説明

照明用電源装置、照明装置、および照明制御システム

【課題】従来の非常用照明装置では、内蔵される二次電池の交換時期を確認する作業が面倒であった。
【解決手段】照明灯12に電力を供給する照明電力出力端子28と、入力される交流電力19を直流電力に変換する電力変換部21と、変換された直流電力が充電されるリチウムイオン電池18と、リチウムイオン電池に蓄電されている電力の残容量を検出する残容量検出部23と、その残容量を明示するLEDインジケーター16と、その残容量を記録するメモリー26と、メモリーへの読み書きを行なうために外部機器30を接続するUSBソケット17と、交流電力の入力が停止した際に、リチウムイオン電池に蓄積された電力を照明電力出力端子から出力させる制御部20とを備える。USBソケットの電力出力ピンには、リチウムイオン電池に蓄積された電力が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明用電源装置、照明装置および照明制御システムに関する。例えば、充電可能な二次電池を内蔵した照明用電源装置、照明装置および照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
誘導灯や非常灯のような非常用の照明装置は、商用電源の非停電時には商用電源から供給される交流電力で光源を点灯するとともに二次電池を充電し、火災や地震等による商用電源が遮断された停電時には、二次電池などの非常用の電源で光源を点灯(非常点灯)させるものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図10に、従来の天井埋込電池内蔵形照明装置の概要図を示す。
【0004】
図10に示すように、天井に設置される照明装置100は、蛍光灯ランプ102が照明灯本体カバー103に両端が保持され、照明灯本体カバー103内に、蛍光灯ランプ102に供給する電力を制御する照明用電源装置101が収納されている。
【0005】
照明用電源装置101には、内蔵電池の充電状態などを確認するためのモニターランプ106が設けられており、照明灯本体カバー103のモニターランプ106が配置される位置には、モニターランプ確認窓104が形成されており、モニターランプ確認窓104を通して、常時モニターランプ106の状態が外部から視認できるようになっている。
【0006】
例えば、照明用電源装置101に内蔵されているニッカド電池などの二次電池が充電中の状態では、モニターランプ106が緑色に点灯する。
【0007】
また、照明用電源装置101には、点検スイッチ105が設けられている。点検スイッチ105は、プルダウンスイッチであり、おもりがつるされ、照明灯本体カバー103に設けられた孔を介してそのおもりを引っ張ることにより、点検スイッチ105をオンにすることができる。
【0008】
誘導灯や非常灯の点検は、消防庁告示、建築基準法等で義務付けされているが、規定では誘導灯が20分間または60分間、非常灯の場合は30分間、光源を有効に二次電池で非常点灯させなければいけない。したがって、このように長時間点灯させ続けるために、点検者は点検スイッチ105のおもりを引っ張り、これらの時間内継続して、内蔵された二次電池等によって蛍光灯ランプ102が非常点灯可能か否かを見て廻る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−310729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の非常用照明装置では、内蔵される二次電池の交換時期を確認する作業が面倒であった。
【0011】
上記したように、非常用照明装置は、消防庁告示、建築基準法等によって規定された時間以上、非常時に点灯しなければならない。一方、非常用照明装置に内蔵される二次電池は、トリクル充電されるため時間が経過するとともに劣化し蓄電量が低下していくため、定期的に交換しなければならない。
【0012】
従来の非常用照明装置では、1つのモニターランプ106によって、二次電池が充電状態か否かを確認できるのみで、二次電池の劣化状態までは確認できなかった。そのため、照明灯本体カバー103などに貼られている検査日時を示す検定用シールの記載を見て電池の交換時期を確認しなければならず、非常に面倒な作業であった。
【0013】
本発明は、上記従来の課題を考慮して、内蔵されている二次電池の劣化状態を容易に確認できる照明用電源装置、照明装置および照明制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するために、第1の本発明は、
照明灯に電力を供給する照明電力出力端子と、
入力される交流電力を直流電力に変換する電力変換部と、
変換された前記直流電力が充電されるリチウムイオン電池と、
前記リチウムイオン電池に蓄電されている電力の残容量を検出する残容量検出部と、
少なくとも前記残容量を明示するLEDインジケーターと、
少なくとも前記残容量を記録するメモリーと、
前記メモリーへの読み書きを行なうために外部機器を接続するUSBソケットと、
前記交流電力の入力が停止した際に、前記リチウムイオン電池に蓄積された電力を前記照明電力出力端子から出力させる制御部とを備え、
前記USBソケットの電力出力ピンには、前記リチウムイオン電池に蓄積された電力が供給される、照明用電源装置である。
【0015】
また、第2の本発明は、
前記メモリーには、前記交流電力の入力が停止した際の前記照明灯の明るさに関する停電時設定情報が予め記録されており、
前記制御部は、前記交流電力の入力が停止した際、前記停電時設定情報に基づいて前記照明電力出力端子から出力させる電力量を制御する、第1の本発明の照明用電源装置である。
【0016】
また、第3の本発明は、
前記リチウムイオン電池の故障を報知する警報部を備え、
前記リチウムイオン電池は複数あり、
前記制御部は、一の前記リチウムイオン電池が故障した際、前記照明電力出力端子への電力の供給を前記一のリチウムイオン電池から他の前記リチウムイオン電池へ変更し、前記一のリチウムイオン電池が故障したことを前記警報部によって報知させる、第1の本発明の照明用電源装置である。
【0017】
また、第4の本発明は、
ラジオ放送を受信するラジオ受信部と、
受信した前記ラジオ放送の音声を出力する音声出力部とを備え、
前記制御部は、前記交流電力の入力が停止した際に、前記ラジオ受信部によって前記ラジオ放送の受信を開始させ、前記音声出力部から前記ラジオ放送の音声を出力させる、第1の本発明の照明用電源装置である。
【0018】
また、第5の本発明は、
照明灯と、
前記照明灯を保持する照明灯本体カバーと、
前記照明灯本体カバー内に収納された、第1の本発明の照明用電源装置とを備え、
前記LEDインジケーターは、前記照明灯本体カバーの外から見えるように設置されており、
前記USBソケットは、前記照明灯本体カバーに配設されている、照明装置である。
【0019】
また、第6の本発明は、
前記USBソケットに接続される内部コードは、フレキシブルなコードであり、前記照明灯本体カバーの内部に収納され、前記USBソケットは、前記照明灯本体カバーから脱着自在になっている、第5の本発明の照明装置である。
【0020】
また、第7の本発明は、
有線または無線で通信するための通信部を有する第1の本発明の照明用電源装置と、
前記照明用電源装置から供給される電力によって点灯する前記照明灯と、
前記通信によって、少なくとも前記残容量を含む前記リチウムイオン電池の電池状態情報を複数の前記照明用電源装置からそれぞれ受信し、各前記照明用電源装置の前記リチウムイオン電池の充電および放電を制御する管理サーバーとを備えた、照明制御システムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、内蔵されている二次電池の劣化状態を容易に確認できる照明用電源装置、照明装置および照明制御システムを提供できる。
【0022】
また、第6の本発明により、USBソケットを、例えば天井に設置されている照明装置から机上まで引き出せることができるので、引き出したUSBソケットを机上に置いた携帯電話の充電に利用でき、停電時においても容易に携帯電話の充電を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1の照明装置の概要図
【図2】本発明の実施の形態1の照明用電源装置の接続図
【図3】本発明の実施の形態1の照明用電源装置の構成ブロック図
【図4】(a)〜(d)本発明の実施の形態1の照明用電源装置の状態を明示する、LEDインジケーターの各LEDの状態を示した図
【図5】(a)〜(d)本発明の実施の形態1のリチウムイオン電池の蓄電容量を明示する、LEDインジケーターの各LEDの状態を示した図
【図6】本発明の実施の形態1の照明用電源装置によって携帯電話を充電する構成を示す図
【図7】本発明の実施の形態1の、他の構成の照明用電源装置の構成ブロック図
【図8】本発明の実施の形態2の照明用電源装置の構成ブロック図
【図9】本発明の実施の形態2の照明制御システムの接続構成を示す図
【図10】従来の天井埋込電池内蔵形照明装置の概要図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1の、照明装置の概要図を示す。また、図2に、本実施の形態1の照明用電源装置の接続図を示す。また、図3に、本実施の形態1の照明用電源装置の構成ブロック図を示す。
【0026】
本実施の形態1の照明装置10は、非常用の照明装置であり、天井に設置される。
【0027】
図1に示すように、本実施の形態1の照明装置10は、LED照明管12が照明灯本体カバー13に両端が保持され、照明灯本体カバー13内に、LED照明管12に直流電力を供給する照明用電源装置11が収納されている。
【0028】
照明用電源装置11には、照明用電源装置11の状態や内蔵するリチウムイオン電池18の蓄電量(残容量)などを明示するためのLEDインジケーター16が設けられている。照明灯本体カバー13のLEDインジケーター16が配置される位置には、LED確認窓14が形成されており、LED確認窓14を通して、常時LEDインジケーター16の発光状態が外部から視認できるようになっている。
【0029】
また、照明用電源装置11には、PC30などの外部機器によって照明用電源装置11内部のメモリー26への読み書きをするためのUSBソケット17が設けられており、USBソケット17もLED確認窓14から露出している。
【0030】
また、図10に示した従来の照明装置100と同様に、照明用電源装置11には、点検スイッチ15が設けられている。点検スイッチ15は、プルダウンスイッチであり、おもりがつるされ、照明灯本体カバー13に設けられた孔を介してそのおもりを引っ張ることにより、点検スイッチ15をオンにすることができる。
【0031】
次に、図2および図3を用いて、本実施の形態1の照明用電源装置11の構成および動作について説明する。
【0032】
本実施の形態1の照明用電源装置11には、商用のAC電源19から100〜240Vの交流電力が供給される。
【0033】
AC電源19から交流電力が供給される通常時(非停電時)には、整流器21によって変換された直流電力が照明用電力出力端子28から出力され、照明用電力出力端子28に接続されるLED照明管12に直流電力が供給されてLED照明管12が点灯する。また、整流器21によって変換された直流電力は、内蔵されるリチウムイオン電池18にも供給され、リチウムイオン電池18を充電する。
【0034】
AC電源19からの交流電力が停止した時(停電時)には、出力切替スイッチ27が切り替えられて、リチウムイオン電池18に充電された直流電力が照明用電力出力端子28へ供給される。
【0035】
なお、照明用電力出力端子28が、本発明の照明電力出力端子の一例にあたる。
【0036】
制御部20は、停電検出部22および残容量検出部23によって検出された情報と、メモリー26に記録されている予め決められた設定情報にしたがって、リチウムイオン電池18の充放電、出力切替スイッチ27の切り替えを制御する。
【0037】
停電検出部22は、入力されるAC電源19の通電状態を検出する。すなわち、入力される商用電源が通電状態か停電状態かを検出する。
【0038】
残容量検出部23は、リチウムイオン電池18の充電・放電状態を検出するとともに、リチウムイオン電池18に蓄電されている蓄電容量(残容量)を検出し、それらの検出情報を制御部20へ通知する。検出方法は限定されないが、リチウムイオン電池18の残容量は細かく検出される。例えば、リチウムイオン電池18の温度を考慮したり、検出用の電力をリチウムイオン電池18に別途供給するなどして、リチウムイオン電池18の残容量が細かく検出される。
【0039】
メモリー26には、停電時にリチウムイオン電池18から放電させる直流電力の電流値などが予め設定されている。制御部20は、入力されるAC電源19の停止が停電検出部22によって検出された際、出力切替スイッチ27を、整流器21の出力からリチウムイオン電池18の出力に切り替えるように制御するとともに、メモリー26に予め記録されている電流値の直流電力を出力するようにリチウムイオン電池18の放電量を制御する。
【0040】
なお、メモリー26に予め記録されている停電時にリチウムイオン電池18から放電させる直流電力の電流値などの情報が、本発明の停電時設定情報の一例にあたる。
【0041】
照明装置10は、その設置場所によって、明るく点灯させた方がよい場所や、暗くてもより長い時間点灯させた方がよい場所などがある。メモリー26には、照明用電源装置11毎に、その照明装置10が設置されている場所に応じた停電時の設定が予め記録されている。したがって、停電時には、LED照明管12は、その照明装置10の設置場所に応じた点灯がなされることになる。
【0042】
また、照明用電源装置11は、USBインターフェイス25を備えており、USBソケット17を介して、PC30などの外部機器からメモリー26に読み書きが可能となっている。PC30などの外部機器は、USBプラグ31を、LED確認窓14から露出しているUSBソケット17に接続することにより、照明用電源装置11内のメモリー26への読み書きを行なう。
【0043】
USBソケット17の電力供給ピンには、リチウムイオン電池18から出力される直流電力がDC−DC変換部24に入力され、DC−DC変換部24によって5Vに降圧された直流電力が供給されている。したがって、AC電源19からの入力が停止した場合(停電時)においても、USBソケット17の電力供給ピンからは、5Vの直流電力が出力される。
【0044】
点検スイッチ15のおもりが引っ張られてプルダウンスイッチがオンされると、制御部20は、照明用電源装置11が停電時の状態となるように制御する。すなわち、制御部20は、メモリー26に記録されている停電時の設定に応じてリチウムイオン電池18から直流電力を出力させるとともに、出力切替スイッチ27を、リチウムイオン電池18からの出力に切り替えるように制御する。このようにして、点検スイッチ15を引っ張ることにより、停電時の状態を点検することができる。
【0045】
また、照明用電源装置11は、警報ブザー29を備えており、制御部20は、残容量検出部23からリチウムイオン電池18の故障を検知した場合などに、警報ブザー29を鳴動させて、故障を周囲に報知する。
【0046】
なお、警報ブザー29が、本発明の警報部の一例にあたる。
【0047】
本実施の形態1の照明用電源装置11のLEDインジケーター16は、4つのLED41〜44を有しており、制御部20によって、これらのLED41〜44の点灯、消灯、点滅、および点灯・点滅色が制御され、照明用電源装置11の状態やリチウムイオン電池18の蓄電容量(残容量)が外部に明示される。
【0048】
図4(a)〜(d)に、照明用電源装置11の状態をLEDインジケーター16によって表示する際の、各LED41〜44の表示例を示している。
【0049】
リチウムイオン電池18が充電中の場合には、制御部20は残容量検出部23の検出情報にしたがって、図4(a)に示すように、LED41を赤色に点灯させるように制御する。このとき、他のLED42〜44は、消灯させている。
【0050】
リチウムイオン電池18がフル充電の状態の場合には、制御部20は残容量検出部23の検出情報にしたがって、図4(b)に示すように、LED42を緑色に点灯させるように制御する。このとき、他のLED41、43、44は、消灯させている。
【0051】
AC電源19からの電力供給が停止し、リチウムイオン電池18の出力電力を照明用電力出力端子28から出力させている場合には、制御部20は、図4(c)に示すように、LED43を赤色に点灯させるように制御する。このとき、他のLED41、42、44は、消灯させている。
【0052】
制御部20が、残容量検出部23の検出情報によってリチウムイオン電池18の故障状態などを検出した場合には、制御部20は、図4(d)に示すように、LED42を赤色で点滅させるように制御する。このとき、他のLED41〜43は、消灯させている。
【0053】
図5(a)〜(d)に、リチウムイオン電池18の蓄電容量をLEDインジケーター16によって表示する際の、各LED41〜44の表示例を示している。
【0054】
例えば、点検スイッチ15を引っ張っていない通常の状態では、図4(a)〜(d)のように照明用電源装置11の状態を各LED41〜44に表示させ、点検スイッチ15を引っ張った際に、図5(a)〜(d)のようにリチウムイオン電池18の蓄電容量を各LED41〜44に表示させるようにする。
【0055】
残容量検出部23で検出されたリチウムイオン電池18の残容量が70〜100%であった場合には、制御部20は、図5(a)に示すように、LED41〜44を全て緑色に点灯させるように制御する。
【0056】
残容量検出部23で検出されたリチウムイオン電池18の残容量が40〜70%であった場合には、制御部20は、図5(b)に示すように、LED41を消灯させ、LED42〜44を緑色に点灯させるように制御する。
【0057】
残容量検出部23で検出されたリチウムイオン電池18の残容量が10〜40%であった場合には、制御部20は、図5(c)に示すように、LED41、42を消灯させ、LED43、44を緑色に点灯させるように制御する。
【0058】
残容量検出部23で検出されたリチウムイオン電池18の残容量が10%未満であった場合には、制御部20は、図5(d)に示すように、LED41〜43を消灯させ、LED44を緑色で点灯させるように制御する。
【0059】
このように、外部から視認できるLEDインジケーター16として複数のLED41〜44を設けたことにより、照明用電源装置11の状態やリチウムイオン電池18の蓄電容量の詳細な情報を、外部から容易に確認することができる。リチウムイオン電池18の劣化状態を容易に確認できるので、リチウムイオン電池18の交換時期が容易にわかり、点検作業が簡単になる。
【0060】
なお、ここでは、LEDインジケーター16として4つのLED41〜44を備えた構成を例に説明したが、LEDの数は、複数であればよく、4つより多くても少なくてもよい。LEDの数を多くすることにより、照明用電源装置11の状態やリチウムイオン電池18の蓄電容量などの情報を、より細かく明示することができる。
【0061】
図6に、本実施の形態1の照明用電源装置11によって携帯電話を充電する際の構成を示す。
【0062】
照明用電源装置11内において、USBソケット17に接続される内部USBコード35は、フレキシブルな長いコードであり、通常は、折りたたまれまたは巻き取られて、照明用電源装置11内に収納されており、図1に示すようにUSBソケット17の接続端子部分のみが照明灯本体カバー13から外部に露出している。
【0063】
なお、内部USBコード35が、本発明の内部コードの一例にあたる。
【0064】
USBソケット17は、配設されている照明灯本体カバー13から着脱可能であり、図6に示すように、内部USBコード35を照明用電源装置11から引き出し、USBソケット17を照明装置10から離れた位置まで持っていくことができる。
【0065】
照明装置10から引き出したUSBソケット17に、携帯電話36の充電用端子に一端が接続されたUSB変換コード37の他端のUSBプラグを接続することで、携帯電話36を充電することができる。USBソケット17の電力出力ピンには、リチウムイオン電池18に蓄電されている電力が供給されるので、停電時でも携帯電話36への充電が可能となる。
【0066】
なお、上記した本実施の形態1の構成では、USBソケット17の接続端子部分は、通常時、LED確認窓14から露出しているものとしたが、USBソケット17の接続端子部分の照明灯本体カバー13に開閉自在の蓋を設けておき、通常はUSBソケット17は外部からは見えず、USBソケット17を使用する際に蓋を開けて使用するようにしてもよい。
【0067】
図7に、本実施の形態1の、他の構成の照明用電源装置32の構成ブロック図を示す。図3の照明用電源装置11と同じ構成部分には、同じ符号を用いている。
【0068】
図7に示す照明用電源装置32は、図3の照明用電源装置11の構成に加えて、ラジオ受信部33およびスピーカー34を備えている。
【0069】
ラジオ受信部33は、例えば一波のFM放送のみを受信するラジオ受信機であり、スピーカー34は、ラジオ受信部33で受信された音声を出力する。ラジオ受信部33は、リチウムイオン電池18に蓄電された電力によって動作する。
【0070】
なお、スピーカー34が、本発明の音声出力部の一例にあたる。
【0071】
制御部20は、AC電源19が供給されている通常時には、ラジオ受信部33の電源をオフにしておき、停電検出部22によってAC電源19の供給の停止が検知された際に、ラジオ受信部33の電源をオンにし、ラジオ受信部33で受信された音声をスピーカー34から出力するように制御する。
【0072】
したがって、停電になった時には、自動的にラジオ放送の音声がスピーカー34から出力されるので、照明装置10の周囲の人は緊急情報などを聴くことができる。
【0073】
また、本実施の形態1の照明用電源装置に振動を検出するセンサーを設け、所定以上の振動を検出した際に、地震が発生したと判断し、警報ブザー29を鳴動させるようにしてもよい。また、所定以上の振動を検出した際に、LEDインジケーター16によっても、周囲に地震を通知するようにしてもよい。例えば、制御部20が、4つのLED41〜44全てを赤色で点滅させるなど目立つように表示させて、周囲に大きな振動を検出したことを通知する。
【0074】
また、本実施の形態1の照明用電源装置にFM文字放送を受信できるラジオ受信部を設け、制御部20が、FM文字放送から受信された文字情報から緊急地震速報などの情報を抽出し、緊急情報を受信した場合には、警報ブザー29やLEDインジケーター16によって、周囲の人に通知するようにしてもよい。
【0075】
(実施の形態2)
図8に、本発明の実施の形態2の照明用電源装置の構成ブロック図を示す。図3に示した実施の形態1の照明用電源装置11と同じ構成部分には、同じ符号を用いている。
【0076】
本実施の形態2の照明装置の概要図および照明用電源装置50の接続図は、実施の形態1と同様であり、図1および図2に示す通りである。
【0077】
本実施の形態2の照明用電源装置50は、実施の形態1の照明用電源装置11の構成に加えて、外部通信部51を備えている。
【0078】
照明用電源装置50の制御部54は、実施の形態1の制御部20の機能に加えて、外部通信部51を利用して、ネットワークに接続される外部の機器と通信する機能を備えている。
【0079】
外部通信部51は、無線や有線によって外部のネットワークと通信するインターフェイスであり、インターネット52に接続される。
【0080】
図9に、本実施の形態2の照明用電源装置50と管理サーバー53との接続構成図を示す。
【0081】
管理サーバー53は、インターネット52を介して、異なる場所に設置された複数の照明用電源装置50から送信される情報を受信し、また、それらの照明用電源装置50の制御部54へ制御情報を送信して、各照明用電源装置50を制御する。
【0082】
照明用電源装置50の制御部54は、残容量検出部23によって検出されたリチウムイオン電池18の残容量の情報をメモリー26に記録するとともに、その情報を、外部通信部51を利用して管理サーバー53へ送信する。
【0083】
AC電源19が停止して停電になった場合でも、管理サーバー53は、停電になる直前の照明用電源装置50のリチウムイオン電池18の残容量を取得しているので、その直前の残容量の状態に応じて、照明用電源装置50へ適切な制御情報を送信し、照明用電源装置50を制御することができる。
【0084】
また、外部通信部51は、インターネット52に接続されているので、停電になった際、制御部54が、インターネット52を通じて気象庁から発信される地震情報などの緊急情報を受信し、その情報にしたがって照明用電源装置50を制御するようにしてもよい。
【0085】
また、本実施の形態2の照明用電源装置50に振動を検出するセンサーを設け、所定以上の振動を検出した際に、地震が発生したと判断し、制御部54が、その情報を管理サーバー53へ送信するようにしてもよい。
【0086】
また、各実施の形態では、照明用電源装置に内蔵するリチウムイオン電池18が1個の構成について説明したが、リチウムイオン電池18を複数個内蔵する構成や、外付けで別のリチウムイオン電池を接続できる構成としてもよい。複数のリチウムイオン電池を備える構成では、例えば、制御部が、各リチウムイオン電池の残容量に基づいて電力を出力させるリチウムイオン電池を切り替え制御して、より長時間、LED照明管12を点灯させるようにできる。
【0087】
また、各実施の形態では、照明灯としてLED照明管12を用いる構成で説明したが、交流電力によって駆動される一般的な蛍光灯を用いる構成としてもよい。その場合には、通常時には、AC電源19から入力される交流電力をそのまま蛍光灯へ供給し、停電時には、リチウムイオン電池18から出力する直流電力をインバーターによって交流電力に変換して蛍光灯に供給する。
【0088】
また、各実施の形態では、天井に設置する照明装置を例に説明したが、壁や足元などに設置する非常用の照明装置についても、本発明を適用できる。
【0089】
従来の非常用の照明装置では、内蔵電池として一般的にニッカド電池を使用していたが、本発明では、リチウムイオン電池を使用することで、環境に配慮するとともに、従来よりも充電容量を大きくできる。
【0090】
また、従来の非常用の照明装置では、照明灯として蛍光灯や白熱灯を用いることが多いのに対し、本発明では、LED照明管12を使用することで、従来よりも消費電力が抑制され、その結果、非常時により長い時間点灯させることができる。
【0091】
非常灯は、非常時に30分間以上の点灯が義務づけられているのに対し、本発明の構成では、例えば、LED照明管12として40形のLED照明管を用い、リチウムイオン電池18として蓄電容量2000mAhのものを用いた場合、フル充電で3時間以上連続点灯させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明に係る照明用電源装置、照明装置および照明制御システムは、内蔵されている二次電池の劣化状態を容易に確認できる効果を有し、充電可能な二次電池を内蔵した照明用電源装置、照明装置および照明制御システム等として有用である。
【符号の説明】
【0093】
10 照明装置
11 照明用電源装置
12 LED照明管
13 照明灯本体カバー
14 LED確認窓
15 点検スイッチ
16 LEDインジケーター
17 USBソケット
18 リチウムイオン電池
19 AC電源
20 制御部
21 整流器
22 停電検出部
23 残容量検出部
24 DC−DC変換部
25 USBインターフェイス
26 メモリー
27 出力切替スイッチ
28 照明用電力出力端子
29 警報ブザー
30 PC
31 USBプラグ
32 照明用電源装置
33 ラジオ受信部
34 スピーカー
35 内部USBコード
36 携帯電話
37 USB変換コード
41、42、43、44 LED
50 照明用電源装置
51 外部通信部
52 インターネット
53 管理サーバー
54 制御部
100 照明装置
101 照明用電源装置
102 蛍光ランプ
103 照明灯本体カバー
104 モニターランプ確認窓
105 点検スイッチ
106 モニターランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明灯に電力を供給する照明電力出力端子と、
入力される交流電力を直流電力に変換する電力変換部と、
変換された前記直流電力が充電されるリチウムイオン電池と、
前記リチウムイオン電池に蓄電されている電力の残容量を検出する残容量検出部と、
少なくとも前記残容量を明示するLEDインジケーターと、
少なくとも前記残容量を記録するメモリーと、
前記メモリーへの読み書きを行なうために外部機器を接続するUSBソケットと、
前記交流電力の入力が停止した際に、前記リチウムイオン電池に蓄積された電力を前記照明電力出力端子から出力させる制御部とを備え、
前記USBソケットの電力出力ピンには、前記リチウムイオン電池に蓄積された電力が供給される、照明用電源装置。
【請求項2】
前記メモリーには、前記交流電力の入力が停止した際の前記照明灯の明るさに関する停電時設定情報が予め記録されており、
前記制御部は、前記交流電力の入力が停止した際、前記停電時設定情報に基づいて前記照明電力出力端子から出力させる電力量を制御する、請求項1に記載の照明用電源装置。
【請求項3】
前記リチウムイオン電池の故障を報知する警報部を備え、
前記リチウムイオン電池は複数あり、
前記制御部は、一の前記リチウムイオン電池が故障した際、前記照明電力出力端子への電力の供給を前記一のリチウムイオン電池から他の前記リチウムイオン電池へ変更し、前記一のリチウムイオン電池が故障したことを前記警報部によって報知させる、請求項1に記載の照明用電源装置。
【請求項4】
ラジオ放送を受信するラジオ受信部と、
受信した前記ラジオ放送の音声を出力する音声出力部とを備え、
前記制御部は、前記交流電力の入力が停止した際に、前記ラジオ受信部によって前記ラジオ放送の受信を開始させ、前記音声出力部から前記ラジオ放送の音声を出力させる、請求項1に記載の照明用電源装置。
【請求項5】
照明灯と、
前記照明灯を保持する照明灯本体カバーと、
前記照明灯本体カバー内に収納された、請求項1に記載の照明用電源装置とを備え、
前記LEDインジケーターは、前記照明灯本体カバーの外から見えるように設置されており、
前記USBソケットは、前記照明灯本体カバーに配設されている、照明装置。
【請求項6】
前記USBソケットに接続される内部コードは、フレキシブルなコードであり、前記照明灯本体カバーの内部に収納され、前記USBソケットは、前記照明灯本体カバーから脱着自在になっている、請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
有線または無線で通信するための通信部を有する請求項1に記載の照明用電源装置と、
前記照明用電源装置から供給される電力によって点灯する前記照明灯と、
前記通信によって、少なくとも前記残容量を含む前記リチウムイオン電池の電池状態情報を複数の前記照明用電源装置からそれぞれ受信し、各前記照明用電源装置の前記リチウムイオン電池の充電および放電を制御する管理サーバーとを備えた、照明制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−252832(P2012−252832A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123466(P2011−123466)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(301049571)八洲電業株式会社 (12)
【出願人】(511012662)Net LED株式会社 (1)
【Fターム(参考)】