説明

照明用反射体および光源装置

【課題】照明用反射体の形状の自由度を保ち、かつ耐熱性、放熱性に優れ、製造コストが抑えられた生産性の高い、高効率の照明用反射体およびこの照明用反射体を用いた光源装置を提供する。
【解決手段】照明器具10の照明用反射体11は、鍛造により一体に形成された光源配置部15および反射面基部16を有する基体17と、反射面基部16上に形成され、反射面18を有する反射面部19と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具、照明装置などにおいて、光源からの光の照射方向を制御するために用いる照明用反射体およびこの照明用反射体を備えた光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に照明器具、照明装置に用いられている照明用反射体は、光源から発せられる熱や紫外線などに対する耐久性と、発せられた光を効率よく所定の方向に照射させるために反射鏡表面の光沢に優れていることが要求されている。さらに、使用する用途にあわせて、所望の方向に光を照射させるためには、精度よく反射鏡の形状を設定する必要ある。
【0003】
ところで、照明用反射体の材料としては、その成型性の高さの観点から、プラスチック材料を用いることが考えられる。
しかしながら、プラスチック材料は、金属材料にくらべ、強度が弱いこと、および、点灯時の温度が高いHIDランプや、ハロゲンランプ等では、耐熱性の高いプラスチック材料を用いても、耐熱性が不十分でありこのような発熱量が大きい光源では使用することができなった。ガラス材料は、耐熱性があるものの、割れることが懸念される。さらに、プラスチック材料、ガラス材料ともに、材料自体の熱の伝導性が低いため、光源等からの熱を、反射体を通じて外部に放出される熱量は金属材料に比べ低いものであった。そのため、より放熱を求められる光源や照明器具、照明装置では、放熱が不十分になり光源の特性が十分得られないという不具合が生じる。
このため、光源の発熱量が大きく、より放熱量の大きさが求められる場合、照明用反射体には、金属材料が用いられ、アルミニウムなどの金属の薄板を、プレス加工、絞り加工、板金加工などにより行う方法や、ダイキャスト法、鋳造法などで形成する方法が行われていた(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平5−144309
【特許文献2】特開2005−84585
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、金属の薄板を用いて反射体とする方法では、耐熱性は満たされるものの、その加工方法に制限があり、反射面の形状を、単純な球面や平板といった形状以外に加工することが困難であり、形状の自由度が限られていた。
また、平板であるため、強度が弱く、反射体を、筐体等を用いて保持する必要があり、照明器具、照明装置全体として、部品点数および保持するための工程が増えるといった問題があった。
【0005】
また、光源として発光ダイオードなどを用いる場合には、光量を安定とするためには、より放熱性の優れた構造にする必要がある。これは、発光ダイオードの温度が上がりすぎると、光量が減衰したり、寿命が低下したりしてしまうためである。
したがって、より一層の発熱対策が望まれていた。
そこで、本発明の目的は、照明用反射体の形状の自由度を保ち、かつ耐熱性、放熱性に優れ、製造コストが抑えられた生産性の高い、高効率の照明用反射体およびこの照明用反射体を用いた光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、鍛造により一体に形成された光源配置部および反射面基部を有する基体と、前記反射面基部上に形成され、反射面を有する反射面部と、を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、照明用反射体は、形状に自由度があり、十分な反射率などの光学特性を供えた反射面を形成することができ、耐熱性、強度、放熱性に優れた照明用反射体とすることができる。さらに、鍛造で一体に形成できるので、生産性に優れ製造コストを下げることができる。
【0007】
この場合において、前記基体と、前記反射面部とは、互いに異なる金属で形成されているようにしてもよい。
これにより、コストと性能の両立を図ることができる。
また、前記反射面部を形成する金属は、高純度アルミニウムであるようにしてもよい。
これにより、反射率を向上させることができる。
さらに、前記反射面の面粗度が、Rmax=0.4μm以下とされているようにしてもよい。
【0008】
さらにまた、前記反射面部には、反射率向上処理が施されているようにしてもよい。
これにより、さらなる高効率の照明が行える。
また、前記反射率向上処理は、化学研磨処理、電解研磨処理、蒸着処理あるいは陽極酸化皮膜形成処理であるので、容易に反射率を向上した反射体を形成することができる。
さらに、前記反射面の一部が梨地状とされているようにしてもよい。
これにより、容易に拡散光を得ることができ、高輝度の照明と、柔らかな照明との両立を図ることが可能となる。
さらにまた、前記反射面の全部が梨地状とされているようにしてもよい。
これにより、容易に拡散光を得ることができ、柔らかな照明を行うことが可能となる。
【0009】
また、前記基体は、前記鍛造により放熱フィンが一体成形されているようにしてもよい。
これにより、より一層の放熱効率を得ることができ、発光ダイオードのように、温度上昇が光量の低下を招くような光源を用いた場合でも、光量を安定に維持することができる。
さらに、前記基体には、当該基体を所定の取付位置に取り付けるための取付部、あるいは、前記光源配置部に光源を取り付けるための光源取付部が一体に形成されているようにしてもよい。
これにより、部品点数を削減し、製造工程の簡略化および製造コストの低減が図れる。
【0010】
また、光源装置は、上記いずれかの記載の照明用反射体と、前記光源配置部に配置され、発光体を有する光源部と、を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、照明用反射体は、形状に自由度があり、十分な反射率などの光学特性を供えた反射面を形成することができ、耐熱性、強度、放熱性に優れた照明用反射体とすることができるので、光源装置としての性能向上が図れ、鍛造の採用で生産性に優れ製造コストを下げることができる。
【0011】
この場合において、前記発光体は、複数設けられているようにしてもよい。
これにより、より明るい照明あるいは光量は少なくても低発熱の発光体を用いることにより、低発熱で所望の光量の照明が行える。
また、光源装置において、前記光源部は、前記発光体と、前記発光体に外部から電力を供給するための配線部と、前記発光体を固定し、保持するととともに、前記光源配置部に当該光源部を固定するためのベース部と、を備えるようにしてもよい。
これによれば、組み立てが容易で、配線も簡易な光源装置を得ることができる。
また、前記発光体は、発光ダイオードであるようにしてもよい。
これによれば、高光量で消費電力の少ない光源装置を安定して動作させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、照明用反射体は、鍛造により一体で形成しているのでダイキャスト形成品、鋳造形成品に比べ強度が高く、反射面を滑らかにでき、照明用に十分な反射率が得られる。
さらに、放熱効率を高くすることができ、温度により光量が変化するような発光体を安定に発光させることができ、安定な照明を行える光源装置(照明器具)が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
[1]第1実施形態
図1は、第1実施形態の照明器具(光源装置)の模式断面図である。
照明器具10は、大別すると、反射体11と、光源ユニット12と、を備えている。
図2は、第1実施形態の反射体の平面図である。
反射体11は、鍛造により一体に形成された光源配置部15および反射面基部16を有する基体17と、反射面基部16上に形成され、反射面18を有する反射面部19と、を備えている。
ここで、反射面基部16は、断面U字状の凹部として形成されており、その底部16Aには、光源配置部15が設けられている。この光源配置部15は、基体17の一端側に開口として形成されており、その内周面に光源ユニット12が挿入されている。
【0014】
基体17は、純アルミニウム(純度99.9%未満、本実施形態では純度99.7%を使用)により形成されており、その側部の複数箇所には、取付ベース20が突設されており、この取付ベース20には、壁、天井あるいは取付アームなどの取付金具にねじなどの取付部材を用いて取り付けるための固定用孔21が設けられている。
反射体11の反射面部19は、高純度アルミニウム(純度99.9%以上)を用い、反射面部19以外を構成している反射体11の基体17の金属材料には純アルミニウムを用いている。この場合において、反射体11を全て高純度アルミニウムで形成することも可能であるが、コスト対効果の観点から反射面部19のみを高純度アルミニウムで形成している。
光源ユニット12は、光源としてのランプ25と、ランプ25を支持するためのランプソケット26を有する接続部27と、接続部27に外部より電源を供給するためのリード線28と、を備えている。
【0015】
ここで、反射体11の製造方法について説明する。
反射体11は、冷間鍛造によって製造している。
冷間鍛造を選択した理由は、冷間鍛造は、一般に、熱間鍛造、温間鍛造に比べ、寸法精度、成型精度が高く、後工程での加工を減らせるという特徴がある。また、熱間鍛造、温間鍛造に比べ、鍛造圧力が高く、組織が微細化されているため、高い強度を得ることができるからである。
実際の冷間鍛造は、冷間鍛造プレス装置により行っているが、これに先立って、製品である反射体11の形状となる金型を作製する。
この金型を冷間鍛造プレス装置にセットし、反射体11に対応する金属材料を固定する。
この場合において、金属材料としては、高純度アルミニウムの円板を純アルミニウムの円柱に接合したものを用いている。
そして、上述の金属材料を高純度アルミニウムの円板に、断面外形が回転放物面状の先端を有する押し型を対向させた状態として、当該押し型で押圧し、塑性変形させることにより、反射体11とする。
この状態において、反射面18の面粗度Rmaxは、0.4μm以下となっている。
さらに、本実施形態においては、反射面18に対し、反射率向上処理を行っている。
具体的には、化学研磨処理または電解研磨処理を行った後に、陽極酸化皮膜処理(アルマイト処理)を行った。
この結果、反射面18の鏡面度を増すことにより、照明用反射体として必要な反射率を向上させている。
【0016】
ここで、本実施形態の反射面18の形状について説明する。
図3は、第1実施形態の反射面形状の説明図である。
反射面18の形状は、本第1実施形態においては、放物線を回転させた回転放物面としている。これによって、回転放物面の焦点にランプ25の光中心を配置することにより、反射体11で反射された照射光30は、略平行光となっている。なお、図3中、符号30Sは、ランプ25の直接光である。
本第1実施形態によれば、反射体を鍛造により形成しているので、従来のアルミダイキャスト製の反射体が照明用の反射体とするための反射率向上処理(鏡面化)として、バフ研磨などの機械研磨でおこなうため、金属粉、バフくずなどの付着物が付くといったことが懸念されたのに対し、製造工程の簡略化、ひいては、製造時間の短縮などの利点がある。
したがって、本第1実施形態の照明器具によれば、低コストで反射率の高い反射面を有する反射体を製造することが可能となる。
【0017】
[1.1]第1実施形態の第1変形例
以上の説明においては、反射面18の形状を回転放物面とし、照射光を略平行光としていたが、本第1変形例の反射面は、広角の指向特性を有する場合のものである。
図4は、第1変形例の照明器具(光源装置)の模式断面図である。図4において、図1と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
照明器具10−1の反射体11−1は、薄いサラダボウル状の反射面18−1を有しており、その照射光30−1は、広角の指向特性を有している。
この結果、本第1変形例の反射体11−1を用いることにより、より広範囲を照らすことが可能となっている。なお、図4中、符号30Sは、ランプ25の直接光である。
【0018】
[1.2]第1実施形態の第2変形例
上記第1実施形態および第1変形例の反射面18、18−1は、平面視円形状であったが、本第2変形例は、平面視略楕円形状の反射面を有する場合のものである。
図5は、第1実施形態の第2変形例の照明器具の平面図である。
図6は、第1実施形態の第2変形例の照明器具のA−A断面図である。
図7は、第1実施形態の第2変形例の照明器具のB−B断面図である。
図5ないし図7において、第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
照明器具10−2の反射体11−2のA−A断面は、図6に示すように、放物線状となっており、放物線の焦点にランプ25を配置することにより、反射体11−2で反射された照射光30−2は、略平行光となっている。
一方、照明器具10−2の反射体11−2のB−B断面は、図7に示すように、薄いサラダボウル状となっており、反射体11−2で反射された照射光30−2は、広角の指向特性を有している。
これらの結果、本第2変形例の反射体11−2を用いることにより、長手方向(図5の上下方向)に広がりをもった光を照射することが可能となっている。
【0019】
[2]第2実施形態
図8は、第2実施形態の照明器具(光源装置)の模式断面図である。
図9は、第2実施形態の照明器具(光源装置)の平面図である。
図8において、図1と同様の部分には同一の符号を付すものとする。
照明器具40は、大別すると、反射体41と、光源ユニット12と、を備えている。
反射体41は、鍛造により一体に形成された光源配置部15、反射面基部16および反射面基部16に一体に形成された複数の放熱フィン42を有する基体17と、反射面基部16上に形成され、反射面18を有する反射面部19と、を備えている。
ここで、反射面基部16は、断面U字状の凹部として形成されており、その底部16Aには、光源配置部15が設けられている。この光源配置部15は、基体17の一端側に開口として形成されており、その内周面に光源ユニット12が挿入されている。
【0020】
基体17は、純アルミニウム(純度99.9%未満、本実施形態では純度99.7%を使用)により形成されており、その側部の複数箇所には、取付ベース20が突設されており、この取付ベース20には、壁、天井あるいは取付アームなどの取付金具にねじなどの取付部材を用いて取り付けるための固定用孔21が設けられている。
反射体41の反射面部19は、第1実施形態と同様に、高純度アルミニウム(純度99.9%以上)を用い、反射面部19以外を構成している反射体41の基体17の金属材料には純アルミニウムを用いている。この場合において、反射体41を全て高純度アルミニウムで形成することも可能であるが、コスト対効果の観点から反射面部19のみを高純度アルミニウムで形成している。
この場合において、放熱フィン42の最適なフィン間隔Wは、例えば、次式により算出する。
W=5・(H/T)0.25
【0021】
ここで、最適フィン間隔Wとは同一体積で熱抵抗を最小にすることが可能な放熱フィンの間隔であり、Hは、放熱フィンの高さ(mm)であり、Tは許容温度上昇(℃)である。
上記式によれば、本実施形態の最適フィン間隔Wは、4.8mmとなる。
また、放熱フィン24の幅W1は、2.0mm、放熱フィン24間の隙間の幅W2は、2.0mmとしている。
光源ユニット12の構成は、第1実施形態と同様である。
本第2実施形態の照明器具によれば、第1実施形態の効果に加えて、複数の放熱フィンを一体的に反射体に形成できるので、低コストで放熱効率の高い反射体を製造することができ、より発熱量の大きな高輝度の光源を使用可能となる。
【0022】
[2.1]第2実施形態の第1変形例
以上の説明においては、放熱フィンは、延材方向に沿って高さが一定の場合であったが、本第1変形例は、放熱フィンの形状を変更し、より放熱フィンの面積を増加して、より一層、放熱効率を向上させるための実施形態である。
図10は、第2実施形態の第1変形例の反射体の詳細説明断面図である。
図11は、図10の反射体の矢印C方向に沿った矢視図である。
反射体41−1は、鍛造により一体に形成された光源配置部15、反射面基部16および反射面基部16に一体に形成された複数の放熱フィン42−1を有する基体17−1と、反射面基部16上に形成され、反射面18を有する反射面部19と、を備えている。
ここで、反射面基部16は、断面U字状の凹部として形成されており、その底部16Aには、光源配置部15が設けられている。この光源配置部15は、基体17の一端側に開口として形成されている。
【0023】
基体17−1は、純アルミニウム(純度99.9%未満、本実施形態では純度99.7%を使用)により形成されている。この基体17−1は、図10に示すように、ほぼ反射面部19の形状に沿って形成されており、この結果、放熱フィン42−1は、図10中、下方に向かって徐々にその高さが高くなるようにされている。具体的には、反射体41−1の図10中、上端側の高さH1であるのに対し、下端側の高さH2は、上端側高さH1の約3倍程度とされている。
この結果、放熱フィン42−1の表面積は、第2実施形態の放熱フィン42の2倍以上となり、より一層の放熱効果が図られるようになっている。
したがって、第2実施形態の場合と比較してより発熱量の大きな、高輝度の光源を用いることが可能となる。
【0024】
[3]第3実施形態
図12は、第3実施形態の照明器具(光源装置)の外観斜視図である。
図13は、第3実施形態の照明器具の断面図である。図13において、図1と同様の部分には同一の符号を付すものとする。
図14は、第3実施形態の反射体の断面図である。
照明器具50は、大別すると、反射面18を有する反射体51と、光源部52と、を備えている。
反射体51は、鍛造により一体に形成された光源配置部15および反射面基部16を有する基体17と、反射面基部16上に形成され、反射面18を有する反射面部19と、を備えている。
ここで、反射面基部16は、図14に示すように、断面U字状の凹部として形成されており、その底部16Aには、光源配置部15が設けられている。この光源配置部15は、基体17の一端側に開口として形成されており、この開口を介して、光源部52を構成する後述の発光ダイオード61が挿入されている。
【0025】
光源部52は、発光ダイオード61を実装した実装基板62と、反射体51に実装基板62を固定するためのベース部63と、を備えている。
この場合において、発光ダイオード61は実装基板62にクリームハンダなどの、熱伝導性接着剤で接着されている。また、実装基板62とベース部63との間には、放熱用シリコーングリースや放熱性シートなどで密着させることにより、発光ダイオード61の熱を光源部52側へ放熱し、発光ダイオード61の放熱効果を高めている。同様に、光源部52と反射体51との間にも、放熱用シリコーングリースや放熱性シートなどで密着させることにより、発光ダイオード61からの熱を反射体51へ放熱し、発光ダイオード61の放熱効果を高めている。
【0026】
実装基板62には、当該実装基板62をベース部63に図示しないねじにより固定するためのねじ孔64が設けられている。
ベース部63には、実装基板62を図示しないねじにより固定するためのねじ受け孔65および当該ベース部63を反射体51に図示しないねじにより固定するためのねじ孔66が設けられている。このねじ孔66に対応して、反射体51には、ねじ受け孔53が設けられている。
図13においては、反射体51および光源部52は、発光ダイオード61から所望の照射光を得るために、反射面18の形状、発光ダイオード61の出射光の向き、分布などから最適な位置が選定され、配置されている。
また、発光ダイオード61からの熱を放熱するために、反射体51および光源部52は、熱的に結合されている。
さらに、発光ダイオード61において生じる熱を放熱するために、発光ダイオード61を実装した実装基板62と、ベース部63は熱的に結合されている。
【0027】
本第3実施形態によれば、第1実施形態および第2実施形態と同様に、反射体を鍛造により形成しているので、従来のアルミダイキャスト製の反射体が照明用の反射体とするための反射率向上処理(鏡面化)として、バフ研磨などの機械研磨でおこなうため、金属粉、バフくずなどの付着物が付くといったことが懸念されたのに対し、製造時間の短縮および短くできるなどの利点がある。
したがって、本第3実施形態の照明器具によれば、低コストで反射率の高い反射面を有する反射体を製造することが可能となり、さらに発熱量の大きい高輝度の光源(例えば、発光ダイオード、HIDランプ)を光源として用いる場合であっても、放熱効率が高く実用的な照明器具を構成することが可能となる。
さらに、発光ダイオードでは、自身が発する熱あるいは周囲の環境温度によって、温度が高くなるに従い光量低下が起こるため、いかに熱を放熱させるかが重要であり、本実施形態の金属材料を用いた反射体を用いることにより、光量低下を抑制することが可能となる。
【0028】
[4]第4実施形態
図15は、第4実施形態の照明器具(光源装置)の外観斜視図である。
図16は、第4実施形態のベース部の断面図である。図16において、図13のベース部と同様の部分には同一の符号を付すものとする。
図17は、第4実施形態のベース部に光源部を組み込んだ場合の平面図である。
照明器具70は、大別すると、反射面18を有する反射体71と、光源部72と、を備えている。
反射体71は、鍛造により一体に形成された複数の放熱フィン73を有する基体17を備えている。
光源部72は、発光ダイオード61を実装した実装基板62と、反射体51に実装基板62を固定するとともに、鍛造により一体に形成された複数の放熱フィン74を有するベース部75と、を備えている。
実装基板62には、当該実装基板62をベース部63に図示しないねじにより固定するためのねじ孔64が設けられている。
ベース部75は、発光ダイオード61が実装された実装基板62を収納する収納部76と、収納部76内に収納された実装基板62を図示しないねじにより固定するためのねじ受け孔77および当該ベース部75を反射体71に図示しないねじにより固定するためのねじ孔78と、図17中にハッチングを施した矩形で示すコネクタCTを配置するための切欠部79と、が設けられている。また、このベース部75は、ねじ孔78の一部を用いて、照明器具70と外部の壁面や、ポールなどの外部部材に取り付けるようにすることも可能である。
【0029】
図16においても、反射体71および光源部72は、発光ダイオード61から所望の照射光を得るために、反射面18の形状、発光ダイオード61の出射光の向き、分布などから最適な位置が選定され、配置されている。
また、発光ダイオード61からの熱を放熱するために、反射体71および光源部72は、熱的に結合されている。
さらに、発光ダイオード61において生じる熱を放熱するために、発光ダイオード61を実装した実装基板62と、ベース部75と、は熱的に結合されている。
この場合においても、反射体71の反射面部19は、第1実施形態と同様に、高純度アルミニウム(純度99.9%以上)を用い、反射面部19以外を構成している反射体71の基体の金属材料には純アルミニウムを用いている。
この場合においても、放熱フィン73、74の最適なフィン間隔Wは、例えば、次式により算出する。
W=5・(H/T)0.25
【0030】
ここで、最適フィン間隔Wとは同一体積で熱抵抗を最小することが可能な放熱フィンの間隔であり、Hは、放熱フィンの高さ(mm)であり、Tは許容温度上昇(℃)である。
本第4実施形態の照明器具によれば、第3実施形態の効果に加えて、複数の放熱フィンを一体的に反射体に形成できるので、低コストで放熱効率の高い反射体を製造することができ、より発熱量の大きな高輝度の光源(発光ダイオード、HIDランプなど)を使用可能となる。
具体的には、反射体71および光源部72を併せた外形寸法が、高さ40mm、外径45mmφにおいて、発光ダイオード61に3.5Wの電源を供給した場合、光源部72側面の温度上昇を30℃以内とすることができた。
さらには、反射体71に加えて、このように光源部72にも放熱フィンを一体成型することで、放熱性を高めることができるとともに、同一デザイン形状とすることで、全体的なデザイン性も高めることができる。
【0031】
[4.1]第4実施形態の第1変形例
図18は、第4実施形態の第1変形例のベース部の平面図である。
第4実施形態の説明においては、光源部72は、一つの発光ダイオード61を実装した実装基板62を備えていたが、本第1変形例の光源部72−1は、複数(図18では、5個)の発光ダイオード61を実装基板62に備えている。
本第1変形例によれば、より高輝度の照明器具を構成することが可能となる。
【0032】
[4.2]第4実施形態の第2変形例
図19は、第4実施形態の第2変形例の照明器具の外観斜視図である。
第4実施形態の説明においては、反射体71および光源部72の双方が放熱フィンを備える構成であったが、本第2変形例のように、反射体71にのみ放熱フィンを設け、光源部72−2には、放熱フィンを設けないように構成することも可能である。
この結果、放熱特性を必要以上に低下させることなく、安価に照明器具を製造することが可能となる。
【0033】
[5]第5実施形態
図20は、本発明の第5実施形態の照明器具の説明図である。
図15の第4実施形態の照明器具は、反射体71および光源部72を備える構成であったが、本第5実施形態の照明器具80は、さらに放熱フィン81を有する放熱部82を設けた場合の実施形態である。
本第5実施形態によれば、光源部72を構成する光源の発熱が大きい場合、光源部72を反射体71とで挟むように、放熱部82を設けることで、さらなる放熱効率の向上を図っている。
この結果、光源として発光ダイオードを用いる場合等には、発光ダイオードの放熱を促し、同一発光ダイオードにおいても、光量を増大させることができる。
この場合において、放熱部82は、光源部72と熱的に結合されている。また、放熱部82の形状、加工法、材質はその目的の範囲内で様々考えられる。例えば、材質としては、アルミニウム、銅などを用い、鍛造、削りだし、ダイキャストなどの加工法で製造することが可能である。
【0034】
[6]第6実施形態
以上の各実施形態においては、照明器具あるいは反射体の外形形状として、略円筒形の場合について説明したが、本第6実施形態の反射体は、直方体形状とした場合の実施形態である。
図21は、複数の反射体を直列に配置して反射体ユニットを構成した場合の平面図である。
図22は、複数の反射体を直列に配置して反射体ユニットを構成した場合の断面図である。
図21および図22において、図1と同様の部分には同一の符号を付すものとする。
図21および図22に示すように、第6実施形態の反射体は、規則正しく配列させることにより反射体ユニット90を容易に構成することができ、所望の照射エリアに合わせた個数を容易に配置することが可能となる。
また、図21および図22に示す反射体を一体加工し、複数の反射面18を有する一体の反射体ユニットを形成するように構成することも可能である。
【0035】
[7]実施形態の変形例
以上の説明においては、反射体に用いた金属材料はアルミニウムを用いていたが、金属材料は、鍛造加工ができるものであれば特に限定されるものではない。なお、軽量化および反射面の面粗度の観点からはアルミニウムが好ましい。
また、以上の説明においては、反射面を鏡面としていたが、反射面の一部を梨地状としてもよい。
この構成によれば、梨地部分では、光が拡散されることとなり、光量の低下を抑制しつつ、柔らかな照明を行うことができる。
また、反射面の全部を梨地状とすることも可能である。
この構成によれば、全体的に柔らかな照明がおこなえる。
【0036】
[8]実施形態の効果
以上の説明のように、反射体を構成する材料を金属にしたことによって、反射体自体の光源から発せられる熱や紫外線に対する耐久性を向上させることができる。
特に、発光ダイオードのように、温度が高くなるに従い光低下が起こる光源を用いる照明器具においては、いかに熱を放熱させるかが重要な技術となっており、金属材料を用いた本実施形態の反射体は、これらの光源を用いた照明器具には適したものとなっている。
さらに、反射体には、光源を取付けるための接続部や反射体自体を外部に取り付けるための取付部も、鍛造によって一体加工できるため、あらためて加工をする必要が無く、作業工程を減らすことができる。
加えて放熱フィンを設ける場合であっても、反射面の形成のための鍛造加工と同時に一体成型可能であるため、部品数も増加することなく、作業工程の増加も抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1実施形態の照明器具(光源装置)の模式断面図である。
【図2】第1実施形態の反射体の平面図である。
【図3】第1実施形態の反射面形状の説明図である。
【図4】第1変形例の照明器具(光源装置)の模式断面図である。
【図5】第1実施形態の第2変形例の照明器具の平面図である。
【図6】第1実施形態の第2変形例の照明器具のA−A断面図である。
【図7】第1実施形態の第2変形例の照明器具のB−B断面図である。
【図8】第2実施形態の照明器具(光源装置)の模式断面図である。
【図9】第2実施形態の照明器具(光源装置)の平面図である。
【図10】第2実施形態の第1変形例の反射体の詳細説明断面図である。
【図11】図10の反射体の矢印C方向に沿った矢視図である。
【図12】第3実施形態の照明器具(光源装置)の外観斜視図である。
【図13】第3実施形態の照明器具の断面図である。
【図14】第3実施形態の反射体の断面図である。
【図15】第4実施形態の照明器具(光源装置)の外観斜視図である。
【図16】第4実施形態のベース部の断面図である。
【図17】第4実施形態のベース部に光源部を組み込んだ場合の平面図である。
【図18】第4実施形態の第1変形例のベース部の平面図である。
【図19】第4実施形態の第2変形例の照明器具の外観斜視図である。
【図20】本発明の第5実施形態の照明器具の説明図である。
【図21】複数の反射体を直列に配置して反射体ユニットを構成した場合の平面図である。
【図22】複数の反射体を直列に配置して反射体ユニットを構成した場合の断面図である。
【符号の説明】
【0038】
10 照明器具
11 反射体
12 光源ユニット
15 光源配置部
16 反射面基部
16A 底部
17 基体
18 反射面
19 反射面部
20 取付ベース
21 固定用孔
24 放熱フィン
25 ランプ
26 ランプソケット
27 接続部
28 リード線
30 照射光
40 照明器具
41 反射体
42 放熱フィン
50 照明器具
51 反射体
52 光源部
61 発光ダイオード
62 実装基板
63 ベース部
70 照明器具
71 反射体
72 光源部
73 放熱フィン
74 放熱フィン
75 ベース部
76 収納部
80 照明器具
81 放熱フィン
82 放熱部
90 反射体ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍛造により一体に形成された光源配置部および反射面基部を有する基体と、
前記反射面基部上に形成され、反射面を有する反射面部と、
を備えたことを特徴とする照明用反射体。
【請求項2】
請求項1記載の照明用反射体において、
前記基体と、前記反射面部とは、互いに異なる金属で形成されていることを特徴とする照明用反射体。
【請求項3】
請求項2記載の照明用反射体において、
前記反射面部を形成する金属は、高純度アルミニウムであることを特徴とする照明用反射体。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の照明用反射体において、
前記反射面の面粗度が、Rmax=0.4μm以下とされていることを特徴とする照明用反射体。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の照明用反射体において、
前記反射面部には、反射率向上処理が施されていることを特徴とする照明用反射体。
【請求項6】
請求項5記載の照明用反射体において、
前記反射率向上処理は、化学研磨処理、電解研磨処理、蒸着処理あるいは陽極酸化皮膜形成処理であることを特徴とする照明用反射体。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の照明用反射体において、
前記反射面の一部が梨地状とされていることを特徴とする照明用反射体。
【請求項8】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の照明用反射体において、
前記反射面の全部が梨地状とされていることを特徴とする照明用反射体。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の照明用反射体において、
前記基体は、前記鍛造により放熱フィンが一体成形されていることを特徴とする照明用反射体。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の照明用反射体において、
前記基体には、当該基体を所定の取付位置に取り付けるための取付部、あるいは、前記光源配置部に光源を取り付けるための光源取付部が一体に設けられていることを特徴とする照明用反射体。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の照明用反射体と、
前記光源配置部に配置され、発光体を有する光源部と、
を備えたことを特徴とする光源装置。
【請求項12】
請求項11記載の光源装置において、
前記発光体は、複数設けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の光源装置において、
前記光源部は、前記発光体と、
前記発光体に外部から電力を供給するための配線部と、
前記発光体を固定し、保持するととともに、前記光源配置部に当該光源部を固定するためのベース部と、
を備えたことを特徴とする光源装置。
【請求項14】
請求項11ないし請求項13のいずれかに記載の光源装置において、
前記発光体は、発光ダイオードであることを特徴とする光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−117558(P2008−117558A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297557(P2006−297557)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【出願人】(592247768)大成電機工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】