説明

照明器具

【課題】 光源ブロックが揺れている間の光源ブロックの昇降動作が防止される照明器具を提供する。
【解決手段】 天井面に固定される取付ブロック1と、光源を保持し取付ブロック1から吊り線2を介して吊り下げ支持された光源ブロック3とを備える。また、吊り線2を巻き取り又は繰り出しすることにより光源ブロック3を昇降させる昇降装置と、光源ブロック3が揺れたときに揺れの両端部でそれぞれ揺れ検出信号を出力する揺れ検出部と、揺れ検出部によって揺れが検出されたときに光源ブロック3の揺れの周期の最大値の2分の1よりも長い所定の禁止時間にわたって昇降動作を禁止する制御部とを備える。光源ブロック3が揺れ続ける限り、禁止時間が経過する前に必ず揺れ検出信号が出力されるから、光源ブロック3が揺れている間の光源ブロック3の昇降動作が確実に防止されることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源を保持する光源ブロックを昇降可能な照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、天井面に固定される取付ブロックと、光源を保持し吊り線を介して取付ブロックに吊り下げ支持された光源ブロックとを備え、光源ブロックを昇降可能な照明器具が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の照明器具を用いれば、住人の身長やインテリアに合わせて光源ブロックの高さを自由に変更することができる。
【特許文献1】特開2002−109948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の照明器具において、光源ブロックが揺れている間に光源ブロックの昇降が行われると、光源ブロックが揺れていない場合に比べ、光源ブロックが他のものに当たって光源ブロックが当たったものや光源ブロック自身に傷がついてしまう可能性が高くなる。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、光源ブロックが揺れている間の光源ブロックの昇降動作が防止される照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、天井面に取り付けられる取付ブロックと、光源を保持し吊り線を介して取付ブロックに吊り下げ支持された光源ブロックと、取付ブロックと光源ブロックとの一方に保持されて吊り線を巻き取り又は繰り出しすることにより光源ブロックを取付ブロックに対して昇降させる昇降手段と、取付ブロックと光源ブロックとの一方に保持されて取付ブロックに対する光源ブロックの揺れであって所定の程度以上大きな揺れについて少なくとも揺れの両端でそれぞれ光源ブロックの揺れを検出する揺れ検出手段と、揺れ検出手段によって光源ブロックの揺れが検出されたときから所定の禁止時間にわたって昇降手段の動作を禁止する制御手段とを備え、禁止時間は、昇降手段によって最大限に吊り線が繰り出されたときの光源ブロックの揺れの周期の二分の一よりも長いことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、光源ブロックが揺れ続ける限り、禁止時間が経過する前に必ず再度揺れが検出されるから、光源ブロックが揺れている間の光源ブロックの昇降動作が確実に防止されることになる。
【0008】
請求項2の発明は、天井面に取り付けられる取付ブロックと、光源を保持し吊り線を介して取付ブロックに吊り下げ支持された光源ブロックと、取付ブロックと光源ブロックとの一方に保持されて吊り線を巻き取り又は繰り出しすることにより光源ブロックを取付ブロックに対して昇降させる昇降手段と、取付ブロックと光源ブロックとの一方に保持されて取付ブロックに対する光源ブロックの揺れであって所定の程度以上大きな揺れについて少なくとも揺れの両端でそれぞれ光源ブロックの揺れを検出する揺れ検出手段と、揺れ検出手段によって光源ブロックの揺れが検出されたときから禁止時間にわたって昇降手段の動作を禁止する制御手段と、昇降手段によって繰り出されている吊り線の長さを検出する吊り線長検出手段とを備え、制御手段は、禁止時間を、吊り線長検出手段によって検出されている吊り線の長さが長いほど長く、且つ、吊り線長検出手段によって検出されている吊り線の長さでの光源ブロックの揺れの周期の二分の一よりも長くすることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、光源ブロックが揺れ続ける限り、禁止時間が経過する前に必ず再度揺れが検出されるから、光源ブロックが揺れている間の光源ブロックの昇降動作が確実に防止されることになる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、禁止時間は1.5秒よりも長く且つ5秒よりも短いことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、吊り線は3本であって、鉛直方向から見た光源ブロックの外形は半径が40√3mm以上の円形状であって、水平な断面における吊り線の間隔は、上記円形状に内接する正三角形の一辺の長さ以下であって且つ120mm以上であることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの発明において、吊り線は3本であって、揺れ検出手段は、各吊り線の揺れに基づいて光源ブロックの揺れを検出することを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、吊り線は4本以上であって、揺れ検出手段は、吊り線うち3本以上の揺れに基づいて光源ブロックの揺れを検出することを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項5の発明において、鉛直方向から見た光源ブロックの外形は円形状であって、揺れ検出手段は、各吊り線に対して1個ずつ設けられてそれぞれ対応する吊り線が所定の検出方向に所定の程度以上揺れたときに揺れを検出する吊り線揺れ検出装置を備え、各2個の吊り線揺れ検出装置の検出方向は、鉛直方向から見て各吊り線揺れ検出装置が対応する吊り線と光源ブロックの中心とを結ぶ直線同士がなす角ずつ異なることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項5の発明において、水平な断面における吊り線の配置は正三角形の頂点の配置であり、揺れ検出手段は、各吊り線に対して1個ずつ設けられてそれぞれ対応する吊り線が所定の検出方向に所定の程度以上揺れたときに揺れを検出する吊り線揺れ検出装置を備え、各2個の吊り線揺れ検出装置の検出方向は120°ずつ異なることを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項6の発明において、鉛直方向から見た光源ブロックの外形は円形状であって、揺れ検出手段は、各吊り線に対して1個ずつ設けられてそれぞれ対応する吊り線が所定の検出方向に所定の程度以上揺れたときに揺れを検出する吊り線揺れ検出装置を備え、各2個の吊り線揺れ検出装置の検出方向は、鉛直方向から見て各吊り線揺れ検出装置が対応する吊り線と光源ブロックの中心とを結ぶ直線同士がなす角ずつ異なることを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項6の発明において、吊り線は4本であって、水平な断面における吊り線の配置は正方形の頂点の配置であり、揺れ検出手段は、各吊り線に対して1個ずつ設けられてそれぞれ対応する吊り線が所定の検出方向に所定の程度以上揺れたときに揺れを検出する吊り線揺れ検出装置を備え、4個の吊り線揺れ検出装置の検出方向は90°ずつ異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、揺れ検出部によって揺れが検出されてから昇降装置による光源ブロックの昇降を禁止する時間である禁止時間を、昇降手段によって最大限に吊り線が繰り出されたときの光源ブロックの揺れの周期の二分の一よりも長くし、又は、吊り線長検出手段によって検出されている吊り線の長さでの光源ブロックの揺れの周期の二分の一よりも長くするので、光源ブロックが揺れ続ける限り、禁止時間が経過する前に必ず再度揺れが検出されるから、光源ブロックが揺れている間の光源ブロックの昇降動作が確実に防止されることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
本実施形態は、図1に示すように、天井面(図示せず)に固定される取付ブロック1と、光源(図示せず)を保持し3本の吊り線2を介して取付ブロック1から吊り下げ支持された光源ブロック3とを備える。光源は例えば環状蛍光灯であって、取付ブロック1及び光源ブロック3はそれぞれ鉛直方向から見た外形が互いに同心の円形状となっている。取付ブロック1を天井面に固定する手段としては、例えば周知の引掛シーリングを用いることができる。
【0021】
取付ブロック1には、図2に示すように、光源ブロック3を昇降させる昇降装置4と、リモコン装置(図示せず)から送信された制御信号を受信する受信部5と、受信部5に受信された制御信号に応じて昇降装置4を制御する制御部6とが設けられている。また、本実施形態の電源として用いられる交流電源ACが接続される入力端にはヒューズFUが直列に接続されるとともにアクロスザラインコンデンサCxが並列に接続されている。さらに、交流電源ACから入力された交流電力を整流するダイオードブリッジDBと、ダイオードブリッジDBの直流出力を電源として12Vの直流電源を生成する電源回路PWと、電源回路PWの出力を電源として5Vの直流電源を生成する3端子レギュレータRGとを備える。受信部5及び制御部6はそれぞれ電源として5Vの直流電源を用いる。
【0022】
詳しく説明すると、昇降装置4はACモータMを有し、ACモータMを所定の正方向に回転(正転)させることによって吊り線2を巻き取って光源ブロック3を引き上げる上昇動作と、ACモータMを正方向とは逆方向に回転(逆転)させることによって吊り線2を繰り出して光源ブロック3を降下させる下降動作とを行うことができる。昇降装置4は、交流電源ACの一方の出力端に接続されるCOM端子TCと、互いに並列に接続されたリレーRU,RDの一方ずつを介してそれぞれ交流電源ACの他方の出力端に接続された正転端子TU及び逆転端子TDとを有し、正転端子TU側のリレーRUがオンされて正転端子TUが交流電源ACに接続されるとACモータMが正転して上昇動作が行われ、逆転端子TD側のリレーRDがオンされて逆転端子TDが交流電源ACに接続されるとACモータMが逆転して下降動作が行われるようになっている。各リレーRU,RDの電源としてはそれぞれ12Vの直流電源が用いられている。また、各リレーRU,RDと昇降装置4の端子TU,TDとの接続部間にはコンデンサC1が接続されている。さらに、各リレーRU,RDの駆動用のコイルにはそれぞれ例えばNPNトランジスタからなり制御部6によってオンオフ制御されるスイッチング素子QU,QDが直列に接続されている。すなわち、制御部6は、スイッチング素子QU,QDの一方をオンオフ制御して対応するリレーRU,RDをオンオフさせることにより、昇降装置4を制御する。
【0023】
さらに、本実施形態は、光源ブロック3の揺れの両端部でそれぞれ揺れ検出信号を出力する揺れ検出部7と、ブザーBZとを備える。制御部6は、揺れ検出部7によって揺れ検出信号が出力されてから所定の期間にわたって、昇降装置4の上昇動作及び下降動作を禁止するとともに、ブザーBZを鳴動させて揺れを報知する。ブザーBZの電源としては12Vの直流電源が用いられ、制御部6はブザーBZに直列に接続された例えばNPNトランジスタからなるスイッチング素子QBをオンオフ制御することによってブザーBZをオンオフ制御する。
【0024】
揺れ検出部7について詳しく説明する。揺れ検出部7は、それぞれ1本ずつの吊り線2の揺れを検出する3個の吊り線揺れ検出装置7aを有する。各吊り線揺れ検出装置7aは、図3に示すように、取付ブロック1に固定されるフレーム71を備える。以下、上下方向は図3を基準とし、図3の左上―右下方向を左右方向と呼び、図3の右上―左下方向を前後方向と呼ぶ。フレーム71は、例えば金属板に打ち抜き加工と曲げ加工とを施すことにより形成されており、断面が上向きコ字形状の本体部71aと、本体部71aの両端からそれぞれ外向きに突設された固定部71bとを有する。固定部71bにはねじ挿通穴70aが上下に貫設されており、ねじ挿通穴70aに挿通されるとともに取付ブロック1に螺合するねじ(図示せず)によってフレーム71は取付ブロック1に固定される。本体部71aの左右の壁にはそれぞれ軸挿通穴70bが左右に貫設されており、本体部71aの左右の壁に挟まれた空間には、軸挿通穴70bに軸72aを挿通された滑車72(図4(a)(b)参照)が配置されている。滑車72は、吊り線2において水平方向に延長されて昇降手段4に連結された部位と鉛直方向に延長されて光源ブロック3に連結された部位との間で、吊り線2の向きを変更するために設けられている。
【0025】
また、フレーム71は、本体部71aの左側の壁の前端から右方へ突設され本体部71aの右面よりも右側へ突出する保持部71cを有し、保持部71cの前側にはスイッチ73が保持部71cに対して例えばねじ止めにより固定されている。スイッチ73は、左側に露出したハンドル73aを有し、ハンドル73aが左側から右向きに押し込まれている期間には接点が切り替わり、ハンドル73aへの押力が解除されるとハンドル73a及び接点がそれぞれ復帰するように構成されている。このようなスイッチ73は周知技術で実現可能であるので、詳細な説明は省略する。揺れ検出部7は、吊り線揺れ検出装置7aにおいてスイッチ73の接点が切り替わっている期間に、揺れ検出信号を生成して制御部6に入力する信号生成回路(図示せず)を有する。つまり、吊り線揺れ検出装置7aにおいてスイッチ73の接点が切り替わったときに光源ブロック3の揺れが検出されたことになる。ここで、信号生成回路は、各吊り線揺れ検出装置7aにそれぞれ設けてもよいし、1個の信号生成回路が各吊り線揺れ検出部7aのスイッチ73をそれぞれトリガとして動作するようにしてもよい。
【0026】
また、保持部71cの下端部には、左右に長いガイド穴70cが設けられている。さらに、吊り線揺れ検出装置7aは、ガイド穴70cに挿入される被ガイド爪74aと、滑車72の下側において吊り線2が上下に挿通される筒形状の吊り線挿通部74bとを有して一部がスイッチ73のハンドル73aの左側に位置する揺動部74を備える。揺動部74は、被ガイド爪74aがガイド穴70cに挿入されることによってフレーム71に支持され、被ガイド爪74aがガイド穴70cにガイドされることにより、スイッチ73のハンドル73aから離れる位置と、スイッチ73のハンドル73aを押し込んでスイッチ73の接点を切り替える位置との間で、フレーム71に対して左右にスライド可能となっている。
【0027】
吊り線揺れ検出装置7aの動作を説明する。光源ブロック3が揺れていないとき、図4(a)に示すように、揺動部74の吊り線挿通部74bに挿通された吊り線2は鉛直下向きとなる。このとき、揺動部74はスイッチ73のハンドル73aから離れており、揺れ検出信号は出力されない。光源ブロック3が取付ブロック1に対して図4(a)(b)における左方向に揺れると、吊り線2が下方へ向かって図4(a)(b)における左側へ傾き、これに伴って揺動部74は吊り線挿通部74bにおいて吊り線2から力を受けることによりフレーム71に対して図4(a)(b)における左方向へスライドする。そして、光源ブロック3の揺れがある程度大きいと、図4(b)に示すように揺動部74によってスイッチ73のハンドル73aが押し込まれて接点が切り替わり、ここにおいて揺れ検出部7から制御部6に揺れ検出信号が入力される。つまり、図4(a)(b)における左方向が請求項における検出方向である。また、揺れ検出部7によって検出される揺れは、揺動部74によってスイッチ73のハンドル73aが操作される程度に大きい揺れであり、これは例えば図1において中央の吊り線2が破線BLを越える程度の揺れである。
【0028】
図5に示すように、吊り線2及び3個の吊り線揺れ検出装置7aは、それぞれ鉛直方向から見て正三角形の頂点の位置関係で配置されており、これらの正三角形の重心(外接円の中心)の位置は、光源ブロック3の中心の位置に一致している。これにより、吊り線揺れ検出装置7a間の距離を不均一とする場合に比べて取付ブロック1の重量のバランスが良くなる。駆動装置4は、吊り線揺れ検出装置7aに囲まれた中央に配置されて各吊り線2の一端がそれぞれ連結された巻取り部(図示せず)を有し、ACモータMは巻取り部を鉛直方向から見た面内(図5の面内)で回動させることにより、全ての吊り線2の巻き取り及び繰り出しを一括して行う。
【0029】
また、各吊り線揺れ検出装置7aで検出される揺れの方向は、互いに120°ずつ異ならせてある。これにより、全ての方向の揺れが均等に検出される。図6に示すように、取付ブロック1のハウジング10に設けられて吊り線2が挿通される貫通穴10aは、それぞれ挿通される吊り線2に対応して設けられた吊り線揺れ検出装置7aが検出する揺れの方向に長い長穴形状となっている。ここで、吊り線2の間隔は、120mm以上、且つ、鉛直方向から見た光源ブロック3の外形に内接する正三角形の一辺の長さ(例えば240mm)以下とすることが望ましい。
【0030】
制御部6は、揺れ検出部7から揺れ検出信号が出力されている期間と、揺れ検出部7からの揺れ検出信号の出力が終了した後に所定の禁止時間が経過するまでの期間とには昇降装置4の動作を禁止する。禁止時間の計時は、揺れ検出部7から揺れ検出信号が出力されたときにリセットされる。本実施形態では、禁止時間を、光源ブロック3を最も下げたとき、すなわち、吊り線2が最も長くなり従って揺れの周期が最も長くなるときの光源ブロック3の揺れの周期の二分の一よりも長くしている。
【0031】
ここで、図7に示すように、光源ブロック3の揺れの一端においてある吊り線揺れ検出装置7aにより揺れ検出信号が出力されてから、揺れの他端において別の吊り線揺れ検出装置7aにより揺れ検出信号が出力されるまでの時間は、光源ブロック3の揺れの周期Tの二分の一であるから、禁止時間を上記のように光源ブロック3の揺れの周期Tが最も長くなるときを基準として設定すれば、揺れが継続している限り、禁止時間が経過する前に必ず再度の揺れ検出信号が出力されることになるから、揺れが十分に収まっていないにもかかわらず昇降装置4の動作が再開されるようなことがない。本発明者の実験によれば、光源ブロック3の揺れの周期Tは、少なくとも本実施形態の構成であって吊り線2の長さが1100mmである場合には、重力加速度gの環境における糸の長さLの単純な振り子の揺れの周期を示す式2π(L/g)1/2から得られる値と大差ないことが確認されている。
【0032】
上記構成によれば、光源ブロック3を最も下げたときの光源ブロック3の揺れの周期の二分の一よりも禁止時間を長くしていることにより、光源ブロック3が揺れている間の昇降装置4の動作が防止される。
【0033】
なお、吊り線2の本数は3本に限られず、光源ブロック3の重量や吊り線2の引っ張り強度に応じて吊り線2を4本以上としてもよい。吊り線2を4本とする場合、図8に示すように吊り線2の配置及び吊り線揺れ検出装置7aの配置はそれぞれ正方形の頂点の配置とすることが、重量バランスの上では望ましい。また、この場合、吊り線揺れ検出装置7aが検出する揺れの向きは90°ずつ異ならせれば、全方向の揺れが均等に検出されるから望ましい。さらに、吊り線2を4本以上とする場合、例えば図9に示すように吊り線2のうち3本に対してのみ吊り線揺れ検出装置7aを設けてもよく、必ずしも全ての吊り線2に吊り線揺れ検出装置7aを設けなくてもよい。図9の例では、吊り線揺れ検出装置7aを設けない吊り線2(図9における右上の吊り線)に対しては、スイッチ73を有さない点以外は吊り線揺れ検出装置7aと同様の構成を有する吊り線誘導装置7bを設けている。一般に、各吊り線揺れ検出装置7aの向きは、各2個の吊り線揺れ検出装置7aについて、それぞれ、吊り線揺れ検出装置7aが検出する揺れの向き同士が、鉛直方向から見て対応する吊り線2と光源ブロック3の中心とを結ぶ直線同志がなす角ずつ、該2個の吊り線揺れ検出装置7aの対応する吊り線2同士の位置関係に応じた方向へ異なるように選択すれば、吊り線揺れ検出装置7aの向きが適度に分散し、全方向の揺れを均等に検出することができる。
【0034】
また、吊り線2の長さに応じて禁止時間を可変としてもよい。具体的には、吊り線2の長さが長いほど禁止時間を長くし、吊り線2の長さから算出される光源ブロック3の揺れの周期よりも禁止時間が長い状態を、吊り線2の長さに関わらず維持する。この場合、吊り線2の長さを検出する吊り線長検出手段が必要となるが、この吊り線長検出手段については例えば制御部6が昇降装置4に上昇動作や下降動作を行わせる際にその動作の時間を計時して吊り線2の長さを演算する(つまり、制御部6を吊り線長検出手段とする)ことにより実現することができる。この構成を採用すれば、禁止時間を一定とする場合に比べ、吊り線2の長さに応じて禁止時間を短縮し、光源ブロック3の昇降ができないことによって使用者に与えるストレスを低減することができる。
【0035】
禁止時間は、吊り線2が多少短い場合であっても余裕をもって1.5秒以上とすることが望ましい。また、禁止時間は光源ブロック3の揺れの周期よりも長めでもよいが、光源ブロック3の昇降ができないことによるストレスをなるべく使用者に与えぬように5秒以下とすることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に実施形態の概略構成を示す説明図である。
【図2】同上を示す回路ブロック図である。
【図3】同上の吊り線揺れ検出装置を示す斜視図である。
【図4】同上の吊り線揺れ検出装置の動作を示す正面図であり、(a)は光源ブロックが揺れていない状態を示し、(b)は光源ブロックが揺れている上体を示す。
【図5】同上において鉛直方向から見た吊り線揺れ検出装置の配置を示す説明図である。
【図6】同上における取付ブロックを示す下面図である。
【図7】同上の揺れ検出信号の波形の一例を示す説明図である。
【図8】同上の別の形態において鉛直方向から見た吊り線揺れ検出装置の配置を示す説明図である。
【図9】同上の更に別の形態において鉛直方向から見た吊り線揺れ検出装置の配置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0037】
1 取付ブロック
2 吊り線
3 光源ブロック
4 昇降装置
6 制御部
7 揺れ検出部
7a 吊り線揺れ検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面に取り付けられる取付ブロックと、
光源を保持し吊り線を介して取付ブロックに吊り下げ支持された光源ブロックと、
取付ブロックと光源ブロックとの一方に保持されて吊り線を巻き取り又は繰り出しすることにより光源ブロックを取付ブロックに対して昇降させる昇降手段と、
取付ブロックと光源ブロックとの一方に保持されて取付ブロックに対する光源ブロックの揺れであって所定の程度以上大きな揺れについて少なくとも揺れの両端でそれぞれ光源ブロックの揺れを検出する揺れ検出手段と、
揺れ検出手段によって光源ブロックの揺れが検出されたときから所定の禁止時間にわたって昇降手段の動作を禁止する制御手段とを備え、
禁止時間は、昇降手段によって最大限に吊り線が繰り出されたときの光源ブロックの揺れの周期の二分の一よりも長いことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
天井面に取り付けられる取付ブロックと、
光源を保持し吊り線を介して取付ブロックに吊り下げ支持された光源ブロックと、
取付ブロックと光源ブロックとの一方に保持されて吊り線を巻き取り又は繰り出しすることにより光源ブロックを取付ブロックに対して昇降させる昇降手段と、
取付ブロックと光源ブロックとの一方に保持されて取付ブロックに対する光源ブロックの揺れであって所定の程度以上大きな揺れについて少なくとも揺れの両端でそれぞれ光源ブロックの揺れを検出する揺れ検出手段と、
揺れ検出手段によって光源ブロックの揺れが検出されたときから禁止時間にわたって昇降手段の動作を禁止する制御手段と、
昇降手段によって繰り出されている吊り線の長さを検出する吊り線長検出手段とを備え、
制御手段は、禁止時間を、吊り線長検出手段によって検出されている吊り線の長さが長いほど長く、且つ、吊り線長検出手段によって検出されている吊り線の長さでの光源ブロックの揺れの周期の二分の一よりも長くすることを特徴とする照明器具。
【請求項3】
禁止時間は1.5秒よりも長く且つ5秒よりも短いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
吊り線は3本であって、
鉛直方向から見た光源ブロックの外形は半径が40√3mm以上の円形状であって、
水平な断面における吊り線の間隔は、上記円形状に内接する正三角形の一辺の長さ以下であって且つ120mm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の照明器具。
【請求項5】
吊り線は3本であって、
揺れ検出手段は、各吊り線の揺れに基づいて光源ブロックの揺れを検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の照明器具。
【請求項6】
吊り線は4本以上であって、
揺れ検出手段は、吊り線うち3本以上の揺れに基づいて光源ブロックの揺れを検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の照明器具。
【請求項7】
鉛直方向から見た光源ブロックの外形は円形状であって、
揺れ検出手段は、各吊り線に対して1個ずつ設けられてそれぞれ対応する吊り線が所定の検出方向に所定の程度以上揺れたときに揺れを検出する吊り線揺れ検出装置を備え、各2個の吊り線揺れ検出装置の検出方向は、鉛直方向から見て各吊り線揺れ検出装置が対応する吊り線と光源ブロックの中心とを結ぶ直線同士がなす角ずつ異なることを特徴とする請求項5記載の照明器具。
【請求項8】
水平な断面における吊り線の配置は正三角形の頂点の配置であり、
揺れ検出手段は、各吊り線に対して1個ずつ設けられてそれぞれ対応する吊り線が所定の検出方向に所定の程度以上揺れたときに揺れを検出する吊り線揺れ検出装置を備え、各2個の吊り線揺れ検出装置の検出方向は120°ずつ異なることを特徴とする請求項5記載の照明器具。
【請求項9】
鉛直方向から見た光源ブロックの外形は円形状であって、
揺れ検出手段は、各吊り線に対して1個ずつ設けられてそれぞれ対応する吊り線が所定の検出方向に所定の程度以上揺れたときに揺れを検出する吊り線揺れ検出装置を備え、各2個の吊り線揺れ検出装置の検出方向は、鉛直方向から見て各吊り線揺れ検出装置が対応する吊り線と光源ブロックの中心とを結ぶ直線同士がなす角ずつ異なることを特徴とする請求項6記載の照明器具。
【請求項10】
吊り線は4本であって、水平な断面における吊り線の配置は正方形の頂点の配置であり、
揺れ検出手段は、各吊り線に対して1個ずつ設けられてそれぞれ対応する吊り線が所定の検出方向に所定の程度以上揺れたときに揺れを検出する吊り線揺れ検出装置を備え、4個の吊り線揺れ検出装置の検出方向は90°ずつ異なることを特徴とする請求項6記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−91156(P2008−91156A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269502(P2006−269502)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【出願人】(392000567)朝日松下電工株式会社 (100)
【Fターム(参考)】