照明デバイスを有する揮発性物質散布システム
揮発性物質の放出を制御するディスペンサを有する揮発性物質散布システムである。ディスペンサは表示フレームに取り付けられており、表示フレームはベース部材に固定されており、ベース部材は更に照明手段を保持する。照明手段は、ディスペンサによって放出された快い芳香剤と共に心地よい雰囲気をもたらす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して揮発性物質ディスペンサに関する。より具体的には、本発明は照明デバイスと併せて装飾表示フレームを用いる揮発性物質ディスペンサに関する。
【0002】
本願は、揮発性物質の消耗状態の表示システム(弁護士事件整理番号J−4023)及び揮発性物質散布システム(弁護士事件整理番号J−4030)といった、本願と同時に出願された同時係属出願に関連している。
【背景技術】
【0003】
揮発性物質を含み、これらの物質の蒸気としての周囲空気への散布を制御可能にするために多様な方法が用いられている。従来技術では、所与の容器から揮発性物質を分散させるための透過膜の使用や他の態様が詳述されている。ディスペンサに対する特定の要求に応じて、多種多様な揮発性物質ディスペンサが種々の開放された領域や閉ざされた領域に配置されるように設計されている。また、従来技術にはこれらのディスペンサを表示する方法とデバイスが記載されている。
【0004】
個人的な生活空間や職業的なオフィス環境に関して、周囲の空気をより心地よくしたいという特有の願望がある。また、これらの空間における昆虫防除や害虫駆除の要望があり、この要望は今も続いている。従来技術には、空気清浄と昆虫防除の双方のためにこれらの空間での使用に供することのできるデバイスが多数記載されている。
【0005】
対処する問題の性質、即ち空気の処理/清浄及び昆虫防除により、デバイスが用いられうる個人的な生活空間や職業的なオフィス環境内でこのような目立つデバイスが存在すると社会的なイメージが悪くなる。外観が悪く、明らかにそれとわかるようなデバイスは、このような環境には望ましくない。また、前述のような敏感な環境でも飾ることができ、社会的なイメージダウンを防ぐだけでなく装飾的に作用し、使用者に美的にアピールするデバイスを有することが好ましい。光、最も望ましくはろうそくの明かりのような雰囲気をよくする特徴を加えながら芳香剤や他の揮発性物質を散布する装飾的な容器を有することが望まれる。また、このような光源から生じた熱を利用して生活空間や作業空間全体に芳香剤を散布するのを助長することが望ましい。
【0006】
米国特許第4,714,984号は常夜灯アセンブリを開示している。この常夜灯アセンブリは、オンにされると低レベルの照明を生じると同時に香りのよい蒸気を発散させる。このアセンブリは、ワット数の低い電球を収容した反射体シェルを含む。
【0007】
米国特許第6,663,838号は加熱式揮発性物質ディスペンサを開示している。このディスペンサは、天井と出口弁を有する閉じられた加熱室を含む。同時に消耗されるように設計されたろうそくと揮発性物質キャリヤが含まれており、ろうそくの消耗が揮発性物質キャリヤの使用の手がかりとして役立つ。
【0008】
米国特許第4,695,435号は光起動式芳香発生器を開示している。この芳香発生器は、発生器が取り付けられた部屋の電球をオンにしたときのみ作動するようになっている。
【0009】
米国特許第6,144,801号は香料拡散器を開示している。この香料拡散器は熱源として香料バーナを使用する。香料拡散器は、一般に香料を蒸発させるように構成された液体を含む容器の下に配置された小さなろうそくであり、容器を加熱してこの物質を加熱し、蒸発させる。
【0010】
従来技術に関する問題は、見た目がよく複数の環境に雰囲気を与えるように飾られ、目立つように配置される装飾的な揮発性物質ディスペンサが記載されていないことである。また、照明手段(電気的に構成された手段、ろうそく又は他の照明手段)の使用によって機能を強化することのできるディスペンサがない。更に、発散光の対流やディスペンサへの集束を高めるように反射デバイスを設けたディスペンサがない。
【特許文献1】米国特許第4,714,984号明細書
【特許文献2】米国特許第6,663,838号明細書
【特許文献3】米国特許第4,695,435号明細書
【特許文献4】米国特許第6,144,801号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、雰囲気をもたらし、光や熱を使わないものよりも芳香剤の空気への放出を高めるために必要な問題を解決する。
【0012】
本発明は、雰囲気を心地よくし、周囲の空気を改善する装飾的な揮発性物質ディスペンサを提供することによってこの問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様に従って、揮発性物質散布システムは、揮発性物質を周囲空気に散布するように構成された揮発性物質ディスペンサと、ディスペンサ内に含まれる揮発性物質とを含む。揮発性物質は、芳香剤、香料及び殺虫剤からなる群から選択される。また、ディスペンサ拘束手段とこの拘束手段に取り付けられた延長面とを含むベース部材が設けられており、ベース部材はディスペンサに取り外し可能に取り付けられるように構成されている。更に、ディスペンサを照らすように構成された照明デバイスが設けられている。また、延長面は照明デバイスを支持するように構成されている。
【0014】
本発明の第2の態様に従って、揮発性物質散布システムは、揮発性物質を周囲空気に散布する手段と、前面及び後面を有する平らなフレームとを含み、散布手段はフレームに取り付けられている。照明デバイス及び反射デバイスも設けられている。照明デバイスはフレームを照らすように構成されており、延長面に配置されている。反射デバイスは照明デバイスから生じた熱及び光を反射するように構成されている。また、照明デバイスは実質的にフレームと反射デバイスとの間に配置されている。
【0015】
本発明の第3の態様に従って、照明式揮発性物質ディスペンサは散布装置と照明デバイスとを含む。散布装置は揮発性物質を含む容器を支持するように構成されており、容器は散布装置の面と同一平面にある表面を有する蒸気透過膜によって封止されている。照明デバイスはフレームを照らすように構成されており、延長面に配置されている。更に、ディスペンサは、照明デバイスから生じた熱及び光を反射するように構成された反射デバイスを含む。照明デバイスは実質的にフレームと反射デバイスとの間に配置されており、散布装置の面の近くに位置する。
【0016】
他の特徴は、図面及び添付の請求の範囲とともに、下記の詳細な説明を検討することで当業者に明らかになるであろう。本明細書に開示されるディスペンサは種々の形による実施の形態が可能であり、例示的なものとして意図された(そして本明細書に述べる特定の実施の形態の開示に限定する意図ではない)特定の実施の形態を後述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1及び図2を参照すると、揮発性物質散布システム10が示されている。システム10は、退避可能物質ディスペンサ12と、装飾画像14と、ディスペンサ12を保持する表示フレーム16を有する。装飾画像14はフレーム16に取り付けられている。画像14をフレームに印刷したり、フレームに形成したり、フレームにエッチングすることができる。また、シルクスクリーン画像14を用いてもよい。
【0018】
ディスペンサ12は、膨出部18と、周縁フランジ20と、膨出部18に取り外し可能に取り付けられた不浸透性のラミネート22を含む。膨出部18は、低密度ポリエチレン(LDPE)からなる非孔質の透過膜24とカップ状構造体26を含む。カップ26は、ナイロンラミネートに接着接合された再生ポリエチレンテレフタレート(RPET)層を含む。ナイロンラミネートは、中間のナイロン層の両側に共押し出しされたエチレン酢酸ビニル(EVA)の層を含む。カップ26は底壁28及び4つの側壁30を含み、これらは膜24と共に揮発性物質32を収容する密閉リザーバとして作用する(図7)。
【0019】
ラミネート22はポリプロピレン、アルミニウム箔及びポリエステルの層を含む。ポリプロピレンはアルミニウム箔層に接着接合され、アルミニウム箔層はポリエステル層に接着接合される。これらの層の接合には押出結合材が用いられる。ラミネート22の厚さは0.1乃至0.2mmであることが好ましい。ポリエステル層は印刷に好適であり、ラミネート22の外側表面を構成する。膜24及びラミネート22のポリプロピレン層は膨出部の製造時に共押し出しされることが好ましい。共押し出しにより、拡散時に生じる接着材と揮発性物質32との間の不要な反応を防止する一方で、ラミネート22を膨出部18から剥がして取り除くことができる。
【0020】
カップ26の厚さは0.3乃至0.4mmであることが好ましい。カップ26は概ね長方形であり、好ましくは厚さ約3乃至5mm、長さ50乃至60mm及び幅50乃至60mmの全体寸法を有する正方形である。4つの側壁30の各々の対応する幅は3乃至5mmであり、長さは50乃至60mmである。側壁30は、底壁からフランジ20に向かうにつれてわずかに外向きにテーパーがつけられている。底壁28もほぼ長方形であり、幅が48乃至58mmで高さが48乃至58mmである。カップ26の側壁30及び底壁28はRPET及びナイロンのラミネートからなる1枚のシートから熱成形されることが好ましく、このシートは加熱されて図に示すフランジ−カップ構成にブロー成形されるか又はプレス加工される。膨出部18内に収容される揮発性物質32が見えるように、カップ26は透明及び半透明であることが好ましい。
【0021】
前述のように、カップ26は比較的浅い側壁30を含む。膨出部18の浅い性質により、膜24は底壁28に接触するように凹陥することができる。揮発性物質32が膜24を通って拡散することで膜24が壁28に接触するように凹陥し、この凹陥によって揮発性物質32と膜24との接触が保たれる。この接触によって揮発性物質32の全体的な拡散の割合が更に高くなり、揮発性物質32の消耗状態を示すことが可能になる。
【0022】
周縁フランジ20は平らであることが好ましい。周縁フランジ20はカップ26の上縁部(例えば側壁30の上縁部)に結合されており、ここから外方向に延びている。上記の段落で説明したように、フランジ20は熱成形工程でカップ26と一体的に形成される。
【0023】
揮発性物質32をカップ26内に配置した後、フランジ20と透過膜24との間にシールを形成し、これによりディスペンサ12が形成される。ラミネート22は既に膜24に接着されているため、同時にラミネート22を膨出部18に取り付けることができる。接着剤、ヒートシール又は圧着など任意の従来の手段を用いて、膜24及びラミネート22を膨出部18のフランジ20に取り付けることができる。シールは、空気や揮発性物質32の漏れを防ぐように気密でなければならない。単一工程によってカップ26を膜24及びラミネート22で密閉することが最も好ましい。揮発性物質32は膨出部18内の空隙を完全に満たすわけではない。膨出部18の形成後にディスペンサ12では比較的少量の空気を許容することができる。密閉された膨出部内の空気は、膨出部18の全容積の3乃至6%であることが好ましい。揮発性物質は拡散してディスペンサ12を出るが、空気が透過膜24を通過して膨出部18に入ることはない。膜24は、気泡を形成することなく拡張し、凹陥するように構成されている。
【0024】
除去処理は、使用者がラミネート22の端部を把持してラミネート22を膨出部18から剥がすことによって生じるのが好ましい。ラミネート22の除去を促すために、つまみ、拡張部又は他の把持手段(図示せず)をラミネート22の拡張部として含むことができる。拡張部はラミネート22の角、端部又は表面に設けることができる。
【0025】
透過膜24の厚さは約0.05乃至0.15mmであり、密度は好ましくは0.88乃至0.95g/cm3である。透過膜24はラミネート22と一体的に形成されており、膜24がカップ26全体にわたるようにフランジ20に熱定着される。膜24は、揮発性物質32がカップ26の中に収容された状態でカップ26を囲んで密閉する。これにより、収容された揮発性物質32に対して不浸透性である薄い密閉容器が形成される。この容器は、使用者がラミネート22の角を把持してラミネート22を膜24から剥がし、これにより透過膜24が露出して揮発性物質32が透過膜24を通って移動し、周囲空気に拡散することが可能になるまでは不浸透性のままである。膜24はLDPEからなり、膨出部18内に収容される揮発性物質が見えるように透明及び半透明であることが好ましい。
【0026】
フレーム16は、サイズがほぼ同じである4つの側壁34、前面36(図4)及び後面38を有する長方形、好ましくは正方形の構造体である。フレーム16は、厚さが12乃至22mm、高さと幅が70乃至90mmであることが好ましい。フレーム16の幅は約15mmで高さは約80mmであることがより好ましい。フレーム16の前面36の表面積は3000mm2よりも大きいことが好ましい。
【0027】
前面36は段付きの凹部40(図4)を有する。凹部40は、凹部40の底壁(即ち後壁)42(図4)を取り囲んでこれに縁をつける写真フレームの外観をフレーム16に与える。図6及び図9に示す好適な実施の形態では、凹部40の壁は、断面では装飾された写真フレームの形で段即ち湾曲部44を有するように見える。凹部40は前面36の中央に位置し、側壁34から離れて配置されることが好ましい。凹部40は前面36のエッジまでは延びていない。代わりに、前面36は凹部40のエッジ付近に延びる境界に見え、この境界は2乃至4mmである一定の幅を有する。
【0028】
壁42は、光を通すことができるように透明又は半透明であることが好ましい。その点では、壁42は窓として機能することができ、この窓によって(前面からの)観察者は壁42のすぐ後ろにあるものを視覚的に認識することができる。
【0029】
フレーム16の後面38も凹部になっている。この凹部も同様に段付きで、ディスペンサ12を完全に収容するように構成されており、ディスペンサ12は膜24の表面が後面38とほぼ面一になるように位置決めされている。また、凹部は段付きで、後面38の周りを延びる浅い周縁凹部46と、深い中央凹部48を有することが好ましい。深い中央凹部48はカップ26を収容するように構成され、寸法決めされており、周縁凹部46はフランジ20を収容し支持するように構成され、寸法決めされている。要するに、中央凹部48及び周縁凹部46は、組み合わされるとディスペンサ12の形状と同一のネガティブ形状を有する。
【0030】
周縁凹部46は、接着剤、スプリングクリップ、又はフランジ20を定位置に保持するように構成された他の機械的保持手段もしくは接着保持手段を有することが好ましい。任意の接着剤を用いて、又は締まりばめなどの機械的手段やスプリングクリップのような別個の機械的留め具を用いて、フランジ20及び周縁凹部46を互いに接着することができる。(本明細書に示すように)接着剤49を用いる場合、フランジ−フレーム接着剤を選択してフランジ12を表示フレーム16に永久的に接着するか、又は取り外しやすいように着脱可能に接着することができる。このように、フレーム16を永久的で再使用可能なアイテムにすることができ、このフレーム16に取替用ディスペンサ12が連続して固定され、後で取り外されて取り替えられる。紫外線(UV)硬化接着剤を用いることが好ましい。このように、フレーム16を永久的で再使用可能なアイテムにすることができ、このフレーム16に取替用ディスペンサ12が連続して固定され、後で取り外されて取り替えられる。
【0031】
中央凹部48は、カップ26、フランジ20及び膜24の厚さの合計よりも大きい厚さを許容しなくてはならないため、周縁凹部46よりも深くなっている。カップ26の底部は中央凹部46の底部50に隣接し、好ましくはこの底部50からわずかに離間されている。中央凹部48及び周縁凹部46は後面38の中央に位置され、後面38の内側エッジから離間されていることが好ましい。
【0032】
中央凹部48の底部50(図1)とフレーム16の前面36の凹部40の底部52(図4)(即ち壁44の厚さ)との距離は2乃至5mmであることが好ましい。壁42は透明でもよいし半透明でもよい。壁42の半透明の性質により、使用者は揮発性物質32のほぼ全てが膜24を通って拡散してしまった時を容易に確認することができる。また、壁42の半透明の性質は装飾的な機能をもつ。フレームは、壁42の半透明の性質を示すように最も良く示されている(図3及び図4)。
【0033】
表示フレーム16は、ガラス、射出成形プラスチック又は共重合ポリエステル樹脂を含む多様な組成物から構成可能である。好適な実施の形態では、表示フレーム16は透明な成形ガラスから構成される。あるいは、フレーム16はプラスチック又はガラスの構造物での多種のソリッドカラー又は色の組み合わせからなっていてもよい。着色フレームは、特に光がフレーム16を介して一点に集まるかフレーム16を介して反射又は屈折された際にシステム10に美的価値をもたらす。
【0034】
ディスペンサ12の膨出部18には揮発性物質32が満たされている。膨出部18は、香料、エアーフレッシュナー、殺虫剤など、周囲の空気にゆっくりと拡散される有効成分を含む揮発性物質32を保持する場合の使用に特に適している。好適な実施の形態は、有効成分のほかに、揮発性物質32を着色する染料や粘度を高める増粘剤を含む。染料及び増粘剤は全体の組成の2%未満を構成することが最も好ましい。
【0035】
殺虫剤及び他の関連薬剤を揮発性物質32として用いることもできる。使用者が、外観の悪い防虫デバイスを望まないが防虫剤の実用性を必要とする場合、この装飾的なシステムは好都合であり、周囲の装飾品と調和する。インジケータシステム10は、装飾的な外観を呈する一方でこのような揮発性物質32を放出することができる。
【0036】
揮発性物質32が香料である場合、香料の組成を比較的単純にしてもよいし、香料を天然及び/又は合成の化合物からなる複雑な混合物にしてもよい。インジケータシステムに用いられる揮発性物質の種々の混合物は、少なくて2つ、多くて100を越える薬剤を含むことができる。従来の香料物質の殆どは、例えば、レモン、マンダリン、キャラウェイ、ニオイヒバ、クローブリーフ、シダーウッド、ベルガモット、ビターオレンジ、ゼラニウム、ラベンダー、オレンジ、ラバンジン、ネロリ、ローズアブソリュート及びシナモンのオイルなどの合成又は天然由来の揮発性精油である。これらの物質の多くは家具の処理表面に悪影響を及ぼす場合がある。合成タイプの香料組成物(単独又は天然オイルとの組み合わせ)は米国特許第4,314,915号、第4,411,829号及び第4,434,306号に記載されており、これらは本明細書に援用される。
【0037】
画像14(図1及び図8)は図形でもよいし文でもよい。例えば、「取り替えて下さい」と書いてあってもよい。フレームの前面36、フレームの後面38、透過膜24又は底壁28(図4)を含む複数の位置に画像を配置することができるが、これらに限定されない。前述のように、接着剤でシステム10に接着された下塗りポリエステル層に画像を印刷することができる。あるいは、画像を底壁28に熱成形してもよいし、装飾フレーム16に成形してもよいし、フレーム16にエッチングしてもよい。
【0038】
画像14は木の形で示されているが、クリスマスツリー、メノラー、イースターエッグ、バレンタインのハート、パンプキンなど、種々のホリデーシーズン中に用いられるお祝いの画像から選択してもよい。また、それぞれのホリデーの祝賀に役立つように、揮発性物質の色をこのような画像に関連させて選択することができる。複数の色の組み合わせを使用者の装飾の好みに合わせて用いることができる。画像14は、花、野生動物、宇宙的な表示、スポーツ関連などを含みうる複数の他の画像であってもよい。
【0039】
揮発性物質32に関連して用いる染料の種類と量、そして画像14の配置(揮発性物質32の前又は後ろ)によって、画像14は膨出部18が満たされている際に見えたり見えなかったりすることが可能である。揮発性物質32の消耗状態をより明確に示すように、大部分の揮発性物質32が放出されてディスペンサ12が空の状態即ち第2の状態に近くなるまで画像は見えないことが好ましい。ディスペンサ12がいっぱいであるとき、空であるとき、そしてその間のいずれのときにも画像14が見えることが最も好ましい。しかし、ディスペンサ12の消耗状態に関連させて装飾的な性質を高めるために、画像14はディスペンサ12が空のときにより容易に見える。本発明のために、揮発性物質32又はシステム10の消耗状態は揮発性物質32の使い尽くし状態を示す。
【0040】
包装の際、ディスペンサ12(図7)が揮発性物質32で満たされ、ラミネート22が透過膜24に接着される。ディスペンサが満たされてラミネート22が膜24を覆っているときは、揮発性物質32の拡散は実質的に生じない。ラミネート22が取り除かれると、システム10は空の状態即ち第2の状態に向けて移行を始める。もちろん、揮発性物質32が少量残っていることも可能であり、この場合のディスペンサ12は第2の状態に達したとみなされる。揮発性物質32が膜24を通って拡散するにつれて、膜24はゆっくりと凹陥して底壁28に接触する。揮発性物質32が膜24をわたって拡散すると、ディスペンサ12内に含まれる物質32は少なくなる。揮発性物質32の拡散後にディスペンサ12に入ってくる新しい空気は実質的にない。その結果、膜24全体に圧力勾配が生じ、周囲空気の圧力がディスペンサ12内の圧力よりも高くなる。圧力勾配によって周囲空気はディスペンサに正味の正の圧力をかけ、残った揮発性物質32、最終的には底壁28に膜24が押圧される。揮発性物質32の拡散が続くと膜24にかかる力が増し、残った揮発性物質は壁28の中央から壁28の周縁に向かって移動する。揮発性物質32の移動及び拡散が続くと、ディスペンサ12が空又はほぼ空になるまで膜24と壁28の表面積接触が増加する。膜24と壁28の接触が増すことにより、画像14がより容易に見えるようになる。最終的に揮発性物質32の移動を生じる圧力勾配は、揮発性物質が膜24をわたって拡散し続けるにつれてディスペンサ12内の真空状態の圧縮が高まるために生じると考えることもできる。
【0041】
図8乃至図11を参照すると、ディスペンサ12がほぼ空であるときは少量の揮発性物質32がディスペンサ12内に残っており、揮発性物質32は底壁28の周縁に向かってリング状の外観で存在する。染料及び増粘剤は、第1の状態でシステム10の揮発性物質の全組成の約2%を構成するように組み合わされる。用いられる染料は膜24をわたって容易に拡散しないため、ディスペンサ12がほぼ空であるときに染料がより高濃度で揮発性物質32に存在することが好ましい。これにより、リング状の外観がより容易に見えるようになる。リング状の画像の色は、染料物質の濃度が高まるために第1の状態の配色よりも濃い。第2の状態では、増粘剤及び染料はディスペンサ12内に残されたほぼ全ての物質を含む。もちろん、このことは揮発性物質32に用いられる特定の染料の組成及び増粘剤によって変わりうる。システム10が第2の状態に近づき、第2の状態になると、消耗寸前のディスペンサ12が寿命を示しているとみなすことができる。
【0042】
ディスペンサ12がいっぱいである、即ち第1の状態にあるときは、着色された即ち不透明の揮発性物質32を介して装飾画像を見ることはできない。ディスペンサ12が空になる、即ち第2の状態に達すると装飾画像14が見えるようになり、消耗状態又は使い尽くし状態のレベルが示される。あるいは、ディスペンサ12がいっぱいであるときと空のときに装飾画像14を見えるようにしてもよい。ディスペンサ12内の着色された揮発性物質がなくなって画像14がより容易に見えるようになったことで、揮発性物質32の消耗状態の表示を達成することができる。特定の揮発性物質組成によっては、透過膜24を通って拡散しない薬剤や、意図された有効成分又は香料よりもゆっくりと拡散する薬剤が多数生じうる。有効成分は、エステル類、アルデヒド類、ケトン類、テルペン類、アルコール類及び芳香族化合物などの薬剤を含みうる。その結果、取替が必要である消耗状態レベルに近くなったりこのレベルに達したりすると、物質は膨出部18内に残る場合がある。
【0043】
図12乃至図15は、1つの点を除き全ての点で上記図面のシステムに類似している2つの物質散布システム10を示している。図12乃至図15のシステムと上記図面との唯一の違いは、各実施の形態において一定の要素がシステム10に加えられていることである。
【0044】
1つの実施の形態では、照明デバイス及びベース部材がシステム10に加えられており、第2の実施の形態は反射デバイスを更に含む。これらの追加要素はシステム10の雰囲気と視覚効果を高める。フレーム16は直立又はほぼ垂直な位置でしっかりと固定され、システム10はテーブル面又は他の同様の表面に配置されるように構成されている。また、ベース部材はろうそくや電球などの照明デバイスを配置するための安定した表面を加えている。反射デバイスは、フレーム16を介する屈折光と照明デバイスから発せられる光の集束を増加させ、環境の雰囲気を更に高める。
【0045】
また、反射デバイスは膜10の表面付近の空気の対流を増加させる。これによって揮発性物質32の周囲空気への放出及び拡散が強まる。更に、反射デバイスは熱を膜24の方向にはね返す。これによって熱が集積し、揮発性物質32はより効果的に揮発する。
【0046】
照明デバイス、ベース部材及び反射デバイスは図12乃至図15に示すようにフレーム16に取り外し可能に取り付けられることが好ましいが、これらはフレーム16と一体的に形成されてもよい。
【0047】
システム10の装飾的な性質を強め、フレームを照らす手段を提供するためにベース部材及び照明デバイスがフレーム16に加えられ、これによって雰囲気及び美的アピールが使用者にもたらされる。ベース及び照明デバイスがなければ、システムはこれほど快いものではなくなる。屈折材料及び反射材料のため、照明デバイスから発せられる光線は周囲空気のムード及び雰囲気を高める。
【0048】
図12及び図13を参照すると、システム10はベース部材54を含み、この部材は支持面上に平らに配置され、フレーム16を保持するように構成されている。ベース部材54は支持延長部56、C形クリップ58、ベース部材延長部60及びベース延長支持部62を含む。C形クリップ58は一対の内側側壁64及び66と底壁68を含む。ベース部材延長部60は延長面70及び突起72を含む。
【0049】
C形クリップ58はフレーム16に付着され、直立位置においてフレーム16を支持するものであり、フレーム16を拘束する手段である。側壁64及び66はそれぞれ前面36及び後面38と密接に係合している。底壁68はほぼ平らでフレーム16の側壁34にぴったりと係合している。側壁64と側壁66との距離は、側壁34の幅よりもわずかに広い。フレーム16及び延長面の向きは、使用者の個人的な好みに合うように変えてもよい。あるいは、C形クリップ58はスプリングクリップ、又はフレーム16を定位置に保持するように構成された他の機械的保持手段もしくは接着保持手段である。
【0050】
支持延長部56は平らな表面及び延長先端部74を有する。支持延長部56は側壁64から先端部74に延びている。先端部74は支持面に接触し、これによって支持及び装飾的な設計をシステム10にもたらす。延長部56は長さが5乃至10mmで幅が30乃至50mmであることが好ましい。
【0051】
ベース部材延長部60はほぼ長方形で平らであり、薄い金属片からなる。あるいは、延長部60は射出成形プラスチック又は成形ガラスからなっていてもよい。延長部60の長さは60乃至80mmであり、幅はフレーム16とほぼ同じであることが好ましい。延長部60は延長面70及び突起72を含む。延長面70は、照明デバイス76を保持するのに特にふさわしいほぼ平らな表面である。表面70は突起72を含み、突起72は表面70から垂直に延び、表面70の中央に位置する。突起72の高さは10乃至20mmであることが好ましい。ベース部材支持部62は延長面70に接続されており、延長面70に対して垂直に位置する。支持部62は支持面又はカウンタートップの上で表面70を支える。支持部62の高さは20乃至30mmであることが好ましい。
【0052】
照明デバイス76は、円筒状リザーバ78、芯80及び燃料82を含むろうそくであることが好ましい。ろうそく76に火が付けられると、ろうそく76は、燃料82がなくなるまで又は他の方法で炎84が消されるまで炎84を持続させる。リザーバ78は、芯80とは反対側の端部に中央凹部86を含む。リザーバ78は好ましくはプラスチック又はプレス加工された金属からなり、燃料82を含む。あるいは、リザーバ80はガラス製でもよい。燃料82は、芯80に火が付けられると燃焼する一般的なろうそくのろうであることが好ましい。芯80は主に燃料82によって囲まれており、燃料84の上方に延びている。ろうそく76は後面38の近くに配置されることが好ましい。フレーム16の後方に照明デバイス76を配置することにより、光がフレーム16を通って照らされてフレーム16により屈折され、揮発性物質を拡散させると共に心地よい雰囲気を作り出すことができる。
【0053】
ろうそく76が表面70に配置されると、突起72は凹部86内に延びてフレーム16に対するろうそく76の相対位置を保つ。照明デバイス76は延長面70上で後面38の近くに配置される。リザーバ78は高さが20乃至40mm、直径が25乃至45mmであることが好ましい。ろうそく76は壁42を介して眺められることが好ましい。
【0054】
図14及び図15を参照すると、システム10はベース部材54に固定して取り付けられた反射デバイス88を含む。部材54は反射デバイスと同様のアーチ形をしており、突起(図12及び図13)をもたないが、それ以外は図12及び図13に示すものと同じである。デバイス88は金属クリップ98によって部材54に取り付けられている。クリップ98はベース部材56に固定して取り付けられており、外側表面96に取り外し可能に取り付けられている。クリップ98は、溶接、リベット留め、接着剤又は他の同様の方法で取り付けることができる。
【0055】
反射デバイス88は薄い平らな壁であり、アーチ形を形成するように容易に曲げることができる。デバイス88は、フレーム16と共に、2つの空気口90及び92を除くほぼ全ての側面においてろうそくを囲んでいる。デバイス88は内側表面94及び外側表面96を有する。内側表面94は反射率の高いミラーコーティングを有する。表面94はろうそく76からの熱及び光を反射する。あるいは、反射デバイス88をアーチ形に固定して形成してもよい。
【0056】
ろうそく76に火を付けると対流が生じる。空気は延長部56付近の空気口92及び94に流れ込む。空気は空気口92及び94に入ると膜24を通って上方向に流れ、システム10を出る。この対流により、揮発性物質32の周囲空気への拡散がより優れたものとなる。反射デバイスは、ろうそく56に面した鏡面を有する。
【0057】
照明デバイス76はディスペンサ12と一体的に形成されていてもよいし、デバイスに取り付けられた別個の装置であってもよい。照明を多様なデバイスによって行うことができる。これらのデバイスには、LED、白熱灯、蛍光灯、ネオン、HID及び化学発光である照明デバイスが含まれるが、これらに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、周囲空気の雰囲気を高める照明デバイスを有する改良された揮発性物質ディスペンサを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】システムの分解背面斜視図である。
【図2】図1に示すディスペンサの斜視図である。
【図3】図1に示すシステムの組立後の斜視図である。
【図4】システムの分解前面斜視図である。
【図5】第1の充満状態にあるディスペンサを有するシステムの背面図である。
【図6】図5の線6−6にほぼ沿ったシステムの断面図である。
【図7】図6に示すディスペンサの部分拡大断面図である。
【図8】揮発性物質が部分的に放出したディスペンサを有するシステムの前面図である。
【図9】図8の線9−9にほぼ沿ったシステムの断面図である。
【図10】図9に示すシステムの部分拡大断面図である。
【図11】図8の線11−11にほぼ沿ったディスペンサの部分拡大断面図である。
【図12】システムの第1の実施の形態の前面斜視図である。
【図13】図12の線13−13にほぼ沿ったシステムの断面図である。
【図14】システムの第2の実施の形態の前面斜視図である。
【図15】図14の線15−15にほぼ沿ったシステムの断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は概して揮発性物質ディスペンサに関する。より具体的には、本発明は照明デバイスと併せて装飾表示フレームを用いる揮発性物質ディスペンサに関する。
【0002】
本願は、揮発性物質の消耗状態の表示システム(弁護士事件整理番号J−4023)及び揮発性物質散布システム(弁護士事件整理番号J−4030)といった、本願と同時に出願された同時係属出願に関連している。
【背景技術】
【0003】
揮発性物質を含み、これらの物質の蒸気としての周囲空気への散布を制御可能にするために多様な方法が用いられている。従来技術では、所与の容器から揮発性物質を分散させるための透過膜の使用や他の態様が詳述されている。ディスペンサに対する特定の要求に応じて、多種多様な揮発性物質ディスペンサが種々の開放された領域や閉ざされた領域に配置されるように設計されている。また、従来技術にはこれらのディスペンサを表示する方法とデバイスが記載されている。
【0004】
個人的な生活空間や職業的なオフィス環境に関して、周囲の空気をより心地よくしたいという特有の願望がある。また、これらの空間における昆虫防除や害虫駆除の要望があり、この要望は今も続いている。従来技術には、空気清浄と昆虫防除の双方のためにこれらの空間での使用に供することのできるデバイスが多数記載されている。
【0005】
対処する問題の性質、即ち空気の処理/清浄及び昆虫防除により、デバイスが用いられうる個人的な生活空間や職業的なオフィス環境内でこのような目立つデバイスが存在すると社会的なイメージが悪くなる。外観が悪く、明らかにそれとわかるようなデバイスは、このような環境には望ましくない。また、前述のような敏感な環境でも飾ることができ、社会的なイメージダウンを防ぐだけでなく装飾的に作用し、使用者に美的にアピールするデバイスを有することが好ましい。光、最も望ましくはろうそくの明かりのような雰囲気をよくする特徴を加えながら芳香剤や他の揮発性物質を散布する装飾的な容器を有することが望まれる。また、このような光源から生じた熱を利用して生活空間や作業空間全体に芳香剤を散布するのを助長することが望ましい。
【0006】
米国特許第4,714,984号は常夜灯アセンブリを開示している。この常夜灯アセンブリは、オンにされると低レベルの照明を生じると同時に香りのよい蒸気を発散させる。このアセンブリは、ワット数の低い電球を収容した反射体シェルを含む。
【0007】
米国特許第6,663,838号は加熱式揮発性物質ディスペンサを開示している。このディスペンサは、天井と出口弁を有する閉じられた加熱室を含む。同時に消耗されるように設計されたろうそくと揮発性物質キャリヤが含まれており、ろうそくの消耗が揮発性物質キャリヤの使用の手がかりとして役立つ。
【0008】
米国特許第4,695,435号は光起動式芳香発生器を開示している。この芳香発生器は、発生器が取り付けられた部屋の電球をオンにしたときのみ作動するようになっている。
【0009】
米国特許第6,144,801号は香料拡散器を開示している。この香料拡散器は熱源として香料バーナを使用する。香料拡散器は、一般に香料を蒸発させるように構成された液体を含む容器の下に配置された小さなろうそくであり、容器を加熱してこの物質を加熱し、蒸発させる。
【0010】
従来技術に関する問題は、見た目がよく複数の環境に雰囲気を与えるように飾られ、目立つように配置される装飾的な揮発性物質ディスペンサが記載されていないことである。また、照明手段(電気的に構成された手段、ろうそく又は他の照明手段)の使用によって機能を強化することのできるディスペンサがない。更に、発散光の対流やディスペンサへの集束を高めるように反射デバイスを設けたディスペンサがない。
【特許文献1】米国特許第4,714,984号明細書
【特許文献2】米国特許第6,663,838号明細書
【特許文献3】米国特許第4,695,435号明細書
【特許文献4】米国特許第6,144,801号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、雰囲気をもたらし、光や熱を使わないものよりも芳香剤の空気への放出を高めるために必要な問題を解決する。
【0012】
本発明は、雰囲気を心地よくし、周囲の空気を改善する装飾的な揮発性物質ディスペンサを提供することによってこの問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様に従って、揮発性物質散布システムは、揮発性物質を周囲空気に散布するように構成された揮発性物質ディスペンサと、ディスペンサ内に含まれる揮発性物質とを含む。揮発性物質は、芳香剤、香料及び殺虫剤からなる群から選択される。また、ディスペンサ拘束手段とこの拘束手段に取り付けられた延長面とを含むベース部材が設けられており、ベース部材はディスペンサに取り外し可能に取り付けられるように構成されている。更に、ディスペンサを照らすように構成された照明デバイスが設けられている。また、延長面は照明デバイスを支持するように構成されている。
【0014】
本発明の第2の態様に従って、揮発性物質散布システムは、揮発性物質を周囲空気に散布する手段と、前面及び後面を有する平らなフレームとを含み、散布手段はフレームに取り付けられている。照明デバイス及び反射デバイスも設けられている。照明デバイスはフレームを照らすように構成されており、延長面に配置されている。反射デバイスは照明デバイスから生じた熱及び光を反射するように構成されている。また、照明デバイスは実質的にフレームと反射デバイスとの間に配置されている。
【0015】
本発明の第3の態様に従って、照明式揮発性物質ディスペンサは散布装置と照明デバイスとを含む。散布装置は揮発性物質を含む容器を支持するように構成されており、容器は散布装置の面と同一平面にある表面を有する蒸気透過膜によって封止されている。照明デバイスはフレームを照らすように構成されており、延長面に配置されている。更に、ディスペンサは、照明デバイスから生じた熱及び光を反射するように構成された反射デバイスを含む。照明デバイスは実質的にフレームと反射デバイスとの間に配置されており、散布装置の面の近くに位置する。
【0016】
他の特徴は、図面及び添付の請求の範囲とともに、下記の詳細な説明を検討することで当業者に明らかになるであろう。本明細書に開示されるディスペンサは種々の形による実施の形態が可能であり、例示的なものとして意図された(そして本明細書に述べる特定の実施の形態の開示に限定する意図ではない)特定の実施の形態を後述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1及び図2を参照すると、揮発性物質散布システム10が示されている。システム10は、退避可能物質ディスペンサ12と、装飾画像14と、ディスペンサ12を保持する表示フレーム16を有する。装飾画像14はフレーム16に取り付けられている。画像14をフレームに印刷したり、フレームに形成したり、フレームにエッチングすることができる。また、シルクスクリーン画像14を用いてもよい。
【0018】
ディスペンサ12は、膨出部18と、周縁フランジ20と、膨出部18に取り外し可能に取り付けられた不浸透性のラミネート22を含む。膨出部18は、低密度ポリエチレン(LDPE)からなる非孔質の透過膜24とカップ状構造体26を含む。カップ26は、ナイロンラミネートに接着接合された再生ポリエチレンテレフタレート(RPET)層を含む。ナイロンラミネートは、中間のナイロン層の両側に共押し出しされたエチレン酢酸ビニル(EVA)の層を含む。カップ26は底壁28及び4つの側壁30を含み、これらは膜24と共に揮発性物質32を収容する密閉リザーバとして作用する(図7)。
【0019】
ラミネート22はポリプロピレン、アルミニウム箔及びポリエステルの層を含む。ポリプロピレンはアルミニウム箔層に接着接合され、アルミニウム箔層はポリエステル層に接着接合される。これらの層の接合には押出結合材が用いられる。ラミネート22の厚さは0.1乃至0.2mmであることが好ましい。ポリエステル層は印刷に好適であり、ラミネート22の外側表面を構成する。膜24及びラミネート22のポリプロピレン層は膨出部の製造時に共押し出しされることが好ましい。共押し出しにより、拡散時に生じる接着材と揮発性物質32との間の不要な反応を防止する一方で、ラミネート22を膨出部18から剥がして取り除くことができる。
【0020】
カップ26の厚さは0.3乃至0.4mmであることが好ましい。カップ26は概ね長方形であり、好ましくは厚さ約3乃至5mm、長さ50乃至60mm及び幅50乃至60mmの全体寸法を有する正方形である。4つの側壁30の各々の対応する幅は3乃至5mmであり、長さは50乃至60mmである。側壁30は、底壁からフランジ20に向かうにつれてわずかに外向きにテーパーがつけられている。底壁28もほぼ長方形であり、幅が48乃至58mmで高さが48乃至58mmである。カップ26の側壁30及び底壁28はRPET及びナイロンのラミネートからなる1枚のシートから熱成形されることが好ましく、このシートは加熱されて図に示すフランジ−カップ構成にブロー成形されるか又はプレス加工される。膨出部18内に収容される揮発性物質32が見えるように、カップ26は透明及び半透明であることが好ましい。
【0021】
前述のように、カップ26は比較的浅い側壁30を含む。膨出部18の浅い性質により、膜24は底壁28に接触するように凹陥することができる。揮発性物質32が膜24を通って拡散することで膜24が壁28に接触するように凹陥し、この凹陥によって揮発性物質32と膜24との接触が保たれる。この接触によって揮発性物質32の全体的な拡散の割合が更に高くなり、揮発性物質32の消耗状態を示すことが可能になる。
【0022】
周縁フランジ20は平らであることが好ましい。周縁フランジ20はカップ26の上縁部(例えば側壁30の上縁部)に結合されており、ここから外方向に延びている。上記の段落で説明したように、フランジ20は熱成形工程でカップ26と一体的に形成される。
【0023】
揮発性物質32をカップ26内に配置した後、フランジ20と透過膜24との間にシールを形成し、これによりディスペンサ12が形成される。ラミネート22は既に膜24に接着されているため、同時にラミネート22を膨出部18に取り付けることができる。接着剤、ヒートシール又は圧着など任意の従来の手段を用いて、膜24及びラミネート22を膨出部18のフランジ20に取り付けることができる。シールは、空気や揮発性物質32の漏れを防ぐように気密でなければならない。単一工程によってカップ26を膜24及びラミネート22で密閉することが最も好ましい。揮発性物質32は膨出部18内の空隙を完全に満たすわけではない。膨出部18の形成後にディスペンサ12では比較的少量の空気を許容することができる。密閉された膨出部内の空気は、膨出部18の全容積の3乃至6%であることが好ましい。揮発性物質は拡散してディスペンサ12を出るが、空気が透過膜24を通過して膨出部18に入ることはない。膜24は、気泡を形成することなく拡張し、凹陥するように構成されている。
【0024】
除去処理は、使用者がラミネート22の端部を把持してラミネート22を膨出部18から剥がすことによって生じるのが好ましい。ラミネート22の除去を促すために、つまみ、拡張部又は他の把持手段(図示せず)をラミネート22の拡張部として含むことができる。拡張部はラミネート22の角、端部又は表面に設けることができる。
【0025】
透過膜24の厚さは約0.05乃至0.15mmであり、密度は好ましくは0.88乃至0.95g/cm3である。透過膜24はラミネート22と一体的に形成されており、膜24がカップ26全体にわたるようにフランジ20に熱定着される。膜24は、揮発性物質32がカップ26の中に収容された状態でカップ26を囲んで密閉する。これにより、収容された揮発性物質32に対して不浸透性である薄い密閉容器が形成される。この容器は、使用者がラミネート22の角を把持してラミネート22を膜24から剥がし、これにより透過膜24が露出して揮発性物質32が透過膜24を通って移動し、周囲空気に拡散することが可能になるまでは不浸透性のままである。膜24はLDPEからなり、膨出部18内に収容される揮発性物質が見えるように透明及び半透明であることが好ましい。
【0026】
フレーム16は、サイズがほぼ同じである4つの側壁34、前面36(図4)及び後面38を有する長方形、好ましくは正方形の構造体である。フレーム16は、厚さが12乃至22mm、高さと幅が70乃至90mmであることが好ましい。フレーム16の幅は約15mmで高さは約80mmであることがより好ましい。フレーム16の前面36の表面積は3000mm2よりも大きいことが好ましい。
【0027】
前面36は段付きの凹部40(図4)を有する。凹部40は、凹部40の底壁(即ち後壁)42(図4)を取り囲んでこれに縁をつける写真フレームの外観をフレーム16に与える。図6及び図9に示す好適な実施の形態では、凹部40の壁は、断面では装飾された写真フレームの形で段即ち湾曲部44を有するように見える。凹部40は前面36の中央に位置し、側壁34から離れて配置されることが好ましい。凹部40は前面36のエッジまでは延びていない。代わりに、前面36は凹部40のエッジ付近に延びる境界に見え、この境界は2乃至4mmである一定の幅を有する。
【0028】
壁42は、光を通すことができるように透明又は半透明であることが好ましい。その点では、壁42は窓として機能することができ、この窓によって(前面からの)観察者は壁42のすぐ後ろにあるものを視覚的に認識することができる。
【0029】
フレーム16の後面38も凹部になっている。この凹部も同様に段付きで、ディスペンサ12を完全に収容するように構成されており、ディスペンサ12は膜24の表面が後面38とほぼ面一になるように位置決めされている。また、凹部は段付きで、後面38の周りを延びる浅い周縁凹部46と、深い中央凹部48を有することが好ましい。深い中央凹部48はカップ26を収容するように構成され、寸法決めされており、周縁凹部46はフランジ20を収容し支持するように構成され、寸法決めされている。要するに、中央凹部48及び周縁凹部46は、組み合わされるとディスペンサ12の形状と同一のネガティブ形状を有する。
【0030】
周縁凹部46は、接着剤、スプリングクリップ、又はフランジ20を定位置に保持するように構成された他の機械的保持手段もしくは接着保持手段を有することが好ましい。任意の接着剤を用いて、又は締まりばめなどの機械的手段やスプリングクリップのような別個の機械的留め具を用いて、フランジ20及び周縁凹部46を互いに接着することができる。(本明細書に示すように)接着剤49を用いる場合、フランジ−フレーム接着剤を選択してフランジ12を表示フレーム16に永久的に接着するか、又は取り外しやすいように着脱可能に接着することができる。このように、フレーム16を永久的で再使用可能なアイテムにすることができ、このフレーム16に取替用ディスペンサ12が連続して固定され、後で取り外されて取り替えられる。紫外線(UV)硬化接着剤を用いることが好ましい。このように、フレーム16を永久的で再使用可能なアイテムにすることができ、このフレーム16に取替用ディスペンサ12が連続して固定され、後で取り外されて取り替えられる。
【0031】
中央凹部48は、カップ26、フランジ20及び膜24の厚さの合計よりも大きい厚さを許容しなくてはならないため、周縁凹部46よりも深くなっている。カップ26の底部は中央凹部46の底部50に隣接し、好ましくはこの底部50からわずかに離間されている。中央凹部48及び周縁凹部46は後面38の中央に位置され、後面38の内側エッジから離間されていることが好ましい。
【0032】
中央凹部48の底部50(図1)とフレーム16の前面36の凹部40の底部52(図4)(即ち壁44の厚さ)との距離は2乃至5mmであることが好ましい。壁42は透明でもよいし半透明でもよい。壁42の半透明の性質により、使用者は揮発性物質32のほぼ全てが膜24を通って拡散してしまった時を容易に確認することができる。また、壁42の半透明の性質は装飾的な機能をもつ。フレームは、壁42の半透明の性質を示すように最も良く示されている(図3及び図4)。
【0033】
表示フレーム16は、ガラス、射出成形プラスチック又は共重合ポリエステル樹脂を含む多様な組成物から構成可能である。好適な実施の形態では、表示フレーム16は透明な成形ガラスから構成される。あるいは、フレーム16はプラスチック又はガラスの構造物での多種のソリッドカラー又は色の組み合わせからなっていてもよい。着色フレームは、特に光がフレーム16を介して一点に集まるかフレーム16を介して反射又は屈折された際にシステム10に美的価値をもたらす。
【0034】
ディスペンサ12の膨出部18には揮発性物質32が満たされている。膨出部18は、香料、エアーフレッシュナー、殺虫剤など、周囲の空気にゆっくりと拡散される有効成分を含む揮発性物質32を保持する場合の使用に特に適している。好適な実施の形態は、有効成分のほかに、揮発性物質32を着色する染料や粘度を高める増粘剤を含む。染料及び増粘剤は全体の組成の2%未満を構成することが最も好ましい。
【0035】
殺虫剤及び他の関連薬剤を揮発性物質32として用いることもできる。使用者が、外観の悪い防虫デバイスを望まないが防虫剤の実用性を必要とする場合、この装飾的なシステムは好都合であり、周囲の装飾品と調和する。インジケータシステム10は、装飾的な外観を呈する一方でこのような揮発性物質32を放出することができる。
【0036】
揮発性物質32が香料である場合、香料の組成を比較的単純にしてもよいし、香料を天然及び/又は合成の化合物からなる複雑な混合物にしてもよい。インジケータシステムに用いられる揮発性物質の種々の混合物は、少なくて2つ、多くて100を越える薬剤を含むことができる。従来の香料物質の殆どは、例えば、レモン、マンダリン、キャラウェイ、ニオイヒバ、クローブリーフ、シダーウッド、ベルガモット、ビターオレンジ、ゼラニウム、ラベンダー、オレンジ、ラバンジン、ネロリ、ローズアブソリュート及びシナモンのオイルなどの合成又は天然由来の揮発性精油である。これらの物質の多くは家具の処理表面に悪影響を及ぼす場合がある。合成タイプの香料組成物(単独又は天然オイルとの組み合わせ)は米国特許第4,314,915号、第4,411,829号及び第4,434,306号に記載されており、これらは本明細書に援用される。
【0037】
画像14(図1及び図8)は図形でもよいし文でもよい。例えば、「取り替えて下さい」と書いてあってもよい。フレームの前面36、フレームの後面38、透過膜24又は底壁28(図4)を含む複数の位置に画像を配置することができるが、これらに限定されない。前述のように、接着剤でシステム10に接着された下塗りポリエステル層に画像を印刷することができる。あるいは、画像を底壁28に熱成形してもよいし、装飾フレーム16に成形してもよいし、フレーム16にエッチングしてもよい。
【0038】
画像14は木の形で示されているが、クリスマスツリー、メノラー、イースターエッグ、バレンタインのハート、パンプキンなど、種々のホリデーシーズン中に用いられるお祝いの画像から選択してもよい。また、それぞれのホリデーの祝賀に役立つように、揮発性物質の色をこのような画像に関連させて選択することができる。複数の色の組み合わせを使用者の装飾の好みに合わせて用いることができる。画像14は、花、野生動物、宇宙的な表示、スポーツ関連などを含みうる複数の他の画像であってもよい。
【0039】
揮発性物質32に関連して用いる染料の種類と量、そして画像14の配置(揮発性物質32の前又は後ろ)によって、画像14は膨出部18が満たされている際に見えたり見えなかったりすることが可能である。揮発性物質32の消耗状態をより明確に示すように、大部分の揮発性物質32が放出されてディスペンサ12が空の状態即ち第2の状態に近くなるまで画像は見えないことが好ましい。ディスペンサ12がいっぱいであるとき、空であるとき、そしてその間のいずれのときにも画像14が見えることが最も好ましい。しかし、ディスペンサ12の消耗状態に関連させて装飾的な性質を高めるために、画像14はディスペンサ12が空のときにより容易に見える。本発明のために、揮発性物質32又はシステム10の消耗状態は揮発性物質32の使い尽くし状態を示す。
【0040】
包装の際、ディスペンサ12(図7)が揮発性物質32で満たされ、ラミネート22が透過膜24に接着される。ディスペンサが満たされてラミネート22が膜24を覆っているときは、揮発性物質32の拡散は実質的に生じない。ラミネート22が取り除かれると、システム10は空の状態即ち第2の状態に向けて移行を始める。もちろん、揮発性物質32が少量残っていることも可能であり、この場合のディスペンサ12は第2の状態に達したとみなされる。揮発性物質32が膜24を通って拡散するにつれて、膜24はゆっくりと凹陥して底壁28に接触する。揮発性物質32が膜24をわたって拡散すると、ディスペンサ12内に含まれる物質32は少なくなる。揮発性物質32の拡散後にディスペンサ12に入ってくる新しい空気は実質的にない。その結果、膜24全体に圧力勾配が生じ、周囲空気の圧力がディスペンサ12内の圧力よりも高くなる。圧力勾配によって周囲空気はディスペンサに正味の正の圧力をかけ、残った揮発性物質32、最終的には底壁28に膜24が押圧される。揮発性物質32の拡散が続くと膜24にかかる力が増し、残った揮発性物質は壁28の中央から壁28の周縁に向かって移動する。揮発性物質32の移動及び拡散が続くと、ディスペンサ12が空又はほぼ空になるまで膜24と壁28の表面積接触が増加する。膜24と壁28の接触が増すことにより、画像14がより容易に見えるようになる。最終的に揮発性物質32の移動を生じる圧力勾配は、揮発性物質が膜24をわたって拡散し続けるにつれてディスペンサ12内の真空状態の圧縮が高まるために生じると考えることもできる。
【0041】
図8乃至図11を参照すると、ディスペンサ12がほぼ空であるときは少量の揮発性物質32がディスペンサ12内に残っており、揮発性物質32は底壁28の周縁に向かってリング状の外観で存在する。染料及び増粘剤は、第1の状態でシステム10の揮発性物質の全組成の約2%を構成するように組み合わされる。用いられる染料は膜24をわたって容易に拡散しないため、ディスペンサ12がほぼ空であるときに染料がより高濃度で揮発性物質32に存在することが好ましい。これにより、リング状の外観がより容易に見えるようになる。リング状の画像の色は、染料物質の濃度が高まるために第1の状態の配色よりも濃い。第2の状態では、増粘剤及び染料はディスペンサ12内に残されたほぼ全ての物質を含む。もちろん、このことは揮発性物質32に用いられる特定の染料の組成及び増粘剤によって変わりうる。システム10が第2の状態に近づき、第2の状態になると、消耗寸前のディスペンサ12が寿命を示しているとみなすことができる。
【0042】
ディスペンサ12がいっぱいである、即ち第1の状態にあるときは、着色された即ち不透明の揮発性物質32を介して装飾画像を見ることはできない。ディスペンサ12が空になる、即ち第2の状態に達すると装飾画像14が見えるようになり、消耗状態又は使い尽くし状態のレベルが示される。あるいは、ディスペンサ12がいっぱいであるときと空のときに装飾画像14を見えるようにしてもよい。ディスペンサ12内の着色された揮発性物質がなくなって画像14がより容易に見えるようになったことで、揮発性物質32の消耗状態の表示を達成することができる。特定の揮発性物質組成によっては、透過膜24を通って拡散しない薬剤や、意図された有効成分又は香料よりもゆっくりと拡散する薬剤が多数生じうる。有効成分は、エステル類、アルデヒド類、ケトン類、テルペン類、アルコール類及び芳香族化合物などの薬剤を含みうる。その結果、取替が必要である消耗状態レベルに近くなったりこのレベルに達したりすると、物質は膨出部18内に残る場合がある。
【0043】
図12乃至図15は、1つの点を除き全ての点で上記図面のシステムに類似している2つの物質散布システム10を示している。図12乃至図15のシステムと上記図面との唯一の違いは、各実施の形態において一定の要素がシステム10に加えられていることである。
【0044】
1つの実施の形態では、照明デバイス及びベース部材がシステム10に加えられており、第2の実施の形態は反射デバイスを更に含む。これらの追加要素はシステム10の雰囲気と視覚効果を高める。フレーム16は直立又はほぼ垂直な位置でしっかりと固定され、システム10はテーブル面又は他の同様の表面に配置されるように構成されている。また、ベース部材はろうそくや電球などの照明デバイスを配置するための安定した表面を加えている。反射デバイスは、フレーム16を介する屈折光と照明デバイスから発せられる光の集束を増加させ、環境の雰囲気を更に高める。
【0045】
また、反射デバイスは膜10の表面付近の空気の対流を増加させる。これによって揮発性物質32の周囲空気への放出及び拡散が強まる。更に、反射デバイスは熱を膜24の方向にはね返す。これによって熱が集積し、揮発性物質32はより効果的に揮発する。
【0046】
照明デバイス、ベース部材及び反射デバイスは図12乃至図15に示すようにフレーム16に取り外し可能に取り付けられることが好ましいが、これらはフレーム16と一体的に形成されてもよい。
【0047】
システム10の装飾的な性質を強め、フレームを照らす手段を提供するためにベース部材及び照明デバイスがフレーム16に加えられ、これによって雰囲気及び美的アピールが使用者にもたらされる。ベース及び照明デバイスがなければ、システムはこれほど快いものではなくなる。屈折材料及び反射材料のため、照明デバイスから発せられる光線は周囲空気のムード及び雰囲気を高める。
【0048】
図12及び図13を参照すると、システム10はベース部材54を含み、この部材は支持面上に平らに配置され、フレーム16を保持するように構成されている。ベース部材54は支持延長部56、C形クリップ58、ベース部材延長部60及びベース延長支持部62を含む。C形クリップ58は一対の内側側壁64及び66と底壁68を含む。ベース部材延長部60は延長面70及び突起72を含む。
【0049】
C形クリップ58はフレーム16に付着され、直立位置においてフレーム16を支持するものであり、フレーム16を拘束する手段である。側壁64及び66はそれぞれ前面36及び後面38と密接に係合している。底壁68はほぼ平らでフレーム16の側壁34にぴったりと係合している。側壁64と側壁66との距離は、側壁34の幅よりもわずかに広い。フレーム16及び延長面の向きは、使用者の個人的な好みに合うように変えてもよい。あるいは、C形クリップ58はスプリングクリップ、又はフレーム16を定位置に保持するように構成された他の機械的保持手段もしくは接着保持手段である。
【0050】
支持延長部56は平らな表面及び延長先端部74を有する。支持延長部56は側壁64から先端部74に延びている。先端部74は支持面に接触し、これによって支持及び装飾的な設計をシステム10にもたらす。延長部56は長さが5乃至10mmで幅が30乃至50mmであることが好ましい。
【0051】
ベース部材延長部60はほぼ長方形で平らであり、薄い金属片からなる。あるいは、延長部60は射出成形プラスチック又は成形ガラスからなっていてもよい。延長部60の長さは60乃至80mmであり、幅はフレーム16とほぼ同じであることが好ましい。延長部60は延長面70及び突起72を含む。延長面70は、照明デバイス76を保持するのに特にふさわしいほぼ平らな表面である。表面70は突起72を含み、突起72は表面70から垂直に延び、表面70の中央に位置する。突起72の高さは10乃至20mmであることが好ましい。ベース部材支持部62は延長面70に接続されており、延長面70に対して垂直に位置する。支持部62は支持面又はカウンタートップの上で表面70を支える。支持部62の高さは20乃至30mmであることが好ましい。
【0052】
照明デバイス76は、円筒状リザーバ78、芯80及び燃料82を含むろうそくであることが好ましい。ろうそく76に火が付けられると、ろうそく76は、燃料82がなくなるまで又は他の方法で炎84が消されるまで炎84を持続させる。リザーバ78は、芯80とは反対側の端部に中央凹部86を含む。リザーバ78は好ましくはプラスチック又はプレス加工された金属からなり、燃料82を含む。あるいは、リザーバ80はガラス製でもよい。燃料82は、芯80に火が付けられると燃焼する一般的なろうそくのろうであることが好ましい。芯80は主に燃料82によって囲まれており、燃料84の上方に延びている。ろうそく76は後面38の近くに配置されることが好ましい。フレーム16の後方に照明デバイス76を配置することにより、光がフレーム16を通って照らされてフレーム16により屈折され、揮発性物質を拡散させると共に心地よい雰囲気を作り出すことができる。
【0053】
ろうそく76が表面70に配置されると、突起72は凹部86内に延びてフレーム16に対するろうそく76の相対位置を保つ。照明デバイス76は延長面70上で後面38の近くに配置される。リザーバ78は高さが20乃至40mm、直径が25乃至45mmであることが好ましい。ろうそく76は壁42を介して眺められることが好ましい。
【0054】
図14及び図15を参照すると、システム10はベース部材54に固定して取り付けられた反射デバイス88を含む。部材54は反射デバイスと同様のアーチ形をしており、突起(図12及び図13)をもたないが、それ以外は図12及び図13に示すものと同じである。デバイス88は金属クリップ98によって部材54に取り付けられている。クリップ98はベース部材56に固定して取り付けられており、外側表面96に取り外し可能に取り付けられている。クリップ98は、溶接、リベット留め、接着剤又は他の同様の方法で取り付けることができる。
【0055】
反射デバイス88は薄い平らな壁であり、アーチ形を形成するように容易に曲げることができる。デバイス88は、フレーム16と共に、2つの空気口90及び92を除くほぼ全ての側面においてろうそくを囲んでいる。デバイス88は内側表面94及び外側表面96を有する。内側表面94は反射率の高いミラーコーティングを有する。表面94はろうそく76からの熱及び光を反射する。あるいは、反射デバイス88をアーチ形に固定して形成してもよい。
【0056】
ろうそく76に火を付けると対流が生じる。空気は延長部56付近の空気口92及び94に流れ込む。空気は空気口92及び94に入ると膜24を通って上方向に流れ、システム10を出る。この対流により、揮発性物質32の周囲空気への拡散がより優れたものとなる。反射デバイスは、ろうそく56に面した鏡面を有する。
【0057】
照明デバイス76はディスペンサ12と一体的に形成されていてもよいし、デバイスに取り付けられた別個の装置であってもよい。照明を多様なデバイスによって行うことができる。これらのデバイスには、LED、白熱灯、蛍光灯、ネオン、HID及び化学発光である照明デバイスが含まれるが、これらに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、周囲空気の雰囲気を高める照明デバイスを有する改良された揮発性物質ディスペンサを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】システムの分解背面斜視図である。
【図2】図1に示すディスペンサの斜視図である。
【図3】図1に示すシステムの組立後の斜視図である。
【図4】システムの分解前面斜視図である。
【図5】第1の充満状態にあるディスペンサを有するシステムの背面図である。
【図6】図5の線6−6にほぼ沿ったシステムの断面図である。
【図7】図6に示すディスペンサの部分拡大断面図である。
【図8】揮発性物質が部分的に放出したディスペンサを有するシステムの前面図である。
【図9】図8の線9−9にほぼ沿ったシステムの断面図である。
【図10】図9に示すシステムの部分拡大断面図である。
【図11】図8の線11−11にほぼ沿ったディスペンサの部分拡大断面図である。
【図12】システムの第1の実施の形態の前面斜視図である。
【図13】図12の線13−13にほぼ沿ったシステムの断面図である。
【図14】システムの第2の実施の形態の前面斜視図である。
【図15】図14の線15−15にほぼ沿ったシステムの断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性物質散布システムであって、
揮発性物質を周囲空気に散布するように構成された揮発性物質ディスペンサと、
前記ディスペンサ内に含まれる揮発性物質であって、芳香剤、香料及び殺虫剤からなる群から選択される揮発性物質と、
ディスペンサ保持手段及び該保持手段に取り付けられた延長面を含むベース部材であって、前記ディスペンサに取り外し可能に取り付けられるように構成されたベース部材と、
前記ディスペンサを照らすように構成された照明デバイスであって、前記延長面が前記照明デバイスを支持するように構成されている、照明デバイスと、
を含む前記システム。
【請求項2】
前面及び後面を有する平らなフレームを更に含み、前記ディスペンサが前記フレームの一方の面に取り付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
第1の表面及び非孔質のポリマー膜を有する容器を更に含み、前記フレームが長方形で透明であり、前記照明デバイスがろうそくである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ベース部材が前記延長面から延びる突起を含み、該突起は前記照明デバイスを受けるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記揮発性物質が拡散可能な殺虫剤である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記揮発性物質が拡散可能な芳香剤である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記膜が前記第1の表面に接触するように凹陥することができる、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記フレームが長方形で半透明である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記照明デバイスが奉納ろうそく、ろうそく、LED、白熱灯、蛍光灯、ネオン電球、HID、化学発光、電子発光及びOLEDからなる群から選択される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記照明デバイスがろうそくであり、該ろうそくは香料入りである、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記フレームが透明な壁を更に含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記フレームが装飾的な画像を更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
揮発性物質散布システムであって、
揮発性物質を周囲空気に散布する手段と、
前面及び後面を有する平らなフレームであって、前記散布手段が取り付けられたフレームと、
延長面に配置され、前記フレームを照らすように構成された照明デバイスと、
前記照明デバイスから発せられた光を反射するように構成された反射デバイスであって、前記照明デバイスが前記フレームと前記反射デバイスとの間に配置される、反射デバイスと、
を含む前記システム。
【請求項14】
前記散布手段が第1の表面及び非孔質のポリマー膜を有する容器を含み、前記フレームが長方形で透明であり、前記照明デバイスがろうそくであり、前記反射デバイスが熱を反射するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
ベース部材を更に含み、前記照明デバイスは前記ベース部材上に配置されており、該ベース部材は前記フレームをほぼ垂直な位置で固定して保持するように構成されており、前記反射デバイスは前記ベース部材に取り外し可能に取り付けられている、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記反射デバイスは鏡張りの内側表面及びアーチ形状を有し、空気口が前記反射デバイスと前記フレームとの間に配置されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記照明デバイスがろうそく、LED、白熱灯、蛍光灯、ネオン電球、HID、化学発光、電子発光及びOLEDからなる群から選択される、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記フレームが長方形で半透明であり、透明な窓を更に含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記揮発性物質が拡散可能な芳香剤である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記揮発性物質が拡散可能な殺虫剤である、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
照明式揮発性物質ディスペンサであって、
揮発性物質を含む容器を支持するように構成された散布装置であって、前記容器が前記散布装置の面と同一平面にある表面を有する蒸気透過膜によって封止された散布装置と、
延長面に配置され、前記フレームを照らすように構成された照明デバイスと、
前記照明デバイスから発せられた光を反射するように構成された反射デバイスであって、前記照明デバイスが実質的に前記フレームと前記反射デバイスとの間に配置され、前記照明デバイスが前記散布装置の前記面の近くに位置する、反射デバイスと、
を含む、照明式揮発性物質ディスペンサ。
【請求項22】
前記散布装置が長方形で平らな半透明のフレームを含む、請求項21に記載のディスペンサ。
【請求項23】
前記照明デバイスが奉納ろうそく、ろうそく、LED、白熱灯、蛍光灯、ネオン電球、HID、化学発光、電子発光及びOLEDからなる群から選択される、請求項21に記載のディスペンサ。
【請求項1】
揮発性物質散布システムであって、
揮発性物質を周囲空気に散布するように構成された揮発性物質ディスペンサと、
前記ディスペンサ内に含まれる揮発性物質であって、芳香剤、香料及び殺虫剤からなる群から選択される揮発性物質と、
ディスペンサ保持手段及び該保持手段に取り付けられた延長面を含むベース部材であって、前記ディスペンサに取り外し可能に取り付けられるように構成されたベース部材と、
前記ディスペンサを照らすように構成された照明デバイスであって、前記延長面が前記照明デバイスを支持するように構成されている、照明デバイスと、
を含む前記システム。
【請求項2】
前面及び後面を有する平らなフレームを更に含み、前記ディスペンサが前記フレームの一方の面に取り付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
第1の表面及び非孔質のポリマー膜を有する容器を更に含み、前記フレームが長方形で透明であり、前記照明デバイスがろうそくである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ベース部材が前記延長面から延びる突起を含み、該突起は前記照明デバイスを受けるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記揮発性物質が拡散可能な殺虫剤である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記揮発性物質が拡散可能な芳香剤である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記膜が前記第1の表面に接触するように凹陥することができる、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記フレームが長方形で半透明である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記照明デバイスが奉納ろうそく、ろうそく、LED、白熱灯、蛍光灯、ネオン電球、HID、化学発光、電子発光及びOLEDからなる群から選択される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記照明デバイスがろうそくであり、該ろうそくは香料入りである、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記フレームが透明な壁を更に含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記フレームが装飾的な画像を更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
揮発性物質散布システムであって、
揮発性物質を周囲空気に散布する手段と、
前面及び後面を有する平らなフレームであって、前記散布手段が取り付けられたフレームと、
延長面に配置され、前記フレームを照らすように構成された照明デバイスと、
前記照明デバイスから発せられた光を反射するように構成された反射デバイスであって、前記照明デバイスが前記フレームと前記反射デバイスとの間に配置される、反射デバイスと、
を含む前記システム。
【請求項14】
前記散布手段が第1の表面及び非孔質のポリマー膜を有する容器を含み、前記フレームが長方形で透明であり、前記照明デバイスがろうそくであり、前記反射デバイスが熱を反射するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
ベース部材を更に含み、前記照明デバイスは前記ベース部材上に配置されており、該ベース部材は前記フレームをほぼ垂直な位置で固定して保持するように構成されており、前記反射デバイスは前記ベース部材に取り外し可能に取り付けられている、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記反射デバイスは鏡張りの内側表面及びアーチ形状を有し、空気口が前記反射デバイスと前記フレームとの間に配置されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記照明デバイスがろうそく、LED、白熱灯、蛍光灯、ネオン電球、HID、化学発光、電子発光及びOLEDからなる群から選択される、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記フレームが長方形で半透明であり、透明な窓を更に含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記揮発性物質が拡散可能な芳香剤である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記揮発性物質が拡散可能な殺虫剤である、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
照明式揮発性物質ディスペンサであって、
揮発性物質を含む容器を支持するように構成された散布装置であって、前記容器が前記散布装置の面と同一平面にある表面を有する蒸気透過膜によって封止された散布装置と、
延長面に配置され、前記フレームを照らすように構成された照明デバイスと、
前記照明デバイスから発せられた光を反射するように構成された反射デバイスであって、前記照明デバイスが実質的に前記フレームと前記反射デバイスとの間に配置され、前記照明デバイスが前記散布装置の前記面の近くに位置する、反射デバイスと、
を含む、照明式揮発性物質ディスペンサ。
【請求項22】
前記散布装置が長方形で平らな半透明のフレームを含む、請求項21に記載のディスペンサ。
【請求項23】
前記照明デバイスが奉納ろうそく、ろうそく、LED、白熱灯、蛍光灯、ネオン電球、HID、化学発光、電子発光及びOLEDからなる群から選択される、請求項21に記載のディスペンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2008−504931(P2008−504931A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520374(P2007−520374)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/023228
【国際公開番号】WO2006/004901
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/023228
【国際公開番号】WO2006/004901
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】
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