説明

照明用の発光パネル、その取り付け構造及びその取り付け方法

【課題】壁面に取り付けた発光パネルと壁仕上げ材との取り合いが良好にできるようにした照明用の発光パネル及びその取り付け構造並びにその取り付け方法を提供する。
【解決手段】前面の大部分が発光面に形成され、内装仕上材6が貼り付けられる取付面Wに取り付けられる照明用の発光パネル1であって、前記取付面Wに取り付けられる際には前記発光面2aに剥離可能な保護シート3が貼り付けられている。これにより、発光面を保護することができるとともに、発光面をきれいに維持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明用の発光パネル、その取り付け構造及びその取り付け方法に関し、詳細には、壁面等に取り付けたEL発光パネルと内装仕上材との取り合いが良好にできるようにした照明用の発光パネル及びその取り付け構造並びにその取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自発光型のEL素子は、EL(エレクトロルミネッセンス)現象を利用しているので、発熱がほとんどなく、また、軽量、薄型であり、特に、有機EL素子は、無機EL素子に比較して色の選択が容易で、駆動電圧が低くて省電力であるなど、種々の利点を有している。
【0003】
近年は、ディスプレイ、照明器具として面発光光源の有機EL発光パネルのように大面積の有機EL発光パネルが使用されている。このような有機EL発光パネルは、例えば取り付け面である壁や天井の下地面に取り付けられ、有機EL発光パネルの周囲の下地面に内装仕上材が貼られて仕上げられている。
【0004】
EL発光パネル(エレクトロルミネッセンスシート)を壁面から殆ど突出して見えないように設置する例が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
ところで、従来EL発光パネルを石膏ボード等の下地面に取り付け、そのEL発光パネルの発光面ともに全面に内装仕上材を貼り付け、その後EL発光パネルの発光面の内装仕上材を切り取って除去していた。
【特許文献1】特開2000−112412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1に開示されているものは、EL発光パネルの発光面側に透光性表現手段が描かれた透光シートであり、着脱可能であるものの、点灯時にはそのまま表面に残しておくものである。また、従来はEL発光パネルの発光面の内装仕上材を切り取って除去する作業に熟練が必要であり、取り合い部分をきっちりときれいにするのが困難であった。また、発光面から内装仕上材をきれいに除去するのが困難であった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、きれいに仕上げることが容易な照明用の発光パネル及びその取り付け構造並びにその取り付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明に係る照明用の発光パネルは、前面の大部分が発光面に形成され、内装仕上材が貼り付けられる取付面に取り付けられる照明用の発光パネルであって、前記取付面に取り付けられる際には前記発光面に保護シートが貼り付けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明に係る照明用の発光パネルは、請求項1記載の発明の構成において、前記保護シートが剥離可能なシートであることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明に係る照明用の発光パネルの取り付け構造は、請求項1または2記載の発明の構成の前記発光パネルが取付面に取り付けられ、内装仕上材が該発光パネルの縁部に当接しまたは覆って貼り付けられ、前記発光面から保護シートが除去されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明に係る照明用のEL発光パネルの取り付け方法は、請求項1または2記載の発明の構成の前面に保護シートが貼り付けられている前記照明用発光パネルを下地面に取り付け、該発光パネルの発光面を含む下地面に内装仕上材を貼り付け、その後発光パネルの前面から前記保護シートと内装仕上材を除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、照明用の発光パネルの前面、発光面に保護シートが貼り付けられているので、内装仕上材を発光面に貼っても、これを除去する際は、保護シートごと切り欠いて除去することができる。そのため、発光パネルの発光面を傷付けたり、汚したりせずに内装仕上材を除去することができる。また、発光パネルの取付部の内装仕上材を予め切断しておかなくても、発光パネルの発光面をきれいに維持して、下地面に内装仕上材を貼り付けることができる。また、保護シートで保護されている発光面から内装仕上材を除去するので取り合い部もきっちりと、きれいに切り取ることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、保護シートの除去がさらに簡単にできる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、熟練していなくても、保護シートで保護されている部分から内装仕上材を除去するので取り合い部もきっちりと、きれいに切り取ることができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、熟練していなくても、保護シートで保護されている部分から内装仕上材を除去するので取り合い部もきっちりと、きれいに切り取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳しく説明する。図1は本発明の実施の形態における照明用の発光パネルの構成を示す斜視図、図2はその取付構造を示す斜視図、図3はその取り付け工程を示す斜視図である。この実施の形態の照明用の発光パネル1は、EL発光パネル2と保護シート3と駆動電源接続部4を備える。
【0017】
このEL発光パネル2は、有機ELからなり、ガラス板などでできた透明の基板面に、ITOやZnOなどの透明電極、有機発光層、および光反射用の金属膜からなる背面電極が順次積層され、非発光面(図1では下側面)は封止層が形成されるとともに覆い部材で保護されて構成されている。
【0018】
駆動電源接続部4は、EL発光パネル2の各電極を外部電源に接続するための部材である。保護シート3は、EL発光パネル2の発光面(前面)を保護するため、発光パネルが使用部位に取り付けられて、内装仕上材が発光面から除去されるまで、発光面全面(非発光部も含む)に貼り付けられている。
【0019】
そして、保護シート3は、フィルムの表面に粘着剤層が形成され、発光面2aに粘着させても容易に剥離させて除去が可能なように形成されている。例えば、保護シート3は、0.5mm厚のポリプロピレンフィルムの片面にアクリル系粘着剤層が形成されたものが挙げられる。この保護シート3を形成するフィルムとしては、ポリプロピレンの他、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレン等のプラスチックフィルムに接着剤が塗布可能なフィルムが使用される。
【0020】
また、保護シート3に剥離可能な粘着剤層を形成する接着剤としては、特に限定されず、例えば、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤等の接着剤などが例示できる。好ましい接着剤には、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸を主成分として含むアクリル系接着剤が例示される。さらに、剥離可能な粘着剤層は発光面全面に粘着するように形成しなくてもよく、一部にはがれやすいように形成するのが好ましい。
【0021】
この構成の照明用の発光パネル1は、図2(a)に示すように、壁面Wに取り付けられて使用される。壁面5は、図2(b)に示すように、壁下地Wに内装仕上材6が貼り付けられて構成されている。壁下地Wは取付面を構成し、この壁下地W面には発光パネル1が面一に取り付けることができるように凹部が設けられている。この凹部に発光パネル1を取り付け、内装仕上材6が発光パネル1を含む壁下地W面の全面に貼り付けられる。そして、内装仕上材6は発光パネル1の保護シート3と共に切り欠かれ、発光パネル1の発光面から除去されるようにされている。そして、内装仕上材6の切り欠かれた端部は発光パネル1の縁部に当接するか又は近傍に位置している。
【0022】
次に、図3により、上記のように構成した照明用の発光パネル1を取り付ける方法について説明する。先ず、発光パネル1を壁下地Wの取り付け用凹部7に取り付ける(図3(a))。このとき、発光パネル1の保護シート3面と壁下地Wの表面とは面一になっている(図3(d))。次いで、EL発光パネル1を含めて壁下地Wの表面に、内装仕上材6を貼り付ける(図3(b))。そして、EL発光パネル2の発光面の内装仕上材6を切断し、保護シートと一緒に除去する(図3(c))。
【0023】
上記のように構成してなる本願発明によれば、照明用の発光パネルの前面、発光面に保護シートが貼り付けられているので、内装仕上材を発光面に貼ってこれを切り欠いて除去する際も発光面を保護することができ、きれいに発光面から除去できる。また、発光パネルの取付部の内装仕上材を予め切断しておかなくても、発光パネルの発光面をきれいに維持して、下地面に内装仕上材を貼り付けることができる。また、保護シートで保護されている発光面から内装仕上材を除去するので取り合い部もきっちりと、きれいに切り取ることができる。
【0024】
なお、本願発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形を加えることが可能である。例えば、発光パネルを取り付ける面として壁の例で説明したが、天井でもよい。また、取り付ける下地面に予め、取り付け用の凹部を形成した構造例で説明したが、図4に示すように、発光パネルの取り付け用の凹部を形成しないで、下地面にそのまま取り付けてから内装仕上材6を貼り付け、その後、発光面2a上の内装仕上材6を保護シート3ごと切り欠いて除去するようにしてもよい。また、発光パネル1の周縁と内装仕上材6の切り欠かれた端部との位置関係は、当接せずに発光パネル発光面の周縁に内装仕上材6と保護シート3とを残して、縁部を覆って中央部の発光部を切り欠いて除去するものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る発光パネルの斜視図である。
【図2】その取り付け構造を示す図で、同図(a)は壁面に取り付けた状態の斜視図、同図(b)はその断面図である。
【図3】それを取り付ける工程を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る発光パネルの取り付け構造の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 発光パネル
2 EL発光パネル
3 保護(剥離)シート
5 壁面
6 内装仕上材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面の大部分が発光面に形成され、内装仕上材が貼り付けられる取付面に取り付けられる照明用の発光パネルであって、前記取付面に取り付けられる際には前記発光面に保護シートが貼り付けられていることを特徴とする照明用の発光パネル。
【請求項2】
前記保護シートが剥離可能なシートであることを特徴とする請求項1記載の照明用の発光パネル。
【請求項3】
請求項1または2記載の前記発光パネルが取付面に取り付けられ、内装仕上材が該発光パネルの縁部に当接しまたは覆って貼り付けられ、前記発光面から保護シートが除去されていることを特徴とする照明用の発光パネルの取り付け構造。
【請求項4】
請求項1または2記載の前面に保護シートが貼り付けられている前記発光パネルを下地面に取り付け、該発光パネルの発光面を含む下地面に内装仕上材を貼り付け、その後照明用の発光パネルの前面から前記保護シートと内装仕上材を除去することを特徴とする照明用の発光パネルの取り付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−117642(P2008−117642A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299861(P2006−299861)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】