説明

照明付き舌圧子ホルダー

【課題】照明付き舌圧子ホルダーにおいて、金属製、木製等の汎用の舌圧子に適用でき、スイッチのオン・オフ操作が自動的に行われるようにすることである。
【解決手段】ホルダー本体1の内部に設けた装着部の上部に照明器具2のスイッチを臨ませ、舌圧子5の装着よってスイッチをオンとなし、舌圧子5の離脱によって該スイッチをオフとなすようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、咽喉等口腔内器官の診断の際に用いられる舌圧子のホルダーに関し、特に照明付きのホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療における咽喉等口腔内器官の診断に際し、医師等の施術者は片手で舌圧子を把持しこれによって舌を押さえる一方、他方の手で懐中電灯等の照明器具を把持しこれを操作する必要があり、両手が塞がることになるため、そのままの状態で口腔内に何らかの処置を施す必要がある場合には不便を来たすことがある。
【0003】
また、舌圧子は金属製又は木製の薄板のへら状のものであり、施術者はその一端の両側縁を親指と中指で把持し、人差し指で上面に力を加えることによって患者の舌を押し下げるように操作する。このため、集団検診等で多数の患者を次々診断する場合には、舌圧子を保持している指先が次第に痛くなる不具合がある。
【0004】
このような問題を解消するために、従来から照明付きの舌圧子ホルダーが提案されている(特許文献1)。この舌圧子ホルダーは、舌圧子が光伝導性の素材により形成され、ホルダー内部に照明器具が内蔵されたものであり、ホルダーの前端部に装着された前記舌圧子によって照明器具の光を舌圧子先端まで導き、前端から出た光が前方を照射するようになっている。また、光導電性の舌圧子をホルダーに対し着脱自在に装着したものも知られている(特許文献2)。
【特許文献1】実公昭62−28963号公報
【特許文献2】実開昭50−31787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の照明付きホルダーは、照明器具と舌圧子が一体化されているので、舌圧子を操作する一方の手は塞がっても他方の手は空き、その空いた手で所要の処置を行うことができる便利さがある。また、ホルダーを保持して舌圧子を操作することができ、直接舌圧子を把持することがないので、集団検診等においても指先が痛くなるような不具合は避けられる。
【0006】
しかし、舌圧子の素材が光伝導性の特殊なものであるので、汎用されている金属製や木製の舌圧子には適用することができない。
【0007】
前記の各特許文献に開示されたものは、ホルダー内部の照明器具のスイッチに関する記載がなく不明であるが、舌圧子の着脱に連動するような構造にはなっていないので、ホルダーの一部に設けられたスイッチを逐一オン・オフ操作するものと考えられる。また、前記着脱式のもの(特許文献2のもの)においても同様に、舌圧子の着脱と無関係にスイッチのオン・オフ操作を逐一行わなければならない不便さがある。
【0008】
そこで、この発明は、照明付き舌圧子ホルダーにおいて、汎用されている金属製、木製の舌圧子を使用することができ、またスイッチのオン・オフ操作に煩わされることがなく、しかも、不使用時は自動的にオフになるようにした照明付き舌圧子ホルダーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解消するために、この発明は、ホルダー本体1とこれに収納された照明器具2からなり、前記ホルダー本体1の前端に舌圧子5を着脱自在に取り付け、前記照明器具2により舌圧子5の前方を照明するようにした照明付き舌圧子ホルダーにおいて、前記ホルダー本体1の内部に設けた装着部14の上部に前記照明器具2のスイッチ13を臨ませ、前記舌圧子5の装着よって該舌圧子5を該スイッチ13に接触させてオンとなし、前記舌圧子5の離脱によって該スイッチ13をオフとなすようにしたものである。
【0010】
上記構成の舌圧子ホルダーは、舌圧子5を装着した際に自動的にスイッチ13がオンになって照明器具2が点灯されるので、施術者は片手でホルダーを把持し、同時に口腔内部を照明しつつ舌圧子5を操作することができる。このとき他方の手は空いているので所要の処置を行うことができる。処置が終わって舌圧子5をホルダーから外すと、照明器具2は自動的にオフとなる。
【発明の効果】
【0011】
この発明の照明付き舌圧子ホルダーは以上のように、舌圧子と照明器具が一体化されるので、片方の手で舌圧子の操作を行いつつ口腔内部を照明することができ、他方の空いた手で所要の処置ができる便利さがある。また、金属や木製の汎用の舌圧子にも適用できる便利さがある。さらに、舌圧子の着脱にスイッチのオン・オフが連動するので、スイッチを逐一操作しなくても照明器具のオン・オフが自動的に行われる便利さもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態に係る照明付き舌圧子ホルダーについて図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1に示したように、実施形態の照明付き舌圧子ホルダーは、ホルダー本体1と、その内部に収納された照明器具2からなる。ホルダー本体1は、ベース部3と、そのベース部3上に取り付けられた把持部4からなり、把持部4に照明器具2が収納される。舌圧子5は、板製へら形の使い捨てタイプのものを示しているが、汎用されている金属製のものでもよい。
【0014】
ベース部3は、合成樹脂製の扁平な部材であり、図3に示したように、舌圧子5の着脱方向(前後方向)に長い長方形をなしている。その上面中央部に前後両端に開放された装着溝6が設けられる。ベース部3の両側縁には嵌合縁7、7が設けられ、その嵌合縁7、7が前記把持部4の両側面に密着され、ベース部3と把持部4の一体化が図られる(図1、図2参照)。また、前記装着溝6の両側面には舌圧子5の厚さに相当するすき間をおいて該装着溝6上にせり出した嵌合部8、8が設けられる。また、その装着溝6の最奥部にも同様の嵌合部9が設けられる。
【0015】
把持部4は、合成ゴム等の比較的柔軟な素材によって形成され、片手の指先で把持できる程度の大きさと形状に形成される。その下面に沿って照明器具2の挿入穴11が設けられる。この挿入穴11は把持部2の前面に開放されているが、後端部は閉塞されている。また挿入穴11の下面において前端に開放されたスイッチガイド溝12が設けられる。
【0016】
照明器具2は乾電池内蔵式であり、発光ダイオードを発光素子とした小型の懐中電灯タイプのものである。照明器具2には、そのケース外面にスイッチ13が突き出して設けられ、これを押し込むことによりオンとなり、押し込む力を除くと復元しオフとなる。前記照明器具2を挿入穴11に挿入する際に、そのスイッチ13を前記のスイッチガイド溝12に合致させて押し込む。照明器具2の先端部が若干把持部4の前面から前方に突き出た状態(図1参照)で照明器具2の後端部が挿入穴11の後端に当る。
【0017】
照明器具2を前記のように挿入穴11に押し込んだ状態で、スイッチ13は、前記装着溝6とその上面に対向した把持部4の下面によって形成された装着部14(図2参照)の上面に部分的に突き出した状態で臨む。
【0018】
実施形態の舌圧子ホルダーは以上のようなものであり、これを使用する際は、前方に開放された装着部14に舌圧子5の後端部を差し込む。舌圧子5の後半部は、図4に示したように、前記左右両側の嵌合部8,8と最奥部の嵌合部9の各すき間に嵌合され、安定よく保持される。また、これと同時に、舌圧子5の上面がスイッチ13に接触し、これをオンにする。
【0019】
そこで、ホルダー本体1の把持部4を片方の手で把持するとともに、前方に突き出した舌圧子5を患者の口腔内に挿入し、舌を押圧する等の操作を行う。舌圧子5は前記の嵌合部8、8、9において、上下方向、左右方向へのガタツキが防止される。また、照明器具2は舌圧子5の前方を照射するので、咽喉等の診断がし易くなる。このとき、他方の手が空いているので、舌圧子5による操作を行いつつ空いた手によって必要な処置を施すことができる。診断、処置等の施術が終って、使い捨て、消毒等のために舌圧子5を引き抜くと、舌圧子5は嵌合部8、8,9から軽く外れ、これと同時にスイッチ13からも離れるので、照明器具2は自動的に消灯される。
【0020】
なお、図5に示したように、挿入穴11をその中心線が前上がりの傾斜を持たして形成することにより、照明器具2の中心線を舌圧子5に対して若干の傾斜角θを付ける場合もある。
【0021】
次に、前記のベース部3と把持部4との結合構造の変形例を図6(a)(b)に示す。図6(a)は、ベース部3の左右の嵌合縁7、7に内向きの係合爪15を設け、把持部4の側面に設けた係合溝16に係合させるようにしたものである。
【0022】
また、図6(b)は、嵌合縁7をアリ形に形成し、これを把持部4の下面に設けたアリ溝7aに嵌合させるようにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態の使用状態における斜視図
【図2】同上の正面図
【図3】同上の分解斜視図
【図4】同上の使用状態における一部斜視図
【図5】変形例の側面
【図6】(a)(b)変形例の一部省略正面図
【符号の説明】
【0024】
1 ホルダー本体
2 照明器具
3 ベース部
4 把持部
5 舌圧子
6 装着溝
7 嵌合縁
7a アリ溝
8 嵌合部
9 嵌合部
9b 後端側基準バー
11 挿入穴
12 スイッチガイド溝
13 スイッチ
14 装着部
15 係合爪
16 係合溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダー本体(1)とこれに収納された照明器具(2)からなり、前記ホルダー本体(1)の前端に舌圧子(5)を着脱自在に取り付け、前記照明器具(2)により舌圧子(5)の前方を照明するようにした照明付き舌圧子ホルダーにおいて、前記ホルダー本体(1)の内部に設けた装着部(14)の上部に前記照明器具(2)のスイッチ(13)を臨ませ、前記舌圧子(5)の装着よって該舌圧子(5)を前記スイッチ(13)に接触させてオンとなし、前記舌圧子(5)の離脱によって該スイッチ(13)をオフとなすようにしたことを特徴とする照明付き舌圧子ホルダー。
【請求項2】
前記ホルダー本体(1)は、ベース部(3)と、そのベース部(3)上に取り付けられ把持部(4)とからなり、前記ベース部(3)に前記舌圧子(5)の装着溝(6)が前記把持部(4)下面に対向して前記舌圧子(5)の長さ方向に設けられ、前記把持部部(4)の下面と前記装着溝(6)によってホルダー本体(1)の前方に開放された前記の装着部(14)が形成され、前記把持部(4)にその前面に開放された前記照明器具(2)の挿入穴(11)が前後方向に設けられ、その挿入穴(11)の下面に前記照明器具(2)のスイッチガイド溝(12)が設けられ、そのスイッチガイド溝(12)から該照明器具(2)のスイッチ(13)が前記装着部(14)に向けて突き出されたことを特徴とする請求項1に記載の照明付き舌圧子ホルダー。
【請求項3】
前記装着溝(6)の両側部と最奥部に前記舌圧子(5)の両側部と後端部を嵌合保持する嵌合部(8)(9)が設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の照明付き舌圧子ホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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