煤検出装置及び煤検出方法
【課題】煤の検出精度を向上させるために、放電センサの一対の電極から生ずる放電電圧の変動を最小限に抑制するようにした煤検出装置を提供する。
【解決手段】切替回路600のリレー620が駆動回路610により駆動されるとともに、高電圧発生回路500が、パルス信号発生回路410からの各パルス信号に基づくトランジスタ420の導通毎に、高電圧を発生すると、この高電圧は、リレー620の駆動に伴う両リレースイッチ622、623の閉成のもとに、放電センサ200に印加される。これにより、中心電極232の付着物が放電センサ200の放電によりクリーニング処理される。その後に、リレー620が停止すると、高電圧発生回路500からの高電圧が、リレー620に停止に伴う両リレースイッチ624、625の閉成のもとに、放電センサ200に印加される。これにより放電センサ620から生ずる放電電圧に基づき第1煤濃度信号が検出される。
【解決手段】切替回路600のリレー620が駆動回路610により駆動されるとともに、高電圧発生回路500が、パルス信号発生回路410からの各パルス信号に基づくトランジスタ420の導通毎に、高電圧を発生すると、この高電圧は、リレー620の駆動に伴う両リレースイッチ622、623の閉成のもとに、放電センサ200に印加される。これにより、中心電極232の付着物が放電センサ200の放電によりクリーニング処理される。その後に、リレー620が停止すると、高電圧発生回路500からの高電圧が、リレー620に停止に伴う両リレースイッチ624、625の閉成のもとに、放電センサ200に印加される。これにより放電センサ620から生ずる放電電圧に基づき第1煤濃度信号が検出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関等の燃料燃焼機器の排気に含有される煤を検出するための煤検出装置及び煤検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の煤検出装置としては、例えば、下記実用新案文献1に記載のスモーク検出装置が提案されている。このスモーク検出装置は、排気ガス中に設けた一対の電極間に電圧を印加して、一対の電極間に火花放電を発生させ、この火花放電が発生した時の放電電圧に基づき排気ガス中の煤の濃度を検出している。
【特許文献1】実開昭64−50355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記スモーク検出装置によると、放電電圧が、排気ガス中の煤の濃度如何にかかわらず、大きく変動してしまい、その結果、煤の検出精度が低下するという現象を招く。
【0004】
この現象について検討してみたところ、上記スモーク検出装置の使用過程においては、例えば、排気ガス中の煤等が、上記一対の電極のうち負側電極には付着しにくいものの、正側電極に付着してしまうことが確認された。そして、その結果、放電電圧の大きな変動を招く原因であることが確認された。
【0005】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処すべく、煤の検出精度を向上させるために、放電センサの一対の電極から生ずる放電電圧の変動を最小限に抑制するようにした煤検出装置及び煤検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項1の記載によれば、
高電圧を発生する高電圧発生手段と、被検出雰囲気中に配置される一対の電極を有し、当該一対の電極間に高電圧を印加した際、上記被検出雰囲気中の煤に依存する放電電圧にて火花放電する放電センサと、
所定の電極極性を有する高電圧を印加して前記放電センサに火花放電が発生した時の第1放電電圧を検出する第1検出手段と、
上記第1放電電圧に基づき第1煤濃度信号を出力する第1出力手段とを備える煤検出装置において、
高電圧発生手段から上記一対の電極へ印加される上記高電圧の電圧極性を上記所定の電圧極性とは逆の電圧極性に切り替える切替手段を備えることを特徴とする。
【0007】
このように、切替手段を有することで、放電センサの一対の電極間に逆の電圧極性の高電圧を印加することができる。これにより、所定の電極極性にて通常使用された場合に正側電極となって煤等の付着物が付着したとしても、逆の電極極性にて負側電極となり、この付着物が、適正にクリーニングできる。
【0008】
すると、正側電極として通常使用される際に付着物が存在しないことから、一対の電極間に発生する放電電圧は、付着物に影響されることなく、非常に安定する。その結果、煤検出装置による煤の検出精度が良好に確保できる。
【0009】
さらに、本発明は、請求項2の記載によれば、第1出力手段は、複数の第1放電電圧に基づき第1煤濃度信号を出力することが好ましい。これにより、1つの第1放電電圧に基づいて第1煤濃度信号を出力するよりも煤の検出精度がより高まる。なお、「複数の第1放電電圧に基づき第1煤濃度信号を出力する」とは、複数の第1放電電圧の平均値から第1煤濃度検出信号を出力することが挙げられる。
【0010】
さらに、本発明は、請求項3の記載によれば、逆の電極極性を有する高電圧を印加して放電センサに逆火花放電が発生した時の第2放電電圧を検出する第2検出手段と、第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力する第2出力手段と、を備えることが好ましい。このように、クリーニングに用いるための逆火花放電においても、被検出雰囲気中の煤に依存する第2放電電圧にて通常使用された場合とは逆向きに火花放電する。そのため、その第2放電電圧を検出し、第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力することで、クリーニング中であっても煤を検出することができる。
【0011】
さらに、本発明は、請求項4の記載によれば、第2出力手段は、複数の第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力することが好ましい。これにより、1つの第2放電電圧に基づいて第2煤濃度信号を出力するよりも煤の検出精度がより高まる。なお、「複数の第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力する」とは、複数の第2放電電圧の平均値から第2煤濃度検出信号を出力することが挙げられる。
【0012】
さらに、本発明は、請求項5の記載によれば、第1煤濃度信号および第2煤濃度信号の両方に基づき煤濃度を評価する評価手段とを備えることが好ましい。これにより、第1煤濃度信号のみを用いて煤を検出する場合や、第2煤濃度信号のみを用いて煤を検出する場合よりも煤の検出精度がより高まる。なお、「第1煤濃度信号及び第2煤濃度信号の両方に基づく」とは、請求項6に記載のように、加算、減算、積算、除算の少なくともいずれかを行うようにすることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、請求項7の記載によれば、高電圧発生手段は、スイッチング作動を行うスイッチング手段と、当該スイッチング手段に接続される低圧側コイルと放電センサに接続される高圧側コイルとを有し、スイッチング手段のスイッチング作動に基づき直流電源から低圧側コイルに印加される電圧を昇圧して高圧側コイルから高電圧を発生する変圧手段とを備え、切替手段は、変圧手段から上記一対の電極への上記高電圧の電圧極性が所定の電圧極性とは逆の電圧極性となるように低圧側コイルの直流電源に対する接続を切り換える接続切り換え手段を備えることを特徴とする。
【0014】
これにより、接続切り換え手段によって変圧手段から上記一対の電極に印加される高電圧を所定の電圧極性又は逆の電圧極性にすることができる。
【0015】
また、本発明は、請求項8の記載によれば、高電圧発生手段は、スイッチング作動を行うスイッチング手段と、当該スイッチング手段に接続される低圧側コイルと放電センサに接続される高圧側コイルとを有し、スイッチング手段のスイッチング作動に基づき直流電源から低圧側コイルに印加される電圧を昇圧して高圧側コイルから高電圧を発生する変圧手段とを備え、
切替手段は、変圧手段から一対の電極への上記高電圧の電圧極性が所定の電圧極性とは逆の電圧極性となるように高圧側コイルの上記一対の電極に対する接続を切り換える接続切り換え手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
このように、請求項7に記載の発明とは異なり、変圧手段から一対の電極への上記高電圧の電圧極性が上記所定の電圧極性またはこの所定の電圧極性とは逆の電圧極性となるように高圧側コイルの上記一対の電極に対する接続を切り換えるようにしても達成できる。
【0017】
また、本発明は、請求項9の記載によれば、被検出雰囲気中に配置される一対の電極を有してなる放電センサの一対の電極間に所定の電圧極性にて高電圧を印加し、前記検出雰囲気中の煤に依存する電圧にて火花放電させる放電ステップと、該放電ステップにて放電センサに火花放電を発生させた時の第1放電電圧を検出する第1検出ステップと、該第1検出ステップにて検出された第1放電電圧に基づき第1煤濃度信号を出力する第1出力ステップとを備える煤検出方法において、一対の電極間に印加する高電圧を所定の電圧極性または所定の電圧極性とは逆の電圧極性のいずれかに切り替える切替ステップと、放電センサの一対の電極間に逆の電極極性にて高電圧を印加した際、検出雰囲気中の煤に依存する電圧にて逆火花放電させる逆火花放電ステップとを備えることを特徴とする。
【0018】
このように、切替ステップ及び逆放電ステップを備えることで、放電センサの一対の電極間に逆の電極極性の高電圧を印加することができる。これにより、所定の電極極性にて通常使用された場合に正側電極となって煤等の付着物が付着したとしても、逆の電極極性にて負側電極となり、この付着物が適正にクリーニングできる。
【0019】
すると、正側電極として通常使用される際に付着物が存在しないことから、一対の電極間に発生する放電電圧は、上記付着物に影響されることなく、非常に安定する。その結果、煤の検出精度が良好に確保できる。
【0020】
さらに、本発明は、請求項10の記載によれば、第1出力ステップは、複数の第1検出ステップにて検出された複数の第1放電電圧に基づき第1煤濃度信号を出力することが好ましい。これにより、1つの第1放電電圧に基づいて第1煤濃度信号を出力するよりも煤の検出精度がより高まる。
【0021】
さらに、本発明は、請求項11の記載によれば、最初の放電ステップよりも前に、逆放電ステップを備えることが好ましい。これにより、最初の放電ステップにて煤を検出する時点から正側電極の付着物が除去されていることとなり、安定した放電電圧が検出でき、煤の検出が精度よく確保できる。
【0022】
さらに、本発明は、請求項12の記載によれば、放電ステップと、逆放電ステップとは交互に行われることが好ましい。このように、高電圧の極性切替による交互印加により、正側電極に対する付着物が常に付着することを防止でき、正側電極のクリーニング状態を維持しつつ、煤を精度よく検出できる。
【0023】
さらに、本発明は、請求項13の記載によれば、放電ステップと逆放電ステップとはそれぞれ複数回行われることが好ましい。このように、放電ステップと逆放電ステップを複数回行うことで、これにより、煤の検出を連続的に行っても、付着物が常時クリーニングされ続けて正側電極に付着しないため、煤の検出結果の変動を抑制できる。なお、好ましくは、請求項14の記載のように、逆放電ステップの回数は、放電ステップの回数の10%以上であることが好ましい。
【0024】
さらに、本発明は、請求項15の記載によれば、放電センサは、一対の電極のいずれか一方を覆う絶縁体と該絶縁体に設けられたヒータとを有し、前記ヒータの通電を行い、絶縁体に貼着する煤を燃焼させるヒータ通電ステップを備え、ヒータ通電ステップ後に逆放電ステップを行うことが好ましい。このように、放電センサには、絶縁体に付着する煤を除去するためのヒータが設けられている場合がある。この場合、ヒータ通電ステップにてヒータに通電を行うことで、ヒータが発熱し、絶縁体に付着した煤が除去される。このとき、ヒータ通電ステップ後に逆放電ステップを行うことで、放電センサに煤等の付着物が一層付着していないことになり、次回の煤検出の際に安定した放電電圧のもとに、煤濃度が精度よく検出できる。
【0025】
さらに、本発明は、請求項16の記載によれば、逆放電ステップにて放電センサに逆火花放電が発生した時の第2放電電圧を検出する第2検出ステップと、第2検出ステップにて検出された第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力する第2出力ステップとを備えることが好ましい。このように、クリーニングに用いるための逆火花放電においても、被検出雰囲気中の煤に依存する第2放電電圧にて通常使用された場合とは逆向きに火花放電する。そのため、その第2放電電圧を検出し、第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力することで、クリーニング中であっても煤を検出することができる。
【0026】
さらに、本発明は、請求項17の記載によれば、第2出力ステップは、複数の第2検出ステップにて検出された複数の複数の第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力することが好ましい。これにより、1つの第2放電電圧に基づいて第2煤濃度信号を出力するよりも煤の検出精度がより高まる。
【0027】
さらに、本発明は、請求項18の記載によれば、第1煤濃度信号および第2煤濃度信号の両方に基づき煤濃度を評価する評価ステップを備えることが好ましい。これにより、第1煤濃度信号のみを用いて煤を検出する場合や、第2煤濃度信号のみを用いて煤を検出する場合よりも煤の検出精度がより高まる。なお、「第1煤濃度信号及び第2煤濃度信号の両方に基づく」とは、請求項19に記載のように、加算、減算、積算、除算の少なくともいずれかを行うようにすることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の各実施形態を図面により説明する。
(第1実施形態)
図1は、車両用ディーゼル内燃機関100に適用された本発明に係る煤検出装置の第1実施形態を示している。ディーゼル内燃機関100は、機関本体110及びこの機関本体110の燃焼室から延出する排気管120を備えている。なお、排気管120は、車両の車体を介し接地されている。
【0029】
ディーゼル内燃機関100は、始動用キースイッチ130のオン操作に伴うバッテリ140からの給電により始動し、燃料である軽油を、上記燃焼室内で圧縮された空気に供給して着火燃焼させ、排気ガスを上記燃焼室から排気管120を通して外部に排出する。なお、パティキュレートフィルタ150(以下、DPF150という)は、排気管120に介装されており、このDPF150は、排気管120に流れる排気ガスからパティキュレートを捕捉して、この捕捉後の排気ガスを下流側へ流出させる。
【0030】
排気管120には、放電センサ200が挿入されており、この放電センサ200は、絶縁体210、円筒状の主体金具220及び中心電極部材232を有する。絶縁体210は、主体金具220に挿通されている。
【0031】
ここで、中心電極232は、絶縁体210から突出しており、先端部(電極部)は、主体金具220からL字状に延出する外側電極240の電極部241に対向している。また、中心電極232に接続する端子部材231が絶縁体210の基端部から延出している。なお、中心電極232の電極部は、外側電極240の電極部241と共に、放電センサ200の放電部250を構成している。
【0032】
このように構成した放電センサ200は、外側電極240側から、排気管120に挿通されており、主体金具220にて、排気管120に支持されて、接地される。しかして、放電センサ200は、放電部250にて、高電圧(後述する)の印加のもと、排気管120内の排気ガス中の煤に依存する放電電圧にて火花放電する。
【0033】
また、煤検出装置は、マイクロコンピュータ300を有しており、このマイクロコンピュータ300は、後述するフローチャートに従い、コンピュータプログラムを実行し、この実行中において、放電センサ200の中心電極232のクリーニング処理及び煤の濃度の出力に必要な種々の演算処理を行う。
【0034】
なお、マイクロコンピュータ300は、始動用キースイッチ130を介しバッテリ140から給電されて作動状態となり、当該始動用キースイッチ130のオン操作に伴い、上記コンピュータプログラムの実行を開始する。また、当該コンピュータプログラムは、マイクロコンピュータ300のROMに読み出し可能に予め記憶されている。
【0035】
スイッチング回路400は、パルス信号発生回路410及びトランジスタ420を有しており、パルス信号発生回路410は、マイクロコンピュータ300による制御のもと、所定の周期(第1実施形態では0.01秒)にてパルス信号を順次発生する。トランジスタ420は、そのベースにて、パルス信号発生回路410から順次発生するパルス信号を入力されて、スイッチング作動を行う。なお、トランジスタ420のエミッタは、接地されている。また、所定の周期は、0.01(秒)に限ることなく、0.001(秒)〜10(秒)の範囲以内であってもよい。
【0036】
高電圧発生回路500は、イグニッションコイルからなるもので、このイグニッションコイルは、低圧側コイル510及び高圧側コイル520を備えて、これら低圧側コイル510及び高圧側コイル520を共に同一巻き方向に鉄心530に巻装して構成されている。
【0037】
これにより、高電圧発生回路500は、低圧側コイル510に印加される直流電圧を所定の昇圧比にて昇圧して高圧側コイル520から所定の高電圧を発生する。なお、上記所定の昇圧比(高圧側コイル520の巻き数/低圧側コイル510の巻き数)は、500〜2500の範囲以内の値となっている。また、高圧側コイル520は、その一端子521にて、放電センサ200の端子部材231に接続されており、当該高圧側コイル520の他端子522は、接地されている。
【0038】
切替回路600は、バッテリ140から高電圧発生回路500に印加される直流電圧の電圧極性を切り替えるもので、この切替回路600は、駆動回路610と、この駆動回路610により駆動されるリレー620とを備えている。
【0039】
リレー620は、リレーコイル621と、リレースイッチ622、623と、リレースイッチ624、625とを有する。リレーコイル621は、駆動回路610により励磁或いは消磁される。
【0040】
リレースイッチ622、623は、リレースイッチ624、625と共に連動するようになっており、リレースイッチ622、623は、共に、リレーコイル621の励磁により閉成し、このリレーコイル621の消磁により開成する。リレースイッチ624、625は、共に、リレーコイル621の励磁により開成し、このリレーコイル621の消磁により閉成する。
【0041】
ここで、リレースイッチ622及びリレースイッチ624は、その共通端子626にて、バッテリ140の正側端子に接続されている。また、リレースイッチ623及びリレースイッチ625は、その共通端子627にて、トランジスタ420のコレクタに接続されている。
【0042】
また、リレースイッチ623及びリレースイッチ624は、その共通端子628にて、低圧側コイル510の一端子511に接続されている。また、リレースイッチ622及びリレースイッチ625は、その共通端子629にて、低圧側コイル510の他端子512に接続されている。
【0043】
出力処理回路700は、分圧器710及びピークホールド回路720を有しており、分圧器710は、互いに直列接続した両抵抗711、712でもって構成されている。しかして、分圧器710は、高電圧発生回路500の高圧側コイル520からの高電圧を所定の分圧比でもって分圧し、両抵抗711、712の共通端子713から分圧電圧を発生する。ここで、上記所定の分圧比は、所定の抵抗値比(抵抗711の抵抗値/抵抗712の抵抗値:第1実施形態では0.001)を表す。
【0044】
次に、図2のフローチャートについて説明する。図1のマイクロコンピュータ300は、図2のフローチャートに従い、コンピュータプログラムを実行し、この実行中において、放電センサ200の中心電極232のクリーニング処理及び第1煤濃度信号を出力することに必要な様々な演算処理を行う。
【0045】
まず、マイクロコンピュータ300が、始動用キースイッチ130のオン操作に伴い作動すると、逆火花放電発生ルーチン5000を実行する。
【0046】
この逆火花放電発生ルーチン5000は、図3のフローチャートにおけるステップ1000〜ステップ1120により構成されている。
まず、ステップ1000において、計数データNがN=0とクリアされる。
【0047】
ついで、ステップ1010にて、リレー駆動処理がなされる。これに伴い、切替回路600においては、リレーコイル621が駆動回路610により励磁されてリレースイッチ622、623を共に閉成するとともにリレースイッチ624、625を共に開成する。
【0048】
このため、高電圧発生回路500においては、低圧側コイル510が、その一端子511にて、リレースイッチ623を介しトランジスタ420のコレクタに接続されるとともに、その他端子512にて、リレースイッチ622を介しバッテリ140の正側端子に接続される。
【0049】
ステップ1010の処理後、ステップ1020において、パルス信号出力指令処理がなされる。ここでは、パルス信号発生回路410が、マイクロコンピュータ300からのパルス信号出力指令に基づき、所定の周期でもって、パルス信号を順次発生してトランジスタ420のベースに出力する。すると、このトランジスタ420は、パルス信号発生回路410から順次出力される各パルス信号に基づき、所定の周期にて、スイッチング作動(導通及び非導通の交互作動)を繰り返す。
【0050】
このようなトランジスタ420のスイッチング作動によれば、当該トランジスタ420の導通毎に、高電圧発生回路500は、低圧側コイル510の他端子512をバッテリ140の正側端子に接続された状態において、低圧側コイル510の一端子511にてトランジスタ420を介し接地される。
【0051】
このため、高電圧発生回路500においては、低圧側コイル510が、一端子511を負側とし、他端子512を正側として、バッテリ140から直流電圧(例えば、12(V))を印加されて、高圧側コイル520から一端子521を負側とし他端子522を正側として高電圧を発生させる。従って、この高電圧は、放電センサ200にその中心電極232を負側とし外側電極240を正側とするように印加される。これにより、放電センサ200は、放電部250にて火花放電し、中心電極232がクリーニング処理される。なお、第1実施形態では、この放電センサ200の中心電極232を負側とし、外側電極240を正側とする火花放電を逆火花放電とする。
【0052】
次に、ステップ1030にて、計数データN=N+1が、「1」ずつ、加算更新される。従って、この計数データNは、パルス信号発生回路410のパルス信号の発生数に対応する。
【0053】
次に、ステップ1030にて、最新の計数データNが所定の閾値No以上かどうかを判断する。最新の計数データNが所定の閾値No以下であれば、NOと判定され、ステップ1020にフィードバックする。一方、最新の計数データNが所定の閾値No以上であれば、YESと判定され、ステップ1120に進む。なお、第1実施形態では、所定の閾値Noは、例えば、「100」と設定されている。
【0054】
ついで、ステップ1120において、リレー停止処理がなされる。このため、リレー620においては、リレーコイル621が、駆動回路610により消磁されて、リレースイッチ622、623を共に開成するとともにリレースイッチ624、625を共に閉成する。
【0055】
従って、高電圧発生回路500においては、低圧側コイル510が、その一端子511にて、リレースイッチ624を介しバッテリ140の正側端子に接続されるとともに、その他端子512にて、リレースイッチ625を介しトランジスタ420のコレクタに接続される。
【0056】
そして、ステップ1120が終了すると、逆火花放電発生ルーチン5000の実行が終了となり、マイクロコンピュータ300は、図2に示すように、センサ正火花放電発生ルーチン5100を実行する。この正火花放電発生ルーチン5100は、図4のステップ1130〜ステップ1230によって構成されている。 まず、ステップ1130において、計数データMがM=0とクリアされる。ついで、ステップ1140にて、パルス信号出力指令処理がなされる。このため、パルス信号発生回路410がパルス信号を順次発生し、これら各パルス信号に応答してトランジスタ420はスイッチング作動を繰り返す。
【0057】
このようなトランジスタ420のスイッチング作動によれば、当該トランジスタ420の導通毎に、高電圧発生回路500は、低圧側コイル510の一端子511にてバッテリ140の正側端子に接続された状態において、低圧側コイル510の他端子512にてトランジスタ420を介し接地される。
【0058】
このため、高電圧発生回路500においては、低圧側コイル510が、一端子511を正側とし、他端子512を負側として、バッテリ140から直流電圧を印加されて、高圧側コイル520から一端子521を正側とし他端子522を負側として所定の高電圧を発生させる。従って、この所定の高電圧は、放電センサ200に対し、中心電極232を正側とし外側電極240を負側とするように印加される。
【0059】
これにより、放電センサ200は、放電部250にて放電し、放電電圧を発生する。なお、第1実施形態では、放電センサ200の中心電極232を正側とし、外側電極240を負側とする火花放電を正火花放電とする。ここで、放電センサ200の中心電極232は逆火花放電によってクリーニング処理済みであるから、当該中心電極232には、付着物はない。このため、放電センサ200の放電電圧は非常に安定して維持され得る。
【0060】
上述のようにして放電センサ200が放電電圧を発生すると、この放電電圧は、分圧器710により分圧されて分圧電圧として共通端子713からピークホールド回路720に出力される。このため、このピークホールド回路720は、上記分圧電圧のピークレベルをホールドしピークホールド電圧として発生し、ステップ1150におけるピークホールド電圧の入力処理において、マイクロコンピュータ300に入力する。
【0061】
ステップ1150の処理後、ステップ1160において、計数データM=M+1が、「1」ずつ、加算更新される。従って、計数データMは、パルス信号発生回路410のパルス信号の発生数に対応する。
【0062】
次に、ステップ1160にて、最新の計数データMは所定の閾値Mo以上かどうかを判断する。最新の計数データMが所定の閾値Mo以下であれば、NOと判定され、ステップ1140にフィードバックする。一方、ステップ1160における最新の計数データMが所定の閾値Mo以上であれば、YESと判定され、ステップ1210に進む。本実施形態において、所定の閾値Moは、例えば、「100」と設定されている。
【0063】
次に、ステップ1210において、ピークホールド電圧の平均化処理がなされる。ここでは、ステップ1150にて入力済みの全てのピークホールド電圧が相加平均により平均化され、平均値として得られる。
【0064】
ついで、ステップ1220において、煤の濃度(以下、第1煤濃度信号ともいう)への変換処理がなされる。この変換処理では、ステップ1210で得たピークホールド電圧の平均値がこれに対応する第1煤濃度信号に変換されてマイクロコンピュータ300から出力される。
【0065】
そして、ステップ1220が終了すると、正火花放電発生ルーチン5000の実行が終了となる。このように、放電センサ200の中心電極232が、逆火花放電発生ルーチン5000の実行により、クリーニング処理されている状態で、正火花放電発生処理ルーチン5100にて第1煤濃度信号を発生しているので、第1煤濃度信号が、放電センサ200から発生する放電電圧に基づき精度よく得られる。
【0066】
また、最新の計数データMの閾値100とし、複数のピークホールド電圧の平均値に基づいて第1煤濃度信号を出力することで、1つピークホールド電圧に基づいて第1煤濃度信号を出力するよりも煤の検出精度がより高まる。
【0067】
次に、センサ正火花放電発生ルーチン5100の実行が終了すると、図2に示すように、マイクロコンピュータ300は、再び逆火花放電発生ルーチン5200を実行する。この逆火花放電発生ルーチン5200は、上述した逆火花放電発生ルーチン5000と同様に構成されているため、説明を省略するが、同様に、計数データN=No=100となるまで、中心電極232が、クリーニング処理される。
【0068】
そして、センサ逆火花放電発生ルーチン5200の実行が終了すると、ステップ5300において、計数データT=T+1が、「1」ずつ、加算更新される。従って、計数データTは、正火花放電発生ルーチン5100の発生数に対応する。
【0069】
次に、ステップ5400にて、最新の計数データTは所定の閾値To以上かどうかを判断する。最新の計数データTが所定の閾値To以下であれば、NOと判定され、正火花放電発生ルーチン5100にフィードバックする。本実施形態において、所定の閾値Toは、例えば、「100」と設定されている。
【0070】
以後、ステップ5400においてYESと判定されるまで、正火花放電発生ルーチン及び逆火花放電発生ルーチン5200が交互になされる。これにより、第1煤濃度信号を連続的に検出することができる。その上、第1煤濃度信号を連続的に検出したとしても、逆火花放電によって中心電極232がクリーニング処理され、中心電極232に対する新たな付着物の付着を招くことなく、第1煤濃度信号が、安定した放電電圧に基づき、長時間、精度よく得ることができる。なお、ステップ5400における判定がYESになると、上記コンピュータプログラムは、リターンステップからスタートステップに戻る。
【0071】
なお、第1実施形態におけるトランジスタ420が特許請求の範囲の「スイッチング手段」に相当し、高電圧発生回路500が「変圧手段」に相当し、トランジスタ420及び高電圧発生回路500が「高電圧発生手段」に相当し、切替回路600が「切替手段」若しくは「接続切り換え手段」に相当し、出力処理回路700が「第1検出手段」に相当し、マイクロコンピュータ300が「第1出力手段」に相当する。
【0072】
また、第1実施形態におけるステップ1020が特許請求の範囲の「逆放電ステップ」に相当し、ステップ1010及びステップ1120が「切替ステップ」に相当し、ステップ1140が「放電ステップ」に相当し、ステップ1150が「第1検出ステップ」に相当し、ステップ1210及び1220が「第1出力ステップ」に相当する。
【0073】
次に、逆火花放電の効果を確認するために、放電センサ200を10日間使用したときに、放電電圧の平均値が、下記の処理サイクル条件のもとに、どのように変動するかについて測定してみた。
【0074】
日毎に、放電センサ200を、排気管120の排気ガス中に30(分)間晒した後、モデル管(図示しない)に取り付けて、下記処理サイクル条件を実施した。なお、当該モデル管内のガスのガス温度を100(℃)とした。また、当該モデル管内のガスのガス組成は、10(%)の酸素(O 2)、5(%)の二酸化炭素(CO 2)、5(%)の水(H2O)及び窒素(N 2)からなっている。
1.クリーニング処理なしで放電電圧を測定する場合の日毎の処理サイクル条件
この処理サイクル条件は、放電センサ200に正火花放電を100回放電させ、ピークホールド電圧の平均値を算出する。
2.クリーニング処理ありで放電電圧を測定する場合の日毎の処理サイクル条件
このサイクル条件は、まず、放電センサ200に逆火花放電を100回放電させて、中心電極232のクリーニング処理を行う。その後、放電センサ200に正火花放電を100回放電させ、ピークホールド電圧の平均値を算出する。
【0075】
そして、10日間のそれぞれの測定の結果を図5の各グラフ1、2で示す。図5のグラフ1は、上記処理サイクル2により算出された放電電圧を示したものである。また、グラフ2は、上記処理サイクル1により算出された放電電圧を示したものである。これらグラフ1、2によれば、処理サイクル2が、処理サイクル1に比べて、放電電圧の平均値の変動が少なく安定していることが分かる。
【0076】
また、放電センサ200の日毎の放電電圧のばらつきがどのようになるかについて調べてみた。その結果、図6の図表で示すデータが得られた。この図表において、3σは、日毎の100個の放電電圧に対して得られた値である。当該図表によれば、処理サイクル2の放電電圧のばらつきは、処理サイクル1の放電電圧のばらつきに比べて、かなり小さいことが分かる。以上の結果から、逆火花放電による中心電極232のクリーニング処理が、放電電圧のばらつきを小さく安定した値に維持するのに極めて有効であることが分かる。
【0077】
さらに放電電圧比(=1時間放電後の放電電圧/初期の放電電圧)と放電センサ200に対する逆火花放電発生ルーチン5000の時間との関係を、下記の放電雰囲気条件及び放電電圧検出条件のもとに、どのように変化するか調べてみた。その結果、図7にて示すような棒グラフ3−1〜3−6が得られた。なお、放電電圧比は、「1.0」に近いほど、放電電圧の安定性が高い。
【0078】
なお、上述の「1時間放電後の放電電圧」とは、下記時間の間、逆火花放電発生ルーチン5000を行った後、放電センサ200をモデルガスの雰囲気内で1時間の間正火花放電させたときの放電センサ200の放電電圧をいう。また、上述の「初期の放電電圧」とは、下記時間の間、逆火花放電発生ルーチン5000を行った直後の放電センサ200に対する放電電圧をいう。
【0079】
また、上記放電雰囲気条件は、ガス温度を100(℃)とし、ガス組成を、10(%)の酸素(O2)、5(%)の二酸化炭素(CO2)、5(%)の水(H2O)及び窒素(N2)とする。また、上記放電電圧検出条件は、煤濃度0(mg/m3)の場合とする。
【0080】
図7において、棒グラフ3−1は、逆火花放電発生ルーチン5000の時間=0(s)のときの放電電圧比を示し、棒グラフ3−2、3−3、3−4、3−5、3−6、それぞれ逆火花放電発生ルーチン5000の時間=10(s)、120(s)、600(s)、1800(s)、3600(s)のときの放電電圧比を示す。
【0081】
図7の棒グラフ3−1では、放電電圧比が0.55程度であるのに対し、棒グラフ3−2〜3−6では、放電電圧比が0.8を越える値となっており、1.0に近く、放電センサ200の放電電圧の安定性が良好であることが分かる。
【0082】
以上によれば、逆火花放電発生ルーチン5000において、放電センサ200に逆火花放電を行うことで、放電電圧比を大きく維持することができ、その結果、煤濃度の安定な検出が可能となることが分かる。なお、逆火花放電発生ルーチン500の時間は、30(分)以下であることが望ましい、30(分)よりも長くなると、中心電極232に対するクリーニング時間が長すぎて、中心電極232に摩耗が発生して、放電センサ200としての耐久性が低下する。
【0083】
次に、正火花放電発生回数と逆火花放電発生回数との比(以下、正逆火花放電発生回数比という)が、放電電圧に対しどのような影響を与えるかについて評価してみた。まず、放電センサ200を比較例1、実施例2〜12の12個準備した。なお、図8の図表において、例えば、実施例2の正逆火花放電発生回数比=20:1は、正火花放電発生回数が20回(閾値Mo=20回)と逆火花放電発生回数が1回(閾値No=1回)との比をいう。また、逆火花放電発生回数比率は、正火花放電発生回数に対する逆火花放電発生回数の比を割合(%)で示すもので、例えば、実施例2の正逆火花放電発生回数比=20:1は、逆火花放電発生回数比率=5(%)である。
【0084】
そして、上述のように準備した比較例1、実施例2〜12を、それぞれ、図7に示す放電雰囲気条件のもと、20(分)間通電することで、正火花放電時の放電電圧がどのように変化するかについて調べた。なお、閾値Toの値は、比較例1、実施例2〜12のそれぞれに対し20分間に対応する回数に設定されている。この放電電圧の変化は、20(分)間の通電による比較例1、実施例2〜12の放電電圧のばらつきである「3σ」にて表す。
【0085】
以上によれば、比較例1のように、逆火花放電を行わない場合には、3σ=2.169であるのに対して、各実施例2〜5では、各3σは、1.765、1.898、1.862及び1.850である(図8の図表参照)。従って、比較例1に対して、実施例2〜5の放電電圧のばらつきは小さくなることが分かる。
【0086】
さらに各実施例6〜12では、3σは、0.506、0.467、0.545、0.517、0.473、0.591、0.456であり、放電電圧のばらつきがかなり小さくなることが分かる。つまり、実施例6〜12に示されるように、逆火花放電発生回数比率を10(%)以上とすれば、長時間(例えば、20(分))の間、煤濃度の検出を連続的に行っても、被検出雰囲気中の煤やその他の物、負側電極240からスパッタされる粒子が常時クリーニングされ続けて中心電極232に付着しない。このため、放電電圧のばらつきを最小限に抑制することができ、その結果、煤濃度を安定的に求めることができることが分かる。
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態を示している。この第2実施形態においては、上記第1実施形態にて述べたリレー620が、第1実施形態とは異なり、高電圧発生回路500と放電センサ200及び出力処理回路700との間に介装されている。
【0087】
即ち、本第2実施形態では、リレー620において、リレースイッチ622及びリレースイッチ624が、その共通端子626にて、高電圧発生回路500の高圧側コイル520の一端子521に接続されている。また、リレースイッチ623及びリレースイッチ625が、その共通端子627にて、高圧側コイル520の他端子522に接続されている。
【0088】
また、リレースイッチ623及びリレースイッチ624は、その共通端子628にて、放電センサ200の端子部材231に接続されるとともに分圧器710を介し接地されている。また、リレースイッチ622及び常閉型リレースイッチ625は、その共通端子629にて、接地されている。なお、高電圧発生回路500の低圧側コイル510は、一端子511にて、バッテリ140の正側端子に接続されており、当該低圧側コイル510の他端子512は、トランジスタ420のコレクタに接続されている。
【0089】
このように構成した切替回路600によれば、リレー620が、リレースイッチ622を介し、高圧側コイル520の一端子521を接地し、かつ、リレースイッチ623を介し、高圧側コイル520の他端子522を放電センサ200の端子部材231に接続したとき、リレー620は、トランジスタ420の導通を前提に、高圧側コイル520から生ずる高電圧を、共通端子628を負側とし共通端子629を正側として、放電センサ200のその中心電極232及び外側電極240間に印加する。
【0090】
また、リレー620が、リレースイッチ625を介し、高圧側コイル520の他端子522を接地し、かつ、リレースイッチ624を介し、高圧側コイル520の一端子521を放電センサ200の端子部材231に接続したとき、リレー620は、トランジスタ420の導通を前提に、高圧側コイル520から生ずる高電圧を、共通端子628を正側とし共通端子629を負側として、放電センサ200のその中心電極232及び外側電極240間に印加する。
【0091】
なお、その他の構成は、上記第1実施形態と同様であり省略する。また、マイクロコンピュータ300のコンピュープログラムにおいても、第1実施形態と同様であり、第2実施形態では省略する。
(第3実施形態)
図10は、本発明の第3実施形態を示している。この第3実施形態においては、第2実施形態から、さらにスイッチング回路2000及び高電圧発生回路3000が採用されかつ、切替回路4000が、上記第2実施形態にて述べた切替回路600に代えて採用されている。なお、第3実施形態では、高電圧発生回路3000のイグニッションコイルの形態、及び切替回路4000が第2実施形態とは異なるものであり、その他の部分については省略、又は簡略する。
【0092】
高電圧発生回路3000は、イグニッションコイルからなるもので、このイグニッションコイルは、低圧側コイル3100及び高圧側コイル3200を鉄心3300に同一巻き方向に巻装して構成されている。但し、このイグニッションコイルの低圧側コイル3100及び高圧側コイル3200の鉄心3300に対する各巻装方向は、共に、高電圧発生回路500であるイグニッションコイルの低圧側コイル510及び高圧側コイル520の鉄心530に対する各巻装方向とは逆方向になっている。
【0093】
このように構成した高電圧発生回路3000においては、低圧側コイル3100は、一端子3110にて、バッテリ140の正側端子に接続されており、この低圧側コイル3100の他端子3120は、トランジスタ2200のコレクタに接続されている。また、高圧側コイル3200は、その一端子3210にて、リレー4200(後述する)の常開型リレースイッチ4220を介し放電センサ200のロッド231に接続されており、この高圧側コイル3200の他端子3220は接地されている。
【0094】
電圧極性変換回路4000は、両高電圧発生回路500、3000のいずれか一方からの高電圧を切り換え選択することにより、放電センサ200への印加高電圧の電圧極性を変換するもので、この電圧極性変換回路4000は、駆動回路4100と、この駆動回路4100により駆動されるリレー4200とを備えている。
【0095】
リレー4200は、リレーコイル4210と、リレースイッチ4220及びリレースイッチ4230とを有する。リレーコイル4210は、駆動回路4100により励磁或いは消磁される。
【0096】
リレースイッチ4220は、リレーコイル4210の励磁により閉成し、このリレーコイル4210の消磁により開成する。リレースイッチ4230は、リレーコイル4210の励磁により開成し、このリレーコイル4210の消磁により閉成する。
【0097】
ここで、両リレースイッチ4220、4230は、その共通端子4240にて、放電センサ200の端子部材231に接続されている。これにより、リレースイッチ4220は、その閉成により、高圧側コイル3200の一端子3210を放電センサ200のロッド231に接続し、その開成により、放電センサ200の端子部材231を高圧側コイル3200の一端子3210から遮断する。
【0098】
また、リレースイッチ4230は、その閉成のもとに、高電圧発生回路500の高圧側コイル520の一端子521を放電センサ200の端子部材231に接続し、その開成により、放電センサ200の端子部材231を高圧側コイル520の一端子521から遮断する。
【0099】
さらに、本第3実施形態では、マイクロコンピュータ300のコンピュープログラムにおいても、ステップ1010及びステップ1120のみが第2実施形態とは異なるものであり、その他のステップについては、省略する。
【0100】
本第3実施形態においては、ステップ1010におけるリレー駆動処理に進むと、リレーコイル4210が、駆動回路4100により励磁されて、リレースイッチ4220を閉成するとともに、リレースイッチ4230を開成する。
【0101】
また、ステップ1120におけるリレー停止処理では、リレーコイル4210が駆動回路4100により消磁されて、リレースイッチ4220を開成するとともに、リレースイッチ4230を閉成する。
(第4実施形態)
図11は、本発明の第4実施形態の要部を示している。この第4実施形態では、上記第1実施形態にて述べたフローチャート(図2参照)とは異なり、逆火花放電発生ルーチン5000が、スタートステップと正火花放電発生ルーチン5100との間ではなく、ステップ5300とリターンステップとの間に挿入されている。さらに、この逆火花放電発生ルーチン5000では、閾値Noが第1実施形態1とは異なり「1000」と設定されている。なお、逆火花放電発生ルーチン5200の閾値Noは第1実施形態と同様の「100」と設定されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0102】
このように構成した第4実施形態では、正火花放電発生ルーチン5100と逆火花放電発生ルーチン5200とを交互に繰り返した後、最後に逆火花放電発生ルーチン5000を行うことで、中心電極232の更なるクリーニング処理が行われる。その上、この逆火花放電発生ルーチン5000では、逆火花放電発生ルーチン5200の閾値よりも大きな閾値を設定しているので、クリーニング処理による中心電極232への付着物が殆どないように処理できる。
(第5実施形態)
図12及び図13は、本発明の第5実施形態の要部を示している。この第5実施形態では、第1実施形態とは異なり、マイクロコンピュータ300が、始動用キースイッチ130を介しバッテリ140の正側端子に接続されるだけではなく、図12にて示すごとく、バッテリ140の正側端子に直結されている。これに伴い、マイクロコンピュータ300は、始動用キースイッチ130のオン操作により作動状態におかれるのではなく、バッテリ140の正側端子との直結時から作動状態におかれる。
【0103】
また、本第5実施形態では、第1実施形態とは異なり、ヒータ260が駆動回路270を介し、図12にて示すごとく、マイクロコンピュータ300に接続されている。ヒータ260は、放電センサ200の絶縁体210の先端部に設けられているもので、このヒータ260は、マイクロコンピュータ300による制御のもと、駆動回路270により駆動通電されて、絶縁体210を加熱する。
【0104】
また、本第5実施形態では、図13にて示すフローチャートが、採用されている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様であり省略する。
【0105】
この図13のフローチャートについて説明する。なお、逆火花放電発生ルーチン5000及び正火花放電発生ルーチン5100は、第1実施形態と同様のものであり、図3、図4のフローチャートを用いて実行されるため、省略する。また、逆火花放電発生ルーチン5700においても、図3のフローチャートを用いて実行されるため省略する。
【0106】
まず、ステップ5400にて、始動用キースイッチ130がオン状態であるか否かを判断する。始動用キースイッチ130がオフ状態であれば、ステップ5400においてNOと判定する。
【0107】
始動用キースイッチ130のオン操作に伴い、ディーゼル内燃機関100の始動にあわせて、マイクロコンピュータ300が、キースイッチ130のオン状態に基づきYESと判定すると、逆火花放電発生ルーチン5000が実行され、中心電極232のクリーニング処理がなされる。
【0108】
次に、正火花放電発生ルーチン5100が実行され、第1煤濃度信号が、放電センサ200からの安定した放電電圧に基づき、精度よく得られる。その後、ステップ5500において、始動用キースイッチ130がオフか否かが判定される。
【0109】
始動用キースイッチ130がオン状態であれは、ステップ5500では、NOと判定され正火花放電発生ルーチン5100にフィードバックする。以後、始動用キースイッチ130がオフ状態になるまで、正火花放電発生ルーチン5100及びステップ5500を通る処理が繰り返される。
【0110】
他方、始動用キースイッチ130がオフ操作されると、ディーゼル内燃機関100が停止するとともに、マイクロコンピュータ300がステップ5500において、キースイッチ130のオフ状態に基づきYESと判定する。
【0111】
すると、ステップ5600におけるヒータ通電処理において、ヒータ260が、駆動回路270により駆動通電される。このため、ヒータ260が絶縁体210を加熱して絶縁体210に貼着した煤を除去する。なお、ヒータ260の通電はディーゼル内燃機関100の停止後100(秒)以内に、駆動回路270によって開始されるため、ディーゼル内燃機関100の停止後の排気管120が暖かい状態において、ヒータ260の通電が行われることとなる。
【0112】
次に、ステップ5600における処理が終了すると、逆火花放電発生ルーチン5700が実行されて、中心電極232がクリーニング処理され終了する。
【0113】
このように、ヒータ通電処理後に逆火花放電発生ルーチンを行うことで、放電センサに煤等の付着物が一層付着していないことになり、次回の煤検出の際に安定した放電電圧のもとに、第1煤濃度信号が精度よく検出できる。
(第6実施形態)
図14は、本発明の第6実施形態の要部を示している。この第6実施形態では、上記第1実施形態にて述べた図3の逆火花放電発生ルーチンが異なるものであり、その他の構成は第1実施形態と同様である。よって、図14のフローチャートについてのみ説明し、その他の部分については、省略する。
【0114】
図14のフローチャートは、逆火花放電発生ルーチンの図3のフローチャートと比較して、ステップ1020とステップ1030との間に、ステップ1050であるピークホールド電圧入力処理を行っているものである。また、ステップ1100とステップ1120との間に、ステップ1170であるピークホールド電圧の平均化処理及びステップ1180である第2煤濃度信号への変換処理を行っているものである。
【0115】
ステップ1050では、放電センサ200が逆火花放電を行った時の放電電圧を、分圧器710により分圧し、分圧電圧として共通端子713からピークホールド回路720に出力される。このため、このピークホールド回路720は、上記分圧電圧のピークレベルをホールドしピークホールド電圧として発生し、ステップ1050におけるピークホールド電圧の入力処理において、マイクロコンピュータ300に入力する。
【0116】
また、ステップ1170では、ピークホールド電圧の平均化処理がなされる。ここでは、ステップ1050にて入力済みの全てのピークホールド電圧が相加平均により平均化され、平均値として得られる。
【0117】
また、ステップ1180では、第2煤濃度度信号への変換処理がなされる。この変換処理では、ステップ1170で得たピークホールド電圧の平均値がこれに対応する第2煤濃度信号に変換されてマイクロコンピュータ300から出力される。
【0118】
このように、図14に示すフローチャートをマイクロコンピュータ300が実行することで、クリーニング処理に用いるための逆火花放電においても、逆火花放電時の第2放電電圧を検出し、第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力することで、煤を検出することができる。
【0119】
なお、図1の煤検出装置のマイクロコンピュータ300に接続するように評価回路を備えることで、マイクロコンピュータ300から出力される第1煤濃度信号、第2煤濃度信号に基づく評価を行うことができる。これにより、第1煤濃度信号のみを用いて煤を検出する場合や、第2煤濃度信号のみを用いて煤を検出する場合よりも煤の検出精度がより高まる。なお、評価回路内では、加算、減算、積算、除算の少なくともいずれかを行って評価するようにしている。
【0120】
また、上記の評価回路を用いずにマイクロコンピュータ300内にて処理することも可能である。この場合、交互に処理される第1煤濃度信号及び第2煤濃度信号をそれぞれ記憶し、両方に基づく評価を行うことができる。
【0121】
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)第1〜第3の実施形態においては、図2におけるコンピュータプログラムのうち、逆火花放電発生ルーチン5200を行わなくても良い。つまり、逆火花放電発生ルーチン5000を1回行った後、正火花放電発生ルーチン5200を所定回行うことができる。このようにしても、放電センサ200の中心電極232が、逆火花放電発生ルーチン5000の実行により、クリーニング処理されている状態で、正火花放電発生処理ルーチン5100にて第1煤濃度信号を発生しているので、第1煤濃度信号が、放電センサ200から発生する放電電圧に基づき精度よく得られる。
(2)また、第5実施形態においては、正火花放電発生ルーチン5100とステップ5500との間に逆火花放電発生ルーチンを行っても良い。これにより、第1煤濃度信号を連続的に検出したとしても、逆火花放電によって中心電極232がクリーニング処理され、中心電極232に対する新たな付着物の付着を招くことなく、第1煤濃度信号が、安定した放電電圧に基づき、長時間、精度よく得ることができる。
(3)本発明の実施にあたり、中心電極232のクリーニングが適正になされる範囲であれば、ステップ1100の判定基準である閾値Noは、「100」に限ることなく、適宜変更してもよい。また、ステップ1210におけるピークホールド電圧の平均化処理が外乱の影響を受けない程度に行われる範囲であれば、ステップ1200における判定基準である閾値Moは、「100」に限ることなく、適宜変更してもよい。また、ステップ5400の判定基準である閾値Toは、「100」に限ることなく、第1煤濃度検出信号の検出時間に合わせて適宜変更しても良い。
(4)さらに、第1〜第3実施形態においては、図2におけるコンピュータプログラムのうち、正火花放電発生ルーチン5100の閾値Mo、逆火花放電発生ルーチン5200の閾値Noを「100」と設定したが、これに限らず、例えば、閾値Toを「100」と設定し、そのうちT≦50は閾値Mo、Noを「100」としておき、T≧51は閾値Mo、Noを「200」としても良い。
(5)高電圧発生回路500の低圧側コイル510及び高圧側コイル520の鉄心530に対する各巻装方向は、上記第1或いは第2の実施形態とは異なり、互いに逆の巻装方向であってもよい。この場合には、クリーニング処理或いは放電電圧の検出にあたり、リレー620の各リレースイッチ622〜625が上記第1或いは第2の実施形態にて述べたと同様の閉成或いは開成の作動を行うように、リレーコイル621を駆動回路610でもって駆動すればよい。
(6)上記第3実施形態において、高電圧発生回路500或いは3000の低圧側コイルの巻装方向は、記第3実施形態にて巻装方向とは逆であってもよい。
(7)高電圧発生回路500或いは3000は、イグニッションコイルに限ることなく、低圧側コイル及び高圧側コイルを備えて、当該低圧側コイルに印加される直流電圧を昇圧して上記高圧コイルから高電圧を発生する変圧器であってもよい。
(8)本発明の実施にあたり、リレー620或いは4200のような有接点リレーに代えて、当該リレー620或いは4200と同様の機能を有するように構成した無接点リレーを採用してもよく、一般的には、上記有接点リレーと同様の機能を有するように構成した接続切り換え手段であってもよい。
(9)放電センサ200は、スパークプラグ型のものに限ることなく、一対の電極を放電電極として有するセンサであればよい。
(10)本発明は、ディーゼル内燃機関に限ることなく、ガソリン内燃機関、外燃機関等の燃料の燃焼を利用する各種の燃料燃焼機器に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明に係る煤検出装置の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のフローチャートである。
【図3】図2のフローチャートのうち、逆火花放電発生ルーチンのフローチャートである。
【図4】図2のフローチャートのうち、正火花放電発生ルーチンのフローチャートである。
【図5】上記第1実施形態においてクリーニングの有無に応じて放電センサの放電電圧の平均値が日毎に変動する状態を示すグラフである。
【図6】上記第1実施形態において放電センサの放電電圧のばらつきをクリーニングの有無に応じて示す図表である。
【図7】上記第1実施形態における放電電圧比と逆火花放電発生ルーチン5000の時間との関係を示す棒グラフである。
【図8】上記第1実施形態における比較例、実施例について、正逆火花放電発生回数比、逆火花放電発生回数比率、3σを示す図表である。
【図9】本発明の第2実施形態を示すブロック図である。
【図10】本発明の第3実施形態を示すブロック図である。
【図11】本発明の第4実施形態の要部を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第5実施形態を示すブロックの要部を示す図である。
【図13】上記第5実施形態の要部を示すフローチャートである。
【図14】上記第6実施形態の要部を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0123】
120…排気管、130…始動用キースイッチ、140…バッテリ、
200…放電センサ、232…中心電極、240…外側電極、260…ヒータ、
300…マイクロコンピュータ、400、2000…スイッチング回路、
410、2100…パルス信号発生回路、420、2200…トランジスタ、
500、3000…高電圧発生回路、510、3110…低圧側コイル、
520、3200…高圧側コイル、600、4000…切替回路、
610、4100…駆動回路、620、4200…リレー、700…出力処理回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関等の燃料燃焼機器の排気に含有される煤を検出するための煤検出装置及び煤検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の煤検出装置としては、例えば、下記実用新案文献1に記載のスモーク検出装置が提案されている。このスモーク検出装置は、排気ガス中に設けた一対の電極間に電圧を印加して、一対の電極間に火花放電を発生させ、この火花放電が発生した時の放電電圧に基づき排気ガス中の煤の濃度を検出している。
【特許文献1】実開昭64−50355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記スモーク検出装置によると、放電電圧が、排気ガス中の煤の濃度如何にかかわらず、大きく変動してしまい、その結果、煤の検出精度が低下するという現象を招く。
【0004】
この現象について検討してみたところ、上記スモーク検出装置の使用過程においては、例えば、排気ガス中の煤等が、上記一対の電極のうち負側電極には付着しにくいものの、正側電極に付着してしまうことが確認された。そして、その結果、放電電圧の大きな変動を招く原因であることが確認された。
【0005】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処すべく、煤の検出精度を向上させるために、放電センサの一対の電極から生ずる放電電圧の変動を最小限に抑制するようにした煤検出装置及び煤検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項1の記載によれば、
高電圧を発生する高電圧発生手段と、被検出雰囲気中に配置される一対の電極を有し、当該一対の電極間に高電圧を印加した際、上記被検出雰囲気中の煤に依存する放電電圧にて火花放電する放電センサと、
所定の電極極性を有する高電圧を印加して前記放電センサに火花放電が発生した時の第1放電電圧を検出する第1検出手段と、
上記第1放電電圧に基づき第1煤濃度信号を出力する第1出力手段とを備える煤検出装置において、
高電圧発生手段から上記一対の電極へ印加される上記高電圧の電圧極性を上記所定の電圧極性とは逆の電圧極性に切り替える切替手段を備えることを特徴とする。
【0007】
このように、切替手段を有することで、放電センサの一対の電極間に逆の電圧極性の高電圧を印加することができる。これにより、所定の電極極性にて通常使用された場合に正側電極となって煤等の付着物が付着したとしても、逆の電極極性にて負側電極となり、この付着物が、適正にクリーニングできる。
【0008】
すると、正側電極として通常使用される際に付着物が存在しないことから、一対の電極間に発生する放電電圧は、付着物に影響されることなく、非常に安定する。その結果、煤検出装置による煤の検出精度が良好に確保できる。
【0009】
さらに、本発明は、請求項2の記載によれば、第1出力手段は、複数の第1放電電圧に基づき第1煤濃度信号を出力することが好ましい。これにより、1つの第1放電電圧に基づいて第1煤濃度信号を出力するよりも煤の検出精度がより高まる。なお、「複数の第1放電電圧に基づき第1煤濃度信号を出力する」とは、複数の第1放電電圧の平均値から第1煤濃度検出信号を出力することが挙げられる。
【0010】
さらに、本発明は、請求項3の記載によれば、逆の電極極性を有する高電圧を印加して放電センサに逆火花放電が発生した時の第2放電電圧を検出する第2検出手段と、第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力する第2出力手段と、を備えることが好ましい。このように、クリーニングに用いるための逆火花放電においても、被検出雰囲気中の煤に依存する第2放電電圧にて通常使用された場合とは逆向きに火花放電する。そのため、その第2放電電圧を検出し、第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力することで、クリーニング中であっても煤を検出することができる。
【0011】
さらに、本発明は、請求項4の記載によれば、第2出力手段は、複数の第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力することが好ましい。これにより、1つの第2放電電圧に基づいて第2煤濃度信号を出力するよりも煤の検出精度がより高まる。なお、「複数の第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力する」とは、複数の第2放電電圧の平均値から第2煤濃度検出信号を出力することが挙げられる。
【0012】
さらに、本発明は、請求項5の記載によれば、第1煤濃度信号および第2煤濃度信号の両方に基づき煤濃度を評価する評価手段とを備えることが好ましい。これにより、第1煤濃度信号のみを用いて煤を検出する場合や、第2煤濃度信号のみを用いて煤を検出する場合よりも煤の検出精度がより高まる。なお、「第1煤濃度信号及び第2煤濃度信号の両方に基づく」とは、請求項6に記載のように、加算、減算、積算、除算の少なくともいずれかを行うようにすることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、請求項7の記載によれば、高電圧発生手段は、スイッチング作動を行うスイッチング手段と、当該スイッチング手段に接続される低圧側コイルと放電センサに接続される高圧側コイルとを有し、スイッチング手段のスイッチング作動に基づき直流電源から低圧側コイルに印加される電圧を昇圧して高圧側コイルから高電圧を発生する変圧手段とを備え、切替手段は、変圧手段から上記一対の電極への上記高電圧の電圧極性が所定の電圧極性とは逆の電圧極性となるように低圧側コイルの直流電源に対する接続を切り換える接続切り換え手段を備えることを特徴とする。
【0014】
これにより、接続切り換え手段によって変圧手段から上記一対の電極に印加される高電圧を所定の電圧極性又は逆の電圧極性にすることができる。
【0015】
また、本発明は、請求項8の記載によれば、高電圧発生手段は、スイッチング作動を行うスイッチング手段と、当該スイッチング手段に接続される低圧側コイルと放電センサに接続される高圧側コイルとを有し、スイッチング手段のスイッチング作動に基づき直流電源から低圧側コイルに印加される電圧を昇圧して高圧側コイルから高電圧を発生する変圧手段とを備え、
切替手段は、変圧手段から一対の電極への上記高電圧の電圧極性が所定の電圧極性とは逆の電圧極性となるように高圧側コイルの上記一対の電極に対する接続を切り換える接続切り換え手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
このように、請求項7に記載の発明とは異なり、変圧手段から一対の電極への上記高電圧の電圧極性が上記所定の電圧極性またはこの所定の電圧極性とは逆の電圧極性となるように高圧側コイルの上記一対の電極に対する接続を切り換えるようにしても達成できる。
【0017】
また、本発明は、請求項9の記載によれば、被検出雰囲気中に配置される一対の電極を有してなる放電センサの一対の電極間に所定の電圧極性にて高電圧を印加し、前記検出雰囲気中の煤に依存する電圧にて火花放電させる放電ステップと、該放電ステップにて放電センサに火花放電を発生させた時の第1放電電圧を検出する第1検出ステップと、該第1検出ステップにて検出された第1放電電圧に基づき第1煤濃度信号を出力する第1出力ステップとを備える煤検出方法において、一対の電極間に印加する高電圧を所定の電圧極性または所定の電圧極性とは逆の電圧極性のいずれかに切り替える切替ステップと、放電センサの一対の電極間に逆の電極極性にて高電圧を印加した際、検出雰囲気中の煤に依存する電圧にて逆火花放電させる逆火花放電ステップとを備えることを特徴とする。
【0018】
このように、切替ステップ及び逆放電ステップを備えることで、放電センサの一対の電極間に逆の電極極性の高電圧を印加することができる。これにより、所定の電極極性にて通常使用された場合に正側電極となって煤等の付着物が付着したとしても、逆の電極極性にて負側電極となり、この付着物が適正にクリーニングできる。
【0019】
すると、正側電極として通常使用される際に付着物が存在しないことから、一対の電極間に発生する放電電圧は、上記付着物に影響されることなく、非常に安定する。その結果、煤の検出精度が良好に確保できる。
【0020】
さらに、本発明は、請求項10の記載によれば、第1出力ステップは、複数の第1検出ステップにて検出された複数の第1放電電圧に基づき第1煤濃度信号を出力することが好ましい。これにより、1つの第1放電電圧に基づいて第1煤濃度信号を出力するよりも煤の検出精度がより高まる。
【0021】
さらに、本発明は、請求項11の記載によれば、最初の放電ステップよりも前に、逆放電ステップを備えることが好ましい。これにより、最初の放電ステップにて煤を検出する時点から正側電極の付着物が除去されていることとなり、安定した放電電圧が検出でき、煤の検出が精度よく確保できる。
【0022】
さらに、本発明は、請求項12の記載によれば、放電ステップと、逆放電ステップとは交互に行われることが好ましい。このように、高電圧の極性切替による交互印加により、正側電極に対する付着物が常に付着することを防止でき、正側電極のクリーニング状態を維持しつつ、煤を精度よく検出できる。
【0023】
さらに、本発明は、請求項13の記載によれば、放電ステップと逆放電ステップとはそれぞれ複数回行われることが好ましい。このように、放電ステップと逆放電ステップを複数回行うことで、これにより、煤の検出を連続的に行っても、付着物が常時クリーニングされ続けて正側電極に付着しないため、煤の検出結果の変動を抑制できる。なお、好ましくは、請求項14の記載のように、逆放電ステップの回数は、放電ステップの回数の10%以上であることが好ましい。
【0024】
さらに、本発明は、請求項15の記載によれば、放電センサは、一対の電極のいずれか一方を覆う絶縁体と該絶縁体に設けられたヒータとを有し、前記ヒータの通電を行い、絶縁体に貼着する煤を燃焼させるヒータ通電ステップを備え、ヒータ通電ステップ後に逆放電ステップを行うことが好ましい。このように、放電センサには、絶縁体に付着する煤を除去するためのヒータが設けられている場合がある。この場合、ヒータ通電ステップにてヒータに通電を行うことで、ヒータが発熱し、絶縁体に付着した煤が除去される。このとき、ヒータ通電ステップ後に逆放電ステップを行うことで、放電センサに煤等の付着物が一層付着していないことになり、次回の煤検出の際に安定した放電電圧のもとに、煤濃度が精度よく検出できる。
【0025】
さらに、本発明は、請求項16の記載によれば、逆放電ステップにて放電センサに逆火花放電が発生した時の第2放電電圧を検出する第2検出ステップと、第2検出ステップにて検出された第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力する第2出力ステップとを備えることが好ましい。このように、クリーニングに用いるための逆火花放電においても、被検出雰囲気中の煤に依存する第2放電電圧にて通常使用された場合とは逆向きに火花放電する。そのため、その第2放電電圧を検出し、第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力することで、クリーニング中であっても煤を検出することができる。
【0026】
さらに、本発明は、請求項17の記載によれば、第2出力ステップは、複数の第2検出ステップにて検出された複数の複数の第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力することが好ましい。これにより、1つの第2放電電圧に基づいて第2煤濃度信号を出力するよりも煤の検出精度がより高まる。
【0027】
さらに、本発明は、請求項18の記載によれば、第1煤濃度信号および第2煤濃度信号の両方に基づき煤濃度を評価する評価ステップを備えることが好ましい。これにより、第1煤濃度信号のみを用いて煤を検出する場合や、第2煤濃度信号のみを用いて煤を検出する場合よりも煤の検出精度がより高まる。なお、「第1煤濃度信号及び第2煤濃度信号の両方に基づく」とは、請求項19に記載のように、加算、減算、積算、除算の少なくともいずれかを行うようにすることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の各実施形態を図面により説明する。
(第1実施形態)
図1は、車両用ディーゼル内燃機関100に適用された本発明に係る煤検出装置の第1実施形態を示している。ディーゼル内燃機関100は、機関本体110及びこの機関本体110の燃焼室から延出する排気管120を備えている。なお、排気管120は、車両の車体を介し接地されている。
【0029】
ディーゼル内燃機関100は、始動用キースイッチ130のオン操作に伴うバッテリ140からの給電により始動し、燃料である軽油を、上記燃焼室内で圧縮された空気に供給して着火燃焼させ、排気ガスを上記燃焼室から排気管120を通して外部に排出する。なお、パティキュレートフィルタ150(以下、DPF150という)は、排気管120に介装されており、このDPF150は、排気管120に流れる排気ガスからパティキュレートを捕捉して、この捕捉後の排気ガスを下流側へ流出させる。
【0030】
排気管120には、放電センサ200が挿入されており、この放電センサ200は、絶縁体210、円筒状の主体金具220及び中心電極部材232を有する。絶縁体210は、主体金具220に挿通されている。
【0031】
ここで、中心電極232は、絶縁体210から突出しており、先端部(電極部)は、主体金具220からL字状に延出する外側電極240の電極部241に対向している。また、中心電極232に接続する端子部材231が絶縁体210の基端部から延出している。なお、中心電極232の電極部は、外側電極240の電極部241と共に、放電センサ200の放電部250を構成している。
【0032】
このように構成した放電センサ200は、外側電極240側から、排気管120に挿通されており、主体金具220にて、排気管120に支持されて、接地される。しかして、放電センサ200は、放電部250にて、高電圧(後述する)の印加のもと、排気管120内の排気ガス中の煤に依存する放電電圧にて火花放電する。
【0033】
また、煤検出装置は、マイクロコンピュータ300を有しており、このマイクロコンピュータ300は、後述するフローチャートに従い、コンピュータプログラムを実行し、この実行中において、放電センサ200の中心電極232のクリーニング処理及び煤の濃度の出力に必要な種々の演算処理を行う。
【0034】
なお、マイクロコンピュータ300は、始動用キースイッチ130を介しバッテリ140から給電されて作動状態となり、当該始動用キースイッチ130のオン操作に伴い、上記コンピュータプログラムの実行を開始する。また、当該コンピュータプログラムは、マイクロコンピュータ300のROMに読み出し可能に予め記憶されている。
【0035】
スイッチング回路400は、パルス信号発生回路410及びトランジスタ420を有しており、パルス信号発生回路410は、マイクロコンピュータ300による制御のもと、所定の周期(第1実施形態では0.01秒)にてパルス信号を順次発生する。トランジスタ420は、そのベースにて、パルス信号発生回路410から順次発生するパルス信号を入力されて、スイッチング作動を行う。なお、トランジスタ420のエミッタは、接地されている。また、所定の周期は、0.01(秒)に限ることなく、0.001(秒)〜10(秒)の範囲以内であってもよい。
【0036】
高電圧発生回路500は、イグニッションコイルからなるもので、このイグニッションコイルは、低圧側コイル510及び高圧側コイル520を備えて、これら低圧側コイル510及び高圧側コイル520を共に同一巻き方向に鉄心530に巻装して構成されている。
【0037】
これにより、高電圧発生回路500は、低圧側コイル510に印加される直流電圧を所定の昇圧比にて昇圧して高圧側コイル520から所定の高電圧を発生する。なお、上記所定の昇圧比(高圧側コイル520の巻き数/低圧側コイル510の巻き数)は、500〜2500の範囲以内の値となっている。また、高圧側コイル520は、その一端子521にて、放電センサ200の端子部材231に接続されており、当該高圧側コイル520の他端子522は、接地されている。
【0038】
切替回路600は、バッテリ140から高電圧発生回路500に印加される直流電圧の電圧極性を切り替えるもので、この切替回路600は、駆動回路610と、この駆動回路610により駆動されるリレー620とを備えている。
【0039】
リレー620は、リレーコイル621と、リレースイッチ622、623と、リレースイッチ624、625とを有する。リレーコイル621は、駆動回路610により励磁或いは消磁される。
【0040】
リレースイッチ622、623は、リレースイッチ624、625と共に連動するようになっており、リレースイッチ622、623は、共に、リレーコイル621の励磁により閉成し、このリレーコイル621の消磁により開成する。リレースイッチ624、625は、共に、リレーコイル621の励磁により開成し、このリレーコイル621の消磁により閉成する。
【0041】
ここで、リレースイッチ622及びリレースイッチ624は、その共通端子626にて、バッテリ140の正側端子に接続されている。また、リレースイッチ623及びリレースイッチ625は、その共通端子627にて、トランジスタ420のコレクタに接続されている。
【0042】
また、リレースイッチ623及びリレースイッチ624は、その共通端子628にて、低圧側コイル510の一端子511に接続されている。また、リレースイッチ622及びリレースイッチ625は、その共通端子629にて、低圧側コイル510の他端子512に接続されている。
【0043】
出力処理回路700は、分圧器710及びピークホールド回路720を有しており、分圧器710は、互いに直列接続した両抵抗711、712でもって構成されている。しかして、分圧器710は、高電圧発生回路500の高圧側コイル520からの高電圧を所定の分圧比でもって分圧し、両抵抗711、712の共通端子713から分圧電圧を発生する。ここで、上記所定の分圧比は、所定の抵抗値比(抵抗711の抵抗値/抵抗712の抵抗値:第1実施形態では0.001)を表す。
【0044】
次に、図2のフローチャートについて説明する。図1のマイクロコンピュータ300は、図2のフローチャートに従い、コンピュータプログラムを実行し、この実行中において、放電センサ200の中心電極232のクリーニング処理及び第1煤濃度信号を出力することに必要な様々な演算処理を行う。
【0045】
まず、マイクロコンピュータ300が、始動用キースイッチ130のオン操作に伴い作動すると、逆火花放電発生ルーチン5000を実行する。
【0046】
この逆火花放電発生ルーチン5000は、図3のフローチャートにおけるステップ1000〜ステップ1120により構成されている。
まず、ステップ1000において、計数データNがN=0とクリアされる。
【0047】
ついで、ステップ1010にて、リレー駆動処理がなされる。これに伴い、切替回路600においては、リレーコイル621が駆動回路610により励磁されてリレースイッチ622、623を共に閉成するとともにリレースイッチ624、625を共に開成する。
【0048】
このため、高電圧発生回路500においては、低圧側コイル510が、その一端子511にて、リレースイッチ623を介しトランジスタ420のコレクタに接続されるとともに、その他端子512にて、リレースイッチ622を介しバッテリ140の正側端子に接続される。
【0049】
ステップ1010の処理後、ステップ1020において、パルス信号出力指令処理がなされる。ここでは、パルス信号発生回路410が、マイクロコンピュータ300からのパルス信号出力指令に基づき、所定の周期でもって、パルス信号を順次発生してトランジスタ420のベースに出力する。すると、このトランジスタ420は、パルス信号発生回路410から順次出力される各パルス信号に基づき、所定の周期にて、スイッチング作動(導通及び非導通の交互作動)を繰り返す。
【0050】
このようなトランジスタ420のスイッチング作動によれば、当該トランジスタ420の導通毎に、高電圧発生回路500は、低圧側コイル510の他端子512をバッテリ140の正側端子に接続された状態において、低圧側コイル510の一端子511にてトランジスタ420を介し接地される。
【0051】
このため、高電圧発生回路500においては、低圧側コイル510が、一端子511を負側とし、他端子512を正側として、バッテリ140から直流電圧(例えば、12(V))を印加されて、高圧側コイル520から一端子521を負側とし他端子522を正側として高電圧を発生させる。従って、この高電圧は、放電センサ200にその中心電極232を負側とし外側電極240を正側とするように印加される。これにより、放電センサ200は、放電部250にて火花放電し、中心電極232がクリーニング処理される。なお、第1実施形態では、この放電センサ200の中心電極232を負側とし、外側電極240を正側とする火花放電を逆火花放電とする。
【0052】
次に、ステップ1030にて、計数データN=N+1が、「1」ずつ、加算更新される。従って、この計数データNは、パルス信号発生回路410のパルス信号の発生数に対応する。
【0053】
次に、ステップ1030にて、最新の計数データNが所定の閾値No以上かどうかを判断する。最新の計数データNが所定の閾値No以下であれば、NOと判定され、ステップ1020にフィードバックする。一方、最新の計数データNが所定の閾値No以上であれば、YESと判定され、ステップ1120に進む。なお、第1実施形態では、所定の閾値Noは、例えば、「100」と設定されている。
【0054】
ついで、ステップ1120において、リレー停止処理がなされる。このため、リレー620においては、リレーコイル621が、駆動回路610により消磁されて、リレースイッチ622、623を共に開成するとともにリレースイッチ624、625を共に閉成する。
【0055】
従って、高電圧発生回路500においては、低圧側コイル510が、その一端子511にて、リレースイッチ624を介しバッテリ140の正側端子に接続されるとともに、その他端子512にて、リレースイッチ625を介しトランジスタ420のコレクタに接続される。
【0056】
そして、ステップ1120が終了すると、逆火花放電発生ルーチン5000の実行が終了となり、マイクロコンピュータ300は、図2に示すように、センサ正火花放電発生ルーチン5100を実行する。この正火花放電発生ルーチン5100は、図4のステップ1130〜ステップ1230によって構成されている。 まず、ステップ1130において、計数データMがM=0とクリアされる。ついで、ステップ1140にて、パルス信号出力指令処理がなされる。このため、パルス信号発生回路410がパルス信号を順次発生し、これら各パルス信号に応答してトランジスタ420はスイッチング作動を繰り返す。
【0057】
このようなトランジスタ420のスイッチング作動によれば、当該トランジスタ420の導通毎に、高電圧発生回路500は、低圧側コイル510の一端子511にてバッテリ140の正側端子に接続された状態において、低圧側コイル510の他端子512にてトランジスタ420を介し接地される。
【0058】
このため、高電圧発生回路500においては、低圧側コイル510が、一端子511を正側とし、他端子512を負側として、バッテリ140から直流電圧を印加されて、高圧側コイル520から一端子521を正側とし他端子522を負側として所定の高電圧を発生させる。従って、この所定の高電圧は、放電センサ200に対し、中心電極232を正側とし外側電極240を負側とするように印加される。
【0059】
これにより、放電センサ200は、放電部250にて放電し、放電電圧を発生する。なお、第1実施形態では、放電センサ200の中心電極232を正側とし、外側電極240を負側とする火花放電を正火花放電とする。ここで、放電センサ200の中心電極232は逆火花放電によってクリーニング処理済みであるから、当該中心電極232には、付着物はない。このため、放電センサ200の放電電圧は非常に安定して維持され得る。
【0060】
上述のようにして放電センサ200が放電電圧を発生すると、この放電電圧は、分圧器710により分圧されて分圧電圧として共通端子713からピークホールド回路720に出力される。このため、このピークホールド回路720は、上記分圧電圧のピークレベルをホールドしピークホールド電圧として発生し、ステップ1150におけるピークホールド電圧の入力処理において、マイクロコンピュータ300に入力する。
【0061】
ステップ1150の処理後、ステップ1160において、計数データM=M+1が、「1」ずつ、加算更新される。従って、計数データMは、パルス信号発生回路410のパルス信号の発生数に対応する。
【0062】
次に、ステップ1160にて、最新の計数データMは所定の閾値Mo以上かどうかを判断する。最新の計数データMが所定の閾値Mo以下であれば、NOと判定され、ステップ1140にフィードバックする。一方、ステップ1160における最新の計数データMが所定の閾値Mo以上であれば、YESと判定され、ステップ1210に進む。本実施形態において、所定の閾値Moは、例えば、「100」と設定されている。
【0063】
次に、ステップ1210において、ピークホールド電圧の平均化処理がなされる。ここでは、ステップ1150にて入力済みの全てのピークホールド電圧が相加平均により平均化され、平均値として得られる。
【0064】
ついで、ステップ1220において、煤の濃度(以下、第1煤濃度信号ともいう)への変換処理がなされる。この変換処理では、ステップ1210で得たピークホールド電圧の平均値がこれに対応する第1煤濃度信号に変換されてマイクロコンピュータ300から出力される。
【0065】
そして、ステップ1220が終了すると、正火花放電発生ルーチン5000の実行が終了となる。このように、放電センサ200の中心電極232が、逆火花放電発生ルーチン5000の実行により、クリーニング処理されている状態で、正火花放電発生処理ルーチン5100にて第1煤濃度信号を発生しているので、第1煤濃度信号が、放電センサ200から発生する放電電圧に基づき精度よく得られる。
【0066】
また、最新の計数データMの閾値100とし、複数のピークホールド電圧の平均値に基づいて第1煤濃度信号を出力することで、1つピークホールド電圧に基づいて第1煤濃度信号を出力するよりも煤の検出精度がより高まる。
【0067】
次に、センサ正火花放電発生ルーチン5100の実行が終了すると、図2に示すように、マイクロコンピュータ300は、再び逆火花放電発生ルーチン5200を実行する。この逆火花放電発生ルーチン5200は、上述した逆火花放電発生ルーチン5000と同様に構成されているため、説明を省略するが、同様に、計数データN=No=100となるまで、中心電極232が、クリーニング処理される。
【0068】
そして、センサ逆火花放電発生ルーチン5200の実行が終了すると、ステップ5300において、計数データT=T+1が、「1」ずつ、加算更新される。従って、計数データTは、正火花放電発生ルーチン5100の発生数に対応する。
【0069】
次に、ステップ5400にて、最新の計数データTは所定の閾値To以上かどうかを判断する。最新の計数データTが所定の閾値To以下であれば、NOと判定され、正火花放電発生ルーチン5100にフィードバックする。本実施形態において、所定の閾値Toは、例えば、「100」と設定されている。
【0070】
以後、ステップ5400においてYESと判定されるまで、正火花放電発生ルーチン及び逆火花放電発生ルーチン5200が交互になされる。これにより、第1煤濃度信号を連続的に検出することができる。その上、第1煤濃度信号を連続的に検出したとしても、逆火花放電によって中心電極232がクリーニング処理され、中心電極232に対する新たな付着物の付着を招くことなく、第1煤濃度信号が、安定した放電電圧に基づき、長時間、精度よく得ることができる。なお、ステップ5400における判定がYESになると、上記コンピュータプログラムは、リターンステップからスタートステップに戻る。
【0071】
なお、第1実施形態におけるトランジスタ420が特許請求の範囲の「スイッチング手段」に相当し、高電圧発生回路500が「変圧手段」に相当し、トランジスタ420及び高電圧発生回路500が「高電圧発生手段」に相当し、切替回路600が「切替手段」若しくは「接続切り換え手段」に相当し、出力処理回路700が「第1検出手段」に相当し、マイクロコンピュータ300が「第1出力手段」に相当する。
【0072】
また、第1実施形態におけるステップ1020が特許請求の範囲の「逆放電ステップ」に相当し、ステップ1010及びステップ1120が「切替ステップ」に相当し、ステップ1140が「放電ステップ」に相当し、ステップ1150が「第1検出ステップ」に相当し、ステップ1210及び1220が「第1出力ステップ」に相当する。
【0073】
次に、逆火花放電の効果を確認するために、放電センサ200を10日間使用したときに、放電電圧の平均値が、下記の処理サイクル条件のもとに、どのように変動するかについて測定してみた。
【0074】
日毎に、放電センサ200を、排気管120の排気ガス中に30(分)間晒した後、モデル管(図示しない)に取り付けて、下記処理サイクル条件を実施した。なお、当該モデル管内のガスのガス温度を100(℃)とした。また、当該モデル管内のガスのガス組成は、10(%)の酸素(O 2)、5(%)の二酸化炭素(CO 2)、5(%)の水(H2O)及び窒素(N 2)からなっている。
1.クリーニング処理なしで放電電圧を測定する場合の日毎の処理サイクル条件
この処理サイクル条件は、放電センサ200に正火花放電を100回放電させ、ピークホールド電圧の平均値を算出する。
2.クリーニング処理ありで放電電圧を測定する場合の日毎の処理サイクル条件
このサイクル条件は、まず、放電センサ200に逆火花放電を100回放電させて、中心電極232のクリーニング処理を行う。その後、放電センサ200に正火花放電を100回放電させ、ピークホールド電圧の平均値を算出する。
【0075】
そして、10日間のそれぞれの測定の結果を図5の各グラフ1、2で示す。図5のグラフ1は、上記処理サイクル2により算出された放電電圧を示したものである。また、グラフ2は、上記処理サイクル1により算出された放電電圧を示したものである。これらグラフ1、2によれば、処理サイクル2が、処理サイクル1に比べて、放電電圧の平均値の変動が少なく安定していることが分かる。
【0076】
また、放電センサ200の日毎の放電電圧のばらつきがどのようになるかについて調べてみた。その結果、図6の図表で示すデータが得られた。この図表において、3σは、日毎の100個の放電電圧に対して得られた値である。当該図表によれば、処理サイクル2の放電電圧のばらつきは、処理サイクル1の放電電圧のばらつきに比べて、かなり小さいことが分かる。以上の結果から、逆火花放電による中心電極232のクリーニング処理が、放電電圧のばらつきを小さく安定した値に維持するのに極めて有効であることが分かる。
【0077】
さらに放電電圧比(=1時間放電後の放電電圧/初期の放電電圧)と放電センサ200に対する逆火花放電発生ルーチン5000の時間との関係を、下記の放電雰囲気条件及び放電電圧検出条件のもとに、どのように変化するか調べてみた。その結果、図7にて示すような棒グラフ3−1〜3−6が得られた。なお、放電電圧比は、「1.0」に近いほど、放電電圧の安定性が高い。
【0078】
なお、上述の「1時間放電後の放電電圧」とは、下記時間の間、逆火花放電発生ルーチン5000を行った後、放電センサ200をモデルガスの雰囲気内で1時間の間正火花放電させたときの放電センサ200の放電電圧をいう。また、上述の「初期の放電電圧」とは、下記時間の間、逆火花放電発生ルーチン5000を行った直後の放電センサ200に対する放電電圧をいう。
【0079】
また、上記放電雰囲気条件は、ガス温度を100(℃)とし、ガス組成を、10(%)の酸素(O2)、5(%)の二酸化炭素(CO2)、5(%)の水(H2O)及び窒素(N2)とする。また、上記放電電圧検出条件は、煤濃度0(mg/m3)の場合とする。
【0080】
図7において、棒グラフ3−1は、逆火花放電発生ルーチン5000の時間=0(s)のときの放電電圧比を示し、棒グラフ3−2、3−3、3−4、3−5、3−6、それぞれ逆火花放電発生ルーチン5000の時間=10(s)、120(s)、600(s)、1800(s)、3600(s)のときの放電電圧比を示す。
【0081】
図7の棒グラフ3−1では、放電電圧比が0.55程度であるのに対し、棒グラフ3−2〜3−6では、放電電圧比が0.8を越える値となっており、1.0に近く、放電センサ200の放電電圧の安定性が良好であることが分かる。
【0082】
以上によれば、逆火花放電発生ルーチン5000において、放電センサ200に逆火花放電を行うことで、放電電圧比を大きく維持することができ、その結果、煤濃度の安定な検出が可能となることが分かる。なお、逆火花放電発生ルーチン500の時間は、30(分)以下であることが望ましい、30(分)よりも長くなると、中心電極232に対するクリーニング時間が長すぎて、中心電極232に摩耗が発生して、放電センサ200としての耐久性が低下する。
【0083】
次に、正火花放電発生回数と逆火花放電発生回数との比(以下、正逆火花放電発生回数比という)が、放電電圧に対しどのような影響を与えるかについて評価してみた。まず、放電センサ200を比較例1、実施例2〜12の12個準備した。なお、図8の図表において、例えば、実施例2の正逆火花放電発生回数比=20:1は、正火花放電発生回数が20回(閾値Mo=20回)と逆火花放電発生回数が1回(閾値No=1回)との比をいう。また、逆火花放電発生回数比率は、正火花放電発生回数に対する逆火花放電発生回数の比を割合(%)で示すもので、例えば、実施例2の正逆火花放電発生回数比=20:1は、逆火花放電発生回数比率=5(%)である。
【0084】
そして、上述のように準備した比較例1、実施例2〜12を、それぞれ、図7に示す放電雰囲気条件のもと、20(分)間通電することで、正火花放電時の放電電圧がどのように変化するかについて調べた。なお、閾値Toの値は、比較例1、実施例2〜12のそれぞれに対し20分間に対応する回数に設定されている。この放電電圧の変化は、20(分)間の通電による比較例1、実施例2〜12の放電電圧のばらつきである「3σ」にて表す。
【0085】
以上によれば、比較例1のように、逆火花放電を行わない場合には、3σ=2.169であるのに対して、各実施例2〜5では、各3σは、1.765、1.898、1.862及び1.850である(図8の図表参照)。従って、比較例1に対して、実施例2〜5の放電電圧のばらつきは小さくなることが分かる。
【0086】
さらに各実施例6〜12では、3σは、0.506、0.467、0.545、0.517、0.473、0.591、0.456であり、放電電圧のばらつきがかなり小さくなることが分かる。つまり、実施例6〜12に示されるように、逆火花放電発生回数比率を10(%)以上とすれば、長時間(例えば、20(分))の間、煤濃度の検出を連続的に行っても、被検出雰囲気中の煤やその他の物、負側電極240からスパッタされる粒子が常時クリーニングされ続けて中心電極232に付着しない。このため、放電電圧のばらつきを最小限に抑制することができ、その結果、煤濃度を安定的に求めることができることが分かる。
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態を示している。この第2実施形態においては、上記第1実施形態にて述べたリレー620が、第1実施形態とは異なり、高電圧発生回路500と放電センサ200及び出力処理回路700との間に介装されている。
【0087】
即ち、本第2実施形態では、リレー620において、リレースイッチ622及びリレースイッチ624が、その共通端子626にて、高電圧発生回路500の高圧側コイル520の一端子521に接続されている。また、リレースイッチ623及びリレースイッチ625が、その共通端子627にて、高圧側コイル520の他端子522に接続されている。
【0088】
また、リレースイッチ623及びリレースイッチ624は、その共通端子628にて、放電センサ200の端子部材231に接続されるとともに分圧器710を介し接地されている。また、リレースイッチ622及び常閉型リレースイッチ625は、その共通端子629にて、接地されている。なお、高電圧発生回路500の低圧側コイル510は、一端子511にて、バッテリ140の正側端子に接続されており、当該低圧側コイル510の他端子512は、トランジスタ420のコレクタに接続されている。
【0089】
このように構成した切替回路600によれば、リレー620が、リレースイッチ622を介し、高圧側コイル520の一端子521を接地し、かつ、リレースイッチ623を介し、高圧側コイル520の他端子522を放電センサ200の端子部材231に接続したとき、リレー620は、トランジスタ420の導通を前提に、高圧側コイル520から生ずる高電圧を、共通端子628を負側とし共通端子629を正側として、放電センサ200のその中心電極232及び外側電極240間に印加する。
【0090】
また、リレー620が、リレースイッチ625を介し、高圧側コイル520の他端子522を接地し、かつ、リレースイッチ624を介し、高圧側コイル520の一端子521を放電センサ200の端子部材231に接続したとき、リレー620は、トランジスタ420の導通を前提に、高圧側コイル520から生ずる高電圧を、共通端子628を正側とし共通端子629を負側として、放電センサ200のその中心電極232及び外側電極240間に印加する。
【0091】
なお、その他の構成は、上記第1実施形態と同様であり省略する。また、マイクロコンピュータ300のコンピュープログラムにおいても、第1実施形態と同様であり、第2実施形態では省略する。
(第3実施形態)
図10は、本発明の第3実施形態を示している。この第3実施形態においては、第2実施形態から、さらにスイッチング回路2000及び高電圧発生回路3000が採用されかつ、切替回路4000が、上記第2実施形態にて述べた切替回路600に代えて採用されている。なお、第3実施形態では、高電圧発生回路3000のイグニッションコイルの形態、及び切替回路4000が第2実施形態とは異なるものであり、その他の部分については省略、又は簡略する。
【0092】
高電圧発生回路3000は、イグニッションコイルからなるもので、このイグニッションコイルは、低圧側コイル3100及び高圧側コイル3200を鉄心3300に同一巻き方向に巻装して構成されている。但し、このイグニッションコイルの低圧側コイル3100及び高圧側コイル3200の鉄心3300に対する各巻装方向は、共に、高電圧発生回路500であるイグニッションコイルの低圧側コイル510及び高圧側コイル520の鉄心530に対する各巻装方向とは逆方向になっている。
【0093】
このように構成した高電圧発生回路3000においては、低圧側コイル3100は、一端子3110にて、バッテリ140の正側端子に接続されており、この低圧側コイル3100の他端子3120は、トランジスタ2200のコレクタに接続されている。また、高圧側コイル3200は、その一端子3210にて、リレー4200(後述する)の常開型リレースイッチ4220を介し放電センサ200のロッド231に接続されており、この高圧側コイル3200の他端子3220は接地されている。
【0094】
電圧極性変換回路4000は、両高電圧発生回路500、3000のいずれか一方からの高電圧を切り換え選択することにより、放電センサ200への印加高電圧の電圧極性を変換するもので、この電圧極性変換回路4000は、駆動回路4100と、この駆動回路4100により駆動されるリレー4200とを備えている。
【0095】
リレー4200は、リレーコイル4210と、リレースイッチ4220及びリレースイッチ4230とを有する。リレーコイル4210は、駆動回路4100により励磁或いは消磁される。
【0096】
リレースイッチ4220は、リレーコイル4210の励磁により閉成し、このリレーコイル4210の消磁により開成する。リレースイッチ4230は、リレーコイル4210の励磁により開成し、このリレーコイル4210の消磁により閉成する。
【0097】
ここで、両リレースイッチ4220、4230は、その共通端子4240にて、放電センサ200の端子部材231に接続されている。これにより、リレースイッチ4220は、その閉成により、高圧側コイル3200の一端子3210を放電センサ200のロッド231に接続し、その開成により、放電センサ200の端子部材231を高圧側コイル3200の一端子3210から遮断する。
【0098】
また、リレースイッチ4230は、その閉成のもとに、高電圧発生回路500の高圧側コイル520の一端子521を放電センサ200の端子部材231に接続し、その開成により、放電センサ200の端子部材231を高圧側コイル520の一端子521から遮断する。
【0099】
さらに、本第3実施形態では、マイクロコンピュータ300のコンピュープログラムにおいても、ステップ1010及びステップ1120のみが第2実施形態とは異なるものであり、その他のステップについては、省略する。
【0100】
本第3実施形態においては、ステップ1010におけるリレー駆動処理に進むと、リレーコイル4210が、駆動回路4100により励磁されて、リレースイッチ4220を閉成するとともに、リレースイッチ4230を開成する。
【0101】
また、ステップ1120におけるリレー停止処理では、リレーコイル4210が駆動回路4100により消磁されて、リレースイッチ4220を開成するとともに、リレースイッチ4230を閉成する。
(第4実施形態)
図11は、本発明の第4実施形態の要部を示している。この第4実施形態では、上記第1実施形態にて述べたフローチャート(図2参照)とは異なり、逆火花放電発生ルーチン5000が、スタートステップと正火花放電発生ルーチン5100との間ではなく、ステップ5300とリターンステップとの間に挿入されている。さらに、この逆火花放電発生ルーチン5000では、閾値Noが第1実施形態1とは異なり「1000」と設定されている。なお、逆火花放電発生ルーチン5200の閾値Noは第1実施形態と同様の「100」と設定されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0102】
このように構成した第4実施形態では、正火花放電発生ルーチン5100と逆火花放電発生ルーチン5200とを交互に繰り返した後、最後に逆火花放電発生ルーチン5000を行うことで、中心電極232の更なるクリーニング処理が行われる。その上、この逆火花放電発生ルーチン5000では、逆火花放電発生ルーチン5200の閾値よりも大きな閾値を設定しているので、クリーニング処理による中心電極232への付着物が殆どないように処理できる。
(第5実施形態)
図12及び図13は、本発明の第5実施形態の要部を示している。この第5実施形態では、第1実施形態とは異なり、マイクロコンピュータ300が、始動用キースイッチ130を介しバッテリ140の正側端子に接続されるだけではなく、図12にて示すごとく、バッテリ140の正側端子に直結されている。これに伴い、マイクロコンピュータ300は、始動用キースイッチ130のオン操作により作動状態におかれるのではなく、バッテリ140の正側端子との直結時から作動状態におかれる。
【0103】
また、本第5実施形態では、第1実施形態とは異なり、ヒータ260が駆動回路270を介し、図12にて示すごとく、マイクロコンピュータ300に接続されている。ヒータ260は、放電センサ200の絶縁体210の先端部に設けられているもので、このヒータ260は、マイクロコンピュータ300による制御のもと、駆動回路270により駆動通電されて、絶縁体210を加熱する。
【0104】
また、本第5実施形態では、図13にて示すフローチャートが、採用されている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様であり省略する。
【0105】
この図13のフローチャートについて説明する。なお、逆火花放電発生ルーチン5000及び正火花放電発生ルーチン5100は、第1実施形態と同様のものであり、図3、図4のフローチャートを用いて実行されるため、省略する。また、逆火花放電発生ルーチン5700においても、図3のフローチャートを用いて実行されるため省略する。
【0106】
まず、ステップ5400にて、始動用キースイッチ130がオン状態であるか否かを判断する。始動用キースイッチ130がオフ状態であれば、ステップ5400においてNOと判定する。
【0107】
始動用キースイッチ130のオン操作に伴い、ディーゼル内燃機関100の始動にあわせて、マイクロコンピュータ300が、キースイッチ130のオン状態に基づきYESと判定すると、逆火花放電発生ルーチン5000が実行され、中心電極232のクリーニング処理がなされる。
【0108】
次に、正火花放電発生ルーチン5100が実行され、第1煤濃度信号が、放電センサ200からの安定した放電電圧に基づき、精度よく得られる。その後、ステップ5500において、始動用キースイッチ130がオフか否かが判定される。
【0109】
始動用キースイッチ130がオン状態であれは、ステップ5500では、NOと判定され正火花放電発生ルーチン5100にフィードバックする。以後、始動用キースイッチ130がオフ状態になるまで、正火花放電発生ルーチン5100及びステップ5500を通る処理が繰り返される。
【0110】
他方、始動用キースイッチ130がオフ操作されると、ディーゼル内燃機関100が停止するとともに、マイクロコンピュータ300がステップ5500において、キースイッチ130のオフ状態に基づきYESと判定する。
【0111】
すると、ステップ5600におけるヒータ通電処理において、ヒータ260が、駆動回路270により駆動通電される。このため、ヒータ260が絶縁体210を加熱して絶縁体210に貼着した煤を除去する。なお、ヒータ260の通電はディーゼル内燃機関100の停止後100(秒)以内に、駆動回路270によって開始されるため、ディーゼル内燃機関100の停止後の排気管120が暖かい状態において、ヒータ260の通電が行われることとなる。
【0112】
次に、ステップ5600における処理が終了すると、逆火花放電発生ルーチン5700が実行されて、中心電極232がクリーニング処理され終了する。
【0113】
このように、ヒータ通電処理後に逆火花放電発生ルーチンを行うことで、放電センサに煤等の付着物が一層付着していないことになり、次回の煤検出の際に安定した放電電圧のもとに、第1煤濃度信号が精度よく検出できる。
(第6実施形態)
図14は、本発明の第6実施形態の要部を示している。この第6実施形態では、上記第1実施形態にて述べた図3の逆火花放電発生ルーチンが異なるものであり、その他の構成は第1実施形態と同様である。よって、図14のフローチャートについてのみ説明し、その他の部分については、省略する。
【0114】
図14のフローチャートは、逆火花放電発生ルーチンの図3のフローチャートと比較して、ステップ1020とステップ1030との間に、ステップ1050であるピークホールド電圧入力処理を行っているものである。また、ステップ1100とステップ1120との間に、ステップ1170であるピークホールド電圧の平均化処理及びステップ1180である第2煤濃度信号への変換処理を行っているものである。
【0115】
ステップ1050では、放電センサ200が逆火花放電を行った時の放電電圧を、分圧器710により分圧し、分圧電圧として共通端子713からピークホールド回路720に出力される。このため、このピークホールド回路720は、上記分圧電圧のピークレベルをホールドしピークホールド電圧として発生し、ステップ1050におけるピークホールド電圧の入力処理において、マイクロコンピュータ300に入力する。
【0116】
また、ステップ1170では、ピークホールド電圧の平均化処理がなされる。ここでは、ステップ1050にて入力済みの全てのピークホールド電圧が相加平均により平均化され、平均値として得られる。
【0117】
また、ステップ1180では、第2煤濃度度信号への変換処理がなされる。この変換処理では、ステップ1170で得たピークホールド電圧の平均値がこれに対応する第2煤濃度信号に変換されてマイクロコンピュータ300から出力される。
【0118】
このように、図14に示すフローチャートをマイクロコンピュータ300が実行することで、クリーニング処理に用いるための逆火花放電においても、逆火花放電時の第2放電電圧を検出し、第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力することで、煤を検出することができる。
【0119】
なお、図1の煤検出装置のマイクロコンピュータ300に接続するように評価回路を備えることで、マイクロコンピュータ300から出力される第1煤濃度信号、第2煤濃度信号に基づく評価を行うことができる。これにより、第1煤濃度信号のみを用いて煤を検出する場合や、第2煤濃度信号のみを用いて煤を検出する場合よりも煤の検出精度がより高まる。なお、評価回路内では、加算、減算、積算、除算の少なくともいずれかを行って評価するようにしている。
【0120】
また、上記の評価回路を用いずにマイクロコンピュータ300内にて処理することも可能である。この場合、交互に処理される第1煤濃度信号及び第2煤濃度信号をそれぞれ記憶し、両方に基づく評価を行うことができる。
【0121】
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)第1〜第3の実施形態においては、図2におけるコンピュータプログラムのうち、逆火花放電発生ルーチン5200を行わなくても良い。つまり、逆火花放電発生ルーチン5000を1回行った後、正火花放電発生ルーチン5200を所定回行うことができる。このようにしても、放電センサ200の中心電極232が、逆火花放電発生ルーチン5000の実行により、クリーニング処理されている状態で、正火花放電発生処理ルーチン5100にて第1煤濃度信号を発生しているので、第1煤濃度信号が、放電センサ200から発生する放電電圧に基づき精度よく得られる。
(2)また、第5実施形態においては、正火花放電発生ルーチン5100とステップ5500との間に逆火花放電発生ルーチンを行っても良い。これにより、第1煤濃度信号を連続的に検出したとしても、逆火花放電によって中心電極232がクリーニング処理され、中心電極232に対する新たな付着物の付着を招くことなく、第1煤濃度信号が、安定した放電電圧に基づき、長時間、精度よく得ることができる。
(3)本発明の実施にあたり、中心電極232のクリーニングが適正になされる範囲であれば、ステップ1100の判定基準である閾値Noは、「100」に限ることなく、適宜変更してもよい。また、ステップ1210におけるピークホールド電圧の平均化処理が外乱の影響を受けない程度に行われる範囲であれば、ステップ1200における判定基準である閾値Moは、「100」に限ることなく、適宜変更してもよい。また、ステップ5400の判定基準である閾値Toは、「100」に限ることなく、第1煤濃度検出信号の検出時間に合わせて適宜変更しても良い。
(4)さらに、第1〜第3実施形態においては、図2におけるコンピュータプログラムのうち、正火花放電発生ルーチン5100の閾値Mo、逆火花放電発生ルーチン5200の閾値Noを「100」と設定したが、これに限らず、例えば、閾値Toを「100」と設定し、そのうちT≦50は閾値Mo、Noを「100」としておき、T≧51は閾値Mo、Noを「200」としても良い。
(5)高電圧発生回路500の低圧側コイル510及び高圧側コイル520の鉄心530に対する各巻装方向は、上記第1或いは第2の実施形態とは異なり、互いに逆の巻装方向であってもよい。この場合には、クリーニング処理或いは放電電圧の検出にあたり、リレー620の各リレースイッチ622〜625が上記第1或いは第2の実施形態にて述べたと同様の閉成或いは開成の作動を行うように、リレーコイル621を駆動回路610でもって駆動すればよい。
(6)上記第3実施形態において、高電圧発生回路500或いは3000の低圧側コイルの巻装方向は、記第3実施形態にて巻装方向とは逆であってもよい。
(7)高電圧発生回路500或いは3000は、イグニッションコイルに限ることなく、低圧側コイル及び高圧側コイルを備えて、当該低圧側コイルに印加される直流電圧を昇圧して上記高圧コイルから高電圧を発生する変圧器であってもよい。
(8)本発明の実施にあたり、リレー620或いは4200のような有接点リレーに代えて、当該リレー620或いは4200と同様の機能を有するように構成した無接点リレーを採用してもよく、一般的には、上記有接点リレーと同様の機能を有するように構成した接続切り換え手段であってもよい。
(9)放電センサ200は、スパークプラグ型のものに限ることなく、一対の電極を放電電極として有するセンサであればよい。
(10)本発明は、ディーゼル内燃機関に限ることなく、ガソリン内燃機関、外燃機関等の燃料の燃焼を利用する各種の燃料燃焼機器に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明に係る煤検出装置の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のフローチャートである。
【図3】図2のフローチャートのうち、逆火花放電発生ルーチンのフローチャートである。
【図4】図2のフローチャートのうち、正火花放電発生ルーチンのフローチャートである。
【図5】上記第1実施形態においてクリーニングの有無に応じて放電センサの放電電圧の平均値が日毎に変動する状態を示すグラフである。
【図6】上記第1実施形態において放電センサの放電電圧のばらつきをクリーニングの有無に応じて示す図表である。
【図7】上記第1実施形態における放電電圧比と逆火花放電発生ルーチン5000の時間との関係を示す棒グラフである。
【図8】上記第1実施形態における比較例、実施例について、正逆火花放電発生回数比、逆火花放電発生回数比率、3σを示す図表である。
【図9】本発明の第2実施形態を示すブロック図である。
【図10】本発明の第3実施形態を示すブロック図である。
【図11】本発明の第4実施形態の要部を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第5実施形態を示すブロックの要部を示す図である。
【図13】上記第5実施形態の要部を示すフローチャートである。
【図14】上記第6実施形態の要部を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0123】
120…排気管、130…始動用キースイッチ、140…バッテリ、
200…放電センサ、232…中心電極、240…外側電極、260…ヒータ、
300…マイクロコンピュータ、400、2000…スイッチング回路、
410、2100…パルス信号発生回路、420、2200…トランジスタ、
500、3000…高電圧発生回路、510、3110…低圧側コイル、
520、3200…高圧側コイル、600、4000…切替回路、
610、4100…駆動回路、620、4200…リレー、700…出力処理回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧を発生する高電圧発生手段と、
被検出雰囲気中に配置される一対の電極を有し、当該一対の電極間に前記高電圧を印加した際、前記被検出雰囲気中の煤に依存する放電電圧にて火花放電する放電センサと、
所定の電圧極性を有する高電圧を印加して前記放電センサに火花放電が発生した時の第1放電電圧を検出する第1検出手段と、
前記第1放電電圧に基づき第1煤濃度信号を出力する第1出力手段とを備える煤検出装置において、
前記高電圧発生手段から前記一対の電極へ印加される前記高電圧の電圧極性を前記所定の電圧極性とは逆の電圧極性に切り替える切替手段を備えることを特徴とする煤検出装置。
【請求項2】
前記第1出力手段は、複数の前記第1放電電圧に基づき第1煤濃度信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の煤検出装置。
【請求項3】
前記逆の電極極性を有する高電圧を印加して前記放電センサに逆火花放電が発生した時の第2放電電圧を検出する第2検出手段と、
前記第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力する第2出力手段とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の煤検出装置。
【請求項4】
前記第2出力手段は、複数の前記第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力することを特徴とする請求項3に記載の煤検出装置。
【請求項5】
前記第1煤濃度信号及び前記第2煤濃度信号の両方に基づき煤濃度を評価する評価手段とを備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の煤検出装置。
【請求項6】
前記評価手段は、前記第1煤濃度信号及び前記第2煤濃度信号を互いに加算、減算、積算、除算の少なくとも何れかを行い、煤濃度を評価することを特徴とする請求項5に記載の煤検出装置。
【請求項7】
前記高電圧発生手段は、
スイッチング作動を行うスイッチング手段と、
当該スイッチング手段に接続される低圧側コイルと前記放電センサに接続される高圧側コイルとを有し、前記スイッチング手段のスイッチング作動に基づき直流電源から前記低圧側コイルに印加される電圧を昇圧して前記高圧側コイルから高電圧を発生する変圧手段とを備え、
前記切替手段は、
前記変圧手段から前記一対の電極へ印加される前記高電圧の電圧極性が前記所定の電圧極性とは逆の電圧極性となるように前記低圧側コイルの前記直流電源に対する接続を切り換える接続切り換え手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の煤検出装置。
【請求項8】
前記高電圧発生手段は、
スイッチング作動を行うスイッチング手段と、
当該スイッチング手段に接続される低圧側コイルと前記放電センサに接続される高圧側コイルとを有し、前記スイッチング手段のスイッチング作動に基づき直流電源から前記低圧側コイルに印加される電圧を昇圧して前記高圧側コイルから高電圧を発生する変圧手段とを備え、
前記切替手段は、
前記変圧手段から前記一対の電極へ印加される前記高電圧の電圧極性が前記所定の電圧極性とは逆の電圧極性となるように前記高圧側コイルの前記一対の電極に対する接続を切り換える接続切り換え手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の煤検出装置。
【請求項9】
被検出雰囲気中に配置される一対の電極を有してなる放電センサの前記一対の電極間に所定の電圧極性にて高電圧を印加し、前記検出雰囲気中の煤に依存する電圧にて火花放電させる放電ステップと、
前記放電ステップにて前記放電センサに火花放電を発生させた時の第1放電電圧を検出する第1検出ステップと、前記第1検出ステップにて検出された前記第1放電電圧に基づき第1煤濃度信号を出力する第1出力ステップと、を備える煤検出方法において、
前記一対の電極間に印加する高電圧を前記所定の電圧極性または前記所定の電圧極性とは逆の電圧極性のいずれかに切り替える切替ステップと、
前記放電センサの前記一対の電極間に前記逆の電圧極性にて高電圧を印加した際、前記検出雰囲気中の煤に依存する電圧にて逆火花放電させる逆放電ステップとを備えることを特徴とする煤検出方法。
【請求項10】
前記第1出力ステップは、複数の前記第1検出ステップにて検出された複数の第1放電電圧に基づき第1煤濃度信号を出力することを特徴とする請求項9に記載の煤検出方法。
【請求項11】
最初の前記放電ステップよりも前に、前記逆放電ステップを備えることを特徴とする請求項9又は10に記載の煤検出方法。
【請求項12】
前記放電ステップと、前記逆放電ステップとは交互に行われることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載の煤検出方法。
【請求項13】
前記放電ステップと、前記逆放電ステップとはそれぞれ複数回行われることを特徴とする請求項12に記載の煤検出方法。
【請求項14】
前記逆放電ステップの回数は、前記放電ステップの回数の10%以上であることを特徴とする請求項13に記載の煤検出方法。
【請求項15】
前記放電センサは、前記一対の電極のいずれか一方を覆う絶縁体と該絶縁体に設けられたヒータとを有し、
前記ヒータの通電を行い、前記絶縁体に付着する煤を燃焼させるヒータ通電ステップを、備え、
前記ヒータ通電ステップ後に前記逆放電ステップを行うことを特徴とする請求項9乃至14のいずれか一項に記載の煤検出方法。
【請求項16】
前記逆放電ステップにて前記放電センサに逆火花放電が発生した時の第2放電電圧を検出する第2検出ステップと、
前記第2検出ステップにて検出された前記第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力する第2出力ステップと、を備える請求項9乃至15のいずれか一項に記載の煤検出方法。
【請求項17】
前記第2出力ステップは、複数の前記第2検出ステップにて検出された複数の第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力することを特徴とする請求項16に記載の煤検出方法。
【請求項18】
前記第1煤濃度信号及び前記第2煤濃度信号の両方に基づき煤濃度を評価する評価ステップを備えることを特徴とする請求項16又は17に記載の煤検出方法。
【請求項19】
前記評価ステップでは、前記第1煤濃度信号及び前記第2煤濃度信号を互いに加算、減算、積算、除算の少なくともいずれかを行い、煤濃度を評価することを特徴とする請求項18に記載の煤検出方法。
【請求項1】
高電圧を発生する高電圧発生手段と、
被検出雰囲気中に配置される一対の電極を有し、当該一対の電極間に前記高電圧を印加した際、前記被検出雰囲気中の煤に依存する放電電圧にて火花放電する放電センサと、
所定の電圧極性を有する高電圧を印加して前記放電センサに火花放電が発生した時の第1放電電圧を検出する第1検出手段と、
前記第1放電電圧に基づき第1煤濃度信号を出力する第1出力手段とを備える煤検出装置において、
前記高電圧発生手段から前記一対の電極へ印加される前記高電圧の電圧極性を前記所定の電圧極性とは逆の電圧極性に切り替える切替手段を備えることを特徴とする煤検出装置。
【請求項2】
前記第1出力手段は、複数の前記第1放電電圧に基づき第1煤濃度信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の煤検出装置。
【請求項3】
前記逆の電極極性を有する高電圧を印加して前記放電センサに逆火花放電が発生した時の第2放電電圧を検出する第2検出手段と、
前記第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力する第2出力手段とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の煤検出装置。
【請求項4】
前記第2出力手段は、複数の前記第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力することを特徴とする請求項3に記載の煤検出装置。
【請求項5】
前記第1煤濃度信号及び前記第2煤濃度信号の両方に基づき煤濃度を評価する評価手段とを備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の煤検出装置。
【請求項6】
前記評価手段は、前記第1煤濃度信号及び前記第2煤濃度信号を互いに加算、減算、積算、除算の少なくとも何れかを行い、煤濃度を評価することを特徴とする請求項5に記載の煤検出装置。
【請求項7】
前記高電圧発生手段は、
スイッチング作動を行うスイッチング手段と、
当該スイッチング手段に接続される低圧側コイルと前記放電センサに接続される高圧側コイルとを有し、前記スイッチング手段のスイッチング作動に基づき直流電源から前記低圧側コイルに印加される電圧を昇圧して前記高圧側コイルから高電圧を発生する変圧手段とを備え、
前記切替手段は、
前記変圧手段から前記一対の電極へ印加される前記高電圧の電圧極性が前記所定の電圧極性とは逆の電圧極性となるように前記低圧側コイルの前記直流電源に対する接続を切り換える接続切り換え手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の煤検出装置。
【請求項8】
前記高電圧発生手段は、
スイッチング作動を行うスイッチング手段と、
当該スイッチング手段に接続される低圧側コイルと前記放電センサに接続される高圧側コイルとを有し、前記スイッチング手段のスイッチング作動に基づき直流電源から前記低圧側コイルに印加される電圧を昇圧して前記高圧側コイルから高電圧を発生する変圧手段とを備え、
前記切替手段は、
前記変圧手段から前記一対の電極へ印加される前記高電圧の電圧極性が前記所定の電圧極性とは逆の電圧極性となるように前記高圧側コイルの前記一対の電極に対する接続を切り換える接続切り換え手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の煤検出装置。
【請求項9】
被検出雰囲気中に配置される一対の電極を有してなる放電センサの前記一対の電極間に所定の電圧極性にて高電圧を印加し、前記検出雰囲気中の煤に依存する電圧にて火花放電させる放電ステップと、
前記放電ステップにて前記放電センサに火花放電を発生させた時の第1放電電圧を検出する第1検出ステップと、前記第1検出ステップにて検出された前記第1放電電圧に基づき第1煤濃度信号を出力する第1出力ステップと、を備える煤検出方法において、
前記一対の電極間に印加する高電圧を前記所定の電圧極性または前記所定の電圧極性とは逆の電圧極性のいずれかに切り替える切替ステップと、
前記放電センサの前記一対の電極間に前記逆の電圧極性にて高電圧を印加した際、前記検出雰囲気中の煤に依存する電圧にて逆火花放電させる逆放電ステップとを備えることを特徴とする煤検出方法。
【請求項10】
前記第1出力ステップは、複数の前記第1検出ステップにて検出された複数の第1放電電圧に基づき第1煤濃度信号を出力することを特徴とする請求項9に記載の煤検出方法。
【請求項11】
最初の前記放電ステップよりも前に、前記逆放電ステップを備えることを特徴とする請求項9又は10に記載の煤検出方法。
【請求項12】
前記放電ステップと、前記逆放電ステップとは交互に行われることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載の煤検出方法。
【請求項13】
前記放電ステップと、前記逆放電ステップとはそれぞれ複数回行われることを特徴とする請求項12に記載の煤検出方法。
【請求項14】
前記逆放電ステップの回数は、前記放電ステップの回数の10%以上であることを特徴とする請求項13に記載の煤検出方法。
【請求項15】
前記放電センサは、前記一対の電極のいずれか一方を覆う絶縁体と該絶縁体に設けられたヒータとを有し、
前記ヒータの通電を行い、前記絶縁体に付着する煤を燃焼させるヒータ通電ステップを、備え、
前記ヒータ通電ステップ後に前記逆放電ステップを行うことを特徴とする請求項9乃至14のいずれか一項に記載の煤検出方法。
【請求項16】
前記逆放電ステップにて前記放電センサに逆火花放電が発生した時の第2放電電圧を検出する第2検出ステップと、
前記第2検出ステップにて検出された前記第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力する第2出力ステップと、を備える請求項9乃至15のいずれか一項に記載の煤検出方法。
【請求項17】
前記第2出力ステップは、複数の前記第2検出ステップにて検出された複数の第2放電電圧に基づき第2煤濃度信号を出力することを特徴とする請求項16に記載の煤検出方法。
【請求項18】
前記第1煤濃度信号及び前記第2煤濃度信号の両方に基づき煤濃度を評価する評価ステップを備えることを特徴とする請求項16又は17に記載の煤検出方法。
【請求項19】
前記評価ステップでは、前記第1煤濃度信号及び前記第2煤濃度信号を互いに加算、減算、積算、除算の少なくともいずれかを行い、煤濃度を評価することを特徴とする請求項18に記載の煤検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−209400(P2008−209400A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324035(P2007−324035)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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