照明装置、その製造方法、及び電子機器
【課題】発光素子における短絡の発生を防止する照明装置を提供する。
【解決手段】照明部10は、第1基板11と、補助電極211と、発光機能層22、第1電極21、及び第2電極23を有する複数の発光素子Eと、複数の発光素子Eの各々と1対1に対応するように設けられ第1電極21及び補助電極211を電気的に接続する複数のヒューズ部30と、発光機能層22の各々を区分けすると共に第1電極21の各々を区分けする絶縁性の第1隔壁40と、ヒューズ部30の各々を区分けする絶縁性の第2隔壁50とを備える。
【解決手段】照明部10は、第1基板11と、補助電極211と、発光機能層22、第1電極21、及び第2電極23を有する複数の発光素子Eと、複数の発光素子Eの各々と1対1に対応するように設けられ第1電極21及び補助電極211を電気的に接続する複数のヒューズ部30と、発光機能層22の各々を区分けすると共に第1電極21の各々を区分けする絶縁性の第1隔壁40と、ヒューズ部30の各々を区分けする絶縁性の第2隔壁50とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Electroluminescence)素子などの発光素子を備える照明装置、その製造方法及びこれを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL素子を備えた照明装置が開発されている。自発光素子である有機EL素子は、発光層の厚さが非常に薄いため、照明装置に適用した場合、照明装置の軽量化、薄型化が可能になる。また、有機EL素子は、低電圧でも高輝度での発光が可能であることから、照明装置の省電力化についても可能になる。このように、有機EL素子を利用した照明装置は軽量化、省電力化が可能であるため、照明スタンドのような照明装置の他に、薄型化、軽量化が必要とされる液晶ディスプレイや携帯機器にも搭載される。
【0003】
有機EL素子は、発光機能層と、発光機能層を両側から挟む陽極及び陰極の両電極とにより構成されるが、発光機能層の経時劣化や、製造工程において導電性の異物が発光機能層に混入した場合、両電極間が短絡することがある。
特許文献1では、複数の発光素子を直列に接続することで、1つの有機EL素子に短絡が生じた場合にも、他の有機EL素子に継続して電流を流すことを可能にし、照明装置全体での消灯を防止した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−234868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように複数の有機EL素子を直列に接続した照明装置では、高い電源電圧が必要となるため、より高い耐圧の素子を用いて電源部を構成する必要がある。また、複数の有機EL素子を直列に接続した照明装置では、照明装置内で断線が発生した場合、その影響が照明装置全体に及び、照明装置全体が消灯してしまうという問題も存在する。
そこで、本発明では、上述した事情を鑑み、短絡の発生を防止した安定的な発光が可能な照明装置を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明に係る照明装置は、第1基板と、第1電源電位が供給される補助電極と、発光機能層、第1電極、及び第2電源電位が供給される第2電極を備えた複数の発光素子と、前記第1電極と前記補助電極とを電気的に接続する複数のヒューズ部と、前記発光機能層の各々を区分けすると共に前記複数の発光素子ごとに前記第1電極を区分けする絶縁性の第1隔壁と、前記複数のヒューズ部の各々を区分けする絶縁性の第2隔壁と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上述した照明装置は、絶縁性の第1隔壁により区分けされた複数の発光素子を有する。仮に、照明装置が単一の発光素子により形成されている場合、発光素子の経時劣化や製造時の異物混入等により発光素子の一部に欠陥が生じた際に、当該欠陥が発光素子内で拡大して、照明装置全体が発光不能となる。
これに対して、上述した照明装置は、複数の発光素子が区分けされて形成されているため、1つの発光素子において欠陥が生じそれが拡大しても、欠陥は1つの発光素子内部に留まり、それ以外の発光素子は点灯を維持できる。すなわち、1つの発光素子の欠陥によっても照明装置の面光源としての機能は損なわない。これにより、照明装置の長寿命化が可能になるという利点を有する。
また、上述した照明装置は、発光素子の第1電極と補助電極とがヒューズ部を介して電気的に接続される。ヒューズ部は、発光素子に過大電流が流れる場合に溶断等され、補助電極及び第1電極の間を電気的に切断するため、発光素子における短絡の発生を防止するという利点を有する。これにより、短絡による無駄な電力消費の発生や、短絡により全発光素子が発光不能となることを防止することが可能となる。すなわち、上述した照明装置は、ヒューズ部を有することで、更なる長寿命化が可能になるという利点を有する。
さらに、上述した照明装置は、発光素子が補助電極及び第2電極に対して並列に接続されるため、低電圧化が可能であるという利点も有する。
【0008】
また、上述した照明装置において、前記複数のヒューズ部の各々は、前記複数の発光素子の各々に1対1に対応して前記補助電極上に形成されることが好ましい。
この場合、発光素子に過大電流が流れ、ヒューズ部が切断された場合も、発光不能となる発光素子は、切断されたヒューズ部に接続される発光素子に限られるため、欠陥による影響を最小化することができるという利点を有する。
【0009】
また、上述した照明装置において、前記複数のヒューズ部の各々は、前記2以上の発光素子に対応して前記補助電極上に形成されることが好ましい。
この場合、発光素子の個数に対して、ヒューズ部の個数が半分で済むため、照明装置の製造が容易になるという利点を有する。
【0010】
また、上述した照明装置は、前記第1基板に垂直な方向から見たとき、前記ヒューズ部の全部が前記発光機能層と重なることが好ましい。
この場合、ヒューズ部及び発光機能層を確実に対応して形成することが可能になるため、照明装置において短絡が発生することをより確実にできるという利点を有する。
【0011】
また、上述した照明装置において、前記ヒューズ部、前記補助電極、及び前記第1電極が同一の材料から形成されていることが好ましい。
この発明によれば、ヒューズ部、補助電極、及び第1電極を同一の材料から形成するため、照明装置の製造が容易になるという利点を有する。
【0012】
また、上述した照明装置において、前記第1基板、前記補助電極、前記第2隔壁、及び前記第1電極は、光透過性材料で形成されることが好ましい。
この場合、発光機能層の発する光が、第1電極、補助電極または第2隔壁、及び第1基板を透過して、第1基板より外部に出射される。
【0013】
また、上述した照明装置において、前記ヒューズ部は、光透過性材料で形成されることが好ましい。
この場合、発光機能層の発する光が、ヒューズ部に妨げられることなく第1基板より外部に出射されるため、光の利用効率が向上するという利点を有する。
【0014】
また、上述した照明装置において、前記第1基板及び前記第2電極は、光透過性材料で形成されることが好ましい。
この場合、発光機能層の発する光が、第2電極及び第1基板のみを透過して外部に出射されるため、光の利用効率が向上するという利点を有する。
【0015】
また、上述した照明装置において、前記複数の発光素子は、前記補助電極に対して並列に接続されることが好ましい。
この場合、上述した照明装置の低電圧化が可能であるという利点を有する。
【0016】
次に、本発明に係る電子機器は、上記のうちいずれかの照明装置を備えることを特徴とする。このような電子機器として、照明スタンド等の装置や、パーソナルコンピュータ、および携帯電話など上記の照明装置をバックライトとして具備する装置が該当する。この電子機器によれば、照明装置の薄型化軽量化が可能であるため、電子機器の小型化および軽量化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る照明装置を示す平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る照明装置の構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る照明装置の構造を示す断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の変形例に係る照明装置を示す平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る照明装置を示す平面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る照明装置の構造を示す断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態の変形例に係る照明装置を示す平面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る照明装置を示す平面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る照明装置の構造を示す断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態の変形例に係る照明装置の構造を示す断面図である。
【図11】本発明に係る照明装置を有する照明スタンドの外観を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る照明装置を有するパーソナルコンピュータの外観を示す斜視図である。
【図13】本発明に係る照明装置を有する携帯電話機の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<A:第1実施形態>
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。図面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る照明装置1を示す平面図である。
図1に示す通り、照明装置1は、照明部10及び電源供給部60を備える。
照明部10は、X方向に延在するM個の補助電極211と、X方向に交差するY方向に延在するN個の第2電極23と、M個の補助電極211とN個の第2電極23の交差に対応して縦M行×横N行の行列状に配置される発光素子Eとが形成される(M、Nは1以上の自然数)。
電源供給部60は、第1電源線210を介して補助電極211に第1電位V1を供給し、第2電源線230を介して第2電極23に第2電位V2を供給する。第1実施形態では、第1電位V1は高電位VHに設定され、第2電位V2は低電位VLに設定される。
【0020】
図2は、図1に示された照明部10を、a〜a´で切断した断面図であり、図3は、図1に示された照明装置1を、b〜b´で切断した断面図である。以下、図2及び図3を用いて、照明部10の構造について説明する。
照明部10は、発光素子Eが発する光を、図2の下方、つまり、発光素子Eから第1基板11へと向かう方向Lに光を出射する、ボトムエミッションタイプの照明装置として機能する。照明部10は、第1電極21、発光機能層22、及び第2電極23を備える発光素子Eや補助電極211等が形成される第1基板11と、これらの発光素子等を封止する第2基板12とを備える。第1基板11は、ガラス、石英、プラスチック等の光透過性の材料により形成される。第1基板11上には、補助電極211が形成される。補助電極211は後述する第1電極211と同様に、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、またはZnO2のような光透過性の酸化物導電材料から形成される。
【0021】
補助電極211の上には、発光素子Eと1対1に対応するようにヒューズ部30が形成される。すなわち、ヒューズ部30は、M個の補助電極211とN個の第2電極23の交差に対応して縦M行×横N行の行列状に配置される。第1基板11に垂直な方向から見たとき、ヒューズ部30の全部が発光素子Eに覆われるような位置に形成される。
ヒューズ部30により、補助電極211と第1電極21とが電気的に接続される。これにより、ヒューズ部30、第1電極21、及び発光機能層22は直列に接続される。
なお、第1電極21には補助電極211を介して第1電位V1が供給され、第2電極23には前述の通り第2電位V2を供給する。すなわち、第1実施形態では、第1電位V1は陽極として機能し、第2電極23は陰極として機能する。
【0022】
ヒューズ部30に過大電流が流れると、発熱による溶断またはエレクトロマイグレーションが生じ、ヒューズ部30は非導通状態となる。
従って、発光素子Eに過大電流が流れる場合、発光素子Eと直列に接続されたヒューズ部30が断線するため、ヒューズ部30により電気的に接続されていた補助電極211及び第1電極21が、電気的に切断されることになる。これにより、発光素子Eに短絡が生じること、すなわち、高電位VHを供給する補助電極211及び低電位VLを供給する第2電極23との間で短絡が発生することを防止する。
【0023】
ヒューズ部30は、ヒューズ部30と直列に接続する第1電極21及び発光機能層22と比較して大きな電気抵抗を有する。発光素子Eに電流が流れる場合、ヒューズ部30、第1電極21、及び発光機能層22には等しい大きさの電流が流れるため、大きな抵抗値を有するヒューズ部30には、第1電極21及び発光機能層22と比較して大きな熱量が発生する。この発熱によりヒューズ部30において溶断等が発生し、ヒューズ部30が切断される。
大きな電気抵抗を有するヒューズ部30は、大きな抵抗率を有する材料で形成され、また、大きな抵抗値を有するような形状に形成される。具体的なヒューズ部30の形状は、例えば第1基板11に対して垂直な方向の高さHは高く、ヒューズ部30の第1基板11に平行な切断面における断面積Sは小さい、細長い円柱や角柱等のような形状を有する。
【0024】
また、ヒューズ部30は、発光素子Eからの出射される光の出射面側に位置するため、光透過性の材料より形成される。具体的には、第1実施形態においてヒューズ部30はポリシリコンにより形成される。
ヒューズ部30は、補助電極211及び第1電極21を形成するITO等とは異なる材料により形成されるため、ヒューズ部30の中の補助電極211または第1電極21との接続部分に近い位置で溶断した場合にも、ヒューズ部30が補助電極211または第1電極21から確実に分離しやすくなる。すなわち、ヒューズ部30を補助電極211または第1電極21と同一の材料で形成した場合と比較して、溶断後に余熱等により再び接合する可能性を低減させ、短絡の発生を確実に防止することが可能となる。
【0025】
第1基板11及び補助電極211の上には、M本の補助電極211の各々を区分けするとともに、M×N個のヒューズ部30の各々を区分けするように、第2隔壁50が形成される。第2隔壁50は、アクリル、ポリイミド等のような、絶縁性の光透過性材料により形成される。第2隔壁50は、あるヒューズ部30が隣り合うヒューズ部30と短絡することを防止する。
【0026】
ヒューズ部30及び第2隔壁50の上には、ヒューズ部30と1対1に対応するように、発光素子Eが設けられる。発光素子Eは、陽極である第1電極21、発光機能層22、及び陰極である第2電極23を備える。
第1電極21は、ヒューズ部30及び第2隔壁50の上に、第1隔壁40に接するように形成される。第1電極21は、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、またはZnO2のような光透過性の酸化物導電材料から形成される。
発光機能層22は、第1電極21の上に、第1隔壁40に接するように形成される。発光機能層22は、少なくとも発光層を含み、発光層は正孔と電子が結合して発光する有機EL物質を材料とする。第1実施形態では、有機EL物質は低分子材料である。発光機能層22を構成する他の層として、電子ブロック層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層及び正孔ブロック層の一部または全部を備えていてもよい。
第2電極23は、発光機能層22及び第1隔壁40の上に、Y軸方向に延在するM個の発光素子Eに共通するように形成される。第2電極23は、アルミニウムや銀のような仕事関数値の小さな反射性金属材料から形成される。第2電極23は、発光素子Eの陰極として機能すると共に、発光機能層22から方向Lと逆向きに出射された光を、第1基板11側に向かう方向Lに反射する反射板としても機能する。
【0027】
第2隔壁50の上には、複数の第1電極21の各々を区分けすると共に、複数の発光機能層22の各々を区分けする第1隔壁40が形成される。第1隔壁40は、絶縁性の材料により形成される。なお、第1隔壁は、反射性材料から形成しても良いし、光透過性材料で形成から形成しても良い。
第1隔壁40は、隣り合う2つの第1電極21の間で短絡が発生することを防止する。すなわち、M×N個の発光素子Eの各々は、それぞれが並列接続の関係となる。具体的には補助電極211に対して複数の発光素子が並列に接続されている。
【0028】
第2基板12は、プラスチック、ガラス等により形成される。第2基板12は、接着剤13により、第1基板11上に形成された第2電極23と接着される。接着剤13は、熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂等の樹脂である。第2基板12及び接着剤13は、第1基板11上に形成された発光素子E等を封止し、水分や酸素等から保護する。
なお、第1実施形態は、前述したとおり方向Lに光を出射するボトムエミッションタイプであるため、第2基板12及び接着剤13を光透過性の材料で形成する必要は無い。また、発光素子Eから出射された光は、反射性金属で形成された第2電極23により反射されるため、第2基板12及び接着剤13は光反射性の材料で形成する必要は無い。但し、方向Lとは逆方向への光の出射を防止することが必要な場合は、第2基板12の一方の面に酸化クロムなどの低反射素材を形成しても良い。
【0029】
このように、第1実施形態にかかる照明装置1は、照明部10に複数の発光素子Eを有し、それぞれの発光素子Eは絶縁性の第1隔壁により区分けされる。
仮に、照明部が単一の発光素子により形成される場合、発光素子の経時劣化や製造時の異物混入等により発光素子の一部に欠陥が生じた際に、当該欠陥が発光素子内で拡大して、照明装置全体が発光不能となる。
それに比べて、第1実施形態に係る照明部10は、複数の発光素子Eが区分けされて形成されているため、1つの発光素子Eにおいて欠陥が生じそれが拡大しても、欠陥は1つの発光素子内部に留まり、それ以外の発光素子Eは点灯を維持できる。すなわち、1つの発光素子Eの欠陥によっても照明部10の面光源としての機能は損なわない。これにより、第1実施形態の照明装置1は、長寿命化が可能であるという利点を有する。
【0030】
また、第1実施形態に係る照明装置1は、補助電極211及び第2電極23に対して並列に接続された複数の発光素子Eを有し、各々の発光素子Eに対応してヒューズ部30が設けられる。ヒューズ部30は、発光素子Eに欠陥が発生して発光素子Eに過大電流が流れた場合に溶断等され、補助電極211及び第1電極21の間を電気的に切断するため、発光素子Eにおける短絡の発生を防止する。
これにより、短絡による無駄な電力消費の発生や、短絡により全発光素子が発光不能となることを防止することが可能となる。すなわち、照明装置1は、長期にわたり面光源としての機能を維持することが可能であり、照明装置1の長寿命化を可能にするという利点を有する。また、複数の発光素子Eが補助電極211及び第2電極23に対して並列に接続されているため、照明装置1の低電圧化が可能であるという利点を有する。
【0031】
さらに、ヒューズ部30は、ヒューズ部30が接続する補助電極211及び第1電極21を形成するITO等とは異なる材料であるポリシリコンにより形成される。これによりヒューズ部30のうち補助電極211または第1電極21との接続部分に近い位置で溶断した場合にも、溶断後に余熱等により再び接合することを防止できるため、短絡の発生を確実に防止することが可能となるという利点を有する。
【0032】
第1実施形態に係る照明装置1は、ヒューズ部30等を形成した後に発光素子Eを形成する。すなわち、第1基板11上に発光素子Eを形成した後は、発光素子E等が形成された第1基板11と第2基板12とを接着剤13により接着するだけで照明部10が形成されるため、水、外気、及び異物混入等から特に保護が必要な発光素子Eが、製造工程において損傷する危険性を低減させる。従って、第1実施形態に係る照明装置1は、製造が容易であり、製造時の歩留まり向上を可能にするという利点を有する。
【0033】
なお、第1実施形態の照明部10は、図1に示すように、Y方向に延在するN個の第2電極23を備えて構成されるが、本発明はこのような形態に限定するものではない。
例えば、図4に示す照明部10aのように、全ての発光素子Eに共通な第2電極23aを備える構成でも良い。この場合、製造工程における第2電極23aの形成が簡素化され照明装置1の低コスト化が可能となるという利点を有すると共に、第2電極23aの面積が大きくなるため、第2電極23の抵抗値を下げることが可能となり、照明装置の低消費電力化が実現される、という利点を有する。
【0034】
また、第1実施形態に係る発明は、ヒューズ部30をポリシリコンより形成しているが、本発明はこのような形態に限定するものではない。
例えば、ヒューズ部30を補助電極211及び第1電極21と同一の材料であるITO等により形成しても良い。この場合、ヒューズ部30、補助電極211、及び第1電極21が、全て同一の材料により形成されるため、照明装置1の製造コストの低廉化が可能になるという利点を有する。
なお、ヒューズ部30が、補助電極211及び第1電極21と同一の材料により形成されている場合であっても、ヒューズ部30の断面積Sを十分に小さくすることで、ヒューズ部30の抵抗値を高めることができ、過大電流が発生した場合には確実にヒューズ部30が溶断して短絡の発生を確実に防止することができる。
【0035】
さらに、ヒューズ部30は低融点金属で構成されてもよい。この場合、ヒューズ部30の融点が低いため、発光素子Eを流れる電流の大きさが非常に大きくなる前に、ヒューズ部30に溶断を発生させることができる。
また、金属は抵抗率が小さいため、ヒューズ部30にポリシリコンやITOを使用した場合に比べて、ヒューズ部30の断面積S小さくすることが可能になる。そのため、発光素子Eから方向Lに出射される光のうち、ヒューズ部30を通過する割合が小さくなるため、ヒューズ部30を光透過性のない材料により形成することも可能になる。
【0036】
<B:第2実施形態>
第2実施形態の照明装置1Bは、複数の発光素子Eに対して共通するように設けられたヒューズ部30bを有する照明部10bを備える点を除いて、第1実施形態に係る照明装置1と同様に構成されている。
【0037】
図5は、第2実施形態に係る照明装置1Bを示す平面図である。図5に示す通り、照明装置1Bは、同一の補助電極211に対応して設けられた隣り合う2個の発光素子Eに対して共通に設けられたヒューズ部30bを備えた照明部10bを有する。
図6は、図5に示された照明装置1Bを、a〜a´で切断した断面図である。図6に示す通り、ヒューズ部30bは、補助電極211の上に設けられ、隣り合う2個の第1電極21と、補助電極211とを電気的に接続する。
なお、ヒューズ部30bの抵抗値を高くするために、ヒューズ部の奥行き(図5におけるヒューズ部30bのY軸に平行な辺の長さ)は十分に短く形成することで、ヒューズ部30bが小さな断面積Sを有するように形成される。
また、図6に示す通り、ヒューズ部30bの多くの部分は、第1基板11に垂直な方向から見たときに、発光素子Eによって覆われる位置ではなく、第1隔壁40の下に形成される。つまり、発光素子Eから方向Lに出射される光がヒューズ部30により妨げられる割合を小さくすることが可能である。従って、ヒューズ部30bは、ポリシリコン及びITOのような光透過性材料により形成する必要は必ずしもなく、光透過性のない低融点金属等により形成することが可能である。
【0038】
なお、第2実施形態は、図5に示されるように、ヒューズ部30bの長辺がX軸と平行になるような方向に、ヒューズ部30bを配置する形態に限定するものではない。
例えば、図7に示された照明装置1Cの照明部10cのように、ヒューズ部30cの長辺がY軸と平行になるような方向に、ヒューズ部30cを配置しても良い。この場合、ヒューズ部30cは、同一の第2電極23対して接続される隣り合う2個の発光素子Eに対して共通に設けられることになる。
【0039】
また、図5及び図7において、ヒューズ部30b乃至30cは、隣り合う2個の発光素子Eに共通するように設けられているが、3個以上の発光素子Eに共通するように設けても良い。但し、その場合は、1つのヒューズ部30b乃至30cが溶断した場合には、当該ヒューズに接続される複数の発光素子Eが同時に発光不能となる。従って、1つのヒューズ部30b乃至30cに対して接続する発光素子Eの個数は、照明部10b及び10cの面光源としての機能維持の観点から、一定数以下にすることが望ましい。
【0040】
このように、第2実施形態では、複数の発光素子Eに対して、1つのヒューズ部30b乃至30cを共通して設けるため、製造工程の簡素化が可能となり、照明装置1の低コスト化が実現されるという利点を有する。
また、ヒューズ部30b乃至30cは、第1基板11に垂直な方向から見たときに、その多くの部分が発光素子Eと重複しない位置に形成される。この場合、発光素子Eから方向Lに対して出射される光のうち、ヒューズ部30b乃至30cを通過する割合が小さくなるため、照明装置1の発光効率を向上させるという利点を有すると共に、ヒューズ部30b乃至30cの材料が光透過性材料に限定されなくなるため、製造コストの低廉化を可能にするという利点を有する。
【0041】
<C:第3実施形態>
第3実施形態の照明装置1Dは、ヒューズ部30dが第2基板側に設けられ、第1電極21dが発光機能層22の第2基板側に設けられて陰極として機能し、第2電極23dが発光機能層22の第1基板側に設けられて陽極として機能する点を除いて、第1実施形態に係る照明装置1と同様に構成されている。
【0042】
図8は、第3実施形態に係る照明装置1Dを示す平面図である。図8に示す通り、照明装置1Dは、照明部10dを有し、照明部10dには、X方向に延在するM個の第2電極23dと、X方向に交差するY方向に延在するN個の補助電極211dと、M個の第2電極23dとN個の補助電極211dの交差に対応して縦M行×横N行の行列状に配置される発光素子Eとが形成される(M、Nは1以上の自然数)。
電源供給部60は、第1電源線210dを介して補助電極211dに第1電位V1を供給し、第2電源線230dを介して第2電極23dに第2電位V2を供給する。第3実施形態では、第1電位V1は低電位VLに設定され、第2電位V2は高電位VHに設定される。
【0043】
図9は、図8に示された照明部10dを、a〜a´で切断した断面図である。
第1基板11上には、X方向に延在するN個の発光素子Eに共通するように第2電極23dが形成される。第2電極23dは、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、またはZnO2のような光透過性の酸化物導電材料から形成される。前述の通り、第2電極23dには、高電位VHが供給され、発光素子Eの陽極として機能する。
第2電極23dの上には、第1隔壁40dによって区分けされた発光機能層22が形成される。発光機能層22の上には、第1隔壁40dによって区分けされた第1電極21dが形成される。第1電極21dは、アルミニウムや銀のような仕事関数値の小さな反射性金属材料より形成される。第1電極21dには、後述するヒューズ部30dを介して低電位VLが供給され、発光素子Eの陰極として機能する。また、第1電極21dは、発光機能層22から方向Lと逆向きに出射された光を、第1基板11側に向かう方向Lに反射する反射板としても機能する。
なお、第1隔壁40dは、絶縁性の材料より形成される。また、第1隔壁40dは、発光機能層22から出射される光を、できるだけ方向Lに向けるために、反射性または遮光性の材料から形成されることが好ましい。
【0044】
第1電極21dの上には、絶縁性の第2隔壁50dにより区分けされたヒューズ部30dが、発光素子Eと1対1に対応するようにM×N個形成される。ヒューズ部30dは、低融点金属より構成しても良いし、第1電極21d及び補助電極211dと同様にアルミニウムや銀等により形成しても構わない。
ヒューズ部30d及び第2隔壁50dの上には、第2隔壁50dにより区分けされる補助電極211dが形成される。補助電極211dは、アルミニウムや銀のような導電金属より形成される。
このように、第3実施形態では、ヒューズ部30d、補助電極211d、及び陰極として機能する第1電極21dが、発光機能層22の第2基板側、すなわち、発光素子Eからの光の出射される方向Lとは逆側に設けられて、陽極として機能する第2電極23dが発光機能層22の第1基板側、すなわち、発光素子Eから光の出射される方向Lに設けられる。
【0045】
なお、第3実施形態に係る照明装置1Dは、図8乃至図9に示すように、ヒューズ部30dが発光素子Eと1対1に対応するように形成されているが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。すなわち、図10に示す照明装置1Eのように、複数の発光素子Eに対して共通するように設けられるヒューズ部30eを有する照明部10eを備えて構成されても良い。
【0046】
このように、第3実施形態に係る照明装置1Dは、ヒューズ部30dを発光機能層22よりも第2基板側に形成するため、発光機能層22から光の出射される第1基板11までの距離を短くすることができると共に、光がヒューズ部30dにより、反射、屈折等されることを防止する。従って、第3実施形態に係る照明装置1Dは、光の取出効率を高め、結果として低消費電力を可能にするという利点を有する。
また、第3実施形態に係る照明装置1Dは、ヒューズ部30dを光透過性材料に限定する必要が無いため、低融点金属等、より安価な材料を選択することができ、照明装置1Dの低コスト化を可能にするという利点を有する。
【0047】
<D:応用例>
次に、以上の各態様に係る照明装置1を利用した電子機器について説明する。図11乃至図13には、照明装置1を採用した電子機器の形態が図示されている。
図11は、照明装置1を採用した照明スタンドの斜視図である。照明スタンド1000は、台座1001と、接続部1002と、照明装置1とを備える。
図12は、照明装置1を採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する表示部2003と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。表示部2003は液晶装置で構成され、この液晶装置のバックライトとして面状の照明装置1が用いられる。
図13は、照明装置1を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する表示部3003とを備える。表示部3003は液晶装置で構成され、この液晶装置のバックライトとして面状の照明装置1が用いられる。スクロールボタン3002を操作することによって、表示部3003に表示される画面がスクロールされる。
【0048】
なお、本発明に係る照明装置が適用される電子機器としては、図11から図13に例示した機器のほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
【符号の説明】
【0049】
10…照明部、11…第1基板、12…第2基板、13…接着剤、21…第1電極、22…発光機能層、211…補助電極、23…第2電極、30…ヒューズ部、40…第1隔壁、50…第2隔壁、E…発光素子、L…光の出射される方向、S…ヒューズ部の断面積、H…ヒューズ部の高さ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Electroluminescence)素子などの発光素子を備える照明装置、その製造方法及びこれを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL素子を備えた照明装置が開発されている。自発光素子である有機EL素子は、発光層の厚さが非常に薄いため、照明装置に適用した場合、照明装置の軽量化、薄型化が可能になる。また、有機EL素子は、低電圧でも高輝度での発光が可能であることから、照明装置の省電力化についても可能になる。このように、有機EL素子を利用した照明装置は軽量化、省電力化が可能であるため、照明スタンドのような照明装置の他に、薄型化、軽量化が必要とされる液晶ディスプレイや携帯機器にも搭載される。
【0003】
有機EL素子は、発光機能層と、発光機能層を両側から挟む陽極及び陰極の両電極とにより構成されるが、発光機能層の経時劣化や、製造工程において導電性の異物が発光機能層に混入した場合、両電極間が短絡することがある。
特許文献1では、複数の発光素子を直列に接続することで、1つの有機EL素子に短絡が生じた場合にも、他の有機EL素子に継続して電流を流すことを可能にし、照明装置全体での消灯を防止した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−234868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように複数の有機EL素子を直列に接続した照明装置では、高い電源電圧が必要となるため、より高い耐圧の素子を用いて電源部を構成する必要がある。また、複数の有機EL素子を直列に接続した照明装置では、照明装置内で断線が発生した場合、その影響が照明装置全体に及び、照明装置全体が消灯してしまうという問題も存在する。
そこで、本発明では、上述した事情を鑑み、短絡の発生を防止した安定的な発光が可能な照明装置を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明に係る照明装置は、第1基板と、第1電源電位が供給される補助電極と、発光機能層、第1電極、及び第2電源電位が供給される第2電極を備えた複数の発光素子と、前記第1電極と前記補助電極とを電気的に接続する複数のヒューズ部と、前記発光機能層の各々を区分けすると共に前記複数の発光素子ごとに前記第1電極を区分けする絶縁性の第1隔壁と、前記複数のヒューズ部の各々を区分けする絶縁性の第2隔壁と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上述した照明装置は、絶縁性の第1隔壁により区分けされた複数の発光素子を有する。仮に、照明装置が単一の発光素子により形成されている場合、発光素子の経時劣化や製造時の異物混入等により発光素子の一部に欠陥が生じた際に、当該欠陥が発光素子内で拡大して、照明装置全体が発光不能となる。
これに対して、上述した照明装置は、複数の発光素子が区分けされて形成されているため、1つの発光素子において欠陥が生じそれが拡大しても、欠陥は1つの発光素子内部に留まり、それ以外の発光素子は点灯を維持できる。すなわち、1つの発光素子の欠陥によっても照明装置の面光源としての機能は損なわない。これにより、照明装置の長寿命化が可能になるという利点を有する。
また、上述した照明装置は、発光素子の第1電極と補助電極とがヒューズ部を介して電気的に接続される。ヒューズ部は、発光素子に過大電流が流れる場合に溶断等され、補助電極及び第1電極の間を電気的に切断するため、発光素子における短絡の発生を防止するという利点を有する。これにより、短絡による無駄な電力消費の発生や、短絡により全発光素子が発光不能となることを防止することが可能となる。すなわち、上述した照明装置は、ヒューズ部を有することで、更なる長寿命化が可能になるという利点を有する。
さらに、上述した照明装置は、発光素子が補助電極及び第2電極に対して並列に接続されるため、低電圧化が可能であるという利点も有する。
【0008】
また、上述した照明装置において、前記複数のヒューズ部の各々は、前記複数の発光素子の各々に1対1に対応して前記補助電極上に形成されることが好ましい。
この場合、発光素子に過大電流が流れ、ヒューズ部が切断された場合も、発光不能となる発光素子は、切断されたヒューズ部に接続される発光素子に限られるため、欠陥による影響を最小化することができるという利点を有する。
【0009】
また、上述した照明装置において、前記複数のヒューズ部の各々は、前記2以上の発光素子に対応して前記補助電極上に形成されることが好ましい。
この場合、発光素子の個数に対して、ヒューズ部の個数が半分で済むため、照明装置の製造が容易になるという利点を有する。
【0010】
また、上述した照明装置は、前記第1基板に垂直な方向から見たとき、前記ヒューズ部の全部が前記発光機能層と重なることが好ましい。
この場合、ヒューズ部及び発光機能層を確実に対応して形成することが可能になるため、照明装置において短絡が発生することをより確実にできるという利点を有する。
【0011】
また、上述した照明装置において、前記ヒューズ部、前記補助電極、及び前記第1電極が同一の材料から形成されていることが好ましい。
この発明によれば、ヒューズ部、補助電極、及び第1電極を同一の材料から形成するため、照明装置の製造が容易になるという利点を有する。
【0012】
また、上述した照明装置において、前記第1基板、前記補助電極、前記第2隔壁、及び前記第1電極は、光透過性材料で形成されることが好ましい。
この場合、発光機能層の発する光が、第1電極、補助電極または第2隔壁、及び第1基板を透過して、第1基板より外部に出射される。
【0013】
また、上述した照明装置において、前記ヒューズ部は、光透過性材料で形成されることが好ましい。
この場合、発光機能層の発する光が、ヒューズ部に妨げられることなく第1基板より外部に出射されるため、光の利用効率が向上するという利点を有する。
【0014】
また、上述した照明装置において、前記第1基板及び前記第2電極は、光透過性材料で形成されることが好ましい。
この場合、発光機能層の発する光が、第2電極及び第1基板のみを透過して外部に出射されるため、光の利用効率が向上するという利点を有する。
【0015】
また、上述した照明装置において、前記複数の発光素子は、前記補助電極に対して並列に接続されることが好ましい。
この場合、上述した照明装置の低電圧化が可能であるという利点を有する。
【0016】
次に、本発明に係る電子機器は、上記のうちいずれかの照明装置を備えることを特徴とする。このような電子機器として、照明スタンド等の装置や、パーソナルコンピュータ、および携帯電話など上記の照明装置をバックライトとして具備する装置が該当する。この電子機器によれば、照明装置の薄型化軽量化が可能であるため、電子機器の小型化および軽量化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る照明装置を示す平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る照明装置の構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る照明装置の構造を示す断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の変形例に係る照明装置を示す平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る照明装置を示す平面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る照明装置の構造を示す断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態の変形例に係る照明装置を示す平面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る照明装置を示す平面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る照明装置の構造を示す断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態の変形例に係る照明装置の構造を示す断面図である。
【図11】本発明に係る照明装置を有する照明スタンドの外観を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る照明装置を有するパーソナルコンピュータの外観を示す斜視図である。
【図13】本発明に係る照明装置を有する携帯電話機の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<A:第1実施形態>
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。図面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る照明装置1を示す平面図である。
図1に示す通り、照明装置1は、照明部10及び電源供給部60を備える。
照明部10は、X方向に延在するM個の補助電極211と、X方向に交差するY方向に延在するN個の第2電極23と、M個の補助電極211とN個の第2電極23の交差に対応して縦M行×横N行の行列状に配置される発光素子Eとが形成される(M、Nは1以上の自然数)。
電源供給部60は、第1電源線210を介して補助電極211に第1電位V1を供給し、第2電源線230を介して第2電極23に第2電位V2を供給する。第1実施形態では、第1電位V1は高電位VHに設定され、第2電位V2は低電位VLに設定される。
【0020】
図2は、図1に示された照明部10を、a〜a´で切断した断面図であり、図3は、図1に示された照明装置1を、b〜b´で切断した断面図である。以下、図2及び図3を用いて、照明部10の構造について説明する。
照明部10は、発光素子Eが発する光を、図2の下方、つまり、発光素子Eから第1基板11へと向かう方向Lに光を出射する、ボトムエミッションタイプの照明装置として機能する。照明部10は、第1電極21、発光機能層22、及び第2電極23を備える発光素子Eや補助電極211等が形成される第1基板11と、これらの発光素子等を封止する第2基板12とを備える。第1基板11は、ガラス、石英、プラスチック等の光透過性の材料により形成される。第1基板11上には、補助電極211が形成される。補助電極211は後述する第1電極211と同様に、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、またはZnO2のような光透過性の酸化物導電材料から形成される。
【0021】
補助電極211の上には、発光素子Eと1対1に対応するようにヒューズ部30が形成される。すなわち、ヒューズ部30は、M個の補助電極211とN個の第2電極23の交差に対応して縦M行×横N行の行列状に配置される。第1基板11に垂直な方向から見たとき、ヒューズ部30の全部が発光素子Eに覆われるような位置に形成される。
ヒューズ部30により、補助電極211と第1電極21とが電気的に接続される。これにより、ヒューズ部30、第1電極21、及び発光機能層22は直列に接続される。
なお、第1電極21には補助電極211を介して第1電位V1が供給され、第2電極23には前述の通り第2電位V2を供給する。すなわち、第1実施形態では、第1電位V1は陽極として機能し、第2電極23は陰極として機能する。
【0022】
ヒューズ部30に過大電流が流れると、発熱による溶断またはエレクトロマイグレーションが生じ、ヒューズ部30は非導通状態となる。
従って、発光素子Eに過大電流が流れる場合、発光素子Eと直列に接続されたヒューズ部30が断線するため、ヒューズ部30により電気的に接続されていた補助電極211及び第1電極21が、電気的に切断されることになる。これにより、発光素子Eに短絡が生じること、すなわち、高電位VHを供給する補助電極211及び低電位VLを供給する第2電極23との間で短絡が発生することを防止する。
【0023】
ヒューズ部30は、ヒューズ部30と直列に接続する第1電極21及び発光機能層22と比較して大きな電気抵抗を有する。発光素子Eに電流が流れる場合、ヒューズ部30、第1電極21、及び発光機能層22には等しい大きさの電流が流れるため、大きな抵抗値を有するヒューズ部30には、第1電極21及び発光機能層22と比較して大きな熱量が発生する。この発熱によりヒューズ部30において溶断等が発生し、ヒューズ部30が切断される。
大きな電気抵抗を有するヒューズ部30は、大きな抵抗率を有する材料で形成され、また、大きな抵抗値を有するような形状に形成される。具体的なヒューズ部30の形状は、例えば第1基板11に対して垂直な方向の高さHは高く、ヒューズ部30の第1基板11に平行な切断面における断面積Sは小さい、細長い円柱や角柱等のような形状を有する。
【0024】
また、ヒューズ部30は、発光素子Eからの出射される光の出射面側に位置するため、光透過性の材料より形成される。具体的には、第1実施形態においてヒューズ部30はポリシリコンにより形成される。
ヒューズ部30は、補助電極211及び第1電極21を形成するITO等とは異なる材料により形成されるため、ヒューズ部30の中の補助電極211または第1電極21との接続部分に近い位置で溶断した場合にも、ヒューズ部30が補助電極211または第1電極21から確実に分離しやすくなる。すなわち、ヒューズ部30を補助電極211または第1電極21と同一の材料で形成した場合と比較して、溶断後に余熱等により再び接合する可能性を低減させ、短絡の発生を確実に防止することが可能となる。
【0025】
第1基板11及び補助電極211の上には、M本の補助電極211の各々を区分けするとともに、M×N個のヒューズ部30の各々を区分けするように、第2隔壁50が形成される。第2隔壁50は、アクリル、ポリイミド等のような、絶縁性の光透過性材料により形成される。第2隔壁50は、あるヒューズ部30が隣り合うヒューズ部30と短絡することを防止する。
【0026】
ヒューズ部30及び第2隔壁50の上には、ヒューズ部30と1対1に対応するように、発光素子Eが設けられる。発光素子Eは、陽極である第1電極21、発光機能層22、及び陰極である第2電極23を備える。
第1電極21は、ヒューズ部30及び第2隔壁50の上に、第1隔壁40に接するように形成される。第1電極21は、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、またはZnO2のような光透過性の酸化物導電材料から形成される。
発光機能層22は、第1電極21の上に、第1隔壁40に接するように形成される。発光機能層22は、少なくとも発光層を含み、発光層は正孔と電子が結合して発光する有機EL物質を材料とする。第1実施形態では、有機EL物質は低分子材料である。発光機能層22を構成する他の層として、電子ブロック層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層及び正孔ブロック層の一部または全部を備えていてもよい。
第2電極23は、発光機能層22及び第1隔壁40の上に、Y軸方向に延在するM個の発光素子Eに共通するように形成される。第2電極23は、アルミニウムや銀のような仕事関数値の小さな反射性金属材料から形成される。第2電極23は、発光素子Eの陰極として機能すると共に、発光機能層22から方向Lと逆向きに出射された光を、第1基板11側に向かう方向Lに反射する反射板としても機能する。
【0027】
第2隔壁50の上には、複数の第1電極21の各々を区分けすると共に、複数の発光機能層22の各々を区分けする第1隔壁40が形成される。第1隔壁40は、絶縁性の材料により形成される。なお、第1隔壁は、反射性材料から形成しても良いし、光透過性材料で形成から形成しても良い。
第1隔壁40は、隣り合う2つの第1電極21の間で短絡が発生することを防止する。すなわち、M×N個の発光素子Eの各々は、それぞれが並列接続の関係となる。具体的には補助電極211に対して複数の発光素子が並列に接続されている。
【0028】
第2基板12は、プラスチック、ガラス等により形成される。第2基板12は、接着剤13により、第1基板11上に形成された第2電極23と接着される。接着剤13は、熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂等の樹脂である。第2基板12及び接着剤13は、第1基板11上に形成された発光素子E等を封止し、水分や酸素等から保護する。
なお、第1実施形態は、前述したとおり方向Lに光を出射するボトムエミッションタイプであるため、第2基板12及び接着剤13を光透過性の材料で形成する必要は無い。また、発光素子Eから出射された光は、反射性金属で形成された第2電極23により反射されるため、第2基板12及び接着剤13は光反射性の材料で形成する必要は無い。但し、方向Lとは逆方向への光の出射を防止することが必要な場合は、第2基板12の一方の面に酸化クロムなどの低反射素材を形成しても良い。
【0029】
このように、第1実施形態にかかる照明装置1は、照明部10に複数の発光素子Eを有し、それぞれの発光素子Eは絶縁性の第1隔壁により区分けされる。
仮に、照明部が単一の発光素子により形成される場合、発光素子の経時劣化や製造時の異物混入等により発光素子の一部に欠陥が生じた際に、当該欠陥が発光素子内で拡大して、照明装置全体が発光不能となる。
それに比べて、第1実施形態に係る照明部10は、複数の発光素子Eが区分けされて形成されているため、1つの発光素子Eにおいて欠陥が生じそれが拡大しても、欠陥は1つの発光素子内部に留まり、それ以外の発光素子Eは点灯を維持できる。すなわち、1つの発光素子Eの欠陥によっても照明部10の面光源としての機能は損なわない。これにより、第1実施形態の照明装置1は、長寿命化が可能であるという利点を有する。
【0030】
また、第1実施形態に係る照明装置1は、補助電極211及び第2電極23に対して並列に接続された複数の発光素子Eを有し、各々の発光素子Eに対応してヒューズ部30が設けられる。ヒューズ部30は、発光素子Eに欠陥が発生して発光素子Eに過大電流が流れた場合に溶断等され、補助電極211及び第1電極21の間を電気的に切断するため、発光素子Eにおける短絡の発生を防止する。
これにより、短絡による無駄な電力消費の発生や、短絡により全発光素子が発光不能となることを防止することが可能となる。すなわち、照明装置1は、長期にわたり面光源としての機能を維持することが可能であり、照明装置1の長寿命化を可能にするという利点を有する。また、複数の発光素子Eが補助電極211及び第2電極23に対して並列に接続されているため、照明装置1の低電圧化が可能であるという利点を有する。
【0031】
さらに、ヒューズ部30は、ヒューズ部30が接続する補助電極211及び第1電極21を形成するITO等とは異なる材料であるポリシリコンにより形成される。これによりヒューズ部30のうち補助電極211または第1電極21との接続部分に近い位置で溶断した場合にも、溶断後に余熱等により再び接合することを防止できるため、短絡の発生を確実に防止することが可能となるという利点を有する。
【0032】
第1実施形態に係る照明装置1は、ヒューズ部30等を形成した後に発光素子Eを形成する。すなわち、第1基板11上に発光素子Eを形成した後は、発光素子E等が形成された第1基板11と第2基板12とを接着剤13により接着するだけで照明部10が形成されるため、水、外気、及び異物混入等から特に保護が必要な発光素子Eが、製造工程において損傷する危険性を低減させる。従って、第1実施形態に係る照明装置1は、製造が容易であり、製造時の歩留まり向上を可能にするという利点を有する。
【0033】
なお、第1実施形態の照明部10は、図1に示すように、Y方向に延在するN個の第2電極23を備えて構成されるが、本発明はこのような形態に限定するものではない。
例えば、図4に示す照明部10aのように、全ての発光素子Eに共通な第2電極23aを備える構成でも良い。この場合、製造工程における第2電極23aの形成が簡素化され照明装置1の低コスト化が可能となるという利点を有すると共に、第2電極23aの面積が大きくなるため、第2電極23の抵抗値を下げることが可能となり、照明装置の低消費電力化が実現される、という利点を有する。
【0034】
また、第1実施形態に係る発明は、ヒューズ部30をポリシリコンより形成しているが、本発明はこのような形態に限定するものではない。
例えば、ヒューズ部30を補助電極211及び第1電極21と同一の材料であるITO等により形成しても良い。この場合、ヒューズ部30、補助電極211、及び第1電極21が、全て同一の材料により形成されるため、照明装置1の製造コストの低廉化が可能になるという利点を有する。
なお、ヒューズ部30が、補助電極211及び第1電極21と同一の材料により形成されている場合であっても、ヒューズ部30の断面積Sを十分に小さくすることで、ヒューズ部30の抵抗値を高めることができ、過大電流が発生した場合には確実にヒューズ部30が溶断して短絡の発生を確実に防止することができる。
【0035】
さらに、ヒューズ部30は低融点金属で構成されてもよい。この場合、ヒューズ部30の融点が低いため、発光素子Eを流れる電流の大きさが非常に大きくなる前に、ヒューズ部30に溶断を発生させることができる。
また、金属は抵抗率が小さいため、ヒューズ部30にポリシリコンやITOを使用した場合に比べて、ヒューズ部30の断面積S小さくすることが可能になる。そのため、発光素子Eから方向Lに出射される光のうち、ヒューズ部30を通過する割合が小さくなるため、ヒューズ部30を光透過性のない材料により形成することも可能になる。
【0036】
<B:第2実施形態>
第2実施形態の照明装置1Bは、複数の発光素子Eに対して共通するように設けられたヒューズ部30bを有する照明部10bを備える点を除いて、第1実施形態に係る照明装置1と同様に構成されている。
【0037】
図5は、第2実施形態に係る照明装置1Bを示す平面図である。図5に示す通り、照明装置1Bは、同一の補助電極211に対応して設けられた隣り合う2個の発光素子Eに対して共通に設けられたヒューズ部30bを備えた照明部10bを有する。
図6は、図5に示された照明装置1Bを、a〜a´で切断した断面図である。図6に示す通り、ヒューズ部30bは、補助電極211の上に設けられ、隣り合う2個の第1電極21と、補助電極211とを電気的に接続する。
なお、ヒューズ部30bの抵抗値を高くするために、ヒューズ部の奥行き(図5におけるヒューズ部30bのY軸に平行な辺の長さ)は十分に短く形成することで、ヒューズ部30bが小さな断面積Sを有するように形成される。
また、図6に示す通り、ヒューズ部30bの多くの部分は、第1基板11に垂直な方向から見たときに、発光素子Eによって覆われる位置ではなく、第1隔壁40の下に形成される。つまり、発光素子Eから方向Lに出射される光がヒューズ部30により妨げられる割合を小さくすることが可能である。従って、ヒューズ部30bは、ポリシリコン及びITOのような光透過性材料により形成する必要は必ずしもなく、光透過性のない低融点金属等により形成することが可能である。
【0038】
なお、第2実施形態は、図5に示されるように、ヒューズ部30bの長辺がX軸と平行になるような方向に、ヒューズ部30bを配置する形態に限定するものではない。
例えば、図7に示された照明装置1Cの照明部10cのように、ヒューズ部30cの長辺がY軸と平行になるような方向に、ヒューズ部30cを配置しても良い。この場合、ヒューズ部30cは、同一の第2電極23対して接続される隣り合う2個の発光素子Eに対して共通に設けられることになる。
【0039】
また、図5及び図7において、ヒューズ部30b乃至30cは、隣り合う2個の発光素子Eに共通するように設けられているが、3個以上の発光素子Eに共通するように設けても良い。但し、その場合は、1つのヒューズ部30b乃至30cが溶断した場合には、当該ヒューズに接続される複数の発光素子Eが同時に発光不能となる。従って、1つのヒューズ部30b乃至30cに対して接続する発光素子Eの個数は、照明部10b及び10cの面光源としての機能維持の観点から、一定数以下にすることが望ましい。
【0040】
このように、第2実施形態では、複数の発光素子Eに対して、1つのヒューズ部30b乃至30cを共通して設けるため、製造工程の簡素化が可能となり、照明装置1の低コスト化が実現されるという利点を有する。
また、ヒューズ部30b乃至30cは、第1基板11に垂直な方向から見たときに、その多くの部分が発光素子Eと重複しない位置に形成される。この場合、発光素子Eから方向Lに対して出射される光のうち、ヒューズ部30b乃至30cを通過する割合が小さくなるため、照明装置1の発光効率を向上させるという利点を有すると共に、ヒューズ部30b乃至30cの材料が光透過性材料に限定されなくなるため、製造コストの低廉化を可能にするという利点を有する。
【0041】
<C:第3実施形態>
第3実施形態の照明装置1Dは、ヒューズ部30dが第2基板側に設けられ、第1電極21dが発光機能層22の第2基板側に設けられて陰極として機能し、第2電極23dが発光機能層22の第1基板側に設けられて陽極として機能する点を除いて、第1実施形態に係る照明装置1と同様に構成されている。
【0042】
図8は、第3実施形態に係る照明装置1Dを示す平面図である。図8に示す通り、照明装置1Dは、照明部10dを有し、照明部10dには、X方向に延在するM個の第2電極23dと、X方向に交差するY方向に延在するN個の補助電極211dと、M個の第2電極23dとN個の補助電極211dの交差に対応して縦M行×横N行の行列状に配置される発光素子Eとが形成される(M、Nは1以上の自然数)。
電源供給部60は、第1電源線210dを介して補助電極211dに第1電位V1を供給し、第2電源線230dを介して第2電極23dに第2電位V2を供給する。第3実施形態では、第1電位V1は低電位VLに設定され、第2電位V2は高電位VHに設定される。
【0043】
図9は、図8に示された照明部10dを、a〜a´で切断した断面図である。
第1基板11上には、X方向に延在するN個の発光素子Eに共通するように第2電極23dが形成される。第2電極23dは、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、またはZnO2のような光透過性の酸化物導電材料から形成される。前述の通り、第2電極23dには、高電位VHが供給され、発光素子Eの陽極として機能する。
第2電極23dの上には、第1隔壁40dによって区分けされた発光機能層22が形成される。発光機能層22の上には、第1隔壁40dによって区分けされた第1電極21dが形成される。第1電極21dは、アルミニウムや銀のような仕事関数値の小さな反射性金属材料より形成される。第1電極21dには、後述するヒューズ部30dを介して低電位VLが供給され、発光素子Eの陰極として機能する。また、第1電極21dは、発光機能層22から方向Lと逆向きに出射された光を、第1基板11側に向かう方向Lに反射する反射板としても機能する。
なお、第1隔壁40dは、絶縁性の材料より形成される。また、第1隔壁40dは、発光機能層22から出射される光を、できるだけ方向Lに向けるために、反射性または遮光性の材料から形成されることが好ましい。
【0044】
第1電極21dの上には、絶縁性の第2隔壁50dにより区分けされたヒューズ部30dが、発光素子Eと1対1に対応するようにM×N個形成される。ヒューズ部30dは、低融点金属より構成しても良いし、第1電極21d及び補助電極211dと同様にアルミニウムや銀等により形成しても構わない。
ヒューズ部30d及び第2隔壁50dの上には、第2隔壁50dにより区分けされる補助電極211dが形成される。補助電極211dは、アルミニウムや銀のような導電金属より形成される。
このように、第3実施形態では、ヒューズ部30d、補助電極211d、及び陰極として機能する第1電極21dが、発光機能層22の第2基板側、すなわち、発光素子Eからの光の出射される方向Lとは逆側に設けられて、陽極として機能する第2電極23dが発光機能層22の第1基板側、すなわち、発光素子Eから光の出射される方向Lに設けられる。
【0045】
なお、第3実施形態に係る照明装置1Dは、図8乃至図9に示すように、ヒューズ部30dが発光素子Eと1対1に対応するように形成されているが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。すなわち、図10に示す照明装置1Eのように、複数の発光素子Eに対して共通するように設けられるヒューズ部30eを有する照明部10eを備えて構成されても良い。
【0046】
このように、第3実施形態に係る照明装置1Dは、ヒューズ部30dを発光機能層22よりも第2基板側に形成するため、発光機能層22から光の出射される第1基板11までの距離を短くすることができると共に、光がヒューズ部30dにより、反射、屈折等されることを防止する。従って、第3実施形態に係る照明装置1Dは、光の取出効率を高め、結果として低消費電力を可能にするという利点を有する。
また、第3実施形態に係る照明装置1Dは、ヒューズ部30dを光透過性材料に限定する必要が無いため、低融点金属等、より安価な材料を選択することができ、照明装置1Dの低コスト化を可能にするという利点を有する。
【0047】
<D:応用例>
次に、以上の各態様に係る照明装置1を利用した電子機器について説明する。図11乃至図13には、照明装置1を採用した電子機器の形態が図示されている。
図11は、照明装置1を採用した照明スタンドの斜視図である。照明スタンド1000は、台座1001と、接続部1002と、照明装置1とを備える。
図12は、照明装置1を採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する表示部2003と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。表示部2003は液晶装置で構成され、この液晶装置のバックライトとして面状の照明装置1が用いられる。
図13は、照明装置1を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する表示部3003とを備える。表示部3003は液晶装置で構成され、この液晶装置のバックライトとして面状の照明装置1が用いられる。スクロールボタン3002を操作することによって、表示部3003に表示される画面がスクロールされる。
【0048】
なお、本発明に係る照明装置が適用される電子機器としては、図11から図13に例示した機器のほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
【符号の説明】
【0049】
10…照明部、11…第1基板、12…第2基板、13…接着剤、21…第1電極、22…発光機能層、211…補助電極、23…第2電極、30…ヒューズ部、40…第1隔壁、50…第2隔壁、E…発光素子、L…光の出射される方向、S…ヒューズ部の断面積、H…ヒューズ部の高さ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
第1電源電位が供給される補助電極と、
発光機能層、第1電極、及び第2電源電位が供給される第2電極を備えた複数の発光素子と、
前記第1電極と前記補助電極とを電気的に接続する複数のヒューズ部と、
前記発光機能層の各々を区分けすると共に前記複数の発光素子ごとに前記第1電極を区分けする絶縁性の第1隔壁と、
前記複数のヒューズ部の各々を区分けする絶縁性の第2隔壁と、
を備える
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記複数のヒューズ部の各々は、前記複数の発光素子の各々に1対1に対応して前記補助電極上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記複数のヒューズ部の各々は、前記2以上の発光素子に対応して前記補助電極上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1基板に垂直な方向から見たとき、前記ヒューズ部の全部が前記発光機能層と重なることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記ヒューズ部、前記補助電極、及び前記第1電極が同一の材料から形成されていることを特徴とする、
請求項1乃至4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1基板、前記補助電極、前記第2隔壁、及び前記第1電極は、透過性材料で形成されることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記ヒューズ部は、透過性材料で形成されることを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記第1基板及び前記第2電極は、透過性材料で形成されることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記複数の発光素子は、前記補助電極に対して並列に接続されることを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の照明装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
第1基板と、
第1電源電位が供給される補助電極と、
発光機能層、第1電極、及び第2電源電位が供給される第2電極を備えた複数の発光素子と、
前記第1電極と前記補助電極とを電気的に接続する複数のヒューズ部と、
前記発光機能層の各々を区分けすると共に前記複数の発光素子ごとに前記第1電極を区分けする絶縁性の第1隔壁と、
前記複数のヒューズ部の各々を区分けする絶縁性の第2隔壁と、
を備える
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記複数のヒューズ部の各々は、前記複数の発光素子の各々に1対1に対応して前記補助電極上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記複数のヒューズ部の各々は、前記2以上の発光素子に対応して前記補助電極上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1基板に垂直な方向から見たとき、前記ヒューズ部の全部が前記発光機能層と重なることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記ヒューズ部、前記補助電極、及び前記第1電極が同一の材料から形成されていることを特徴とする、
請求項1乃至4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1基板、前記補助電極、前記第2隔壁、及び前記第1電極は、透過性材料で形成されることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記ヒューズ部は、透過性材料で形成されることを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記第1基板及び前記第2電極は、透過性材料で形成されることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記複数の発光素子は、前記補助電極に対して並列に接続されることを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の照明装置を備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−133967(P2012−133967A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284263(P2010−284263)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]