説明

照明装置および照明器具

【課題】高出力化、広配光化およびコスト低減を図ることが可能な照明装置および照明器具を提供する。
【解決手段】照明装置10は、本体11、発光部13、透光性のカバー部材14を具備する。本体11は、熱伝導性部材からなる。発光部13は、本体に配設される。透光性のカバー部材14は、発光部を覆うように設けられ、半球体14−1と半球体に接合される透光性部材14−2を有するセラミックスからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、透光性のカバー部材を有する照明装置および照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種、透光性のカバー部材を有する照明装置、特に、口金付ランプ等においては、近年、その光源として発光ダイオード(以下「LED」と称する)が用いられ、LEDの発光効率の向上により、一般照明用の光源として採用され各種LEDランプや灯具等の照明装置が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−37995号公報
【特許文献2】特開2006−49410号公報
【特許文献3】特開平8−273609号公報
【特許文献4】特開平6−340469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の照明装置、例えば、LEDランプにおいては、その温度が上昇するに従い光出力が低下し発光効率が低下する問題が生じている。また、一般的には、発光源であるLEDを平面的な基板に実装して構成するため、光がグローブの頂点側に片寄る配光となり、一般白熱電球の配光と比較した場合、配光角が狭くなる問題がある。また、一方では、一般白熱電球との価格差があり、さらなるコストの低減が要求されている。このため、LEDランプ等の照明装置においては、さらなる高出力化と広配光化およびコスト低減を如何にして実現するかが重要な課題となっている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、高出力化、広配光化およびコスト低減を図ることが可能な照明装置および照明器具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の照明装置は、本体、発光部、透光性のカバー部材を具備する。本体は、熱伝導性部材からなる。発光部は、本体に配設される。透光性のカバー部材は、発光部を覆うように設けられ、半球体と半球体に接合される透光性部材を有するセラミックスからなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高出力化、広配光化およびコスト低減を図ることが可能な照明装置および照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態である照明装置を示し、(a)はカバー部材を外した状態で示す上面図、(b)は縦断面図、(c)は本(b)図のB部分を拡大して示す断面図、(d)は本(b)図のA部分を拡大して示す断面図。
【図2】本発明の実施形態である照明装置の正面図。
【図3】照明装置のカバー部材を示し、(a)は縦断面図、(b)は1/2球体の成形型の断面図、(c)は1/4球体の成形型の断面図。
【図4】照明装置のカバー部材を示し、(a)は位置合せ手段を示す断面図、(b)は位置合せ手段の第1の変形例を示す断面図、(c)は位置合せ手段の第2の変形例を示す断面図、(d)は位置合せ手段の第3の変形例を示す断面図。
【図5】照明装置を示し、(a)は係合手段を拡大して示す断面図、(b)は係合手段の切欠部を示し、本体を上方から見た斜視図。
【図6】照明装置を模式的に示し、(a)はカバー部材の正面図、(b)はカバー部材の下面図、(c)はカバー部材の成形型の側面図、(d)はカバー部材の成形型の下面図。
【図7】照明装置のシミュレーションによる熱解析結果を示すグラフで、(a)はセラミックス光学カバーを用いた場合の放熱体/セラミックスグローブ比による熱抵抗の変化を示すグラフ、(b)は従来のポリカーボネート製光学カバーを用いた場合の放熱体/ポリカーボネートグローブ比による熱抵抗の変化を示すグラフ。
【図8】図7(a)(b)のセラミックス光学カバーとポリカーボネート製光学カバーの熱解析結果を合わせて示したグラフ。
【図9】照明装置を装着した照明器具を、天井に設置した状態を概略的に示した断面図。
【図10】照明装置の変形例を示し、(a)は第1の変形例を示すカバー部材の縦断面図、(b)は第2の変形例を示すカバー部材の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、照明装置および照明器具の実施形態につき、図に従い説明する。
【0010】
先ず、照明装置の構成につき説明する。本実施形態の照明装置は、例えば、E17口金付のミニクリプトン電球60Wに代替が可能な小形の口金付ランプ10を構成するものある。図1〜図6に示すように、熱伝導性部材からなる本体11、本体に配設され固体発光素子12を有する発光部13、発光部を覆うように設けられ、セラミックスからなる透光性のカバー部材14で構成する。
【0011】
本体11は、後述する発光部13、点灯装置15および口金部材16を支持するために、一定の剛性を有することが必要で、さらに、発光部13や点灯装置15からの熱を放熱させるために熱伝導性が必要となる。これら条件を満たすため、本実施形態では、本体11をアルミニウムで構成した。アルミニウムからなる本体11は、横断面形状が略円形の円筒状をなし、一端部側に径の大きな開口部11aを他端部側に径の小さな開口部11bを有する収納部11cを一体に形成する。また本体11の外周面は図2に示すように、一端部側から他端部側に向かい順次直径が小さくなる略円錐状のテーパ面をなすように形成し、外をミニクリプトン電球におけるネック部のシルエットに近似させた形状に構成する。このような構成のアルミニウム製本体11は、例えば、鋳造、鍛造または切削加工等で製作され、内部に空間を有する一端が開放された円筒体として構成される。
【0012】
本体11の一端部側の開口部11aには、環状の凹段部が形成されるように凹段部の表面を平坦な面に形成した基板支持部11eが一体に形成され、この周囲にリング状をなす凸条部11fを一体に形成する。また、本体11に一体に形成された収納凹部11cは、その内部に、後述する点灯装置15を構成する回路基板を配設するための空間を形成し、横断面が本体11の中心軸線x−xを中心とした略円形をなし、一端部側から他端部側に向かって内径が小さくなる略円錐台形状をなしている。収納部11c内には、点灯装置15と本体11との電気絶縁を図るために絶縁ケース20が固定される。
【0013】
絶縁ケース20はPBT(ポリブチレンテレフタレート)などの耐熱性および電気絶縁性を有する合成樹脂で構成され、一端部側に開口部20aが形成され他端部側が閉塞されて、収納部11cの内面形状に略合致する有底の略円錐台形状をなす形状に構成されている。そして、本体11の他端部側の開口部11bから突出され、後述の基板13aにより開口部20aが押圧されて収納部11c内に固定される。ネジまたはシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の接着剤で収納凹部11c内に固定するようにしてもよい。また、絶縁ケース20は、その他端部側に外周を段状になした口金取付部20cを一体に形成する。
【0014】
固体発光素子12は、本実施形態では発光ダイオード(以下「LED」と称す)で構成し、本実施形態では4個のSMD(Surface Mount Device)タイプのLEDからなる。なお、LEDとしては、複数個のLEDチップおよびこのLEDチップにより励起される蛍光体により白色(昼白色、昼光色、電球色を含む)を発光する、いわゆるCOB(Chip on Board)タイプであってもよい。
【0015】
発光部13は、熱伝導性の良好な金属、本実施形態では平板状の薄い円形の板状をなすアルミニウム製の基板13aを有し、その表面(図1(b))における上方の面にシリコーン樹脂等の電気絶縁層を介して銅箔からなる配線パターンが形成され、この配線パターン上に4個の各LED12が略同心円状をなすように略等間隔に配設されて実装される。これにより円形で板状をなす基板13aに、4個のLED12が略対称となるように配設された発光モジュールからなる発光部13が構成される(図1(a))。
【0016】
上記に構成された発光部13は、本体11の一端部側に形成された基板支持部11eに電気絶縁を図るために、シリコーン樹脂等で構成された電気絶縁シート等(図示せず)を介して、平坦な面をなす基板支持部11eの表面にネジ等の固定手段13bを用い密着して固定される。これにより、発光部13が基板支持部11eに密着して固定される。
【0017】
これにより、本体11の一端部側に発光部13が配設されると共に、基板13aの裏面が本体11の基板支持部11eに確実に密着され、基板13aが熱伝導性の良好なアルミニウムで構成されていることと相まって、LED12の主として裏面側から発生する熱を効果的に本体11に伝達し放熱させることができる。上記構成により、4個のLED12を実装した基板13aからなる発光部13の光軸yが、本体11の中心軸x−xに略合致し、全体として上面視で略円形の発光面を有する光源部が構成される。
【0018】
カバー部材14は、ランプのグローブを構成するもので、透光性を有するとともに、発光部13等から発生する熱を放熱させるために熱伝導性を有することが必要で、さらに、発光部13を保護するためのカバー機能が必要なために一定の剛性を有する部材で構成される。それら条件を満たす部材として特に有効な素材は、アルミナであり、本実施形態では、透光性を有するアルミナ多結晶体を主成分とする透光性セラミックスで構成した。アルミナ素材は耐光性がよく、光透過率がよい素材である。一般的には不純物も混入していることも多いが、光透過、光拡散性を考慮するとできるだけ高純度(99〜99.99%)であるアルミナ原料を用いて成形させた方がよい。また、原材料のアルミナ粒子の直径を変えることにより光拡散を変えることもできる。また、アルミナ自身は全透過率が85〜95%と非常に高い素材であるが、本実施形態に用いるものは屈折率1.8程度のアルミナ微粒子の焼結多結晶体であるため、原材料の粒子サイズを変えることにより任意の光拡散度を得ることができる。さらに、材料純度が高いと熱伝導率も高くなるために、光学的にも熱的にも高純度のアルミナ原料を用いたものがよい。
【0019】
上記アルミナ素材における利点を考慮して、本実施形態においては、例えば、ナトリウムランプやメタルハライドランプ等の発光管に用いられる透光性セラミックス、すなわち、サファイヤと、透光性多結晶アルミナセラミックス(アルミニウム酸化物)、イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)、イットリウム酸化物(YOX)と、アルミニウム窒化物(AlN)からなるアルミナ多結晶体を主成分とする透光性セラミックスで構成した。
【0020】
これら構成の透光性セラミックスからなるカバー部材14は、図3(a)に示すように、発光部13を覆うように設けられ、半球体と半球体に接合される透光性部材を有する。
【0021】
すなわち、半球体は、本実施形態では、球体を最大径部D、Dを結ぶ線z−zで接合される1/2球体14−1で構成され、半球体に接合される透光性部材は、本実施形態では、球体を最大径部D、Dを結ぶ線z−zで接合される1/4球体14−2で構成した。半球体に接合される透光性部材は、球体の少なくとも一部をなしていることが略球状をなすグローブを構成するためには好ましいが、球体以外の円筒などの形状をなしているものであってもよい。
【0022】
そして、セラミックスからなるカバー部材14は、粉末状態のセラミックスを成形し焼成することによって構成するため、従来のポリカーボネート等の合成樹脂製カバー部材のように、ブロー成形によって球体をなすように膨らませて成形することができない。
【0023】
このため、図3(b)に示すように、成形の型K3の型抜きが可能なように、球体を最大径部D、Dで、それぞれが1/2球体となるようにして成形を行う必要がある。一方、広配光化を実現させる光学的要求から、1/2球体14−1だけではなく、できるだけ球体に近いグローブ形状に構成することが必要で、1/2球体にさらに1/2球体、口金付ランプの場合には、発光部13を搭載する必要があるため、実際には1/4球体程度を被せ両者を接合して略球状をなすカバー部材12を構成する。1/4球体14−2は、1/2球体14−1と同様に、図3(c)に示すように成形の型K4の型抜きが可能になるようにして成形する。
【0024】
一方、コスト的要求からは、これら1/2球体と1/4球体を接合する作業、特に両者の接合部における位置合わせ作業は、その製造性を高めることが必要となる。このため、本実施形態においては、自動化が可能となるような位置合せ手段18を両者の接合部に形成した。
【0025】
本実施形態における位置合せ手段18は、図4(a)に示すように、1/2球体14−1のリング状をなす接合部に対して、接合部に沿ってリング状をなす凸条部18aを一体に形成し、1/4球体14−2のリング状をなす接合部に対して、接合部に沿ってリング状をなす凹溝18bを一体に形成し、この凸条部18aを凹溝18bに嵌め込むことによって位置合せを行うように構成した。この構成によれば、例えば、凹溝18b内に接着剤を注入しておけば、確実な位置合せと同時に接着工程を行うことが可能になり、作業は単純で簡単に自動化が可能となる。これにより、接合のための作業性が向上し製造性が高まり製造コストを低減させることが可能になる。
【0026】
なお、凸条部18aと凹溝18bは、図4(b)に示すように、逆に凸条部18aを1/4球体14−2に、凹溝18bを1/2球体14−1にそれぞれ形成するようにしてもよい。さらに、図4(c)(d)に示すように、段部による凸条部18aと凹溝18bを形成して位置合せ手段18を構成してもよい、さらには、各接合部に対向して、多数のピンとピンが挿入されるピン孔を形成し、それぞれを合わせて挿入することにより位置合せを行うようにしてもよい。
【0027】
そして、セラミックスは、従来の合成樹脂製カバー部材のように、超音波溶接等の手段によって接合することが困難のため、両者の接合は、透光性を有する接合材19で固着する(図4)。特に透光性を有することにより、接合部において影が生じ難くなって、接合部が目立たないようにすることでランプの照明雰囲気および商品性を向上させることが可能になる。透光性を有する接合材19としては、ガラスフィラー入りペーストからなる接着剤が好適である。この接着剤によれば、接着後加熱することにより、ペースト成分が飛んでガラスのみが残るため、接合部における光透過率が高く、影の発生を極力少なくすることができる。同時にガラスは合成樹脂より熱伝導率が高いので、接合部での熱の伝達ロスを極力少なくすることができる。また、接合材19としては、さらに熱伝導性、耐熱性、耐光性を有するものが好適である。特に、熱伝導性については、本実施形態のカバー部材12は、セラミックスの熱伝導性を利用して発光部13の熱を放熱させるため、接合部での熱の伝達ロスを極力少なくして放熱効果を阻害しないようにすることが可能になる。
【0028】
以上のように、本実施形態におけるカバー部材14は、球の下方部分をカットした略3/4の球体をなす形状に構成される。この略3/4の球体は、球の最大径部D、Dを結ぶz−z線で、略1/2球体14−1と、略1/4球体14−2が接合される。そして、それぞれを上記のように型で成形して焼成し、最大径部D、Dを結ぶz−z線で接合されて略3/4球体となるように構成される。
【0029】
上記のように、カバー部材14は、略3/4球体に構成されることにより、配光角を広配光化することが可能になる。すなわち、図1(b)に矢印で示すように、発光部13から放射された光aが、略3/4球体の下方、すなわち略1/4球体14−2を透過し、ランプの背面方向、換言すれば、ランプの口金方向に放射させることができ、ランプの頂点Tから口金方向にわたる広角な配光を得ることができ、従来のグローブの頂点側に片寄る配光を改善し、より一般白熱電球の配光に近似させることが可能になる。
【0030】
上記により、カバー部材14は、一端部側に開口14aを有する略3/4球体をなし、全体としてミニクリプトン電球のグローブのシルエットにより近似させた滑らかな曲面形状をなし、さらに光拡散性を有する乳白色のグローブとなるように構成される。
【0031】
上記のように、カバー部材14としてアルミナ多結晶体を主成分とする透光性セラミックスを用いることにより、従来は放熱のために寄与していなかったカバー部材を有効に利用して固体発光素子から発生する熱を効果的に放熱させ、発光効率を向上させることができる。因みに、従来この種のカバー部材、例えば、グローブにおいては、その表面積が口金付ランプ全体の表面積に対して、約30〜40%程度の割合を占めているにもかかわらず、これらの材質は、ガラスや合成樹脂が用いられていたため熱伝導率が低く、放熱効果を高めるためには寄与していなかった。これに対し、本実施形態によれば、表面積として約30〜40%程度の割合を占めるカバー部材を熱伝導性に優れたアルミナ多結晶体を主成分とする透光性セラミックスで構成することにより、ランプ全体の放熱性を向上させることができ、より高効率で高出力の口金付ランプ等の照明装置を構成することが可能となる。特に、本実施形態においては、カバー部材14を略3/4球体とすることによって、放熱のための表面積を従来の1/2球体より広くすることができ、一層効果的な放熱が行われ、より一層高効率で高出力の口金付ランプ、すなわち照明装置を構成することが可能となる。また、本実施形態においては、球体の接合部に透光性を有し熱伝導性を有する接合材19を使用することによって、接合部での熱の伝達ロスを極力少なくして放熱効果を阻害しないようにすることが可能になる。
【0032】
そして、上記に構成したカバー部材14は、発光部13を保護するために、発光部を覆うように本体11の開口部11aに固定される。この固定は、剛体からなるアルミニウム製の本体11に対し、同じく剛体からなるセラミックス製のカバー部材14との結合で、発光部13の熱を本体11からさらに効率よくカバー部材14に伝達させて放熱させる必要があることから、次のようにして結合される。
【0033】
すなわち、図5に示すように、剛性を有する本体11とカバー部材14は、例えば、合成樹脂のような柔軟性の高い素材を利用して結合することが困難なため、熱伝導性の良好な接着剤によって結合される。さらに、長期的なクリープ(熱)でカバー部材14と本体11との位置がずれないように、本体11とカバー部材14に対向して設けられた溝部17aと突部17bからなる係合手段17によって、機械的に係合させて固定される。
【0034】
係合手段17は、本体11の一端部側の開口部内周面、すなわち、凸条部11fの内周面に一体に形成されたリング状の溝部17aと、カバー部材14の外周面に形成された突部17bからなる。溝部17aは、カバー部材14の突部17bを挿入するための切欠部17a1(図1(a)、図5(b))を有し、切欠部17a1は本体11の中心Oに対して対称性を有して一対2個が一体に切り欠かれて形成される。
【0035】
突部17bは、図6(a)(b)に模式的に示すように、カバー部材14の外周面にカバー部材の中心O´に対して対称性を有して一体に突出して形成された一対の突片からなり、本体11の溝部17a方向に対して閉じる角度のテーパ状となるように傾斜部17b1が形成され、突部17bの上方にリング状をなす段部17b2が一体に形成される。傾斜部17b1は、突部17bの上面に形成された傾斜部と、両側面に形成された傾斜部からなり、その傾斜角度は、透光性セラミックスからなるグローブ成形時に用いる成形型の抜き勾配程度の角度を満足していればよい。
【0036】
そして、カバー部材14の一対の突部17bと本体11の一対の切欠部17a1との位置合わせを行い、突部17bを切欠部17a1から溝部17a内に挿入し、所定の角度だけ回動(左右どちらでもよい)させる。これにより、図5(a)に示すように、突部17bが溝部17a内で係合して機械的に結合され、長期的なクリープ(熱)によるカバー部材14と本体11との位置ずれが防止される。なお、本体11の溝部17aに対し、接着剤Sを塗布しておくことが好ましい。接着剤としては、熱伝導性および耐熱性を有するシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等からなる接着剤が好ましい。
【0037】
また、溝部17aと突部17bが係合することによって、溝部17aの下面の壁面17a2が突部17bの下面17b3に接合して熱的に接続され、同時に、カバー部材14の段部17b2の下面が本体11の開口部11aの開口端面11a1に接合されて熱的に接続される。なお、これら熱的に接続される部分に多少の隙間が形成された場合でも、接着剤Sがその隙間に入り込むことから熱的な接続が保持される。これら作用により、熱伝導性を有する接着剤Sおよび係合手段17による本体11との熱的な接続により、本体11に伝達された発光部13の熱を効率的にカバー部材14に伝達させることができる。
【0038】
なお、溝部17aと突部17bの係合状態で形成される断面三角形状をなす空間部P内は、接着剤の溜り部となり接着剤Sが外にはみ出すことが防止され外観的にも良好となる。同時に、空間部Pに接着剤Sが充填されることから、さらに強固に固定されるとともに、この充填された熱伝導性を有する接着剤によって、本体11に伝達された発光部13の熱を、さらに効率的にカバー部材14に伝達させることができる。
【0039】
上記により、剛体同士からなるアルミニウム製の本体11とセラミックス製のカバー部材14とを、係合手段17によって強固に固定することができ、カバー部材14と本体11との位置ずれが防止され、カバー部材14によって発光部13のLED12を長期にわたり確実に覆うことができる。さらに、係合手段17によって発光部13の熱を、効率よくカバー部材14に伝達させて放熱させることができる。これにより、透光性セラミックスからなるカバー部材14は、LED12から放射される光を、ランプの頂点Tから口金方向にわたる広角な配光で、かつ光を拡散させながら透過すると共に、LED12の主として表面側から発生する熱を、略3/4球体の広い表面積から外部に放熱する。同時に、カバー部材14は、本体11の開口部11aに対し、係合手段17により熱伝導が可能になるように接続され、LED12の主として裏面側から発生する熱を、本体11からカバー部材14に伝熱させて放熱することにより効果的な放熱作用が行われ、LEDの発光効率の低下を抑制し、高出力化を達成することができる。
【0040】
また、係合手段17は、その突部17bがカバー部材14の外周面にカバー部材の中心O´に対して対称性を有して一対が形成され、さらに、傾斜部17b1を有して形成されているので、図6(c)(d)に示すように、2ピースの割り型K1、K2によってアルミナ多結晶体を主成分とするセラミックス製のカバー部材14を、複雑な型を用いることなく簡単に製造することができ、より一層生産性を向上させることができ、さらに、コスト的に有利な照明装置を構成することが可能になる。
【0041】
点灯装置15は、図1(b)に示すように、各LED12の点灯回路を構成する回路部品を実装した平板状の回路基板15aからなる。点灯回路は、交流電圧100Vを直流電圧24Vに変換して各LED12に定電流の直流電流を供給するように構成される。回路基板15aは短冊状の縦に長い形状に構成して片面または両面に回路パターンが形成され、その実装面に小形の電解コンデンサ等のリード部品やトランジスタ等のチップ部品等、点灯回路を構成するための複数の小形の電子部品15bが実装される。そして、上述した本体11の収納凹部11c内に設けられる絶縁ケース20内に、回路基板15aを縦方向にして収容され、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の熱伝導性が良好で、かつ電気絶縁性の良好な接着剤15cを充填し、これら回路基板15aおよび電子部品15bを埋め込んで固定する。これにより、各電子部品15bから発生する熱は接着剤内部で分散して飽和し均一化される。また、回路基板15aの出力端子には各LED12へ給電するための給電用のリード線(図示せず)を接続し、入力端子には入力線(図示せず)を接続する。
【0042】
点灯装置15に接続され、本体11の他端部側に設けられる口金部材16は、図1(b)に示すように、エジソンタイプのE17口金で、ねじ山を備えた銅板製の筒状のシェル部16aと、このシェル部の下端の頂部に電気絶縁部16bを介して設けられた導電性のアイレット部16cを備えている。シェル部16aの開口部が、絶縁ケース20の口金取付部20cに外側から嵌め込まれ、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の接着剤による接着やカシメなどの手段により本体11との電気絶縁をなして本体11の他端部側に固定される。シェル部16aおよびアイレット部16cには、点灯装置15における回路基板15aの入力端子から導出された入力線が接続される。
【0043】
これにより、本体11の一端部側に乳白色のアルミナ多結晶体を主成分とする透光性セラミックス製で、略3/4球体からなるカバー部材14で構成されたグローブを有し、LED12を光源とした発光部13を有し、他端部側にE17口金部材16が設けられ、全体の外観形状がミニクリプトン電球60Wのシルエットにより近似した電球形の口金付ランプ10が構成される(図2)。この口金付ランプの全長L1は約67mm、カバー部材14の外径D1は約35mmに構成した。
【0044】
一般的にLEDを光源とするこの種口金付ランプ等の照明装置において、大光量、広配光化が進んでいるが、口金付ランプの場合様々な器具に適合させるため無限に大きくすることはできない。このため寸法的制限から放熱部の面積が決まってしまうため大光量化には限界がある。また、一方では一般白熱電球と同等の広配光化が求められるため、グローブを大きくすると本体が小さくなり、より放熱面積の確保が困難な状況になってきている。このため、高出力化と広角配光の両者を満たす仕様の口金付ランプの開発は困難な状況となっている。
【0045】
そこで、光学部面積を拡張せずに配光を広げようとするため、LED素子の上部にレンズを設けることが試みられている。しかし放熱部面積がアルミニウムで形成された放熱体(本体)の放熱表面積に限定されてしまうため、十分に放熱能力を得ることができず大光量化には限界があった。近年では、放射放熱を向上させるような光放射塗料なども開発されてきているが、放射能力の改善程度にしか性能が向上しない。
【0046】
このため、一般白熱電球サイズで放熱しようとすると100lm/WのLEDを使用した場合でも、ランプ投入電力で10〜12W入力が限界となってしまう。ランプの内部温度が上昇しすぎると、半田や構成部品の劣化が促進されて製品寿命が短くなってしまう。
【0047】
これに対し、上記に構成された口金付ランプ10、すなわち、照明装置は、従来放熱に寄与していなかった光学グローブ、すなわち、カバー部材14に熱伝導素材、すなわち、アルミナ多結晶体を主成分とする透光性セラミックスを適用することによりランプ全体を放熱構造体になることが特徴で、従来よりも放熱面積を拡大させることにより、大光量化が可能になる。また、放熱体自体、すなわち、本体11を縮小、小面積化させて光取り出し分の面積を拡大させることにより、従来より広い配光の光を取り出すことが可能になる。
【0048】
しかし、放熱体を構成するアルミニウム製の本体11は、80〜150W/m・Kの熱伝導率をもつが、セラミックスグローブは10〜30W/m・Kと熱伝導率が若干低いため、最適な放熱のための面積設計が必要となる。また、セラミックスグローブは、肉厚が薄くても光学カバーとして利用できるが、放熱を目的として利用する場合には、肉厚が薄いと熱抵抗になるため、最適な肉厚も存在する。
【0049】
そこで、上記のように、アルミナ多結晶体を主成分とする透光性セラミックスからなるカバー部材14を用いた口金付ランプ10、すなわち、照明装置において、高出力化と広配光化を得るための条件、すなわち、放熱体である本体11と光学カバーであるカバー部材14との表面積の比率、アルミナ多結晶体を主成分とする透光性セラミックスからなるカバー部材14の肉厚寸法を求めるためのシミュレーションによる実験を行った。
【0050】
本実験では、ランプの高出力化を達成するための条件、すなわち、ランプ全体、すなわち、本体11およびカバー部材で14構成される装置全体の最適な熱抵抗を得ることが可能な表面積の比率と肉厚寸法を求めた。本実験において、熱抵抗(K/W)は、LEDジャンクション温度/ランプ入力電力で求めた。カバー部材12の肉厚寸法は、グローブ頂部Tにおける肉厚寸法t1として求めた。
【0051】
上記実験による熱解析結果を図7〜図8のグラフで示す。すなわち、図7(a)のグラフは、セラミックス光学カバーを用いた場合の放熱体/セラミックスグローブ比(表面積比)による熱抵抗の変化を示す。すなわち、本実施形態のアルミナ多結晶体を主成分とする透光性セラミックスをカバー部材14として用いた場合の、本体11/カバー部材14比(表面積比)による熱抵抗の変化を示す。グラフ中、曲線aはセラミックス光学カバーの肉厚が1mmの熱抵抗変化を示し、曲線bはセラミックス光学カバーの肉厚が2mmの熱抵抗変化を示す。
【0052】
これによれば、セラミックス光学カバーを用いた場合において、ほとんど熱抵抗は6K/W以下になることが分かる。また、セラミックス光学カバーの肉厚により熱抵抗も大きくなる。
【0053】
また、図7(b)のグラフは、従来のポリカーボネート製光学カバーを用いた場合の放熱体/ポリカーボネート製グローブ比(表面積比)による熱抵抗の変化を示す。グラフ中、曲線cはポリカーボネート製光学カバーの肉厚が1mmの熱抵抗変化を示し、曲線dはポリカーボネート製光学カバーの肉厚が2mmの熱抵抗変化を示す。
【0054】
これによれば、6K/W以下の熱抵抗になる条件が狭く、光学カバーの表面積が小さくなる傾向であり、表面積比が小さくなると、すなわち、ポリカーボネート製光学カバーが大きくなると、熱抵抗が極端に大きくなってしまう。なお、図8のグラフは、セラミックス光学カバーとポリカーボネート製光学カバーの熱解析結果を合わせて示したものである。以上のように、カバー部材として、セラミックス光学カバー、すなわち、アルミナ多結晶体を主成分とする透光性セラミックスを使用することで、従来製品よりも大出力化が可能であることが立証された。また、セラミックス光学カバーの面積を拡大させることで熱抵抗も少なくなり、かつ広配光化が可能であることが分かった。
【0055】
以上の結果から、本実施形態における口金付ランプ10、すなわち、照明装置は、高出力化を図るために、本体11およびカバー部材12で構成される装置全体の熱抵抗は、6K/W以下で、本体11およびカバー部材14の表面積比は、0.2〜1.5、好ましくは0.3〜1になるようにし、さらに、カバー部材14の肉厚t1は、0.5〜3mm、好ましくは1〜2mmに構成することが最適であることが判明した。
【0056】
次に、上記のように構成された口金付ランプ10を光源とした照明器具の構成を説明する。図9に示すように、30は店舗等の天井面Xに埋め込み設置され、E17形の口金を有するミニクリプトン電球を光源としたダウンライト式の既存の照明器具である。この照明器具は、下面に開口部31aを有する金属製の箱状をなした器具本体31と、開口部31aに嵌合される金属製の反射体32と、ミニクリプトン電球のE17口金をねじ込むことが可能なソケット33で構成されている。反射体32は、例えばステンレス等の金属板で構成し、反射体32の上面板の中央部にソケット33が設置されている。
【0057】
上記に構成されたミニクリプトン電球用の既存の照明器具30において、省エネや長寿命化などのためにミニクリプトン電球に替えて、上述したLEDを光源とする電球形の口金付ランプ10を使用する。すなわち、口金付ランプ10は口金部材16をE17形に構成してあるので、上記照明器具のミニクリプトン電球用のソケット33にそのまま差し込むことができる。この際、口金付ランプ10の外周面が略円錐状のテーパ面をなすようにして、外観がミニクリプトン電球におけるネック部のシルエットにより近似させた形状に構成されているので、ネック部がソケット周辺の反射体32などに当たることなくスムーズに差し込むことができ、電球形の口金付ランプ10における既存照明器具への適用率が向上する。これにより、LEDを光源とした省エネ形のダウンライトが構成される。勿論、上記と同様にして新規のダウンライトを構成するようにしてもよい。
【0058】
この状態で電源を投入すると、ソケット33から口金付ランプ10の口金部材16を介して電源が供給され、点灯装置15が動作し24Vの直流電圧が出力される。この直流電圧は点灯装置15から各LED12に印加され、定電流の直流電流が供給されて全てのLED12が同時に点灯する。
【0059】
各LED12から放射された白色の光は、カバー部材14の内面全体に向かって略均等に放射される。特に本実施形態の口金付ランプ10は略3/4球体からなるアルミナ多結晶体を主成分とする透光性セラミックス製のカバー部材14を有するので、LED12から放射される光を、ランプの頂点Tから口金方向にわたる広角な配光で放射するとともに、乳白色の透光性セラミックスからなるグローブで光が拡散され、ミニクリプトン電球により近似した配光特性をもった照明を行うことができる。また、基板13aが板状をなし、その表面にLED12が実装され、裏面が本体11の一端部側の凹段部からなる基板支持部11e内に内包されているので、基板13aがグローブの内面に影となって現れることがなく、基板13aが配光特性を阻害することがない。特に、光源となる口金付ランプ10の配光がミニクリプトン電球の配光に近づくことで、照明器具30内に配置されたソケット33近傍の反射体32への光の照射量が増大し、ミニクリプトン電球用として構成された反射体32の光学設計通りの器具特性を略得ることが可能となる。
【0060】
また、透光性セラミックスで一体成形されたグローブは、光学的均質性を得やすくなり、一層均一に光を拡散することができ、ミニクリプトン電球により近似し、若しくは、それ以上の配光特性をもった照明を行うことができる。しかも、耐熱性および機械的な強度も十分にあり、輸送時等の振動等で容易に破損することがない。
【0061】
同時に、電球形の口金付ランプ10が点灯されると、LED12の温度が上昇し熱が発生する。その熱、すなわち、LED12の主として表面側から発生する熱は、アルミナ多結晶体を主成分とする透光性セラミックスからなるカバー部材14から外部に放熱される。特に本実施形態の口金付ランプ10は略3/4球体からなるアルミナ多結晶体を主成分とする透光性セラミックス製のカバー部材14を有するので、広い表面積から効果的に放熱される。また、LED12の主として裏面側、すなわち、基板13aの裏面側に発生する熱は、熱伝導性の良好なアルミニウムからなる基板13aから、基板が直接密着して固定された基板支持部11eに伝達され、アルミニウムからなる本体11の外周面から外部に放熱される。これら効果的な放熱作用によりLED12の温度上昇が抑制される。
【0062】
また、特に、本実施形態においては、係合手段17による本体11とカバー部材14との熱的な接続により、本体11に伝達された発光部13からの熱を、効率的にカバー部材14に伝達させることができ、LED12の主として裏面側から発生する熱を、本体11からカバー部材14に伝熱させて放熱させるので、一層効果的な放熱作用が行われLED12の温度上昇が一層抑制され、口金付ランプにおける発光効率の低下が抑制される。これにより、ダウンライトとして高出力化された明るい照明を行うことができる。特に、本実施形態によれば、口金付ランプ10の略3/4球体からなるカバー部材12の接合部は、透光性を有する接合材18によって接合されているので、接合部における光透過率が高く、影の発生がほとんどなく、影が映らない照明を行うことができるとともに、ランプを見上げた場合でも違和感をもつことがなく、器具の商品性および照明雰囲気を阻害することがない照明器具を構成することが可能になる。
【0063】
以上、本実施形態によれば、カバー部材14は、アルミナ多結晶体を主成分とする透光性セラミックスで構成し、球体を最大径部で接合し、略3/4球体に構成したので、LEDから放射される光を広角に配光して広配光化を得ることが可能になるとともに、LEDから発生する熱を効果的に放熱させることができ、発光効率の低下を抑制して高出力化が可能な口金付ランプ等の照明装置を提供することが可能となる。さらに、カバー部材14は、接合部に位置合せ手段18を形成したので、製造性を高めることが可能になりコスト低減を図ることが可能になる。
【0064】
また、カバー部材14は、熱膨張係数(アルミナ:6.0×10-6/℃)の小さい透光性セラミックスで構成され、しかも、カバー部材14は、本体11に対して接着剤Sと係合手段17によって強固に固定されているので、ランプの点灯・消灯繰り返しによって生じるヒートサイクル膨張によるカバー部材の自然落下等も確実に防止することができる。これら作用によって、発光効率の低下を抑制するための熱的な信頼性と、カバー部材における機械的な信頼性を確保することが可能な口金付ランプ等の各種照明装置を提供することが可能になる。
【0065】
また、透光性セラミックスは耐熱性に優れ、また機械的な強度も大であるので、カバー部材14に対し、特に寿命末期等において温度上昇による内部圧力がかかった場合でも、容易に溶融したり、破損することもなく安全な口金付ランプを構成することができる。また、カバー部材14を構成する透光性セラミックスは、一体成形が十分に可能であり、各種形状のカバー部材14を容易に構成することもでき、量産に適した口金付ランプ等の照明装置および照明器具を提供することができる。
【0066】
以上、本実施形態において、図10(a)に示すように、カバー部材14は、最大径部D、Dで鉛直線y−yに沿って縦方向に接合してもよい。また、図10(b)に示すように、カバー部材14は、最大径部D、Dで斜め方向に沿って接合してもよい。これら構成によれば、本体11とカバー部材14との結合部分から、カバー部材14の頂点Tにわたる熱伝達経路に、接合されたカバー部材の接合部分が存在しないため、本体11からカバー部材14への熱の伝達ロスを極力少なくすることが可能になる。また、カバー部材14は、2ピースに接合したが、3ピース、4ピース等、さらに細かく接合するようにしてもよい。
【0067】
また、本実施形態において、口金付ランプの本体11においては、外方に露出する外面部分を、例えば、凹凸若しくは梨地状に形成して表面積を大きくしたり、白色塗装や白色アルマイト処理を施して外面部分の熱放射率を高めるようにしてもよい。また、白色塗装や白色アルマイト処理を施した場合には、電球形の口金付ランプ10を照明器具30に装着して点灯した場合、外面に露出するアルミニウム製の本体11外面の反射率が高くなり、器具効率を高めることが可能となり、また外観、意匠的にも良好となり商品性を高めることもできる。
【0068】
さらに、本実施形態において、照明装置は、一般白熱電球の形状に近似させた電球形の口金付ランプ(A形またはPS形)、ボール形の口金付ランプ(G形)、円筒形の口金付ランプ(T形)、レフ形の口金付ランプ(R形)さらには、GX53口金を用いたフラットな薄型構造のランプなどに構成してもよい。また一般白熱電球の形状に近似させた口金付ランプに限らず、その他各種の外観形状、用途をなす口金付ランプに適用することができる。またE17口金のミニクリプトン電球60Wに代替が可能な小形の口金付ランプに適用したが、これに限らずE26口金の40W、60W、100W等の白熱電球や電球形蛍光ランプ等に代替が可能な口金付ランプに適用されてよい。
【0069】
熱伝導性部材からなる本体は、アルミニウムで構成したが、アルミニウムを主成分とする合金等の金属であってもよく、さらに、固体発光素子の放熱性を高めるために熱伝導性の良好な金属、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)の少なくとも一種を含む金属で形成してもよい。この他に、窒化アルミニウム(AlN)、シリコンカーバイト(SiC)などの工業材料で構成してもよい。さらには、高熱伝導樹脂等の合成樹脂で構成してもよい。外観形状は、一端部から他端部に向けて直径が順次小さくなるような、一般白熱電球におけるネック部分のシルエットに近似させた形状に形成することが、既存照明器具への適用率が向上して好ましいが、ここでは、一般白熱電球に近似させることは条件でなく、限られた特定の外観形状には限定されない。また、本体の外周面には放熱性能をより高めるために一端部側から他端部側に向かい放射状に突出する多数の放熱フィンや放熱ピン等を一体に形成してもよい。
【0070】
固体発光素子は、例えば、青色を発光する窒化ガリウム(GaN)系半導体からなるLEDチップで構成されることが好適であるが、半導体レーザ、有機ELなどを発光源とした固体発光素子が許容される。また、白色で発光するようにしたが、照明器具の用途に応じ、赤色、青色、緑色等でも、さらには各種の色を組み合わせて構成してもよい。さらに、調光や調色機能をもたせてもよい。
【0071】
発光部は、固体発光素子を基板の一面側にCOB(Chip on Board)技術を用いて、マトリックス状や千鳥状または放射状など、規則的に一定の順序をもって一部または全体が配列されて実装されたCOBモジュールとして構成されたものでも、SMD(Surface Mount Device)パッケージで構成されたものであってもよく、SMDパッケージの場合、発光部は、複数個の固体発光素子で構成されていることが好ましいが、照明の用途に応じて必要な個数は選択され、例えば、4個程度の素子群を構成し、この群1個、若しくは複数の群をなすように構成してもよい。さらには、1個の固体発光素子で構成されたものであってもよい。
【0072】
発光部は、上記のように、基板の表面に光源となる固体発光素子を実装して構成した発光モジュールとして構成されることが好ましいが、基板を有することなく構成した発光部であってもよい。また、発光部の形状は、点または面モジュールを構成するために板状の円形や四角形、六角形などの多角形状、さらには楕円形状等をなすものであってもよく、目的とする配光特性を得るための全ての形状が許容される。
【0073】
発光部は、例えば、一面側に固体発光素子を配設した金属製基板の他面側を、本体の一端部側に形成された基板支持部に対して、熱伝導が可能になるように配設することにより、固体発光素子の主として裏面側から発生する熱を、本体を介して放熱することが好ましいが、基板支持部は、平坦な広い面積を有する構成であっても、または、リング状の段状をなす支持部であってもよく、また基板の材質も金属に限らずガラスエポキシ等の合成樹脂であってもよい等、本体を介して放熱させるための具体的な手段は上記に例示した構成には限定されない。また、発光部は、固体発光素子から発生する熱を、本体のみを介して放熱させるようにしても、本体と他の部材、例えば、口金部材を介して放熱させるようにしてもよい。
【0074】
また、カバー部材は、白熱電球など一般照明用電球のバルブと同じ外観形状を有するA形、PS形などの通常涙滴形と呼ばれている形状やG形の球形をなすバルブと、さらにはT形、R形をなすバルブと同形、ないしは略同形をなす類似形状のグローブで構成されることが好適であるが、フラットな薄型構造のランプを構成する皿形をなす形状であっても、さらに、発光ダイオード等の固体発光素子の充電部等を外部から保護するための透明または半透明の皿状をなす保護カバーで構成してもよい。
【0075】
カバー部材は、要求される特性に応じ無色透明、乳白色等の光拡散性を有する半透明、さらには着色等が施されていてもよく、配光特性向上のためグローブなどの一部に反射膜等の反射手段が形成されていてもよい。また、カバー部材は、発光部を実質的に密閉する外囲器を構成することが好ましいが、完全に密閉することが条件ではなく光学的に密閉していればよく、例えば、一部に小さな通気用の孔等を形成したものであってもよい。
【0076】
口金部材は、一般白熱電球や電球形蛍光ランプ等が取付けられるソケットに装着可能な全ての口金が許容されるが、一般的に最も普及しているエジソンタイプのE17やE26等の口金が好適である。また、材質は口金全体が金属で構成されたものでも、電気的接続部分を銅板等の金属で構成し、それ以外の部分を合成樹脂で構成した樹脂製の口金であっても、さらには、フラットな薄型構造のランプに用いられるGX53口金でも、蛍光ランプに使用されるピン形の端子を有する口金でも、引掛シーリングに使用されるL字形の端子を有する口金でもよく、特定の口金には限定されない。
【0077】
固体発光素子を点灯するための点灯装置は、本体内に設けることが一般白熱電球等の光源をそのまま置き換えられる点で有利であるが、別置きとすることもできる。また、点灯装置は、固体発光素子を調光するための調光回路や調色回路等を有するものであってもよい。
【0078】
本実施形態において、照明器具は天井埋込形、直付形、吊下形、さらには壁面取付形等が許容され、器具本体に制光体としてグローブ、セード、反射体などが取付けられるものであっても光源となる口金付ランプが露出するものであってもよい。また、器具本体に1個の口金付ランプを取付けたものに限らず、複数個が配設されるものであってもよい。さらに、オフィス等、施設・業務用の大型の屋内外の照明器具などを構成してもよい。
【0079】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0080】
10 照明装置
11 本体
13 発光部
14 カバー部材
14−1 半球体
14−2 透光性部材
18 位置合せ手段
19 接合材
30 照明器具
31 器具本体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性部材からなる本体と;
本体に配設される発光部と;
発光部を覆うように設けられ、半球体と半球体に接合される透光性部材を有するセラミックスからなる透光性のカバー部材と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記カバー部材は、接合部に位置合せ手段を有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、透光性を有する接合材で接合して形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
器具本体と;
器具本体に装着される請求項1ないし3いずれか一に記載の照明装置と;
を具備していることを特徴とする照明器具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−182088(P2012−182088A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45707(P2011−45707)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】