説明

照明装置、航空障害灯及びシステム

【課題】近くに光源や電源を備えていなくても照らすことができ、更に、コストを従来より低減することができる照明装置、航空障害灯及びシステムを提供すること。
【解決手段】照明装置10は、上流側の伝送路201に接続された入力端子部11から、伝送された光が入力され、入力された光のうち特定の波長以外の光を通過させて、出力端子部13から下流側の伝送路202に出力する。そして、照明装置10は、通過しなかった特定の波長の光の波長を変換し、変換された光を反射し、散乱させて光を照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、航空障害灯及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ビルや送電線鉄塔等において、多数の照明装置や航空障害灯等が設置され、監視や保守をするためにシステム化されて一括管理されている。このような照明装置や航空障害灯等を一括管理するシステムとして、特許文献1や、特許文献2が知られている。
【0003】
特許文献1には、中央制御装置の伝送線に端末器を接続し、ビル内の照明装置及び航空障害灯を一括管理する照明制御システムの技術が開示されている。また、特許文献2には、送電線鉄塔上の航空障害灯において、光源故障時に光源を交換する危険回避として、光源を送電鉄塔の低所に配置し、低所の光源から発光された光を光源用光ファイバによって導いて地上高の高い送電鉄塔の頂部から放射する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−110367号公報
【特許文献1】特開2008−83832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、航空障害灯がビル用であり、航空障害灯用電源を必要とする。そして、この技術に用いられる伝送線は、ビル内の照明及び航空障害灯の一括監視制御信号用のものであるため、伝送する距離が長距離になる送電鉄塔上の航空障害灯の電源(蓄電池)供給や、一括監視制御に用いるには、不向きである。
【0006】
また、特許文献2に開示された技術は、各送電鉄塔上の航空障害灯を対象としているが、送電鉄塔1〜2基当たりに光源や電源等を配備する必要がある。そのため、送電鉄塔近辺に配電線(光源用の低圧電力線)が存在することがほとんどない現状では、対象とする航空障害灯を設置するエリアが限定されてしまう。更に、送電鉄塔ごとに光源や電源等を配備すると設備構築費用や運用費用が高く、省エネではない。
【0007】
そこで、近くに光源や電源を備えていなくても照らすことができ、更に、コストを従来より低減することができる照明装置が望まれている。
【0008】
本発明は、近くに光源や電源を備えていなくても照らすことができ、更に、コストを従来より低減することができる照明装置、航空障害灯及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0010】
(1) 伝送路によって伝送された光を用いて照明する照明装置であって、上流側の伝送路に接続され、伝送された光が入力される入力端子部と、前記入力端子部から入力された光のうち特定の波長以外の光を通過させる波長フィルタ部と、前記波長フィルタ部を通過した光を下流側の伝送路に出力する出力端子部と、前記波長フィルタ部12を通過しなかった特定の波長の光の波長を変換する波長変換部と、前記波長変換部によって変換された光を照射するランプ部と、を備えることを特徴とする照明装置。
【0011】
(1)の構成によれば、本発明に係る照明装置は、伝送路によって伝送された光を用いて照明する照明装置であって、上流側の伝送路に接続された入力端子部から、伝送された光が入力され、入力された光のうち特定の波長以外の光を通過させ、下流側の伝送路に出力する。そして、本発明に係る照明装置は、通過しなかった特定の波長の光の波長を変換し、変換された光を照射する。
【0012】
したがって、本発明に係る照明装置は、伝送路によって伝送された光を用いるので、近くに光源や電源を備えていなくても照らすことができる。更に、本発明に係る照明装置は、伝送された光のうち特定の波長の光を用いて照らし、特定の波長以外の光を通過させるので、本発明に係る照明装置を多数使用した場合に、光の波長を制御して一括して監視制御でき、その結果、照明装置を多数使用した場合のコストを従来より低減することができる。
【0013】
(2) 前記ランプ部は、前記波長変換部によって変換された光を反射する光反射層部と、前記光反射層部によって反射された光を散乱させる散乱部と、を更に備える(1)に記載の照明装置。
【0014】
(2)の構成によれば、(1)に記載の照明装置は、波長変換部によって変換された光を反射し、反射された光を散乱させる。したがって、本発明に係る照明装置は、伝送路によって伝送された光をランプ部において反射して散乱させるので、広い範囲を照明できる。
【0015】
(3) 前記入力された光を電力に変換する光電変換部と、前記光電変換部によって変換された電力を制御する電源制御部と、前記電源制御部から電源の供給を受けて、前記ランプ部の周囲の光の照度を計測するセンサ部と、を更に備える(1)又は(2)に記載の照明装置。
【0016】
(3)の構成によれば、(1)又は(2)に記載の照明装置は、入力された光を電力に変換し、変換された電力を制御し、その電源の供給を受けて、ランプ部の周囲の光の照度を計測する。したがって、本発明に係る照明装置を多数使用した場合に、照明装置の周囲の照度を利用し、光の波長を制御して一括して監視制御でき、その結果、照明装置を多数使用した場合のコストを従来より低減することができる。
【0017】
(4) 光を出力する光源装置と、前記光源装置が出力した光を複数の異なる波長の光として多重化し、多重化した光を伝送する光伝送装置と、前記光伝送装置によって伝送された光を照明する照明装置であって、上流側の伝送路に接続され、前記伝送された光が入力される入力端子部と、前記入力端子部から入力された光のうち特定の波長以外の光を通過させる波長フィルタ部と、前記波長フィルタ部を通過した光を下流側の伝送路に出力する出力端子部と、前記波長フィルタ部を通過しなかった特定の波長の光の波長を変換する波長変換部と、前記波長変換部によって変換された光を照射するランプ部と、を有する照明装置と、を備えることを特徴とする照明制御システム。
【0018】
(4)の構成によれば、本発明に係る照明制御システムにおいて、光源装置は光を出力し、光伝送装置は光源装置が出力した光を複数の異なる波長の光として多重化し、多重化した光を伝送し、照明装置は、光伝送装置によって伝送された光が上流側の伝送路に接続された入力端子部から入力され、入力された光のうち特定の波長以外の光を通過させ、下流側の伝送路に出力し、入力された光のうち通過しなかった特定の波長の光の波長を変換し、変換された光を照射する。したがって、本発明に係る照明装置システムは、伝送された光のうち特定の波長の光を用いて照らし、特定の波長以外の光を通過させる照明装置を多数使用し、光の波長を制御して一括して監視制御でき、その結果、照明装置を多数使用した場合のコストを従来より低減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、近くに光源や電源を備えていなくても照らすことができ、更に、コストを従来より低減することができる照明装置、航空障害灯及び照明装置システムを提供することができる。
【0020】
更に、本発明によれば、多数の照明装置を利用した場合に、大幅なコスト低減と、CO削減とが実現できる。そして、多数の照明装置を一括して監視制御する設備をコンパクトにすることができ、監視や保守の簡素化及び効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る照明装置10の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る照明装置10のランプ部101の構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る照明装置システム20の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る航空障害灯30の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る航空障害灯システム40の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る航空障害灯システム40の監視制御装置400のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る航空障害灯システム40の監視制御テーブルの一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る航空障害灯システム40の処理内容を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態に係る航空障害灯システム40の全体図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0023】
[実施例1]
図1は、本発明の一実施形態に係る照明装置10の構成を示すブロック図である。照明装置10は、伝送路によって伝送された光を用いて照明する装置である。この照明装置10は、入力端子部11と、波長フィルタ部12と、出力端子部13と、波長変換部14とからなる光接続部102と、ランプ部101と、を備える。
【0024】
入力端子部11は、上流側の伝送路201に接続される。この入力端子部11には、伝送路を介して伝送された光が入力される。伝送路は、光源から放射された光を伝送し、例えば、光ファイバによって構成される。光源は、例えば、近赤外線を用いた高出力レーザーがある。光源から放射された光は、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)技術により、複数の異なる波長の光に多重化されて伝送される。
【0025】
波長フィルタ部12は、入力端子部11から入力された光のうち特定の波長以外の光を通過させる。例えば、波長フィルタ部12は、光ファイバによって伝送された光を構成する複数の波長の光のうちの特定の波長の光を反射し、特定の波長以外の光を通過させる。
【0026】
出力端子部13は、波長フィルタ部12を通過した光を下流側の伝送路202に出力する。すなわち、伝送された光のうち特定の波長以外の光は、出力端子部13から伝送路202に出力され、次の照明装置10の入力端子部11に入力される。
【0027】
波長変換部14は、波長フィルタ部12を通過しなかった特定の波長の光の波長を変換する。すなわち、波長変換部14は、波長フィルタ部12によって反射された特定の波長の光を入射し、入射した光の波長を変換する。例えば、波長変換部14は、赤外線光で励起し可視光発光(赤色)にアップコンバージョンする発光・蛍光材料を用いて、光の波長を変換する。
【0028】
ランプ部101は、光反射層部15と、散乱部16とを備える。光反射層部15は、波長変換部14によって変換された光を反射させる。ここで、図2によって、光反射層部15について説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る照明装置10のランプ部101の構成の一例を示す図である。図2(1)は、光が通過する光ファイバ150を示し、図2(2)は、図2(1)のA−Aを断面とする断面図を示している。光ファイバ150は、例えば、側面出射光ファイバが用いられ、図2(2)のようにコア151と、クラッド152と、コア151とクラッド152との間に配置される光反射層153と、を備える。そして、波長変換部14によって変換された光は、ランプ部101の光ファイバ150の光反射層153によって反射され、図2(1)のように光ファイバの側面全体から出射される。
【0029】
散乱部16は、光反射層部15によって反射された光を散乱させる。例えば、散乱部16は、ランプ部101のガラス表面に発光・蓄光材料を用いて、光を散乱させる。例えば、発光・蓄光材料としては、高輝度光散乱ポリマー導光体が用いられる。高輝度光散乱ポリマー導光体は、例えばフォトニクスポリマー中にミクロンオーダーの不均一構造を形成させた、高輝度光散乱導光体ポリマーで構成することができ、高効率な可視光の散乱体となる。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態に係る照明装置システム20の構成を示すブロック図である。照明装置システム20は、光源としてレーザー装置401と、光伝送装置402と、異なる波長に対応した波長フィルタ部12を有する複数の照明装置10と、を備えている。そして、光伝送装置402から出力された光を伝送する光ファイバケーブルは、一の照明装置10の入力端子部11に接続され、一の照明装置10の出力端子部13から次の照明装置10の入力端子部11に接続されている。
【0031】
レーザー装置401は、光源として高出力のレーザー光を出力する。
【0032】
光伝送装置402は、レーザー装置401から出力された光を、波長分割多重技術(WDM)により複数の異なる波長の光として多重化し、一本の光ファイバケーブルによって伝送する。光の多重化は、指定された波長の光を指示によって多重化し、又は多重化しないことによって行われる。光ファイバケーブルは、コアを中心にして、その周囲をクラッドが取り巻き、更に、ファイバ保護のためクラッドの周囲は被覆で被われている。光ファイバケーブルは、コアとクラッドの屈折率の違いで光を反射させて伝送することにより、光ファイバケーブルを曲げても光の伝送が可能である。例えば、光伝送装置402は、波長λ、λ、・・・、λの波長の光を多重化させて、光ファイバケーブルによって伝送させる。
【0033】
複数の照明装置10のうち、一の照明装置10は、光ファイバケーブルによって伝送されて入力端子部11から入力された光のうち、例えばλの波長以外の光を通過させ、λ、・・・、λの波長の光を出力端子部13から出力する。そして、λの波長の光414を波長変換部14によって変換し、変換された光を照射する。更に、一の照明装置10の出力端子部13から出力された光413(λ、・・・、λの波長の光)は、次の照明装置10に入力され、次の照明装置10は、入力された光のうち、例えばλの波長以外の光を通過させ、λ、・・・、λの波長の光を出力端子部13から出力する。そして、λの波長の光を波長変換部14によって変換し、変換された光を照射する。
【0034】
このように、照明装置システム20は、照明装置10の近くに光源や電源を備えていなくても、特定の波長の光を伝送することにより複数の照明装置10ごとに点灯させ、特定の波長の光を伝送しないことにより複数の照明装置10ごとに消灯させることができる。
【0035】
[実施例2]
図4は、本発明の一実施形態に係る航空障害灯30の構成を示すブロック図である。航空障害灯30は、照明装置10の構成に加えて、光電変換部17と、電源制御部18と、センサ104と、を更に備えている。
【0036】
航空障害灯30の波長変換部14は、近赤外線(1.3〜1.6μm)を、発光材料として、例えば、発光ガラスに通すことにより、波長変換して赤外光励起による赤色コンバージョン蛍光を行う。
【0037】
光電変換部17は、入力された光を電力に変換する。すなわち、光電変換部17は、伝送路によって伝送され、入力端子部11から入力された光のうち、電力用の光信号411(図5参照)を、例えば、フォトダイオード(PD:Photodiode)で受信し、電力に変換する。
【0038】
電源制御部18は、光電変換部17によって変換された電力を制御する。
【0039】
センサ104は、電源制御部18から電源の供給を受けて、ランプ部101の周囲の光の照度を計測する。センサ104によって計測された照度データは、伝送路の一部を用いて通信光信号415(図5参照)によって、例えば、監視制御装置400に送ることができる。監視制御装置400は、受信した照度データに基づいて光源の出力を制御することができる。
【0040】
航空障害灯30は、設置する場所が60m以上90m以下であって昼間障害標識を設置する場合に、光度10cdが必要である(航空法第51条の2、航空法施行規則第132条の2)。このため、照明装置10の構成による光度では不足する場合には、光度を補うために、LED(Light Emitting Diode)103を備えてもよい。LED103は、伝送された光を光電変換部17が変換し、電源制御部18が制御する電力によって、発光する。なお、電源は独立電源として、各種発電装置(例えば、太陽光発電、風力発電、静電誘導法式、振動力発電等)による電力と蓄電池とを利用するとしてもよい。
【0041】
図5は、本発明の一実施形態に係る航空障害灯システム40の構成を示すブロック図である。航空障害灯システム40は、航空障害灯30と、光伝送装置402と、レーザー装置401と、監視制御装置400と、を備えている。
【0042】
レーザー装置401は、監視制御装置400からの制御信号に基づいてレーザー光を出力する。光伝送装置402は、複数の異なる波長の光を伝送路によって航空障害灯30に伝送する。光伝送装置402は、監視制御装置400からの制御信号に基づいて波長分割多重技術(WDM)により、各送電鉄塔#1、#2、・・・、#Xの航空障害灯30に、波長λ、λ、・・・、λを割り当て、伝送する。送電鉄塔#nの航空障害灯30は、波長フィルタ部12によって、該当波長の光λのみ抽出し、抽出した光414を波長変換部14によって変換した赤色光を照射する。光電変換部17は、電力用の光信号411を、シリーズに接続したフォトダイオード(PD:Photodiode)で受信し、電力に変換する。電源制御部18は、光電変換部17によって変換された電力を多段式制御によってセンサ104に提供する。センサ104は、電源制御部18から提供された電源によって動作し、ランプ部101の周囲の光の照度を測定し、通信光信号415によって送信する。
【0043】
伝送路は、OPGW(Optical Ground Wire)を使用する。OPGWは、架空地線(雷遮蔽を目的として、送電線の上部に架線した架空送電線)内に光ファイバを内蔵させている。このため、OPGWを使用する航空障害灯システム40は、光ファイバの持つ高品位、大容量伝送の特徴によって、長距離かつ広範囲なシステムを構築することができる
【0044】
監視制御装置400は、全ての航空障害灯30を一括して監視制御する。例えば、航空障害灯系統監視盤403に、航空障害灯30の現状に関する情報、例えば、航空障害灯30のそれぞれの点灯又は消灯の情報や、センサ104から受信した周囲の照度等、を表示する。そして、監視制御装置400は、オペレータの指示を受け付けて、受け付けた指示に基づいて、航空障害灯30ごとに点灯又は消灯するために光伝送装置402を制御したり、周囲の照度に基づいてレーザー装置401の出力を制御して航空障害灯30の輝度調整をする等、細やかな制御により省エネ効果を出すことができる。
【0045】
航空障害灯30は、照度を測定するセンサ104以外に、発熱を監視するための温度センサや、異常検知センサ、消費電力センサ等を備えるとしてもよい。監視制御装置400は、通信光信号415によって受信した各センサからのデータを航空障害灯系統監視盤403に表示したり、各センサからのデータに基づいて光伝送装置402や、レーザー装置401を制御することができる。
【0046】
図6は、本発明の一実施形態に係る航空障害灯システム40の監視制御装置400のハードウェア構成の一例を示す図である。監視制御装置400は、CPU(Central Processing Unit)1000、通信I/F1040、メインメモリ1050、BIOS(Basic Input Output System)1060、I/Oコントローラ1070、ハードディスク1074、表示装置1080、入力装置1100及び入出力I/F装置2000を備え、バスライン1005により接続されている。
【0047】
CPU1000は、監視制御装置400を統括的に制御する部分であり、ハードディスク1074に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0048】
通信I/F1040は、監視制御装置400を専用ネットワーク又は公共ネットワークを介して他のサーバ等と接続できるようにするためのネットワーク・アダプタである。
【0049】
メインメモリ1050は、適宜読み出して実行されるプログラムを記憶し、プログラムの実行によって作成される種々の情報を記憶する。
【0050】
BIOS1060は、監視制御装置400の起動時にCPU1000が実行するブートプログラムや、監視制御装置400のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0051】
I/Oコントローラ1070には、ハードディスク1074等の記憶手段を接続することができる。
【0052】
ハードディスク1074は、監視制御装置400が本発明の機能を実行するためのプログラムを記憶しており、監視制御テーブル(図7参照)等を記憶している。
【0053】
監視制御装置400に提供されるプログラムは、ハードディスク1074、又はメモリカード等の記録媒体に格納されて提供される。このプログラムは、I/Oコントローラ1070を介して、記録媒体から読み出され、又は通信I/F1040を介してダウンロードされることによって、監視制御装置400にインストールされ実行されてもよい。
【0054】
表示装置1080は、監視制御装置400による演算処理結果の画面、オペレータの指示を受け付ける画面等を表示するものであり、ブラウン管表示装置、液晶表示装置等のディスプレイ装置を含む。
【0055】
入力装置1100は、監視制御装置400のオペレータによる入力を行う装置であり、キーボード及びマウス等で構成される。
【0056】
入出力I/F装置2000は、航空障害灯系統監視盤403と、レーザー装置401と、光伝送装置402と、センサ104とを接続している。
【0057】
監視制御装置400は、航空障害灯30に備えられたそれぞれのセンサ104から受信した照度データを監視制御テーブル(図7参照)に記憶すると共に、受信した照度データを航空障害灯系統監視盤403に表示する。そして、監視制御装置400は、受信した照度データに基づいてレーザー装置401の出力を制御し、オペレータの指示に基づいて航空障害灯30をそれぞれ点灯/消灯するために光伝送装置402を制御する。
【0058】
図7は、本発明の一実施形態に係る航空障害灯システム40の監視制御テーブルの一例を示す図である。
【0059】
監視制御テーブルは、送電鉄塔情報と、出力光情報と、周囲の照度情報とを記憶している。送電鉄塔情報は、送電鉄塔を識別するための鉄塔IDと航空障害灯IDとを記憶している。出力光情報は、航空障害灯30を点灯するための光の波長と、出力のON/OFF情報とを記憶している。周囲の照度情報は、航空障害灯30のセンサ104から送信された照度データを記憶し、点灯前の照度と点灯後の照度とに分けて記憶している。
【0060】
図8は、本発明の一実施形態に係る航空障害灯システム40の処理内容を示すフローチャートである。なお、本処理は、プログラム開始指令を受けて処理を開始し、プログラム終了指令を受けて終了する。
【0061】
ステップS101において、CPU1000は、オペレータからの指示が点灯/消灯指示か否かを判断する。より具体的には、CPU1000は、入力装置1100から航空障害灯30の点灯か消灯かを示すデータを入力したか否かを判断する。この判断がYESの場合は処理をステップS102に移し、NOの場合は処理をステップS103に移す。
【0062】
ステップS102において、CPU1000は、オペレータからの指示を監視制御テーブルに記憶し、指示された航空障害灯30を点灯/消灯するために、光伝送装置402による光の波長の多重化を制御する。より具体的には、CPU1000は、オペレータから点灯を指示された場合に、指示された航空障害灯30に対応付けられた波長の光を含んで多重化するように光伝送装置402を制御する。同様にして、オペレータから消灯を指示された場合に、伝送される光に、指示された航空障害灯30に対応付けられた波長の光が含まれないように光伝送装置402を制御する。その後、CPU1000は、処理をステップS101に移す。
【0063】
ステップS103において、CPU1000は、オペレータからの指示がレーザーへの指示か否かを判断する。より具体的には、CPU1000は、入力装置1100からレーザーへの指示を示すデータを入力したか否かを判断する。この判断がYESの場合は処理をステップS104に移し、NOの場合は処理をステップS105に移す。
【0064】
ステップS104において、CPU1000は、オペレータからの指示に基づいてレーザー装置401を制御する。より具体的には、CPU1000は、オペレータからの指示に基づいてレーザー装置401にレーザーの出力をアップ又はダウンするように信号を出力し、制御する。その後、CPU1000は、処理をステップS101に移す。
【0065】
ステップS105において、CPU1000は、センサ情報を受信したか否かを判断する。この判断がYESの場合は処理をステップS106に移し、NOの場合は処理をステップS101に移す。
【0066】
ステップS106において、CPU1000は、受信したセンサ情報を監視制御テーブルに記憶する。より具体的には、CPU1000は、受信したセンサ情報の航空障害灯IDに基づいて、監視制御テーブルの対応する航空障害灯IDの周囲の照度情報エリアにおいて、出力光情報がOFFの場合には点灯前エリアに、ONの場合には点灯後エリアに受信した照度データを記憶する。その後、CPU1000は、処理をステップS101に移す。
【0067】
図9は、本発明の一実施形態に係る航空障害灯システム40の全体図の一例を示す図である。
【0068】
航空障害灯システム40は、送電鉄塔510に航空障害灯30をそれぞれ配置し、変電所でもある制御所501に、監視制御装置400、レーザー装置401、光伝送装置402、航空障害灯系統監視盤403を設置し、光ファイバ(OPGW)を介して近赤外線(1.3〜1.6μm)を航空障害灯30に送出する。航空障害灯システム40は、近赤外線(1.3〜1.6μm)を光ファイバ(OPGW)に送出することで、遠距離まで伝送することが可能であり、制御所501にて、全ての航空障害灯30を一括監視制御することが可能である。
【0069】
更に、OPGWを経由する通信局舎503に光アンプ511を必要により設置して、送出した信号の減衰を防ぐとしてもよい。レーザー装置401から遠距離の場合、損失ロスによる光レベル低下が考えられるため、変電所構内の通信局舎503の通信機械室内に設置される光アンプ511(光増幅装置)により、光レベルを増幅することで、広範囲(遠距離)の航空障害灯30を点灯させることができる。
【0070】
更に、OPGWの断線障害を考慮して、もう片方の変電所502にも同様のレーザー装置401及び光伝送装置402を予備として設けることが、望ましい。
【0071】
航空障害灯30の設置は、ランプ部101と光接続部102(フィルタ部)とを分離させて、それぞれランプ灯191と、光接続箱192としてもよい。鉄塔#nの光接続箱192において、波長フィルタ部12で特定波長λのみ取り出し、波長変換部14にて赤色光に励起後、ランプ灯191に送り発光させる。そして、特定波長λ以外は、通過して隣の鉄塔に送出される。
【0072】
実施例1によれば、照明装置10は、上流側の伝送路に接続された入力端子部11から、伝送された光が入力され、入力された光のうち特定の波長以外の光を通過させて、出力端子部13から下流側の伝送路に出力する。そして、本発明に係る照明装置は、通過しなかった特定の波長の光の波長を変換し、変換された光を反射し、散乱させて光を照射する。
【0073】
そして、照明装置システム20は、レーザー装置401と、光伝送装置402と、照明装置10と、を備える。レーザー装置401は、光を出力し、光伝送装置402は、レーザー装置401が出力した光を複数の異なる波長の光として多重化し、多重化した光を照明装置10に伝送し、照明装置10は、入力された光のうち特定の波長に基づいて光を照射する。したがって、照明装置10は、伝送路によって伝送された光を用いるので、近くに光源や電源を備えていなくても照らすことができる。更に、照明装置10は、伝送された光のうち特定の波長の光を用いて照らし、特定の波長以外の光を通過させるので、照明装置10を多数使用した照明装置システム20は、光の波長を制御して一括して制御でき、その結果、照明装置10を多数使用した場合のコストを従来より低減することができる。
【0074】
実施例2によれば、航空障害灯30は、照明装置10の構成に加えて、光電変換部17と、電源制御部18と、センサ104と、を更に備え、入力された光のうち特定の波長に基づいて赤色光を照射すると共に、入力された光を電力に変換し、変換された電力を用いてセンサが周囲の光の照度を計測する。
【0075】
更に、航空障害灯システム40は、監視制御装置400と、レーザー装置401と、光伝送装置402と、航空障害灯30と、を備える。そして、監視制御装置400の制御によってレーザー装置401は、近赤外線を出力し、監視制御装置400の制御によって光伝送装置402は、レーザー装置401が出力した光を複数の異なる波長の光として多重化し、多重化した光を航空障害灯30に伝送し、航空障害灯30は、入力された光のうち特定の波長に基づいて赤色光を照射する。更に、航空障害灯30は、センサ104が測定したデータを監視制御装置400に送信し、受信した監視制御装置400は、航空障害灯系統監視盤403に表示する。したがって、本発明に係る航空障害灯システム40は、航空障害灯30を多数使用した場合に、光の波長を制御して一括して監視制御でき、その結果、多数の航空障害灯30を送電鉄塔に配置した場合のコストの大幅な低減と、CO削減とを実現できる。そして、本発明に係る航空障害灯システム40は、多数の航空障害灯30を一括して監視制御する設備をコンパクトにすることができ、監視や保守の簡素化及び効率化を図ることができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0077】
10 照明装置
11 入力端子部
12 波長フィルタ部
13 出力端子部
14 波長変換部
15 光反射層部
16 散乱部
17 光電変換部
18 電源制御部
20 照明装置システム
30 航空障害灯
40 航空障害灯システム
101 ランプ部
102 光接続部
104 センサ
191 ランプ灯
192 光接続箱
201,202 伝送路
400 監視制御装置
401 レーザー装置
402 光伝送装置
403 航空障害灯系統監視盤
411 光信号
413,414 光
415 通信光信号
501 制御所
502 変電所
503 通信局舎
511 光アンプ
1000 CPU
1005 バスライン
1040 通信I/F
1050 メインメモリ
1060 BIOS
1070 I/Oコントローラ
1074 ハードディスク
1080 表示装置
1100 入力装置
2000 入出力I/F装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送路によって伝送された光を用いて照明する照明装置であって、
上流側の伝送路に接続され、伝送された光が入力される入力端子部と、
前記入力端子部から入力された光のうち特定の波長以外の光を通過させる波長フィルタ部と、
前記波長フィルタ部を通過した光を下流側の伝送路に出力する出力端子部と、
前記波長フィルタ部を通過しなかった特定の波長の光の波長を変換する波長変換部と、
前記波長変換部によって変換された光を照射するランプ部と、
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記ランプ部は、
前記波長変換部によって変換された光を反射する光反射層部と、
前記光反射層部によって反射された光を散乱させる散乱部と、
を更に備える請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記入力された光を電力に変換する光電変換部と、
前記光電変換部によって変換された電力を制御する電源制御部と、
前記電源制御部から電源の供給を受けて、前記ランプ部の周囲の光の照度を計測するセンサ部と、
を更に備える請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
光を出力する光源装置と、
前記光源装置が出力した光を複数の異なる波長の光として多重化し、多重化した光を伝送する光伝送装置と、
前記光伝送装置によって伝送された光を照明する照明装置であって、
上流側の伝送路に接続され、前記伝送された光が入力される入力端子部と、
前記入力端子部から入力された光のうち特定の波長以外の光を通過させる波長フィルタ部と、
前記波長フィルタ部を通過した光を下流側の伝送路に出力する出力端子部と、
前記波長フィルタ部を通過しなかった特定の波長の光の波長を変換する波長変換部と、
前記波長変換部によって変換された光を照射するランプ部と、を有する照明装置と、
を備えることを特徴とする照明制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−159429(P2011−159429A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18451(P2010−18451)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(503320061)株式会社エネルギア・コミュニケーションズ (92)
【出願人】(591080678)株式会社中電工 (64)
【Fターム(参考)】