加算値が前記所定値に達したと判定されたときは前記所定個数を前記加算回数とし、前記第2の加算値が前記所定値に達していないと判定されたときは前記所定個数を第2の所定値だけ増加させた後に前記抽出手段と前記第2の加算手段と前記判定手段とを繰り返すことを特徴とする焦点検出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の焦点検出装置において、
前記加算手段は、前記焦点検出信号列を加算する際に、各焦点検出エリアについて前記加算される時系列の複数の焦点検出信号列のほぼ中央の焦点検出信号列が、加算回数が最大となる焦点検出エリアについて前記第2の加算手段において加算された前記時系列の所定個数の焦点検出信号列の略中央の焦点検出信号列と略同時刻になるように、前記加算回数に基づき前記加算される時系列の複数の焦点検出信号列を前記記憶手段から選択することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項10】
請求項6または7に記載の焦点検出装置において、
前記加算回数算出手段は、前記加算回数を、前記読出手段によって前記複数の焦点検出エリアの各々に対応する焦点検出画素列から読み出された焦点検出信号列に基づいて算出することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の焦点検出装置において、
前記撮像素子を複数有し、
前記結像光学系からの光束を分割して各分割光束を複数の前記撮像素子へ導く分割手段をさらに備え、
前記複数の焦点検出エリアは、前記複数の前記撮像素子の各々に有する複数の焦点検出エリアを含むことを特徴とする焦点検出装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の焦点検出装置を備える撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−64799(P2013−64799A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202390(P2011−202390)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】