説明

照光機構付きの入力装置

【課題】 フロントライト型の照光機構付きの入力装置において、部材どうしを張り合わせたときに、十分な接合強度を得る照光機構付きの入力装置を提供する。
【解決手段】 フロントライト機構を構成する導光部材12とセンサ14とが、両面に両面粘着テープ13A,13Bを有する貼り合わせシート13を介して接合されている。センサ14の表面には補修部材18を印刷して、隣り合うX電極14x間に設けられた凹部を埋めこむことにより、実質的に両面粘着テープ13Bと接する接触面積を増大させている。これにより、導光部材12とセンサ14との間の接合強度を高めることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作面から座標入力やスイッチ入力などが可能な入力装置に係わり、特に操作面を照光する機能を備えた照光機構付きの入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ノートパソコンなどの携帯型のコンピュータ端末装置には、タッチパッドと呼ばれる座標入力装置が搭載されている。このタッチパッドは、マウスなどと同様に端末装置の画面上に表示されたカーソルやポインタを操作するポインティングデバイスであり、ユーザの指やペン先(指示体)などで操作面に触れたときに、その接触点をセンサで検知し、その接触点の座標値又は接触点の移動による座標値の変位に応じてカーソルやポインタを操作するものである。
【0003】
下記の特許文献1には、このような座標入力装置において、センサの上部にフロントライト付きLCDパネル(導光板)を配置して操作面を照明するものが開示されている。
【特許文献1】特開2006−107307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記入力装置では、センサの上に反射板が設けられ、さらにその上にプリズム面を有する導光板が配置されており、これらは両端を固定枠で固定することにより一体的に構成されてはいるが、特に反射板と導光板との間の固定強度が不十分になりやすいという問題がある。
【0005】
この場合の解決する手段としては、両面テープなどの接着剤を用いて反射板の上面と導光板の底面との間の全面的に接合して機械的強度を高めることが考えられる。
【0006】
しかし、前記導光板はその底面に微細な凹凸からなるプリズム面を有しており、このプリズム面が接着剤の中に埋没してしまうと、プリズム面としての機能、すなわち光反射機能が失われるという問題がある。また接着部分から光が漏れるため、導光効率が低下するとともに、照光面(導光板の主面)上における輝度が不均一化しやすくなるという問題もある。
【0007】
また接着剤で固定しただけでは、前記プリズム面と前記反射板との間に空気層が密封されてしまう。このため、温度変化が発生すると、空気層内の気圧に膨張や収縮が発生し、このようなストレスが繰り返されることによる接合部分の劣化が問題となる。
【0008】
さらに前記センサを形成する基板の表面には多数の電極が配置されており、センサの表面には電極と基板表面とによる凹凸を有している。このため、前記センサの上面と前記反射面の下面との間にも隙間が形成されやすく、この間の接合も不十分になりやすいという問題があった。
【0009】
また特許文献1では、ケースに覆われたLEDが導光板の端面近傍に対向配置されているが、LEDから放たれた光を導光板内に取り込む際の効率性が低いという問題もあった。
【0010】
また特許文献1に記載の入力装置は、操作面上にマークが光学的に表示されるようなものではなく、動作モードや操作対象を視覚によって確認することができるものではなかった。
【0011】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、フロントライト型の照光機構付きの入力装置において、部材どうしを張り合わせたときに、十分な接合強度を得ることができる照光機構付きの入力装置を提供することを目的としている。
【0012】
また本発明は、操作面上に様々なマークを光学的に表示させることにより、操作性を向上させた照光機構付きの入力装置を提供することを目的としている。
【0013】
さらに本発明は入力装置の動作モードに応じて、操作面を効率良く照光することができる入力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、操作面に対する入力操作を検出するセンサと、前記センサの上部に設けられ前記操作面を照光するフロントライト機構と、前記操作面に対する入力操作に応じて所定の動作モードに切り替えるモード切替部と、前記モード切替部からの制御に応じて前記フロントライト機構の照光動作を切替制御する制御部と、が設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
本発明では、動作モードの切替に応じて前記フロントライト機構の照光動作を切替制御されるため、切替後の動作モードを視覚的に認識することができ、この点で操作性を向上させることができる。
【0016】
また本発明は、操作面に対する入力操作を検出するセンサと、前記センサの上部に設けられ前記操作面を照光するフロントライト機構とを有し、所定のマークが前記操作面上に光学的に表示されることを特徴とするものである。
【0017】
本発明では、フロントライト機構の操作面上に様々なマークが光学的に表示されるようになるので、操作性を向上させることができる。
【0018】
上記においては、前記フロントライト機構は、光源と、前記光源から放たれた光を取り込んで内部に案内するとともに前記操作面に向けて出力する導光部材と、を有するものが好ましい。
【0019】
上記手段では、操作面を下側から照光することが可能となるので、上方から見たときに視認性に優れた操作面とすることができる。
【0020】
また上記においては、前記導光部材の一方の面には光を出力する照光面が設けられており、前記照光面と対向する前記導光部材の他方の面には内部の光を前記照光面の方向に向ける光学領域が形成されており、前記光学領域は平坦面とプリズム面とを有し、前記平坦面とプリズム面の一方が前記所定のマークの形状に形成されているものが好ましい。
【0021】
上記手段では、操作面上に文字や記号などのマークを表示することができる。このため、操作性に優れた入力装置とすることができる。
【0022】
また前記光学領域と対向する部分に開口穴が形成された貼り合せシートと、貼り合せシートの両面に開口穴と同じ開口部を有する両面粘着テープが設けられており、前記導光部材と前記センサとの間が、貼り合せシート及び両面に設けられた両面粘着テープ介して接合されていることが好ましい。
【0023】
上記手段では、光学領域と両面粘着テープとの間に開口穴が介在して、光学領域に両面粘着テープが直接的に接触することを防止することができる。このため、光学領域に形成されたプリズム面が両面粘着テープに埋もれてしまうこと回避することができる。また開口部を除く部分は平坦面で形成されているため、前記導光部材と前記センサとの間を強固に固定することができる。
【0024】
また上記のいては、前記センサは、その表面に複数の電極を有しており、前記電極と前記電極との間が補修部材で埋められていることが好ましい。
【0025】
上記手段では、センサの表面に形成されている電極部分と電極が形成されていない部分とによって形成される凹凸の凹部に補修部材が入り込んで、センサの表面を全体として平坦な面とすることができる。このため、実質的に両面粘着テープ用の接着面積を増大させることができ、貼り付けシートとセンサとの間の固定強度を高めることが可能となる。
【0026】
また上記においては、前記光学領域に形成されたプリズム面と、前記貼り合せシートに形成された開口穴とが対向する部分に隙間が形成されており、前記センサには外部から前記隙間に通じる貫通孔または長溝が設けられていることが好ましい。
【0027】
上記手段では、導光部材の光学領域とセンサとの間に形成される隙間と外部との間を連通する空気穴または空気溝を設けることができる。このため、隙間内の気圧を外部の気圧と同じにすることができる。よって、温度変化などが生じた場合であっても隙間内の気圧と外部の気圧との間の気圧差を小さくすることが可能となり、ストレスによる劣化が生じることを防止することが可能となる。
【0028】
また前記フロントライト機構の最上層には光拡散機能を有する表面シートが設けられており、この表面シートの表面が操作面であることが好ましい。
【0029】
上記手段では、操作面での外光の反射を少なくすることができ、操作面に対する視認性を高めることができる。また例えば操作面の表面を梨地面とすることにより、指を滑らすときの操作性を高めることができる。
【0030】
さらには、前記光源が、導光部材の側面に対向配置されており、前記照光部材と前記導光部材の側面とが対向する部分がケースで覆われており、このケースの内側に鏡面が設けられていることが好ましい。
【0031】
上記手段では、光源が発した光のほとんどを導光部材に入射させることができるため、光の利用性の高いフロントライト機構とすることができる。
【0032】
また前記光源が複数設けられており、前記制御部により点灯させる光源の数または前記光源の光量が調整されることが好ましい。
上記手段では、操作面に対し様々な光の演出が可能となる。
【0033】
さらには、前記制御部は、切替後の動作モードに応じて前記光源の数または光量を調整することが好ましい。
【0034】
上記手段では、視覚を通じて操作面上の操作位置や操作モードを認識することが可能となる。よって、操作性および装飾性に優れた入力装置とすることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明では、フロントライト型の照光機構付きの入力装置を構成する部材どうしを張り合わせ強度を高めることができる。
【0036】
また本発明では、操作面上に様々なマークを光学的に表示させることができるため、操作性に優れた入力装置とすることができる。
【0037】
さらに本発明では入力装置の動作モードに応じて、操作面の光学的な装飾を変えることができるため、視覚を通じて操作面上の操作位置や操作モードを認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
図1は本発明の実施の形態を示す照光機構付きの入力装置の構成を概念的に示す断面図、図2は図1の入力装置を部分的に拡大して示す断面図、図3Aは導光部材の一例を示す底面図、図3Bは導光部材の他の一例を示す底面図、図4はセンサの表面を部分的に拡大して示す断面図であり、Aは補修前の状態、Bは補修後の状態を示している。
【0039】
本発明の入力装置は、例えばコンピュータ本体(以下PC本体という)などに搭載されるものであり、操作者からの様々な操作入力を検知してこれを信号に変換するポインティングデバイス(PD)の一種であるグライドポイント(GP)である。
【0040】
図1に示すように、入力装置10は複数の部材が板厚方向(Z)方向に積み重ねられた積層構造体をしている。入力装置10の最上層には、表面シート11が設けられ、その下部には上から順に導光部材12、貼り合わせシート13およびセンサ14が積層されている。
【0041】
表面シート11の表面は操作者の指(指示体)が直接触れる操作面11Aであり、操作面11Aには例えば微細な梨地模様が施されている。前記微細な梨地模様は、操作性を向上させることができるとともに、外からの光を拡散させて操作面11Aでの反射を防ぐ光拡散部としても機能している。
【0042】
導光部材12は、例えばポリカーボネイトやアクリルなど光透過性の高い樹脂基材、あるいは透明なガラス基材などで形成されている。図1および図2に示す導光部材12の上面は、光を上方(図示Z1方向)に向けて出力する照光面12Aとして機能する。導光部材12の図示Z2側には底面12Bが設けられ、幅(X)方向の両側には端面12Cが設けられている。
【0043】
照光面12Aには前記表面シート11の下面が両面粘着テープT1などを介して強固に接合されている。導光部材12の照光面12Aと表面シート11の下面とはともに平滑面で形成されている。このため、両者の接合部分の機械的強度は十分であり、またストレスによる影響もほとんど受けることがない。
【0044】
前記底面12Bは基本的には平坦面12B1で形成されており、前記平坦面12B1の複数(図3A,Bでは16ヶ)の箇所には光学領域12B2が設けられている。そして、図3A,図3Bに示すように、個々の光学領域12B2には文字、数字や記号などからなるマーク12aが付されている。
【0045】
例えば、図3Aに示す実施の形態では、前記光学領域12B2の中央にマーク12aが前記平坦面12B1を部分的に残すことにより形成されており、前記光学領域12B2内の前記マーク12aを除いた周囲部分12bが微細な略三角形状の凹凸からなるプリズム面P(図2参照)で形成されている。
【0046】
また図3Bの実施の形態は前記図3Aの実施の形態とは逆の関係にある。すなわち、前記光学領域12B2の中央に設けられたマーク12aの内部が微細な略三角形状のプリズム面Pで形成されており、その周囲部分12bは平坦面12B1と同様の平滑な面で形成されている。なお、前記プリズム面P、すなわち微細な凹凸は、例えば導光部材12を射出成形することにより、あるいは導光部材12に対してレーザ加工を行うことによって形成することができる。
【0047】
図1に示すように、前記導光部材12の側方には、光源としてのLED15が設けられており、前記導光部材12の端面12Cに対向している。LED15は断面C字形状からなるケース16で覆われている。なお、図1に示すように、構造の単純化および省スペースを図ることができる点を考慮すると、LED15を後述するセンサ14の基材14A上に設ける構成が好ましい。
【0048】
前記入力装置10は、後述するPC本体2及びコントローラ3にそれぞれ電気的に接続されている。さらに、コントローラ3は、LED15と電気的に接続されており、LED15に対して点灯(ON)/消灯(OFF)の制御をはじめとする種々の制御を行うことができるようになっている。
【0049】
前記ケース16の内面は鏡面17で形成されている。コントローラ3からの制御により、点灯したLED15から放たれた光のほとんどは前記鏡面17で反射させられ、導光部材12の端面12Cを介して導光部材12の内部に導かれる。前記鏡面17は、例えば前記ケース16の内面にアルミニウムなどからなる高い反射率を有する材料を貼り付けることにより形成できる。なお、前記LED15は複数の箇所に設けられており、いずれも前記導光部材12の端面12Cに対向するように配置されている。
【0050】
LED15から放たれて導光部材12内を伝搬する光は、光学領域12B2に形成されたプリズム面Pで反射させられる。前記プリズム面Pは、導光部材12を通じて導かれる光の進行方向を制御し、光を前記照光面12Aの方向(Z1方向)に方向付ける機能を有している。
【0051】
このため、光は照光面12Aから図示Z1方向の表面シート11に向けて出力されるが、このとき照光面12Aの表面ではプリズム面Pに対応する部分がそれ以外の平坦面12B1に対応する部分に比較して明るく表示される。すなわち、表面シート11、導光部材12、貼り合わせシート13および光源であるLED15により、フロントライト機構が構成されている。
【0052】
したがって、図3Aに示す実施の形態では、プリズム面Pが形成されている中央の周囲部分12bが、そのマーク12aよりも明るく表示される。一方、図3Bに示す実施の形態では、これとは逆に周囲部分12bに比較してプリズム面Pが形成されている中央のマーク12aが明るく表示される。
【0053】
いずれにしても、マーク12aと周囲部分12bとの間のコントラストの差が大きくなるため、上部から表面シート11の操作面11Aを見たとき、マーク12aをはっきりと視認することができる。
【0054】
なお、前記表面シート11の下面に、前記マーク12aに対応するマークをそれぞれ印刷した構成であってもよい。このようにすると、上部から操作面11Aを見たときに、さらにマーク12aをはっきりと視認することが可能となる。
【0055】
図1に示すように、貼り合わせシート13は、導光部材12とセンサ14との間に設けられる。前記貼り合わせシート13は、例えばPETなどの合成樹脂で形成されており、その表面は黒色である。
【0056】
なお、本願のフロントライト機構では、導光部材12に入射した光をプリズム面Pにより直接出光させるため反射板は不要である。逆に反射板があると外来光を反射して本来の光が見ずらくなる。このため、貼り合わせシート13は黒色が好ましい。
【0057】
図2に示すように、前記貼り合わせシート13には、前記光学領域12B2に合わせて形成された開口穴13aが複数設けられており、上下両面において前記開口穴13a以外の部分が接着面13bである。
【0058】
前記貼り合わせシート13の上面には両面粘着テープ13Aが設けられ、同じく下面にも両面粘着テープ13Bが設けられている。前記両面粘着テープ13A,13Bは前記貼り合わせシート13と同じ平面形状をしており、前記開口部13aと同様の平面形状からなる開口部13A1,13B1がそれぞれ形成されている。このため、前記貼り合わせシート13の開口穴13aに両面粘着テープ13Aの開口部13A1が対向し、前記両面粘着テープ13Aは前記接着面13bのみに接着する。よって、前記導光部材12の平坦面12B1と前記貼り合わせシート13の上側の接着面13bとの間を強固に固定することができるとともに、前記導光部材12の光学領域12B2のプリズム面Pが前記両面粘着テープ13Aの内部に埋設してしまうことがない。
【0059】
また同様に、両面粘着テープ13Bにより、前記貼り合わせシート13の下側の接着面13bとセンサ14の表面とを固定することが可能である。
【0060】
ここで、センサ14は、例えば基材14Aの一方の上面に縦方向に延びる複数のX電極14xが配置され、他方の下面には横方向に延びる複数のY電極14yを有している。このX電極14xとY電極14yとはマトリクス状に配置されている。各X電極14xと各Y電極14yとの間には静電容量がそれぞれ形成されている。
【0061】
このような構成からなるセンサ14を有する入力装置10の操作面11Aに操作者の指(指示体)が接触すると、センサ14において接触位置に対応する前記静電容量が減少する。この静電容量の変化は、電圧値の変化に変換されて各電極の変化量としてサンプリングされる。各電極の変化量により、X方向、Y方向における指の位置(座標値)がそれぞれ検出される。
【0062】
図4のAに示すように、基材14Aの表面に形成されたX電極14xは、薄膜で形成されているものの一定の膜厚hを有している。このため、センサ14の表面には、X電極14xによる凸部14aと、前記凸部14aと前記凸部14aの間のX電極14xを有さない部分に相当する凹部14b(基材14Aの表面が露出する部分)とからなる複数の凹凸が形成されている。
【0063】
このため、前記のように、貼り合わせシート13の下側の接着面13bとセンサ14の表面との間に単に両面粘着テープ13Bを介在させて両者を固定しただけでは、接着面積が少なく固定が不安定となる可能性が高い。
【0064】
そこで、本願発明では前記センサ14の表面に、例えばシルクスクリーン印刷などの手段を用いて補修部材18を塗布している。補修部材18は絶縁性のインク状の材料であり、前記センサ14の表面に、所定の形状からなるマスクを用いて塗り付け、スクィージを用いて補修部材18を平坦に均らして前記凹部14bに埋め込むことにより、凹凸の段差を小さくして前記センサ14の表面の平滑化を図り、接触面積を増大させている。
【0065】
このため、接触面積が増大された補修後のセンサ14の表面に、両面粘着テープ13A,13Bを有する前記貼り合わせシート13を介在させることにより、貼り合わせシート13の下側側の接着面13bとセンサ14の表面との間の機械的な接合強度を高めることができる。このように、本願発明では、両面粘着テープ13A,13Bを有する前記貼り合わせシート13により、導光部材12とセンサ14の表面との間が強固に固定されている。
【0066】
図2に示すように、導光部材12の光学領域12B2とセンサ14との間には、上から順に、プリズム面Pによる三角形状の隙間、両面粘着テープ13Aの開口部13A1、貼り合わせシート13の開口穴13a、前記両面粘着テープ13Bの開口部13B1が重なることによって形成される空間(隙間)Sが形成されている。またセンサ14には、基材14Aおよび補修部材18の一部を板厚方向に貫通する複数の貫通孔19が形成されており、一つの貫通孔19の先端(開口端)は、前記空間(隙間)Sに対向配置されている。このため、前記光学領域12B2の下部に設けられた空間Sとセンサ14の外部とは、前記貫通孔19を通じて空気の出入りが自由な状態にある。よって、温度変化などが生じ、前記空間(隙間)S内に閉じ込められた空気に膨張または収縮が生じても、前記空間S内の気圧の変化幅を小さくすることができる。よって、導光部材12とセンサ14との間に生じるストレスを小さくすることができ、気圧変化に基づくストレス劣化の問題を解消することができる。
【0067】
上記のように、このフロントライト機構を有する入力装置10では、LED15を点灯させることにより、各マーク12aを操作面11Aの表面にはっきりと表示させることができる。
【0068】
よって、操作者は、操作面11Aに明るく表示された個々のマーク12aを指で直接的に押圧することにより、正しい入力操作を行うことが可能である。そして、センサ14は、静電容量の変化からマーク12aに対するON/OFF操作に関する信号を検出し、これをPC本体2に送る。PC本体2は、センサ14からの信号を得て、操作面11Aが押圧(ON/OFF)されたこと、および押圧された操作面11A上のマーク12aを特定すること(スイッチ入力モード)ができ、これにより前記マーク12aに表示されている文字や記号などの入力が可能となる。
【0069】
一方、操作者が表面シート11上の表面である操作面11Aに指を置き、そのまま指を滑らせると、入力装置10は静電容量の変化から操作者の指(指示体)の操作面11A上の座標値を逐次サンプリングしてPC本体2に送る。よって、操作者が示す指先の指示通りに、PC本体2の画面上に表示されたカーソル(あるいはポインタ)を自在に移動させることが可能である(座標入力モード)。また、座標入力モードでは、前記操作面11Aを指で軽く叩くことにより(タップ操作)、マウスの左ボタンをクリックしたのと同様に、画面に表示された物体の選択や移動などの様々な操作を実現することが可能である。さらには操作面11Aを二回タップすることにより、マウスでダブルクリックしたのと同様に、アプリケーション起動などの操作を実現することができる。また、画面上のアイコンにカーソルを合わせてタップ操作した後に動かすことにより、前記アイコンを画面上の他の位置まで移動させることが可能である(スライド操作、ドラッグ操作)。
【0070】
なお、座標入力モードでは、操作面11Aにスクロールバー領域を設けておき、そのスクロールバー領域で指を滑らせることにより、画面を上下方向または左右方向にスクロールさせるようにしても良い(スクロール操作)。
【0071】
次に、図1に示す入力装置を搭載した端末装置の内部構成について説明する。
図5は、入力装置を搭載したPC本体の内部構成を示す概略図である。図5に示すPC本体2は、装置全体を制御する制御部21と、各構成部との間の通信を行う通信ポートであるインタフェース部22と、入力装置10に対する入力操作を判定する判定部23と、入力装置10の動作モードをスイッチ入力モードと座標入力モードのいずれかにモード切替を行うモード切替部24などを有する。
【0072】
なお、PC本体2は、通常のコンピュータの機能を備えており、上記処理部以外処理部、例えばPC本体2にマウスなどのポインティングデバイス(PD)が装着されたかどうかを検知するPD検知部、ネットワークコンピューティングシステムの制御や電子メールの制御などを行う通信制御部、PC本体2内の各種の警告の制御を行うアラート制御部、電源のON/OFFやバッテリ残量を監視する電源制御部など、通常のコンピュータが備える機能のすべてを備えている。
【0073】
前記判定部23は、センサ14からの制御信号にしたがって、操作面11Aで行われている操作が、座標入力操作であるか、スイッチ入力操作であるか、さらには座標入力操作である場合にはスクロール操作であるか、あるいはタップ操作または単なるスライド操作であるかを所定の基準に沿って判定する。
【0074】
そして、モード切替部24は、前記判定部23の判定に基づいて入力装置10の動作状態を、座標入力モードまたはスイッチ入力モードなどに切り替える制御を行う。なお、モード切替部24では、通常は座標入力モードが初期状態(デフォルト)に設定されているが、スイッチ入力モードをデフォルトに設定することも可能である。
【0075】
図6は、図1に示すPC本体内に設けられたコントローラの内部構成を示す概念図である。
【0076】
図6に示すよううに、コントローラ3は、装置全体を制御する制御部31と、各構成部との間の通信を行う通信ポートであるインタフェース部32と、LED15の点灯(ON)/消灯(OFF)を制御する発光制御部33と、複数のLED15を切り替える光源切替部34と、LED15の明るさを変える光量制御部35とを有する。
【0077】
発光制御部33、光源切替部34及び光量制御部35は、いずれもPC本体2又はセンサ14の機能に基づいて光源であるLED15を制御する制御手段である。発光制御部33は、センサ14からの出力、あるいはPC本体2内で実行されるアプリケーションソフトウェアの動作に応じてLED15をON/OFFさせて点灯・消灯したり、点滅させたりする。
【0078】
光源切替部34は、PC本体2側の前記モード切替部24の制御に応じて複数個のLEDを用いて発光させる場合にLED15の切替制御を行う。光量制御部35は、センサ14からの出力、あるいはPC本体2内で実行されるアプリケーションソフトウェアの動作などに応じてLED15の明るさを変える。なお、発光制御部33、光源切替部34及び光量制御部35は、それぞれ独立してLEDを制御しても良く、光源制御部として発光、光源切替及び光量調整のすべてを一つの制御部として行うように構成しても良い。
【0079】
図7は、入力装置を構成するセンサの内部構成を示す概念図である。
図7に示すように、上記センサ14は、装置全体を制御する制御部41と、各構成部との間の通信を行う通信ポートであるインタフェース部42と、X電極14xに対して制御を行うX電極制御部44と、Y電極14yに対して制御を行うY電極制御部45とを有している。
【0080】
X電極制御部44はセンサ14に対するX方向の走査を行う回路であり、Y電極制御部45は、センサ14に対するY方向の走査を行う回路である。X電極制御部44およびY電極制御部45は、操作者の指(指示体)の走査状態を検出し、その結果をシリアル検出信号として出力する。なお、このシリアル検出信号には、指をセンサ14の操作面Aにタッピングさせた際に生じるタップ成分と、操作面A上で指を滑らせた際に生じるスライド成分などが含まれている。さらに前記タップ成分には、操作面11Aに指が接触している位置を示すアドレス成分が含まれており、スライド成分には操作面11A上を指がどの位置からどの位置まで滑ったのかを表すアドレス成分が含まれる。
【0081】
以下には、上記構成を有する入力装置の動作について説明する。
モード切替部24の初期設定が、座標入力モードに設定されている場合には、コントローラ3の制御部31は発光制御部33に対し、すべてのLED15を消灯(OFF)させる制御信号、また一部のLED15だけを点灯(ON)させる制御信号を出力する。あるいは、制御部31は発光制御部33に対してすべてのLED15を点灯(ON)させる信号を出力すると同時に、光量制御部35に対して光量を小さく抑える制御信号を出力させるものであっても良い。
【0082】
これにより、入力装置10の初期状態が、すべてのLED15が消灯する状態、一部のLED15のみが点灯する状態、またはすべてのLED15が低い光量で点灯する状態のいずれかに設定される。
【0083】
ここで、前記すべてのLED15が消灯する状態とは、フロントライト機構の操作面11Aに、いずれのマーク12aも表示されない状態である。また前記一部のLED15のみが点灯する状態とは、操作面11Aに、導光部材12に形成されているマーク12aの一部のみ、例えば四隅に位置する「7」「0」「+」「/」(図3A,B参照)のみが点灯して表示される状態などである。さらにすべてのLED15が低い光量で点灯する状態は、操作面11Aに、すべてのマーク12aが低い光量で淡く表示される状態である。よって、操作者は、このようなフロントライト機構の操作面11Aの表示状態から、入力装置10の動作が座標入力モードに設定されているものと視覚を通じて認識することができる。
【0084】
一方、モード切替部24の初期設定が、スイッチ入力モードに設定されている場合には、コントローラ3の制御部31は発光制御部33に対し、すべてのLED15を点灯(ON)させる制御信号と、光量制御部35に対して光量を最大にする制御信号を出力させ、操作面11Aにすべてのマーク12aを明るく表示させる。
【0085】
よって、操作者は、このようにすべてのマーク12aが明るく表示された操作面11Aの表示状態から、入力装置10の動作がスイッチ入力モードに設定されているものと視覚を通じて認識することが可能となる。
【0086】
また入力装置10の動作状態が、座標入力モードからスイッチ入力モードへ切り替えられた場合、またこれとは逆にスイッチ入力モードから座標入力モードに切り替えられた場合には、制御部31は発光制御部33、光源切替部34または光量制御部35に制御信号を送り、前記LEDの動作を切替後の動作モードを示す動作状態に切り替える。すなわち、切替後の動作モードがスイッチ入力モードである場合には、操作面11Aにすべてのマーク12aを明るく表示させる。
【0087】
また切替後の動作モードが座標入力モードである場合には、操作面11Aに、いずれのマーク12aも表示されない表示状態、一部のマーク12aのみが点灯する表示状態、あるいはすべてのマーク12aが低い光量で淡く光る表示状態などに設定される。このため、操作者は、操作部11Aの表示状態から、視覚を通じて入力装置10の現在の動作モードを認識することができる。
【0088】
また前記判定部23が、スクロール操作、スイッチ操作、タップ操作またはスライド操作のいずれかと判定した場合に、制御部31が発光制御部33、光源切替部34または光量制御部35に、各操作に応じた所定の制御信号を送るようにして、前記LEDの動作状態を切り替えてフロントライト機構の操作面11Aの表示状態を変更するようにしてもよい。
【0089】
そして、スクロール操作のときには、例えば光源切替部34にも制御信号を送ることにより、例えば「7」点灯(「7」以外は消灯)→「8」点灯(「7」消灯)→「9」点灯(「8」消灯)→「/」点灯(「9」消灯)→「7」点灯(「/」消灯)→「8」点灯(「7」消灯)というように、マーク12aが一定の時間間隔でスクロール方向に移動するように表示させるなどである。またタップ操作またはスライド操作モードが選択されているときには、例えばいずれか組みのマーク12a、例えば四隅に位置する「7」「0」「+」「/」のマーク12aを一定の時間間隔で点滅させるなどである。
【0090】
このように、本発明の入力装置10では、動作モードに応じてフロントライト機構の操作面11Aの表示を、照明を用いて演出することができる。これにより、操作者は、入力装置の動作モードを視覚的に認識することができる。また入力装置10に装飾的な付加価値を与えることができる。
【0091】
なお、PC本体2又はセンサ14の機能は、上記に挙げたものに限定されない。本発明は、PC本体2又はセンサ14が実行し得る機能と関連づけて操作面11Aを照明する場合にも同様に適用することができる。
【0092】
また本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば上記実施の形態においては、光源がLEDである場合について説明しているが、本発明においては光源がLED以外のものであっても良い。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0093】
また、本実施の形態では、センサ14が静電容量式で構成されている場合について説明しているが、センサ14は静電容量式に限られるものではなく、例えば感圧式などのその他の方式で構成されていても良い。
【0094】
さらに、上記実施の形態では、前記貫通孔19を用いて気圧変化に基づくストレス劣化の問題を解消する場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば基材14Aの上に、空間Sと基材14Aの幅方向の端部との間を連結する長溝を形成した構成であっても良い。このような構成でも、空間Sとセンサ14の外部との間で長溝を通じて空気を出入りさせることができるため、前記同様に気圧変化に基づくストレス劣化の問題を解消することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施の形態を示す照光機構付きの入力装置の構成を概念的に示す断面図、
【図2】図1の入力装置を部分的に拡大して示す断面図、
【図3A】導光部材の一例を示す底面図、
【図3B】導光部材の他の一例を示す底面図、
【図4】センサの表面を部分的に拡大して示す断面図であり、Aは補修前の状態、Bは補修後の状態、
【図5】入力装置を搭載したPC本体の内部構成を示す概略図、
【図6】PC本体内に設けられたコントローラの内部構成を示す概念図、
【図7】入力装置を構成するセンサの内部構成を示す概念図、
【符号の説明】
【0096】
2 PC本体
3 コントローラ
10 入力装置
11 表面シート
11A 操作面
12 導光部材
12a マーク
13 貼り合わせシート
14 センサ
14A 基材
14x X電極
14y Y電極
15 LED(光源)
16 ケース
17 鏡面
18 補修部材
19 貫通孔
21,31,41制御部
22,32,42インタフェース部
23 判定部
24 モード切替部
33 発光制御部
34 光源切替部
35 光量制御部
44 X電極制御部
45 Y電極制御部
P プリズム面
S 空間(隙間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作面に対する入力操作を検出するセンサと、前記センサの上部に設けられ前記操作面を照光するフロントライト機構と、前記操作面に対する入力操作に応じて所定の動作モードに切り替えるモード切替部と、前記モード切替部からの制御に応じて前記フロントライト機構の照光動作を切替制御する制御部と、が設けられていることを特徴とする照光機構付きの入力装置。
【請求項2】
操作面に対する入力操作を検出するセンサと、前記センサの上部に設けられ前記操作面を照光するフロントライト機構とを有し、所定のマークが前記操作面上に光学的に表示されることを特徴とする照光機構付きの入力装置。
【請求項3】
前記フロントライト機構は、光源と、前記光源から放たれた光を取り込んで内部に案内するとともに前記操作面に向けて出力する導光部材と、を有する請求項1または2記載の照光機構付きの入力装置。
【請求項4】
前記導光部材の一方の面には光を出力する照光面が設けられており、前記照光面と対向する前記導光部材の他方の面には内部の光を前記照光面の方向に向ける光学領域が形成されており、前記光学領域は平坦面とプリズム面とを有し、前記平坦面とプリズム面の一方が前記所定のマークの形状に形成されている請求項2または3記載の照光機構付きの入力装置。
【請求項5】
前記光学領域と対向する部分に開口穴が形成された貼り合せシートと、貼り合せシートの両面に開口穴と同じ開口部を有する両面粘着テープが設けられており、前記導光部材と前記センサとの間が、貼り合せシート及び両面に設けられた両面粘着テープ介して接合されている請求項3または4記載の照光機構付きの入力装置。
【請求項6】
前記センサは、その表面に複数の電極を有しており、前記電極と前記電極との間が補修部材で埋められている請求項1ないし5のいずれかに記載の照光機構付きの入力装置。
【請求項7】
前記光学領域に形成されたプリズム面と、前記貼り合せシートに形成された開口穴とが対向する部分に隙間が形成されており、前記センサには外部から前記隙間に通じる貫通孔または長溝が設けられている請求項4ないし6のいずれかに記載の照光機構付きの入力装置。
【請求項8】
前記フロントライト機構の最上層には光拡散機能を有する表面シートが設けられており、この表面シートの表面が操作面である請求項1ないし7のいずれかに記載の照光機構付きの入力装置。
【請求項9】
前記光源が、導光部材の側面に対向配置されている請求項3ないし8のいずれかに記載の照光機構付きの入力装置。
【請求項10】
前記照光部材と前記導光部材の側面とが対向する部分がケースで覆われており、このケースの内側に鏡面が設けられている請求項9記載の照光機構付きの入力装置。
【請求項11】
前記光源が複数設けられており、前記制御部により点灯させる光源の数または前記光源の光量が調整される請求項1記載の照光機構付きの入力装置。
【請求項12】
前記制御部は、切替後の動作モードに応じて前記光源の数または光量を調整する請求項11記載の照光機構付きの入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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