説明

照度センサ及び照明器具

【課題】照明器具の状態により大きな影響を受けることなく、適切な照明制御を行う。
【解決手段】照明器具の光源により照射される照射面に対向するセンサ面を有し、照射面の照度を検出するセンサ素子15と;センサ素子15のセンサ面に対向する位置に開口部16を有し、センサ素子15を収納保持すると共に光を吸収する内壁を備えるセンサ収納室13と;収納室の開口部16を構成し、開口部18の内側開口面18aと鋭角をなす開口周縁面18とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、照明器具に実装される照度センサ及び照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明器具に実装される照度センサにおいては、照明器具の光源により照射される照射面の照度を検出するものである。即ち、照明器具の光源による影響が排除されることが望ましく、照度センサの受光側面を光源よりも外側(照明対象側)に位置付けるなどの工夫がなされている。
【0003】
しかしながら、多くの照度センサはセンサ素子がカバーよりも突出した形状であり、光源による影響を排除することは難しい(特許文献1参照)。これに対し、センサ収納室51を備え、センサ室51の天井部分にセンサ素子50を設けた図9に示す照度センサ5も開発されている。この図9の照度センサ5は、開口部52が天井部と対向する側に設けられており、照明器具の光源による影響を排除し易い構成となっている。
【0004】
しかしながら、光源が開口部52の前側に存在する場合には、開口部52の鉛直壁面53により光源が反射されてセンサ室51に入り込む。そして、光源の位置によっては開口部52の鉛直壁面53により反射された光がセンサ素子50へ到達することもあった。
【0005】
更に、照明器具に照度センサを設ける場合には、照度センサの開口面が照明器具の反射板などの所定位置に位置付けられていることが望ましい。しかしながら、照明器具の機種によって本体天井部から反射板までの距離が異なり、一種類の照度センサにより対応することは難しかった。
【0006】
また、建造部の上部から突出したボルトに器具を通し、ナットで締め付けて天井部に固定するタイプの照明器具もあり(特許文献2参照)、このタイプの照明器具ではナットによる締め付け状態に応じて本体天井部から反射板までの距離が一定とならず、照度センサの開口面の位置が様々となり、適切な照明制御を行うことができないという問題が発生した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような従来の照度センサにおける問題点を解決せんとしてなされたもので、その目的は、照明器具の状態により大きな影響を受けることなく、適切な照明制御を行うことができる照度センサを提供することである。また、この照度センサを用いた照明器具を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る照度センサは、照明器具の光源により照射される照射面に対向するセンサ面を有し、照射面の照度を検出するセンサ素子と;センサ素子のセンサ面に対向する位置に開口部を有し、センサ素子を収納保持すると共に光を吸収する内壁を備えるセンサ収納室と;収納室の開口部を構成し、開口部の内側開口面と鋭角をなす開口周縁面とを具備することを特徴とする。
【0009】
光源は、各種ランプやLEDなどを許容する。開口部の内側開口面とは、センサ収納室の開口部側における内壁面を意味する。開口周縁面を有する壁厚は、反射面の幅を狭くする観点から薄いほど好適である。
【0010】
本発明に係る照度センサは、照明器具の本体天井部に取り付けられるセンサ固定器具と、照明器具の反射板に結合する結合部を有し、センサ素子を保持するセンサケースと、照明器具の本体天井部から反射板までの距離に応じて、センサ固定器具とセンサケースの位置を自在に調整する位置調整手段と、を具備することを特徴とすることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る照明器具は、光源と;光源を配している器具本体と;請求項1または2に記載の照度センサと;照度センサにより検出される照度に基づき光源の点灯制御を行う点灯回路とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る照度センサによれば、開口部の内側開口面と鋭角をなす開口周縁面が開口部に備えられているので、開口部の上記開口周縁面に照射する光は、センサ収納室外部か或いはセンサ収納室内におけるセンサ素子外の位置へと反射され、照明器具の光源による影響を排除することができ、適切な照明制御を行うことが可能となる。
【0013】
本発明に係る照度センサによれば、照明器具の本体天井部から反射板までの距離に応じて、センサ固定器具とセンサケースの位置を自在に調整する位置調整手段を具備しているので、照明器具の本体天井部から反射板までの距離が異なる機種に対応でき、また、取り付け状態により照明器具の本体天井部から反射板までの距離が変更する場合にも対応でき、適切な照明制御を行うことが可能となる。
【0014】
本発明に係る照度器具によれば、請求項1または2に記載の照度センサを備えているので、適切な照明制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る照明器具の実施例の概略を示す斜視図。
【図2】本発明に係る第1の実施形態に係る照度センサを適用した照明器具の要部概略を示す斜視図。
【図3】本発明に係る照度センサの第1の実施形態を示す一部断面斜視図。
【図4】本発明に係る照度センサの第1の実施形態による作用を示す一部省略断面斜視図。
【図5】本発明に係る照度センサの第2の実施形態を示す組み立て斜視図。
【図6】本発明に係る第2の実施形態に係る照度センサを適用する照明器具の要部概略を示す断面図。
【図7】本発明に係る第2の実施形態に係る照度センサを適用した照明器具の要部概略を示す断面図。
【図8】本発明に係る第2の実施形態に係る照度センサを適用した別機種の照明器具の要部概略を示す断面図。
【図9】従来例に係る照度センサによる作用を示す一部省略断面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明に係る照度センサの実施例及びそれを用いた照明器具の実施例を説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。照度センサ10は、図1と図2に示すように照明器具20の器具本体21に取り付けられ、反射板22から光照射側へ突出した状態とされている。
【0017】
照度センサ10は、四角筒状のケース11を備えている。ケース11の概ね中央部から下側に回路基板12が縦方向に実装されており、回路基板12の下端部側は、センサ収納室13とリセットボタン14の機構を収納する収納室に左右で分けられている。
【0018】
センサ収納室13の内部は円筒状であり、光吸収材料が塗布などにより設けられ、天井部に照度を検出すためのセンサ素子15が備えられている。センサ素子15は、照明器具の光源である蛍光ランプ23により照射される照射面に略平行であって、この照射面に対向するセンサ面を有し、上記照射面(照明対象)の照度を検出するものである。ケース11の天井部と対向する面には開口部16が形成され、開口部16は透明や半透明のシート17により塞がれて、光のみが通過可能とされている。
【0019】
開口部16は、ほぼ円形の開口周縁面18により構成されるものであり、開口周縁面18は、図3及び図4における底部に設けられている薄い蓋板19に形成されている。蓋板19の肉厚を薄くすることにより開口周縁面18を幅狭に構成でき、反射光がセンサ収納室13に入光しないように構成することができる。蓋板19の内壁面19aと開口周縁面18とは鋭角αを呈し、蓋板19の外壁面19bと開口周縁面18とは鈍角βを呈する(図4(b))。開口周縁面18を通りセンサ収納室13に延びる仮想線分Lがセンサ素子15に当たらないように、上記鋭角α及び鈍角βが選定される。
【0020】
以上の通りに構成された開口周縁面18を有するために、照明器具の光源である蛍光ランプ23により照射され、開口周縁面18に向かう光線Ri1、Ri2、Ri3は図4に示されるように開口周縁面18に垂直な線分Cを中心として入射角と同じ反射角にて反射されて反射光Ro1、Ro2、Ro3となり、センサ素子15に到達することはなく、センサ素子15は、照明器具の蛍光ランプ23により照射される照射面側(照明対象)からの光のみ受けて照度検出を行う。即ち、照度検出の対象範囲外から到来する蛍光ランプ23の直接光が照度検出に影響することはなく、適切な照度検出を行う。
【0021】
照度センサ10に備えられているリセットボタン14の操作信号は、回路基板12において検出されるように構成されており、照度信号及びこのリセットボタン14による操作信号は図示しないリード線によりケース11の上部室を介して点灯回路30に送られる。点灯回路30は、照度センサ10により検出される照度に基づき光源である蛍光ランプ23の点灯制御を行うものであり、リセットボタン14の操作信号を受けて初期照度補正のリセットを行う。
【0022】
具体的には、照明器具の取り付け時や蛍光ランプ23の交換時などの初期状態では、蛍光ランプ23の照度が最大であるので、リセットボタン14の操作信号を受けて初期照度補正により最大の調光度が70%となるように照明を行い、所定時間となるまでに徐々に経時的に最大の調光度を上げるようにする照明制御を行う。この制御と共に点灯回路30は、照度センサ10により得られる照度信号のレベルが一定となるように照明制御を行う。つまり、照度センサ10により得られる照度信号のレベルを一定となるように調光度を変化させるが、調光度は初期照度補正で設定された最大の調光度以上にはならないように制御される。本実施形態の照明器具は、このような制御を行うのであるが、前述の通りに開口周縁面18が構成されていることから、照明器具の光源である蛍光ランプ23による影響を排除することができ、適切な照明制御を行うことが可能となる。
【0023】
次に、第2の実施形態に係る照度センサを説明する。この照度センサ30は図5に示されるように、四角筒状のセンサケース31を備え、図7に示すように下側の蓋板31Dからは照度を検出するセンサ素子39が外側に突出している特許文献1に記載のタイプである。センサ素子39に並ぶように蓋板31Dには、図示しないリセットボタンが設けられている。
【0024】
センサケース31の上方からは、センサ固定器具33が挿入される。センサ固定器具33は、センサケース31の側壁に沿うように立設された一対の脚部32と、一対の脚部32を結ぶブリッジ部34と、一対の脚部32におけるブリッジ部34と対向する側の端部に連結して外側へ折り返されると共にネジ穴35aが穿設された基部35とを備える。
【0025】
一対の脚部32には長手方向に直線状につながる長孔32aが穿設されている。一対の脚部32に隣接するセンサケース31の側壁上部には透孔36が穿設され、透孔36には、シャフト37aを備える鋲体37が嵌合され長孔32aに透通されている。また、センサケース31の下端部に近い位置には、外周壁を一周するように突出された突条38が形成されている。
【0026】
図3に示した回路基板12に対応する構成はセンサケース31内に、センサ固定器具33を避けるように設けられており、センサ素子39により検出される照度信号及びリセットボタンによる操作信号は図示しないリード線によりセンサケース31の内室を介して点灯回路30に送られる。
【0027】
以上の構成において図7に示されるように、センサ固定器具33の基部35がネジ穴35aを介するネジにより照明器具20Aの器具本体21Aにおける天井部24に固定保持される。センサケース31と対応する反射板22の位置には、突条38がストッパとして機能するように透孔25が蓋板31Dよりやや大きく形成されている。照度センサ30におけるセンサケース31側はセンサ固定器具33に吊され、且つ自重により鋲体37のシャフト37aが長孔32a内を摺動し、照明器具20Aの器具本体21Aにおける天井部24から反射板22までの距離に追従する。この構成は、センサ固定器具33とセンサケース31の位置を自在に調整する位置調整手段を構成する。
【0028】
器具本体21Aに建造部の上部から突出したボルトBを貫通させ、ナットNで締め付けるタイプの図6に示される照明器具20Aにおいて上記照度センサ30を適用する。この器具本体21Aは、図1に示した器具本体21とほぼ同様に、長尺の平面形状が四角い天井部24の二長辺から直角に吊り下げられた側板26を備えている。側板26の高さ方向の中央部には、水平な支持板27が側板26に溶着などによって固定されて設けられている。支持板27の長手方向両端部にはソケット28が二対設けられ、二本の蛍光ランプ23が装着されている。また、支持板27には反射板22がツマミ部付ネジ29により設けられている。反射板22は、支持板27に沿った形状の天板部22aと、この天板部22aの二長辺から外に広がるように傾斜しながら下方へ延びている側板部22bを備える。
【0029】
上記器具本体21Aに照度センサ30を適用することにより、図7に示すようにセンサケース31の自重により鋲体37のシャフト37aが長孔32a内を摺動する。このため、ナットNによる締め付け状態が様々であって天井部24が上に凸の形状に湾曲しても照明器具の器具本体における天井部24から反射板22までの距離に対応して、センサ素子39の前面先端位置が蛍光ランプ23との関係において変化しない。このため、ナットNによる締め付け状態に拘わりなく適切な照明制御を行うことが可能となる。
【0030】
図8は、寸法の異なる機種の照明器具20Bを示し、照明器具20Bの器具本体21Bにおける天井部24から反射板22までの距離が、図7のものと異なる照明器具20Bを示す。この照明器具20Bに照度センサ30を適用した場合にも、図8に示すようにセンサケース31の自重により鋲体37のシャフト37aが長孔32a内を摺動する。照明器具20Bの器具本体21Bにおける天井部24から反射板22までの距離に対応して、センサ素子39の前面先端位置が蛍光ランプ23との関係において変化しない。このため、機種に拘わりなく適切な照明制御を行うことが可能となる。
【0031】
なお、図5に示した照度センサ30は、センサ素子39がセンサケース31から突出したものを示したが、図3に示すようにセンサ収納室13内にセンサ素子15を備えるタイプであっても、図5の位置調整手段を有する構成を採用することが可能である。つまり、図3の回路基板12が実装されている部分より上のケース11における上部室において、図5に示した構成を採用することにより、第2の実施形態と同様の機能を有する照度センサを提供することができる。
【0032】
また、照度センサ30は、その下端が蛍光ランプ23の下端よりも下方に位置している方が、蛍光ランプから照射された光の影響を受け難くなり好ましい。さらに、蛍光ランプ23から照射された光は反射板22bで反射され、この反射光を照度センサ23が検出する場合がある。このため、照度センサ30の下端は器具本体21の開口端よりも下方にあった方がさらに好ましい。
【0033】
しかしながら、照度センサ30が突出して設けられると、照度センサ30が目立ち外観が悪くなるという問題がある。従って、照度センサ30は、例えば蛍光ランプ23の下端または器具本体の開口端と略同じ高さに配設するのが良い。ここで、照度センサ30の下端とは、例えばセンサ素子39をセンサ収納室13内に備える場合には、開口部16を有するケース11の外面をいう。
【0034】
ところが、このように照度センサ30を蛍光ランプ23の下端または器具本体の開口端と略同じ高さに配設すると、器具本体21を取り付けた際に器具本体21が変形し、照度センサ30全体が上方へ持ち上げられることになる。仮に器具本体21の変形量を見込んで配設していても、寸法誤差等によって、照度センサ30を所望の位置に配設することができない場合がある。しかしながら、第2の実施形態に係る照度センサ30に第1の実施形態に係る照度センサ30の構成を採用することによって、照度センサ30を目立ち難い位置に配設しながら、蛍光ランプ23からの影響を抑制することができる。
【符号の説明】
【0035】
10、30 照度センサ
11 ケース
15、39 センサ素子
16 開口部
18 開口周縁面
20、20A、20B 照明器具
21、21A、21B 器具本体
22 反射板
23 蛍光ランプ
24 天井部
32a 長孔
37 鋲体
37a ャフト
38 突条
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】特開2006−133130号公報
【特許文献2】特開2001−14935号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具の光源により照射される照射面に対向するセンサ面を有し、照射面の照度を検出するセンサ素子と;
センサ素子のセンサ面に対向する位置に開口部を有し、センサ素子を収納保持すると共に光を吸収する内壁を備えるセンサ収納室と;
収納室の開口部を構成し、開口部の内側開口面と鋭角をなす開口周縁面と
を具備することを特徴とする照度センサ。
【請求項2】
前記照度センサは、照明器具の本体天井部に取り付けられるセンサ固定器具と、照明器具の反射板に結合する結合部を有し、センサ素子を保持するセンサケースと、照明器具の本体天井部から反射板までの距離に応じて、センサ固定器具とセンサケースの位置を自在に調整する位置調整手段と、を具備することを特徴とする請求項1に記載の照度センサ。
【請求項3】
光源と;
光源を配している器具本体と;
請求項1または2に記載の照度センサと;
照度センサにより検出される照度に基づき光源の点灯制御を行う点灯回路と
を具備することを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−3321(P2011−3321A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143758(P2009−143758)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】