説明

焼結金属部品およびその製造方法

【課題】軸受面を有する内筒部と、これを内周に収容した外筒部との間の固定強度が高い焼結金属部品を提供する。
【解決手段】焼結金属部品としての焼結金属歯車1は、軸受面3を有する内筒部としての焼結金属製の軸受部2と、これを内周に収容した外筒部としての焼結金属製の歯車部4とからなる。この焼結金属歯車1は、相互に密着する軸受部2の外周面と歯車部4の内周面とを拡散接合させた状態で、歯車部4の内周に軸受部2が圧入固定されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結金属部品およびその製造方法に関し、特に、軸受面を有する内筒部と、これを内周に収容し、他部品と相互に摺動する外筒部とが共に焼結金属で形成された焼結金属部品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製造コストの低廉化や摺動特性の向上を目的として、各種動力伝達機構の摺動部に組み込まれる動力伝達部品を、金属の機械加工品から上記構成の焼結金属部品に置換する試みがなされている。例えば特開平7−238880号公報(特許文献1)には、軸受面を有する内筒部としての軸受部、および該軸受部を内周に固定し、他の部品(歯車)と相互に摺動する外筒部としての歯車部の双方を焼結金属で形成したスタータモータ用の遊星歯車が開示されている。
【0003】
上記のように、二部材からなる焼結金属製の動力伝達部品を用いる場合、長期に亘って安定的に動力伝達を可能とするには、二部材間で高い締結強度(固定強度)を確保しておくことが重要である。特許文献1では、歯車部の内周面に周方向で間欠的に複数設けた軸方向途中までの溝に表層部を食い込ませるようにして軸受部を圧入することにより、かかる要求特性を満足するようにしている。
【特許文献1】特開平7−238880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、焼結工程を経ることによって得られる焼結体は、焼結(加熱)に伴って生じる膨張や収縮によって形状や寸法精度に狂いが生じ易い。そのため、焼結後、さらにサイジングを施すことで内周面を所定の精度に仕上げるようにするのが通例であるが、特許文献1に記載された略歯車形状を呈する内周面をサイジングによって所定精度に仕上げるのは容易ではない。そのため、上記態様の歯車部の内周に軸受部を圧入すると、軸受面精度が低下するおそれがあるばかりでなく、所期の固定強度を得られないおそれがある。
【0005】
他方、遊星歯車をはじめとする動力伝達部品は、他の部品と相互に摺動しながら同期して回転することで動力を伝達するものであるから、これを構成する外筒部(例えば歯車部)は高い機械的特性を具備するものとする必要がある。そのため、歯車部を焼結金属製とする場合には、鉄系の金属粉末を主成分とする原料粉を用いて圧縮成形された圧粉体を焼結した後、焼入れおよび焼戻しを行うことで必要とされる機械的特性を満足するようにするのが通例である。そして、特許文献1に記載の遊星歯車は、圧粉→焼結→サイジングといった一般的な工程を経て別途製造した軸受部を、上記の各工程を経て製造された歯車部の内周に圧入することにより完成するものと考えられる。しかしながら、このような従来の製造方法では、多数の工程が必要であることから非効率であり、却って製造コストが高騰するおそれがある。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造でありながら内筒部と外筒部の間の固定強度を高めた焼結金属部品を提供することを第1の技術的課題とする。
【0007】
また、本発明は、内筒部と外筒部の間の固定強度を高めた焼結金属部品を低コストに製造し得る方法を提供することを第2の技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記第1の課題を解決するため、本発明では、軸受面を有する焼結金属製の内筒部と、該内筒部を内周に収容し、他部品と相互に摺動する焼結金属製の外筒部とからなる焼結金属部品において、相互に密着する領域を拡散接合させた状態で、内筒部が外筒部の内周に圧入固定されていることを特徴とする焼結金属部品を提供する。なお、本発明でいう内筒部および外筒部は、全体として筒状を呈していればその断面形状は特に問わない。
【0009】
このように、本発明では、相互に密着する領域を拡散接合させた状態で、内筒部を外筒部の内周に圧入固定するようにしたので、従来のように外筒部の内周面形状を複雑化することなく極力シンプルな構造で、外筒部に対する内筒部の締結強度(固定強度)を高めることができる。
【0010】
上記のような焼結金属部品は次のような方法で製造することによって得ることができる。すなわち、上記第2の課題を解決するためになされた本発明に係る製造方法は、軸受面を有する焼結金属製の内筒部と、該内筒部を内周に収容し、他部品と相互に摺動する焼結金属製の外筒部とからなる焼結金属部品の製造方法であって、内筒部の圧粉体を外筒部の焼結体の内周に配設した状態で両筒部を加熱することにより、内筒部の焼結と、外筒部への焼入れと、内筒部と外筒部の固定とを同時に行う工程を含み、内筒部と外筒部の固定を、相互に密着する領域を拡散接合させた状態で内筒部を外筒部の内周に圧入することにより行うことを特徴とするものである。
【0011】
上記のように、本発明では、内筒部(圧粉体)の焼結と、外筒部(焼結体)への焼入れと、内筒部と外筒部の固定とを同時に行うようにしたので、これらの各工程を各別に行っていた従来方法に比べて工程数を削減することができ、この種の焼結金属部品を効率的にかつ低コストに製造することが可能となる。しかも、内筒部と外筒部の固定は、相互に密着する領域を拡散接合させつつ、外筒部の内周に内筒部を圧入することにより行われるので、前述のとおり、内筒部と外筒部とをシンプルな構造としつつも、両者を高い締結強度でもって固定することができる。
【0012】
上記態様で外筒部の内周に内筒部を固定するには、内筒部の圧粉体を隙間嵌めの状態で外筒部の焼結体の内周に配設し、加熱による内筒部の圧粉体の焼結膨張を利用することで行うことができる。このようにすれば、各粉末間の結合強度が脆弱な内筒部の圧粉体を損傷させることなく、外筒部の内周に内筒部を強固に固定することができる。このような固定方法を可能とするには、内筒部を構成する金属粉末を、熱膨張(焼結膨張)するものとするのが肝要である。なお、かかる特性を具備するものであれば、銅系、銅鉄系、鉄系等を問わず使用可能である。
【0013】
外筒部は、鉄系の金属粉末を主成分とする原料粉を用いて成形するのが望ましい。なお、ここでいう鉄系の金属粉末とは、鉄系合金の金属粉末も含む概念である。外筒部(の焼結体)をかかる原料粉で成形すれば、外筒部を機械的特性に優れたものとすることができ、この焼結金属部品を動力伝達部品として使用する際に必要とされる機械的特性を満足することができる。また、内筒部の圧粉体の焼結膨張時に、外筒部が変形するような事態を可及的に防止することができる。
【0014】
上記の加工工程の後、外筒部(焼入れされた焼結体)を焼戻しする焼戻し工程をさらに設けるのが望ましい。他部品と摺接する外筒部に靭性を付与するためである。
【0015】
焼戻し工程の後、内筒部の内周面にサイジングを施すことにより所定の軸受面を成形するサイジング工程をさらに設けても良い。このとき、内筒部は、その外周を外筒部で拘束されているので、サイジングによって内筒部全体が変形するような事態を招くことなく、高精度な軸受面を成形することができる。特に、外筒部を鉄系の金属粉末で形成した場合にはかかる効果が顕著に得られる。
【発明の効果】
【0016】
以上に示すように、本発明によれば、簡単な構造でありながら軸受面を有する内筒部と、これを内周に収容した外筒部との間の固定強度が高い焼結金属部品を提供することができる。また、この種の焼結金属部品を効率的にかつ低コストに製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図1および図2に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る焼結金属部品の一例を概念的に示す断面図であり、詳細には、自動車のスタータモータに組み込まれる焼結金属製の遊星歯車(以下、「焼結金属歯車1」という)の一例を概念的に示す断面図である。同図に示す焼結金属歯車1は、内筒部としての焼結金属製の軸受部2と、この軸受部2を内周に収容(固定)した外筒部としての焼結金属製の歯車部4とからなる。軸受部2の外周面および歯車部4の内周面は共に断面真円状を呈する。図示は省略するが、軸受部2の内周には軸が挿通され、この軸を軸受部2の内周に設けた軸受面3で相対回転自在に支持するようになっている。歯車部4の外周には多数の歯5が設けられており、当該歯5を図示しない隣接する一又は複数の歯車の歯と相互に噛合うようにしてこの焼結金属歯車1を配設することにより、この焼結金属歯車1と他の歯車とが同期して回転し、また両者間で動力が伝達される。
【0019】
焼結金属製とされる軸受部2および歯車部4の内部気孔には潤滑流体としての潤滑油が含浸される。そのため、焼結金属歯車1の回転時、内部に挿通した軸に対して摺動する軸受面3上に潤滑油が滲み出て油膜を形成する。これにより、軸との間で良好な摺動潤滑状態が得られる。また、歯車部4の内部に含浸された潤滑油が歯5の噛合い面に滲み出て油膜を形成することで、良好な噛合い潤滑状態が得られる。
【0020】
ここで、この焼結金属歯車1は、相互に密着する軸受部2の外周面と歯車部4の内周面とが拡散接合した状態で、歯車部4の内周に軸受部2が圧入固定されたものである。そのため、軸受部2の外周面と歯車部4の内周面とが共に断面真円形状を呈する本実施形態の構成においても両者は高い締結強度でもって固定され、他の歯車との間で良好な動力伝達が行われる。
【0021】
上記構成からなる焼結金属歯車1は、主に、軸受部2の圧粉体および歯車部4の焼結体を製作する部品製作工程と、両者を組み付けてアセンブリを製作する組み付け工程と、アセンブリを構成する歯車部4に焼戻し処理を施す焼戻し工程と、サイジングを行って所定の軸受面3を成形するサイジング工程と、軸受部2および歯車部4の双方に潤滑油を含浸させる含油工程とを順に経て製造される。以下、各工程について詳述する。
【0022】
(A)部品製作工程
まず、軸受部2に関しては、金属粉末を主成分とする原料粉を成形型内に充填し、これを圧縮成形することで完成品に近い形状の圧粉体12を得る。一方、歯車部4に関しては、成形型内に充填された原料粉から外周に多数の歯5を有する圧粉体を圧縮成形した後、この圧粉体を所定の温度で加熱して焼結することにより、完成品に近い形状の焼結体14を得る。この段階で、圧粉体12は、その外径寸法が焼結体14の内径寸法よりも所定量小さくなるように形成される。
【0023】
ここで、軸受部2(圧粉体12)は、銅系、銅鉄系、あるいは鉄系の金属粉末を主成分とし、これに必要に応じてバインダ等を適量混合した原料粉を用いて成形される。本実施形態では、軸との摺動性(なじみ性)、さらには後述する工程での熱膨張性を考慮して銅系の金属粉末を主成分としている。一方、歯車部4(焼結体14)は、噛合い時の負荷に対する耐久性を考慮して、強度(焼結強度)、硬度、および靭性等に富む鉄あるいは鉄系合金の金属粉末を主成分とし、これに必要に応じてバインダ等を適量混合した原料粉を用いて成形される。本実施形態では、例えば、Fe−0.6vol%Cの金属粉末を主成分とし、これにニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、あるいは銅(Cu)等の群から選択される少なくとも一つを含む、いわゆるシンターハードニング鋼を用いている。炭素含有量を0.6vol%としたのは、炭素含有量をあまりに増大させると、焼入れ温度が高くなりすぎてオーステナイトが残留する結果、却って硬度低下を招くからである。
【0024】
なお、上記のようにして得られる歯車部4の焼結体14には必要に応じてサイジングを行い、その内外周を所定形状および所定寸法に仕上げると共に、その表面開孔を適当に封孔処理するようにしても良い。
【0025】
(B)組み付け工程
この工程では、まず上記工程で得られた焼結体14の内周に圧粉体12を位置決め配置する。このとき、上記のように、圧粉体12の外径寸法は焼結体14の内径寸法よりも所定量小さく形成されているため、圧粉体12は、図2(a)にも示すように、隙間嵌めの状態(径方向の隙間6を介在させた状態)で焼結体14の内周に位置決め配置される。このようにすることで、各金属粉末間の結合強度が脆弱な圧粉体12を損傷させることなく焼結体14の内周に圧粉体12を配設することができる。
【0026】
次いで、上記の組み付け体を、所定の温度以上で加熱することにより、圧粉体12を焼結するのと同時に焼結体12に焼入れを行う。ここで、「所定の温度」とは、圧粉体12を焼結することができ、かつ焼結体14に焼入れを行うことができる温度である。なお、本実施形態の構成で言えば、銅系の金属粉末を主体とする圧粉体12の焼結温度は760〜800℃程度であり、鉄系の金属粉末を主体とする焼結体14の焼入れ温度は750℃以上である。ある。そのため、本実施形態においては、圧粉体12(軸受部2)を構成する金属粉末の焼結温度以上で所定時間加熱する。
【0027】
以上のようにして、圧粉体12は、これを構成する金属粉末同士が焼結結合して焼結体となり、同時に、焼結体14に焼入れがなされる。また圧粉体12を構成する金属粉末が焼結結合することにより、圧粉体12は、その外周面が拡径するようにして膨張し、圧粉体12の外周面は焼結体14の内周面に押し付けられる。引き続き加熱すると、相互に密着した領域で軸受部2の焼結体と歯車部4の焼結体14とが拡散接合する。このとき、軸受部2の焼結体は、焼結時に生じる径方向外側への膨張力を、その外周に配置した焼結体14(歯車部4)で拘束されるため、径方向に圧縮された状態で焼結体14の内周に固定される。すなわち、圧入と略等しい態様で歯車部4(焼結体14)の内周に軸受部2(の焼結体)が固定される。このようにして、相互に密着する領域を拡散接合させた状態で、歯車部4の内周に軸受部2を圧入固定したアセンブリが得られる(以上、図2(b)を参照)。
【0028】
なお、焼結体14(歯車部4)に対する焼入れを確実に行うべく、圧粉体12が焼結して軸受部2の焼結体が得られ、かつ上記態様で歯車部4と軸受部2とが固定された後には、アセンブリを、適当な冷却剤中で急冷するのが望ましい。
【0029】
(C)焼戻し工程
この工程では、前記工程で得られたアセンブリを所定温度で加熱することによって歯車部4に焼戻しがなされ、歯車部4に靭性が付与される。以上の工程を経て、所定の機械的特性を具備する軸受部2および歯車部4が得られる。
【0030】
(D)サイジング工程
この工程では、軸受部2の内周面をサイジングすることにより、完成品としての焼結金属歯車1形状が得られる。サイジングは、例えば図2(c)に示すように、アセンブリ(軸受部2)の内周に外周面が軸受面3形状に倣ったサイジングピン7を圧入することにより行われる。サイジングピン7を圧入すると、軸受部2の内周面から所定深さの表層部分がサイジングピン7に押し当てられ、これにより所定形状および所定寸法の軸受面3が成形され、またこれと同時に軸受面3の表面開孔が適当に封孔処理される。かかる態様でサイジングピン7を軸受部2の内周に圧入しても、歯車部4は相対的に高強度であるから、歯車部4に変形が生じるような事態は効果的に防止される。もちろん、歯車部4の変形を確実に防止すべく、アセンブリの外径面および両端面を拘束した状態でサイジングを行うようにしても良い。
【0031】
(E)含油工程
この工程では、以上の各工程を経て所定形状に成形されたアセンブリ(軸受部2および歯車部4)に潤滑流体としての潤滑油が含浸され、これにより図1に示す完成品としての焼結金属歯車1が得られる。なお、軸受部2および歯車部4の内部気孔への潤滑油の含浸は、例えば、所定の減圧環境下で、潤滑油が充満された潤滑油浴中にアセンブリを一定時間浸漬させることにより行われる。このとき、潤滑油の含浸を確実かつ短時間に行うため、潤滑油を加熱した状態で含浸作業を行っても良い。
【0032】
以上に示すように、本発明では、内筒部2(圧粉体12)の焼結と、外筒部4(焼結体14)への焼入れと、内筒部2と外筒部4の固定とを同時に行うようにした。そのため、これらの各工程を各別に行っていた従来方法に比べて工程数を削減することができ、この種の焼結金属歯車1を効率的にかつ低コストに製造することが可能となる。しかも、このときになされる外筒部4に対する軸受部2の固定は、相互に密着する領域を拡散接合させた状態で外筒部4の内周に内筒部2を圧入固定することにより行われる。従って、相互に密着する面形状(内筒部2の外周面および外筒部4の内周面)をシンプルな形状としつつも高い固定強度を得ることができる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について説明を行ったが、本発明は上記の実施形態に限定適用されるものではなく、要求特性に応じて内筒部としての軸受部2を構成する金属粉末や外筒部としての歯車部4を構成する金属粉末を適宜変更したものとした場合に適用することももちろん可能である。
【0034】
また、以上では、遊星歯車に本発明の構成を適用した場合について説明を行ったが、遊星歯車以外の動力伝達部品、例えば内周に軸受面を有するカムやスプロケットを焼結金属で形成する場合にも本発明は好適に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る焼結金属部品の一例を示すものであり、焼結金属歯車の一例を概念的に示す断面図である。
【図2】図1に示す焼結金属歯車の製造工程を概念的に示す断面図であり、(a)図は歯車部の焼結体内周に軸受部の圧粉体を位置決め配置した状態を示す断面図、(b)図は歯車部の内周に軸受部を固定した状態を示す断面図、(c)図は軸受部の内周面にサイジングを施している状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 焼結金属歯車(焼結金属部品)
2 軸受部(内筒部)
3 軸受面
4 歯車部(外筒部)
5 歯
6 隙間
7 サイジングピン
12 圧粉体
14 焼結体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受面を有する焼結金属製の内筒部と、該内筒部を内周に収容し、他部品と相互に摺動する焼結金属製の外筒部とからなる焼結金属部品において、
相互に密着する領域を拡散接合させた状態で、前記内筒部が前記外筒部の内周に圧入固定されていることを特徴とする焼結金属部品。
【請求項2】
軸受面を有する焼結金属製の内筒部と、該内筒部を内周に収容し、他部品と相互に摺動する焼結金属製の外筒部とからなる焼結金属部品の製造方法であって、
前記内筒部の圧粉体を前記外筒部の焼結体の内周に配設した状態で前記両筒部を加熱することにより、前記内筒部の焼結と、前記外筒部への焼入れと、前記内筒部と前記外筒部の固定とを同時に行う工程を含み、
前記内筒部と前記外筒部の固定を、相互に密着する領域を拡散接合させた状態で、前記内筒部を前記外筒部の内周に圧入することにより行うことを特徴とする焼結金属部品の製造方法。
【請求項3】
前記内筒部の圧粉体を隙間嵌めの状態で前記外筒部の焼結体の内周に配設し、加熱による前記内筒部の圧粉体の焼結膨張を利用して、前記外筒部の内周に前記内筒部を固定する請求項2に記載の焼結金属部品の製造方法。
【請求項4】
前記外筒部を、鉄系の金属粉末を主成分とした原料粉を用いて成形する請求項2又は3に記載の焼結金属部品の製造方法。
【請求項5】
前記工程の後、前記外筒部を焼戻しする焼戻し工程をさらに含む請求項2〜4の何れかに記載の焼結金属部品の製造方法。
【請求項6】
前記焼戻し工程の後、前記内筒部の内周面にサイジングを行い、所定の前記軸受面を成形するサイジング工程をさらに含む請求項5に記載の焼結金属部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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