煤検出装置
【課題】高い精度で煤の検出を行うことができる煤検出装置を提供すること。
【解決手段】煤検出装置1では、触媒反応層21及び第1電極9に煤を侵入可能とするとともに、煤制限層27によって第2電極11に煤が到らないようにしている。よって、300℃〜550℃の温度に制御して、第1電極−酸素イオン導電体界面にて(混合電位反応によって)煤を燃焼させることにより、両電極9、11間に発生する起電力によって、被測定ガス中の煤濃度を検出することができる。また、第1電極−酸素イオン導電体界面にて煤を燃焼させるので、被測定ガスの流速等の影響を受け難く、精度良く煤濃度を検出することができる。
【解決手段】煤検出装置1では、触媒反応層21及び第1電極9に煤を侵入可能とするとともに、煤制限層27によって第2電極11に煤が到らないようにしている。よって、300℃〜550℃の温度に制御して、第1電極−酸素イオン導電体界面にて(混合電位反応によって)煤を燃焼させることにより、両電極9、11間に発生する起電力によって、被測定ガス中の煤濃度を検出することができる。また、第1電極−酸素イオン導電体界面にて煤を燃焼させるので、被測定ガスの流速等の影響を受け難く、精度良く煤濃度を検出することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば内燃機関等において発生する粒子状物質(PM)、詳しくはカーボンからなる煤を検出する煤検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばディーゼルエンジンの排気に含まれる煤の量を検出する装置として、酸素センサをベースとし、煤の燃焼によって減少した酸素濃度を測定することにより、排気中の煤の量を求める粒子状物質検出装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この技術は、表面に触媒層及び微細多孔体を設けた第1酸素センサと、表面に微細多孔体のみを設けた第2酸素センサとを備えた固体電解質基板を用いるものであり、第1酸素センサで検出された酸素濃度と第2酸素センサで検出された酸素濃度との間には、触媒層において煤の燃焼に消費される酸素の量だけ差が生じるので、この差から排気に含まれる煤の含有量を求める技術である。
【特許文献1】特開2005−337782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述した従来技術では、微細多孔体の表面に設けた触媒層にて煤を燃焼させるので、触媒層の近傍の酸素濃度はガス拡散の影響を受け、その測定精度に問題があった。
【0005】
つまり、燃焼によって変化した酸素濃度は、触媒層の近傍の被測定ガスの流速等の影響を受け易く、よって、精度良く酸素濃度(従って煤の含有量)を測定することが困難であった。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、高い精度で煤の検出を行うことができる煤検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1の発明は、被測定ガス中の煤を検出する煤検出装置であって、酸素イオン導電体と、前記酸素イオン導電体に設けられた第1電極及び第2電極と、前記酸素イオン導電体を加熱する加熱手段と、を備えるとともに、前記被測定ガス雰囲気と前記第1電極−酸素イオン導電体界面との間に設けられた平均孔径10μm〜100μmの連続孔と、前記被測定ガス雰囲気と前記第2電極−酸素イオン導電体界面との間に設けられた平均孔径100nm〜1μmの連続孔と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明では、被測定ガス雰囲気と第1電極−酸素イオン導電体界面(三相界面)との間に、平均孔径10μm〜100μmの連続孔を有するので、その三相界面に被測定ガス中の煤を導入することができる。また、被測定ガス雰囲気と第2電極−酸素イオン導電体界面(三相界面)との間に、平均孔径100nm〜1μmの連続孔を有するので、第2電極側ではその三相界面への煤の侵入を防止することができる。
【0009】
つまり、第1電極−酸素イオン導電体界面まで侵入した煤は、酸素イオン導電体から供給される活性酸素と反応(混成電位反応)して燃焼し、一方、第2電極−酸素イオン導電体界面では、煤自体が侵入しないので、その三相界面にて煤が燃焼することない。そのため、この両電極間の反応の違いによって発生した起電力等の差に基づいて、煤の濃度を求めることができる。
【0010】
具体的には、両電極間に発生する起電力や電流は、煤の濃度に対応しているので、この起電力や電流を測定することによって、煤の濃度を求めることができる。
特に本発明では、第1電極−酸素イオン導電体界面にて、酸素イオン導電体から供給される活性酸素によって煤を燃焼させるので、被測定ガスの流速等の影響を受け難く、精度良く煤の濃度等の検出を行うことができる。
【0011】
ここで、第1電極−酸素イオン導電体界面とは、第1電極と酸素イオン導電体との界面のことであり、第2電極−酸素イオン導電体界面とは、第2電極と酸素イオン導電体との界面のことであり(以下同様)。
【0012】
また、前記連続孔は、例えば第1電極や酸素イオン導電体を多孔質とすることにより実現することができる(以下同様)。
なお、本発明は、例えば板状の煤検出装置に適用できる。
【0013】
(2)請求項2の発明は、被測定ガス中の煤を検出する煤検出装置であって、酸素イオン導電体と、前記酸素イオン導電体に設けられた第1電極及び第2電極と、前記酸素イオン導電体を加熱する加熱手段と、を備え、前記第1電極−酸素イオン導電体界面に、前記煤を到達させる構成とするとともに、 前記第2電極−酸素イオン導電体界面に、前記煤を到達させない構成としたことを特徴とする。
【0014】
本発明では、第1電極−酸素イオン導電体界面に煤を到達させる構成としたので、被測定ガス中の煤はその三相界面に導入される。また、第2電極−酸素イオン導電体界面に煤を到達させない構成としたので、被測定ガスの煤はその三相界面に導入されない。
【0015】
つまり、第1電極−酸素イオン導電体界面まで侵入した煤は、酸素イオン導電体から供給される活性酸素と反応して燃焼し、一方、第2電極−酸素イオン導電体界面では、煤自体が侵入しないので、その三相界面にて煤が燃焼することない。よって、この両電極間の反応の差によって発生する起電力等に基づいて、煤の濃度を求めることができる。
【0016】
具体的には、両電極間に発生する起電力や電流は、煤の濃度に対応しているので、この起電力や電流を測定することによって、煤の濃度を求めることができる。
特に本発明では、第1電極−酸素イオン導電体界面にて、酸素イオン導電体から供給される活性酸素によって煤を燃焼させるので、被測定ガスの流速等の影響を受け難く、精度良く煤の濃度等の検出を行うことができる。
【0017】
ここで、前記煤を到達させる構成としては、例えば多孔質電極や多孔質の触媒層を採用できる。また、前記煤を到達させない構成としては、例えば第2電極の緻密化や、第2電極に到る経路に、煤を透過させない多孔質の部材を配置する構成を採用できる。
【0018】
なお、本発明は、例えば板状や筒状(試験管形状)の煤検出装置に適用できる。
(3)請求項3の発明では、細孔制御により、前記煤を到達させる構成及び前記煤を到達させない構成としたことを特徴とする。
【0019】
煤はガスに比べて(例えば外径が100nm以上と)非常に大きいので、多孔質部材の細孔の大きさや気孔率などを調節する細孔制御により、(三相界面への)煤の到達を可能にしたり禁止したりすることができる。
【0020】
(4)請求項4の発明では、前記被測定ガス雰囲気と前記第2電極との間に、平均孔径100nm〜1μmの孔を有する煤制限部を備えたことを特徴とする。
本発明では、被測定ガスが第2電極に到る経路に、煤の通過ができないような小さな孔を有する煤制限部を備えているので、第2電極(従って第2電極の三相界面)に煤が到達することを防止できる。
【0021】
(5)請求項5の発明は、被測定ガス中の煤を検出する煤検出装置であって、酸素イオン導電体と、前記酸素イオン導電体に設けられた第1電極及び第2電極と、前記酸素イオン導電体を加熱する加熱手段と、を備え、前記被測定ガス雰囲気と前記第1電極−酸素イオン導電体界面との間に設けられた平均孔径10μm〜100μmの連続孔を有するとともに、前記第2電極が大気雰囲気又は煤を含まない基準雰囲気に曝される構成を有することを特徴とする。
【0022】
本発明では、被測定ガス雰囲気と第1電極−酸素イオン導電体界面(三相界面)との間に、平均孔径10μm〜100μmの連続孔を有するので、その三相界面に被測定ガス中の煤を導入することができる。また、第2電極は大気雰囲気又は煤を含まない基準雰囲気に曝されるので、第2電極側へは煤は到達しない。
【0023】
つまり、第1電極−酸素イオン導電体界面まで侵入した煤は、酸素イオン導電体から供給される活性酸素と反応して燃焼し、一方、第2電極側では煤自体が侵入しないので、煤が燃焼することない。よって、この両電極間の反応の差によって発生する起電力等に基づいて、煤の濃度を求めることができる。
【0024】
具体的には、例えば酸素濃度の差によって両電極間に発生する起電力や電流は、煤の濃度に対応しているので、この起電力や電流を測定することによって、煤の濃度を求めることができる。
【0025】
特に本発明では、第1電極−酸素イオン導電体界面にて、酸素イオン導電体から供給される活性酸素によって煤を燃焼させるので、被測定ガスの流速等の影響を受け難く、精度良く煤の濃度等の検出を行うことができる。
【0026】
なお、本発明は、例えば板状や筒状(試験管形状)の煤検出装置に適用できる。
(6)請求項6の発明では、前記第1電極中及び第1電極の表面を覆う部材の少なくとも一方に、前記被測定ガス中の可燃性ガスを燃焼させる触媒を含むことを特徴とする。
【0027】
被測定ガス中にCOやHC等の可燃性ガスが含まれる場合には、この可燃性ガスが三相界面にて活性酸素と反応して、煤の濃度の測定精度が低下する恐れがある。しかし、本発明では、触媒によって可燃性ガスが三相界面に到達する前に気相酸素と反応させて燃焼させるので、可燃性ガスによる測定精度の低下を防止できる。
【0028】
(7)請求項7の発明では、前記被測定ガス雰囲気と前記第1電極との間に、平均孔径10μm〜100μmの孔を有する触媒反応部を備えたことを特徴とする。
上述した可燃性ガスを燃焼させる触媒を担持した触媒反応部は、その平均孔径が10μmを下回ると、煤が三相界面に到達し難くなり、逆に、100μmを上回ると、可燃性ガスが三相界面で燃焼し易くなるため、この範囲が好適である。
【0029】
(8)請求項8の発明では、前記触媒反応部が、前記第1電極を覆うように形成されたことを特徴とする。
この様に触媒反応部が形成されることにより、前記請求項7の発明の、煤の導入や可燃性ガスの抑制の効果が大きいので好適である。
【0030】
(9)請求項9の発明では、前記加熱手段により、前記酸素イオン導電体の温度を、300℃〜550℃に制御することを特徴とする。
可燃性ガスは、触媒反応により300℃〜550℃にて気相中の酸素と反応して燃焼するが、煤は気相中の酸素と反応して燃焼することなく、三相界面に到達する。つまり、この温度範囲では、煤は気相酸素と燃焼することなく、酸素イオン導電体から供給される活性酸素と反応し燃焼する。従って、この温度範囲に制御することが好適である。
【0031】
(10)請求項10の発明では、前記両電極間の出力(例えば起電力や電流)に基づいて、前記煤の濃度を求める演算処理装置を備えたことを特徴とする。
この演算処理装置としては、周知のマイクロコンピュータを備えた電子制御装置が挙げられる。
【0032】
<以下に、本発明の煤検出装置の各構成について説明する>
・前記第1電極としては、煤の侵入が可能な細孔を有する例えば多孔質電極を採用でき、第2電極としては、例えば(煤が侵入できない程度の)緻密な電極を採用できる。また、第2電極として多孔質電極を採用した場合には、平均孔径100nm〜1μmの孔を有する多孔質電極を採用できる。更に、第2電極として煤の侵入が可能な多孔質電極を採用した場合には、例えば煤制限部などのように、煤を第2電極の三相界面に到達させない構成(例えば平均孔径100nm〜1μmの孔を有する多孔質層)を採用できる。
【0033】
・前記酸素イオン導電体としては、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、SDC(サマリウム添加セリア)、GDC(ガドリニウム添加セリア)、LSGM(ストロンチウムマグネシウム複合ランタンガレート)の少なくとも1種を採用できる。なお、SDC、GDC、LSGM等を使用すると、作動温度を低くすることができる。
【0034】
・前記煤の検出後、定期的に煤を除去するためのヒートクリーニング処理(例えば650〜750℃に加熱する処理)を実施することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
次に、本発明の最良の形態の煤検出装置について説明する。
[第1実施形態]
a)まず、煤検出装置の構成について説明する。
【0036】
図1に示す様に、本実施形態の煤検出装置1は、例えばディーゼルエンジンの排気流路に取り付けられる煤検出センサ3と、この煤検出センサ3を制御する電子制御装置5とから構成されている。
【0037】
前記煤検出センサ3は、酸素イオン伝導体である固体電解質基板7に一対の電極9、11が形成された測定素子13と、この測定素子13と間隙(中間室)15を介して平行に配置されたヒータ17と、前記中間室15と外部(被測定ガス雰囲気)との間に配置された煤制限部19とからなる。
【0038】
このうち、前記測定素子13としては、例えばYSZからなる固体電解質基板7の外側(同図上方)に、例えば銀からなる第1電極9が形成されるとともに、中間室15側に、例えば白金からなる第2電極11が形成され、更に、第1電極9の表面を覆う様に、触媒を担持するとともに煤を透過可能な細孔を有する例えばゼオライトからなる多孔質の触媒反応層21が形成されている。
【0039】
詳しくは、前記第1電極9は、煤の透過が可能な例えば平均孔径10μm〜100μmの細孔(連続孔)を有する多孔質電極であり、触媒反応層21は、触媒として白金を例えば1質量%担持し、且つ、煤の透過が可能な例えば平均孔径10μm〜100μmの細孔(連続孔)を有する多孔質層である。一方、第2電極11は、煤の透過ができない程度の緻密性を有する電極である。なお、ここでは、第2電極11として多孔質電極(平均孔径100nm〜1μm)も採用可能である。
【0040】
そして、前記両電極9、11間には、両電極9、11間に発生する起電力を検出する電圧計23が接続されている。なお、起電力を測定するのではなく、両電極9、11間に流れる電流を測定するようにしてもよい。
【0041】
また、前記煤制限部19は、ガスの透過は可能であるが煤の透過を阻止する細孔(連続孔)をするものであり、その平均孔径は100nm〜1μmの範囲の例えばアルミナからなる多孔体である。なお、平均孔径は、センサ素子の断面のSEM写真数枚から、ランダムに選別した箇所を実測し、平均化し算出するものとする。
【0042】
更に、前記ヒータ17は、例えばアルミナ基板25の内部に発熱体27が配置されたものである。このヒータ17により、測定素子13の温度は、煤が気相反応によって燃焼することがなく且つ三相界面にて混成電位反応によって燃焼するように、例えば300〜550℃の温度範囲に加熱される。
【0043】
上述した煤検出装置1は、マイクロコンピュータ(図示せず)を備えた電子制御装置5により制御される。具体的には、電子制御装置5には、電圧計23、発熱体27等が接続されており、例えば発熱体27への通電を制御することによって、煤検出センサ3の温度制御を行ったり、後述する様に、電圧計23から得られた電圧値を用いて、煤の濃度を求める演算を行う。
【0044】
なお、図には記載しないが、アルミナ基板25内にPt抵抗体温度センサ等を設置して、温度制御することができる。
b)次に、本実施形態における煤の濃度を求める原理について説明する。
【0045】
煤検知センサ3を、ディーゼルエンジンの排気中の様な煤が含まれる被測定ガス中に配置した場合には、触媒反応層21や第1電極9の平均孔径が大きいため、被測定ガス中の煤は第1電極9と固体電解質基板7との三相界面に到達する。なお、被測定ガス中の可燃性ガスは、触媒反応層21に担持された触媒によって、気相酸素と燃焼する(気相反応)。
【0046】
そして、三相界面に到達した煤は、酸素イオン導電体から供給される活性酸素と反応して燃焼する。即ち、第1電極9側の三相界面では、混成電位反応により煤が燃焼する。
一方、第2電極11側では、その三相界面に煤が到達しないので、煤の燃焼はない(混成電位反応は生じない)。
【0047】
従って、この両電極9、11の三相界面による反応の違いによって、両電極9、11間に起電力が発生する。ここで、起電力をセンサ感度とすれば、この感度は、図2に示す様に、煤の濃度と対応しているので、この感度を測定することにより、煤の濃度を求めることができる。
【0048】
なお、起電力に換えて電流値を用いても同様な関係があるので、電流値から煤の濃度を求めることもできる。
c)次に、電子制御装置5にて行われる煤濃度の算出の処理等について説明する。
【0049】
この処理は、ディーゼルエンジンの排気流路に取り付けられ煤検出センサ3を用いて排気中の煤の濃度を求めるために、所定期間毎に実施されるものである。
図3のフローチャートに示す様に、ステップ(S)100では、発熱体27に通電し、煤検出センサ3を所定の作動温度に制御する。
【0050】
続くステップ110では、第1電極9と第2電極11との間に発生する起電力を、電圧計23によって測定する。
続くステップ120では、例えば図2の様な起電力と煤濃度との関係を示すマップ等を用いて、起電力から煤濃度を求める。
【0051】
続くステップ130では、ヒータ17の温度を650〜750℃に制御し、煤検出センサ3に付着した全ての煤を燃焼させるヒートクリーニング処理を実施し、一旦本処理を終了する。
【0052】
d)この様に本実施形態では、触媒反応層21及び第1電極9に煤が侵入可能とするとともに、煤制限層27によって第2電極11に煤が到らないようにして、所定の温度に制御したので、両電極9、11間に発生する起電力によって被測定ガス中の煤濃度を検出することができる。
【0053】
また、本実施形態では、第1電極−酸素イオン導電体界面にて煤を燃焼させるので、被測定ガスの流速等の影響を受け難く、精度良く煤濃度を検出することができる。
【実施例】
【0054】
次に、上述した煤検出装置を用いて、その効果を確認した実施例について説明する。
a)まず、実施例の煤検出センサの製造方法について説明する。
(1)ヒータ
まず、アルミナ等の絶縁性セラミックシートを積層してなる基体内部に、ヒータパターンを埋設してヒータ用基体を形成した。次に、第2電極が位置する中間室を形成するために、ヒータ用基体の表面に、カーボンペーストをスクリーン印刷した。
【0055】
また、多孔質の煤制限部を形成するために、ヒータ用基体の表面に、多孔質アルミナペーストをスクリーン印刷した。なお、この多孔質アルミナペーストは、平均粒径2μm程度のアルミナ粉末10gに、バインダー1.3g、分散剤0.5g、有機溶剤10gを添加して混合し、粘度調整剤により400pa・sに調整したものである。
【0056】
その後、この印刷したヒータ用基体を乾燥した。
(2)固体電解質基板
YSZ等の固体電解質シート上に、第2電極を形成するために、Ptペーストをスクリーン印刷した。その後、この印刷した固体電解質基板用基体を乾燥した。
【0057】
(3)母体基板
前記(1)のヒータ用基体の表面にアルミナペーストをスクリーン印刷し、前記(2)の固体電解質基板用基体と貼り合せ、乾燥した後、1350℃〜1600℃で焼成し、母体基板を得た。これにより、煤制限部及び第2電極の平均孔径は、0.5μmとなる。
【0058】
(4)第1電極
第1電極を形成するために、Ag粉末とポーラスにするための有機ビーズ(粒径約50μm)を、vol%で1:1となるように混合したスラリーを準備し、上記(3)で得た母体基板上にスクリーン印刷し、乾燥後、1000℃にて1時間焼成した。これにより、第1電極の平均孔径は、50μmとなる。
【0059】
(5)触媒反応層
触媒反応層を形成するために、白金を1質量%担持したゼオライトと、ポーラスにするための有機ビーズ(粒径約50μm)を、vol%で1:1となるように混合したスラリーを準備し、前記(4)で得た母体基板の第1電極上にスクリーン印刷し、乾燥後、700℃で焼成した。これにより、触媒反応層の平均孔径は、50μmとなる。
【0060】
これらの工程により、煤検出センサを完成した。
なお、各平均孔径は、断面のSEM写真から確認することができる。
b)次に、上記の様にして製造した煤検出センサを用いた実験例について説明する。
【0061】
(1)検出装置評価
評価装置としてモデルガス発生装置を使用し、煤検出装置の特性の評価を行った。
<測定条件>
ガス温 :280℃
酸素イオン導電体の制御温度:450℃
ガス流速:1m/s
ガス組成:O2=10% CO2=5% H2O=5% N2=bal.
CO、C3H6共存時:CO=100ppm、C3H6=100ppmC
煤濃度 :10mg/m3
そして、モデルガス発生装置のガス流中に煤検出センサを配置し、この煤検出センサに前記第1実施形態の様に電気制御回路を接続し、下記の(3)〜(6)に示す実験において、それぞれ両電極間に発生する起電力(従って煤濃度)を測定した。
【0062】
(3)ガス選択性実験
このガス選択性実験は、CO、C3H6共存時と非共存時における起電力を調べたものである。なお、触媒反応層と第1電極の平均孔径は50μm、煤制限部と第2電極の平均孔径は0.5μmである。その結果を図4に示す。
【0063】
この図4から明かな様に、起電力は、CO、C3H6の共存時と非共存時において、ほぼ同様であった。つまり、本実施例の煤検出装置では、可燃性ガスの有無のかかわらず、常に精度良く起電力(従って煤濃度)を検出できることが分かる。
【0064】
(4)流速依存性実験
この流速依存性実験は、モデルガスの流速を、0.1m/sec、1m/sec、10m/secに変えた場合に、起電力がどのように変化するかを調べたものである。なお、触媒反応層と第1電極の平均孔径は50μm、煤制限部と第2電極の平均孔径は0.5μm、CO、C3H6は非共存時である。その結果を図5に示す。
【0065】
この図5から明かな様に、起電力は、流速の影響を受けることがなく、常に精度良く起電力(従って煤濃度)を検出できることが分かる。
(5)触媒反応層・第1電極の孔径と感度・ガス選択性との相関性の実験
この実験は、触媒反応層及び第1電極の孔径を変えた場合に、感度及びガス選択性がどのように変化するかを調べたものである。煤制限部と第2電極の平均孔径は0.5μmである。その結果を図6に示す。
【0066】
図6から明かな様に、触媒反応層及び第1電極の平均孔径が100μm以下では、感度は一定であった。一方、平均孔径が10μm以上では、可燃性ガス共存時規格値が一定であった。従って、平均孔径が10μm〜100μmの範囲では、感度及びガス選択性が一定であり、好適であることが分かる。
【0067】
なお、ここで、可燃性ガス共存時規格値とは、下記の式で定義される。
可燃性ガス共存時規格値=(可燃性ガス非共存時の煤濃度1mg/m3における起電力) ×100/(可燃性ガス共存時の煤濃度1mg/m3における起電力)
(6)煤制限部・第2電極の孔径と感度・応答性との相関性の実験
この実験は、煤制限部及び第2電極の孔径を変えた場合に、感度及び応答性がどのように変化するかを調べたものである。なお、触媒反応層と第1電極の平均孔径は50μmである。その結果を図7に示す。
【0068】
図7から明かな様に、煤制限部及び第2電極の平均孔径が1μm以下では、感度は一定であった。一方、平均孔径が0.1μm以上では、t90%応答時間が一定であった。従って、平均孔径が0.1μm〜1μmの範囲では、感度及び応答性が一定であり、好適であることが分かる。
【0069】
なお、ここで、t90%応答時間とは、感度の90%の起電力値に到達するまでの時間のことである。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0070】
図8に示す様に、本実施形態の煤検出装置31は、煤検出センサ33の測定素子35として、固体電解質基板37の両側に第1電極39と第2電極41を備えるとともに、第1電極39の表面に触媒反応層43を備えている。なお、第1電極39や触媒反応層43は、煤の透過が可能な様に、前記第1実施形態と同様な平均孔径を有する多孔質体である。
【0071】
また、同図右方には、板状の測定素子35に対向する様に、中間室45を介して板状のヒータ47が配置されている。
特に本実施形態では、中間室45に大気(又は煤を含まない基準ガス)を導入するので、第2電極41としては、多孔質電極でも緻密な電極であっても特に限定はない。
【0072】
本実施形態においても、前記第1実施形態と同様な効果を奏する。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0073】
図9に示す様に、本実施形態の煤検出装置51は、煤検出センサ73の有底筒状の測定素子55の中央にヒータ57を挿入したものである。
詳しくは、測定素子55として、試験管形状の固体電解質基板59の外側表面に、第1電極61を備えるとともに、第1電極61の表面を覆う様に触媒反応層63を備えており、更に、固体電解質基板59の内側表面に第2電極65を備えている。
【0074】
なお、第1電極61や触媒反応層63は、煤の透過が可能な様に、前記第1実施形態と同様な平均孔径を有する多孔質体である。
特に本実施形態では、前記第2実施形態と同様に、測定素子55の内側に、大気(又は煤を含まない基準ガス)を導入するので、第2電極65としては、多孔質電極でも緻密な電極であっても特に限定はない。
【0075】
本実施形態においても、前記第1実施形態と同様な効果を奏する。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0076】
図10に示す様に、本実施形態の煤検出装置71は、煤検出センサ73の測定素子75として、固体電解質基板77の一方の表面に第1電極79と第2電極81を備えるとともに、第1電極79の表面に触媒反応層83を備えている。
【0077】
ここで、第1電極79や触媒反応層83は、煤の透過が可能な様に、前記第1実施形態と同様な平均孔径を有する多孔質体である。
一方、第2電極81は、被測定ガスに晒されるので、(煤の侵入を阻止できる程度の)多孔質電極、又は緻密な電極である。
【0078】
また、固体電解質基板77の他方の表面には、ヒータ85が配置されている。
本実施形態においても、前記第1実施形態と同様な効果を奏する。
尚、本発明は前記実施形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0079】
(1)例えば第1の実施形態の変形例として、図11、図12のような構造(変形例1、変形例2)が考えられる。
図11に示す変形例1は、触媒反応層91、第1電極93、固体電解質基板95、第2電極97、煤制限部99、及びヒータ101が密着して積層されたものであり、特に第2電極97が空間をあけずに挟み込まれているため、強度が向上し、また、中間室を設けないため、製造が容易となる利点がある。
図12に示す変形例2では、第1実施形態と同様に、第1電極111、固体電解質基板113、第2電極115、中間室117、煤制限部119、及びヒータ121を備えている。また、第1電極111を中空部123を介して覆うように、緻密なアルミナ基板125が配置され、中空部125と外部との間に、多孔質の触媒反応層127が形成されている。これにより、外側表面が破損し難いという利点がある。
【0080】
(2)また、例えば煤を燃焼させる側の第1電極の材料としては、Ptを用いることができるが、制御温度が500℃に近い場合、電極表面で触媒作用が起こり、煤が三相界面に到達しない恐れがあるため、Agを使用することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】第1実施形態の煤検出装置を示す説明図である。
【図2】感度から煤濃度を求める方法を示すグラフである。
【図3】第1実施形態の煤検出装置における煤濃度の算出処理を示すフローチャートである。
【図4】起電力に対する可燃性ガスの影響を調べたグラフである。
【図5】起電力に対する被測定ガスの流速の影響を調べたグラフである。
【図6】第1電極等の平均孔径と感度及びガス選択性との関係を示すグラフである。
【図7】第2電極等の平均孔径と感度及び応答性との関係を示すグラフである。
【図8】第2実施形態の煤検出装置を示す説明図である。
【図9】第3実施形態の煤検出装置を示す説明図である。
【図10】第4実施形態の煤検出装置を示す説明図である。
【図11】第1実施形態の変形例1を示す説明図である。
【図12】第2実施形態の変形例2を示す説明図である。
【符号の説明】
【0082】
1、31、51、71…煤検出装置
3、33、53、73…煤検出センサ
5…電子制御装置
7、37、59、77、95、113…固体電解質基板
9、39、61、79、93、111…第1電極
11、41、63、81、97、115…第2電極
13、35、55、75…測定素子
17、47、57、85、101、121…ヒータ
19、119…煤制限部
21、43、63、83、91、127…触媒反応層
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば内燃機関等において発生する粒子状物質(PM)、詳しくはカーボンからなる煤を検出する煤検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばディーゼルエンジンの排気に含まれる煤の量を検出する装置として、酸素センサをベースとし、煤の燃焼によって減少した酸素濃度を測定することにより、排気中の煤の量を求める粒子状物質検出装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この技術は、表面に触媒層及び微細多孔体を設けた第1酸素センサと、表面に微細多孔体のみを設けた第2酸素センサとを備えた固体電解質基板を用いるものであり、第1酸素センサで検出された酸素濃度と第2酸素センサで検出された酸素濃度との間には、触媒層において煤の燃焼に消費される酸素の量だけ差が生じるので、この差から排気に含まれる煤の含有量を求める技術である。
【特許文献1】特開2005−337782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述した従来技術では、微細多孔体の表面に設けた触媒層にて煤を燃焼させるので、触媒層の近傍の酸素濃度はガス拡散の影響を受け、その測定精度に問題があった。
【0005】
つまり、燃焼によって変化した酸素濃度は、触媒層の近傍の被測定ガスの流速等の影響を受け易く、よって、精度良く酸素濃度(従って煤の含有量)を測定することが困難であった。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、高い精度で煤の検出を行うことができる煤検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1の発明は、被測定ガス中の煤を検出する煤検出装置であって、酸素イオン導電体と、前記酸素イオン導電体に設けられた第1電極及び第2電極と、前記酸素イオン導電体を加熱する加熱手段と、を備えるとともに、前記被測定ガス雰囲気と前記第1電極−酸素イオン導電体界面との間に設けられた平均孔径10μm〜100μmの連続孔と、前記被測定ガス雰囲気と前記第2電極−酸素イオン導電体界面との間に設けられた平均孔径100nm〜1μmの連続孔と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明では、被測定ガス雰囲気と第1電極−酸素イオン導電体界面(三相界面)との間に、平均孔径10μm〜100μmの連続孔を有するので、その三相界面に被測定ガス中の煤を導入することができる。また、被測定ガス雰囲気と第2電極−酸素イオン導電体界面(三相界面)との間に、平均孔径100nm〜1μmの連続孔を有するので、第2電極側ではその三相界面への煤の侵入を防止することができる。
【0009】
つまり、第1電極−酸素イオン導電体界面まで侵入した煤は、酸素イオン導電体から供給される活性酸素と反応(混成電位反応)して燃焼し、一方、第2電極−酸素イオン導電体界面では、煤自体が侵入しないので、その三相界面にて煤が燃焼することない。そのため、この両電極間の反応の違いによって発生した起電力等の差に基づいて、煤の濃度を求めることができる。
【0010】
具体的には、両電極間に発生する起電力や電流は、煤の濃度に対応しているので、この起電力や電流を測定することによって、煤の濃度を求めることができる。
特に本発明では、第1電極−酸素イオン導電体界面にて、酸素イオン導電体から供給される活性酸素によって煤を燃焼させるので、被測定ガスの流速等の影響を受け難く、精度良く煤の濃度等の検出を行うことができる。
【0011】
ここで、第1電極−酸素イオン導電体界面とは、第1電極と酸素イオン導電体との界面のことであり、第2電極−酸素イオン導電体界面とは、第2電極と酸素イオン導電体との界面のことであり(以下同様)。
【0012】
また、前記連続孔は、例えば第1電極や酸素イオン導電体を多孔質とすることにより実現することができる(以下同様)。
なお、本発明は、例えば板状の煤検出装置に適用できる。
【0013】
(2)請求項2の発明は、被測定ガス中の煤を検出する煤検出装置であって、酸素イオン導電体と、前記酸素イオン導電体に設けられた第1電極及び第2電極と、前記酸素イオン導電体を加熱する加熱手段と、を備え、前記第1電極−酸素イオン導電体界面に、前記煤を到達させる構成とするとともに、 前記第2電極−酸素イオン導電体界面に、前記煤を到達させない構成としたことを特徴とする。
【0014】
本発明では、第1電極−酸素イオン導電体界面に煤を到達させる構成としたので、被測定ガス中の煤はその三相界面に導入される。また、第2電極−酸素イオン導電体界面に煤を到達させない構成としたので、被測定ガスの煤はその三相界面に導入されない。
【0015】
つまり、第1電極−酸素イオン導電体界面まで侵入した煤は、酸素イオン導電体から供給される活性酸素と反応して燃焼し、一方、第2電極−酸素イオン導電体界面では、煤自体が侵入しないので、その三相界面にて煤が燃焼することない。よって、この両電極間の反応の差によって発生する起電力等に基づいて、煤の濃度を求めることができる。
【0016】
具体的には、両電極間に発生する起電力や電流は、煤の濃度に対応しているので、この起電力や電流を測定することによって、煤の濃度を求めることができる。
特に本発明では、第1電極−酸素イオン導電体界面にて、酸素イオン導電体から供給される活性酸素によって煤を燃焼させるので、被測定ガスの流速等の影響を受け難く、精度良く煤の濃度等の検出を行うことができる。
【0017】
ここで、前記煤を到達させる構成としては、例えば多孔質電極や多孔質の触媒層を採用できる。また、前記煤を到達させない構成としては、例えば第2電極の緻密化や、第2電極に到る経路に、煤を透過させない多孔質の部材を配置する構成を採用できる。
【0018】
なお、本発明は、例えば板状や筒状(試験管形状)の煤検出装置に適用できる。
(3)請求項3の発明では、細孔制御により、前記煤を到達させる構成及び前記煤を到達させない構成としたことを特徴とする。
【0019】
煤はガスに比べて(例えば外径が100nm以上と)非常に大きいので、多孔質部材の細孔の大きさや気孔率などを調節する細孔制御により、(三相界面への)煤の到達を可能にしたり禁止したりすることができる。
【0020】
(4)請求項4の発明では、前記被測定ガス雰囲気と前記第2電極との間に、平均孔径100nm〜1μmの孔を有する煤制限部を備えたことを特徴とする。
本発明では、被測定ガスが第2電極に到る経路に、煤の通過ができないような小さな孔を有する煤制限部を備えているので、第2電極(従って第2電極の三相界面)に煤が到達することを防止できる。
【0021】
(5)請求項5の発明は、被測定ガス中の煤を検出する煤検出装置であって、酸素イオン導電体と、前記酸素イオン導電体に設けられた第1電極及び第2電極と、前記酸素イオン導電体を加熱する加熱手段と、を備え、前記被測定ガス雰囲気と前記第1電極−酸素イオン導電体界面との間に設けられた平均孔径10μm〜100μmの連続孔を有するとともに、前記第2電極が大気雰囲気又は煤を含まない基準雰囲気に曝される構成を有することを特徴とする。
【0022】
本発明では、被測定ガス雰囲気と第1電極−酸素イオン導電体界面(三相界面)との間に、平均孔径10μm〜100μmの連続孔を有するので、その三相界面に被測定ガス中の煤を導入することができる。また、第2電極は大気雰囲気又は煤を含まない基準雰囲気に曝されるので、第2電極側へは煤は到達しない。
【0023】
つまり、第1電極−酸素イオン導電体界面まで侵入した煤は、酸素イオン導電体から供給される活性酸素と反応して燃焼し、一方、第2電極側では煤自体が侵入しないので、煤が燃焼することない。よって、この両電極間の反応の差によって発生する起電力等に基づいて、煤の濃度を求めることができる。
【0024】
具体的には、例えば酸素濃度の差によって両電極間に発生する起電力や電流は、煤の濃度に対応しているので、この起電力や電流を測定することによって、煤の濃度を求めることができる。
【0025】
特に本発明では、第1電極−酸素イオン導電体界面にて、酸素イオン導電体から供給される活性酸素によって煤を燃焼させるので、被測定ガスの流速等の影響を受け難く、精度良く煤の濃度等の検出を行うことができる。
【0026】
なお、本発明は、例えば板状や筒状(試験管形状)の煤検出装置に適用できる。
(6)請求項6の発明では、前記第1電極中及び第1電極の表面を覆う部材の少なくとも一方に、前記被測定ガス中の可燃性ガスを燃焼させる触媒を含むことを特徴とする。
【0027】
被測定ガス中にCOやHC等の可燃性ガスが含まれる場合には、この可燃性ガスが三相界面にて活性酸素と反応して、煤の濃度の測定精度が低下する恐れがある。しかし、本発明では、触媒によって可燃性ガスが三相界面に到達する前に気相酸素と反応させて燃焼させるので、可燃性ガスによる測定精度の低下を防止できる。
【0028】
(7)請求項7の発明では、前記被測定ガス雰囲気と前記第1電極との間に、平均孔径10μm〜100μmの孔を有する触媒反応部を備えたことを特徴とする。
上述した可燃性ガスを燃焼させる触媒を担持した触媒反応部は、その平均孔径が10μmを下回ると、煤が三相界面に到達し難くなり、逆に、100μmを上回ると、可燃性ガスが三相界面で燃焼し易くなるため、この範囲が好適である。
【0029】
(8)請求項8の発明では、前記触媒反応部が、前記第1電極を覆うように形成されたことを特徴とする。
この様に触媒反応部が形成されることにより、前記請求項7の発明の、煤の導入や可燃性ガスの抑制の効果が大きいので好適である。
【0030】
(9)請求項9の発明では、前記加熱手段により、前記酸素イオン導電体の温度を、300℃〜550℃に制御することを特徴とする。
可燃性ガスは、触媒反応により300℃〜550℃にて気相中の酸素と反応して燃焼するが、煤は気相中の酸素と反応して燃焼することなく、三相界面に到達する。つまり、この温度範囲では、煤は気相酸素と燃焼することなく、酸素イオン導電体から供給される活性酸素と反応し燃焼する。従って、この温度範囲に制御することが好適である。
【0031】
(10)請求項10の発明では、前記両電極間の出力(例えば起電力や電流)に基づいて、前記煤の濃度を求める演算処理装置を備えたことを特徴とする。
この演算処理装置としては、周知のマイクロコンピュータを備えた電子制御装置が挙げられる。
【0032】
<以下に、本発明の煤検出装置の各構成について説明する>
・前記第1電極としては、煤の侵入が可能な細孔を有する例えば多孔質電極を採用でき、第2電極としては、例えば(煤が侵入できない程度の)緻密な電極を採用できる。また、第2電極として多孔質電極を採用した場合には、平均孔径100nm〜1μmの孔を有する多孔質電極を採用できる。更に、第2電極として煤の侵入が可能な多孔質電極を採用した場合には、例えば煤制限部などのように、煤を第2電極の三相界面に到達させない構成(例えば平均孔径100nm〜1μmの孔を有する多孔質層)を採用できる。
【0033】
・前記酸素イオン導電体としては、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、SDC(サマリウム添加セリア)、GDC(ガドリニウム添加セリア)、LSGM(ストロンチウムマグネシウム複合ランタンガレート)の少なくとも1種を採用できる。なお、SDC、GDC、LSGM等を使用すると、作動温度を低くすることができる。
【0034】
・前記煤の検出後、定期的に煤を除去するためのヒートクリーニング処理(例えば650〜750℃に加熱する処理)を実施することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
次に、本発明の最良の形態の煤検出装置について説明する。
[第1実施形態]
a)まず、煤検出装置の構成について説明する。
【0036】
図1に示す様に、本実施形態の煤検出装置1は、例えばディーゼルエンジンの排気流路に取り付けられる煤検出センサ3と、この煤検出センサ3を制御する電子制御装置5とから構成されている。
【0037】
前記煤検出センサ3は、酸素イオン伝導体である固体電解質基板7に一対の電極9、11が形成された測定素子13と、この測定素子13と間隙(中間室)15を介して平行に配置されたヒータ17と、前記中間室15と外部(被測定ガス雰囲気)との間に配置された煤制限部19とからなる。
【0038】
このうち、前記測定素子13としては、例えばYSZからなる固体電解質基板7の外側(同図上方)に、例えば銀からなる第1電極9が形成されるとともに、中間室15側に、例えば白金からなる第2電極11が形成され、更に、第1電極9の表面を覆う様に、触媒を担持するとともに煤を透過可能な細孔を有する例えばゼオライトからなる多孔質の触媒反応層21が形成されている。
【0039】
詳しくは、前記第1電極9は、煤の透過が可能な例えば平均孔径10μm〜100μmの細孔(連続孔)を有する多孔質電極であり、触媒反応層21は、触媒として白金を例えば1質量%担持し、且つ、煤の透過が可能な例えば平均孔径10μm〜100μmの細孔(連続孔)を有する多孔質層である。一方、第2電極11は、煤の透過ができない程度の緻密性を有する電極である。なお、ここでは、第2電極11として多孔質電極(平均孔径100nm〜1μm)も採用可能である。
【0040】
そして、前記両電極9、11間には、両電極9、11間に発生する起電力を検出する電圧計23が接続されている。なお、起電力を測定するのではなく、両電極9、11間に流れる電流を測定するようにしてもよい。
【0041】
また、前記煤制限部19は、ガスの透過は可能であるが煤の透過を阻止する細孔(連続孔)をするものであり、その平均孔径は100nm〜1μmの範囲の例えばアルミナからなる多孔体である。なお、平均孔径は、センサ素子の断面のSEM写真数枚から、ランダムに選別した箇所を実測し、平均化し算出するものとする。
【0042】
更に、前記ヒータ17は、例えばアルミナ基板25の内部に発熱体27が配置されたものである。このヒータ17により、測定素子13の温度は、煤が気相反応によって燃焼することがなく且つ三相界面にて混成電位反応によって燃焼するように、例えば300〜550℃の温度範囲に加熱される。
【0043】
上述した煤検出装置1は、マイクロコンピュータ(図示せず)を備えた電子制御装置5により制御される。具体的には、電子制御装置5には、電圧計23、発熱体27等が接続されており、例えば発熱体27への通電を制御することによって、煤検出センサ3の温度制御を行ったり、後述する様に、電圧計23から得られた電圧値を用いて、煤の濃度を求める演算を行う。
【0044】
なお、図には記載しないが、アルミナ基板25内にPt抵抗体温度センサ等を設置して、温度制御することができる。
b)次に、本実施形態における煤の濃度を求める原理について説明する。
【0045】
煤検知センサ3を、ディーゼルエンジンの排気中の様な煤が含まれる被測定ガス中に配置した場合には、触媒反応層21や第1電極9の平均孔径が大きいため、被測定ガス中の煤は第1電極9と固体電解質基板7との三相界面に到達する。なお、被測定ガス中の可燃性ガスは、触媒反応層21に担持された触媒によって、気相酸素と燃焼する(気相反応)。
【0046】
そして、三相界面に到達した煤は、酸素イオン導電体から供給される活性酸素と反応して燃焼する。即ち、第1電極9側の三相界面では、混成電位反応により煤が燃焼する。
一方、第2電極11側では、その三相界面に煤が到達しないので、煤の燃焼はない(混成電位反応は生じない)。
【0047】
従って、この両電極9、11の三相界面による反応の違いによって、両電極9、11間に起電力が発生する。ここで、起電力をセンサ感度とすれば、この感度は、図2に示す様に、煤の濃度と対応しているので、この感度を測定することにより、煤の濃度を求めることができる。
【0048】
なお、起電力に換えて電流値を用いても同様な関係があるので、電流値から煤の濃度を求めることもできる。
c)次に、電子制御装置5にて行われる煤濃度の算出の処理等について説明する。
【0049】
この処理は、ディーゼルエンジンの排気流路に取り付けられ煤検出センサ3を用いて排気中の煤の濃度を求めるために、所定期間毎に実施されるものである。
図3のフローチャートに示す様に、ステップ(S)100では、発熱体27に通電し、煤検出センサ3を所定の作動温度に制御する。
【0050】
続くステップ110では、第1電極9と第2電極11との間に発生する起電力を、電圧計23によって測定する。
続くステップ120では、例えば図2の様な起電力と煤濃度との関係を示すマップ等を用いて、起電力から煤濃度を求める。
【0051】
続くステップ130では、ヒータ17の温度を650〜750℃に制御し、煤検出センサ3に付着した全ての煤を燃焼させるヒートクリーニング処理を実施し、一旦本処理を終了する。
【0052】
d)この様に本実施形態では、触媒反応層21及び第1電極9に煤が侵入可能とするとともに、煤制限層27によって第2電極11に煤が到らないようにして、所定の温度に制御したので、両電極9、11間に発生する起電力によって被測定ガス中の煤濃度を検出することができる。
【0053】
また、本実施形態では、第1電極−酸素イオン導電体界面にて煤を燃焼させるので、被測定ガスの流速等の影響を受け難く、精度良く煤濃度を検出することができる。
【実施例】
【0054】
次に、上述した煤検出装置を用いて、その効果を確認した実施例について説明する。
a)まず、実施例の煤検出センサの製造方法について説明する。
(1)ヒータ
まず、アルミナ等の絶縁性セラミックシートを積層してなる基体内部に、ヒータパターンを埋設してヒータ用基体を形成した。次に、第2電極が位置する中間室を形成するために、ヒータ用基体の表面に、カーボンペーストをスクリーン印刷した。
【0055】
また、多孔質の煤制限部を形成するために、ヒータ用基体の表面に、多孔質アルミナペーストをスクリーン印刷した。なお、この多孔質アルミナペーストは、平均粒径2μm程度のアルミナ粉末10gに、バインダー1.3g、分散剤0.5g、有機溶剤10gを添加して混合し、粘度調整剤により400pa・sに調整したものである。
【0056】
その後、この印刷したヒータ用基体を乾燥した。
(2)固体電解質基板
YSZ等の固体電解質シート上に、第2電極を形成するために、Ptペーストをスクリーン印刷した。その後、この印刷した固体電解質基板用基体を乾燥した。
【0057】
(3)母体基板
前記(1)のヒータ用基体の表面にアルミナペーストをスクリーン印刷し、前記(2)の固体電解質基板用基体と貼り合せ、乾燥した後、1350℃〜1600℃で焼成し、母体基板を得た。これにより、煤制限部及び第2電極の平均孔径は、0.5μmとなる。
【0058】
(4)第1電極
第1電極を形成するために、Ag粉末とポーラスにするための有機ビーズ(粒径約50μm)を、vol%で1:1となるように混合したスラリーを準備し、上記(3)で得た母体基板上にスクリーン印刷し、乾燥後、1000℃にて1時間焼成した。これにより、第1電極の平均孔径は、50μmとなる。
【0059】
(5)触媒反応層
触媒反応層を形成するために、白金を1質量%担持したゼオライトと、ポーラスにするための有機ビーズ(粒径約50μm)を、vol%で1:1となるように混合したスラリーを準備し、前記(4)で得た母体基板の第1電極上にスクリーン印刷し、乾燥後、700℃で焼成した。これにより、触媒反応層の平均孔径は、50μmとなる。
【0060】
これらの工程により、煤検出センサを完成した。
なお、各平均孔径は、断面のSEM写真から確認することができる。
b)次に、上記の様にして製造した煤検出センサを用いた実験例について説明する。
【0061】
(1)検出装置評価
評価装置としてモデルガス発生装置を使用し、煤検出装置の特性の評価を行った。
<測定条件>
ガス温 :280℃
酸素イオン導電体の制御温度:450℃
ガス流速:1m/s
ガス組成:O2=10% CO2=5% H2O=5% N2=bal.
CO、C3H6共存時:CO=100ppm、C3H6=100ppmC
煤濃度 :10mg/m3
そして、モデルガス発生装置のガス流中に煤検出センサを配置し、この煤検出センサに前記第1実施形態の様に電気制御回路を接続し、下記の(3)〜(6)に示す実験において、それぞれ両電極間に発生する起電力(従って煤濃度)を測定した。
【0062】
(3)ガス選択性実験
このガス選択性実験は、CO、C3H6共存時と非共存時における起電力を調べたものである。なお、触媒反応層と第1電極の平均孔径は50μm、煤制限部と第2電極の平均孔径は0.5μmである。その結果を図4に示す。
【0063】
この図4から明かな様に、起電力は、CO、C3H6の共存時と非共存時において、ほぼ同様であった。つまり、本実施例の煤検出装置では、可燃性ガスの有無のかかわらず、常に精度良く起電力(従って煤濃度)を検出できることが分かる。
【0064】
(4)流速依存性実験
この流速依存性実験は、モデルガスの流速を、0.1m/sec、1m/sec、10m/secに変えた場合に、起電力がどのように変化するかを調べたものである。なお、触媒反応層と第1電極の平均孔径は50μm、煤制限部と第2電極の平均孔径は0.5μm、CO、C3H6は非共存時である。その結果を図5に示す。
【0065】
この図5から明かな様に、起電力は、流速の影響を受けることがなく、常に精度良く起電力(従って煤濃度)を検出できることが分かる。
(5)触媒反応層・第1電極の孔径と感度・ガス選択性との相関性の実験
この実験は、触媒反応層及び第1電極の孔径を変えた場合に、感度及びガス選択性がどのように変化するかを調べたものである。煤制限部と第2電極の平均孔径は0.5μmである。その結果を図6に示す。
【0066】
図6から明かな様に、触媒反応層及び第1電極の平均孔径が100μm以下では、感度は一定であった。一方、平均孔径が10μm以上では、可燃性ガス共存時規格値が一定であった。従って、平均孔径が10μm〜100μmの範囲では、感度及びガス選択性が一定であり、好適であることが分かる。
【0067】
なお、ここで、可燃性ガス共存時規格値とは、下記の式で定義される。
可燃性ガス共存時規格値=(可燃性ガス非共存時の煤濃度1mg/m3における起電力) ×100/(可燃性ガス共存時の煤濃度1mg/m3における起電力)
(6)煤制限部・第2電極の孔径と感度・応答性との相関性の実験
この実験は、煤制限部及び第2電極の孔径を変えた場合に、感度及び応答性がどのように変化するかを調べたものである。なお、触媒反応層と第1電極の平均孔径は50μmである。その結果を図7に示す。
【0068】
図7から明かな様に、煤制限部及び第2電極の平均孔径が1μm以下では、感度は一定であった。一方、平均孔径が0.1μm以上では、t90%応答時間が一定であった。従って、平均孔径が0.1μm〜1μmの範囲では、感度及び応答性が一定であり、好適であることが分かる。
【0069】
なお、ここで、t90%応答時間とは、感度の90%の起電力値に到達するまでの時間のことである。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0070】
図8に示す様に、本実施形態の煤検出装置31は、煤検出センサ33の測定素子35として、固体電解質基板37の両側に第1電極39と第2電極41を備えるとともに、第1電極39の表面に触媒反応層43を備えている。なお、第1電極39や触媒反応層43は、煤の透過が可能な様に、前記第1実施形態と同様な平均孔径を有する多孔質体である。
【0071】
また、同図右方には、板状の測定素子35に対向する様に、中間室45を介して板状のヒータ47が配置されている。
特に本実施形態では、中間室45に大気(又は煤を含まない基準ガス)を導入するので、第2電極41としては、多孔質電極でも緻密な電極であっても特に限定はない。
【0072】
本実施形態においても、前記第1実施形態と同様な効果を奏する。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0073】
図9に示す様に、本実施形態の煤検出装置51は、煤検出センサ73の有底筒状の測定素子55の中央にヒータ57を挿入したものである。
詳しくは、測定素子55として、試験管形状の固体電解質基板59の外側表面に、第1電極61を備えるとともに、第1電極61の表面を覆う様に触媒反応層63を備えており、更に、固体電解質基板59の内側表面に第2電極65を備えている。
【0074】
なお、第1電極61や触媒反応層63は、煤の透過が可能な様に、前記第1実施形態と同様な平均孔径を有する多孔質体である。
特に本実施形態では、前記第2実施形態と同様に、測定素子55の内側に、大気(又は煤を含まない基準ガス)を導入するので、第2電極65としては、多孔質電極でも緻密な電極であっても特に限定はない。
【0075】
本実施形態においても、前記第1実施形態と同様な効果を奏する。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0076】
図10に示す様に、本実施形態の煤検出装置71は、煤検出センサ73の測定素子75として、固体電解質基板77の一方の表面に第1電極79と第2電極81を備えるとともに、第1電極79の表面に触媒反応層83を備えている。
【0077】
ここで、第1電極79や触媒反応層83は、煤の透過が可能な様に、前記第1実施形態と同様な平均孔径を有する多孔質体である。
一方、第2電極81は、被測定ガスに晒されるので、(煤の侵入を阻止できる程度の)多孔質電極、又は緻密な電極である。
【0078】
また、固体電解質基板77の他方の表面には、ヒータ85が配置されている。
本実施形態においても、前記第1実施形態と同様な効果を奏する。
尚、本発明は前記実施形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0079】
(1)例えば第1の実施形態の変形例として、図11、図12のような構造(変形例1、変形例2)が考えられる。
図11に示す変形例1は、触媒反応層91、第1電極93、固体電解質基板95、第2電極97、煤制限部99、及びヒータ101が密着して積層されたものであり、特に第2電極97が空間をあけずに挟み込まれているため、強度が向上し、また、中間室を設けないため、製造が容易となる利点がある。
図12に示す変形例2では、第1実施形態と同様に、第1電極111、固体電解質基板113、第2電極115、中間室117、煤制限部119、及びヒータ121を備えている。また、第1電極111を中空部123を介して覆うように、緻密なアルミナ基板125が配置され、中空部125と外部との間に、多孔質の触媒反応層127が形成されている。これにより、外側表面が破損し難いという利点がある。
【0080】
(2)また、例えば煤を燃焼させる側の第1電極の材料としては、Ptを用いることができるが、制御温度が500℃に近い場合、電極表面で触媒作用が起こり、煤が三相界面に到達しない恐れがあるため、Agを使用することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】第1実施形態の煤検出装置を示す説明図である。
【図2】感度から煤濃度を求める方法を示すグラフである。
【図3】第1実施形態の煤検出装置における煤濃度の算出処理を示すフローチャートである。
【図4】起電力に対する可燃性ガスの影響を調べたグラフである。
【図5】起電力に対する被測定ガスの流速の影響を調べたグラフである。
【図6】第1電極等の平均孔径と感度及びガス選択性との関係を示すグラフである。
【図7】第2電極等の平均孔径と感度及び応答性との関係を示すグラフである。
【図8】第2実施形態の煤検出装置を示す説明図である。
【図9】第3実施形態の煤検出装置を示す説明図である。
【図10】第4実施形態の煤検出装置を示す説明図である。
【図11】第1実施形態の変形例1を示す説明図である。
【図12】第2実施形態の変形例2を示す説明図である。
【符号の説明】
【0082】
1、31、51、71…煤検出装置
3、33、53、73…煤検出センサ
5…電子制御装置
7、37、59、77、95、113…固体電解質基板
9、39、61、79、93、111…第1電極
11、41、63、81、97、115…第2電極
13、35、55、75…測定素子
17、47、57、85、101、121…ヒータ
19、119…煤制限部
21、43、63、83、91、127…触媒反応層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定ガス中の煤を検出する煤検出装置であって、
酸素イオン導電体と、
前記酸素イオン導電体に設けられた第1電極及び第2電極と、
前記酸素イオン導電体を加熱する加熱手段と、
を備えるとともに、
前記被測定ガス雰囲気と前記第1電極−酸素イオン導電体界面との間に設けられた平均孔径10μm〜100μmの連続孔と、
前記被測定ガス雰囲気と前記第2電極−酸素イオン導電体界面との間に設けられた平均孔径100nm〜1μmの連続孔と、
を有することを特徴とする煤検出装置。
【請求項2】
被測定ガス中の煤を検出する煤検出装置であって、
酸素イオン導電体と、
前記酸素イオン導電体に設けられた第1電極及び第2電極と、
前記酸素イオン導電体を加熱する加熱手段と、
を備え、
前記第1電極−酸素イオン導電体界面に、前記煤を到達させる構成とするとともに、 前記第2電極−酸素イオン導電体界面に、前記煤を到達させない構成としたことを特徴とする煤検出装置。
【請求項3】
細孔制御により、前記煤を到達させる構成及び前記煤を到達させない構成としたことを特徴とする請求項2に記載の煤検出装置。
【請求項4】
前記被測定ガス雰囲気と前記第2電極との間に、平均孔径100nm〜1μmの孔を有する煤制限部を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の煤検出装置。
【請求項5】
被測定ガス中の煤を検出する煤検出装置であって、
酸素イオン導電体と、
前記酸素イオン導電体に設けられた第1電極及び第2電極と、
前記酸素イオン導電体を加熱する加熱手段と、
を備え、
前記被測定ガス雰囲気と前記第1電極−酸素イオン導電体界面との間に設けられた平均孔径10μm〜100μmの連続孔を有するとともに、前記第2電極が大気雰囲気又は煤を含まない基準雰囲気に曝される構成を有することを特徴とする煤検出装置。
【請求項6】
前記第1電極中及び第1電極の表面を覆う部材の少なくとも一方に、前記被測定ガス中の可燃性ガスを燃焼させる触媒を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の煤検出装置。
【請求項7】
前記被測定ガス雰囲気と前記第1電極との間に、平均孔径10μm〜100μmの孔を有する触媒反応部を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の煤検出装置。
【請求項8】
前記触媒反応部が、前記第1電極を覆うように形成されたことを特徴とする請求項7に記載の煤検出装置。
【請求項9】
前記加熱手段により、前記酸素イオン導電体の温度を、300℃〜550℃に制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の煤検出装置。
【請求項10】
前記両電極間の出力に基づいて、前記煤の濃度を求める演算処理装置を備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の煤検出装置。
【請求項1】
被測定ガス中の煤を検出する煤検出装置であって、
酸素イオン導電体と、
前記酸素イオン導電体に設けられた第1電極及び第2電極と、
前記酸素イオン導電体を加熱する加熱手段と、
を備えるとともに、
前記被測定ガス雰囲気と前記第1電極−酸素イオン導電体界面との間に設けられた平均孔径10μm〜100μmの連続孔と、
前記被測定ガス雰囲気と前記第2電極−酸素イオン導電体界面との間に設けられた平均孔径100nm〜1μmの連続孔と、
を有することを特徴とする煤検出装置。
【請求項2】
被測定ガス中の煤を検出する煤検出装置であって、
酸素イオン導電体と、
前記酸素イオン導電体に設けられた第1電極及び第2電極と、
前記酸素イオン導電体を加熱する加熱手段と、
を備え、
前記第1電極−酸素イオン導電体界面に、前記煤を到達させる構成とするとともに、 前記第2電極−酸素イオン導電体界面に、前記煤を到達させない構成としたことを特徴とする煤検出装置。
【請求項3】
細孔制御により、前記煤を到達させる構成及び前記煤を到達させない構成としたことを特徴とする請求項2に記載の煤検出装置。
【請求項4】
前記被測定ガス雰囲気と前記第2電極との間に、平均孔径100nm〜1μmの孔を有する煤制限部を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の煤検出装置。
【請求項5】
被測定ガス中の煤を検出する煤検出装置であって、
酸素イオン導電体と、
前記酸素イオン導電体に設けられた第1電極及び第2電極と、
前記酸素イオン導電体を加熱する加熱手段と、
を備え、
前記被測定ガス雰囲気と前記第1電極−酸素イオン導電体界面との間に設けられた平均孔径10μm〜100μmの連続孔を有するとともに、前記第2電極が大気雰囲気又は煤を含まない基準雰囲気に曝される構成を有することを特徴とする煤検出装置。
【請求項6】
前記第1電極中及び第1電極の表面を覆う部材の少なくとも一方に、前記被測定ガス中の可燃性ガスを燃焼させる触媒を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の煤検出装置。
【請求項7】
前記被測定ガス雰囲気と前記第1電極との間に、平均孔径10μm〜100μmの孔を有する触媒反応部を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の煤検出装置。
【請求項8】
前記触媒反応部が、前記第1電極を覆うように形成されたことを特徴とする請求項7に記載の煤検出装置。
【請求項9】
前記加熱手段により、前記酸素イオン導電体の温度を、300℃〜550℃に制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の煤検出装置。
【請求項10】
前記両電極間の出力に基づいて、前記煤の濃度を求める演算処理装置を備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の煤検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2009−281973(P2009−281973A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136757(P2008−136757)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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