説明

照明機能付き光学式位置検出装置および位置検出機能付き表示装置

【課題】位置検出光と照明光とにおいて導光板を共通化した場合でも、位置検出光および照明光の双方の出射光量分布を適正化することのできる照明機能付き光学式位置検出装置、および位置検出機能付き表示装置を提供する。
【解決手段】照明機能付き光学式位置検出装置10において、導光板13は、赤外光からなる位置検出光L2a〜L2dおよび白色光からなる照明光L4を採り込んで検出領域10Rに向けて出射する。導光板13と検出領域10Rとの間には、照明光L4および位置検出光L2a〜L2dが透過する透光領域51、および照明光L4が透過するとともに位置検出光L2a〜L2dの少なくとも一部が遮断される波長選択性遮光領域52が面内方向に分布する強度分布変更層50が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明機能付き光学式位置検出装置、および該照明機能付き光学式位置検出装置を備えた位置検出機能付き表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、券売機、銀行の端末などの電子機器では、近年、液晶パネルの前面にタッチパネルが配置された位置検出機能付き表示装置が用いられ、かかる位置検出機能付き表示装置では、液晶パネルに表示された画像を参照しながら、情報の入力を行なう。このようなタッチパネルは、検出領域内において対象物体の位置を検出するための位置検出装置として構成されている。
【0003】
かかる位置検出装置での検出方式としては、抵抗膜方式、超音波方式、静電容量方式、光学式などが知られている。抵抗膜方式は低コストであるが静電容量方式とともに透過率が低く、超音波方式や静電容量方式は高い応答速度を有するが、耐環境性が低い。これに対して、光学式は耐環境性、透過率、応答速度をそれぞれ高くすることができるという特徴がある(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−295644号公報
【特許文献2】特開2004−303172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載の位置検出装置では、表示画面の近傍に、検出すべき位置座標の分解能に対応する数の光源や光検出器などが必要であるので、コストが高いという問題点がある。
【0006】
そこで、本願発明者は、図9に模式的に示すように、導光板13の側端部に対向するように位置検出用光源12を設け、導光板13から出射された赤外域の位置検出光L2が指などに当たって反射した光を光検出器15で検出する光学式位置検出装置を検討している。かかる光学式位置検出装置では、導光板13から出射される位置検出光L2の強度と位置検出用光源12からの距離との間の関係に基づいて指などの位置を検出することができるので、少ない数の位置検出用光源12や光検出器15で済むという利点がある。
【0007】
かかる位置検出装置を用いて位置検出機能付き表示装置を構成する場合、導光板に対して光の出射側に透過型の液晶パネルを設けることになる。また、側端部から入射した照明光を均一な輝度分布をもって出射するバックライト用の導光板を位置検出用の導光板に重ねて配置することになる。このため、位置検出機能付き表示装置には、2枚の導光板が必要となるため、部品コストが増大するとともに、位置検出機能付き表示装置の厚さが増大するという問題点がある。
【0008】
一方、位置検出用光源12とバックライト用の白色光源の双方を共通の導光板に対して設けることが考えられるが、かかる構成の場合、導光板からの位置検出光の出射光量の強度分布を適正に形成できず、検出精度が低下するという問題点がある。すなわち、位置検出光は赤外光であるのに対して照明光は可視光であるため、照明光の輝度分布が均一となるように導光板を構成すると、位置検出光と照明光との波長の違いに起因する導光板からの出射特性の影響で導光板からの位置検出光の出射光量の強度分布が劣化するのである。
【0009】
かかる問題点は、位置検出機能付き表示装置を構成する場合に限らず、照明機能および位置検出機能の双方を備えた照明機能付き光学式位置検出装置において、位置検出光と照明光とにおいて導光板を共通化した場合に発生する問題点である。
【0010】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、位置検出光と照明光とにおいて導光板を共通化した場合でも、位置検出光および照明光の双方の出射光量分布を適正化することのできる照明機能付き光学式位置検出装置、およびかかる照明機能付き光学式位置検出装置を備えた位置検出機能付き表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出するとともに、前記検出領域が位置する側に向けて可視域の照明光を出射する照明機能付き光学式位置検出装置であって、前記照明光を放出する照明用光源と、赤外域の位置検出光を放出する位置検出用光源と、前記照明用光源から放出された照明光、および前記位置検出用光源から放出された前記位置検出光を内部に採り込む側端部を備え、該側端部から採り込んだ前記位置検出光を前記検出領域に出射するとともに、当該照明光を前記検出領域が位置する側に出射する導光板と、該導光板と前記検出領域との間に設けられ、前記照明光および前記位置検出光が透過する透光領域、および前記照明光が透過するとともに前記位置検出光の少なくとも一部が遮断される波長選択性遮光領域が面内方向に分布し、前記導光板から前記検出領域に向けて出射される前記位置検出光の出射光量の強度分布を変化させる強度分布変更層と、前記対象物体で反射した前記位置検出光を受けるように前記検出領域に向けて配置された受光部を備える光検出器と、前記光検出器での検出結果および前記位置検出光の出射光量の強度分布に基づいて前記対象物体の位置を検出する信号処理部と、を有していることを特徴とする。
【0012】
本発明において、「照明光および位置検出光が透過する透光領域」とは、照明光および位置検出光の双方が実用上問題点とならないレベルで透過すればよく、照明光の透過率と位置検出光の透過率とは同一でない場合も含む意味である。また、「照明光が透過するとともに位置検出光の少なくとも一部が遮断される波長選択性遮光領域」とは、位置検出光の透過率が「透光領域」よりも低く、かつ、位置検出光の透過率が照明光の透過率よりも低くければよい。
【0013】
本発明では、位置検出用光源から放出された赤外域の位置検出光は、導光板の内部に採り込まれた後、位置検出光が導光板の光出射面から出射され、かかる位置検出光が導光板の出射側に配置された対象物体によって反射されると、この反射光が光検出器によって検出される。ここで、検出領域における位置検出光の強度と位置検出用光源からの距離とが所定の相関性を有しておれば、光検出器を介して得られた受光強度から対象物体の位置を検出することができる。それ故、検出領域に沿って多数の光学素子を配置する必要がないので、低コストかつ低消費電力の位置検出装置を構成することができる。かかる位置検出装置に照明機能を付加するにあたって、可視域の照明光および赤外域の位置検出光は各々所定の光量分布で出射される必要がある。ここで、可視域の照明光および赤外域の位置検出光に対して共通の導光板を用いるにあたって、導光板の構成を可視域の照明光に合わせると、導光板の出射特性が波長によって相違するため、赤外域の位置検出光の光量分布が劣化することになる。しかるに本発明では、導光板と検出領域との間には、照明光および位置検出光が透過する透光領域、および照明光が透過するとともに位置検出光の少なくとも一部が遮断される波長選択性遮光領域が面内方向に分布する強度分布変更層が設けられている。このため、検出領域に向けて出射される位置検出光の出射光量の強度分布を強度分布変更層によって変化させ、調整することができるので、位置検出光についても、検出領域への出射光量の強度分布を適正化することができる。それ故、本発明によれば、位置検出光と照明光とにおいて導光板を共通化した場合でも、位置検出光および照明光の双方の出射光量の強度分布を適正化することができる。よって、導光板の枚数を1枚にした場合でも、位置検出精度が高い照明機能付き光学式位置検出装置を実現することができる。
【0014】
本発明において、前記照明用光源は、前記導光板の前記側端部のうちの第1辺部分に設けられ、前記強度分布変更層では、前記側端部において前記第1辺部分に対向する第2辺部分側では前記第1辺部分側に比して前記透光領域の形成密度が低くなっていることが好ましい。照明用光源を導光板の第1辺部分に設けた場合、導光板について、照明用光源から離れた第2辺部分側での出射効率を第1辺部分側での出射効率より高くして均一な輝度分布を実現する。その結果、赤外域の位置検出光においては、第2辺部分側からの出射効率が高くなりすぎることになる。しかるに本発明では、強度分布変更層における透光領域の形成密度が第2辺部側で低く、第1辺部分で高くなっているので、検出領域に向けて出射される位置検出光の出射光量の強度分布を最適化することができる。
【0015】
本発明において、前記導光板に対して前記照明光の出射側とは反対側には、前記第1辺部分側に比して前記第2辺部分側で形成密度が高いドット状反射層が設けられている構成を採用することができる。
【0016】
本発明において、前記波長選択性遮光領域は、前記照明光が透過するとともに前記位置検出光の少なくとも一部が遮断される膜構成の誘電体多層膜、あるいは前記照明光が透過するとともに前記位置検出光の少なくとも一部が遮断される組成の金属酸化膜からなる構成を採用することができる。
【0017】
本発明を適用した照明機能付き光学式位置検出装置は、例えば、位置検出機能付き表示装置に用いられる。この場合、前記導光板に対して前記照明光の出射側には、当該照明光を光変調して前記検出領域と平面視で重なる領域に画像を生成する電気光学パネルを設ける。
【0018】
かかる位置検出機能付き表示装置において、前記電気光学パネルでは、前記検出領域内での前記対象物体の接近によって選択されるスイッチ画像が表示される場合があり、この場合、前記スイッチ画像に平面視で重なる位置に前記透光領域が設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、スイッチ画像が表示される箇所が波長選択性遮光領域の影になってしまうことを確実に回避することができるので、誤入力を防止することができる。
【0019】
本発明に係る位置検出機能付き表示装置は、各種表示装置の他、携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、券売機、銀行の端末などの電子機器に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用した照明機能付き光学式位置検出装置の全体構成を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明を適用した照明機能付き光学式位置検出装置および位置検出機能付き表示装置の分解斜視図である。
【図3】本発明を適用した照明機能付き光学式位置検出装置および位置検出機能付き表示装置の断面構成を示す説明図である。
【図4】本発明を適用した照明機能付き光学式位置検出装置および位置検出機能付き表示装置での信号処理内容を示す説明図である。
【図5】本発明を適用した照明機能付き光学式位置検出装置および位置検出機能付き表示装置において位置検出する際の位置検出用光源の点灯パターンを示す説明図である。
【図6】(a)、(b)は、本発明を適用した照明機能付き光学式位置検出装置および位置検出機能付き表示装置に用いた導光板の説明図、および強度分布変更層の説明図である。
【図7】本発明を適用した位置検出機能付き表示装置におけるスイッチ画像と強度分布変更層の透光領域との位置関係を示す説明図である。
【図8】本発明に係る位置検出機能付き表示装置を用いた電子機器の説明図である。
【図9】位置検出装置の基本構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0022】
(照明機能付き光学式位置検出装置の概略構成)
図1は、本発明を適用した照明機能付き光学式位置検出装置の全体構成を模式的に示す説明図であり、図1(a)、(b)、(c)は、照明機能付き光学式位置検出装置の断面構成を示す説明図、照明機能付き光学式位置検出装置に用いた導光板と光源との位置関係を示す説明図、および導光板内での位置検出光の減衰状態を示す説明図である。
【0023】
図1(a)、(b)に示す照明機能付き光学式位置検出装置10は、検出領域10R内の対象物体Obの位置を光学的に検出するとともに、検出領域10Rが位置する側に向けて可視域(波長が380nm〜780nmの領域)の照明光L4を出射するための装置である。
【0024】
本形態において、照明機能付き光学式位置検出装置10は、白色光などといった可視域の照明光L4を放出する照明用光源41と、赤外域(本形態では、波長が800nm〜1000nmの領域)の位置検出光L2a〜L2dを放出する位置検出用光源12A〜12Dと、照明用光源41および位置検出用光源12A〜12Dに対して共通の導光板13とを有している。導光板13は、照明用光源41から放出された照明光L4、および位置検出用光源12A〜12Dから放出された位置検出光L2a〜L2dを内部に採り込む側端部13mと、側端部13mから入射した照明光L4、および位置検出用光源12A〜12Dを検出領域10Rに出射する光出射面13sとを備えている。
【0025】
このように構成した照明機能付き光学式位置検出装置10において、照明光L4については、均一な輝度分布をもって出射する必要があるとともに、輝度が高いことが求められる。また、位置検出光L2a〜L2dについては、例えば、図1(c)に示すように、検出領域10Rに向けて所定の強度分布をもって出射する必要がある。そこで、本形態では、導光板13については、照明光L4を均一な輝度分布をもって出射するように構成するとともに、導光板13と検出領域10Rとの間には、強度分布変更層50が設けられている。かかる構成の照明機能付き光学式位置検出装置10の詳細な構成については、図2および図3を参照して照明機能付き光学式位置検出装置の構成とともに以下に説明し、導光板13および強度分布変更層50の詳細な構成などについては、図6などを参照して後述する。
【0026】
(位置検出機能付き表示装置100の構成)
図2および図3は、本発明を適用した照明機能付き光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100の説明図であり、図2および図3は各々、位置検出機能付き表示装置100の分解斜視図、および断面構成を示す説明図である。
【0027】
図2および図3に示す位置検出機能付き表示装置100は、照明機能付き光学式位置検出装置10と液晶装置200とを備えており、照明機能付き光学式位置検出装置10は、液晶装置200によって表示された画像に基づいて、指などの対象物体Obを検出領域10Rに接近させた際、対象物体Obの平面的な位置を検出する。
【0028】
かかる照明機能付き光学式位置検出装置10は、位置検出光L2a〜L2dを放出する位置検出用光源12A〜12Dと、位置検出光L2a〜L2dが入射する光入射部13a〜13dを周囲の端面部に備えた導光板13と、光検出器15とを備えており、導光板13は、内部を伝播した位置検出光L2a〜L2dを出射する光出射面13sを一方の表面(図示上面)に備えている。位置検出用光源12A〜12Dは光入射部13a〜13dと対向するように配置され、好ましくは光入射部13a〜13dと密接するように配置されている。
【0029】
以下、互いに直交する方向をX方向、Y方向およびZ方向とし、導光板13からの位置検出光L2a〜L2dの出射方向をZ方向として説明する。
【0030】
導光板13は、ポリカーボネートやアクリル樹脂などの透明な樹脂板で構成されており、光入射部13a〜13dから入射して導光板13の内部を伝播する光は、その伝播方向に進むに従って徐々に偏向されて光出射面13sより出射される。導光板13の背後には反射シートなどで構成される反射板14が配置され、反射板14は、導光板13の背面13tから出射される位置検出光L2a〜L2dを導光板13の内部に戻すように機能する。
【0031】
本形態において、導光板13は、4つの辺部分13i〜13lを備えた略四角形の平面形状を備えており、四角形の4つの角部分13e〜13hが各々、光入射部13a〜13dになっている。ここで、光入射部13a〜13dは、例えば、導光板13の角部分13e〜13hを除去してなる端面(光入射面)により構成されている。
【0032】
位置検出用光源12A〜12Dは、LED(発光ダイオード)などの発光素子で構成され、駆動回路(図示せず)から出力される駆動信号に応じて、赤外光からなる位置検出光L2a〜L2dを放出する。位置検出光L2a〜L2dの種類は、特に限定されないが、後述する信号処理などによって外光と区別して検出可能なものが好ましい。また、位置検出光L2a〜L2dは、指やタッチペンなどの対象物体Obにより効率的に反射される波長域を有することが好ましい。従って、対象物体Obが指などの人体であれば、人体の表面で反射率の高い赤外線(特に可視光領域に近い近赤外線、例えば波長で850nm付近)、あるいは950nm付近であることが望ましい。
【0033】
位置検出用光源12A〜12Dは本質的に複数設けられ、相互に異なる位置から位置検出光を放出するように構成される。4つの位置検出用光源12A〜12Dのうち、2つの位置検出用光源は対になって第1光源対を構成し、他の2つの位置検出用光源は対になって第2光源対を構成している。ここで、位置検出用光源12A〜12D(位置検出光L2a〜L2d)の中心光軸は交差している。このため、位置検出光L2aと位置検出光L2bは、導光板13の内部では、矢印Aで示す方向において互いに逆向きに伝播しながら、その伝播方向と交差する方向(Z方向)に向く光出射面13sから出射されるのに対して、位置検出光L2cと位置検出光L2dは、矢印Aで示す方向に対して交差する方向(矢印Bで示す方向)において互いに逆向きに伝播しながら光出射面13sから出射される。
【0034】
本形態の位置検出機能付き表示装置100において、導光板13の光出射側には、必要に応じて、位置検出光L2a〜L2dの均―化を図るための光学シート16が配置されている。本形態においては、光学シート16として、導光板13の光出射面13sに対向する第1プリズムシート161と、第1プリズムシート161に対して導光板13が位置する側とは反対側で対向する第2プリズムシート162と、第2プリズムシート162に対して導光板13が位置する側とは反対側で対向する光散乱板163とが用いられている。なお、光学シート16の周りには矩形枠状の遮光シート17が配置されている。かかる遮光シート17は、位置検出用光源12A〜12Dから出射された位置検出光L2a〜L2dが漏れるのを防止する。
【0035】
(液晶装置200の構成)
液晶装置200は、光学シート16に対して導光板13が位置する側とは反対側に電気光学パネル20を備えている。本形態において、電気光学パネル20は、透過型の液晶パネルであり、2枚の透光性基板21、22をシール材23で貼り合わせ、基板間に液晶24を充填した構造を有している。本形態において、電気光学パネル20は、アクティブマトリクス型液晶パネルであり、2枚の透光性基板21、22の一方側には透光性の画素電極、データ線、走査線、画素スイッチング素子(図示せず)が形成され、他方側には透光性の共通電極(図示せず)が形成されている。なお、画素電極および共通電極が同一の基板に形成されることもある。かかる電気光学パネル20では、各画素に対して走査線を介して走査信号が出力され、データ線を介して画像信号が出力されると、複数の画素の各々で液晶24の配向が制御される結果、画像表示領域20Rに画像が形成される。
【0036】
電気光学パネル20において、一方の透光性基板21には、他方の透光性基板22の外形より周囲に張り出した基板張出部21tが設けられている。この基板張出部21tの表面上には駆動回路などを構成する電子部品25が実装されている。また、基板張出部21tには、フレキシブル配線基板(FPC)などの配線部材26が接続されている。なお、基板張出部21t上には配線部材26のみが実装されていてもよい。なお、必要に応じて透光性基板21、22の外面側には偏光板(図示せず)が配置される。
【0037】
ここで、対象物体Obの位置を検出するためには、位置検出光L2a〜L2dを対象物体Obによる操作が行われる視認側へ出射させる必要があり、電気光学パネル20は、導光板13および光学シート16よりも視認側(操作側)に配置されている。従って、電気光学パネル20において、画像表示領域20Rは、位置検出光L2a〜L2dを透過可能に構成される。
【0038】
液晶装置200では、電気光学パネル20を照明するための照明装置が必要であり、本形態においては、位置検出用の導光板13を照明光L4に対する導光板13としても用いられている。従って、本形態では、導光板13の側端部に照明用光源41が配置されている。照明用光源41は、例えばLED(発光ダイオード)などの発光素子で構成され、駆動回路(図示せず)から出力される駆動信号に応じて、例えば白色の照明光L4を放出する。本形態において、照明用光源41は、導光板13の側端部13mを構成する4つの辺部分13i、13j、13k、13lのうち、辺部分13kに沿って複数、配列されている。
【0039】
図3に示すように、導光板14は、辺部分13kに隣接する光出射側の表面部分に傾斜面13wが設けられ、導光板13は、辺部分13kに向けて厚みが徐々に増加している。かかる傾斜面13wを有する入光構造によって、光出射面13sが設けられる部分の厚みの増加を抑制しつつ、辺部分13kの高さを照明用光源41の光放出面の高さに対応させてある。かかる照明装置において、照明用光源41から出射された照明光は、導光板13の辺部分13kから導光板13の内部に入射した後、導光板13の内部を反対側の辺部分13lに向けて伝播し、光出射面13sから出射される。
【0040】
(検出領域10Rの構成)
図2および図3に示すように、電気光学パネル20の視認側(操作側)には光検出器15が配置され、かかる光検出器15は、検出領域10Rに受光部15aを向けている。光検出器15はフォトダイオードなどの受光素子からなり、位置検出光L2a〜L2dの強度を検出可能となるように構成される。本形態では、位置検出光L2a〜L2dとして赤外線が用いられているため、光検出器15は、少なくとも赤外線に感度を有するものが用いられる。
【0041】
本形態において、電気光学パネル20の画像表示領域20Rは、電気光学パネル20において表示画像が表示される平面範囲である。本形態において、画像表示領域20Rは四つの辺を備えた矩形状であり、検出領域10Rと合同形状を有し、その位置は検出領域10Rと平面的に完全にー致している。但し、検出領域10Rと画像表示領域20Rとは少なくとも一部が平面的に重なっていればよい。
【0042】
本形態では、光検出器15に加えて、補償用光検出器15xも用いられている。かかる補償用光検出器15xは、光検出器15を介して得られる検出結果に対する温度などの影響を補償するためのものであり、位置検出光L2a〜L2dを検出するものではない。
【0043】
(基本原理)
上記光検出器15での検出に基づいて対象物体Obの位置情報の取得方法について説明する。この位置情報の取得方法は種々のものが考えられるが、例えば、そのー例として、二つの位置検出光の検出光量の比率に基づいてそれらの減衰係数の比率を求め、この減衰係数の比率から両位置検出光の伝播距離を求めることにより、対応する二つの光源を結ぶ方向の位置座標を求める方法が挙げられる。
【0044】
まず、本形態の位置検出機能付き表示装置100においては、位置検出用光源12A〜12Dから放出された位置検出光L2a〜L2dは各々、光入射部13a〜13dから導光板13の内部に入射し、導光板13の内部を伝播しながら徐々に光出射面13sから出射される。その結果、位置検出光L2a〜L2dは、光出射面13sから面状に放出される。
【0045】
例えば、位置検出光L2aは光入射部13aから光入射部13bに向けて導光板13の内部を伝播しながら徐々に光出射面13sから放出されていく。同様に、位置検出光L2c、L2dも導光板13の内部を伝播しながら徐々に光出射面13sから放出されていく。従って、検出領域10Rに指などの対象物体Obが配置されると、対象物体Obにより上記位置検出光L2a〜L2dが反射され、その反射光の一部が上記光検出器15により検出される。
【0046】
ここで、検出領域10Rに出射される位置検出光L2aの光量は、図1(c)に実線で示すように、位置検出用光源12Aからの距離に伴って直線的に減衰し、検出領域10Rに出射される位置検出光L2bの光量は、図1(c)に点線で示すように、位置検出用光源12Bからの距離に伴って直線的に減衰すると考えられる。
【0047】
また、位置検出用光源12Aの制御量(例えば電流量)、変換係数、および放出光量をIa、k、およびEaとし、位置検出用光源12Bの制御量(電流量)、変換係数、および放出光量をIb、k、およびEbとすれば、
Ea=k・Ia
Eb=k・Ib
となる。また、位置検出光L2aの減衰係数、および検出光量をfa、およびGaとし、位置検出光L2bの減衰係数、および検出光量をfb、およびGbとすれば、
Ga=fa・Ea=fa・k・Ia
Gb=fb・Eb=fb・k・Ib
となる。
【0048】
従って、光検出器15において両位置検出光の検出光量の比であるGa/Gbが検出できるとすれば、
Ga/Gb=(fa・Ea)/(fb・Eb)=(fa/fb)・(Ia/Ib)
となるから、放出光量の比Ea/Eb、および制御量の比Ia/Ibに相当する値が分かれば、減衰係数の比fa/fbが分る。この減衰係数の比と両位置検出光の伝播距離の比との間に直線関係があれば、この直線関係を予め設定しておくことで、対象物体Obの位置情報を得ることができる。
【0049】
上記減衰係数の比fa/fbを求める方法としては、例えば、位置検出用光源12Aと位置検出用光源12Bを逆相で点滅(例えば、矩形波状若しくは正弦波状の駆動信号を伝播距離の差に起因する位相差が無視できる周波数で相互に180度の位相差を持つように動作)させた上で、検出光量の波形を解析する。より現実的には、例えば、一方の制御量Iaを固定し(Ia=Im)、検出波形が観測できなくなるように、すなわち、検出光量の比Ga/Gbが1となるように他方の制御量lbを制御し、このときの制御量Ib=Im・(fa/fb)から上記減衰係数の比fa/fbを導出する。
【0050】
また、両制御量の和が常に一定、すなわち、下式
Im=Ia+Ib
を満たすように制御してもよい。この場合には、下式
Ib=Im・fb/(fa十fb)
となるので、
fb/(fa十fb)=α
とすると、下式
fa/fb=(1−α)/α
により、減衰係数の比が求まる。
【0051】
従って、対象物体Obの矢印A方向の位置情報は、位置検出用光源12Aと位置検出用光源12Bを相互に逆相で駆動することで取得することができる。また、対象物体Obの矢印B方向の位置情報は、位置検出用光源12Cと位置検出用光源12Dを相互に逆相で駆動することで取得することができる。それ故、制御系において上記A方向とB方向の検出動作を順次行って対象物体ObのXY平面上の位置座標を取得できる。
【0052】
上記のように、光検出器15により検出される位置検出光の光量比に基づいて対象物体Obの検出領域10R内の平面位置情報を取得するにあたって、例えば、信号処理部としてマイクロプロセッサーユニット(MPU)を用い、これにより所定のソフトウェア(動作プログラム)を実行することに従って処理を行う構成を採用することができる。また、図3を参照して後述するように、論理回路などのハードウェアを用いた信号処理部で処理を行う構成を採用することもできる。かかる信号処理部は、位置検出機能付き表示装置100の一部として組み込まれていても良く、位置検出機能付き表示装置100が搭載される電子機器の内部において構成されていてもよい。
【0053】
(信号処理部の構成例)
図4は、本発明を適用した照明機能付き光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100での信号処理内容を示す説明図であり、図4(a)、(b)は各々、本発明を適用した照明機能付き光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100の信号処理部の説明図、および信号処理部の発光強度補償指令部での処理内容を示す説明図である。
【0054】
図4(a)に示すように、本形態の照明機能付き光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100において、位置検出用光源駆動回路110は、位置検出用光源12Aに対して可変抵抗111を介して駆動パルスを印加し、位置検出用光源12Bに対して反転回路113および可変抵抗112を介して駆動パルスを印加する。このため、位置検出用光源駆動回路110は、位置検出用光源12Aと位置検出用光源12Bとに対して逆相の駆動パルスを印加し、位置検出光L2a、L2bを変調させて出射させる。そして、位置検出光L2a、L2bが対象物体Obで反射した光を共通の光検出器15で受光する。光強度信号生成回路140において、光検出器15には、1kΩ程度の抵抗15rが直列に電気的接続されており、それらの両端にはバイアス電圧Vbが印加されている。
【0055】
かかる光強度信号生成回路140において、光検出器15と抵抗15rとの接続点P1には、信号処理部150が電気的に接続されている。光検出器15と抵抗15rとの接続点P1から出力される検出信号Vcは、下式
Vc=V15/(V15+抵抗15rの抵抗値)
V15:光検出器15の等価抵抗
で表される。従って、環境光が光検出器15に入射しない場合と、環境光が光検出器15に入射している場合とを比較すると、環境光が光検出器15に入射している場合には、検出信号Vcのレベルおよび振幅が大きくなる。
【0056】
信号処理部150は概ね、位置検出用信号抽出回路190、位置検出用信号分離回路170、および発光強度補償指令回路180を備えている。
【0057】
位置検出用信号抽出回路190は、1nF程度のキャパシタからなるフィルター192を備えており、かかるフィルター192は、光検出器15と抵抗15rとの接続点P1から出力された信号から直流成分を除去するハイパスフィルターとして機能する。このため、フィルター192によって、光検出器15と抵抗15rとの接続点P1から出力された検出信号Vcからは、光検出器15による位置検出光L2a、L2bの位置検出信号Vdが抽出される。すなわち、位置検出光L2a、L2bは変調されているのに対して、環境光はある期間内において強度が一定であると見なすことができるので、環境光に起因する低周波成分あるいは直流成分はフィルター192によって除去される。
【0058】
また、位置検出用信号抽出回路190は、フィルター192の後段に、220kΩ程度の帰還抵抗194を備えた加算回路193を有しており、フィルター192によって抽出された位置検出信号Vdは、バイアス電圧Vbの1/2倍の電圧V/2に重畳された位置検出信号Vsとして位置検出用信号分離回路170に出力される。
【0059】
位置検出用信号分離回路170は、位置検出用光源12Aに印加される駆動パルスに同期してスイッチング動作を行なうスイッチ171と、比較器172と、比較器172の入力線に各々、電気的接続されたキャパシタ173とを備えている。このため、位置検出信号Vsが位置検出用信号分離回路170に入力されると、位置検出用信号分離回路170から発光強度補償指令回路180には、位置検出光L2aが点灯している期間での位置検出信号Vsの実効値Veaと、位置検出光L2bが点灯している期間での位置検出信号Vsの実効値Vebとが交互に出力される。
【0060】
発光強度補償指令回路180は、実効値Vea、Vebを比較して、図4(b)に示す処理を行ない、位置検出光L2aが点灯している期間での位置検出信号Vsの実効値Veaと、位置検出光L2bが点灯している期間での位置検出信号Vsの実効値Vebとが同一レベルとなるように位置検出用光源駆動回路110に制御信号Vfを出力する。すなわち、発光強度補償指令回路180は、位置検出光L2aが点灯している期間での位置検出信号Vsの実効値Veaと、位置検出光L2bが点灯している期間での位置検出信号Vsの実効値Vebとを比較して、それらが等しい場合、位置検出用光源12A、12Bに対する現状の駆動条件を維持させる。これに対して、位置検出光L2aが点灯している期間での位置検出信号Vsの実効値Veaが、位置検出光L2bが点灯している期間での位置検出信号Vsの実効値Vebより低い場合、発光強度補償指令回路180は、可変抵抗111の抵抗値を下げさせて位置検出用光源12Aの出射光量を高める。また、位置検出光L2bが点灯している期間での位置検出信号Vsの実効値Vebが、位置検出光L2aが点灯している期間での位置検出信号Vsの実効値Veaより低い場合、発光強度補償指令回路180は、可変抵抗112の抵抗値を下げさせて位置検出用光源12Bの出射光量を高める。
【0061】
このようにして、照明機能付き光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100では信号処理部150の発光強度補償指令回路180によって、光検出器15による位置検出光L2a、L2bに対する検出量が同一となるように、位置検出用光源12A、12Bの制御量(電流量)を制御する。従って、発光強度補償指令回路180には、位置検出光L2aが点灯している期間での位置検出信号Vsの実効値Veaと、位置検出光L2bが点灯している期間での位置検出信号Vsの実効値Vebとが同一レベルとなるような位置検出用光源12A、12Bでの制御量に関する情報が存在するので、かかる情報を位置検出信号Vgとして位置判定部120に出力すれば、位置判定部120は、検出領域10Rにおける対象物体Obの矢印A方向における位置座標を得ることができる。また、同様な原理を利用すれば、検出領域10Rにおける対象物体Obの矢印B方向における位置座標を得ることができる。それ故、対象物体ObのXY平面上の位置座標を取得できる。
【0062】
また、本形態では、位置検出用信号抽出回路190において、フィルター192は、光検出器15と抵抗15rとの接続点P1から出力された検出信号Vcから、環境光に起因する直流成分を除去して位置検出信号Vdを抽出する。このため、光検出器15と抵抗15rとの接続点P1から出力された検出信号Vcに環境光の赤外成分に起因する信号成分が含まれている場合でも、かかる環境光の影響をキャンセルすることができる。
【0063】
(本形態での位置検出方法)
図5は、本発明を適用した照明機能付き光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100において位置検出する際の位置検出用光源の点灯パターンを示す説明図であり、図5(a)、(b)は各々、導光板13(検出領域10R)の長辺方向の位置検出、および短辺方向の位置検出を行なう場合の説明図である。
【0064】
本形態の照明機能付き光学式位置検出装置10では、導光板13(検出領域10R)の長辺方向の位置検出を行なう際には、図5(a)に示すように、位置検出用光源12A、12Dを同相で駆動し、位置検出用光源12B、12Cを同相で駆動し、かつ、位置検出用光源12A、12Dと位置検出用光源12B、12Cとを逆相で駆動して、導光板13(検出領域10R)の長辺方向(X方向)に位置検出光の強度分布を生成する。
【0065】
また、導光板13(検出領域10R)の短辺方向の位置検出を行なう際には、長辺方向の位置検出と異なるタイミングで、図5(b)に示すように、位置検出用光源12A、12Cを同相で駆動し、位置検出用光源12B、12Dを同相で駆動し、かつ、位置検出用光源12A、12Cと位置検出用光源12B、12Dとを逆相で駆動して、導光板13(検出領域10R)の短辺方向(Y方向)に位置検出光の強度分布を生成する。
【0066】
かかる方法でも、対象物体ObのXY平面上の位置座標を取得できる。また、このような位置検出用光源を複数同時に点灯する構成によれば、例えば、位置検出光の明暗傾斜分布が、1つの位置検出用光源を点灯する構成よりも広い範囲で好適に得られるため、より正確な位置検出が可能である。
【0067】
また、本形態では、導光板13(検出領域10R)の長辺方向の位置検出を行なう際、位置検出用光源12A、12Dが点灯している期間と、位置検出用光源12B、12Cが点灯している期間とにおける光検出器15の検出結果の差に基づいて、長辺方向の位置検出を行なう。また、導光板13(検出領域10R)の短辺方向の位置検出を行なう際、位置検出用光源12A、12Cが点灯している期間と、位置検出用光源12B、12Dが点灯している期間とにおける光検出器15の検出結果の差に基づいて、短辺方向の位置検出を行なう。かかる方法によっても、かかる環境光の影響をキャンセルすることができる。また、図1(c)に示す強度分布が単純増加あるいは単純減少であれば、直線関係にない場合でも位置検出を行なうことができる。
【0068】
(導光板13および強度分布変更層50の構成)
図6(a)、(b)は、本発明を適用した照明機能付き光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100に用いた導光板13の説明図、および強度分布変更層50の説明図である。
【0069】
本形態の照明機能付き光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においては、導光板13から出射される照明光の輝度分布が均一となるように、導光板13については、辺部分13k(第1辺部分)側から反対側の辺部分13l(第2辺部分)に向けて内部を伝播光に対する光出射面13sからの出射光の光量比率が単調に増加する導光構造を有している。かかる導光構造は、例えば、図6(a)に示すように、導光板13の背面13tに形成された白色のドット状反射層13pによって構成される。また、導光構造は、導光板13の光出射面13sまたは背面13tに形成された光偏向用あるいは光散乱用の微細な凹凸形状の屈折面によって構成される場合もある。ドット状反射層13pを利用した場合、ドット状反射層13pは、導光板13の辺部分13kに比して、辺部分13kに対向する第2辺部分13lで高密度に形成されている。このため、導光板13において照明用光源41に近い辺部分13kの側の輝度と、導光板13において照明用光源41から離れた辺部分13lの側との間において輝度を同等とすることができる。
【0070】
本形態において、導光板13は、位置検出光L2a〜L2dを内部に採り込んで光出射面13sから出射する機能も担っている。また、照明光L4は白色光(可視域の光)であるのに対して、位置検出光L2a〜L2dは赤外域であり、照明光L4と位置検出光L2a〜L2dとは波長が相違し、導光板13からの出射効率も相違する。このため、導光板13から出射される位置検出光L2a〜L2dの出射光量は、図1(c)などを参照して説明した強度分布からずれることになる。より具体的には、位置検出光L2a〜L2dは、導光板13の辺部分13kで出射効率が低く、導光板13の辺部分13lで出射効率が高くなってしまう。
【0071】
そこで、本形態では、図1、図2および図3に示すように、導光板13と検出領域10Rとの間には、強度分布変更層50が設けられている。本形態において、強度分布変更層50は、導光板13と光学シート16との間に配置されている。但し、強度分布変更層50は、光学シート16と検査領域10Rとの間に配置されることもある。
【0072】
いずれの場合も、強度分布変更層50は、可視光(照明光L4)および赤外光(位置検出光L2a〜L2d)が透過する透光領域51と、可視光(照明光L4)が透過するとともに赤外光(位置検出光L2a〜L2d)の少なくとも一部が反射あるいは吸収により遮断される波長選択性遮光領域52とが面内方向に分布している。ここで、透光領域51とは、照明光L4および位置検出光L2a〜L2dの双方が実用上問題点とならないレベルで透過すればよく、照明光L4の透過率と位置検出光L2a〜L2dの透過率とは同一でない場合も含む意味である。また、波長選択性遮光領域52とは、位置検出光L2a〜L2dの透過率が「透光領域51」よりも低く、かつ、位置検出光L2a〜L2dの透過率が照明光L4の透過率よりも低くければよい。
【0073】
図6(b)に示すように、本形態では、強度分布変更層50における透光領域51の形成密度は、第1辺部分13k(第1辺部側)で高く、辺部分13l(第2辺部側)で低くなっており、透光領域51の形成密度は、第1辺部分13kから辺部分13lに連続的に変化している。かかる分布を形成するにあたって、本形態では、円形の透光領域51が第1辺部分13k(第1辺部側)では多く、辺部分13l(第2辺部側)では少なく形成されている。従って、導光板13から出射された時点で、位置検出光L2a〜L2dが、導光板13の辺部分13kで出射光量が少なく、導光板13の辺部分13lで出射光量が多くなっている場合でも、かかるアンバランスは、強度分布変更層50によって緩和される。それ故、検出領域10Rは、導光板13から出射された位置検出光L2a〜L2dの出射光量は、図1(c)などを参照して説明した強度分布を有することになる。なお、本形態では、導光板13の辺部分13k,13lに双方向における透光領域51の形成密度は等しくなっている。
【0074】
かかる強度分布変更層50は、各種無機材料や有機材料により構成することができる。例えば、シリコン酸化膜やチタン酸化膜などといった誘電率が相違する誘電体層を交互に積層することにより、可視光を透過し、赤外光を反射するように構成した誘電体多層膜を利用して構成することができる。このような誘電体多層膜を利用する場合、導光板13の光出射面13sの一部のみに誘電体多層膜からなる波長選択性遮光領域52を形成した構成や、光学シート16の一方面の一部のみに誘電体多層膜からなる波長選択性遮光領域52を形成した構成を採用できる。この場合、誘電体多層膜が形成されていない領域が透光領域51となる。また、透光性シートの一方の面の一部のみに誘電体多層膜からなる波長選択性遮光領域52を形成してシート状の強度分布変更層50を構成し、かかるシート状の強度分布変更層50を導光板13に重ねて配置してもよい。
【0075】
また、強度分布変更層50は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜などといった金属酸化膜を利用することができる。ITO膜は、可視域(波長が380nm〜780nmの領域)における透過率が80%以上であるが、赤外域(波長が800nm〜1000nmの領域)における透過率が70%以下であり、可視光を透過し、赤外光を吸収する性質を有する。従って、強度分布変更層50を構成するにあたっては、導光板13の光出射面13sの一部のみにITO膜からなる波長選択性遮光領域52を形成した構成や、光学シート16の一方面の一部のみにITO膜からなる波長選択性遮光領域52を形成した構成を採用できる。この場合、ITO膜が形成されていない領域が透光領域51となる。また、透光性シートの一方の面の一部のみにITO膜からなる波長選択性遮光領域52を形成してシート状の強度分布変更層50を構成し、かかるシート状の強度分布変更層50を導光板13に重ねて配置してもよい。
【0076】
なお、図6(b)に示す形態では、透光領域51が円形であったが、透光領域51および波長選択性遮光領域52の形状については、円形に限らず、角形などであってもよい。
【0077】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の照明機能付き光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100では、位置検出光L2a〜L2dが導光板13の光出射面13sから出射され、これが導光板13の出射側に配置された対象物体Obによって反射されると、この反射光が光検出器15によって検出される。ここで、検出領域10Rにおける位置検出光L2a〜L2dの強度と位置検出用光源12A〜12Dからの距離とが所定の相関性を有しておれば、光検出器15を介して得られた受光強度から対象物体Obの位置を検出することができる。それ故、検出領域10Rに沿って多数の光学素子を配置する必要がないので、低コストかつ低消費電力の照明機能付き光学式位置検出装置10を構成することができる。
【0078】
また、本形態の照明機能付き光学式位置検出装置10では、導光板13と検出領域10Rとの間には、照明光L4および位置検出光L2a〜L2dが透過する透光領域51、および照明光L4が透過するとともに位置検出光L2a〜L2dの少なくとも一部が遮断される波長選択性遮光領域52が面内方向に分布する強度分布変更層50が設けられている。このため、検出領域10Rに向けて出射される位置検出光L2a〜L2dの出射光量の強度分布を強度分布変更層50によって調整することができるので、位置検出光L2a〜L2dについても、検出領域10Rへの出射光量の強度分布を適正化することができる。
【0079】
より具体的には、照明用光源41を導光板13の辺部分13k(第1辺部分)に設けた場合、導光板13について、照明用光源41から離れた辺部分13l(第2辺部分)側での出射効率を辺部分13k側での出射効率より高くして均一な輝度分布を実現する結果、赤外域の位置検出光L2a〜L2dにおいては、辺部分13l側での出射効率が高くなりすぎることになる。しかるに本形態では、強度分布変更層50における透光領域51の形成密度が辺部分13l側で低く、辺部分13kで高くなっているので、検出領域10Rに向けて出射される位置検出光L2a〜L2dの出射光量の強度分布を調整し、最適化することができる。
【0080】
それ故、本形態によれば、位置検出光と照明光とにおいて導光板を共通化した場合でも、位置検出光L2a〜L2dおよび照明光L4の双方の出射光量の強度分布を適正化することができる。よって、導光板13の枚数を1枚にした場合でも、位置検出精度が高い照明機能付き光学式位置検出装置10を実現することができる。
【0081】
(強度分布変更層50の透光領域51の形成位置の例)
図7は、本発明を適用した位置検出機能付き表示装置100におけるスイッチ画像と強度分布変更層50の透光領域51との位置関係を示す説明図であり、図7(a)、(b)は、スイッチ画像の位置を示す説明図、および透光領域51の位置を示す説明図である。
【0082】
図2を参照して説明した位置検出機能付き表示装置100では、電気光学パネル20によって、図7(a)に示すメニュー画面に複数のスイッチ画像61を表示した際、それに指(対象物体Ob)を近づけたときの検出領域10R内での位置を本形態の照明機能付き光学式位置検出装置10によって選択内容を特定する。このような場合、図6を参照して説明した強度分布変更層50の透光領域51をスイッチ画像61に平面視で重なる位置に設けることが好ましい。かかる構成によれば、スイッチ画像61が表示される箇所が波長選択性遮光領域52の影になってしまうことを確実に回避することができるので、誤入力を防止することができる。なお、図7(b)に示す形態では、強度分布変更層50における透光領域51の形成密度を第1辺部分13k(第1辺部側)で高く、辺部分13l(第2辺部側)で低くするにあたって、透光領域51のサイズを第1辺部分13k(第1辺部側)で大きく、辺部分13l(第2辺部側)では小さくなっている。
【0083】
(電子機器への搭載例)
図8を参照しながら、図1〜図7を参照して説明した位置検出機能付き表示装置100を適用した電子機器について説明する。図8は、本発明に係る位置検出機能付き表示装置を用いた電子機器の説明図である。図8(a)に、位置検出機能付き表示装置100を備えたモバイル型のパーソナルコンピューターの構成を示す。パーソナルコンピューター2000は、表示ユニットとしての位置検出機能付き表示装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001、およびキーボード2002が設けられている。図8(b)に、位置検出機能付き表示装置100を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001、およびスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての位置検出機能付き表示装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、位置検出機能付き表示装置100に表示される画面がスクロールされる。図8(c)に、位置検出機能付き表示装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001、および電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての位置検出機能付き表示装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が位置検出機能付き表示装置100に表示される。
【0084】
なお、位置検出機能付き表示装置100が適用される電子機器としては、図8に示すものの他、デジタルスチールカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、銀行端末などの電子機器などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した位置検出機能付き表示装置100が適用可能である。
【符号の説明】
【0085】
10・・照明機能付き光学式位置検出装置、10R・・検出領域、12A、12B、12C、12D・・位置検出用光源、13・・導光板、13a、13b、13c、13d・・光入射部、13e、13f、13g、13h・・角部分、13i、13j、13k、13l・・辺部分、13p・・ドット状反射層、13s・・光出射面、15・・光検出器、15a・・受光部、20・・電気光学パネル、50・・強度分布変更層、51・・透光領域、52・・波長選択性遮光領域、61・・スイッチ画像、100・・位置検出機能付き表示装置、200・・液晶装置、L2a、L2b、L2c、L2d・・位置検出光、L4・・照明光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出するとともに、前記検出領域が位置する側に向けて可視域の照明光を出射する照明機能付き光学式位置検出装置であって、
前記照明光を放出する照明用光源と、
赤外域の位置検出光を放出する位置検出用光源と、
前記照明用光源から放出された照明光、および前記位置検出用光源から放出された前記位置検出光を内部に採り込む側端部を備え、該側端部から採り込んだ前記位置検出光を前記検出領域に出射するとともに、当該照明光を前記検出領域が位置する側に出射する導光板と、
該導光板と前記検出領域との間に設けられ、前記照明光および前記位置検出光が透過する透光領域、および前記照明光が透過するとともに前記位置検出光の少なくとも一部が遮断される波長選択性遮光領域が面内方向に分布し、前記導光板から前記検出領域に向けて出射される前記位置検出光の出射光量の強度分布を変化させる強度分布変更層と、
前記対象物体で反射した前記位置検出光を受けるように前記検出領域に向けて配置された受光部を備える光検出器と、
前記光検出器での検出結果および前記位置検出光の出射光量の強度分布に基づいて前記対象物体の位置を検出する信号処理部と、
を有していることを特徴とする照明機能付き光学式位置検出装置。
【請求項2】
前記照明用光源は、前記導光板の前記側端部のうちの第1辺部分に設けられ、
前記強度分布変更層では、前記側端部において前記第1辺部分に対向する第2辺部分側では前記第1辺部分側に比して前記透光領域の形成密度が低くなっていることを特徴とする請求項1に記載の照明機能付き光学式位置検出装置。
【請求項3】
前記導光板に対して前記照明光の出射側とは反対側には、前記第1辺部分側に比して前記第2辺部分側で形成密度が高いドット状反射層が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の照明機能付き光学式位置検出装置。
【請求項4】
前記波長選択性遮光領域は、前記照明光が透過するとともに前記位置検出光の少なくとも一部が遮断される膜構成の誘電体多層膜、あるいは前記照明光が透過するとともに前記位置検出光の少なくとも一部が遮断される組成の金属酸化膜からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の照明機能付き光学式位置検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の照明機能付き光学式位置検出装置を備えた位置検出機能付き表示装置であって、
前記導光板に対して前記照明光の出射側には、当該照明光を光変調して前記検出領域と平面視で重なる領域に画像を生成する電気光学パネルを有していることを特徴とする位置検出機能付き表示装置。
【請求項6】
前記電気光学パネルでは、前記検出領域内での前記対象物体の接近によって選択されるスイッチ画像が表示され、
前記スイッチ画像に平面視で重なる位置に前記透光領域が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の位置検出機能付き表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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