説明

照明付き撮影装置

【課題】照明装置の照射光が窓ガラス等の透明板材の一面に反射して撮影装置本体の対物レンズに入ることを防止する照明付き撮影装置を提供する。
【解決手段】照射光12を、透明板材14の一方側から透明板材14を透過させて透明板材14の他方側に位置する撮影対象物に照射する照明装置16と、透明板材14の一方側に配置されて撮影対象物を撮影する撮影装置本体18と、照明装置16と撮影装置本体18との間に、一縁が透明板材14の対向面に密着されて配設される遮光部材22とを備えている。遮光部材22は、撮影装置本体18の対物レンズ19を覆い、かつ伸縮自在な筒状体からなるものでもよい。また、遮光部材22の先端部の一縁20に、透明板材14に密着させる止着手段24を設けてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ガラス等の透明板材を通して透明板材の外側の撮影対象物を撮影するのに好適な照明付き撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、赤外線カメラと組み合わせて使う赤外線照明装置で、複数の赤外線LED(発光ダイオード;Light Emitting Diode)を光源とするものは知られている(特許文献1参照)。
防犯カメラ、夜間観察カメラ、交通監視カメラ、駐車場監視カメラ等の撮影装置と、赤外線照明装置とを組み合わせて車内や室内に設置し、窓ガラス越しに外の撮影対象物を撮影することも従来から行われている。
例えば、赤外線照明装置を車の窓ガラスに取り付けて撮影をする際、照明装置の光は窓ガラスを透過する際、その明るさが約1/6になる。これは車のガラスには赤外線吸収(熱線遮断)ガラスが用いられることによる。
【特許文献1】特開平11−195317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、従来の照明付き撮影装置には、次のような解決すべき課題があった。
自動車の窓ガラスの内側に照明とカメラを置いて、車外の対象物を撮影しようとすると、照明の光が窓ガラスに反射してカメラに飛び込む。これでは、カメラは正常な撮影が出来ない。
【0004】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、照明装置の照射光が窓ガラス等の透明板材に反射して撮影装置本体の対物レンズに入ることを防止する照明付き撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の各実施例においては、それぞれ次のような構成により上記の課題を解決する。
〈構成1〉
照射光を、透明板材の一方側から上記透明板材を透過させて上記透明板材の他方側に位置する撮影対象物に照射する照明装置と、上記透明板材の一方側に配置されて上記撮影対象物を撮影する撮影装置本体と、上記照明装置と上記撮影装置本体との間に、一縁が上記透明板材の対向面に密着されて配設される遮光部材とを備えたことを特徴とする照明付き撮影装置。
【0006】
透明板材は、ガラスあるいはアクリル樹脂のような透明プラスチック等からなる板状体であり、窓枠等に嵌め込まれている。照明装置は、例えば多数の赤外線LEDを配列してなる赤外線照明装置あるいは可視光を照射する照明装置を含むものとする。撮影装置本体は、赤外線照明あるいは可視光を受けた撮影対象物の画像を取り込めるカメラである。遮光部材は、撮影装置本体に対する照明装置からの照射光を遮光するものであればよく、平板状あるいは筒状をなし、あるいは蛇腹状の伸縮自在でもよく、先端部の一縁が透明板材の一面に密着するようにされるものである。照明装置と撮影装置本体とを、例えば乗用車等の車両内あるいは建物等の室内に設置し、車両あるいは室の窓ガラスを経て外部の撮影対象物を撮影するために照明装置を作動したとき、その照明装置の発する光が窓ガラスに反射して撮影装置本体の対物レンズに飛び込むのを、遮光部材により防止する。
【0007】
〈構成2〉
照射光を、透明板材の一方側から上記透明板材を透過させて上記透明板材の他方側に位置する撮影対象物に照射する照明装置と、上記透明板材の一方側に配置されて上記撮影対象物を撮影する撮影装置本体と、上記撮影装置本体の対物レンズを覆い、かつ伸縮自在な筒状体からなる遮光部材と、上記遮光部材の先端部の一縁を上記透明板材に密着させる止着手段とを備えたことを特徴とする照明付き撮影装置。
【0008】
遮光部材は、例えば、蛇腹状筒体であり、前後に伸縮自在である。従って撮影装置本体の対物レンズの向きに対して傾斜した状態の透明板材にも、先端部の一縁を自在に密着できる。撮影装置本体の対物レンズを透明板材に向けた状態で、先端部の一縁を透明板材に密着させた遮光部材が照明装置からの照射光の一部が透明板材で反射して撮影装置本体の対物レンズに飛び込むのを防止できる。しかも、遮光部材は透明板材の該当部分の結露を防止する効果もある。止着手段は、例えば、透明板材に吸着するリング状の吸盤であり、この吸盤によって、遮光部材及び撮影装置本体が窓ガラスに固定された状態を保持する。
【0009】
〈構成3〉
構成1記載の照明付き撮影装置において、上記遮光部材は、上記照明装置全体を包囲していることを特徴とする照明付き撮影装置。
【0010】
構成3の遮光部材は、照明装置全体を包囲していることによって照明装置が発する光が撮影装置本体の対物レンズに飛び込むのを防止する。
【0011】
〈構成4〉
構成1記載の照明付き撮影装置において、上記遮光部材は、上記撮影装置本体全体を包囲していることを特徴とする照明付き撮影装置。
【0012】
構成4の遮光部材は、撮影装置本体全体を包囲していることによって、照明装置の発する光が撮影装置本体の対物レンズに飛び込むのを防止する。
【0013】
〈構成5〉
構成1又は構成3に記載の照明付き撮影装置において、上記遮光部材に、上記照明装置を支持する支持手段を設けたことを特徴とする照明付き撮影装置。
【0014】
照明装置を支持する支持手段は、例えば、照明装置の下方に設けられて照明装置を支持する脚部を備えるものである。
【0015】
〈構成6〉
構成1又は構成4に記載の照明付き撮影装置において、上記遮光部材に、上記撮影装置本体を支持する支持手段を設けたことを特徴とする照明付き撮影装置。
【0016】
撮影装置本体を支持する支持手段は、例えば、撮影装置本体を支承する中間支持部材や遮光部材の下方に設けられた脚部を備えるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を実施例ごとに詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、実施例1の照明付き撮影装置を乗用車等の車両の内側に配置した状態を示す説明図である。
実施例1の照明付き撮影装置は次のように構成されている。すなわち、図1において、照射光12を発射する照明装置16と、照明装置16と並列に配置される撮影装置本体18と、照明装置16と撮影装置本体18との間に配設される遮光部材22とを備えている。
【0019】
照明装置16と撮影装置本体18とは、透明板材14に対向して配置されている。遮光部材22は、その一縁20が透明板材14の一方側の面に密着される。照明装置16から発射された照射光12は、透明板材14の一方側から透明板材14を透過させて透明板材14の他方側に位置する撮影対象物(図示せず)に照射する。撮影装置本体18は、その撮影対象物を撮影する。
【0020】
ここで、透明板材14は乗用車の窓ガラスである。照明装置16は多数の赤外線LEDを配列してなる赤外線照明装置である。撮影装置本体18は赤外線照明を受けた撮影対象物の画像を取り込めるカメラである。遮光部材22は、撮影装置本体18に対する照明装置16からの反射光13を遮光するもので、蛇腹状の伸縮自在な板体である。遮光部材22は、照明装置の発する光が窓ガラス14に反射した反射光13となって撮影装置本体18の対物レンズ19に飛び込むのを防止する。
【実施例2】
【0021】
図2は、実施例2の照明付き撮影装置を乗用車等の車両の内側に配置した状態を示す説明図である。
実施例2の、実施例1と相違するところは、遮光部材22の構成である。図1と同一部分に同一符号を付して重複説明を省略する。すなわち、図2において、遮光部材22は、撮影装置本体18の対物レンズ19を覆い、かつ伸縮自在な蛇腹状筒体から形成されている。図示を省略したが、撮影装置本体18の側方には図1に示した照明装置16と同様の照明装置が窓ガラス14に向かって配置されている。
【0022】
遮光部材22は、対物レンズ19を窓ガラス14に向けた状態の撮影装置本体18に取付けられ、先端部の一縁が窓ガラス14に密着されている。遮光部材22の先端部の一縁には、窓ガラスに密着させる止着手段24が設けられている。この止着手段24は、例えば、窓ガラス14に吸着するリング状の吸盤である。
【0023】
遮光部材22が伸縮自在であることによって、撮影装置本体18の対物レンズ19の向きに対して傾斜した状態の窓ガラス14にも、先端部の一縁を自在に密着できる。また、遮光部材22の先端部の一縁に設けられた吸盤等の止着手段24によって、窓ガラス14に固定された遮光部材22を保持できる。また、遮光部材22は窓ガラス14の該当部分の結露を防止する効果がある。
【実施例3】
【0024】
図3は、実施例3の照明付き撮影装置を示す説明図である。
実施例3の、他の実施例と相違するところは、遮光部材22の構成である。図1及び図2と同一部分に同一符号を付して重複説明を省略する。図3において、遮光部材22は、照明装置16全体を包囲する円筒体をなしている。遮光部材22先端部の一縁に、窓ガラス14に密着させる止着手段24、すなわち、リング状の吸盤が設けられている。この止着手段24によって、窓ガラス14に固定された遮光部材22を保持できる。
【0025】
遮光部材22の下部には、照明装置16を支持固定する脚部26を有している。図示を省略したが、照明装置16の側方には図1に示した撮影装置本体18と同様の撮影装置本体が窓ガラス14に向かって配置されている。図示を省略したが、撮影装置本体18の側方には図1に示した照明装置16と同様の照明装置が窓ガラス14に向かって配置されている。
この実施例の照明付き撮影装置は、窓ガラス14が照明装置16の光照射方向に対してほぼ直交している場合に適する。
【実施例4】
【0026】
図4は、実施例4の照明付き撮影装置を示す説明図である。
実施例4の、他の実施例と相違するところは、遮光部材22の構成である。図1及び図2と同一部分に同一符号を付して重複説明を省略する。図4において、遮光部材22は、撮影装置本体18の全体を包囲する円筒体23と、撮影装置本体18を支持する支持手段25とを備えている。円筒体23の一端に、窓ガラス14に密着させる止着手段24、すなわち、リング状の吸盤が設けられている。
【0027】
支持手段25は、撮影装置本体18を支承する中間支持部材28と、円筒体23の下方に設けられた脚部26とを有するものである。中間支持部材28は撮影装置本体18を円筒体23の中に同軸状に位置させて固定するものである。この実施例の照明付き撮影装置も、窓ガラス14が撮影装置本体18の対物レンズ19の向きに対してほぼ直交している場合に適する。
【0028】
なお、本発明は、車内に限らず、建物の室内から外部の被写体を撮影する場合にも適用でき、また照明装置は可視光を照射する照明装置を含むものとする。また撮影装置本体は、可視光を受けた撮影対象物の画像を取り込めるカメラを含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1の照明付き撮影装置を示す説明図である。
【図2】実施例2の照明付き撮影装置を示す説明図である。
【図3】実施例3の照明付き撮影装置を示す説明図である。
【図4】実施例4の照明付き撮影装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0030】
12 照射光
13 反射光
14 透明板材
16 照明装置
18 撮影装置本体
19 対物レンズ
20 一縁
22 遮光部材
24 止着手段
26 脚部
28 中間支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射光を、透明板材の一方側から前記透明板材を透過させて前記透明板材の他方側に位置する撮影対象物に照射する照明装置と、
前記透明板材の一方側に配置されて前記撮影対象物を撮影する撮影装置本体と、
前記照明装置と前記撮影装置本体との間に、一縁が前記透明板材の対向面に密着されて配設される遮光部材とを備えたことを特徴とする照明付き撮影装置。
【請求項2】
照射光を、透明板材の一方側から前記透明板材を透過させて前記透明板材の他方側に位置する撮影対象物に照射する照明装置と、
前記透明板材の一方側に配置されて前記撮影対象物を撮影する撮影装置本体と、
前記撮影装置本体の対物レンズを覆い、かつ伸縮自在な筒状体からなる遮光部材と、
前記遮光部材の先端部の一縁を前記透明板材に密着させる止着手段とを備えたことを特徴とする照明付き撮影装置。
【請求項3】
請求項1記載の照明付き撮影装置において、
前記遮光部材は、前記照明装置全体を包囲していることを特徴とする照明付き撮影装置。
【請求項4】
請求項1記載の照明付き撮影装置において、
前記遮光部材は、前記撮影装置本体全体を包囲していることを特徴とする照明付き撮影装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項3に記載の照明付き撮影装置において、
前記遮光部材に、前記照明装置を支持する支持手段を設けたことを特徴とする照明付き撮影装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項4に記載の照明付き撮影装置において、
前記遮光部材に、前記撮影装置本体を支持する支持手段を設けたことを特徴とする照明付き撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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