説明

照明装置、および電子機器

【課題】抵抗値変化検出手段において、輝度寿命判定結果のばらつきや誤認識を低減することを目的とする。
【解決手段】抵抗値変化検出手段207は、並列に接続された一組のEL素子(203A、203B)と、前記一組のEL素子のいずれか一方の陽極10に接続された発光制御用TFT124と、発光制御用TFT124に直列接続された抵抗素子205とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置およびそれを備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子)は、軽く、薄くかつ低消費電力という特性を有するので、平面表示装置だけでなく、近年、面発光型の照明装置(以下、面発光装置)へも応用されている。
しかしながら、EL素子を用いた面発光装置は、一般的な照明装置に比べて、輝度寿命にまだ課題があり、明るさの低下が早い。
【0003】
製品として面発光装置を考えた場合、長期の使用となるので、光源の交換をどの時点で行うかが問題となる。一般的な照明装置の場合には、全く発光しなくなる時点ではなく、感覚的に暗くなった時点で、光源を交換する。
【0004】
特許文献1には、照明装置の光源の交換時期を知らせる方法が開示されている。特許文献1に記載の照明装置の光源の交換時期を知らせる方法は、有機EL素子が形成されている基板上に、抵抗値変化検出手段を設けて輝度寿命判定を行うことを特徴としている。抵抗値変化検出手段は、有機EL素子を並列に配置して、一方の有機EL素子の陽極に抵抗を設ける構成としている。即ち、2つの有機EL素子に異なる電流値を設定し、有機EL素子の劣化による抵抗値変化を検出している。ただし、抵抗値変化検出手段は、抵抗素子のみで電流値を設定しているため、輝度寿命判定結果のばらつきや誤認識し易いという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−272151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、前記抵抗値変化検出手段において、輝度寿命判定結果のばらつきや誤認識を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例に係る照明装置は、基板と、前記基板の一方の面に設けられ、EL素子からなる面発光部と、前記基板の一方の面に設けられ、前記面発光部を取り囲む外枠部と、前記外枠部の一部に、抵抗値変化検出手段と、を有し、
前記抵抗値変化検出手段は、並列に接続された一組の前記EL素子と、前記一組の前記EL素子のいずれか一方の陽極に接続されたトランジスターと、前記トランジスターに直列接続された抵抗素子と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本適用例に係る照明装置によれば、基板と、基板の一方の面に設けられ、EL素子からなる面発光部と、基板の一方の面に設けられ、面発光部を取り囲む外枠部と、外枠部の一部に、抵抗値変化検出手段と、を有し、抵抗値変化検出手段は、並列に接続された一組のEL素子と、一組のEL素子のいずれか一方の陽極に接続されたトランジスターと、トランジスターに直列接続された抵抗素子とで構成されている。これにより、抵抗素子が接続されていないEL素子の有機化合物層(機能層)に印加される電圧(実効電圧)を、抵抗素子が接続されたEL素子の有機化合物層(機能層)に印加される電圧(実効電圧)よりも大きくすることができる。更に、前記トランジスターと抵抗素子を直列接続しているので、前記トランジスターをスイッチング素子として使用し、前記トランジスターのOFF期間を設けることで、抵抗素子が接続されたEL素子の有機化合物層(機能層)に印加される実効電圧を低減できる。これによって、輝度寿命判定結果のばらつきや誤認識を低減することが可能となる。
【0010】
[適用例2]また、本発明は前記照明装置を適用した電子機器を含む。
【0011】
本適用例によれば、前記電子機器は前記面発光装置を備えているため、輝度寿命判定結果のばらつきや誤認識を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態である照明装置を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態である照明装置の交換時期表示部を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態である照明装置の抵抗値変化検出手段を示す等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態である照明装置としての面発光装置の一例を示す平面図である。
図1に示すように、面発光装置200は、基板上に、EL素子からなる面発光部201と、面発光部201を取り囲む外枠部202が備えられ、外枠部202の一部に面発光部201の交換時期を示す交換時期表示部(抵抗値変化検出手段)207が設けられている。
【0015】
図2は、図1の交換時期表示部(抵抗値変化検出手段)207の拡大平面図である。
交換時期表示部(抵抗値変化検出手段)207は、並列に接続された一組のEL素子203A、203Bが備えられており、一組のEL素子203A、203Bのいずれか一方の陽極に発光制御用トランジスターと抵抗素子(不図示)が直列接続されている。なお、説明を分かりやすくするために、ここではEL素子203Bの陽極に発光制御用トランジスターと抵抗素子が直列接続されているものとして、以下の説明を行う。
【0016】
一組のEL素子203A、203Bは並列に接続されており、EL素子203Bの陽極には、発光制御用トランジスターと抵抗素子が直列接続されているので、実際にEL素子の有機化合物層(機能層)に印加される電圧(実効電圧)は、陽極に発光制御用トランジスターと抵抗素子が直列接続されているEL素子203Bよりも陽極に発光制御用トランジスターと抵抗素子が直列接続されていないEL素子203Aの方が大きくなる。これにより、陽極に発光制御用トランジスターと抵抗素子が直列接続されていないEL素子203Aの初期輝度は、陽極に発光制御用トランジスターと抵抗素子が直列接続されているEL素子203Bの初期輝度よりも大きくなる。
【0017】
また、陽極に発光制御用トランジスターと抵抗素子が直列接続されていないEL素子203Aに印加される電圧(実効電圧)は、陽極に発光制御用トランジスターと抵抗素子が直列接続されているEL素子203Bに印加される電圧(実効電圧)よりも大きいので、一定時間発光させたときのEL素子の劣化は、陽極に発光制御用トランジスターと抵抗素子が直列接続されていないEL素子203Aの方が、陽極に発光制御用トランジスターと抵抗素子が直列接続されているEL素子203Bよりも早くなる。
【0018】
つまり、陽極に発光制御用トランジスターと抵抗素子が直列接続されていないEL素子203Aの劣化速度の方が、陽極に発光制御用トランジスターと抵抗素子が直列接続されているEL素子203Bの劣化速度よりも大きく、輝度が初期輝度の半分の値となるまでの期間(半減期)が短くなる。抵抗素子の抵抗値や駆動電圧などの条件を制御することにより、陽極に発光制御用トランジスターと抵抗素子が直列接続されていないEL素子203Aの半減期において、陽極に発光制御用トランジスターと抵抗素子が直列接続されていないEL素子203Aの輝度と、陽極に発光制御用トランジスターと抵抗素子が直列接続されているEL素子203Bの輝度との大小が切り替わるようにすることができる。
【0019】
ここで、図3を用いて、交換時期表示部(抵抗値変化検出手段)207について詳細に説明する。図3に示すとおり、交換時期表示部(抵抗値変化検出手段)207は、複数の走査線101と、これら走査線101に対して交差する方向に延びる信号線102と、これら信号線102に並列に延びる共通給電線103とが配線されている。走査線101及び信号線102の交点に発光領域Xが設けられている。
【0020】
信号線102に対しては、シフト-レジスター、レベルシフター、ビデオライン、及びアナログスイッチ等を備えるデータ側駆動回路が設けられている。一方、走査線101に対しては、シフトレジスター及びレベルシフター等を備える走査側駆動回路が設けられている。
また、発光領域Xの各々には、走査線101を介して走査信号(電力)がゲート電極に供給されるスイッチング用TFT(薄膜トランジスター)112と、このスイッチング用TFT112を介して信号線102から供給される画像信号を保持する保持容量113と、保持容量113によって保持された画像信号がゲート電極に供給される駆動用TFT123と、駆動用TFT123のドレイン電極(またはソース電極)と抵抗素子205を介してそのソース電極(またはドレイン電極)が接続され、EL素子203Bの発光を制御するための発光制御信号RSTがゲート電極に供給される発光制御用TFT124が設けられている。
【0021】
このような構成のもとに、走査線101が駆動されてスイッチング用TFT112がオンとなると、そのときの信号線102の電位(電力)が保持容量113に保持され、該保持容量113の状態に応じて、駆動用TFT123のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用TFT123のチャネルを介して共通給電線103から画素電極(陽極)10に電流(電力)が流れ、EL素子203A、203Bの図示しない有機化合物層(機能層)を通じて陰極50(図2参照)に電流が流れることにより、有機化合物層(機能層)中の発光層は、これを流れる電流量に応じて発光する。
【0022】
EL素子203Aでは、駆動用TFT123を介して共通給電線103に電気的に接続したときに、共通給電線103から画素電極(陽極)10へ駆動電流が流れ込む。しかし、EL素子203Bでは、画素電極(陽極)10と駆動用TFT123との間に抵抗素子205および発光制御用TFT124が直列接続されているので、駆動用TFT123を介して共通給電線103に電気的に接続したときに共通給電線103から抵抗素子205および発光制御用TFT124を介して画素電極(陽極)10へ駆動電流が流れ込む。
【0023】
次に発光制御用TFT124の動作について説明する。発光制御用TFT124は発光制御信号線104から供給される発光制御信号によってON/OFF制御されるNチャネル型トランジスターとする。発光制御用TFT124は、発光制御信号がHighレベルのときON状態となり、抵抗素子205を設けた方のEL素子203Bが発光する。(この時、抵抗素子205が接続されていないEL素子203Aも発光している)また、発光制御信号がLOWレベルのときは、発光制御用TFT124はOFF状態となり、抵抗素子205を設けた方のEL素子203Bは消灯状態となる。ここで、本実施形態では、発光制御用TFT124はNチャネル型トランジスターとした例を示したが、これに限ったものではなく、発光制御用TFT124をPチャネル型トランジスターとしても良い。
【0024】
更に、発光制御信号の信号タイミングについて説明する。発光制御信号は抵抗素子205が接続されていないEL素子203Aの発光期間よりも、抵抗が接続されているEL素子203Bの発光期間が短くなるようにON/OFF制御される。ON/OFF期間は、任意に設定可能である。例えば、1走査線選択期間である1H期間、1フレーム走査期間である1V期間、nフレーム期間など)
【0025】
ここで、面発光部201のEL素子と前記EL素子203AおよびEL素子203Bの駆動タイミングは、面発光部201のEL素子の発光に連動して、交換時期表示部(抵抗値変化検出手段)207に備えられた一組のEL素子203A、203Bが発光される構成とされていることが好ましい。これにより、抵抗素子の抵抗値や駆動電圧などの条件を制御することにより、抵抗素子が接続されていないEL素子203Aの半減期において、面発光部201のEL素子の輝度が初期輝度の半分の値となるようにすることができる。
【0026】
交換時期表示部(抵抗値変化検出手段)207の一組のEL素子203A、203Bは、面発光部201のEL素子と異なる材料および構造としてもよいが、交換時期表示部(抵抗値変化検出手段)207の一組のEL素子203A、203Bは、面発光部201のEL素子と同様の材料および構造としてもよい。
【0027】
これにより、面発光部201のEL素子と同条件で、交換時期表示部(抵抗値変化検出手段)207の一組のEL素子203A、203Bを駆動させることで、交換時期表示部(抵抗値変化検出手段)207に備えられたEL素子の発光輝度の切り替わり時点が、面発光部201のEL素子の半減期とすることができ、面発光部の交換時期を認識することができる。
【0028】
本実施形態によると、抵抗素子が接続されていないEL素子の有機化合物層(機能層)に印加される電圧(実効電圧)を、抵抗素子が接続されたEL素子の有機化合物層(機能層)に印加される電圧(実効電圧)よりも大きくすることができる。更に、前記トランジスターと抵抗素子を直列接続しているので、前記トランジスターをスイッチング素子として使用し、前記トランジスターのOFF期間を設けることで、抵抗素子が接続されたEL素子の有機化合物層(機能層)に印加される実効電圧を低減できる。これによって、輝度寿命判定結果のばらつきや誤認識を低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0029】
10・・・画素電極(陽極)、50・・・共通電極(陰極)、101・・・走査線、102・・・信号線、103・・・共通給電線、104・・・発光制御信号線、112・・・スイッチング用TFT(薄膜トランジスター)、113・・・保持容量、123・・・駆動用TFT(薄膜トランジスター)、124・・・発光制御用TFT(薄膜トランジスター)、200・・・面発光装置、201・・・面発光部、202・・・外枠部、203A、203B・・・EL素子、205・・・抵抗素子、207・・・交換時期表示部(抵抗値変化検出手段)、X・・・発光領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一方の面に設けられ、EL素子からなる面発光部と、
前記基板の一方の面に設けられ、前記面発光部を取り囲む外枠部と、
前記外枠部の一部に設けられた抵抗値変化検出手段と、を有し、
前記抵抗値変化検出手段は、並列に接続された一組の前記EL素子と、前記一組の前記EL素子のいずれか一方の陽極に接続されたトランジスターと、前記トランジスターに直列接続された抵抗素子と、を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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