説明

照明装置及び撮影装置

【課題】LEDの長寿命化を図ることができる照明装置及び撮影装置を提供する。
【解決手段】駆動電流が入力されると点灯するとともに駆動電流の入力が中断されると消灯するLED111、112、113、114と、駆動電流をLED111、112、113、114に入力させるトランジスタ121、122、123、124とを有する照明装置100及び撮影装置200は、トランジスタ121、122、123、124の駆動電流が入力期間と中断期間とを交互に繰り返すように断続的にLED111、112、113、114にそれぞれ入力されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明装置及び撮影装置に関する。特に、工業製品の外観検査等に好適に用いられる照明装置及び撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から半導体、液晶パネル、水晶デバイス等の工業製品の製造工程における外観検査工程では、CCDカメラ(Charge-coupled device Camera)等の撮影装置によって工業製品を撮影して画像を取得し、その画像に画像処理を施して外観検査を行うことがある。この場合において、画像処理との関係で工業製品に対する照度を一定にするために照明装置が不可欠である。この照明装置としては、駆動電流が数百mA以上の発光ダイオ−ド(以下「LED」(Light Emitting Diode)という。)を1個備えたものや、複数のLEDを備えたものがある。この複数のLEDを備えた照明装置は、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の製品等検査装置又は照明制御装置(照明装置)は、供給される電流量により光量が変化する照明器(複数のLED)と、検査対象物側に配置された照度検出手段と、前記照度検出手段の検出値が所定の照度になるように前記照明器(複数のLED)の駆動電流を制御する制御手段とを有している。これにより、検査対象物の照度を一定に保つことができる。
【0004】
また、特許文献2に記載の光源装置(照明装置)は、発光スペクトルが異なる複数のLEDと、前記複数のLEDの光出力を測定する光出力測定手段と、前記光出力測定手段の測定値に基づいて前記複数のLEDのそれぞれの動作点(駆動電流と光出力の関係)の変動に対応した駆動電流を再設定して前記複数のLEDを制御する制御手段とを有している。これにより、前記複数のLEDの輝度を一定に保つことができる
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−121367号公報
【特許文献2】特開2005−195444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、LEDを1個備えた照明装置は、このLEDを点灯させ続けることにより、LEDの輝度が約2、3年で低下してしまうので、LEDの寿命が短いという問題がある。さらに、このLEDを交換する際には、製造工程の装置を全て停止させる必要があるので、生産性や装置の稼働率が低下してしまう。
【0007】
同様に、特許文献1と特許文献2に記載の照明装置は、その複数のLEDを点灯させた状態で、前記複数のLEDの駆動電流を制御したり前記複数のLEDの動作点を再設定したりすることにより、前記複数のLEDが発熱劣化するので、前記複数のLEDの寿命が短いという問題がある。
【0008】
そこで、上記問題点を解決するものであり、その課題は、LEDの如き発光素子を備えた照明装置において、その発光素子の長寿命化を図ることができる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の照明装置は、駆動電流が入力されると点灯するとともに前記駆動電流の入力が中断されると消灯する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に入力させる駆動手段とを有する照明装置であって、前記駆動手段の前記駆動電流が入力期間と中断期間とを交互に繰り返すように断続的に前記発光素子に入力されていることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、前記発光素子は駆動電流が入力されると点灯するとともに前記駆動電流の入力が中断されると消灯するとともに、前記駆動手段の前記駆動電流が入力期間と中断期間とを交互に繰り返すように断続的に前記発光素子に入力されていることにより、前記発光素子が点灯と消灯とを交互に繰り返すので、消灯時に前記発光素子を冷却させることができ、前記発光素子を点灯させ続ける場合に比べて、前記発光素子の発熱劣化を低減できる。
【0011】
ここで、前記発光素子の数量は1個でもよいし、2個以上でもよい。また、前記発光素子は例えばLEDである。さらに、前記駆動手段は例えばトランジスタ(Transistor)である。
【0012】
本発明の態様の1つは、前記発光素子は複数設けられているとともに、前記駆動手段の前記駆動電流が前記複数の発光素子のそれぞれに入力されており、前記駆動電流の前記入力期間のタイミングが前記複数の発光素子ごとに異なっていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、前記駆動手段の前記駆動電流が前記複数の発光素子のそれぞれに入力されており、前記駆動電流の前記入力期間のタイミングが前記複数の発光素子ごとに異なっていることにより、前記複数の発光素子のそれぞれの点灯時期が互いに異なるので、前記複数の発光素子の全て又はいくつかが同時に点灯する場合に比べて、隣接する前記発光素子の輻射熱を低減でき、前記複数の発光素子のそれぞれの温度上昇を抑制できる。
【0014】
本発明の態様の1つは、前記複数の発光素子の光を混合して合成光を出射させる合成手段と、前記合成光の光量を検出する検出手段と、前記検出手段の検出光量が所定光量に近づくように前記駆動電流の前記入力期間及び前記中断期間からなる入力周期の位相を相互に調節する制御手段とを有することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、前記合成光の光量が所定光量に近づくように前記制御手段が前記駆動電流の前記入力期間及び前記中断期間からなる入力周期の位相を相互に調節することにより、前記複数の発光素子のそれぞれに入力される前記駆動電流の前記入力期間のタイミングが一致したりずれたりするので、同時に点灯する前記複数の発光素子の個数を増減させることができ、前記合成光の光量を増減できる。
【0016】
ここで、前記合成手段は例えば反射鏡である。また、前記検出手段は例えばフォトダイオードやフォトトランジスタである。
【0017】
また、前記制御手段は前記駆動電流の前記入力期間と前記中断期間とのいずれか一方又は両方を伸縮させてもよい。また、前記制御手段は前記駆動電流の電流量を増減させてもよい。
【0018】
本発明の撮影装置は、請求項1又は請求項2に記載の照明装置を有しており、前記照明装置は前記駆動電流の前記入力期間のタイミングが撮影期間に同期していることを特徴とする。この発明によれば、前記発光素子の点灯期間が撮影期間に同期しているので、撮影しない期間に前記発光素子を消灯させて冷却させることができ、前記発光素子の発熱劣化を低減できる。
【発明の効果】
【0019】
以上、説明したように本発明によれば、駆動電流が入力期間と中断期間とを交互に繰り返すように断続的に発光素子に入力されていることにより、前記発光素子が点灯と消灯とを交互に繰り返すので、消灯時に前記発光素子を冷却させることができ、延いては前記発光素子の長寿命化を図ることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る実施形態の照明装置を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態の照明装置における4つの駆動電流の波形を示す図のうちの初期のもの(a)と中期のもの(b)と末期のもの(c)である。
【図3】本実施形態の撮影装置を外観検査に用いた状態を模式的に示す概略斜視図である。
【図4】本実施形態の撮影装置の点灯と撮影とを含む駆動状態を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[照明装置]
まず、図1を参照して、本発明に係る実施形態の照明装置について説明する。図1は本発明に係る実施形態の照明装置を示す概略構成図である。図1に示すように、照明装置100は、光を出射する投光器110と、この投光器110を駆動させる駆動手段と、この駆動手段を制御させる制御手段とを有している。
【0022】
この投光器110は、ケース116と、当該ケース116の内部にそれぞれ収容された4個のLED(発光素子)111、112、113、114及び1個の反射鏡(合成手段)115とを有している。
【0023】
このケース116は有底筒状であり、その一端にはケース116の内側から外側まで貫通した開口部116aが形成されているとともに、その他端にはケース116の内側から外側まで貫通した貫通孔116bが形成されている。これら開口部116aと貫通孔116bは光が通過可能な内径を備えており、前記開口部116aの内径は前記貫通孔116bの内径に比べて拡径している。
【0024】
4個のLED111、112、113、114は、それぞれ駆動電流が数百mA以上の高出力LED(High Power Light Emitting Diode)であり、ケース116の一端側から他端に向かって光出射可能な姿勢でケース116の一端側の内側に互いに所定間隔を空けて配置されている。これにより、前記4個のLEDが近接配置されている場合に比べて、前記4個のLEDは互いに隣接するLEDの輻射熱の影響が低減され、前記4個のLEDのそれぞれの温度上昇が抑制される。なお、これら4個のLEDはケース116の外側に配置された図示しない放熱回路基板やヒートシンク(Heat Sink:放熱板)の如く放熱器に配線を介してそれぞれ接続されていることが好ましい。これにより、前記4個のLEDのそれぞれの温度上昇がさらに抑制される。
【0025】
反射鏡115は、光反射可能な回転放物面(Paraboloid of revolution)の如き凹面部115aを備えているとともに、この凹面部115aからその反対側の背面部まで反射鏡115の厚さ方向に貫通した貫通孔115bが形成されており、この貫通孔115bは光が通過可能な内径を備えている。この反射鏡115はケース116の内側の他端側に配置されている。この状態で、前記反射鏡115の凹面部115aは前記4個のLEDとケース116の開口部116aとにそれぞれ対向しており、前記4個のLEDの光を全て受光可能な姿勢になっているとともに、凹面部115aの反射光がケース116の開口部116aを通過可能な姿勢になっている。また、反射鏡115の貫通孔115bはケース116の貫通孔116bに連通しており、光が反射鏡115の貫通孔115bとケース116の貫通孔116bとを連続して通過するようになっている。
【0026】
このように構成された投光器110は、4個のLED111、112、113、114から出射した光は反射鏡115の凹面部115aで光反射するとともに混合されて合成光Lが形成され、この合成光Lがケース116の開口部116aを通過して外部に出射するとともに、この合成光Lの一部が反射鏡115の貫通孔115bとケース116の貫通孔116bとを順次通過して外部に洩れるようになっている。
【0027】
次に、駆動手段は4個のLED111、112、113、114を駆動させるものであり、例えば、4個のトランジスタ(Transistors)121、122、123、124である。これら4個のトランジスタは、そのそれぞれのベース(Base)とエミッタ(Emitter)の間に電流(ベース電流)が流れることにより、そのそれぞれのエミッタ(Emitter)とコレクタ(Collector)の間に電流(駆動電流)が流れるようになっている。これら4個のトランジスタのコレクタは前記4個のLEDにそれぞれ電気的に接続されている。したがって、前記4個のトランジスタのベースに電流がそれぞれ入力されると、前記4個のLEDのそれぞれに駆動電流が流れて、前記4個のLEDがそれぞれ点灯するようになっている。
【0028】
また、制御手段は、前記4個のトランジスタの駆動電流をそれぞれ制御するものであり、光検出器(Photodetector or Photosensor)131と、増幅器(Amplifier)132と、A/D変換器(Analogue to Digital Converter)133と、発振器(Clock Generator)134と、シフトレジスタ(Shift Register)135とを有している。
【0029】
光検出器131は、光を検出するとその検出光の光量に応じた電流を出力するものであり、例えば、フォトダイオード(Photodiode)やフォトトランジスタ(Phototransistor)である。この光検出器131は投光器110から出射される合成光Lを検出可能な位置に配置されている。図示例では光検出器131は投光器110の外側位置であって、ケース116の貫通孔116bに対向する位置に配置されている。これにより、光検出器131はケース116の貫通孔116bから洩れる合成光Lを検出するようになっている。
【0030】
増幅器132は前記光検出器131の出力電流(出力信号)を増幅するものであり、A/D変換器133は前記増幅器132の出力信号であるアナログ信号をデジタル信号に変換するものである。また、発振器134は前記A/D変換器133のデジタル信号を所定光量に対応する所定値と比較して、前記デジタル信号を前記所定値に近づける制御信号Clockを生成するものである。
【0031】
また、シフトレジスタ135は前記発振器134の制御信号Clockを分配するものであり、4つの出力端子を備えており、これら4つの出力端子は上記4個のトランジスタ121、122、123、124のベースにそれぞれ電気的に接続されている。したがって、前記発振器134の制御信号Clockがシフトレジスタ135によって4つに分配されて、これら4つの制御信号が上記4個のトランジスタ121、122、123、124のベースにそれぞれ入力されるようになっている。
【0032】
ここで、上記4つの制御信号は、前記4個のトランジスタ121、122、123、124を制御するものであり、前記4個のトランジスタから駆動電流を断続的に出力させている。この状態において、合成光Lの光量に応じて上記4つの制御信号が前記4個のトランジスタの駆動電流の出力タイミングや出力期間を相互に調節するようになっている。なお、上記4つの制御信号は前記4個のトランジスタの駆動電流の電流量を調節してもよい。
【0033】
上記4つの制御信号によって制御された4個のトランジスタ121、122、123、124の駆動電流は、例えば、図2(a)から図2(c)までに図示されている。図2(a)は初期における4つの駆動電流の波形を示す図であり、図2(b)は中期における4つの駆動電流の波形を示す図であり、図2(c)は末期における4つの駆動電流の波形を示す図である。
【0034】
なお、初期とは4個のLEDが新品当初の光量を保持している時期をいい、中期とは4個のLEDの光量が前記初期における4個のLEDの光量より低減した時期をいい、末期とは4個のLEDの光量が前記中期における4個のLEDの光量より低減した時期をいう。この末期の図示例ではさらに4個のLEDのうちの1個が点灯不可能に壊れている場合を示している(図2(c)参照)。また、図2(a)から図2(c)までにおいて紙面に向かって左側から右側に向かって時間の経過を示している。
【0035】
図2(a)から図2(c)までに示すように、初期における4つの駆動電流a1、b1、c1、d1と、中期における4つの駆動電流a2、b2、c2、d2と、末期における3つの駆動電流a3、c3、d3とはそれぞれオンオフ(On-Off)を交互に繰り返す方形波(Rectangular Wave)のパルス電流(Pulse)であり、オン状態の期間であるパルス幅(Pulse Width)t1、t2、t3と、オフ状態の期間であるパルス間隔(Pulse Interval)i1、i2、i3とからなるパルス周期(Pulse Period)T1、T2、T3を備えている。これにより、これら4つの駆動電流が4個のLED111、112、113、114にそれぞれ入力されると、4個のLEDがそれぞれ点灯と消灯とを交互に繰り返すようになっている。このとき、これら4つの駆動電流のパルス幅t1、t2、t3の期間は4個のLEDの点灯期間に対応しているとともに、これら4つの駆動電流のパルス間隔i1、i2、i3の期間は4個のLEDの消灯期間に対応している。
【0036】
なお、初期における4つの駆動電流a1、b1、c1、d1はそのパルス周期T1とパルス幅t1とパルス間隔i1とがそれぞれ同一の期間になっている。同様に、中期における4つの駆動電流a2、b2、c2、d2はそのパルス周期T2とパルス幅t2とパルス間隔i2とがそれぞれ同一の期間になっている。さらに、末期における3つの駆動電流a3、c3、d3はそのパルス周期T3とパルス幅t3とパルス間隔i3とがそれぞれ同一の期間になっている。
【0037】
図2(a)に示すように、初期では4つの駆動電流a1、b1、c1、d1のデューティー比(Duty Ratio:パルス周期に対するパルス幅の比率)が0.5より小さく設定されている(t1/T1<0.5)。言い換えるとパルス幅t1がパルス間隔i1より短くなっている(t1<i1)。これにより、4個のLEDの点灯期間が消灯期間に比べて短くなっている。
【0038】
また、これら4つの駆動電流a1、b1、c1、d1のパルス周期T1の位相(Phase)が互いに異なっている。例えば、これら4つの駆動電流のうちの1つの駆動電流a1のパルス周期T1の位相を0とすると、他の3つの駆動電流d1、b1、c1のパルス周期T1の位相はそれぞれ約2/14、約7/14および約9/14ずつ遅延している。これにより、4個のLEDの点灯時間が互いに異なり、4個のLEDの全て又はいくつかが同時に点灯する場合に比べて、隣接するLEDの輻射熱の影響をなくして、4個のLEDのそれぞれの温度上昇を抑制できる。
【0039】
この状態で、1つのパルス周期T1の中におけるオン状態の駆動電流の数を順次数えると、1つ(駆動電流a1)、2つ(駆動電流a1、d1)、1つ(駆動電流d1)、1つ(駆動電流b1)、2つ(駆動電流b1、c1)及び1つ(駆動電流c1)になっており、2つの駆動電流がオン状態の場合と1つの駆動電流がオン状態の場合とが混在している。これにより、LEDの点灯数を2つから1つに適宜減少させて、合成光Lの光量を一定に抑制できる。
【0040】
図2(b)に示すように、中期における4つの駆動電流a2、b2、c2、d2は、そのパルス周期T2が初期における4つの駆動電流a1、b1、c1、d1のパルス周期T1と同一の期間であるとともに、そのデューティー比が略0.5に設定されている(t2/T2≒0.5)。言い換えるとパルス幅t2とパルス間隔i2とが略同一の期間になっている(t2≒i2)。これにより、4個のLEDの点灯期間が上記初期の点灯期間に比べて長くなっている。
【0041】
また、これら4つの駆動電流a2、b2、c3、d2のうち、2つの駆動電流a2、c2のパルス周期T2と、2つの駆動電流b2、d2のパルス周期T2とは位相が互いに異なっている。例えば、一方の2つの駆動電流a2、c2のパルス周期T2の位相を0とすると、他方の2つの駆動電流b2、d2のパルス周期T2の位相は約1/2遅延している。つまり、一方の2つの駆動電流a2、c2と他方の2つの駆動電流b2、d2とのオン状態が交互に繰り返されている。これにより、2個のLED111、113と2個のLED112、114との点灯が交互に繰り返され、4個のLEDのうちの2個を同時に点灯させることができ、合成光Lの光量を一定に保持できる。
【0042】
図2(c)に示すように、末期では、4個のLED111、112、113、114のうちの1個のLED112が点灯不可能に壊れており、この1個のLED112を駆動させる駆動電流b3が常時オフ状態になっている場合である。他の3つの駆動電流a3、c3、d3はそのパルス周期T3が中期における4つの駆動電流a2、b2、c2、d2のパルス周期T2に比べて長く設定されているとともに(T3>T2)、そのデューティー比が0.5より大きく設定されている(t3/T3>0.5)。言い換えるとパルス幅t3がパルス間隔i3に比べて長くなっている(t3>i3)。これにより、3個のLED111、113、114の点灯期間が消灯期間に比べて長くなっているとともに、中期における4個のLED111、112、113、114の点灯期間に比べて長くなっている。
【0043】
また、これら3つの駆動電流a3、c3、d3のうちの1つの駆動電流a3のパルス周期T3の位相を0とすると、他の2つの駆動電流d3、c3のパルス周期T3の位相がそれぞれ約1/3、約2/3ずつ遅延している。つまり、3つの駆動電流a3、c3、d3のうち、2つの駆動電流a3、c3と、2つの駆動電流a3、d3と、2つの駆動電流c3、d3とが順次オン状態に切り替わるようになっており、3つの駆動電流a3、c3、d3のうちのいずれか2つが常時オン状態になっている。これにより、4個のLEDのうちの1個が点灯不可能でも、3個のLED111、113、114のうちのいずれか2個を順次点灯させて、合成光Lの光量を一定に保持できる。
【0044】
このように構成された照明装置100は、光検出器131が投光器110の合成光Lを検出して電流を出力し、増幅器132が増幅してA/D変換器133がデジタル信号に変換し、発振器134が制御信号Clockを生成してシフトレジスタ135が分配して4個のトランジスタ121、122、123、124に入力させて、当該4個のトランジスタ121、122、123、124から4つの駆動電流a1、b1、c1、d1(a2、b2、c2、d2、又はa3、b3、c3、d3)がそれぞれ出力して4個のLED111、112、113、114にそれぞれ入力される。
【0045】
この実施形態の照明装置100は、4つの駆動電流a1、b1、c1、d1(a2、b2、c2、d2又はa3、b3、c3、d3)がオンオフを交互に繰り返す方形波のパルス電流であり、これら4つの駆動電流が4個のLED111、112、113、114にそれぞれ入力されていることにより、4個のLEDは点灯と消灯を交互に繰り返すので、4個のLEDを周期的に消灯させて冷却でき、4個のLEDの発熱劣化を低減できる。
【0046】
また、この照明装置100は、4つの駆動電流a1、b1、c1、d1(a2、b2、c2、d2又はa3、b3、c3、d3)がパルス幅t1、t2、t3とパルス間隔i1、i2、i3とからなるパルス周期T1、T2、T3を備えており、合成光Lの光量を所定光量に近づくように4つの駆動電流のパルス周期の位相が相互に調整されていることにより、4個のLEDのそれぞれの光量が多量でも、劣化により少量になったとしても、さらに4個のLEDのうちの1個が点灯不可能になったとしても、同時に点灯する4個のLEDの個数を増減させて、合成光Lの光量を一定に保持できる。
【0047】
[撮影装置]
次に、図3及び図4を参照して、本発明に係る実施形態の撮影装置を説明する。図3は本実施形態の撮影装置を外観検査に用いた状態を模式的に示す概略斜視図である。図4は本実施形態の撮影装置の点灯と撮影を含む駆動状態を示すタイムチャートである。この図4において紙面の下側から上側に向かって時間の経過を示している。図3に示すように、撮影装置200は、カメラ210と、カメラの撮影側に取り付けられた拡大鏡220と、拡大鏡220の側部に取り付けられた上記照明装置100とを有している。
【0048】
このカメラ210はグレースケール画像(Gray Scale)又はカラー画像(color)を画像処理可能な電子データとして取得するように構成されており、例えばCCDカメラ(Charge Coupled Device Camera)である。このカメラ210は光を電子データに変換するCCD(Charge Coupled Device)の如き図示しない撮像素子(Image Sensor)と当該電子データを格納する図示しないメモリ(Memory)とを有している。また、このカメラ210には外部メモリーとして配線240を介してパソコン(Personal Computer)が電気的に接続されている。
【0049】
図4に示すように、このカメラ210は所定期間を空けて周期的に撮影するように構成されており、このカメラ210の撮影周期sは撮影期間spと非撮影期間siとを備えている。例えば、この撮影期間spと非撮影期間siをそれぞれ4[ms]と146[ms]にすると、カメラ210は146秒ごとに4秒間撮影するようになっている。
【0050】
また、このカメラ210は撮像素子からメモリ又はパソコン230に画像を周期的に転送するように構成されており、このカメラ210の転送周期fは転送期間fpと非転送期間fiとを備えている。例えば、この転送期間fpと非転送期間fiをそれぞれ70[ms]と80[ms]にすると、カメラ210は80秒ごとに70秒間転送するようになっている。
【0051】
この場合において、カメラ210の撮影期間spと転送期間fpとの開始時点のタイミングが一致している。これにより、カメラ210は撮影を開始すると同時に画像の転送を開始するようになっている。
【0052】
拡大鏡220は入射画像を所定倍率に拡大させるように構成されており、例えば顕微鏡である。また、照明装置100は上記照明装置100と同一の構成を有しており、4個のLED111、112、113、114が内蔵されている。なお、上記照明装置100と同一の構成についてはその説明を省略する。
【0053】
これら4個のLEDは所定期間を空けて1個ずつ切り替わりながら点灯するように設定されており、4個のLEDの点灯周期は点灯期間onと消灯期間offとを備えている。例えば、この点灯期間onと消灯期間offをそれぞれ10[ms]と140[ms]にすると、140秒ごとに4個のLEDのいずれか1個が10秒間点灯するようになっている。
【0054】
カメラ210の撮影期間spと4個のLEDの点灯期間onとは同期している。したがって、4個のLEDは撮影時に点灯するとともに撮影しない時に消灯するようになっている。
【0055】
また、4個のLEDの点灯期間onはカメラ210の撮影期間spに比べて長く設定されているとともに(on>sp)、点灯期間onの中間期間に撮影期間spが対応している。これにより、4個のLEDの光量が不安定な点灯開始時点や点灯終了時点に撮影することなく、照明装置100の光量が安定した時期に撮影するようになっている。
【0056】
図3に示すように、このように構成された撮影装置200は、検査対象物Wが載置されたX−Yステ−ジ300に対向する位置に配置された状態で、その照明装置100が点灯して光(合成光L)が検査対象物Wを照射し、この状態でカメラ210が検出対象物Wにおける照射範囲Sの中を拡大鏡220を介して画像を取得するとともに配線240を介してパソコン230に転送し、その後に照明装置100が消灯してから画像の転送が終了して、図4に示す駆動電流mによってX−Yステ−ジ300が駆動されて検査対象物WをA方向及びB方向に移動し、その後、再び照明装置10が点灯して上記作業を繰り返す。
【0057】
この実施形態の撮影装置200においては、カメラ210の撮影期間spと照明装置100の点灯期間onとが同期していることにより、4個のLED111、112、113、114が撮影時に点灯するとともに撮影しない期間に消灯するので、4個のLEDの消灯が撮影の障害になることなく、4個のLEDを消灯して冷却できる。
【0058】
また、4個のLED111、112、113、114は所定期間を空けて1個ずつ切り替わりながら点灯することにより、4個のLEDのそれぞれの消灯期間が長くなるので、4個のLEDのそれぞれを十分に冷却することができ、4個のLEDの発熱劣化をさらに低減できる。
【0059】
尚、本実施形態の照明装置及び撮影装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば、本実施形態の照明装置100と撮影装置200はそれぞれLEDを4個備えているが、このLEDの個数は特に限定されず、1個でもよいし、2個でもよいし、3個でもよいし、5個以上でもよい。
【0060】
また、本実施形態の照明装置100と撮影装置200にはそれぞれLEDが備えられているが、LEDの代わりにLD(Laser Diode)、白熱電球、放電電球、又は冷陰極管が備えられていてもよい。
【0061】
なお、本実施形態の照明装置100と撮影装置200における光検出器131は投光器110の外側位置であって、ケース116の貫通孔116bに対向する位置に配置されているが、ケース116の開口部116a側に配置されていてもよいし、投光器110の内側に配置されていてもよい。かかる場合には反射鏡115とケース116に貫通孔115b、116bがそれぞれ形成されている必要はない。
【0062】
また、本実施形態の照明装置100と撮影装置200には反射鏡115が設けられているが、反射鏡115の代わりに4個のLEDの光を合成可能なレンズ又はフィルターが設けられていてもよい。
【0063】
なお、本実施形態の撮影装置200は、4個のLEDが所定期間を空けて1個ずつ切り替わりながら点灯しているが、所定期間を空けることなく点灯してもよいし、1個ずつでなく2個ずつ又は3個ずつ点灯してもよい。
【符号の説明】
【0064】
100…照明装置、110…投光器、111、112、113、114…LED、115…反射鏡、115a…凹面部、115b、116b…貫通孔、116…ケース、116a…開口部、121、122、123、124…トランジスタ、131…光検出器、132…増幅器、133…A/D変換器、134…発振器、135…シフトレジスタ、200…撮影装置、210…カメラ、220…拡大鏡、230…パソコン、240…配線、300…X−Yステ−ジ、Clock…制御信号、a1、a2、a3、b1、b2、b3、c1、c2、c3、d1、d2、d3…駆動電流、t1、t2、t3…パルス幅、i1、i2、i3…パルス間隔、T1、T2、T3…パルス周期、s…撮影周期、sp…撮影期間、si…非撮影期間、f…転送周期、fp…転送期間、fi…非転送期間、on…点灯期間、off…消灯期間、W…検査対象物、L…合成光、S…照射範囲、m…駆動電流、A、B…方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電流が入力されると点灯するとともに前記駆動電流の入力が中断されると消灯する発光素子と、前記駆動電流を前記発光素子に入力させる駆動手段とを有する照明装置であって、前記駆動手段の前記駆動電流が入力期間と中断期間とを交互に繰り返すように断続的に前記発光素子に入力されていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記発光素子は複数設けられているとともに、前記駆動手段の前記駆動電流が前記複数の発光素子のそれぞれに入力されており、前記駆動電流の前記入力期間のタイミングが前記複数の発光素子ごとに異なっていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記複数の発光素子の光を混合して合成光を出射させる合成手段と、前記合成光の光量を検出する検出手段と、前記検出手段の検出光量が所定光量に近づくように前記駆動電流の前記入力期間及び前記中断期間からなる入力周期の位相を相互に調節する制御手段とを有することを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の照明装置を有しており、前記照明装置は前記駆動電流の前記入力期間のタイミングが撮影期間に同期していることを特徴とする撮影装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−9241(P2012−9241A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143440(P2010−143440)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】