説明

照明システム

【課題】複数の方向でそれぞれ異なる視覚的効果を得ることができる照明システムを提供する。
【解決手段】照明装置1a,1bは2つの照明グループに分けられており、配光部材13による配光の向きは照明グループ毎に共通とされている。また、各照明装置1a,1bはそれぞれ細長い長方形状となっており、各照明装置1a,1bは、短手方向において互いに異なる照明グループに属する照明装置1a,1bが交互に並ぶように配列されている。また、各照明装置1a,1bに設けられた配光部材13による配光の向きは、それぞれ発光モジュール11の発光面に直交する方向に対して短手方向に傾いた方向であるが、傾く方向は照明グループ毎に異ならせてある。短手方向の互いに異なる側では互いに異なる照明グループの照明装置1a,1bの光が見えることになるから、それぞれ異なる視覚的効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、有機EL素子などを光源とする面状発光体を用いた照明装置が提供され、照明、看板、道路標示などの表示装置、広告灯などに利用されている。
【0003】
さらに、この種の照明装置において、面状発光体の発光面に直交する方向に対して傾いた特定の方向に光の出射方向を制限する配光部材を備えるものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−357978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、上記の照明装置は、望ましくない方向に光が出射されることによる光害を抑制するとともに光束を有効利用するという目的で用いられており、特に何らかの視覚的効果を得る目的では用いられていなかった。
【0005】
本発明は、上記照明装置の新規な使用法を提案するものであり、その目的は、複数の方向でそれぞれ異なる視覚的効果を得ることができる照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、複数個の照明グループにグループ分けされた複数個の照明装置と、各照明装置をそれぞれ制御する制御装置とを備え、各照明装置は、それぞれ、面状発光体と、面状発光体の光の出射方向を照明グループ毎に異なる方向に制限する配光部材とを有することを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、照明グループに対応する複数の方向で、それぞれ対応する照明グループ毎に異なる視覚的効果を得ることができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、各照明装置において、面状発光体はそれぞれ細長い形状であって、各照明装置は、面状発光体の長手方向の向きを揃えて、面状発光体の短手方向に互いに隣接する照明装置間で属する照明グループが異なるように並べて配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、各照明装置はそれぞれ制御装置の制御に従って光出力と光色との少なくとも一方を変更可能であることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、各照明装置はそれぞれ天井と壁と床とのいずれかに配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、各照明装置が、それぞれ、光の出射方向を照明グループ毎に異なる方向に制限する配光部材とを有するので、照明グループに対応する複数の方向で、それぞれ対応する照明グループ毎に異なる視覚的効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
本実施形態は、図1に示すように、複数個の照明装置1a,1bと、各照明装置1a,1bをそれぞれ制御する制御装置5とを備える。
【0014】
各照明装置1a,1bは、それぞれ、面状発光体としての有機EL素子を光源とする発光モジュール11と、発光モジュール11に点灯用の電力を出力する点灯装置12と、発光モジュール11の光の出射方向を制限する配光部材13とを有する。
【0015】
また、制御装置5は、各照明装置1aの点灯装置12に、それぞれ、発光モジュール11への供給電流の電流値を指示する電気信号である調光信号を信号線SLを介して入力するものである。制御装置5は、照明装置1a,1b毎に予め定められた調光信号を出力するものであってもよいし、操作入力を受け付ける操作部を有して操作部に受け付けられた操作入力に応じた調光信号を出力する周知の調光卓のようなものであってもよい。このような制御装置5は周知技術で実現可能であるので、図示並びに詳細な説明は省略する。
【0016】
詳しく説明すると、点灯装置12は、図2に示すように、直流電源Eから電力の供給を受けて発光モジュール11に電力を供給するものであって、直流電源Eの出力電圧を降圧して発光モジュール11に供給する電源部2と、電源部2を制御する制御部3とを備える。直流電源Eの負極に接続される端子は、グランドと同電位とされている。直流電源Eとしては、交流電源から電源を供給されて所定の電圧の直流電力を出力する周知の直流電源回路や、電池を用いることができる。
【0017】
電源部2は、直流電源Eの出力端間に接続される入力側コンデンサC1と、入力側コンデンサの両端間に直列に接続されたスイッチング素子Q1とインダクタL1と出力側コンデンサC2との直列回路と、アノードがグランドに接続されてカソードがスイッチング素子Q1とインダクタL1との接続点に接続されたダイオードD1と、制御部3の制御に応じたデューティ比でスイッチング素子Q1をオンオフ駆動する駆動回路21とを備え、出力側コンデンサC2の両端を出力端とする、周知の降圧型コンバータである。
【0018】
また、直流電源Eに接続される端子と電源部2との間には、制御部3の電源電圧(以下、「制御電圧」と呼ぶ。)Vccを生成する制御電源部4が設けられている。制御電源部4は、直流電源Eの出力電圧を分圧することで制御電圧Vccを生成する分圧抵抗R1,R2と、低電圧側の分圧抵抗R2に並列に接続されたツェナーダイオードZD1とからなる。
【0019】
制御部3は、1番〜8番の8本のピンを有する集積回路31を備える。集積回路31において、1番ピンには制御電圧Vccが入力され、8番ピンはグランドに接続され、5番ピンには制御装置5から調光信号が入力され、7番ピンには電源部2の出力電圧が分圧抵抗R4,R5で分圧されて入力される。5番ピンや7番ピンから集積回路31に入力された電気信号は集積回路31内でA/D変換される。集積回路31は、5番ピンに入力された調光信号と、7番ピンに入力された電圧とに応じて、2番〜4番のピンからの出力をそれぞれHレベルとLレベルとのいずれかに切り換える。このような集積回路31としては、例えばマイクロチップ社製のPIC12F625を用いることができる。調光信号は、例えば指示する電流値に応じた電圧値の直流電圧信号である。
【0020】
また、制御部3は、発光モジュール11の負極と電源部2との間に接続された抵抗R3と発光モジュール11との接続点に一端が接続された抵抗R6と、抵抗R6の他端とグランドとの間に接続されたコンデンサC3と、反転入力端子が抵抗R10を介して抵抗R6とコンデンサC3との接続点に接続されるとともに抵抗R11を介して出力端子に接続されたオペアンプOP1と、正の入力端子がオペアンプOP1の出力端子に接続されたコンパレータCP1と、一方の入力端子にコンパレータCP1の出力端が接続され他方の入力端子に集積回路31の4番ピンが接続されるとともに出力端子が駆動回路21に接続された論理積ゲートANDとを備える。つまり、オペアンプOP1の出力電圧は、抵抗R10を介して反転入力端子に接続されたコンデンサC3の充電電圧が高いほど低くなり、非反転入力端子に接続されたコンデンサC5の充電電圧が高いほど高くなる。また、オペアンプOP1の非反転入力端子はコンデンサC5を介してグランドに接続されるとともに抵抗R12を介して集積回路31の3番ピンに接続されている。さらに、コンパレータCP1の負の入力端子は、一端が抵抗R14を介して制御電圧Vccに接続されて他端がグランドに接続されたコンデンサC4とスイッチング素子Q8との並列回路の前記一端に接続されている。また、コンパレータCP1の反転入力端子とグランドとの間に接続されたスイッチング素子Q8は、集積回路31の2番ピンからの出力によりオンオフ駆動される。なお、オペアンプOP1とコンパレータCP1とは、1チップ化されたものが安価に市場に出回っている。
【0021】
本実施形態の動作を説明する。集積回路31は、2番ピンからの出力により、図3(a)に示すように定期的にスイッチング素子Q8を短時間ずつオンする。そして、コンデンサC4が、スイッチング素子Q8がオフされている期間に充電され、スイッチング素子Q8がオンされている期間に放電されることにより、コンパレータCP1の負の入力端子に入力される電圧の波形は、図3(b)に示すように充電時のゆるやかな上昇と放電時の急激な低下とを交互に繰り返す波形となる。すなわち、コンパレータCP1の正の入力端子への入力電圧が図3(c)に示すように一定であった場合、コンパレータCP1の出力電圧は図3(d)に示すように正の入力端子への入力電圧が高いほどデューティ比が大きくなるような矩形波となる。発光モジュール11を連続点灯させる期間には、集積回路31の4番ピンの出力はHレベルに維持されるので、コンパレータCP1の出力がそのまま論理積ゲートANDから駆動回路21への入力となる。駆動回路21は、入力された矩形波のデューティ比が大きいほどスイッチング素子Q1のオンオフのデューティ比を大きくして電源部2の出力電圧を高くし、つまり発光モジュール11に供給する電流量を増加させる。
【0022】
ここで、コンパレータCP1の正の入力端子への入力電圧はオペアンプOP1の出力電圧であるが、これは既に述べたように、抵抗R10を介してオペアンプOP1の反転入力端子に接続されたコンデンサC3の充電電圧が高いほど低くなり、またオペアンプOP1の非反転入力端子に接続されたコンデンサC5の充電電圧が高いほど高くなる。前者のコンデンサC3の充電電圧は発光モジュール11に供給される電流が多いほど高くなり、後者のコンデンサC5の充電電圧は集積回路31の3番ピンからの出力のデューティ比が高いほど高くなる。つまり、集積回路31の3番ピンからの出力のデューティ比に対して発光モジュール11に供給される電流が多いほど、コンパレータCP1への入力電圧が低くなり、コンパレータCP1から駆動回路21への出力のデューティ比が小さくなることにより、発光モジュール11に供給される電流が減少する。すなわち、発光モジュール11に供給する電流の電流値を集積回路31の3番ピンからの出力のデューティ比に応じた一定値とするようなフィードバック制御がなされる。集積回路31は5番ピンに入力された調光信号に応じて3番ピンからの出力のデューティ比を制御する。
【0023】
また、集積回路31は、7番ピンへの入力電圧に基いて無負荷状態や発光モジュール11における短絡を検出する。そして、無負荷状態や短絡が検出されたときには、例えば4番ピンの出力をLレベルとすることによって駆動回路21を停止させる。
【0024】
次に、配光部材13について説明する。配光部材13は、図4に示すように、それぞれ透明な材料からなり断面が直角三角形状であって該断面において直角を構成する面の一方を発光モジュール11の発光面に向けて斜辺の向きを揃えて並べられた複数個のプリズム13aと、上記断面において直角を構成する面の他方を覆いプリズム13a側の一方の面において発光モジュール11の光を反射するとともに他方の面において発光モジュール11の光を吸収する配光膜13bとを備える。つまり、発光モジュール11の光は図4における左方向に主に出射され、図4における右方向には出射されないようになっている。プリズム13aの材料としては例えばアクリル樹脂のような合成樹脂を用いることができる。配光膜13bは、例えば光を反射するアルミの層を例えば蒸着によって形成するとともに、このアルミの層の上に、光を吸収する例えば黒色の塗料の層を例えば塗布によって設けることで形成することができる。
【0025】
ここで、照明装置1a,1bは2つの照明グループに分けられており、配光部材13による配光の向きは照明グループ毎に共通とされている。また、図5に示すように、各照明装置1a,1bの発光モジュール11は、それぞれ細長い長方形状となっており、各照明装置1a,1bは、発光モジュール11の長手方向(図5での上下方向。以下、単に「長手方向」と呼ぶ。)を揃えて、発光モジュール11の短手方向(図1及び図5での左右方向。以下、単に「短手方向」と呼ぶ。)において一方の照明グループ(以下、「グループA」と呼ぶ。)に属する照明装置1aと他方の照明グループ(以下、「グループB」と呼ぶ。)に属する照明装置1bとが交互に並ぶように配列されている。また、配光部材13による配光の向きは、それぞれ発光モジュール11の発光面に直交する方向に対して短手方向に傾いた方向であるが、傾く方向は図1に矢印La,Lbで示すように照明グループ毎に異ならせてある。
【0026】
上記構成によれば、グループAに対応する方向である短手方向の一方側から見た人Maと、グループBに対応する方向である短手方向の他方側から見た人Mbとでは、互いに異なる照明グループの照明装置1a,1bが見えることになるから、見る方向によって異なる視覚的効果を得ることができる。
【0027】
例えば、本実施形態を、店舗の入り口付近や窓際の天井又は床又は壁に、照明装置1a,1bの短手方向の一方を店舗の内側へ向け短手方向の他方を店舗の外側へ向けて配設する場合において、店舗の外側向きの光を目立つ色とする一方で、店舗の内側向きの光を落ち着いた色とするといったことができる。
【0028】
または、本実施形態を、通路の天井又は床に、照明装置1a,1bの短手方向を通路の延長方向に向けて配設する場合には、通路の延長方向のどちら側から見ても本実施形態の右側が青く発光して左側が赤く発光しているように見せることができ、これによって右側通行への誘導を行うことも可能である。例えば、照明装置1a,1bを長手方向にも4個並べて用い、右側となる長手方向の一方側の2個の照明装置1a,1bを青色とし、他方側の2個の照明装置1a,1bを赤色とする。さらに、長手方向の中央部の2個の照明装置1a,1bに、供給する電力によって光色を赤色と青色とに切換可能な発光モジュール11を用い、この照明装置1a,1bの光色を制御することにより、短手方向の一方側から見て青色に発光し短手方向の他方側から見て赤色に発光する範囲の幅と、短手方向の一方側から見て赤色に発光し短手方向の他方側から見て青色に発光する範囲の幅との比率を、1:3と1:1と3:1との3通りに時間帯等に応じて柔軟に切換可能としてもよい。このように時間帯に応じて光色を制御する場合、制御装置5は例えば時刻を計時する計時部を有して計時部によって計時された時刻に応じた調光信号を出力するものとする。上記のように光色が可変な発光モジュール11は周知技術で実現可能であるので、詳細な説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図2】同上の点灯装置を示す回路図である。
【図3】(a)〜(d)はそれぞれ同上の点灯装置の動作を示す説明図であり、(a)はスイッチング素子のオンオフの状態を示し、(b)はコンパレータの負の入力端子への入力電圧を示し、(c)はコンパレータの正の入力端子への入力電圧を示し、(d)はコンパレータの出力電圧を示す。
【図4】同上の配光部材の構成を示す説明図である。
【図5】同上の照明装置の配列を示す説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1a,1b 照明装置
11 発光モジュール
13 配光部材
5 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の照明グループにグループ分けされた複数個の照明装置と、各照明装置をそれぞれ制御する制御装置とを備え、
各照明装置は、それぞれ、面状発光体と、面状発光体の光の出射方向を照明グループ毎に異なる方向に制限する配光部材とを有することを特徴とする照明システム。
【請求項2】
各照明装置において、面状発光体はそれぞれ細長い形状であって、
各照明装置は、面状発光体の長手方向の向きを揃えて、面状発光体の短手方向に互いに隣接する照明装置間で属する照明グループが異なるように並べて配置されていることを特徴とする請求項1記載の照明システム。
【請求項3】
各照明装置はそれぞれ制御装置の制御に従って光出力と光色との少なくとも一方を変更可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の照明システム。
【請求項4】
各照明装置はそれぞれ天井と壁と床とのいずれかに配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−70745(P2009−70745A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239884(P2007−239884)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】