説明

照明モジュール

【課題】照明モジュールにおいて、モジュール内への埃や水分の侵入を阻止すると共に、モジュールの薄型化が可能である。
【解決手段】照明モジュール1は、面状発光素子2と、面状発光素子2に給電するための配線基板3と、面状発光素子2の発光面上に設けられた光学シート4と、を備える。配線基板3は、面状発光素子2を収容する孔部8を有する。光学シート4は、配線基板3の孔部8に収容された面状発光素子2と配線基板3とが発光面側で面一となった状態で、面状発光素子2と配線基板3を保持する。また、面状発光素子2を覆うと共に、面状発光素子2と配線基板3との隙間も覆っている。照明モジュール1は、光学シート4が面状発光素子2と配線基板3を保持すると共に、モジュール内への埃や水分の侵入を阻止するので、筐体やパッキン等を備える必要がないことから、モジュールの薄型化が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具、液晶バックライト、各種ディスプレイ、表示装置などに用いられる有機エレクトロルミネッセンス発光素子(以下、有機EL発光素子という)を備える照明モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、有機EL発光素子である面状発光素子を備える照明モジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。図6に、このような照明モジュール101の構成を示す。照明モジュール101は、面状発光素子102と、これに給電するための配線基板103と、面状発光素子102の発光面上に設けられる光学シート104と、面状発光素子102の素子電極と配線基板103の配線パターン(図示せず)とを電気的に接続する給電接合部材105と、これら各部材を収容する筐体106と、を備える。
【0003】
光学シート104は、面状発光素子102から照射される光の配向性と屈折率を調整する。給電接合部材105は、銅のリードフレーム又はフレキシブル配線板などから成る。筐体106は、面状発光素子102から照射される光を外部に放出するための開口部107を有する。
【0004】
このような構成の照明モジュール101においては、筐体106の開口部107と光学シート104との段差に隙間が生じ易く、そのためモジュール内部へ埃や水分が浸入し易い。そこで、埃や水分の浸入を阻止するためにパッキン等を隙間に設けると、モジュールの薄型化が困難となり、面状発光素子102が薄い面光源であるという特徴を活かすことができなくなる。
【0005】
また、給電接合部材105がリードフレームである場合、リードフレームを面状発光素子102の素子電極に安定的に接触させる必要があるが、リードフレームを面状発光素子102の素子電極に低温で接合することは難しい。このため、通常、リードフレームと面状発光素子102とは筐体106で機械的に挟持することになり、モジュールの薄型化がより困難となる。また、リードフレームが絶縁性を有していないので、面状発光素子102の放熱力を強化するための金属放熱板をリードフレーム近傍に配置することができない。
【0006】
また、給電接合部材105がフレキシブル配線板である場合、フレキシブル配線板は、異方性導電フィルム等で面状発光素子102の素子電極に接合することができる。しかし、面状発光素子102内の発光体を構成する有機物が熱に弱いので、150℃の高温に加熱しながら行われる素子電極とフレキシブル配線板の接合によって、面状発光素子102内の発光体にダメージが生じ易い。また、フレキシブル配線板と異方性導電フィルムの材料費が、リードフレームの材料費よりも値段が高いので、コスト高となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−299740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、モジュール内への埃や水分の侵入を阻止すると共に、モジュールの薄型化が可能である照明モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、面状発光素子と、前記面状発光素子に給電するための配線パターンが形成された配線基板と、前記面状発光素子の発光面上に設けられた光学シートと、を備えた照明モジュールであって、前記配線基板は、前記面状発光素子を収容する孔部を有し、前記光学シートは、前記配線基板の孔部に収容された面状発光素子と前記配線基板とが発光面側で面一となった状態で、前記面状発光素子、及び前記面状発光素子と配線基板との隙間を覆っているものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の照明モジュールにおいて、前記面状発光素子の素子電極と配線基板の配線パターンは、アルミニウム線で電気的に接続され、前記アルミニウム線は、紫外線硬化樹脂で被覆されているものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、光学シートが面状発光素子と配線基板を保持すると共に、モジュール内への埃や水分の侵入を阻止するので、筐体やパッキン等を備える必要がないことから、モジュールの薄型化が可能である。
【0012】
請求項2の発明によれば、アルミニウム線を介して面状発光素子に給電されるので、フレキシブル配線板などの給電接合部材を備える必要がないことから、製造コストの低減を図ることができる。また、アルミニウム線が紫外線硬化樹脂で被覆されるので、常温・低コストで絶縁性、堅牢性、耐湿性を向上させることができる。これにより、力学的負荷、水分、その他のガスによる腐食からアルミニウム線を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る照明モジュールの外観図。
【図2】同照明モジュールのA−A線側断面図。
【図3】同照明モジュールの分解図。
【図4】同照明モジュールの紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線で硬化させるときの斜視図。
【図5】同照明モジュールの変形例を示す外観図。
【図6】従来の照明モジュールの側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1乃至図4は、本発明の一実施形態に係る照明モジュール1の構成を示す。図1及び図2において、照明モジュール1は、面状発光素子2と、これに給電するための配線基板3と、面状発光素子2の発光面上に設けられた光学シート4と、面状発光素子2及び配線基板3上に設けられるアルミニウム線5と、アルミニウム線5を封止して絶縁する紫外線硬化樹脂6と、を備える。面状発光素子2は、アルミニウム線5と接続される素子電極7を有し、配線基板3は、面状発光素子2を収容する孔部8を有する。照明モジュール1は、モジュールを保持する保持構造と、モジュールに給電する直流電源と、を有する照明器具に組み込まれて使用される。
【0015】
面状発光素子2は、例えば、80mm×80mm×0.7mmのサイズである長方形の無アルカリガラス基板上に、透明電極であって陽極となるインジウムスズ酸化物、発光体となる有機物、陰極となるアルミニウム、及び有機物を保護する吸湿層や封止層がこの順に積層されて成る。面状発光素子2は、陽極と陰極の間に電圧が与えられることで有機物が発光し、陰極のアルミニウムで光を反射して発光面から光を放出する。
【0016】
面状発光素子2の素子電極7は、面状発光素子2の陽極及び陰極上にスパッタ成膜されたモリブデン/アルミニウム/モリブデンから成り、例えば、2mm×19mmの長方形のパッドで構成され、面状発光素子2の互いに対向する2辺に1つずつ設置される。素子電極7のモリブデン/アルミニウム/モリブデンの厚さは、例えば、それぞれ50nm、500nm、50nmで形成される。なお、素子電極7は、面状発光素子2の3辺に1つずつ、又は4辺に1つずつ設置されてもよい。面状発光素子2は、設置される素子電極7の個数が増えることで、発光体への給電箇所が複数となり、陽極を形成するインジウムスズ酸化物の抵抗が高いために陽極内で生じていた電圧降下が防止されるので、発光斑を低減して均一に発光することができる。
【0017】
配線基板3は、面状発光素子2に給電するための配線パターン(図示せず)が形成され、例えば、基板として20mm×80mm×0.5mmのサイズに形成されるFR−4と、配線として銅が用いられ、電源回路のコンポーネントを有し、このコンポーネントを含めた厚さが4mmとなる。なお、配線基板3は、照明モジュール1を複数並べて使うためのDC/DC変換機能、照明モジュール1を複数並べて使うとき部分的に点灯消灯するためのアドレス制御機能、照明モジュール1を調光するためのPWM制御機能などを持つ点灯制御用のICを有していてもよい。また、給電のためのコネクタ、照明器具や壁面、天井などに固定するためのネジ穴などを有していてもよい。
【0018】
配線基板3の孔部8は、面状発光素子2が納まる大きさであり、その周囲にはアルミニウム線5と超音波接合するための、配線パターンの一部であるボンディングパッドが配列されている。ボンディングパッドは、例えば、1mm×1mmの大きさであり、フラッシュ金めっき処理により形成される。ボンディングパッド周辺には、塗布された紫外線硬化樹脂6が濡れ広がる領域を制御するために、シルクパターンが印刷される。なお、配線基板3は、貫通スルーホールを持たないビルドアップ配線板であってもよい。このビルドアップ配線板を有する照明モジュール1は、配線基板3の光学シート4が設置されている側と反対側の面を任意に塗装することで、意匠性を向上させることができる。
【0019】
光学シート4は、アクリル樹脂から成り、配線基板3と同じサイズに形成され、ネジ穴やコネクタの形状にあわせてカットされる。また、光学シート4は、防滴、防塵性を有し、屈折率の制御により光取り出し量を向上させ、光の配光性を制御する。光学シート4は、配線基板3の孔部8に収容された面状発光素子2と、配線基板3とが発光面側で段差のない面一となった状態で、面状発光素子2と配線基板3を接着剤で保持する。また、面状発光素子2を覆うと共に、面状発光素子2と配線基板3との隙間も覆っている。なお、光学シート4は、耐候性や強度が必要な場合、ガラス板やアクリル板などから構成されてもよい。また、光学シート4は、面状発光素子2を覆うと共に、面状発光素子2と配線基板3との隙間も覆っていれば、配線基板3と異なるサイズに形成されてもよい。
【0020】
アルミニウム線5は、純アルミニウムから成り、機械的強度と電流量を向上させるために、例えば、径200μm以上の太線や、厚さ200μm、幅2mm以上のリボン材で構成される。アルミニウム線5は、面状発光素子2及び配線基板3の光学シート4が設置されている側と反対側の面上に設けられ、面状発光素子2の素子電極7と、配線基板3の配線パターンの一部であるボンディングパッドを電気的に接続する。アルミニウム線5と素子電極7やボンディングパッドとの接続は、超音波接合により行うことができる。これにより、常温・低コスト、かつ、高い信頼性の電気接続が可能となる。
【0021】
紫外線硬化樹脂6は、例えば、被膜厚さ100μm以上でアルミニウム線5を被覆し、紫外線の照射によって硬化する。なお、照明モジュール1は、アルミニウム線5が紫外線硬化樹脂6によって絶縁されて金属の接触による短絡の心配がないので、面状発光素子2の発光面の反対側の面に、面状発光素子2の熱を放熱する放熱器又は意匠性を向上させる化粧板などを備えてもよい。
【0022】
照明モジュール1の組み立てについて、図3及び図4を参照して説明する。図3に示されるように、まず、光学シート4の片面に接着剤9を塗布し、この塗布面を上面とし、光学シート4の上面に配線基板3を配置して接着剤9で接着する。さらに、面状発光素子2の発光面を下向きにして、配線基板3の孔部8に挿入し、光学シート4の上面に配置して接着剤9で接着する。
【0023】
次に、図4に示されるように、超音波ワイヤボンダを用いた超音波接合によって、面状発光素子2の素子電極7と配線基板3のボンディングパッドをアルミニウム線5で電気的に接続する。次いで、アルミニウム線5を被覆するように、紫外線硬化樹脂6を樹脂塗布装置10によって塗布する。次いで、この紫外線硬化樹脂6を、紫外線の照射によって硬化させる。このようにして、照明モジュール1が完成する。なお、面状発光素子2内に3つ以上の素子電極7がある場合、同極同士をアルミニウム線5で電気的に接続する。
【0024】
上記のように構成される照明モジュール1は、光学シート4が面状発光素子2と配線基板3を保持すると共に、モジュール内への埃や水分の侵入を阻止するので、筐体やパッキン等を備える必要がないことから、モジュールの薄型化が可能である。また、照明モジュール1は、アルミニウム線5を介して面状発光素子2に給電されるので、フレキシブル配線板などの給電接合部材を備える必要がないことから、製造コストの低減を図ることができる。また、アルミニウム線5が紫外線硬化樹脂6で被覆されるので、常温・低コストで絶縁性、堅牢性、耐湿性を向上させることができる。これにより、力学的負荷、水分、その他のガスによる腐食からアルミニウム線5を保護することができる。
【0025】
図5は、本実施形態の変形例に係る照明モジュール1を示す。照明モジュール1は、配線基板3が4つの矩形状の部材3a、3b、3c、3dから構成されており、その他の構成は上記の実施形態と同様である。照明モジュール1は、配線基板3の材料基板から孔部8の形状に沿って材料基板の一部を切り抜いて孔部8を形成するのではなく、4つの矩形状の部材3a〜3dを組み合わせて、配線基板3の孔部8を形成するので、無駄となる切り抜いた材料基板が生じないことから、製造コストを削減することができる。
【0026】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、配線基板の孔部に1個の面状発光素子が収容される構成のものを示したが、配線基板の孔部に複数個の面状発光素子が収容される構成のものであっても構わない。
【符号の説明】
【0027】
1 照明モジュール
2 面状発光素子
3 配線基板
4 光学シート
5 アルミニウム線
6 紫外線硬化樹脂
7 素子電極
8 孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状発光素子と、前記面状発光素子に給電するための配線パターンが形成された配線基板と、前記面状発光素子の発光面上に設けられた光学シートと、を備えた照明モジュールであって、
前記配線基板は、前記面状発光素子を収容する孔部を有し、
前記光学シートは、前記配線基板の孔部に収容された面状発光素子と前記配線基板とが発光面側で面一となった状態で、前記面状発光素子、及び前記面状発光素子と配線基板との隙間を覆っていることを特徴とする照明モジュール。
【請求項2】
前記面状発光素子の素子電極と配線基板の配線パターンは、アルミニウム線で電気的に接続され、
前記アルミニウム線は、紫外線硬化樹脂で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の照明モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−65910(P2011−65910A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216557(P2009−216557)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】