説明

照明制御用操作盤

【課題】 壁に設置する際の施工性を向上できる照明制御用操作盤を提供する。
【解決手段】 調光操作盤は、取付け金具2、一対のホルダ15、操作ユニット21、及び一対の係止体41を具備する。取付け金具2は、通孔7及びその長手方向両端側にホルダ設置部材(ホルダ取付け部)5を有する。ホルダ15は、弾性変形が可能な一対のアーム部17及びこれらの先端部をなす挟持端部18を有する。挟持端部18を通孔7に臨ませてホルダ設置部材5にホルダ15を取付ける。操作ユニット21は、通孔7に挿入される挿入部23を有したケース22、及びこのケース22に取付けられた操作入力部を31有する。挿入部23に設けられた係止体41は、一対の挟持端部18間に挿入されてこれら挟持端部18に反挿入側から引っ掛かる係止頭部を有する。係止頭部と挟持端部18との引っ掛かりによりホルダ15と係止体41を接続して、操作ユニット21を取付け金具2に保持したことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明負荷が設けられた例えば宴会場や会議室等の壁に設置されて調光等の照明制御を行うために操作される照明制御用操作盤に関する。
【背景技術】
【0002】
会議室等に設けられた照明負荷の調光をするために、操作スイッチを操作して調光レベルの設定を行う調光操作器が、従来技術として知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−110912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された調光操作器は、通常、調光対象である照明負荷が設けられた会議室等の壁に設置されるので、照明制御用操作盤と称することができる。
【0005】
この特許文献1には、調光操作器を会議室等の壁に設置するための技術は記載されていないが、その壁への設置は、壁に設置される一般的な照明制御用端末機器、例えば壁スイッチ、調光スイッチ、調光ボリューム、調光フェーダ等の壁に対する設置と同様である、と考えられる。
【0006】
照明制御用端末機器は、スイッチやボリューム等の操作入力部が設けられた機器ユニットと、壁内に配置されて機器ユニットで覆われる壁取付け金具を備え、機器ユニットは、その正面側から裏面側に通って壁付け金具にねじ込まれた複数本のねじで壁付け金具に取付けられている。
【0007】
照明制御用操作盤の大きさが大きくなるほどねじ止め箇所は増加する。そして、これらのねじ止めは、マイナスドライバー等の工具を用いて行われるので、従来の調光制御器(照明制御用操作盤)は、それを壁に設置するための工数が多く、施工性がよくない、という課題がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、壁に配置する施工性を向上させた照明制御用操作盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、通孔及びこの通孔の長手方向両端側にホルダ取付け部を有した取付け金具と;弾性変形が可能な一対のアーム部及びこれらアーム部の先端部をなす挟持端部を有し、これらの挟持端部を前記通孔に臨ませて前記ホルダ取付け部に取付けられた一対のホルダと;前記通孔に挿入される挿入部を有したケース、及びこのケースに取付けられた操作入力部を有した操作ユニットと;前記挿入部に設けられ、かつ、前記一対の挟持端部間に挿入されてこれら挟持端部に反挿入側から引っ掛かる係止頭部を有するとともに、この係止頭部と前記挟持端部との引っ掛かりにより前記ホルダに接続されて前記操作ユニットを前記取付け金具に保持した一対の係止体と;を具備することを特徴としている。
【0010】
この発明で、取付け金具は、その通孔の長手方向が縦方向又は横方向に延びるように配置することが可能であるとともに、通孔は取付け金具が有する枠部によって形成される。この発明で、ホルダが有する一対の挟持端部は、アーム部と一体に成形できるとともに、アーム部とは別に成形したものをアーム部に固定若しくは回転可能に取付けることもできる。更に、この発明で、取付け金具に対する操作ユニットの取付け状態が寸法誤差等を原因として上下方向にがたつかないようにするために、ホルダはその挟持端部を上下方向に並べて設けることが好ましい。
【0011】
この発明で、操作ユニットのケースは成形体例えば合成樹脂製とすることが好ましい。これとともに、操作ユニットの操作入力部としては、照明負荷をオン・オフさせるスイッチの他、調光用のスイッチ、ボリューム、フェーダ等を挙げることができる。
【0012】
この発明で、係止体は、挿入部とは別に成形されて挿入部に固定されたものであっても良いが、既述のようにケースが合成樹脂製の成形体である場合、その挿入部に係止体を一体に成形することも可能である。この発明で、係止体の係止頭部は、ホルダの一対の挟持端部間に挿入された時に、これら挟持端部で挟持されるとともに抜け難くなるように挟持端部に対して反挿入側から引っ掛かるものであり、その引っ掛かる頭部位は、略球状であってもよいが、鏃形状であることが挿入性に優れる点で好ましい。
【0013】
請求項1の発明の照明制御用制御盤を、照明負荷が取付けられた部屋の壁に設置するには、まず、壁に取付け金具を固定した上で、この取付け金具の前方から操作ユニットを被せるようにしつつ、操作ユニットの挿入部を取付け金具の通孔に挿入させればよい。
【0014】
それにより、挿入部とともに一対の係止体が通孔に通されるに伴い、これら係止体の係止頭部が、対応するホルダが有した一対の挟持端部間に挿入される。この場合、ホルダのアーム部は弾性変形して挟持端部間への係止凸部の挿入を許容する。
【0015】
したがって、操作ユニットが取付け金具の正面を適正に覆った状態になると同時に、係止頭部の頭部位が、一対の挟持端部を通り抜けるとともに、これら挟持端部の反挿入側から引っ掛かる。それにより、係止体とホルダとが接続された状態となって、操作ユニットが取付け金具に取付け保持される。
【0016】
このように操作ユニットの挿入部を取付け金具の通孔に単に挿入するという簡単なワンタッチ操作で、操作ユニットを取付け金具に保持させることができるので、照明制御用操作盤の壁に対する設置の施工性を向上できる。しかも、操作ユニットの長手方向両端部を取付け金具に保持したので、係止体及びホルダの使用数が最小であるにも拘らず、操作ユニットを安定した状態に取付け金具に保持させることができる。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記操作入力部の外周に嵌合する開口を有して前記取付け金具に取付けられて前記操作入力部の周りに配置された化粧枠を備え、この化粧枠の正面より前記操作入力部が奥行き方向に後退していることを特徴としている。
【0018】
この請求項2の発明では、化粧枠を備えたことで、壁に設置された状態での見栄えを向上できる。それだけではなく、化粧枠と操作入力部との位置関係により、操作入力部の周縁に何らかの物が引っ掛からないようになるので、ホルダから係止体を引き外す方向の外力が操作ユニットに不用意に与えられることを防止できる利点がある。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記挿入部は、前記一対の係止体間でかつ前記挿入部の長手方向一端側部位と他端側部位に、互いの間に電線格納凹部を形成する略同一高さの凸部を有しており、これら凸部の内の一方に端子台が内蔵されていて、この一方の凸部に前記端子台に対向しかつ前記電線格納凹部に臨む電線通孔が設けられていることを特徴としている。
【0020】
この発明で、一対の凸部が略同一高さであるとは、これらの凸部を脚として操作ユニットを置いた場合に、操作入力部が設けられた操作ユニットの正面が略水平状態に保持される高さを指しており、したがって、同一高さであることが含まれることはいうまでもないが、凸部の寸法精度のばらつきによりそれらの高さが正確に一致していない態様も含んでいる。
【0021】
この請求項3の発明では、既述の手順で、壁に照明制御用操作盤を設置する際、壁内の電線が一方の凸部の端子台にその電線通孔を通して差し込み接続され、この状態でワンタッチの挿入操作によりホルダと係止体とが接続される。
【0022】
この場合、壁内の電線の余剰配線が電線格納凹部に収められるので、取付け金具への挿入部の挿入に伴い、電線の余剰配線が勝手な方向に大きく押し動かされるように変形することが抑制される。その結果、電線の余剰配線が取付け金具と操作ユニットとの間に挟まれることを抑制できる利点がある。更に、一対の凸部を脚として操作ユニットを略水平に置くことができるので、この状態で操作ユニットの検査を容易できる利点がある。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明によれば、操作ユニットの係止体をホルダの弾性によってワンタッチ操作で接続することで、操作ユニットを保持することができるので、壁に設置する際の施工性を向上できる照明制御用操作盤を提供できる、という効果がある。
【0024】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明において、更に、取付け金具に保持された操作ユニットが不用意に外れないように操作ユニットを保持できる、という効果がある。
【0025】
請求項3の発明によれば、請求項1又は2の発明において、更に、端子台に接続される電線が取付け金具と操作ユニットとの間に挟まれることを抑制できるとともに、操作ユニットを略水平に置いた状態でこの操作ユニットを検査できる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態に係る調光操作盤を示す正面図である。
【図2】図1中F2−F2線に沿う断面図である。
【図3】図2中F3−F3線に沿う断面図である。
【図4】図3の断面を分解して示す図である。
【図5】図1の調光操作盤が備える取付け金具と操作ユニットの関係を示す分解斜視図である。
【図6】図1の調光操作盤が備える取付け金具を示す正面図である。
【図7】図1の調光操作盤が備える操作ユニットを示す斜視図である。
【図8】図1の調光操作盤が備える操作ユニットを示す裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図1〜図8を参照して本発明の一実施の形態について、詳細に説明する。
【0028】
図1〜図3中符号1は一実施形態に係る照明制御用操作盤として例えば調光操作盤を示している。この調光操作盤1は、例えば宴会場等の演出空間の照明に対する様々な照明シーンを制御するために、宴会場等の壁に埋め込むように設置して用いられる。前記壁面には、図示しない金属製設置ボックスが埋設されており、壁内に配線されている電源線及び信号線等の図示しない各種の電線の端末側部位が設置ボックスの内側に引込まれている。
【0029】
調光操作盤1は、取付け金具2と、一対のホルダ15と、操作ユニット21と、一対の係止体41と、化粧枠51を具備している。
【0030】
図5及び図6に示すように取付け金具2は、金具本体3に樹脂製の枠部11を複数のねじ6で固定して形成されている。図2〜図4に示すように金具本体3は、金属製の主板部4と、一対のホルダ取付け部例えばホルダ設置部材5とからなる。
【0031】
金具本体3は横方向に長い四角形状の通孔7を有して横長状の矩形枠状に形成されている。この通孔7は主板部4に開口されている。したがって、主板部4は通孔7を囲む枠部をなしている。主板部4の四隅の夫々に切り欠き4eが設けられている。
【0032】
更に、主板部4は、取付け金具2の裏側方向に突出された一対の孔縁部4aを有している。これら孔縁部4aは、横方向(通孔7の長手方向と同方向)に延びていて、互いに平行であるとともに、その長手方向両端部に部材連結部4bを有している。縦方向(通孔7の短手方向と同方向)に対向した部材連結部4bは、図3及び図4に示すように互いに近づく方向に折り曲げられている。金具本体3の長手方向に延びる部位、つまり、上部と下部の夫々には、複数の長孔4cと丸い逃げ孔4dが前記長手方向に沿って交互に開口されている。
【0033】
ホルダ設置部材5は、例えば金属製であり、図3及び図5に示すように一対の折り曲げ部5aを有している。これら折り曲げ部5aを縦方向に対向した部材連結部4bの夫々にねじ等の固定具8を用いて固定することによって、一対のホルダ設置部材5が主板部4に連結され、かつ、金具本体3が組み立てられている。これらホルダ設置部材5は通孔7の長手方向両端部に配置されている。一対のホルダ設置部材5には図示しないがねじ孔が開けられている。
【0034】
枠部11は金具本体3より一回り大きい長四角な枠状に形成されている。枠部11は、その長手方向に延びる上部と下部を、金具本体3の上部と下部にねじ止めすることによって、金具本体3に固定されている。枠部11の長手方向の端部11a、つまり、左右両端部は、図2及び図6に示すように金具本体3の長手方向の端部から外れている。この枠部11の内側(開口)に、通孔7、長孔4c、逃げ孔4d、及び切り欠き4eが夫々露出されている。
【0035】
更に、枠部11の開口を区画した内周の四隅部には、切り欠き4eに対向する逃げ溝11bが夫々形成されている。枠部11の長手方向に沿う部位の夫々には前方に突出する突出部12が複数設けられている。枠部11の端部11aの夫々には係合孔13が複数開けられている。なお、取付け金具2が樹脂製の枠部11を有した構成では、この枠部11によって長孔7を形成することもできる。
【0036】
一対のホルダ15は、図3及び図4等に示すようにホルダベース16と、一対のアーム部17と、一対の挟持端部18を有している。これらの部材はいずれも合成樹脂製である。一対のアーム部17は、ホルダベース16に一体に形成されていて、例えば略V字状に配設されている。挟持端部18は、アーム部17に形成された軸部17aに回転可能に嵌合されていて、アーム部17の先端部をなして、互いに隣接されている。一対のアーム部17は、弾性変形が可能であり、自由状態では挟持端部18同士を近接ないしは接触する状態に保持している。
【0037】
これらホルダ15は、ホルダベース16に設けられた一対の取付け孔16aを通って前記図示しないねじ孔にねじ込まれたねじ19により、ホルダ設置部材5に取付けられている。ホルダ設置部材5に取付けられたホルダ15は通孔7に臨んでいる。ホルダ設置部材5に取付けられたホルダ15が有した一対の挟持端部18は上下に並べられている。
【0038】
取付け孔16aは好ましくは前後方向に延びる長孔で形成されている。それにより、ホルダ設置部材5に対するホルダ15の取付け位置を前後方向に調整可能である。この調整により、ホルダ15や後述の係止体41の寸法精度、及び係止体41の取付け位置のばらつき等を吸収して、ホルダ15と係止体41が適正に接続されるように、ホルダ設置部材5にホルダ15を取付けることができる。なお、図3及び図4中符号20はワッシャを示している。
【0039】
操作ユニット21は、ケース22と、操作入力部31と、図示しない入力情報処理部を備えている。
【0040】
詳しくは、ケース22は、合成樹脂製であり、前端が開放された挿入部23、及びこの挿入部23の前端開口から外側に折れ曲がった前縁部24を有している。挿入部23は、通孔7に丁度嵌合される大きさに形成されているとともに、一対の係止体取付け部23aと一対の凸部23b,23cを有している。
【0041】
係止体取付け部23aは挿入部23の長手方向両端部に夫々設けられている。凸部23b,23cはいずれも後方に向けて突出されている。これら凸部23b,23cの高さは略同一であり、しかも、凸部23b,23cの先端は、より安定した載置状態を得るために平坦面をなしている。
【0042】
一方の凸部23bは一方の係止体取付け部23aに寄せて設けられ、かつ、他方の凸部23cは他方の係止体取付け部23aに寄せて設けられている。したがって、凸部23b,23cは後述の係止体41間でかつ挿入部23の長手方向一端側部位と他端側部位の夫々に設けられている。これら凸部23b,23cは挿入部23の長手方向に離れていて、互いの間に電線格納凹部Sが形成されている。更に、一方の凸部23bは、他方の凸部23cより幅が広く形成されているとともに、電線格納凹部Sに臨んだ斜状部を有している。この斜状部に電線通孔25が設けられている。
【0043】
図2〜図4に示すように操作入力部31は、図示しない回路部品等が実装されたプリント基板32と、このプリント基板32に設けられた各種の操作スイッチ等を備えている。操作入力部31の大きさは枠部11の開口より小さい。この操作入力部31はケース22の前面開口を塞いでこのケース22の前面に取付けられている。なお、図3及び図4中符号33は、ケース22に操作入力部31を固定するねじを示している。
【0044】
図2に示すようにプリント基板32の中間部は、挿入部23の内側に前向きに突出して設けられた複数のリブ26により後側(裏側)から支持されている。又、挿入部23が有した一方の凸部23b内に基板支持ボス27が前向きに突設されている。この基板支持ボス27に補助プリント基板28がねじ止めされている。こうして挿入部23に内蔵された補助プリント基板28とプリント基板32とは電気的に接続されている。
【0045】
補助プリント基板28に端子台29が取付けられている。この端子台29は複数の電線差込口(図示しない)が開口された斜状の差込面29aを有しており、この差込面29aは前記電線通孔25に対向している。
【0046】
前記各種の操作スイッチとして例えば複数のレベルスイッチ34と、設定スイッチ35と、複数のシーン再生スイッチ36が図1に示すように設けられている。
【0047】
レベルスイッチ34は、静電容量式タッチセンサからなり、照明負荷の調光レベルを照明シーンとして設定するために設けられている。これらのレベルスイッチ34は、プリント基板32に直線状に配設された多数のスイッチ素子を有しており、例えば上下方向に延びるレベルスイッチ34のタッチ領域をなぞるようにこの領域に沿ってオペレータの指が移動される(タッチ操作される)ことに従い、その指の移動軌跡に応じた微弱な静電容量を操作情報として取得できる。又、タッチ領域の各位置に調光レベルの100%が割り振られており、タッチ領域の上端位置での調光レベルは100%、タッチ領域の下端位置での調光レベルは0%である。
【0048】
設定スイッチ35は、レベルスイッチ34により設定された照明負荷の調光レベルが記憶される設定モードへの切換えを行うために設けられている。シーン再生スイッチ36は、設定スイッチ35の所定操作により記憶される照明負荷の調光レベルにより調光制御された場合の照明シーンを再生させるために設けられている。
【0049】
図示しない前記入力情報処理部は、例えばプリント基板32に実装されたIC等からなり、前記各種スイッチの操作により入力された操作情報を演算処理するために設けられている。この演算の結果は、プリント基板32又は調光操作盤1とは別に設けられた図示しない調光制御器が有するCPU等からなる制御手段(図示しない)に送出される。この制御手段により、レベルスイッチ34と設定スイッチ35の所定操作によって決定された照明シーンと照明負荷の調光レベルが記憶されるとともに、シーン再生スイッチ35が操作された場合に、記憶された照明シーンの内で、操作されたシーン再生スイッチ35に対応する照明シーンと照明負荷の調光レベルとが対応付けて再生されるようになっている。
【0050】
係止体41は挿入部23の長手方向両端部裏面、つまり、係止体取付け部23aに夫々ねじ止めされている。これらの係止体41は、合成樹脂製又は金属製であり、係止頭部41aを有している。係止頭部41aは、鏃状の頭部位を有していて、後向きに突出されている。これら係止頭部41aはホルダ15に着脱可能に接続されるようになっている。
【0051】
化粧枠51は、合成樹脂により、操作入力部31の外周に嵌合する開口51b(図1及び図4参照)を有して、枠部11と略同じ大きさに形成されている。この化粧枠51の裏面には図2で代表する係合爪52が複数突設されている。化粧枠51を操作入力部31の周りに配置して、各係合爪52を枠部11の係合孔13に引っ掛けることにより、化粧枠51が取付け金具2に取付けられている。各係合爪52は係合孔13に係脱可能である。
【0052】
取付け金具2に取付けられた状態で、化粧枠51の正面51a(図2及び図3参照)は操作入力部31より前側に位置されている。言い換えれば、操作入力部31を化粧枠51の正面51aより奥行き方向(後側)に後退させた状態に、化粧枠51が取付け金具2に取付けられている。なお、前記奥行き方向の後退寸法を図2及び図3中符号gで示している。
【0053】
次に、調光操作盤1を壁に設置する手順を説明する。
【0054】
まず、一対のホルダ15が取付けられた取付け金具2を、壁内に既に埋設されている設置ボックスに固定する。この固定は、取付け金具2の各長孔4cにその前方から図示しないねじを通して、これらのねじを設置ボックスにねじ込むことで行う。
【0055】
次に、一対の係止体41が取付けられた操作ユニット21の端子台29に、壁内に既に配線されている電線を接続する。この接続は、壁内において電線の端末側部位を設置ボックスの内部に引込んだ後に、この電線の端末部を電線通孔25に通して端子台29に差し込むことにより行う。
【0056】
この接続後に、電線の端末側部位の余剰配線が操作ユニット21の挿入部23の電線格納凹部Sに格納されるようにして、取付け金具2の前方からその通孔7に挿入部23を挿入する。この挿入に伴い、一対の係止体41の係止頭部41aが、これら係止体41に対向しているホルダ15が有した一対の挟持端部18の間に、これら挟持端部18を押し開くように挿入される。この挿入は挟持端部18を支持したアーム部17の弾性変形を伴って行われる。
【0057】
そのため、挿入部23が所定通り挿入された時点で、係止頭部41aの頭部位が一対の挟持端部18が通り抜けると同時に、アーム部17がその弾性力で互いに近づくように復元される。それに伴い、一対の挟持端部18が係止頭部41aを挟持する。同時に、係止頭部41aの頭部位に反挿入側から係止頭部41aが引っ掛かるので、係止頭部41aがこれを挟んだ一対の挟持端部18に対して抜け止めされる。これとともに、アーム部17の弾性力で操作ユニット21全体が後方、つまり、調光操作盤1の奥行き方向に引っ張られた状態が維持される。こうして係止体41とホルダ15との接続が完了することで、図3に示すように操作ユニット21が取付け金具2に保持される。
【0058】
この取付けにおいて、既述のように壁内の電線の余剰配線が電線格納凹部Sに収められているので、取付け金具2への挿入部23の挿入に伴い、電線の余剰配線が勝手な方向に大きく押し動かされるように変形することが抑制される。その結果、電線の余剰配線が取付け金具2と操作ユニット21との間に挟まれることを抑制できる。これにより、電線の余剰配線が取付け金具2と操作ユニット21との間に挟まれることに伴う不具合、例えば、取付け金具2に対する挿入部23の適正な挿入が妨げられること、電線の余剰配線が係止体41やホルダ15に干渉すること、電線が不用意に引っ張られて端子台29に負荷が掛かること等の不具合を抑制できる。
【0059】
そして、以上のように係止体41とホルダ15との接続が完了すると同時に、ケース22の周部が、取付け金具2の周部の内で通孔7寄りの部位を覆う。この際、操作ユニット21のねじ33の頭部が取付け金具2の逃げ孔4dに夫々納められるとともに、長孔4cに通された図示しないねじの頭部が操作ユニット21の逃げ溝4f(図5及び図8参照)に収められるので、ケース22の周部裏面は取付け金具2の正面に当接される。
【0060】
この状態で、操作ユニット21の四隅が、取付け金具2の切り欠き4eの一部のみに対向している。そのため、逃げ溝11b及びこれに端通している切り欠き4eを通して、操作ユニット21の隅部の裏側を引掛けるための工具などを、操作ユニット21の前側から通すことができる状態にある。したがって、操作ユニット21を取付け金具2から外す必要がある場合には、化粧枠51が取付け金具2に取付けられていない状態で、操作ユニット21の前側から前記工具などを用いて操作ユニット21を前側に引いて外すことが可能である。
【0061】
最後に、化粧枠51を、操作ユニット21にその前側から嵌合させるとともに、取付け金具2に向けて押付ける。それにより、化粧枠51の各係合爪52が取付け金具2の対応する係合孔13に引っ掛けられて、この化粧枠51が入力操作部31の周りに配置された状態で取付け金具2に取付けられる。なお、この場合、取付け金具2の各突出部12が化粧枠51の裏面に接触して、この化粧枠51を裏側から支持する。
【0062】
以上の手順により、壁への調光操作盤1の取付け作業が完了する。この取付け作業では、既述のように操作ユニット21の挿入部23を取付け金具2の通孔7に単に挿入するという簡単なワンタッチ操作で、操作ユニット21が取付け金具2に保持されるので、壁に調光操作盤1を設置する施工性を向上できる。
【0063】
しかも、操作ユニット21の長手方向両端部を取付け金具2に保持したので、係止体41及びホルダ15の使用数が最小であるにも拘らず、操作ユニット21を安定した状態に取付け金具2に保持させることができる。
【0064】
その上、ホルダ15はそれが有した一対の挟持端部18を上下に並べて配設されているので、操作ユニット21の重さを、下側の挟持端部18で支持することができる。したがって、一対の挟持端部18を横並びに配置した場合のように、一対の挟持端部18の間から係止頭部41aが下方へ抜ける方向に動く恐れがない。これにより、操作ユニット21をがたつかないように安定した状態に取付け金具2に保持させることができる。
【0065】
更に、以上の手順で壁に設置された調光操作盤1は、操作入力部31を囲む化粧枠51を備えているので、壁に設置された状態での見栄えを向上できる。
【0066】
それだけではなく、図2及び図3に示すように操作入力部31が、化粧枠51の正面51aより奥行き方向にずれて配設されているので、操作入力部31の周縁に何らかの物が引っ掛かることを化粧枠51で防止できる。そのため、既述のようにワンタッチ押込み操作で接続されるホルダ15と係止体41を備えているに拘らず、ホルダ15から係止体41を引き外す方向の外力が操作ユニット21に不用意に与えられることを防止できる。
【0067】
又、操作ユニット21は、既述のように互いに離れているとともに略同一高さの凸部23b、23cを有しているので、これら凸部23b、23cを脚として操作ユニット21を図7に示すように略水平に置くことができる。したがって、操作ユニット21を支える手間を要することなく、操作入力部31が略水平となった状態で、この操作ユニット21の電気的特性等の検査を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0068】
1…調光操作盤(照明制御用操作盤)、2…取付け金具、5…ホルダ設置部材(ホルダ取付け部)、7…通孔、11…枠部、15…ホルダ、17…アーム部、18…挟持端部、21…操作ユニット、22…ケース、23…挿入部、23a…係止体取付け部、23b,23c…凸部、25…電線通孔、29…端子台、31…操作入力部、41…係止体、41a…係止頭部、51…化粧枠、51a…化粧枠の正面、51b…化粧枠の開口、S…電線格納凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通孔及びこの通孔の長手方向両端側にホルダ取付け部を有した取付け金具と;
弾性変形が可能な一対のアーム部及びこれらアーム部の先端部をなす挟持端部を有し、これら一対の挟持端部を前記通孔に臨ませて前記ホルダ取付け部に取付けられた一対のホルダと;
前記通孔に挿入される挿入部を有したケース、及びこのケースに取付けられた操作入力部を有した操作ユニットと;
前記挿入部に設けられ、かつ、前記一対の挟持端部間に挿入されてこれら挟持端部に反挿入側から引っ掛かる係止頭部を有するとともに、この係止頭部と前記挟持端部との引っ掛かりにより前記ホルダに接続されて前記操作ユニットを前記取付け金具に保持した一対の係止体と;
を具備することを特徴とする照明制御用操作盤。
【請求項2】
前記操作入力部の外周に嵌合する開口を有して前記取付け金具に取付けられて前記操作入力部の周りに配置された化粧枠を備え、この化粧枠の正面より前記操作入力部が奥行き方向に後退していることを特徴とする請求項1に記載の照明制御用操作盤。
【請求項3】
前記挿入部は、前記一対の係止体間でかつ前記挿入部の長手方向一端側部位と他端側部位に、互いの間に電線格納凹部を形成する略同一高さの凸部を有しており、これら凸部の内の一方に端子台が内蔵されていて、この一方の凸部に前記端子台に対向しかつ前記電線格納凹部に臨む電線通孔が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明制御用操作盤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−14314(P2011−14314A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156222(P2009−156222)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】